(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039619
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】フレキシブルコンテナ
(51)【国際特許分類】
B65D 88/22 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
B65D88/22 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144743
(22)【出願日】2020-08-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-03-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 試験日:別紙の記載のとおり 試験場所:別紙の記載のとおり
(71)【出願人】
【識別番号】000201641
【氏名又は名称】全国農業協同組合連合会
(71)【出願人】
【識別番号】597135024
【氏名又は名称】全農物流株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591053579
【氏名又は名称】日本紙パルプ商事株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504117578
【氏名又は名称】チャイナパックジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】小泉 努
【テーマコード(参考)】
3E070
3E170
【Fターム(参考)】
3E070AA31
3E070AB11
3E070AB13
3E070AB14
3E070DA11
3E070QA08
3E070SA09
3E070VA21
3E070WK01
3E070WK02
3E070WK03
3E070WK04
3E170AA29
3E170AB11
3E170AB13
3E170AB14
3E170DA11
3E170QA07
3E170SA08
3E170VA16
3E170WG01
3E170WG02
3E170WG03
3E170WG04
(57)【要約】
【課題】強度が改善されたコンテナ本体が破袋し難いフレキシブルコンテナを提供する。
【解決手段】フレキシブルコンテナ1は、胴部11を含むコンテナ本体10と、胴部における複数の箇所に縫着された複数の補強布20と、複数の補強布の各々と共に、胴部と共に縫着された少なくとも二本の吊りベルト30と、を備える。吊りベルトは、中央部をループ状に折り曲げられ、両端部が中央部よりも下側に位置するように補強布に縫着される。二本の吊りベルトにおいて、両端部のうちの一方である第1端部31はいずれも補強布における中央の部分に、両端部のうちの他方である第2端部32は、それぞれ補強布における一方側及び他方側の外寄りの部分に、それぞれ縫着される。第1端部は、第2端部よりも上下方向の上方に位置する。補強布の下側の端縁20E3は、胴部に縫着されていない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向、周方向及び厚さ方向を有するフレキシブルコンテナであって、
胴部を含むコンテナ本体と、
前記胴部における前記周方向の複数の箇所に、所定の間隔で、前記厚さ方向の外側から縫着された複数の補強布と、
前記複数の補強布の各々と共に、前記厚さ方向の外側から、前記胴部と共に縫着された少なくとも二本の吊りベルトと、
を備え、
前記二本の吊りベルトの各々は、中央部をループ状に折り曲げられ、両端部が前記中央部よりも前記上下方向の下方に位置するように前記補強布に縫着され、
前記二本の吊りベルトにおいて、前記両端部のうちの一方である第1端部はいずれも前記補強布における前記周方向の中央の部分に、前記両端部のうちの他方である第2端部は、それぞれ前記補強布における前記周方向の一方側及び他方側の外寄りの部分に、それぞれ縫着され、
前記第1端部は、前記第2端部よりも前記上下方向の上方に位置し、
前記補強布の前記上下方向の下方の端縁は、前記胴部に縫着されていない、
フレキシブルコンテナ。
【請求項2】
前記二本の吊りベルトの一方における前記第1端部と、前記二本の吊りベルトの他方における前記第1端部とは、前記厚さ方向に積層されている、
請求項1に記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項3】
前記補強布は、前記補強布における前記周方向の両側の端縁を、前記上下方向に沿って前記胴部に縫着されており、
前記二本の吊りベルトにおける前記第2端部の前記上下方向の下方の端縁は、前記補強布における前記上下方向の下方の端縁に対して、前記上下方向の上方に離間している、
請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項4】
前記胴部は、略直方体の形状を有し、
前記直方体の矩形状の四つの側面の各々において、
前記二本の吊りベルトの各々における前記第1端部は、前記周方向の中央に位置し、
