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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039532
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/02 20060101AFI20220303BHJP
   B65H 9/00 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
B65H5/02 G
B65H9/00 A
B65H5/02 M
B65H5/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144617
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】望月 裕史
(72)【発明者】
【氏名】近藤 司
(72)【発明者】
【氏名】川崎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】窪田 裕己
(72)【発明者】
【氏名】岩田 俊行
【テーマコード(参考)】
3F049
3F102
【Fターム(参考)】
3F049AA01
3F049AA04
3F049BB07
3F049DA04
3F049LA01
3F049LB03
3F102AA01
3F102AB01
3F102BA02
3F102BB04
3F102BB05
3F102EA12
(57)【要約】
【課題】搬送ベルト上で停止したシートを取り出し易い構成を提供する。
【解決手段】搬送ベルト12と球体20とを用いてシートを搬送するシート搬送装置において、ジャムが発生した際に搬送ベルト12上でシートが停止した場合に、搬送ベルト12のシート搬送方向上流側及び下流側に配置された搬送ローラ対にシートがニップされているとユーザは取り出し口471からシートを取り出すことが困難である。そこで、搬送ベルト12上で停止して取り出し口471から取り出されるべきシートを搬送ベルト12と球体20のみにニップされる状態となるように搬送ローラ対401、402、403及び搬送ベルト12を動作させる。
【選択図】図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを所定の搬送方向に搬送する第1搬送部材と、
前記第1搬送部材の前記搬送方向下流側に設けられ、前記搬送方向において延設される搬送面を有し、前記第1搬送部材から受け渡されたシートを前記搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送面と対向する位置で前記搬送方向において複数配置され、前記搬送面との間でシートを挟持しつつ、任意方向に回転可能な球体と、
前記搬送ベルトの前記搬送方向下流側に設けられ、前記搬送ベルトから受け渡されたシートを搬送する第2搬送部材と、
前記搬送方向と交差するシート幅方向に関して前記搬送ベルトの一方側に設けられ、前記搬送ベルト上で停止したシートを取り出すための取り出し口と、を備え、
前記搬送ベルト上でシートが停止した場合に、前記取り出し口からシートを取り出すために、シートが前記搬送ベルトと前記球体のみにニップされる位置にシートを位置づけるように前記第1搬送部材、前記第2搬送部材及び前記搬送ベルトを動作させることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第2搬送部材は、シートを狭持して搬送する1対の搬送ローラで構成され、
前記第2搬送部材の前記1対の搬送ローラのうちの少なくとも一方を、シートを挟持して搬送可能なニップ位置と、前記1対の搬送ローラを前記ニップ位置よりも離間させるニップ解除位置とに移動可能なローラ移動手段と、
前記第2搬送部材の前記搬送方向下流側に設けられ、前記第2搬送部材から受け渡されたシートを搬送する第3搬送部材をさらに備え、
前記搬送ベルト上で停止した複数枚のシートの前記搬送方向長さの合計が前記第1搬送部材と前記第2搬送部材との間の距離よりも長く、前記第1搬送部材と前記第3搬送部材との間の距離よりも短い場合、前記複数枚のシートの最も前記搬送方向下流側のシート先端を前記第3搬送部材よりも前記搬送方向上流側に位置づけ、前記複数枚のシートの最も前記搬送方向上流側のシート後端を前記第1搬送部材よりも前記搬送方向下流側に位置づけた状態で、前記ローラ移動手段は前記第2搬送部材を前記ニップ解除位置に位置づけることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記搬送ベルト上で停止した複数枚のシートの前記搬送方向長さの合計が前記第1搬送部材と前記第2搬送部材との間の距離よりも短い場合、前記ローラ移動手段が前記第2搬送部材を前記ニップ位置に位置づけた状態で、前記複数枚のシートの最も前記搬送方向下流側のシート先端を前記第2搬送部材よりも前記搬送方向上流側に位置づけ、前記複数枚のシートの最も前記搬送方向上流側のシート後端を前記第1搬送部材よりも前記搬送方向下流側に位置づけることを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記第2搬送部材よりも前記搬送方向下流側に前記搬送ベルト上で停止したシートを取り出す第2の取り出し口をさらに備え、
前記搬送ベルト上で停止したシートの1枚の前記搬送方向長さが前記取り出し口の前記搬送方向長さよりも長い場合は、前記第2の取り出し口からシートを取り出すためにシートを前記搬送方向下流側に搬送することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記第1搬送部材は、シートを狭持して搬送する1対の搬送ローラで構成され、
前記第1搬送部材の前記1対の搬送ローラのうちの少なくとも一方を、シートを挟持して搬送可能なニップ位置と、前記1対の搬送ローラを前記ニップ位置よりも離間させるニップ解除位置とに移動可能なローラ移動手段と、
前記第1搬送部材の前記搬送方向上流側に設けられ、前記第1搬送部材に向けてシートを搬送する第4搬送部材をさらに備え、
前記搬送ベルト上で停止した複数枚のシートの前記搬送方向長さの合計が前記第1搬送部材と前記第2搬送部材との間の距離よりも長く、前記第2搬送部材と前記第4搬送部材との間の距離よりも短い場合、前記複数枚のシートの最も前記搬送方向下流側のシート先端を前記第2搬送部材よりも前記搬送方向上流側に位置づけ、前記複数枚のシートの最も前記搬送方向上流側のシート後端を前記第4搬送部材よりも前記搬送方向下流側に位置づけた状態で、前記ローラ移動手段は前記第1搬送部材を前記ニップ解除位置に位置づけることを特徴とする請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記搬送ベルトと前記球体とで狭持されて搬送されるシートの前記搬送方向と交差するシート幅方向の端縁を規制する一対の規制ガイドと、
前記規制ガイドを前記シート幅方向に移動させるガイド移動手段と、をさらに備え、
前記搬送ベルト上で停止したシートが前記搬送ベルトと前記球体のみでニップされた状態になった後で、前記ガイド移動手段は該シートを前記取り出し口の方向に移動させるように前記規制ガイドを移動することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを搬送するシート搬送装置においては、シートの搬送中に様々な要因でシートの位置ずれが生じる虞がある。そして、位置ずれが生じたまま、例えば、シートに画像を形成する画像形成装置に搬送された場合、シートに対して画像がずれるなどの不具合が生じてしまう。このため、搬送中のシートの位置ずれを補正するシート搬送装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、シート搬送方向に交差する幅方向片側に設けられた固定の基準ガイドと、基準ガイドに対して傾斜して設けられた搬送ベルトと、球体とを有する構成が開示されている。特許文献1に記載のシート搬送装置の場合、シートを搬送ベルトと球体とで挟持しつつ搬送することにより、シートの幅方向端縁を基準ガイドに突き当てるようにしている。そして、シートのサイドレジ(シート幅方向端縁の位置ずれ)とサイドスキュー(シート搬送方向に対するシートの幅方向端縁の傾き)を同時に補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-217096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シートがジャムなどにより搬送ベルト上で停止した場合、搬送ベルト上からシートを取り除く必要がある。
【0006】
本発明は、搬送ベルト上で停止したシートを取り出し易い構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、 シートを所定の搬送方向に搬送する第1搬送部材と、第1搬送部材の搬送方向下流側に設けられ、搬送方向において延設される搬送面を有し、第1搬送部材から受け渡されたシートを搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、搬送面と対向する位置で搬送方向において複数配置され、搬送面との間でシートを挟持しつつ、任意方向に回転可能な球体と、搬送ベルトの搬送方向下流側に設けられ、搬送ベルトから受け渡されたシートを搬送する第2搬送部材と、搬送方向と交差するシート幅方向に関して搬送ベルトの一方側に設けられ、搬送ベルト上で停止したシートを取り出すための取り出し口と、を備え、搬送ベルト上でシートが停止した場合に、取り出し口からシートを取り出すために、シートが搬送ベルトと球体のみにニップされる位置にシートを位置づけるように第1搬送部材、第2搬送部材及び搬送ベルトを動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、搬送ベルト上で停止したシートを取り出し易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る画像形成システムの概略構成断面図。
図2】実施形態に係る中継搬送装置の斜視図。
図3】実施形態に係る中継搬送装置の平面図。
図4】実施形態に係る中継搬送装置の側面図。
図5】実施形態に係る中継搬送装置の搬送ベルトの支持構成周りの断面図。
図6】実施形態に係る中継搬送装置の断面図。
図7】実施形態に係る規制ガイドの、(a)斜視図、(b)(a)の左側から見た図、(c)シートの搬送方向に沿った方向に切断した断面図、(d)シートの搬送方向と直交する方向に切断した断面図。
図8】実施形態に係る搬送ローラの接離機構を示す斜視図。
図9】実施形態に係る搬送ローラの接離機構の、(a)搬送ローラのニップ状態を、(b)搬送ローラのニップ解除状態を、それぞれ示す側面図。
図10】実施形態に係る規制ガイドの動作を説明する図で、(a)シートの受け入れ状態を、(b)シートの後端が搬送ローラを抜けた状態を、(c)シートの位置ずれ補正の状態を、(d)2枚目のシートの受け入れ状態を、それぞれ示す図。
図11】実施形態において、先行シートの位置ずれ補正時に後続シートが規制ガイドに当たらないことを説明する図。
図12】シートが厚紙である場合の規制ガイドの動作を説明する図で、(a)シートが搬送ベルト上に搬送された状態を、(b)シートの片端縁の突き当て状態を、(c)シートの他端縁の突き当て状態を、それぞれ示す図。
図13】シートが長い場合の搬送ローラのニップ解除タイミングを説明する図で、(a)シートが搬送ベルト上に搬送された状態を、(b)下流側の搬送ローラのニップが解除された状態を、それぞれ示す図。
図14】実施形態に係る対向部材が対向位置にある状態の中継搬送装置の断面図。
図15】実施形態に係る対向部材が取り出し位置にある状態の中継搬送装置の断面図。
図16】実施形態に係る開閉ガイドを開いた状態で、リア側の規制ガイドによりシートを押している状態を示す中継搬送装置の断面図。
図17】実施形態に係る規制ガイドの動作を説明する図で、(a)シート幅が257mm以下のシートが搬送ベルト上で停止した状態を、(b)シートの第1シート端縁を取り出し口から取り出し可能な所定位置に位置づけた状態を、(c)フロント側規制ガイドを退避させた状態をそれぞれ示す図。
図18】実施形態に係る規制ガイドの動作を説明する図で、(a)シート幅が257.1mm~320mmのシートが搬送ベルト上で停止した状態を、(b)シートの第1シート端縁を取り出し口から取り出し可能な所定位置に位置づけた状態を、(c)フロント側規制ガイドを退避させた状態をそれぞれ示す図。
図19】実施形態に係る規制ガイドの動作を説明する図で、(a)シート幅が320.1mm以上のシートが搬送ベルト上で停止した状態を、(b)シートの第1シート端縁を取り出し口から取り出し可能な所定位置に位置づけた状態を、(c)フロント側規制ガイドを退避させた状態をそれぞれ示す図。
図20】実施形態に係る規制ガイドの別の動作を説明する図で、(a)シート幅が257.1mm~320mmのシートが搬送ベルト上で停止した状態を、(b)シートを一旦リア側へ移動しつつシートの第1シート端縁を取り出し口から取り出し可能な所定位置に位置づけた状態を、(c)フロント側規制ガイドを退避させた状態をそれぞれ示す図。
図21】シート停止領域に停止した複数種類のシート長のシートに対してどこからシートを取り出すかを説明する図。
図22】搬送ベルト上で停止したシートを取り出し口から取り出す際の搬送ローラ対及び規制ガイドの動作を説明する図。
図23】搬送ベルト上で停止したシートを取り出し口から取り出す際の搬送ローラ対及び規制ガイドの動作を説明する図。
図24】搬送ベルト上で停止したシートを取り出し口から取り出す際の搬送ローラ対及び規制ガイドの動作を説明する図。
図25】搬送ベルト上で停止したシートを取り出し口から取り出す際の搬送ローラ対及び規制ガイドの動作を説明する図。
図26】搬送ベルト上で停止したシートを取り出し口から取り出す際の搬送ローラ対及び規制ガイドの動作を説明する図。
図27】搬送ベルト上で停止したシートを取り出し口から取り出す際の搬送ローラ対及び規制ガイドの動作を説明する図。
図28】搬送ベルト上で停止したシートを取り出し口から取り出す際の搬送ローラ対及び規制ガイドの動作を説明する図。
図29】搬送ベルト上で停止したシートを取り出し口から取り出す際の搬送ローラ対及び規制ガイドの動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態について、図1図29を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成システムについて、図1を用いて説明する。
【0011】
[画像形成システム]
図1は、本実施形態に係る多段給送装置及び画像形成装置を備える画像形成システムの一例を概略的に示す断面図である。以下の説明では、画像形成部を有する画像形成装置として、電子写真方式を用いたレーザプリンタシステム(以下単にプリンタと呼ぶ)を例に挙げて説明する。なお、画像形成システムを構成する画像形成装置は、プリンタ以外に、複写機、ファクシミリ、複合機などであっても良い。また、画像形成装置は、電子写真方式に関らず、インクジェット方式などの他の方式の構成であっても良い。
