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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039648
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】作業ロボットの制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220303BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20220303BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
G05D1/02 N
A01B69/00 303M
A01D34/64 M
A01B69/00 303Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144783
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 遥
(72)【発明者】
【氏名】布施 陽一
(72)【発明者】
【氏名】金子 和弘
【テーマコード(参考)】
2B043
2B083
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB20
2B043BA09
2B043BB11
2B043DC03
2B043EB05
2B043EB15
2B043EB17
2B043EB22
2B043EC12
2B043EC14
2B043EC19
2B043EC20
2B043ED12
2B043ED16
2B083AA02
2B083BA12
2B083BA18
2B083DA03
2B083HA17
2B083HA32
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301FF11
5H301FF13
5H301LL03
5H301LL14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】1つの作業領域Waにて、複数の作業ロボットの作業を行わせるに際して、作業速度などの調節を不要にして複数の作業ロボットの干渉や衝突を回避し、作業品質に影響を与えることなく、簡易に作業能率の向上を図る。
【解決手段】作業ロボット1の制御装置は、自律走行する走行経路に沿って作業軌跡を形成する作業ロボットにおいて、作業ロボットが作業を行う仮想の作業区画Wsを設定する設定部を備え、設定部は、第1の作業ロボット1Aが作業を行う第1の作業区画Ws(1)と第2の作業ロボット1Bが作業を行う第2の作業区画Ws(2)を設定するに際して、第1の作業区画の周りに隣接しないように、第2の作業区画を設定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行する走行経路に沿って作業軌跡を形成する作業ロボットの制御装置であって、
前記作業ロボットが作業を行う仮想の作業区画を設定する設定部を備え、
前記設定部は、
第1の作業ロボットが作業を行う第1の作業区画と第2の作業ロボットが作業を行う第2の作業区画を設定するに際して、
前記第1の作業区画の周りに隣接しないように、前記第2の作業区画を設定することを特徴とする作業ロボットの制御装置。
【請求項2】
前記設定部は、
前記第1の作業区画の周りに隣接区画を設定し、前記隣接区画と重ならないように、前記第2の作業区画を設定することを特徴とする請求項1に記載の作業ロボットの制御装置。
【請求項3】
前記設定部は、
予め区分された複数の区画の中から、前記第1の作業区画と前記第2の作業区画と前記隣接区画を設定することを特徴とする請求項2に記載された作業ロボットの制御装置。
【請求項4】
前記設定部は、
前記作業区画における走行経路を設定し、
設定された走行経路によって、前記作業区画における境界線の外側に作業軌跡の外郭線が形成される場合に、前記外郭線を含むように前記隣接区画を設定することを特徴とする請求項2又は3に記載された作業ロボットの制御装置。
【請求項5】
前記第1の作業ロボットと前記第2の作業ロボットの作業中には、第3の作業ロボットの作業は行わないことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載された作業ロボットの制御装置。
【請求項6】
作業を実行するために必要な前記作業区画のマップデータを記憶するデータ記憶部を備え、
前記マップデータは、作業を実行する前記作業区画の作業が完了された後に書き換えられることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載された作業ロボットの制御装置。
【請求項7】
前記マップデータは、基地局から送信されて、前記作業ロボット内の前記データ記憶部に記憶されることを特徴とする請求項6に記載された作業ロボットの制御装置。
【請求項8】
自律走行する走行経路に沿って作業軌跡を形成する作業ロボットの制御方法であって、
前記作業ロボットが作業を行う仮想の作業区画を設定し、
第1の作業ロボットが作業を行う第1の作業区画と第2の作業ロボットが作業を行う第2の作業区画を設定するに際して、