前記二本の吊りベルトの各々における前記第2端部は、当該第1端部における前記上下方向の下方の端縁のうちの前記周方向の中心と、前記側面における前記上下方向の下方の角のうちの当該第2端部側の角と、を結ぶ仮想的な傾斜線を含んだ、所定幅の傾斜領域内に位置する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項5】
前記傾斜線が前記側面における前記上下方向の下方の端縁と成す角は、45°±20°である、
請求項4に記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項6】
前記二本の吊りベルトの一方に関する前記傾斜線と前記二本の吊りベルトの他方に関する前記傾斜線とが前記上下方向の下方に成す角は、90°±40°である、
請求項4又は5に記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項7】
前記胴部は、織物で形成されており、
前記胴部は、前記胴部における前記上下方向の一方の端縁から他方の端縁まで延び、前記補強布と重なる領域であって、前記上下方向に延びる構成繊維が他の領域よりも多く織り込まれた増織り領域を含む、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のフレキシブルコンテナ。
【請求項8】
前記胴部を囲むように前記胴部に縫着された胴巻きベルトを更に備え、
前記胴巻きベルトは、前記胴部に縫着されるとき、前記上下方向に沿った縫製はされていない、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のフレキシブルコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
穀物のような粉粒体の充填、輸送、保管に使用されるフレキシブルコンテナが知られている。例えば、特許文献1(特開2014-159305号公報)にフレコンバッグが開示されている。このフレコンバッグは、バッグ本体と、投入部と、補強布枠と、4本の吊りベルトと、を備えている。補強布枠は、バック本体の底部の下面に縫着される。4本の吊りベルトの下端部は、補強布枠の対応する隅部に巻き掛け状態で連結され、底部の外周部分のうち、補強布枠の対応する隅部の付近に縫着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、フレキシブルコンテナを安全に使用(充填、保管、輸送など)する観点から、フレキシブルコンテナの更なる強度の向上が望まれている。例えば、JIS Z 1651:非危険物用フレキシブルコンテナのコンテナの製品性能試験により、所定の基準を満足することが求められている。強度が更に向上すれば、吊りベルトでコンテナ本体を吊り上げようとしたとき、粉粒体の荷重でコンテナ本体が破袋する可能性を著しく低減でき、例えば、コンテナ本体における吊りベルトの下端の下側部分において、コンテナ本体が裂ける可能性を著しく低減できる。
【0005】
特許文献1の技術でも、コンテナ本体での粉粒体の偏り(偏荷重)による吊りベルトとバック本体との縫着部の破断を抑制できるかもしれないが、フレキシブルコンテナの強度の向上としては十分とは言えない。
【0006】
本発明の目的は、強度が改善され、コンテナ本体が破袋し難いフレキシブルコンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフレキシブルコンテナは次のとおりである。(1)上下方向、周方向及び厚さ方向を有するフレキシブルコンテナであって、胴部を含むコンテナ本体と、前記胴部における前記周方向の複数の箇所に、所定の間隔で、前記厚さ方向の外側から縫着された複数の補強布と、前記複数の補強布の各々と共に、前記厚さ方向の外側から、前記胴部と共に縫着された少なくとも二本の吊りベルトと、を備え、前記二本の吊りベルトの各々は、中央部をループ状に折り曲げられ、両端部が前記中央部よりも前記上下方向の下方に位置するように前記補強布に縫着され、前記二本の吊りベルトにおいて、前記両端部のうちの一方である第1端部はいずれも前記補強布における前記周方向の中央の部分に、前記両端部のうちの他方である第2端部は、それぞれ前記補強布における前記周方向の一方側及び他方側の外寄りの部分に、それぞれ縫着され、前記第1端部は、前記第2端部よりも前記上下方向の上方に位置し、前記補強布の前記上下方向の下方の端縁は、前記胴部に縫着されていない、フレキシブルコンテナ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、強度が改善され、コンテナ本体が破袋し難いフレキシブルコンテナを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るフレキシブルコンテナの構成例を示す正面図である。
【
図2】実施形態に係るフレキシブルコンテナの構成例を示す平面図である。
【
図3】実施形態に係るフレキシブルコンテナの構成例を示す底面図である。
【
図4】実施形態に係るフレキシブルコンテナの吊りベルトの構成例を示す正面図である。
【
図5】実施形態に係るフレキシブルコンテナの吊りベルトと補強布との結合を説明する図である。
【
図6】実施形態に係るフレキシブルコンテナの吊りベルトの位置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態は、以下の態様に関する。
[態様1]