【0012】
本実施形態の画像形成システム1000は、画像形成装置100と、画像形成装置100に接続されたシート給送装置としての多段給送装置200と、給送デッキ500と、を有している。多段給送装置200は、詳しくは後述するように、それぞれが複数枚のシートを収納可能な複数の収納庫を有しており、各収納庫から画像形成装置100にシートを給送可能である。また、給送デッキ500も複数枚のシートを収納可能な収納庫を有しており、シート搬送方向に関して、多段給送装置200の上流側に配置されている。また、給送デッキ500から給送されるシートは、多段給送装置200に設けられた中継搬送装置400を介して画像形成装置100に搬送される。なお、シートとしては、普通紙、薄紙、厚紙などの紙、プラスチックシートなどが挙げられる。
【0013】
画像形成装置100は、画像形成装置本体101に接続された原稿読み取り装置102又は画像形成装置本体101に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)をシートに形成する。本実施形態の場合、原稿読み取り装置102は、画像形成装置本体101の上側に配置されている。
【0014】
原稿読み取り装置102は、原稿を読み取る際には、プラテンガラス103の上に載置された原稿に走査光学系光源によって光を照射すると共に、反射光をCCDに入力することにより原稿画像を読み取るようにしている。また、原稿読み取り装置102は、自動原稿搬送装置(ADF)104を備えており、トレイ105上に載置された原稿をADF104により自動的に原稿読み取り装置102の読み取り部に搬送して、原稿画像を読み取ることも可能である。そして、読み取った原稿画像は電気信号に変換されて、後述する画像形成部110のレーザスキャナ113に伝送される。なお、レーザスキャナ113は、上述したようにパーソナルコンピュータ等から送信されてくる画像データが入力される場合もある。
【0015】
画像形成装置100は、画像形成部110、複数のシート給送装置120、シート搬送装置130等を備える。画像形成装置100は、制御部140により各部が制御される。制御部140は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0016】
複数のシート給送装置120は、それぞれシートSを収納するカセット121と、ピックアップローラ122と、フィードローラ123及びリタードローラ124から構成される分離搬送ローラ対125とを備えている。カセット121内に収納されたシートSは、所定のタイミングで昇降動作して回転するピックアップローラ122と分離搬送ローラ対125とによって1枚ずつ分離されて給送される。
【0017】
シート搬送装置130は、搬送ローラ対131、レジストローラ対133を備えている。シート給送装置120から給送されたシートSは、搬送ローラ対131によりシート搬送路134を通過させられた後、レジストローラ対133に導かれる。この後、シートSは、レジストローラ対133によって、所定のタイミングで画像形成部110に送り込まれる。
【0018】
なお、後述する多段給送装置200や給送デッキ500から搬送ローラ対201を介して搬送されるシートは、画像形成装置100との接続経路202を介して画像形成装置100内に搬送される。そして、多段給送装置200や給送デッキ500から画像形成装置100内に搬送されたシートは、画像形成装置100内のシート給送装置120から搬送されるシートと同様に、レジストローラ対133を介して所定のタイミングで画像形成部110に送り込まれる。
【0019】
画像形成部110は、感光ドラム111、帯電器112、レーザスキャナ113、現像器114、転写装置115、クリーナ117等を備えている。画像形成時には、感光ドラム111が図の矢印方向に回転駆動され、まず、帯電器112により感光ドラム111の表面が一様に帯電される。そして、画像信号に応じて発光されるレーザスキャナ113からのレーザ光が帯電された感光ドラム111に照射されることで、感光ドラム111上に静電潜像が形成される。さらに、このようにして感光ドラム111上に形成された静電潜像は、この後、現像器114によってトナー像として顕像化される。
【0020】
この後、感光ドラム111上のトナー像は、転写部116において転写装置115によりシートSに転写される。さらに、このようにトナー像が転写されたシートSは、定着装置150に搬送されてトナー像の定着が行われ、この後、排出ローラ151によって機外の排出トレイ152に排出される。
【0021】
シートSの裏面にトナー像を形成する場合には、定着装置150から排出されたシートSを反転搬送路160に搬送する。そして、反転搬送路160により表裏を反転した状態で、シートSを再度、画像形成部110の転写部116に搬送する。裏面にトナー像が転写されたシートSは、定着装置150に搬送され、トナー像の定着が行われた後、排出ローラ151により排出トレイ152に排出される。なお、転写後に感光ドラム111上に残った転写残トナーは、クリーナ117により除去される。
【0022】
[多段給送装置]
引き続き、図1を用いて多段給送装置200の概要について説明する。多段給送装置200は、複数の収納庫210a~210c、中継搬送装置400等を備える。本実施形態では、3つの収納庫210a~210cを上下に3段並べており、一番下の収納庫210cと上から2番目の収納庫210bとの間に中継搬送装置400を配置している。
【0023】
一番上の収納庫210aから給送されたシートは、搬送経路212に搬送され、上から2番目の収納庫210bから給送されたシートは、搬送経路213に搬送され、一番下の収納庫210cから給送されたシートは、搬送経路214に搬送される。また、中継搬送装置400から搬送されたシートは、搬送経路215に搬送される。搬送経路213は、途中で搬送経路212に合流している。また、搬送経路212,214,215は、合流点216で合流し、搬送経路217を通って搬送ローラ対201に搬送され、接続経路202を介して画像形成装置100に搬送される。
【0024】
また、搬送経路213と合流後の搬送経路212、中継搬送装置400、搬送経路214には、それぞれシートの重送を検知する重送検知センサが配置されている。そして、重送検知センサにより重送が検知されたシートは、搬送経路217まで搬送される。搬送経路217の下方には、重送が検知されたシートを収容する重送シート収容部(エスケープトレイ)218が配置されている。重送が検知され、搬送経路217に搬送されたシートは、搬送経路217に設けられた切換部材219により搬送経路が切り換えられることで、重送シート収容部に搬送される。
【0025】
また、多段給送装置200は、制御部203により各部が制御される。制御部203は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。また、制御部203は、画像形成装置100の制御部140と通信可能であり、制御部140と通信することでシートの給送タイミングなどを制御する。
【0026】
上流側の給送デッキ500から給送されたシートは、搬送経路512を通って中継搬送装置400に搬送される。また、多段給送装置200は、手差しでもシートが給送可能となっている。手差しで給送されたシートは、搬送経路512に合流する搬送経路510に搬送され、搬送ローラ対511により搬送経路512を介して中継搬送装置400に搬送される。
【0027】
中継搬送装置400は、詳しくは次述するが、搬送ベルト12などを備える位置ずれ補正部410を備える。位置ずれ補正部410のシート搬送方向上流側には、搬送手段としての搬送ローラ対401、位置ずれ補正部410のシート搬送方向下流側には、搬送ローラ対402が配置されている。搬送経路512を搬送されるシートは、搬送ローラ対401により位置ずれ補正部410に送られる。シートは、位置ずれ補正部410でサイドレジ(シート幅方向端縁の位置ずれ)とサイドスキュー(シート搬送方向に対するシートの幅方向端縁の傾き)が補正された後、下流側の搬送ローラ対402に受け渡される。そして、搬送ローラ対402、403により搬送経路215に搬送される。このように、中継搬送装置400は、上流側の給送デッキ500等から搬送されたシートの位置ずれなどを補正し、下流側の画像形成装置100に受け渡す。
【0028】
[中継搬送装置]
次に、シート搬送装置としての中継搬送装置400について説明する。まず、中継搬送装置400の概略構成について、図2ないし図6を用いて説明する。中継搬送装置400は、シートを搬送方向(所定の搬送方向)Xに搬送する搬送手段(搬送部材)としての搬送ローラ対401によって搬送されたシートを受け取って搬送する。即ち、上流側の搬送ローラ対401から上述の位置ずれ補正部410に受け渡され、シートの位置ずれ補正がされた後に位置ずれ補正部410から下流側の搬送ローラ対402にシートが受け渡される。搬送ローラ対401、402は、図3に示すように、駆動ローラ及び従動ローラがそれぞれ回転軸線方向に離間した2つのローラ部により構成されている。特に、下流側の搬送ローラ対402の幅(幅方向Yの長さ、図3に示す、搬送ローラ対402の回転軸線方向に並ぶ2つのローラ部のうちの上側のローラ部の上端と下側のローラ部の下端との間隔)は、搬送ベルト12の幅(幅方向Yの長さ)よりも大きい。位置ずれ補正部410は、搬送ベルト12、複数の球体20、1対の規制ガイド14A、14B、ガイド移動部420等を有する。
【0029】
搬送ベルト12は、シートを搬送方向Xに搬送する搬送手段(搬送部材)としての搬送ローラ対401の搬送方向Xの下流側(搬送方向下流側)に配置されている。搬送ベルト12は、プーリ11A、11Bに掛け渡された無端状のベルトであり、搬送方向Xにおいて延設される搬送面12Aを有する。片側のプーリ11Aには、駆動源としてのモータM1が接続されており、搬送ベルト12は、モータM1の駆動により回転する。このような搬送ベルト12は、搬送方向Xの上流側の搬送ローラ対401から搬送面12Aに受け渡されたシートを搬送方向Xに向けて搬送する。
【0030】
球体20は、搬送ベルト12の搬送面12Aと対向する位置に搬送方向Xにおいて複数配置されている。球体20は、中心位置がシートの中央基準位置となるように配置されている。即ち、球体20の中心が並んでいる位置は、シートの中央基準位置である。ここで、中央基準位置とは、シート幅方向において、シート幅の異なる第1シートと第2シート(即ち、シートのサイズにかかわらず)が両方とも中央となる位置である。更に言えば、球体20は、1対の規制ガイド14A、14B同士の間隔の中央位置に配置されている。なお、1対の規制ガイド14A、14Bの何れか一方の規制ガイドは固定であっても良い。
【0031】
また、複数の球体20が並ぶ方向は、後述する規制ガイド14A、14Bのガイド面15A(図6)によるシートのガイド方向と一致する。なお、規制ガイド14A、14Bのガイド方向と搬送ベルト12の搬送方向Xは、略一致している。
【0032】
本実施形態では、複数の球体20は、搬送ベルト12の上方に配置されている。複数の球体20は、搬送面12Aとの間でシートを挟持しつつ、任意方向に回転可能である。このために、複数の球体20は、それぞれ搬送ベルト12の上方に設けられた保持板18に任意方向に回転自在に保持されている。即ち、保持板18は、図2及び図3に示すように、搬送ベルト12の上方に、搬送面12Aと所定距離離れた位置に搬送方向Xに沿って配置された長尺の板であり、搬送方向Xに互いに間隔をあけて複数の保持穴18Aを有する。そして、保持穴18Aにそれぞれ球体20を回転自在に保持している。
【0033】
球体20は、図4に示すように、保持穴18Aから露出し、搬送ベルト12の搬送面12A上に載置され、任意の方向に回転自在とされている。球体20は、それぞれ自重により搬送面12Aに当接している。なお、球体20の個数は、搬送ベルト12上を搬送されるシートに対して必要とされる押し付け力に応じて設定すればよい。また、球体20は、シートが後述するように搬送ベルト12上でスリップしながら搬送されることから、摩擦係数が比較的低いガラスやプラスチックなどの材料で構成されることが好ましい。なお、本実施形態では、複数の球体20を搬送方向Xに沿って1列に並べた構成について説明したが、複数の球体20を2列など複数の列にそれぞれ搬送方向Xに並べて配置するようにしても良い。
【0034】
図5を用いて、より詳しく説明する。中継搬送装置400は、複数の球体20を回転自在に保持する保持板18と、その下方に配置された搬送ベルト支持部材481とを有する。搬送ベルト支持部材481は、保持板18と同様に、搬送方向Xに沿って延長する長尺の板部材からなる。図5に示すように、搬送ベルト支持部材481は、シート幅方向の中央部分482が上向きに突出して、比較的狭幅の平坦な搬送ベルト支持面483を、搬送方向Xの略全長に亘って形成している。搬送ベルト支持部材481は、搬送ベルト支持面483のシート幅方向中央位置に球体20が位置するように、保持板18と上下に対向させて配置される。
【0035】
なお、球体20は1対の規制ガイド14A、14B同士の間隔の中央位置で、且つ、搬送ベルト支持面483のシート幅方向中央位置に配置されることが望ましいが、搬送ベルト支持面483と対向する位置であれば多少のズレは許容できる。
【0036】
搬送ベルト支持部材481は、中央部分482のシート幅方向両側の側辺部分484が、搬送ベルト12のシート幅方向両側端よりも外側に幾分延在し、それらの外側端が下向きに折曲されて、中継搬送装置400の下側枠体485に固定されている。下側枠体485は、搬送方向Xの両端に、それぞれシート幅方向外側に延在する取付端壁片485a、485bを有し、該取付端壁片485a、485bにおいて、止めねじ等の適当な止め手段で、中継搬送装置400側(例えば、筺体470(後述する図14))に固定されている。このような搬送ベルト支持部材481で搬送ベルト12を支持することで、搬送ベルト12の中央部12Bが搬送ベルト支持部材481の中央部分482によって押し上げられ、上下方向に対向する無端状の搬送ベルト12の中央部同士の距離が搬送ベルト12の端部同士の距離よりも長い関係となっている。
【0037】
保持板18は、図5に示すように、中継搬送装置400の上側枠体486上に固定されている。上側枠体486は、搬送方向Xの両端に、それぞれシート幅方向外側に延在する取付端壁片486a、468b、486c、486dを有し、該取付端壁片486a~486dにおいて、止めねじ等の適当な止め手段で、中継搬送装置400側(例えば、筺体470)に固定されている。これにより、保持板18と搬送ベルト支持部材481とは、複数の球体20が、搬送ベルト支持面483のシート幅方向中央位置で、搬送ベルト12の搬送面12A上に回転自在に保持される位置関係が維持される。
【0038】
搬送ベルト支持部材481には、シート幅方向両側の側辺部分484上に、搬送方向Xに沿って複数の阻止部材490が配設されている。阻止部材490は、シート幅方向の外端が、搬送ベルト12のシート幅方向両側端部よりも外側に所定の幅だけ延出している。阻止部材490のシート幅方向の外端には、外向きの阻止面491が設けられており、例えば封筒のジャム処理を行う際に封筒のフラップ部分が阻止面491に係合することで搬送ベルト12に引っかかることを防止している。