第1の作業区画の周りに隣接区画を設定し、前記隣接区画と重ならないように、前記第2の作業区画を設定することを特徴とする作業ロボットの制御方法。
【請求項9】
前記作業ロボットは、草刈り作業を行うこと特徴とする請求項8に記載された作業ロボットの制御方法。
【請求項10】
前記作業ロボットは、草刈り作業を行うことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載された作業ロボットの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業ロボットの制御装置及び制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業領域内を自律走行しながら走行経路に沿って草刈りなどの作業を行う作業ロボットが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。作業ロボットは、GPSなどの衛星測位システムを活用するか、或いは作業現場に設置された電子タグやワイヤなどの基準位置を検知して、設定された作業領域内にて自律走行を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5973608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した作業ロボットは、無人化することで、夜間作業や長時間作業が可能になるが、作業幅の拡大や作業速度を高めることに限界があるため、単体の作業ロボットでは高い作業能率(単位面積当たりの作業時間)を得ることが難しい。これに対しては、1つの作業領域で複数台の作業ロボットを動作させて、トータルの作業能率を向上させることが検討されている。
【0005】
この際、1つの作業領域内で作業する複数の作業ロボットが干渉し合ったり、衝突してしまったりすると、効果的に作業能率を高めることができなくなる。複数の作業ロボットの干渉や衝突を避けるには、互いに近接した作業ロボットの状態を検知して、一方又は両方の作業ロボットの作業速度を調節又は停止させることが考えられる。しかしながら、作業ロボットの作業速度を調整又は停止させてしまうと、作業能率に悪影響を及ぼすだけでなく、一定の作業速度で高品質の仕上がりを得たい草刈り作業などでは、作業品質の低下を招くという問題が生じる。
【0006】
本発明は、このような事情に対処するために提案されたものである。すなわち、1つの作業領域にて、複数の作業ロボットの作業を行わせるに際して、作業速度などの調節を不要にして複数の作業ロボットの干渉や衝突を回避し、作業品質に影響を与えることなく、簡易に作業能率の向上を図ること、などが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
【0008】
自律走行する走行経路に沿って作業軌跡を形成する作業ロボットの制御装置であって、前記作業ロボットが作業を行う仮想の作業区画を設定する設定部を備え、前記設定部は、第1の作業ロボットが作業を行う第1の作業区画と第2の作業ロボットが作業を行う第2の作業区画を設定するに際して、前記第1の作業区画の周りに隣接しないように、前記第2の作業区画を設定することを特徴とする作業ロボットの制御装置。
【発明の効果】
【0009】
このような特徴を有する本発明によると、1つの作業領域にて、作業ロボットの作業を行わせるに際して、作業速度などの調節を不要にして作業ロボット相互の干渉や衝突を回避し、作業品質に影響を与えることなく、簡易に作業能率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】作業ロボットシステムの説明図。
図2】作業ロボット単体の説明図((a)が側面視の説明図、(b)が平面視の説明図)。
図3】作業ロボットシステムの構成を示す説明図。
図4】制御装置の機能を説明する説明図。
図5】作業区画の設定例を示した説明図((a)が作業区画単位での隣接区画設定例を示し、(b)が作業区画の周囲に隣接区画を設定した例を示す。)。
図6】作業モードの説明図((a)がラインストライプ状軌跡、(b)が旋回ストライプ状軌跡、(c)がランダム軌跡)。
図7】作業区画の他の設定例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0012】
図1に示すように、作業ロボットシステム1Sは、複数の作業ロボット1(1A,1B,1C)とこの作業ロボット1(1A,1B,1C)を管理する管理設備によって構成されている。管理設備としては、サーバー101、ユーザーが所持する携帯情報端末102、充電基地103などがあり、各設備は、ネットワークNTを介して作業ロボット1(1A,1B,1C)との信号送受信が可能になっている。また、複数の作業ロボット1(1A,1B,1C)は、ネットワークNTを介することなく、相互に信号の送受信が可能になっていても良い。
【0013】
作業ロボット1を制御する制御装置は、前述した作業ロボットシステム1S内で各作業ロボット1を制御するものであり、制御信号の発信源は、各作業ロボット1内、サーバー101内、携帯情報端末102内、充電基地103内などのいずれであってもよい。
【0014】