上下方向、周方向及び厚さ方向を有するフレキシブルコンテナであって、胴部を含むコンテナ本体と、前記胴部における前記周方向の複数の箇所に、所定の間隔で、前記厚さ方向の外側から縫着された複数の補強布と、前記複数の補強布の各々と共に、前記厚さ方向の外側から、前記胴部と共に縫着された少なくとも二本の吊りベルトと、を備え、前記二本の吊りベルトの各々は、中央部をループ状に折り曲げられ、両端部が前記中央部よりも前記上下方向の下方に位置するように前記補強布に縫着され、前記二本の吊りベルトにおいて、前記両端部のうちの一方である第1端部はいずれも前記補強布における前記周方向の中央の部分に、前記両端部のうちの他方である第2端部は、それぞれ前記補強布における前記周方向の一方側及び他方側の外寄りの部分に、それぞれ縫着され、前記第1端部は、前記第2端部よりも前記上下方向の上方に位置し、前記補強布の前記上下方向の下方の端縁は、前記胴部に縫着されていない、フレキシブルコンテナ。
【0011】
コンテナ本体が上下方向の上方へ持ち上げられるとき、コンテナ本体では、吊りベルトの端部が縫着された縫着部分には上方に向かう力が加わり、その縫着部分の下方の下方部分には、コンテナ本体の内容物による下方に向かう荷重が加わる。ここで、フレキシブルコンテナの強度が十分でないと、その下方部分、特に、縫着部分との境界の部分が荷重に耐えきれずに裂けてしまい、そこからコンテナ本体全体に裂け目が拡がってしまうおそれがある。
ここで、発明者の検討により、以下の知見が得られた。コンテナ本体を持ち上げると、コンテナ本体の胴部では、下方部分、特に、縫着部分との境界の部分のうちの周方向の中央の部分が主に荷重を支えている。それと共に、コンテナ本体の胴部では、その中央の部分から両側の斜め下方へ向かう部分でも荷重を強く支えている。すなわち、その中央の部分から幅方向の両外側(縫着部分よりも外側も含む)かつ上下方向の下方へ向かう部分でも荷重を強く支えている。
そこで、本フレキシブルコンテナでは、二本の吊りベルトにおける第1端部は、補強布における周方向の中央の部分に縫着され、第2端部は、補強布における周方向の一方側及び他方側の外寄りの部分に縫着され、かつ、中央の第1端部は両外寄りの第2端部よりも上側に位置している。
それにより、二本の吊りベルトの各々では、第2端部が、第1端部に対して、上下方向の下方かつ周方向の外側に、すなわち斜め下側に位置している。言い換えると、中央の部分に位置する第1端部に対し、第2端部は、中央の部分の斜め下方へ向かう部分に位置している。したがって、第2端部は、コンテナ本体の胴部における荷重を強く支えている部分に縫着されている。
したがって、第2端部を介して吊りベルトで、第1端部の斜め下側に位置する荷重を強く支えている部分を吊り上げることで、第1端部の下方部分での荷重の負担を低減することができる。それにより、第1端部の下方部分で起こり易いコンテナ本体の破袋を抑制できる。すなわち、フレキシブルコンテナの強度を実質的に向上させることができる。
よって、コンテナ本体を破袋し難くすることができ、フレキシブルコンテナを安全に使用(充填、保管、輸送など)することができる。
【0012】
[態様2]
前記二本の吊りベルトの一方における前記第1端部と、前記二本の吊りベルトの他方における前記第1端部とは、前記厚さ方向に積層されている、態様1に記載のフレキシブルコンテナ。
本フレキシブルコンテナでは、二本の吊りベルトの一方における第1端部と、二本の吊りベルトの他方における第1端部とが、厚さ方向に積層されている。すなわち、二本の吊りベルトにおける第1端部の補強布及び胴部への縫着が、第1端部一つ分に削減されている。そのため、縫着により生じ得る補強布及び胴部の強度の低下を抑制できる。それにより、コンテナ本体の破袋をより抑制できる。
【0013】
[態様3]
前記補強布は、前記補強布における前記周方向の両側の端縁を、前記上下方向に沿って前記胴部に縫着されており、前記二本の吊りベルトにおける前記第2端部の前記上下方向の下方の端縁は、前記補強布における前記上下方向の下方の端縁に対して、前記上下方向の上方に離間している、態様1又は2に記載のフレキシブルコンテナ。
本フレキシブルコンテナでは、補強布の周方向の両側の端縁が上下方向に沿って胴部に縫着され、補強布の上下方向の下方の端縁が、二本の吊りベルトの第2端部における上下方向の下方の端縁と離間している。それにより、補強布における周方向の両側の端縁の縫着された部分のうち、上下方向の下方に位置する部分は、二本の吊りベルトにおける第1端部に対して、上下方向の下方かつ周方向の外側に、すなわち斜め下側に位置している。言い換えると、中央の部分に位置する第1端部に対し、補強布の端縁の下方に位置する縫着された部分は、中央の部分の斜め下方へ向かう部分に位置している。したがって、補強布の端縁の下方に位置する縫着された部分は、第2端部と同様に、コンテナ本体の胴部における荷重を強く支えている部分に縫着されている。そのため、補強布の端縁の下方に位置する縫着された部分で、第1端部の斜め下方に位置する荷重を強く支えている部分を支持することで、第1端部の下方部分での荷重の負担をより低減することができる。それにより、コンテナ本体の破袋をより抑制できる。
【0014】
[態様4]