【0039】
1対の規制ガイド14A、14Bは、搬送方向Xと交差するシート幅方向Y(本実施形態では搬送方向と直交する方向)に関して、搬送ベルト12の両側に配置されている。そして、1対の規制ガイド14A、14Bは、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートのシート幅方向Yの両端縁(シート幅方向両端縁)をガイド可能である。なお、シート幅方向Yに関して片側に配置された規制ガイド14Bは、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートのシート幅方向片端縁をガイド可能である。また、シート幅方向Yに関して他側に配置された規制ガイド14Aは、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートのシート幅方向他端縁をガイド可能である。
【0040】
1対の規制ガイド14A、14Bは、図6に示すように、それぞれ側板部15と、下板部16と、上板部17と、を有し、これら各板部15、16、17で囲まれる空間内に、搬送ベルト12で搬送されるシートSの端部が侵入可能としている。1対の規制ガイド14A、14Bは、後述するガイド移動部420によりガイド位置と、退避位置との移動可能に、支持軸421A、421B(図3参照)に支持されている。支持軸421A、421Bは、それぞれシート幅方向Yと略平行に配置され、1対の規制ガイド14A、14Bの搬送方向Xの端部側を支持している。1対の規制ガイド14A、14Bは、支持軸421A、421Bに沿ってシート幅方向Yに移動可能である。
【0041】
側板部15は、ガイド位置において、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSのシート幅方向Yの端縁(シート幅方向端縁)と対向するガイド面15Aを有する。ガイド面15Aは、搬送方向Xと平行に配置されている。また、ガイド面15Aは、搬送方向X及びシート幅方向Yにそれぞれ直交する面、本実施形態では、略鉛直方向に沿った面である。
【0042】
下板部16は、側板部15と直交するように配置され、ガイド位置において、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSのシート幅方向Yの端縁を支持する支持面16Aを有する。支持面16Aは、ガイド面15Aの鉛直方向下端部から略水平方向に延設されている。また、支持面16Aは、搬送ベルト12の搬送面12Aよりも鉛直方向下方に位置する。
【0043】
ここで、仮に、支持面16Aと搬送面12Aとが同一の高さ、又は、支持面16Aの方が搬送面12Aよりも鉛直方向上方に位置する場合を考える。この場合、厚紙などの剛度の高いシートSが図6に示すように下にカール状態(幅方向Yの両端縁が中央よりも下がった状態)で、搬送ベルト12と球体20の間に搬送されてくると、シートSの幅方向Yの両端縁が支持面16Aに支持される。この際、シートSの幅方向Yの中央部が持ち上げられた状態(ブリッジした状態)になり、球体20を押し上げてしまう。この結果、搬送ベルト12と球体20は離間した状態になり、搬送ベルト12の搬送力がシートSに伝わらず、搬送不良が生じる虞がある。このため、本実施形態では、支持面16Aは、搬送ベルト12の搬送面12Aよりも鉛直方向下方に配置するようにしている。
【0044】
上板部17は、支持面16Aと対向して配置される対向面17Aを有する。対向面17Aは、ガイド位置において、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSのシート幅方向Yの端縁の上方に位置する。また、対向面17Aは、支持面16Aと略平行に形成されている。
【0045】
ガイド移動部420は、図2及び図3に示すように、1対の規制ガイド14A、14Bのうちの規制ガイド14Aを移動させる第1移動部420Aと、他側の規制ガイド14Bを移動させる第2移動部420Bとを有する。また、ガイド移動部420は、規制ガイド14Aを移動させる駆動力を発生させるモータM2、他側の規制ガイド14Bを移動させる駆動力を発生させるモータM3を有する。
【0046】
第1移動部420Aは、1対のプーリ422A、423Aと、両プーリ422A、423Aに掛け渡された無端状のベルト424Aと、ベルト424Aと規制ガイド14Aとを接続する接続部425Aとを有する。同様に、第2移動部420Bは、1対のプーリ422B、423Bと、両プーリ422B、423Bに掛け渡された無端状のベルト424Bと、ベルト424Bと他側の規制ガイド14Bとを接続する接続部425Bとを有する。
【0047】
また、図2に示すように、第1移動部420Aは駆動源としてのモータM2に、第2移動部420Bは駆動源としてのモータM3にそれぞれ駆動される。即ち、本実施形態の場合、1対の規制ガイド14A、14Bを移動させる駆動源としてのモータを別々とし、1対の規制ガイド14A、14Bは、それぞれ独立して移動可能となっている。このために、第1移動部420Aのプーリ422Aは、連結軸426Aを介してプーリ427Aと連結されており、プーリ427Aは、モータM2に回転駆動されるプーリとの間でベルト428Aを掛け渡されている。そして、モータM2の回転駆動が、ベルト428A、プーリ427A、連結軸426A、プーリ422Aを介してベルト424Aに伝達される。上述のように、ベルト424Aには、接続部425Aを介して規制ガイド14Aが接続されているため、モータM2の駆動により、規制ガイド14Aが、支持軸421A、421Bに沿ってシート幅方向Yに移動する。
【0048】
同様に、第2移動部420Bのプーリ422Bは、連結軸426Bを介してプーリ427Bと連結されており、プーリ427Bは、モータM3に回転駆動されるプーリとの間でベルト428Bを掛け渡されている。そして、モータM3の回転駆動が、ベルト428B、プーリ427B、連結軸426B、プーリ422Bを介してベルト424Bに伝達される。上述のように、ベルト424Bには、接続部425Bを介して他側の規制ガイド14Bが接続されているため、モータM3の駆動により、他側の規制ガイド14Bが、支持軸421A、421Bに沿ってシート幅方向Yに移動する。
【0049】
このようにモータM2、M3を駆動することで、規制ガイド14A、14Bをそれぞれガイド位置や退避位置に移動させている。本実施形態の場合、モータM2、M3は、パルスモータ(ステッピングモータ)としており、規制ガイド14A、14Bの位置は、モータに送るパルス数により制御している。また、規制ガイド14A、14Bは、それぞれホームポジションを有し、ホームポジションにはそれぞれ規制ガイド14A、14Bを検知するセンサを設けている。このため、ホームポジションで規制ガイド14A、14Bの位置を検知し、その後は、モータに送るパルス数により規制ガイド14A、14Bをガイド位置や退避位置に移動させるようにしている。
【0050】
本実施形態では、規制ガイド14A、14Bのホームポジションと最大幅サイズのシート受け入れ位置が同じとしている。即ち、規制ガイド14A、14Bは基本的に、ホームポジション、待機位置(シート受け入れ位置)、ガイド位置に移動可能である。なお、ガイド位置は、例えば、シートのシート幅方向Yの端部から0.5mmの位置であるが、シートによって異なる。通常、ホームポジション、待機位置、ガイド位置の順で規制ガイド14A、14Bの間隔は狭くなる。但し、本実施形態では、最大シート幅(例えば、シート幅(シート幅方向Yの長さ)が330.2mm)のシートの場合は、ホームポジションと待機位置とを同じ位置にしている。これにより、装置サイズを小さくすることができる。
【0051】
即ち、最大シート幅のシートを受け入れる場合、規制ガイド14A、14Bは、以下のように動作する。まず、ホームポジションを検知するセンサの検知結果に基づいて、規制ガイド14A,14Bをホームポジションに位置づける。この状態でシートを受け入れる。即ち、ホームポジションと待機位置を同じとしている。次に、規制ガイド14A、14Bをガイド位置に位置づけてシートを規制する。更に、次のシートを受け入れるために待機位置(=ホームポジション)に位置づけるが、その際にホームポジションセンサの出力は無視する。つまり、最初にホームポジションセンサを通過してからはパルスカウントで、規制ガイド14A、14bの位置管理を行う。ジョブが全て終わって異なる幅のシートを搬送する場合には、再びホームポジションセンサの出力を見て、適切な待機位置に規制ガイド14A、14Bを位置づける。
【0052】
なお、本実施形態の場合、上述の搬送ベルト12を駆動するモータM1、規制ガイド14A、14Bを移動させるモータM2、M3、後述するモータM5、M7、M8は、他側の規制ガイド14B側に配置している。特に、搬送方向Xに関して、位置ずれ補正部410のシートの搬送範囲内にあるモータについては、搬送ベルト12よりも奥側(リア側、片側の規制ガイド14B側)に配置することが好ましい。これは、詳しくは後述するように、手前側(フロント側、他側の規制ガイド14A側)からジャムしたシートを取り除くようにしているためである。
【0053】
また、本実施形態の場合、図3及び図4に示すように、上流側の搬送ローラ対401と搬送ベルト12との間に、シートの重送を検知する重送検知センサ430を配置している。重送検知センサ430は、例えば、超音波によりシートが2枚以上重なって搬送されたことを検知するセンサである。多段給送装置200の制御部203(図1)は、重送検知センサ430によりシートの重送を検知した場合には、重送シートを中継搬送装置400、搬送経路215、217を介して上述した重送シート収容部218に搬送する。
【0054】
また、本実施形態の場合、図3、及び、後述する図14に示すように、シート幅方向Yに関して、搬送ベルト12と1対の規制ガイド14A、14Bの間に、搬送ベルト12により搬送されるシートの下面と対向する対向部材450、460を配置している。対向部材450、460は、仮に、シートの端部が規制ガイド14A、14Bの何れかに支持されずに搬送された場合に、そのシートの端部を支持する。対向部材450、460の詳しい構成については後述する。
【0055】
このように構成される中継搬送装置400は、搬送方向Xの上流の搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡されたシートを、搬送ベルト12と球体20によって挟持する。そして、搬送ベルト12の回転によりシートを搬送する。この際、詳しくは後述するように、搬送ベルト12に搬送されるシートの幅方向Yの両端を1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15Aに突き当てる。シートは、ガイド面15Aへ突き当てられると、両側端をガイド面15Aに沿わせつつ搬送ベルト12との間でスリップしながら、ガイド面15Aと平行な方向に搬送される。この際、搬送ベルト12との間でシートを球体20により挟持しており、球体20は、任意方向に回転可能であるため、シートは、搬送ベルト12上を任意方向にスリップしながら移動可能である。これにより、シートのサイドレジ及びサイドスキューが補正される。
【0056】
[規制ガイド]
次に、1対の規制ガイド14A、14Bの詳しい構成について、図7(a)~(d)を用いて説明する。なお、図7(a)~(d)では、規制ガイド14Aのみを示すが、他側の規制ガイド14Bも同様の構成を有する。図6に示したように、規制ガイド14Aは、ガイド面15Aを有する側板部15と、支持面16Aを有する下板部16と、対向面17Aを有する上板部17とを有する。
【0057】
図7(a)、(b)に示すように、下板部16及び上板部17は、規制ガイド14Aの長手方向ほぼ全域に亙って連続して設けられている。規制ガイド14Aは、図2などに示したように、搬送方向Xと略平行に配置されているため、下板部16及び上板部17が搬送方向Xに関して連続している範囲を所定領域Aとする。したがって、本実施形態では、下板部16の支持面16A及び上板部17の対向面17Aは、搬送方向Xに関して所定領域Aに亙って連続して設けられている。所定領域Aは、位置ずれ補正部410によりシートが搬送される領域のほぼ全域である。
【0058】
一方、側板部15は、図7(a)~(c)に示すように、所定領域Aよりも短い領域であるガイド領域Bに亙って連続して設けられている。本実施形態では、側板部15の搬送方向Xの上流端(搬送方向上流端)B1が、所定領域Aの搬送方向Xの上流端A1よりも下流側に位置する。即ち、側板部15のガイド面15Aの搬送方向Xの上流端B1は、所定領域Aの上流端A1よりも下流側に位置する。また、ガイド面15Aは、搬送方向Xに関して所定領域Aの下流端A2まで連続して設けられている。したがって、側板部15の搬送方向Xの下流端B2の位置と、所定領域Aの搬送方向Xの下流端A2の位置とは、搬送方向Xに関してほぼ同じ位置である。
【0059】
本実施形態では、側板部15の上流端B1よりも上流側には、切り欠き19Cが設けられている。そして、この切り欠き19Cの一部には、側板部15よりもシート幅方向Yの外側に位置する外側板部19を配置している。シート幅方向Yの外側とは、シート幅方向Yに関して搬送ベルト12よりも離れる側である。このため、図7(c)に示すように、外側板部19の内側面19Aは、側板部15の内側面であるガイド面15Aよりもシート幅方向Yの外側に位置する。また、搬送方向Xに関して、外側板部19と側板部15との間には、下流に向かう程、側板部15に近づくように傾斜した傾斜板部19Bが設けられている。
【0060】
1対の規制ガイド14A、14Bは、それぞれ上述のように構成されることで、搬送方向Xの上流側の外側板部19の内側面19A同士の幅方向Yの間隔が、側板部15のガイド面15A同士の幅方向Yの間隔よりも広くなっている。このため、詳しくは後述するように、上流側の搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡されたシートの幅方向Yの両端縁は、搬送方向Xの上流側では内側面19A同士の間に位置し、下流側に搬送されることでガイド面15A同士の間に位置する。
【0061】
なお、外側板部19や傾斜板部19Bは、省略しても良い。但し、仮に、上流側の搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡されたシートの幅方向Yの端部が切り欠き19C内に位置した場合、シートが更に搬送された場合に、シートの端部が側板部15の上流端B1に引っ掛かる虞がある。このため、本実施形態では、外側板部19及び傾斜板部19Bを設け、シートが正規の位置から幅方向Yにずれて搬送されてきた場合にも、外側板部19でその位置を規制し、更に傾斜板部19Bによりシートの端部を側板部15のガイド面15Aに導くようにしている。
【0062】
[搬送ローラ対の接離構成]
次に、図1及び図2を参照しつつ、図8図9(a)、(b)を用いて、搬送ローラ対401~403の接離構成について説明する。上述したように、搬送ベルト12の搬送方向Xの上流及び下流には、それぞれ搬送ローラ対401~403が配置されている。搬送ローラ対401~403は、それぞれ、1対の搬送ローラとしての駆動ローラ32及び従動ローラ33を有する。駆動ローラ32は、回転軸32aの周囲にゴムなどの弾性体を設けた弾性ローラである。従動ローラ33は、駆動ローラ32に当接してシートを挟持して搬送するニップ部を形成する。搬送ローラ対401の駆動ローラ32はモータM4により、搬送ローラ対402の駆動ローラ32はモータM5により、搬送ローラ対403の駆動ローラ32はモータM6により、それぞれ独立して回転駆動可能である。
【0063】
本実施形態では、搬送ベルト12の搬送方向Xの下流側(搬送方向下流側)に配置された搬送ローラ対402、403が、駆動ローラ32と従動ローラ33とを当接及び離間可能な構成を有する。搬送ローラ対402はモータM7により、搬送ローラ対403はモータM8により、それぞれ独立して駆動ローラ32と従動ローラ33とを当接及び離間可能である。搬送ローラ対402、403の構成は同じであるため、以下、接離構成について、搬送ローラ対402を例にして、図8図9(a)、(b)を用いて説明する。
【0064】
駆動ローラ32と従動ローラ33とを当接及び離間させる接離機構31は、付勢手段としての圧縮ばね34、支持部材35、モータM7、離間カム36、リンク部材37を有する。接離機構31は、1対の搬送ローラのうちの少なくとも一方、即ち、従動ローラ33を、シートを挟持して搬送可能なニップ位置と、1対の搬送ローラをニップ位置よりも離間させるニップ解除位置とに移動可能なローラ移動手段に相当する。
【0065】
圧縮ばね34は、従動ローラ33を駆動ローラ32に向けて付勢するばねである。支持部材35は、従動ローラ33の回転軸33aを支持すると共に、揺動軸37aを中心に揺動可能に支持されている。また、支持部材35は、圧縮ばね34により揺動軸37aを中心に従動ローラ33を駆動ローラ32に向けて押し付ける方向に付勢されている。支持部材35は、揺動軸37aに固定されており、揺動軸37aと共に回転して、従動ローラ33を駆動ローラ32に向かう方向及び駆動ローラ32から離れる方向に移動させる。
【0066】
モータM7は、プーリ38a、38b及びベルト38cを介して離間カム36を回転駆動する。プーリ38aは、モータM7の駆動軸に固定され、プーリ38bは、離間カム36の回転軸36aに固定されている。ベルト38cは、プーリ38a、38bに掛け渡された無端状のベルトである。離間カム36は、外周面の中心が回転軸36aの中心から偏心した偏心カムであり、モータM7の駆動により回転軸36aと共に回転する。
【0067】
リンク部材37は、揺動軸37aに固定されて、揺動軸37aと共に揺動可能に設けられている。したがって、リンク部材37は、揺動軸37aを介して支持部材35と同期して回転する。リンク部材37は、圧縮ばね34により支持部材35が付勢されることで離間カム36と当接するように配置されている。
【0068】
離間カム36が図9(a)に示す位相にある場合、従動ローラ33は圧縮ばね34の付勢力により駆動ローラ32に圧接されている。図9(a)の状態がニップ位置である。この状態からモータM7により離間カム36を例えば180°回転駆動すると、図9(b)に示すように、リンク部材37が離間カム36に押されて揺動軸37aを中心に、図の反時計方向に揺動する。すると、リンク部材37と揺動軸37aを介して連結された支持部材35が、揺動軸37aを中心に同方向に揺動する。従動ローラ33は、回転軸33aを介して支持部材35に支持されているため、支持部材35の揺動により駆動ローラ32から離間する。即ち、従動ローラ33をニップ解除位置に移動させる。
【0069】
ニップ解除位置からニップ位置に従動ローラ33を移動させる場合には、図9(b)の状態からモータM7により離間カム36を更に180°回転させれば良い。なお、駆動ローラ32と従動ローラ33を当接及び離間させる接離機構は、駆動ローラ32と従動ローラ33の両方を移動させる構成としても良い。また、上述の例では、モータにより接離機構を駆動したが、ソレノイドなどの他の駆動源により1対の搬送ローラの当接及び離間を行うようにしても良い。
【0070】
また、上述の例では、搬送ベルト12の搬送方向Xの下流側の搬送ローラ対402、403を当接及び離間可能としたが、搬送ローラ対402のみを当接及び離間可能としても良い。更に、搬送ベルト12の搬送方向Xの上流側の搬送ローラ対401を当接及び離間可能としても良い。この場合、上流側の搬送ローラ対401のみを当接及び離間可能としても良いし、下流側の搬送ローラ対402も、更には搬送ローラ対403も当接及び離間可能としても良い。
【0071】
[シート搬送動作]
次に、本実施形態の中継搬送装置400におけるシート反動動作について、図2、3などを参照しつつ、図10(a)~(d)及び図11を用いて説明する。本実施形態では、制御部203(図1)が、シートの搬送状態に応じてモータM2、M3(図2)を制御して、1対の規制ガイド14A、14Bのシート幅方向Yの位置を変更するようにしている。上述したように、モータM2、M3を制御することでガイド移動部420(図2)を駆動して、1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置及び退避位置に移動させることができる。
【0072】
ここで、ガイド位置は、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15Aが、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートの幅方向Yの端縁をガイド可能な位置である。本実施形態では、ガイド位置は、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15A同士(ガイド面同士)の距離が、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートのシート幅方向Yの長さよりも長くなる位置である。
【0073】
具体的には、シートの幅方向Yの中央位置と、両側のガイド面15A同士の中央位置とが一致する状態で、且つ、シートの幅方向Yの端縁がガイド面15Aと平行な状態(中央基準)で、シートが搬送された場合に、シートの幅方向Yの端縁とガイド面15Aとが所定の間隔となる位置がガイド位置である。この所定の間隔は、装置によって適宜設定可能であるが、この間隔内でシートがずれてもシートとシートに形成される画像とのずれが許容できるような間隔である。この所定の間隔は、例えば、0.5mmである。即ち、ガイド位置では、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15Aが、シートの幅方向Yの端縁よりもそれぞれ0.5mm離れた位置である。このガイド位置は、制御部203がシートサイズに応じて適宜変更可能である。
【0074】
このようにガイド位置において、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15A同士の距離が、シートのシート幅方向Yの長さよりも長くなる位置に、1対の規制ガイド14A、14Bを位置させているため、搬送ベルト12により搬送されるシートの搬送負荷を抑制できる。例えば、ガイド面同士の距離をシートの幅方向Yの長さと同じとした場合、シートの端部がガイド面と摺擦しながらシートが搬送されることになり、搬送抵抗が大きくなってしまう。特に、本実施形態では、搬送ベルト12と球体20によりシートを挟持しながら搬送しているため、搬送ベルト12と球体20とによりシートを挟持するニップ圧が小さい。このため、シートの搬送抵抗が大きいとシートの搬送に遅延が生じたり、シートの搬送が停止するなどの搬送不良が生じ易くなる虞がある。このため、本実施形態では、ガイド位置において上述のように1対の規制ガイド14A、14Bを位置させることで、シートの搬送抵抗を抑制するようにしている。
【0075】
なお、上述のようにシートを中央基準で搬送して、後述するようにシートのサイドレジやサイドスキューを補正する(整合動作を行う)ことが好ましい。これは、本実施形態では、搬送ベルト12と球体20の間でシートをスリップさせて、該シートを回転させながら、サイドスキューの補正を行うためである。即ち、シートSの重心と規制ガイド14A、14Bの中央部が略一致する位置(中央基準)において整合動作を開始することで、整合動作時にシートへのダメージを軽減できる。
【0076】
一方、退避位置とは、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15Aが、ガイド位置よりもシートの幅方向Yの端縁から退避した位置である。言い換えれば、退避位置における1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15A同士の幅方向Yの間隔は、ガイド位置における1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15A同士の幅方向Yの間隔よりも広い。本実施形態では、上述の中央基準で搬送されるシートの幅方向Yの端縁との間隔が5mmとなる位置を退避位置としている。なお、規制ガイド14A、14Bが退避位置にある状態でシートSが搬送ベルト12に受け渡されるが、この状態でシートSの上下方向の移動は支持面16Aと対向面17Aとによって規制される。これにより、シートSがカールしていても規制ガイド14A、14Bが退避位置からガイド位置に移動する際にシートSの両端縁をガイド面15A、支持面16Aおよび対向面17Aに囲われた領域内に収めることができる。
【0077】
図10(a)~(d)及び図11を用いて、2枚のシートS1、S2が連続して中継搬送装置400に搬送される場合の、1対の規制ガイド14A、14Bの動作について説明する。まず、図10(a)に示すように、制御部203は、上流側の搬送ローラ対401から搬送ベルト12に1枚目のシートS1が搬送される場合には、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置に移動させておく。これは、シートS1が搬送ベルト12に受け渡された際に、1対の規制ガイド14A、14Bがガイド位置にあった場合、シートS1が斜行していたり、幅方向Yに位置ずれしていたりすると、シートS1の端部が規制ガイド14A、14Bの何れかと干渉して、シートS1の搬送不良が発生する虞があるためである。
【0078】
次に、図10(b)に示すように、制御部203は、搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡された1枚目のシートS1の後端(上流端)が搬送ローラ対401を通過した後に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させる。本実施形態では、搬送ベルト12に受け渡されたシートS1が、所定領域A内(図7(b)、所定領域内)にある状態で、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させている。これにより、シートS1のサイドレジやサイドスキューの補正(整合動作)を行う。
【0079】
即ち、規制ガイド14A、14Bは、シートS1が搬送方向Xの上流側にある場合、退避位置に位置し、シートS1の両端縁はガイド面15Aから離間されている。そして、シートS1が更に下流側に搬送され、シートS1の後端が搬送ローラ対401を通過した後、規制ガイド14A、14Bがガイド位置に移動する。そして、シートS1の幅方向Yの両端縁にガイド面15Aを当接させる。シートS1は、ガイド面15Aへ突き当てられると、端縁をガイド面15Aへ沿わせつつ搬送ベルト12との間でスリップしながら、ガイド面15Aと平行な方向に搬送される。これにより、シートS1のサイドレジ及びサイドスキューが補正される。
【0080】
本実施形態では、制御部203は、シートが搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されている最中に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させるようにしている。これにより、シートの搬送を止めることなくシートのサイドレジやサイドスキューなどの補正を行うことができ、生産性を高めることができる。但し、シートの搬送を一旦止めてから、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させる整合動作を行うようにしても良い。この場合、生産性は低下するが、位置ずれの補正などをより確実に行うことができる。
【0081】
次に、図10(c)に示すように、搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡された2枚目のシートS2の先端が所定領域Aに侵入した状態では、1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置のままとする。この際、1枚目のシートS1は、ガイド領域B(図7(b))においてガイド面15Aにガイドされている状態である。即ち、本実施形態では、1枚目のシートS1が1対の規制ガイド14A、14Bにガイドされている最中に、2枚目のシートS2の所定領域A内への侵入を開始している。
【0082】
ここで、図11に示すように、ガイド面15Aの搬送方向Xの上流端B1(図7(b))よりも上流側は、ガイド面15A同士よりも間隔が広い外側板部19の内側面19Aが存在する。なお、図11では、内側面19Aを下流側に向かう程、ガイド面15A側に傾斜させているが、内側面19Aは、搬送方向Xと平行な面であっても良い。何れにしても、内側面19Aは、ガイド面15Aよりもシート幅方向Yの外側に位置するため、1対の規制ガイド14A、14Bがガイド位置にある状態であっても、内側面19A同士の間隔はガイド面15A同士の間隔よりも広い。このため、この状態で2枚目のシートS2が斜行したり、幅方向Yに位置ずれしたりしつつ所定領域A内に侵入しても、シートS2の端部が1対の規制ガイド14A、14Bと干渉しにくい。このため、本実施形態では、2枚目のシートS2を上述のようなタイミングで搬送しても、シートの搬送不良が生じにくく、且つ、生産性を高めることができる。
【0083】
そして、図10(d)に示すように、制御部203は、2枚目のシートS2の先端がガイド面15Aの搬送方向Xの上流端B1に到達する前に、1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置から退避位置に移動させる。この際、1枚目のシートS1の整合動作は完了しており、シートS1は、下流側の搬送ローラ対402に受け渡されている。したがって、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置に移動させても、シートS1の姿勢に影響を与えることはない。また、2枚目のシートS2がガイド面15Aに到達する前に1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置に移動させているため、2枚目のシートS2の端部が外側板部19の内側面19Aを超える際に、ガイド面15Aの上流端B1と干渉することを抑制して、シートの搬送不良の発生を抑制できる。
【0084】