前記胴部は、略直方体の形状を有し、前記直方体の矩形状の四つの側面の各々において、前記二本の吊りベルトの各々における前記第1端部は、前記周方向の中央に位置し、前記二本の吊りベルトの各々における前記第2端部は、当該第1端部における前記上下方向の下方の端縁のうちの前記周方向の中心と、前記側面における前記上下方向の下方の角のうちの当該第2端部側の角と、を結ぶ仮想的な傾斜線を含んだ、所定幅の傾斜領域内に位置する、態様1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルコンテナ。
本フレキシブルコンテナでは、第2端部は、第1端部における上下方向の下方の端縁のうちの周方向の中心と、側面における上下方向の下方の角のうちの当該第2端部側の角と、を結ぶ仮想的な傾斜線を含んでいる所定幅の傾斜領域内に位置している。この仮想的な傾斜線を含む所定幅の傾斜領域は、コンテナ本体の胴部における荷重を強く支える、中央の部分から両側の斜め下方へ向かう部分に概ね対応すると考えらえる。したがって、第2端部を、傾斜領域に縫着する、すなわち、コンテナ本体の胴部における荷重を強く支えている部分に縫着することで、第2端部を介して吊りベルトで、傾斜領域の負担をより低減することができる。それにより、コンテナ本体の破袋をより抑制できる。
【0015】
[態様5]
前記傾斜線が前記側面における前記上下方向の下方の端縁と成す角は、45°±20°である、態様4に記載のフレキシブルコンテナ。
本フレキシブルコンテナでは、傾斜線が、側面における上下方向の下方の端縁と成す角は45°±20°である。そのため、傾斜線を含む傾斜領域は、コンテナ本体の胴部の荷重を強く支える、中央の部分から両側の斜め下方へ向かう部分に、より対応すると考えられる。それゆえ、第2端部を介して吊りベルトで、傾斜領域の負担をより低減することができ、よって、コンテナ本体の破袋をより抑制できる。
【0016】
[態様6]
前記二本の吊りベルトの一方に関する前記傾斜線と前記二本の吊りベルトの他方に関する前記傾斜線とが前記上下方向の下方に成す角は、90°±40°である、態様4又は5に記載のフレキシブルコンテナ。
本フレキシブルコンテナでは、二本の吊りベルトの一方に関する傾斜線と他方に関する傾斜線とが上下方向の下方に成す角は90°±40°である。そのため、傾斜線を含む傾斜領域は、コンテナ本体の胴部の荷重を強く支える、中央の部分から両側の斜め下方へ向かう部分に、より対応すると考えられる。それゆえ、第2端部を介して吊りベルトにより、傾斜領域の負担をより低減することができ、よって、コンテナ本体の破袋をより抑制できる。
【0017】
[態様7]
前記胴部は、織物で形成されており、
前記胴部は、前記胴部における前記上下方向の一方の端縁から他方の端縁まで延び、前記補強布と重なる領域であって、前記上下方向に延びる構成繊維が他の領域よりも多く織り込まれた増織り領域を含む、態様1乃至6のいずれか一項に記載のフレキシブルコンテナ。
本フレキシブルコンテナでは、胴部は、胴部における上下方向の一方の端縁から他方の端縁まで延び、補強布と重なる領域に、増織り領域を含んでいる。そのため、胴部において、二本の吊りベルトの第1端部及び第2端部に縫着される部分や、荷重が掛かる両端部の下側部分の強度を高めることができ、それらの部分の耐荷重を高めることができる。したがって、コンテナ本体が複数の吊りベルトで持ち上げられるとき、コンテナ本体の内容物の荷重でコンテナ本体が破袋することを抑制できる。
【0018】
[態様8]
前記胴部を囲むように前記胴部に縫着された胴巻きベルトを更に備え、前記胴巻きベルトは、前記胴部に縫着されるとき、前記上下方向に沿った縫製はされていない、態様1乃至7のいずれか一項に記載のフレキシブルコンテナ。
本フレキシブルコンテナでは、胴部に縫着された胴巻きベルトを更に備えており、胴巻きベルトは、胴部に縫着されるとき、上下方向に沿った縫製はされていない。すなわち、胴巻きベルトは、胴部に縫着されるとき、周方向に沿った縫製がされている。それにより、胴部に上下方向に沿った縫目が無いので、上下方向の力(圧縮、引張)が加わっても、胴部を上下方向に裂け難くすることができる。よって、コンテナ本体を破袋し難くすることができ、フレキシブルコンテナを安全に使用(充填、保管、輸送など)することができる。
【0019】
以下、本発明に係るフレキシブルコンテナの実施形態について説明する。
【0020】
本実施形態では、穀物のような農産物の粉粒体の充填、輸送、保管などに使用されるフレキシブルコンテナの一例を説明する。ただし、本発明は、その例に限定されるものではなく、土木・建築の分野における粉粒体の充填、輸送、保管などに使用されるフレキシブルコンテナに対しても適用可能である。
【0021】
図1~
図3は実施形態に係るフレキシブルコンテナ1の構成例を示す図である。
図1はフレキシブルコンテナ1を展開した状態を示す正面図であり、
図2は平面図であり、
図3は底面図である。フレキシブルコンテナ1は、互いに直交する上下方向U、周方向V及び厚さ方向Tを有する。ただし、周方向Vは、後述のコンテナ本体10における胴部11の側面11Sを、底面11Bに平行に、側面11Sに沿って周回する方向である。厚さ方向Tは、後述の側面11Sの厚さの方向である。
図1に描かれたフレキシブルコンテナ1でいえば、図の上方(上側)及び下方(下側)をそれぞれ上下方向Uの上方(上側)及び下方(下側)とする。図の左方(左側)及び右方(右側)をそれぞれ周方向Vの左方(左側)及び右方(右側)とする。そして、図の紙面に対して手前方向(前側)及び奥行方向(奥側)をそれぞれ厚さ方向Tの内方(内側)及び外方(外側)とする。これらの定義は、フレキシブルコンテナ1に取り付けられた状態の各資材にも共通に用いられる。