この後、図10(b)以降で説明したように、制御部203は、2枚目のシートS2の後端が搬送ローラ対401を通過した後に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させる。本実施形態では、2枚目のシートS2の先端がガイド面15Aの搬送方向Xの上流端B1を通過した後に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させる。そして、2枚目のシートS2の整合動作を行う。3枚目以降のシートがあれば、引き続き、図10(c)、(d)、(b)の動作を行い、最後のシートであれば、そのまま、搬送ローラ対402に受け渡して、シートの整合動作を完了させる。
【0085】
なお、上述のシートの搬送方向Xの位置は、例えば、シートサイズと、シートの搬送経路中の何れかにあるシートを検知するセンサのシートの検知タイミング、シートの搬送速度に基づいて、制御部203が把握可能である。
【0086】
このように本実施形態の場合、搬送ベルト12に受け渡されたシートの後端が上流側の搬送ローラ対401を通過した後に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させるようにしている。このため、シートが搬送ベルト12に受け渡される際には、1対の規制ガイド14A、14Bがシートと干渉しにくくできる。また、上流側の搬送ローラ対401によりシートが搬送されている間は1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置に位置させないため、搬送ローラ対401により搬送中のシートが何れかの規制ガイドと当接することで折れ曲がったりすることを抑制できる。
【0087】
更に、シートの後端が搬送ローラ対401を通過した後に1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置に移動させているため、例えばシートを斜めに搬送して規制ガイドに突き当てなくても、シートの位置ずれなどを補正できる。このため、シート搬送するための長さを長くしなくてもシートの位置ずれなどの補正が可能となり、装置の大型化を抑制できる。即ち、装置の大型化を抑制しつつ、シートの幅方向Yの位置ずれを補正できる。
【0088】
[厚紙の搬送動作]
次に、坪量が所定値以上のシートS3(例えば、厚紙)における搬送動作について、図12(a)~(c)を用いて説明する。所定値は、例えば、100g/mである。ここで、坪量が所定値以上のシートのように剛度が高いと、上述のように、シートの両端縁を1対の規制ガイド14A、14Bで挟持したり、ガイド面15Aと微小な隙間をあけてガイドしたりしてサイドレジなどの補正を行った場合に、搬送抵抗が増大してしまう虞がある。搬送抵抗が増大すると、シートの搬送遅延などが生じてしまう。そこで、本実施形態では、厚紙などのシートの場合には、規制ガイド14A、14Bを片方ずつシートの端縁に当接させて、サイドレジやサイドスキューの補正を行うようにしている。以下、具体的に説明する。
【0089】
まず、本実施形態の場合、ガイド移動部420(図2)は、上述のように、規制ガイド14A、14Bをそれぞれ独立して移動可能である。即ち、ガイド移動部420の第1移動部420A(図2)は、1対の規制ガイド14A、14Bのうちの一方の規制ガイド14Aを、シートの幅方向Yの片端縁をガイドする第1ガイド位置と、第1ガイド位置よりもシートの片端縁から退避した第1退避位置とに移動可能である。同様に、ガイド移動部420の第2移動部420B(図2)は、1対の規制ガイド14A、14Bのうちの他方の規制ガイド14Bを、シートの幅方向Yの他端縁をガイドする第2ガイド位置と、第2ガイド位置よりもシートの他端縁から退避した第2退避位置とに移動可能である。
【0090】
図12(a)に示すように、厚紙などのシートS3が搬送ベルト12に受け渡される際には、1対の規制ガイド14A、14Bは退避位置に位置する。即ち、一方の規制ガイド14Aは第1退避位置に、他方の規制ガイド14Bは第2退避位置に、それぞれ位置する。
【0091】
次いで、図12(b)に示すように、制御部203は、シートS3の後端が搬送ローラ対401(図3など)を通過した後に、一方の規制ガイド14Aを第1ガイド位置まで移動させると共に、他方の規制ガイド14Bを第2退避位置に位置させる。即ち、一方の規制ガイド14Aのガイド面15AをシートS3の片端縁に突き当てると共に、他方の規制ガイド14Bを第2退避位置のままとして、規制ガイド14Bのガイド面15AをシートS3の他端縁から退避させる。
【0092】
その後、図12(c)に示すように、制御部203は、他方の規制ガイド14Bを第2ガイド位置まで移動させると共に、一方の規制ガイド14Aを第1退避位置に移動させる。即ち、他方の規制ガイド14Bのガイド面15AをシートS3の他端縁に突き当てると共に、一方の規制ガイド14Aを第1退避位置に移動させて、規制ガイド14Aのガイド面15AをシートS3の片端縁から退避させる。
【0093】
本実施形態では、このように規制ガイド14A、14Bを片側ずつシートS3の端縁に突き当て、突き当ての最中には反対側の規制ガイドをシートS3の端縁から退避させている。このため、シートS3の搬送抵抗が増大することを抑制できる。なお、規制ガイド14A、14Bを突き当てる順番は、上述に限らず、規制ガイド14Bを突き当てた後、規制ガイド14Aを突き当てるようにしても良い。
【0094】
なお、搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡されたシートの坪量が所定値未満の場合(例えば、普通紙など)には、上述の図10(a)~(d)で説明したように、該シートの後端が搬送ローラ対401を通過した後に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させる。
【0095】
[長尺シートの搬送動作]
次に、所定サイズ以上のシートS4(長尺シートなど)における搬送動作について、図4、7、8を参照しつつ、図13(a)、(b)を用いて説明する。長尺シートのように搬送方向Xの長さが所定長さ以上のシートS4の場合、1対の規制ガイド14A、14Bによりサイドレジやサイドスキューの補正をしている間に、シートに搬送方向下流側又は上流側が搬送ローラ対にニップされている可能性がある。シートが搬送ローラ対にニップされた状態では、1対の規制ガイド14A、14Bをシートの端縁に突き当ててもサイドレジなどの補正(整合動作)を十分に行えないか、或いは、シートが折れ曲がったりする可能性がある。なお、シートの「所定長さ」とは、シート搬送方向において、上流側の搬送ローラ対401のニップ点と下流側の搬送ローラ対402にニップ点との間の距離よりも長い長さである。
【0096】
一方、長尺シートであっても搬送ローラ対にニップされずに整合動作をすべく、1対の規制ガイド14A、14Bによりガイドする搬送方向Xの距離を長くすることが考えられるが、この場合、装置が大型化してしまう。そこで、本実施形態では、所定サイズ以上のシートS4の整合動作を行う際には、下流側の搬送ローラ対402のニップを解除するようにしている。
【0097】
上述したように、搬送ベルト12の下流側の搬送ローラ対402、403は、駆動ローラ32と従動ローラ33とを当接又は離間可能である(例えば、図4参照)。また、駆動ローラ32と従動ローラ33とを当接又は離間する接離機構31は、制御部203により制御されるモータM7、M8を有する。このため、制御部203は、接離機構31を制御して、駆動ローラ32と従動ローラ33とを当接又は離間を行うことができる。
【0098】
本実施形態では、制御部203は、ガイド移動部420により1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させる際に、搬送ローラ対402、403をニップ解除位置とするニップ解除動作を実行可能である。以下、図13(a)、(b)を用いて具体的に説明する。
【0099】
図13(a)に示すように、上流側の搬送ローラ対401から搬送ベルト12にシートS4が受け渡される際には、1対の規制ガイド14A、14Bは、退避位置に位置している。そして、図13(b)に示すように、シートS4が更に下流側に搬送され、シートS4の後端が上流側の搬送ローラ対401を通過した後に、制御部203は、下流側の搬送ローラ対402、403をニップ解除位置とする。また、これと同時に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に到達させる。即ち、シートS4の後端が上流側の搬送ローラ対401を通過した後に、1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達させる。このように本実施形態では、ニップ解除動作は、ガイド移動部420により1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に到達したのと同時に実行される。
【0100】
なお、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に到達させる整合動作と、ニップ解除動作とのタイミングは同時でなくても良い。例えば、シートの後端が上流側の搬送ローラ対401を通過した後で、シートの先端(下流側端)が下流側の搬送ローラ対402に到達していなければ、先に、整合動作を開始し、シートの先端が下流側の搬送ローラ対402に到達する前にニップ解除動作を行うようにしても良い。また、シートの後端が搬送ローラ対401を通過する前にシートの先端が搬送ローラ対402に到達してしまうような長いシートの場合は、シート先端が搬送ローラ対402に到達する前に搬送ローラ対402のニップ解除動作を行う。
【0101】
シートS4の整合動作が完了した後は、下流側の搬送ローラ対402、403をニップ解除位置からニップ位置に戻して、搬送ローラ対402、403によりシートS4を更に下流側に搬送する。なお、下流側の搬送ローラ対402、403をニップ位置に戻すタイミングは、遅くとも、シートS4の後端が搬送ベルト12の下流端を通過する前である。
【0102】
また、制御部203は、接離機構31により搬送ローラ対402、403をニップ解除位置からニップ位置とした後、1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置から退避位置に移動させる。ここで、仮に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置に移動させた後に搬送ローラ対402によりシートをニップした場合、シートをニップする動作によってシートの位置ずれが発生してしまう虞がある。これに対して、先に搬送ローラ対402等によりシートをニップしてから1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置に移動しているため、シートのニップ時にはシートが規制ガイド14A、14Bによりガイドされており、シートの位置ずれが不用意に発生することを抑制できる。
【0103】
また、シートが搬送ローラ対402によりニップされた後、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置に移動させることで、次のシートが搬送される際に、次のシートが1対の規制ガイド14A、14Bと干渉することを抑制でき、生産性を高めることができる。1対の規制ガイド14A、14Bの退避位置への移動開始タイミングを、搬送ローラ対402、403のニップ解除位置からニップ位置への移動開始と同時としても良い。1対の規制ガイド14A、14Bをより早く退避位置に移動させることで、次のシートをできるだけ早く搬送ベルト12に受け渡すことができ、生産性をより高めることができる。
【0104】
本実施形態では、このようにニップ解除動作を行うことにより、シートS4の下流側が搬送ローラ対402、更には搬送ローラ対403にも到達していたとしても、1対の規制ガイド14A、14Bによる整合動作が可能となる。このため、装置を大型化することなく、所定長さ以上のシートに対しても整合動作を実行可能である。
【0105】
また、シートの長さが所定長さ未満の場合には、整合動作時に搬送ローラ対のニップ解除動作を行わないため、搬送ローラ対の接離動作の回数を少なくできる。接離動作を行うと、接離機構31の各部品が消耗したり、騒音が生じたりする。このため、接離動作をできるだけ行わないようにすることで、部品の消耗や騒音の発生を抑制できる。
【0106】
なお、シートの長さが所定長さ以上である場合に限らず、上述のように整合動作時に搬送ローラ対のニップ解除動作を行うようにしても良い。これにより、シートの整合動作を行う位置ずれ補正部410の搬送方向Xの長さを更に短くでき、装置の小型化を図れる。
【0107】
ここで、坪量が所定値以上のシートの場合、図12(a)~(c)で説明したように、1対の規制ガイド14A、14Bを片側ずつシートに突き当てることで整合動作を行っている。このように坪量が所定値以上であるシートにおいて、更にこのシートが長尺である場合には、この整合動作を行っている際に、搬送ローラ対402、403をニップ解除位置とする。即ち、シートの後端が上流側の搬送ローラ対401を通過し、整合動作を開始すべく、1対の規制ガイド14A、14Bの片方の規制ガイドがガイド位置に移動するのと同時に、搬送ローラ対402、403をニップ解除位置とする。そして、整合動作の完了後、搬送ローラ対402、403をニップ位置に戻す。整合動作の開始とニップ解除動作のタイミングを異ならせても良い点は、上述の場合と同様である。
【0108】
上述の説明では、搬送ローラ対402、403でニップ解除動作を行っていたが、ニップ解除動作は、搬送ローラ対402のみ行うようにしても良い。また、搬送ベルト12の上流側の搬送ローラ対401の駆動ローラ32と従動ローラ33とを当接又は離間させる構成の場合、搬送ローラ対401のニップ解除動作を行っても良い。即ち、制御部203は、ガイド移動部420により1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に到達させる際に、上流側の搬送ローラ対401をニップ解除位置とするニップ解除動作を実行可能としても良い。例えば、図13(a)の状態で、搬送ローラ対401をニップ解除位置とし、1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置に移動させても良い。
【0109】
上流側の搬送ローラ対401のニップ解除動作を行う場合についてより詳しく説明する。シートが搬送ローラ対401の更に上流側の搬送ローラ対511(図4など参照)で搬送され、シートの先端が搬送ベルト12と球体20とにニップされた後に搬送ローラ対401のニップを解除する。その後、シートの後端が搬送ローラ対511を通過した後に規制ガイド14A、14Bをガイド位置に到達させる。その後、シートの先端が下流側の搬送ローラ対402にニップされたら規制ガイド14A、14Bを退避位置に移動して、シートの後端が上流側の搬送ローラ対401を通過したらニップ解除位置からニップ位置に戻す。
【0110】
また、上流側及び下流側の搬送ローラ対401、402、403の全てを接離可能な構成としても良い。この場合、全ての搬送ローラ対401~403のニップ解除動作を整合動作の開始と同時に行うようにしても良い。或いは、シートの長さや搬送状況に応じて、搬送ローラ対のニップ解除動作のタイミングを異ならせても良い。例えば、整合動作時にシートが複数の搬送ローラ対に跨る場合には、その複数の搬送ローラ対の全てを整合動作時にニップ解除位置とする。或いは、シートの搬送に応じて、上流側の搬送ローラ対から順にニップ解除動作を行い、整合動作時にはシートが何れの搬送ローラ対にもニップされないようにしても良い。
【0111】
また、シートサイズに応じて、ニップ解除動作を行う搬送ローラ対の数を変えるようにしても良い。例えば、搬送ローラ対402を1対の第1搬送ローラ、搬送ローラ対403を1対の第2搬送ローラとする。搬送ローラ対403は、搬送ローラ対402よりも搬送ベルト12から離れた位置に配置されている。また、搬送ローラ対403をニップ位置とニップ解除位置とに移動可能な接離機構31を第2ローラ移動手段とする。
【0112】
この場合に、制御部203は、ローラ移動手段及び第2ローラ移動手段としての接離機構31を制御して、次のように搬送ローラ対402、403を動作可能である。まず、搬送方向におけるシートの長さが所定長さよりも長い第2の所定長さ以上である場合に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させる際に、搬送ローラ対402、403をニップ解除位置とする。一方、シートの長さが第2の所定長さ未満で、所定長さ以上である場合には、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させる際に、搬送ローラ対402のみをニップ解除位置とし、搬送ローラ対403をニップ位置のままとする。
【0113】
上述の搬送ローラ対402、403の動作は、上流側の搬送ローラ対401と下流側の搬送ローラ対402で行うようにしても良い。また、全ての搬送ローラ対401~403が接離可能な構成の場合、シートの長さが第2の所定長さよりも長い第3の所定長さである場合、整合動作時に全ての搬送ローラ対401~403をニップ解除位置としても良い。
【0114】
なお、上述のシートの坪量、サイズは、画像形成システム1000が備える入力部(例えば操作パネル)1001(図1)により入力された情報に基づく。例えば、ユーザが入力部1001を介して給送デッキ500に収容されたシートの坪量やサイズなどの情報を入力しておく。制御部203は、この入力情報から中継搬送装置400に搬送されるシートの坪量やサイズを判断する。入力部1001は、画像形成装置100、多段給送装置200、給送デッキ500の何れかに備えられた操作パネルなどであっても良いし、画像形成システム1000に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部端末であっても良い。
【0115】
或いは、上述のシートの坪量やサイズは、給送デッキ500から中継搬送装置400までの搬送経路や給送デッキ500内に、シートの坪量やサイズを検知するセンサを設けることで、検知するようにしても良い。
【0116】
[シートのジャム発生時の動作]
次に、搬送ベルト12上でシートが停止するジャム発生時における中継搬送装置400の動作について、図2、3を参照しつつ、図14ないし図16を用いて説明する。図3及び図14に示すように、シート幅方向Yに関して、搬送ベルト12と1対の規制ガイド14A、14Bの間に、搬送ベルト12により搬送されるシートの下面と対向する対向部材450、460を配置している。対向部材450、460のうち、規制ガイド14A側の対向部材450は、後述するように、対向位置と、対向位置よりも下方に退避した取り出し位置との間で移動可能である。対向位置は、搬送ベルト12を搬送されるシートの下面と対向する位置である。一方、規制ガイド14B側の対向部材460は、対向位置で固定としている。
【0117】
対向部材450、460は、それぞれ対向位置で、シートの下面と対向する対向面450A、460Aを有する。対向面450A、460Aは、仮に、シートの端部が規制ガイド14A、14Bの何れかに支持されずに搬送ベルト12により搬送された場合に、そのシートの端部を支持する。
【0118】
また、中継搬送装置400は、図14に示すように、上述の位置ずれ補正部410を収容する筐体470を有する。筐体470は、装置の前方に、即ち、シート幅方向Yに関して一方側に、筐体470内のシートを取り出すための取り出し口471が形成されている。取り出し口471は、シート幅方向Yに関して規制ガイド14A側(第1の規制ガイド側)に設けられ、主として、搬送ベルト12上で停止したシートを取り出すための開口である。
【0119】
また、取り出し口471は、図14に示すように、搬送ベルト12の下方に位置する。一方、図2に示すように、ガイド移動部420を構成する第1移動部420A及び第2移動部420Bは、搬送ベルト12よりも上方に配置されている。第1移動部420A及び第2移動部420Bは、上述したように、プーリ422A、423A、422B、423B、ベルト424A、424B、接続部425A、425Bを有する。
【0120】
ここで、取り出し口471が仮に、搬送ベルト12に対して第1移動部420A及び第2移動部420Bと同じ側にあった場合、シートを取り出す際にこれら第1移動部420A及び第2移動部420Bが邪魔になる可能性がある。このため、本実施形態では、取り出し口471を、搬送ベルト12に対して、第1移動部420A及び第2移動部420Bと反対側に設けている。即ち、第1移動部420A及び第2移動部420Bを搬送ベルト12の上方に、取り出し口471を搬送ベルト12の下方にそれぞれ配置している。
【0121】
搬送ベルト12と球体20とでシートを挟持して搬送している最中に、シートが搬送ベルト12上で停止するジャムが発生する場合がある。本実施形態では、このようにジャムしたシートを取り出し口471から取り出せるようにしている。このために、取り出し口471側の対向部材450を、図14に示す対向位置と、図15に示す取り出し位置との間で移動可能としている。取り出し位置は、対向部材450が、対向位置よりも下方に退避して取り出し口471から搬送ベルト12上で停止したシートにアクセス可能な位置である。
【0122】
対向部材450は、上述のように、対向位置と取り出し位置とで移動可能とすべく、リンク機構454に支持されている。リンク機構454は、2つのリンク部材451、452と、各リンク部材451、452の両端部を支持するピン451A、451B、452A、452Bとを有する平行リンク機構である。ピン451A、451Bは、筐体470に支持されており、ピン451B、452Bは、対向部材450に支持されている。リンク部材451は、両端部がピン451A、451Bに回転自在に支持されており、リンク部材452は、両端部がピン452A、452Bに回転自在に支持されている。リンク部材451、452の長さは同じとしている。これにより、対向部材450は、対向面450Aを搬送方向Xと略平行(本実施形態では水平方向と略平行)に維持した状態で、対向位置と取り出し位置との間で移動可能である。
【0123】
このように、対向面450Aを略水平方向に維持したまま、対向部材450を取り出し位置に移動可能とすることで、対向部材450を取り出し位置とした場合に、ユーザがシートを取り出し易くできる。例えば、対向面450Aが水平方向に対して傾斜した状態で対向部材450が取り出し位置に位置した場合、対向面450Aが傾斜している分、取り出し口471から対向部材450を超えて内部に手などを挿入する空間(アクセスする空間)が狭くなってしまう虞がある。これに対して本実施形態の場合、例えば、ユーザが取り出し口471から対向部材450を超えて内部に手などを挿入する場合に、この挿入する空間を広くでき、シートをより取り出し易くできる。
【0124】
また、対向部材450の前方側(図14の左側)の端部には、ユーザなどが手で掴んで対向部材450を対向位置と取り出し位置との間で移動させるための把持部453を設けている。ユーザは、搬送ベルト12上でシートが停止した場合、多段給送装置200の少なくとも中継搬送装置400が配置されている部分の扉を開き、把持部453を掴んで、図14から図15に示すように、対向部材450を対向位置から取り出し位置に移動させる。これにより、ユーザは、取り出し口471及び取り出し位置にある対向部材450の対向面450Aの上方の空間を介して、搬送ベルト12上で停止したシートにアクセス可能となる。
【0125】
この際、ユーザがシートに触れることで、シートを奥側に、即ち、規制ガイド14B側(第2の規制ガイド側)に押してしまう場合がある。この場合に、奥側の規制ガイド14Bが更に奥側に移動可能であると、シートが押されることで奥側の規制ガイド14Bも押されて、シートが更に奥に移動してしまう虞がある。シートが更に奥に移動するとシートの取り出しがしにくくなる。
【0126】
そこで、本実施形態の場合、ガイド移動部420を制御する制御部203は、シートが搬送ベルト上で停止した場合に、奥側の規制ガイド14Bをシートの搬送が停止した時の位置に保持するようにしている。具体的には、奥側の規制ガイド14Bを移動させる駆動力を発生するモータM3に保持電流を印加するようにしている。本実施形態の場合、モータM2、M3は、パルスモータとしており、通電されることで停止状態が保持される。
【0127】
このため、制御部203は、搬送ベルト12上でシートのジャムが発生したと判断した場合には、モータM3に通電して、規制ガイド14Bの位置を保持させる。これにより、ユーザがシートへのアクセス時にシートを押してしまっても、奥側の規制ガイド14Bがその位置で保持されているため、シートがそれ以上、奥に行ってしまうことを抑制できる。この結果、搬送ベルト12上で停止したシートを取り出し易くできる。
【0128】
なお、規制ガイド14Bの位置を保持する制御は、制御部203が搬送ベルト12上でシートが停止したと判断した時点で開始しても良いし、判断した時点から所定時間経過した時点に開始しても良い。制御部203は、例えば、搬送ベルト12よりも下流側でシートを検知するセンサが所定時間、シートを検知しなかった場合に、搬送ベルト12上でシートの搬送が停止したと判断する。なお、位置ずれ補正部410におけるシートの搬送経路内に、シートのジャムを検知するセンサを設け、このセンサの検知結果により制御部203がシートの搬送停止を判断するようにしても良い。
【0129】
また、規制ガイド14Bの位置の保持の開始を、対向部材450が取り出し位置に移動した時、又は、移動後としても良い。この場合、対向部材450が取り出し位置に移動したことを検知するセンサを設け、対向部材450が取り出し位置に移動したことをこのセンサが検知した時点、又は、この時点から所定時間経過後に、規制ガイド14Bの位置を保持するようにしても良い。
【0130】
また、本実施形態の場合、シートが搬送ベルト12上で停止した場合に、前側の規制ガイド14A(他の規制ガイド)をシートの搬送が停止する直前の位置よりも搬送ベルト12から遠ざかる方向に移動させるようにしている。具体的には、取り出し口471側の規制ガイド14Aを、図15に矢印αで示すように、更に前方に移動させるようにしている。例えば、規制ガイド14Aが、ガイド位置、退避位置に加えて、退避位置よりも更に搬送ベルト12から離れたホームポジションまで移動可能である場合、制御部203は、搬送ベルト12上でシートのジャムを検知した場合に、規制ガイド14Aをホームポジションまで移動させる。
【0131】
このようにシートの搬送停止時に前側の規制ガイド14Aを搬送ベルト12から遠ざかる方向に移動させることで、ユーザが搬送ベルト12上で停止したシートにアクセスし易くなる。例えば、搬送ベルト12と前側の規制ガイド14Aの間隔が広がることで、この間にユーザが手を入れ易くなる。また、停止したシートの端部が規制ガイド14Aに引っ掛かっていた場合には、規制ガイド14Aを搬送ベルト12から離れる方向に移動させることで、シートの引っ掛かり解除され易くなり、ユーザがシートを取り出し易くなる。
【0132】
なお、シートの搬送停止時に、前側の規制ガイド14Aを駆動するモータM2への通電を停止し、前側の規制ガイド14Aを手動で移動可能としても良い。この場合、ユーザが手で規制ガイド14Aを移動させることで、シートを取り出すための空間を広くでき、やはり、シートの取り出しを容易にできる。
【0133】
また、本実施形態の場合、制御部203は、シートが搬送ベルト12上で停止した場合に、図16に示すように、奥側の規制ガイド14Bをシート幅方向Yに関して取り出し口471側(取り出し口側、フロント側)に移動させるようにしてもよい。即ち、制御部203は、モータM3を駆動して、図16の矢印βで示すように、規制ガイド14Bを前側に移動させる。これにより、シートが規制ガイド14Bに押されて取り出し口14側に移動するため、ユーザがシートを取り出し易くできる。なお、シートは、搬送ベルト12と球体20とでニップされているが、このニップ圧は小さいため、規制ガイド14Bに押されることでシートが前側に移動する。
【0134】
ここで、規制ガイド14Bを前側に移動させるタイミングは、制御部203が搬送ベルト12上でシートが停止したと判断した時点でも良いし、判断した時点から所定時間経過した時点であっても良い。このように制御部203がシートの停止を判断したことにより規制ガイド14Bを移動させる場合、上述のように、規制ガイド14Bの位置を保持する制御は行わない。
【0135】
また、規制ガイド14Bを前側に移動させるタイミングは、対向部材450が取り出し位置に移動した時、或いは、移動後であっても良い。この場合、対向部材450が取り出し位置に移動したことを検知するセンサを設け、対向部材450が取り出し位置に移動したことをこのセンサが検知した時点、又は、この時点から所定時間経過後に、規制ガイド14Bを前側に移動させるようにしても良い。この場合、規制ガイド14Bの位置をシートの搬送停止時の位置で保持する制御を行っても良いし、行わなくても良い。
【0136】
或いは、装置の何れかにユーザが操作可能なボタンなどを設けて、このボタンなどを操作することで、又は、入力部1001から操作することにより、規制ガイド14Bを前側に移動させるようにしても良い。規制ガイド14Bの位置をシートの搬送停止時の位置で保持する制御を行い、ユーザの操作により規制ガイド14Bの移動を行うようにしても良い。
【0137】
なお、ジャムが発生した際の規制ガイド14Aと規制ガイド14Bの動作は、シート幅方向のサイズによって異ならせることが望ましい。本実施形態では、ジャムが発生した際に、規制ガイド14Aの支持面16Aに支持されているシート端縁(シートの第1端縁)のシート幅方向における位置によって、規制ガイド14Aと規制ガイド14Bの動作を異ならせている。なお、本実施形態ではシートをセンター基準で搬送しているため、単純にシート幅方向のサイズの情報を受け取ることによって規制ガイド14Aと規制ガイド14Bとを制御している。
【0138】