【0022】
フレキシブルコンテナ1は、コンテナ本体10と、複数の補強布20と、一枚の補強布20につき少なくとも二本の吊りベルト30と、を備えており、本実施形態では、更に、コンテナ本体10を補強する胴巻きベルト40と、吊りベルト30を吊るための吊りロープ50とを備えている。
【0023】
コンテナ本体10は、穀物のような粉粒体を収納する容器であり、胴部11と投入部12と排出部13とを備えている。
【0024】
胴部11は、穀物のような粉粒体を収納する部分であり、本実施形態では、4つの側面11Sと頂面11Tと底面11Bとで形成される直方体の形状を有している。ただし、直方体は、角や稜の一部又は全部が丸みを帯びていてもよく、底面11B及び/又は頂面11Tに対して、側面11Sが90°で交わらず、90°±5°で交わってもよい。また、直方体は、粉粒体の収納量が少なく側面11Sが内側に窪んだり、粉粒体を収納して側面11Sが外側に膨らんだりしてもよい。なお、胴部11は、直方体の形状に限定されず、円筒や多角形筒のような他の形状であってもよい。
【0025】
投入部12は、粉粒体を投入する投入口及びその蓋であり、胴部11の頂部に位置する。本実施形態では、投入部12は、胴部11の頂面11Tに位置する。投入部12の構成としては、特に制限はなく、公知の投入部(投入口)の構成を用いることができる。
【0026】
排出部13は、粉粒体を排出する排出口及びその蓋であり、胴部11の底部に位置する。本実施形態では、排出部13は、胴部11の底面11Bに位置する。排出部13の構成としては、特に制限はなく、公知の排出部(排出口)の構成を用いることができる。
【0027】
複数の補強布20は、胴部11における周方向Vの複数の箇所に、所定の間隔で、厚さ方向Tの外側から縫着されている。本実施形態では、4枚の補強布20の各々が、胴部11の4つの側面11Sの各々における周方向Vの中央、かつ、上下方向Uの上方の箇所に縫着されている。補強布20は、胴部11にどのように縫着されてもよいが、補強布20の上下方向Uの下方の端縁は、胴部11に縫着されていない。
【0028】
二本の吊りベルト30は、複数の補強布20の各々に、厚さ方向Tの外側から、胴部11と共に縫着されている。
図4は、実施形態に係るフレキシブルコンテナ1の吊りベルト30の構成例を示す正面図である。吊りベルト30は、帯状の部材34であり、中央部33と、一方の端部である第1端部31と、他方の端部ある第2端部32と、を含んでいる。本実施形態では、中央部33は、補強部材35で補強されている。ここでは、中央部33を全体の長さの50%の部分とし、第1端部31を全体の長さの20%とし、第2端部32を全体の長さの30%とする。ただし、長さの関係はこの例に限定されるものではない。
【0029】
図5は、実施形態に係るフレキシブルコンテナ1の吊りベルト30と補強布20との結合を説明する図である。二本の吊りベルト30の各々は、中央部33をループ状に折り曲げられ、両端部(第1端部31及び第2端部32)が中央部33よりも上下方向Uの下方に位置するように補強布20に縫着されている。二本の吊りベルト30において、第1端部31はいずれも補強布20における周方向Vの中央の部分に、第2端部32は、それぞれ補強布20における周方向Vの一方側及び他方側の外寄りの部分に、それぞれ縫着されている。縫着のパターンとしては、特に制限はないが、本実施形態では、上下方向に延びるダイヤモンド型のパターンと周方向Vに平行な直線パターンとの組み合わせを用いている。なお、補強布20に二本の吊りベルト30に加えて、更に別の吊りベルトが同様に取り付けられていてもよい。
【0030】
第1端部31と第2端部32とは周方向Vに隣り合っている。第1端部31と第2端部32との距離は、特に制限はないが、近過ぎると縫着し難くなる観点及び遠過ぎると強度が下がる観点から、第1端部31及び/又は第2端部32の周方向Vの長さ(幅)の0.01~1倍が好ましく、0.02~0.8倍がより好ましく、0.03~0.6倍が更に好ましい。
【0031】
第1端部31は、第2端部32よりも上下方向Uの上方に位置している。言い換えると、第1端部31における上下方向Uの下方の端縁31Eは、第2端部32における上下方向Uの下方の端縁32Eに対して、上下方向Uの上方に離間している。第1端部31の端縁31Eと第2端部32の端縁32Eとの上下方向Uの距離としては、小さ過ぎても大き過ぎても下記の効果を得られ難くなる観点から、第1端部31の端縁31Eの周方向Vの長さ(幅)の0.3~4倍が好ましく、0.5~2倍がより好ましい。
【0032】
また、前述のように、補強布20は、補強布20の上下方向Uの下方の端縁20E3を、胴部11に縫着されていない。本実施形態では、強度を高める観点から、補強布20は、補強布20における周方向Vの両側の端縁20E2を、上下方向Uに沿って胴部11に縫着部22として縫着されている。同様に、補強布20は、補強布20における上下方向Uの上方の端縁20E1を、周方向Vに沿って胴部11に縫着部21として縫着されている。その結果、胴部11に縫着されていない補強布20の範囲は、両側の端縁20E2を除いて、下側の端縁20E3から、第1端部31の下側の端縁31E及び第2端部32の下側の端縁32Eまでの範囲である。
【0033】
フレキシブルコンテナ1を構成する、コンテナ本体10(胴部11、投入部12、及び排出部13)、複数の補強布20、少なくとも二本の吊りベルト30、胴巻きベルト40、及び吊りロープ50のような部材は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系の合成樹脂製の公知の材料(例示:合成樹脂製の織布、帯材、ロープ材、シート材など)を用いて形成できる。それらの部材は、縫製などの公知の手段により互いに結合される。
【0034】
コンテナ本体が上下方向の上方へ持ち上げられるとき、コンテナ本体では、吊りベルトの端部が縫着された縫着部分には上方に向かう力が加わり、その縫着部分よりも下方の下方部分には、コンテナ本体の内容物による下方に向かう荷重が加わる。ここで、フレキシブルコンテナの強度が十分でないと、その下方部分、特に、縫着部分との境界の部分が荷重に耐えきれずに裂けてしまい、そこからコンテナ本体全体に裂け目が拡がってしまうおそれがある。
【0035】
ここで、発明者の検討により、以下の知見が得られた。コンテナ本体を持ち上げると、コンテナ本体の胴部では、その下方部分、特に、縫着部分との境界の部分のうちの周方向の中央の部分が主に荷重を支えている。それと共に、コンテナ本体の胴部では、その中央の部分から両側の斜め下方へ向かう部分でも荷重を強く支えている。すなわち、その中央の部分から周方向の両外側(縫着部分よりも外側も含む)かつ上下方向の下方へ向かう部分でも荷重を強く支えている。
【0036】
そこで、本実施形態のフレキシブルコンテナ1では、二本の吊りベルト30における第1端部31は、補強布20における周方向Vの中央の部分に縫着され、第2端部32は、補強布20における周方向Vの一方側及び他方側の外寄りの部分に縫着され、かつ、中央の第1端部31は両外寄りの第2端部32よりも上下方向Uの上方に位置している。それにより、二本の吊りベルト30の各々では、第2端部32が、第1端部31に対して、上下方向Uの下方かつ周方向Vの外側に、すなわち斜め下側に位置している。言い換えると、中央の部分に位置する第1端部31に対し、第2端部32は、中央の部分の斜め下方へ向かう部分に位置している。したがって、第2端部32は、コンテナ本体10の胴部11における荷重を強く支えている部分に縫着されている。
【0037】
したがって、第2端部32を介して吊りベルト30で、第1端部31の斜め下側に位置する荷重を強く支えている部分を吊り上げることができ、それにより、第1端部31の下方部分での荷重の負担を低減することができる。すなわち、第1端部31の下方部分で起こり易いコンテナ本体10の破袋を抑制できるので、フレキシブルコンテナ1の強度を実質的に向上させることができる。よって、コンテナ本体10を破袋し難くすることができ、フレキシブルコンテナ1を安全に使用(充填、保管、輸送など)することができる。
【0038】
本実施形態では、好ましい態様として、
図1や
図5に示すように、二本の吊りベルト30の一方における第1端部31と、二本の吊りベルト30の他方における第1端部31とは、厚さ方向Tに積層されている。すなわち、胴部11と補強布20と二本の吊りベルト30の二つの第1端部31とが互いに積層され、互いに縫着されている。
【0039】
ただし、二本の吊りベルト30の二つの第1端部31との重なり具合は、周方向Vに互いに一部分が重なっていてもよいし、互いに全部が重なっていてもよい(本実施形態)。重なりの程度としては、強度の観点から、周方向Vに互いに、周方向Vの長さの20%以上が重なることが好ましく、50%以上が重なることがより好ましく、80%以上が重なることが更に好ましい。同様に、二本の吊りベルト30の二つの第1端部31との重なり具合は、上下方向Uに互いに一部分が重なっていてもよいし、互いに全部が重なっていてもよい(本実施形態)。重なりの程度としては、強度の観点から、上下方向Uに互いに、上下方向Uの長さの50%以上が重なることが好ましく、70%以上が重なることがより好ましく、90%以上が重なることが更に好ましい。
【0040】
この態様では、二本の吊りベルト30における第1端部31の補強布20及び胴部11への縫着が、第1端部31一つ分に削減されている。そのため、縫着(の縫目)により生じ得る補強布20及び胴部11の強度の低下を抑制できる。それにより、コンテナ本体10の破袋をより抑制できる。
【0041】
本実施形態では、好ましい態様として、
図5に示すように、補強布20は、補強布20における周方向Vの両側の端縁20E2を、上下方向Uに沿って胴部11に縫着部22として縫着されている。そして、二本の吊りベルト30における第2端部32の上下方向Uの下方の端縁32Eは、補強布20における上下方向Uの下方の端縁20E3に対して、上下方向Uの上方に離間している。第2端部32の端縁32Eと補強布20の端縁20E3との上下方向Uの距離としては、強度の観点から、第2端部32の端縁32Eの周方向Vの長さ(幅)の0.3~4倍が好ましく、0.5~2倍がより好ましい。
【0042】