図17図20はジャムが発生した際のシートおよび規制ガイド14A/14Bの位置が分かるように搬送方向から見た断面図である。図17図20に示すOKエリア(シートを取り出し可能な所定位置)とNGエリア(1)(2)はそれぞれ、搬送ベルト12上で停止したシート(駆動を停止した搬送ベルト12と球体20とでニップされた状態のシート)を取り出し口471から取り出し可能なエリアと取り出し困難なエリアとして示している。本実施形態では、搬送ベルト12上で停止した状態のシートの規制ガイド14A側のシート幅方向端縁(第1シート端縁SE1)がOKエリアに収まっている場合、この状態で規制ガイド14Aがホームポジション(規制ガイド14Aの支持面16Aが第1シート端縁SE1を支持しない位置)に退避すればユーザは取り出し口471から第1シート端縁SE1を掴んで引き抜くことが容易にできる。
【0139】
一方、搬送ベルト12上で停止したシートの第1シート端縁SE1がNGエリア(1)(OKエリアよりも搬送ベルト12側)に収まっている場合、第1シート端縁SE1が取り出し口471から離れた位置にあるため、単純に規制ガイド14Aがホームポジションに移動しただけではユーザが第1シート端縁SE1を掴んで取り出すことは困難な位置である。また、搬送ベルト12上で停止したシートの第1シート端縁SE1がNGエリア(2)(OKエリアに対して搬送ベルト12の反対側)に収まっている場合、規制ガイド14Aをホームポジションに移動させても第1シート端縁SE1は支持面16Aに支持された状態であるため、ユーザはシートを取り出すことが困難である。
【0140】
なお、本実施形態では、OKエリアとNGエリア(2)との境界をホームポジションに位置づけられた規制ガイド14Aの支持面16Aの搬送ベルト12側端部と設定しているが、取り出し口471(その開口)がホームポジションに位置づけられた支持面16Aの搬送ベルト12側端部よりも搬送ベルト12側に配置されるような構成では、OKエリアとNGエリア(2)との境界は取り出し口471の位置となる。また、OKエリアとNGエリア(1)との境界は、取り出し口471の開口からユーザの手が入ってシートを取り出すことが困難となる位置であるため、取り出し口471の広さや各部材の配置によって適宜変更は可能である。
【0141】
本実施形態においては、搬送されるシートのシート幅方向のサイズ(シート幅)によって第1シート端縁SE1がどのエリアに収まっているか判定している。本実施形態では、搬送ベルト12上で停止したシートのシート幅が257mm以下のシートはNGエリア(1)に収まっていると判定し、257.1mm~320mmのシートはOKエリアに収まっていると判定し、320.1mm以上のシートはNGエリア(2)に収まっていると判定する。以下、上記3パターンのシート幅について、ジャムが発生した場合の規制ガイド14Aと規制ガイド14Bの動作について説明する。
【0142】
図17は、シート幅が257mm以下のシートが搬送された場合の動作図である。図17(a)に示す通り、搬送ベルト12上で停止したシートの第1シート端縁SE1はNGエリア(1)に収まっている。よって、このシートが搬送された際にジャムが発生してシートが搬送ベルト12上で停止した場合、制御部203は規制ガイド14Aおよび規制ガイド14Bを取り出し口471側へ移動して、第1シート端縁SE1をOKエリア内に位置づける(図17(b))。そして、その状態で規制ガイド14Aをホームポジションへ移動し、規制ガイド14Bをその位置で停止状態を保持する(図17(c))。この状態で対向部材450が取り出し位置に移動することで第1シート端縁は取り出し口471に向けて垂れ下がり、第1シート端縁の反対側の端縁である第2シート端縁SE2は規制ガイド14Bの支持面16Bに支持された状態となり、ユーザは取り出し口471から容易にシートを取り出すことができる。
【0143】
図18はシート幅が257.1mm~320mmのシートが搬送された場合の動作図である。図18(a)に示す通り、搬送ベルト12上で停止したシートの第1シート端縁SE1はOKエリアに収まっている。よって、このシートが搬送された際にジャムが発生してシートが搬送ベルト12上で停止した場合、制御部203は規制ガイド14Bをこの位置で停止状態を保持し、規制ガイド14Aをホームポジションへ移動させる(図18(b))。この状態で第1シート端縁SE1は支持面16Aによる支持が外れているので、対向部材450が取り出し位置に移動することで第1シート端縁は取り出し口471に向けて垂れ下がり、第2シート端縁SE2は規制ガイド14Bの支持面16Bに支持された状態となり、ユーザは取り出し口471から容易にシートを取り出すことができる。
【0144】
さらにこの状態から規制ガイド14Bでシートを取り出し口471側に押し出してもよい。ただし、シート幅が257.1mm以上のシートを規制ガイド14Bによってさらに取り出し口471側へ押し出す際は、第1シート端縁SE1がOKエリアの範囲内に収まるように押し出すことが望ましい。例えば、搬送ベルト12上で停止したシートが厚紙の場合、対向部材450が取り出し位置に移動しても第1シート端縁SE1が下方に垂れ下がっていない可能性がある。その状態で規制ガイド14Bがシートを取り出し口471側へ押し出すと、第1シート端縁SE1がホームポジションに位置づけられた規制ガイド14Aに当たってしまう。よって、第1シート端縁SE1がOKエリアに収まる範囲内でシートを押し出すことでユーザが取り出しやすい位置にシートを位置づけることが可能である。なお、コシの弱いシートで対向部材450が取り出し位置に移動した後であれば図16に示すように最大限シートを押し出しても問題ない。
【0145】
図19はシート幅が320.1mm以上のシートが搬送された場合の動作図である。図19(a)に示す通り、搬送ベルト12上で停止したシートの第1シート端縁SE1はNGエリア(2)に収まっている。この状態で規制ガイド14Aをホームポジションへ移動しても第1シート端縁SE1は支持面16Aによる支持を外れないため、ユーザはシートを取り出すことができない。よって、図19(b)に示す通り、制御部203は規制ガイド14Aと規制ガイド14Bとを一旦装置リア側(図16の矢印αおよび矢印βの反対方向)へ移動し、第1シート端縁SE1をOKエリアの範囲内に位置づける。その後、規制ガイド14Bはその位置で停止状態を保持し、規制ガイド14Aをホームポジションへ移動させる(図19(c))。この状態で第1シート端縁SE1は支持面16Aによる支持が外れているので、対向部材450が取り出し位置に移動することで第1シート端縁は取り出し口471に向けて垂れ下がり、第2シート端縁SE2は規制ガイド14Bの支持面16Bに支持された状態となり、ユーザは取り出し口471から容易にシートを取り出すことができる。
【0146】
図18に示すようにシートの第1シート端縁SE1がOKエリアに収まっている場合は、規制ガイド14Bは停止状態を保持したまま規制ガイド14Aのみをホームポジションへ移動させる態様を示したが、第1シート端縁SE1がOKエリアとNGエリア(2)との境界付近にある場合、規制ガイド14Aをホームポジションへ移動させると摩擦によりシートを連れ送りしてしまう可能性がある。
【0147】
そこで、図20では第1シート端縁SE1がOKエリアに収まっているにもかかわらず一旦規制ガイド14A、14Bを装置リア側へ移動させる態様を示している。図20(a)はジャムが発生した状態で、通常は規制ガイド14Aのみをホームポジションへ移動させればよいが、その際にシートと支持面16Aとの摩擦によりシートも規制ガイド14Aのホームポジション側へ移動してしまう可能性がある。その際に第1シート端縁SE1がNGエリア(2)に入ってしまうとユーザがシートを取り出すことが困難となってしまう。
【0148】
よって、制御部203は一旦規制ガイド14Aと規制ガイド14Bとをリア側へ移動させ(図20(b))、その後規制ガイド14Aをホームポジションへ移動させる(図20(c))。その際、先に規制ガイド14Aをホームポジションに移動させてから規制ガイド14Bを規制ガイド14A側へ移動して、第1シート端縁SE1が図20(a)に示す停止時の第1シート端縁SE1の位置となるように移動してもよい。
【0149】
以上、ジャム発生時の規制ガイド14Aと規制ガイド14Bの動作を説明したが、動作の順番については上記の態様に限定されることはなく、最終的に第1シート端縁SE1がOKエリアに収まっている状態で規制ガイド14Aの支持面16Aが第1シート端縁SE1の支持を外れる位置に移動できていればよい。つまり、一旦規制ガイド14A、14Bを一律にリア側へ移動してから規制ガイド14Aをホームポジションへ移動し、その後に規制ガイド14Bをフロント側(規制ガイド14A側)へ移動して第1シート端縁SE1をOKエリアに位置づけた状態でストップするような態様にしてもよい。
【0150】
なお、このように、シートの搬送停止時に規制ガイド14Bを前側に移動させる動作は、停止したシートが搬送ベルト12と上流側の搬送ローラ対401(1対の上流側搬送ローラ)、又は、下流側の搬送ローラ対402(1対の下流側搬送ローラ)に跨っている場合には行わない。即ち、制御部203は、シートが、搬送ベルト12と、搬送ローラ対401又は搬送ローラ対402とに跨った状態で停止した場合には、規制ガイド14Bを移動させない。これは、シートが搬送ローラ対401又は搬送ローラ対402にニップされた状態で規制ガイド14Bを移動させた場合、シートを傷つけたり、破いたりする可能性があるためである。
【0151】
上述した態様は1枚のシートが搬送ベルト12上の領域に収まるシート長(シートの搬送方向長さ)の場合であるが、本実施形態では様々なシート長のシートを搬送し、図10に示すように搬送ベルト12上にシートが複数枚搬送される場合がある。
【0152】
本実施形態では、シート長と停止状態のシートの位置によってジャム解除の態様が異なるため以下に説明する。図21は最上段に、搬送経路512、搬送ベルト12及び搬送経路215にわたる領域内(便宜上この領域と後述する上流側ジャム解除エリアJ1及び下流側ジャム解除エリアJ2とをまとめてシート停止領域と呼ぶ。)で、給装デッキ500の給紙ローラ501及びそれに隣接するセンサ502から多段給送装置200の搬送ローラ対204及びそれに隣接するセンサ437までの規制ガイド14A(14B)、取り出し口471、各種搬送ローラ対及びシート検知センサの搬送方向Xの位置関係を模式的に示している。本実施形態においては、給紙ローラ501、センサ502、分離ローラ対503及びセンサ504は給装デッキ500の構成で、搬送ローラ対401、402、403、センサ433、435、436、規制ガイド14A(14B)及び取り出し口471は中継搬送装置400の構成で、搬送ローラ204とセンサ437は多段給送装置200の構成であるが、各ユニットのサイズや取り扱うシートサイズによって適宜変更可能であり、シート停止領域が中継搬送装置400の中に収まっていてもよいことは言うまでもない。
【0153】
ジャム解除エリアJ1はセンサ501よりも上流側の領域であり、ジャムが発生した時点で上流側ジャム解除エリアJ1に存在しているシートS3は、ユーザによって上流側ジャム解除エリアJ1から引き抜かれる。また、センサ437よりも下流側の領域は下流側ジャム解除エリアJ2であり、ジャムが発生した時点で下流側ジャム解除エリアJ2に存在しているシートS0は、ユーザによって下流側ジャム解除エリアJ2から引き抜かれる。つまり、図21に示すシートS0とシートS3は取り出し口471から取り出されるシートではない。
【0154】
図21では、停止した状態のシートの位置とシート長によって、どこからシートが取り出されるか場合分けをした図である。上述した通り、シートS0は下流側ジャム解除エリアJ2から取り出されるシートで、シートS3は上流側ジャム解除エリアJ1から取り出されるシートである。そして、シートS1とシートS2は取り出し口471から取り出し可能なシートである。
【0155】
図21(a)は、シート停止領域に例えばシート長257mm(B5サイズ)のシートが4枚停止した状態を示した図である。この場合、最も搬送方向下流側のシートの先端がセンサ437の下流にあり、シートの一部が下流側ジャム解除エリアJ2に存在しているため、このシートは下流側ジャム解除エリアJ2から取り出されるシートS0となる。同様に最も搬送方向上流側のシートの後端がセンサ502よりも上流側にあり、シートの一部が上流側ジャム解除エリアJ1に存在しているため、このシートは上流側ジャム解除エリアJ1から取り出されるシートS3ということになる。そして、真ん中の2枚はそれぞれ取り出し口471の搬送方向長さ(約517mm)よりも短く、取り出し口471から取り出し可能であるため、左側の先行シートがシートS1、右側の後続シートがシートS2ということになる。
【0156】
図21(b)(c)は、シート停止領域に例えばシート長297mm(A4サイズ)のシートが3枚停止した状態を示す図である。図21(b)の場合、最も搬送方向下流側のシートの先端がセンサ437の下流にあるため、シートS0となる。下流側にある2枚のシートはセンサ502よりも下流側にあり、1枚のシート長が取り出し口471の搬送方向長さよりも短いため、取り出し口471から取り出し可能なシートS1とS2ということになる。同様に図21(c)については、左の2枚が取り出し口471から取り出し可能なシートS1とS2で、最も搬送方向上流側のシートの後端はセンサ502よりも上流側にあるので上流側ジャム解除エリアJ1から取り出されるシートS3ということになる。
【0157】
図21(d)~(f)は、シート停止領域に例えばシート長488mmのシートが2枚停止した状態を示す図である。図21(d)の場合、左側のシートが下流側ジャム解除エリアJ2から取り出されるシートS0、右側のシートが取り出し口471から取り出されるシートS1となる(シートS1のシート長は取り出し口471の搬送方向長さよりも短い)。図21(e)の場合、左側のシートは取り出し口から取り出されるシートS1で、右側のシートは上流側ジャム解除エリアJ1から取り出されるシートS3となる。図21(f)は左側のシートが下流側ジャム解除エリアJ2から取り出されるシートS0で、右側のシートは上流側ジャム解除エリアJ1から取り出されるシートS3となる。
【0158】
図21(g)はシート停止領域に、シート長が取り出し口471の搬送方向長さよりも長いシート(シート長762mm)がセンサ502とセンサ437との間に収まっている状態を示す図である。この場合、このシートは取り出し口471から取り出すことはできないので、下流側へ搬送して下流側ジャム解除エリアJ2から取り出される。よって、このシートはS0となる。なお、シート長が取り出し口471の搬送方向長さよりも長い場合、シート後端がセンサ502よりも上流側にあれば上流側ジャム解除エリアJ1から取り除かれるので、シートS3ということになる。つまり、シート長が取り出し口471の搬送方向長さよりも長いシートの場合は、シート後端がセンサ502を通過しているかしていないかでS0かS3に分けられる。
【0159】
図21(h)はシート停止領域に、シート長がセンサ502とセンサ437との間の距離よりも長く(シート長1300mm)、上流側ジャム解除エリアJ1と下流側ジャム解除エリアJ2に跨って停止している状態を示す図である。本実施形態では上流側ジャム解除エリアJ1と下流側ジャム解除エリアJ2とに跨ったシートは、上流側ジャム解除エリアJ1から取り除くことを優先しているため、このシートはS3ということになる。
【0160】