この態様では、補強布20における周方向Vの両側の端縁20E2の縫着部22のうち、上下方向Uの下方に位置する部分は、二本の吊りベルト30における第1端部31に対して、上下方向Uの下方かつ周方向Vの外側に、すなわち斜め下側に位置している。言い換えると、補強布20の中央の部分に位置する第1端部31に対し、補強布20の縫着部22は、中央の部分の斜め下方へ向かう部分に位置している。したがって、補強布20の縫着部22は、第2端部32と同様に、コンテナ本体10の胴部11における荷重を強く支えている部分に縫着されている。そのため、補強布20の縫着部22は、中央の部分の斜め下方へ向かう部分に位置している。したがって、補強布20の縫着部22で、第1端部31の斜め下方に位置する荷重を強く支えている部分を支持することができ、それにより、第1端部31の下方部分での荷重の負担をより低減することができる。よって、コンテナ本体10の破袋をより抑制できる。
【0043】
図6は、実施形態に係るフレキシブルコンテナ1の吊りベルト30の位置を説明する図である。本実施形態では、好ましい態様として、
図6に示すように、略直方体の胴部11の四つの側面11Sの各々において、二本の吊りベルト30の各々における第1端部31は、周方向Vの中央に位置している。一方、各側面11Sにおいて、二本の吊りベルト30の各々における第2端部32は、傾斜領域R内に位置している。ただし、傾斜領域Rは、当該第1端部31における上下方向Uの下方の端縁31Eのうちの周方向Vの中心31Pと、側面11Sにおける上下方向Uの下方の角のうちの当該第2端部32側の角10Cと、を結ぶ仮想的な傾斜線K1を含んだ、所定幅を有する領域である。
【0044】
傾斜領域Rは、上下方向Uには、第1端部31の端縁31Eを超えない範囲で、傾斜線K1に沿って延びる略帯状の領域である。傾斜領域Rは、傾斜線K1の上下方向Uの両側に位置し、好ましくは、傾斜線K1の上下方向Uの上側に位置する。所定幅(傾斜線K1に垂直な方向の幅)は、最大で傾斜線K1の長さの1/2であり、好ましくは1/4であり、更に好ましくは1/6である。所定幅は一定である必要はなく、傾斜線K1の位置に対応して変動してもよい。本実施形態では、傾斜領域Rは、傾斜線K1を境界線として、傾斜線K1の上下方向Uの上方に区画される領域であり、第2端部32の周方向Vの内側の端32Qを含んでいる。所定幅は、傾斜線K1と、その領域の他の境界線との距離である。具体的には、傾斜領域Rは、
図6に示すように、傾斜線K1を下辺として、傾斜線K1の上方に区画される台形状の領域であり、所定幅は下辺と、上辺又は台形の脚との距離である。なお、傾斜線の角10Cが丸みを帯びている場合には、隣り合う二つの側面11S及び底面11Bの各々の主要部分(例示:50%以上)を構成する平面同士が交わる点とする。
【0045】
この態様では、所定幅の傾斜領域Rは、コンテナ本体10の胴部11における荷重を強く支える、中央の部分から両側の斜め下方へ向かう部分に概ね対応すると考えらえる。したがって、第2端部32を、傾斜領域Rに縫着する、すなわち、コンテナ本体10の胴部11における荷重を強く支えている部分に縫着することで、第2端部32を介して吊りベルト30で、傾斜領域Rの負担をより低減することができる。それにより、コンテナ本体10の破袋をより抑制できる。
【0046】
本実施形態では、好ましい態様として、
図6に示すように、傾斜線K1が側面11Sにおける上下方向Uの下方の端縁11E2と成す角βは、45°±20°である。なお、側面11Sの端縁11E2が丸みを帯びている場合には、隣り合う側面11S及び底面11Bの主要部分(例示:50%以上)を構成する平面同士が交わる線とする。
【0047】
この態様では、角βが45°±20°の範囲に入るので、傾斜線K1を含む傾斜領域Rが、コンテナ本体10の胴部11の荷重を強く支える、中央の部分から両側の斜め下方へ向かう部分に、より対応すると考えらえる。それゆえ、第2端部32を介して吊りベルト30で、傾斜領域Rの負担をより低減することができ、よって、コンテナ本体10の破袋をより抑制できる。
【0048】
本実施形態では、好ましい態様として、
図6に示すように、二本の吊りベルト30の一方に関する傾斜線K1と二本の吊りベルト30の他方に関する傾斜線K1とが上下方向Uの下方に成す角αは、90°±40°である。
【0049】
この態様では、角αが90°±40°の範囲に入るので、傾斜線K1を含む傾斜領域Rは、コンテナ本体10の胴部11の荷重を強く支える、中央の部分から両側の斜め下方へ向かう部分に、より対応すると考えらえる。それゆえ、第2端部32を介して吊りベルト30で、傾斜領域Rの負担をより低減することができ、よって、コンテナ本体10の破袋をより抑制できる。
【0050】
本実施形態では、好ましい態様として、
図6に示すように、胴部11は、織物で形成されており、増織り領域14を含んでいる。増織り領域14は、胴部11(の側面11S)における上下方向Uの一方の端縁11E1から他方の端縁11E2まで延び、かつ補強布20と重なる領域であり、上下方向Uに延びる構成繊維が他の領域よりも多く織り込まれた領域である。すなわち、胴部11の増織り領域14では、胴部11の他の領域と比較して、上下方向Uに延びる構成繊維である経糸を、周方向Vに延びる構成繊維である緯糸よりも多く織り込んでいる。多くする割合としては、例えば、胴部11の他の領域での経糸の本数に対して、胴部11の増織り領域14での経糸の本数を2倍程度とする。具体的には、例えば、胴部11の他の領域での経糸の繊度を1000~2000Dとしたとき、胴部11の増織り領域14での経糸の繊度を2500~4000Dとする。
【0051】
この態様では、胴部11が増織り領域14を含むため、胴部11において、二本の吊りベルト30の第1端部31及び第2端部32に縫着される部分や、荷重が掛かる両第1端部31及び第2端部32の下側部分の強度を高めることができ、耐荷重を高めることができる。したがって、コンテナ本体10が複数の吊りベルト30で持ち上げられるとき、コンテナ本体10の内容物の荷重でコンテナ本体が破袋することを抑制できる。
【0052】
本実施形態では、好ましい態様として、
図6に示すように、胴部11を囲むように胴巻きベルト40を更に備えている。胴巻きベルト40は、胴部11に縫着されるとき、上下方向Uに沿った縫製はされていない。すなわち、胴巻きベルト40は、胴部11に縫着されるとき、周方向Vに沿った縫製がされている。それにより、胴部11に上下方向Uに沿った縫目が無いので、上下方向Uの力(圧縮、引張)が加わっても、胴部11を上下方向Uに裂け難くすることができる。よって、コンテナ本体10を破袋し難くすることができ、フレキシブルコンテナ1を安全に使用(充填、保管、輸送など)することができる。
【0053】
なお、別の実施形態として、補強布は、前記補強布における前記上下方向の下側かつ前記周方向の一方側の端縁の位置フレキシブルコンテナ1が、各補強布20につき、二本の吊りベルト30に加えて更に吊りベルトを備えてもよい。その場合、更に備える吊りベルトは偶数本が好ましい。例えば、
図6には、二本の吊りベルト30の両側に二本(偶数本)の吊りベルト30aが仮想的に描かれている。この場合、吊りベルトが縫着される領域が広くなるため、それに対応して、上下方向U及び周方向Vに補強布20が拡張された補強布20aが仮想的に描かれている。更に、それに対応して、周方向Vに増織り領域14が拡張された増織り領域14aが仮想的に描かれている。二本の吊りベルト30aの第1端部は、いずれも補強布20aにおける周方向Vの中央の部分に、両第2端部は、それぞれ補強布20aにおける周方向Vの一方側及び他方側の外寄りの部分に、それぞれ縫着され、第1端部は、第2端部よりも上下方向Uの上方に位置する。このとき、吊りベルト30aの第1端部は、吊りベルト30の第1端部31又は第2端部32と積層されて縫着される。吊りベルト30aの第2端部は、吊りベルト30の第2端部32よりも周方向Vの外側かつ上下方向Uの下方の位置であって、傾斜領域R内に縫着される。吊りベルト30aの第2端部が傾斜領域R内に縫着されることで、吊りベルト30aの第2端部を介して吊りベルト30aで、傾斜領域Rの負担をより低減することができる。それにより、コンテナ本体10の破袋をより抑制できる。
【0054】
また、別の実施形態として、補強布20は、補強布20における上下方向Uの下側の端縁20E3の一方側の端と他方側の端とをつなぐように、上下方向Uの上側に凸な曲線状に、補強布20を胴部11に縫着する縫着部(縫目)を含んでもよい。この場合、その縫着部(縫目)は、概ね傾斜領域R内に縫着されるので、その縫着部(縫目)で、傾斜領域Rの負担をより低減することができる。それにより、コンテナ本体10の破袋をより抑制できる。その際、その縫着部(縫目)は、二本の吊りベルト30における第1端部31及び第2端部32の少なくとも一方と重なってもよい。
【0055】
また、別の実施形態として、本実施形態では、各補強布20及び各補強布20につき少なくとも二本の吊りベルト30が、胴部11の厚さ方向Tの外側に取り付けられているが、それらのいずれかが胴部11の厚さ方向Tの内側に取り付けられていてもよい。
【実施例0056】
以下、実施例に基づき、本発明を説明するが、本発明は本実施例に限定されない。本実施例では、フレキシブルコンテナを作製し、その強度を測定した。
【0057】
(1)サンプル
実施例1のサンプルとして、
図1に記載のフレキシブルコンテナ1であるが、二本の吊りベルト30における第2端部32の上下方向Uの下方の端縁32Eが、補強布20における上下方向Uの下方の端縁20E3に対して、上下方向Uの上方に離間していないフレキシブルコンテナを作製した。
実施例2のサンプルとして、
図1に記載のフレキシブルコンテナ1(二本の吊りベルト30における第2端部32の上下方向Uの下方の端縁32Eが、補強布20における上下方向Uの下方の端縁20E3に対して、上下方向Uの上方に離間している)を作製した。
比較例1のサンプルとして、
図1に記載のフレキシブルコンテナを、二本の吊りベルトにおける第1端部の上下方向の下方の端縁の位置が、第2端部の上下方向の下方の端縁の位置と同じになるように変更したフレキシブルコンテナを作製した。
【0058】
(2)評価方法
JIS Z 1651(非危険物用フレキシブルコンテナ)のコンテナの製品性能試験における繰り返し頂部つり上げ試験を行った。具体的には、各サンプルに内容物(穀物)を充填し、吊り具により吊り上げ、負荷(荷重)、除荷及び休止を繰り返し、破袋が生じる最低荷重を、各サンプルの強度とした。
【0059】
(3)評価結果
比較例1の強度は、31.66+9.8kNであった。一方、実施例1の強度は35.74+9.8kNであり、強度が向上することが判明した。実施例2の強度は55.58+9.8kNであり、更に大きく強度が向上することが判明した。
【0060】
本発明のフレキシブルコンテナは、上述した各実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組合せや変更等が可能である。