上述した通り、ジャムが発生した際のシート停止位置とシート長とによってどこから取り出されるかが異なってくる。本実施形態においては、ジャムが発生してシート停止領域に停止したシートを取り出す際、ユーザはまずシートS3を上流側ジャム解除エリアJ1から取り出し、その後シートS0を下流側ジャム解除エリアJ2から取り出す。そして、シートS1及びS2(存在していたら)を取り出し口471から取り出す。
【0161】
本実施形態では、シートS1とシートS2とを取り出し口471から取り出す際に、停止したシートS1とS2のシート長によって搬送ベルト12及び各搬送ローラ対の動作を制御しているので以下で説明する。本実施形態では前提としてシートS1、S2とを取り出し口471から取り出す際は、シートS1、S2が搬送ベルト12と球体20のみにニップされた状態となるように各部材を制御する。
【0162】
図21(a)のシート長の場合、シートS1のシート長とシートS2のシート長の合計が取り出し口471の搬送方向長さよりも短いため、シートS1とシートS2とを搬送ローラ対401と搬送ローラ対402との間に収まるように搬送する。この時、制御部203は、センサ435の検知結果によりシートS1の先端が搬送ローラ対402よりも上流側にあると判断した場合(シート先端及び後端の位置は各センサの出力により制御部203が判断している。以下同様。)は、ニップ位置にある搬送ローラ対402の回転駆動を停止した状態で、搬送ベルト12と搬送ローラ対401を駆動してシートS1、S2を搬送方向下流側へ搬送する(図22(a)~図22(b))。これにより、シートS1の先端は搬送ローラ対402に突き当たって停止し、その状態でシートS2の後端がセンサ433を通過するまで搬送ローラ対401で搬送する。シートS2の後端がセンサ433を通過したら搬送ベルト12と搬送ローラ対401の駆動を停止し、必要であれば図22(c)に示すように規制ガイド14BでシートS1、S2を取り出し口471側へ押し出す。
【0163】
一方シートS1の先端が搬送ローラ対402よりも下流側にある場合(図23)は、制御部203は搬送ベルト12の駆動を停止させた状態で搬送ローラ対402を逆転して、シートS1の先端(図の左側端部)がセンサ435を通過するまで上流側へ搬送する(図23(a)~図23(b))。その際にシートS2の後端(図の右側端部)がセンサ433よりも下流側にある場合は、制御部203は搬送ローラ対401の駆動を停止して、シートS2の後端がセンサ433よりも上流側にある場合は、制御部203はシート後端がセンサ433を通過するまで搬送ローラ対401を正転してシートS2を下流側へ搬送する。シートS1、S2が搬送ローラ対401と搬送ローラ対402との間に収まった状態で必要であれば規制ガイド14BでシートS1、S2を取り出し口471側へ押し出す(図23(c))。
【0164】
次に図21(b)(c)の場合について説明する。図21(b)(c)に示すシートS1とシートS2は、1枚のシート長は取り出し口471の搬送方向長さよりも短いが、シートS1のシート長とシートS2のシート長との合計は取り出し口471の搬送方向長さよりも長く、搬送ローラ対401と搬送ローラ対403との間の距離よりも短い。よって、シートS1の先端がセンサ435の上流側に、シートS2の後端がセンサ433の下流側に位置づけられるように制御部203は搬送ローラ対402と搬送ローラ対401を駆動する。この場合、シートS1とシートS2とが重なった状態となる(図24(a)~図24(b))。この状態で必要であれば規制ガイド14BでシートS1、S2を取り出し口471側へ押し出すことでシートS1、S2を取り出すことができる(図24(c))。
【0165】
しかし、上述したようにシートS1とシートS2とを重ねるように搬送した際に、例えば厚紙だとシートS1の後端とシートS2の先端とが衝突してしまい、2枚が重なることができない場合がある。よって、シートが所定の厚さよりも厚い場合は、制御部203は、搬送ローラ対402を離間してニップ解除位置に移動させる。その状態でシートS1の先端がセンサ436の上流側に、シートS2の後端がセンサ433の下流側に位置づけられるようにシートS1、S2を搬送する。
【0166】
図25に示すように、シートS1の先端がセンサ436の上流側にある場合は、制御部203は搬送ローラ対403の駆動を停止して搬送ローラ対402をニップ解除位置に移動した状態で、搬送ローラ対401と搬送ベルト12とを正転してシートS2の後端がセンサ433を抜けるまでシートS2を下流側へ搬送する(搬送ローラ対403が停止しているため、シートS1の先端は搬送ローラ対403に突き当てられて停止する。)(図25(a)~図25(b))。これにより、シートS1とシートS2とは重なることなく搬送ローラ対401と搬送ローラ対403との間に位置づけられる。このとき搬送ローラ対402はニップ解除位置に移動しているため、シートS1、S2は搬送ベルト12と球体20のみにニップされた状態となり、必要であれば規制ガイド14Bで取り出し口471側に押し出すことができる(図25(c))。
【0167】
また図26に示すように、シートS1の先端がセンサ436の下流側にある場合は、制御部203は搬送ローラ対402をニップ解除位置に移動した状態で搬送ローラ対403を逆転させて、シートS1の先端がセンサ436の上流側に位置づけられるまで搬送する(図26(a)~図26(b))。なお、シートS1の先端がセンサ436の下流でシートS2の後端がセンサ433の上流側にある場合は、制御部203は搬送ローラ対402をニップ解除位置に移動した状態で搬送ローラ403を逆転させ、搬送ローラ401を正転させる(不図示)。
【0168】
なお、このシート長のシートについてはシートの厚さにかかわらず搬送ローラ対402をニップ解除位置に移動して2枚のシートを搬送ローラ対401と搬送ローラ対403との間に収まるようにしてもよい。
【0169】
なお、図21(b)の状態からシートS1、S2を取り出せる状態に搬送する際は、上述した通り制御部203は搬送ローラ対402をニップ解除位置に移動して搬送ローラ対403の駆動を停止した状態で搬送ベルト12と搬送ローラ対401を正転してシートS1とシートS2を下流側へ搬送する。そうすることでシートS1の先端は搬送ローラ対403に突き当てられて搬送を停止し、シートS2の後端がセンサ433を通過した時点で搬送ベルト12と搬送ローラ対401の駆動を停止する。
【0170】
そうすると、シート長によっては図25(b)(c)または図26(b)(c)の状態でシートS1、S2を取り出し口471から取り出すことになる。これでも取り出すことはできるが、シートS1は取り出し口471の開口よりも下流側に搬送されてしまうため、若干取り出しにくくなる可能性がある。よって、まずシートS1の後端とシートS2の先端との間の距離を縮めてからシートS1、S2をまとめて下流側へ搬送することによりシートS1をより取り出しやすい位置に止めることができる。
【0171】
具体的には以下の二つのやり方が考えられる。一つ目は、図21(b)の状態でシートS1が搬送ローラ対402にニップされているため、制御部203は搬送ローラ対402をニップ位置のまま駆動を止めた状態で搬送ローラ対401と搬送ベルト12を駆動してシートS2を下流側へ搬送する。シートS2の先端がシートS1の後端に近づいたら搬送ローラ対402をニップ解除位置に移動する(もしくは正転させてシートS1を下流側へ搬送する)。その状態でシートS2の後端がセンサ433を通過したらシートS1、S2の搬送を停止する(図27(a)~図27(c))。
【0172】
二つ目は、図(b)の状態でシートS2が搬送ローラ対401にニップされているため、搬送ローラ対401の駆動を停止した状態で搬送ベルト12及び搬送ローラ対402を逆転してシートS1を上流側へ搬送する(この時点で搬送ローラ対402はニップ解除位置に移動してもよい)。シートS1の後端がシートS2の先端に近づいたら、搬送ベルト12と搬送ローラ対401、402を正転駆動してシートS1、S2を下流側へ搬送する。シートS2の後端がセンサ433を通過したらシートS1、S2の搬送を停止して搬送ローラ対402をニップ解除位置に移動する(図28(a)~図28(c))。
【0173】
これらの動作により、シートS1の先端が搬送ローラ対403に突き当たるまでは搬送されないので、取り出しやすい位置で止めることができる。
【0174】
次に図21(d)(e)について説明する。図21(d)(e)に示すシートS1のシート長は取り出し口471の搬送方向長さよりも短い。よって、制御部203は搬送ローラ対402がニップ位置の状態でシートS1を搬送ローラ対401と搬送ローラ対403との間の領域に位置づける(シートS1の先端がセンサ435の上流側に、後端がセンサ433の下流側に位置づけられた状態)ようにシートS1を搬送する。つまり、停止したシートS1の先端がセンサ435の下流側にある場合は搬送ローラ対402を逆転させてシートS1を上流側へ搬送し、シートS1の先端がセンサ435の上流側に位置づけられるまで搬送する。逆に停止したシートS1の後端がセンサ433の上流側にある場合は搬送ローラ対402がニップ位置の状態で搬送ローラ対401を正転させてシートS1の後端がセンサ433を抜けるまで搬送する。これによりシートS1は搬送ベルト12と球体20のみにニップされた状態となる(図29)。
【0175】
以上、シート停止領域に停止したシートS1とシートS2とを取り出し口471から取り出す際の各部材の動作を説明したが、搬送ローラ対402、403、204及び搬送ベルト12が逆転駆動できない(シートを搬送ローラ対401側へ搬送する方向への駆動ができず、搬送方向のみの駆動)態様の装置である場合は、制御部203はシートS1を搬送せずにシートS2のみをシートS2の後端がセンサ433を通過するまで搬送する。
【0176】
図21(a)のシート長で、シートS1の先端がセンサ435とセンサ436との間にある場合、制御部203は搬送ローラ対402がニップ位置の状態で駆動を停止し、搬送ローラ対401と搬送ベルト12とを正転駆動してシートS2の後端がセンサ433を通過するまでシートS2を下流側へ搬送する。その後、搬送ローラ対402をニップ解除位置に移動する。これによりシートS1、S2は搬送ベルト12と球体20のみにニップされた状態となる。また、シートS1の先端がセンサ436の下流にある場合は、搬送ローラ対402をニップ解除位置に移動した状態でシートS2のみを下流側へ搬送して停止し、その後ユーザがジャムダイヤル(不図示)を回して手動で搬送ローラ403を逆転してシートS1を上流側へ移動させて取り出し口471からシートS1とシートS2を取り出す。
【0177】
次に図21(b)(c)のシート長の場合も同様で、制御部203は、シートS1の搬送は行わずにシートS2の後端がセンサ433を通過するまで下流側へ搬送し、搬送ローラ対402をニップ解除位置に移動して停止する。その状態でユーザはジャムダイヤルを回して手動で搬送ローラ対403を逆転してシートS1を上流側へ移動させる。これによりシートS1とシートS2とは搬送ベルト12と球体20のみにニップされた状態となるので取り出し口471から取り出すことができる。なお、シートS1、S2が搬送ベルト12と球体20のみにニップされた状態でユーザがオペパネ等で指示を出すことにより規制ガイド14Bを取り出し口471側へ移動させてシートS1、S2を押し出すようにしてもよい。
【0178】
図21(e)のシート長の場合は、シートS2がないので、制御部203は搬送ベルト12や各搬送ローラ対の駆動を停止して搬送ローラ対402をニップ解除位置に移動した状態で動作を停止する。この状態でユーザはジャムダイヤルを用いてシートS1を上流側へ移動させてシートを取り出し口471から取り出す(規制ガイド14Bの押し出し動作については上記と同様)。
【0179】
上述した通り、シート停止領域に停止したシートを取り出す際にシート長とシートの停止位置によって各部材の動作を変更する態様を示したが、最終的にシートS1とシートS2(存在すれば)とが搬送ベルト12と球体20のみにニップされた状態になればよい。また、取り出し口471の搬送方向長さが本実施形態よりも長い場合は、それに合わせて各部材の動作は適宜変更可能である。また、本実施形態では搬送ローラ対402をニップ解除位置に移動させる構成を示したが、搬送ローラ対401を搬送ローラ対402と同様にニップ位置とニップ解除位置とに移動可能に構成してもよい。その場合、シートS1とシートS2のシート長の合計が搬送ローラ対401と搬送ローラ対402との間の距離よりも長く搬送ローラ対503と搬送ローラ対402との間の距離よりも短い場合は、シートS1の先端がセンサ435よりも上流側に、シートS2の後端がセンサ504の下流側になるようにシートS1とS2を位置づけ、その状態で搬送ローラ対401をニップ解除位置に位置づける。
【0180】
また、搬送ローラ対401と搬送ローラ対402を両方ともニップ解除位置に移動可能な構成としてもよく、その場合はシートS1の先端をセンサ436の上流側に、シートS2の後端をセンサ504の下流側になるようにシートS1とS2を位置づけ、その状態で搬送ローラ対401と搬送ローラ対402をニップ解除位置に位置づける。これにより取り出し口471からより容易にシートを取り出すことができる。
【0181】
また、本実施形態では取り出し口471から取り出し可能なシートをシートS1とシートS2の2枚である態様を示したが、2枚に限定する必要はなく、取り出し口471の搬送方向長さが長い場合はより多くのシートを取り出し口471から取り出すことができる。その際は取り出し口471から取り出し可能な複数枚のシートのシート長の合計と各搬送ローラ対の間の距離とによって適宜シートを搬送して搬送ローラ対をニップ解除位置に移動させることも当然本発明に含まれる。
【0182】
<他の実施形態>
上述の実施形態では、中継搬送装置400を制御する制御部203を多段給送装置200に設けたが、これらの制御を画像形成装置100の制御部140により行うようにしても良い。また、中継搬送装置400に中継搬送装置400の各部を制御する制御部を設けても良い。更に、シート搬送装置は、上述の中継搬送装置に関らず、シートの位置ずれを行えるシート搬送装置であれば、他の構成であっても良い。
【符号の説明】
【0183】
12・・・搬送ベルト/12A・・・搬送面/14A・・・規制ガイド(第1の規制ガイド、他の規制ガイド)/14B・・・規制ガイド(第2の規制ガイド)/15A・・・ガイド面/16A、16B・・・支持面/17A、17B・・・対向面/20・・・球体/31・・・接離機構(ローラ移動手段)/100・・・画像形成装置/200・・・多段給送装置/203・・・制御部/400・・・中継搬送装置(シート搬送装置)/401・・・搬送ローラ対(搬送部材、1対の搬送ローラ、1対の上流側搬送ローラ)/402・・・搬送ローラ対(1対の搬送ローラ、1対の下流側搬送ローラ)/403・・・搬送ローラ対(1対の搬送ローラ、1対の第2搬送ローラ)/420・・・ガイド移動部(ガイド移動手段)/420A・・・第1移動部/420B・・・第2移動部/450・・・対向部材/471・・・取り出し口/M2、M3・・・モータ(駆動源)/SE1・・・第1シート端縁/SE2・・・第2シート端縁
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