各作業ロボット1は、機体10と自律走行可能な走行部2を備えており、機体10には、機体10の走行経路に沿って作業を行う作業部3が設けられている。また、各作業ロボット1は、走行部2や作業部3を制御する制御部5を備えている。制御部5には、ネットワークNTを介して前述した管理設備と信号送受信を行うための通信部5Aが接続されている。
【0015】
制御部5には、一例として、GPSなどの衛星測位システム(GNSS;Global Navigation Satellite System)を活用して、機体10の現在位置を検知するために、GNSS衛星100から発信される電波信号を受信するGNSSセンサ6Aが接続されている。この場合に、RTK-GPSシステムを採用して、固定された充電基地103のような場所で電波信号を受信し、各作業ロボット1の位置を決定すれば、移動する作業ロボット1の位置がより正確に測定可能である。
【0016】
図2に各作業ロボット1の一構成例を示す。図示の作業ロボット1の走行部2は、前輪走行部2Aと後輪走行部2Bを備えており、図1に示すように、作業現場内に設定される作業領域Waにおける任意の方向に向けて機体10を自律走行させることができるようになっている。図1における作業領域Waは、作業境界線Wbによって区画されており、作業境界線Wbは、各作業ロボット1が地図情報上で認識することができる仮想線或いは作業ロボット1が物理的にセンシング可能なワイヤ線などで形成されている。
【0017】
各作業ロボット1の機体10には、走行部2と作業部3を駆動する駆動部4が設けられている。図2に示した例では、駆動部4は、前輪駆動部4Aと後輪駆動部4Bをそれぞれ左右一対備えており、更に、作業部3を駆動する作業駆動部4Cを備えている。また、各作業ロボット1は、駆動部4と制御部5などの電源となるバッテリー11を備えている。
【0018】
各作業ロボット1の作業部3は、機体10の走行経路に沿って作業軌跡を形成するように、草刈り作業や散布作業や回収作業などの作業を行うものである。以下、草刈り作業を行う作業部3を例にして説明する。図2に示した例では、作業部3は、平面視で円形の作業範囲を有しており、図示省略した草刈り刃を鉛直軸周りに回転することで、作業部3の直下の草を刈払う。これにより、機体10を走行させながら作業部3を駆動すると、作業ロボット1の走行経路に沿って、作業部3における平面視の円形作業範囲の直径を横幅とする刈払い作業済みの作業軌跡が形成される。
【0019】
作業ロボット1の機体10には、センサ部6が設けられている。センサ部6には、走行部2を自律走行させるため、或いは作業部3の駆動を制御するために、前述したGNSSセンサ6A等、各種の検出手段が設けられている。センサ部6は機体10の前方に設けられており、センサ部6の検出信号は制御部5に送信される。
【0020】
作業ロボットシステム1Sの構成例(ブロック図)を図3に示す。各作業ロボット1(1A,1B,1C)の制御部5には、前述した駆動部4とセンサ部6とバッテリー11が接続されていると共に、前述した通信部5A、制御部5に情報を入力する入力部5B、制御部5に入力された情報を記憶する記憶部5Cなどが接続されている。
【0021】
センサ部6には、前述したGNSSセンサ6Aが設けられると共に、機体10の進む方向を検出するための方位センサ6Bや、作業境界位置に設置された電子タグやワイヤを物理的に検知する境界検知センサ6Cなどが設けられている。
【0022】
サーバー101には、制御部50が設けられており、制御部50には、サーバー101をネットワークNTに接続するための通信部51と、制御部50に情報を入力するための入力部54、制御部50に入力された情報を記憶する記憶部52、制御部50或いは制御部5の制御状況等を表示する表示部53などが接続されている。なお、ユーザーが所持する携帯情報端末102は、サーバー101と同等の機能を有している。
【0023】
充電基地103は、バッテリー11に接続される充電装置103Aを備えている。充電装置103Aは、例えば、商用交流電力103Bを直流電力に変換してバッテリー11を充電する。また、充電基地103にも制御部60とこれに接続される通信部61を設けることができる。
【0024】
作業ロボット1の通信部5Aとサーバー101や携帯情報端末102の通信部51と充電基地103の通信部61がネットワークNTを介して接続されていることで、作業ロボット1に設けた制御部5とサーバー101や携帯情報端末102の制御部50と充電基地103に設けた制御部60は、互いに信号(情報)の送受信が可能な状態になっており、1つの統合された制御装置5Uを構成している。
【0025】
作業ロボットシステム1Sの制御は、制御装置5Uに、図4に示す機能のプログラムを組み込むことで実行される。制御装置5Uが実行するプログラムは、各作業ロボット1に搭載した制御部5にその一部又は全部を組み込むことができ、また、サーバー101や携帯情報端末102の制御部50にその一部又は全部を組み込むことができ、また、充電基地103に設けた制御部60にその一部又は全部を組み込むことができる。なお、サーバー101、携帯情報端末102、充電基地103などの管理設備において、作業ロボットシステム1Sに必須のプログラムが組み込まれていない設備は、適宜省略することができる。
【0026】
制御装置5Uにおける走行制御部P1は、各作業ロボット1の前輪駆動部4Aと後輪行動部4Bを制御することで、設定部P3にて設定された走行経路に沿って、作業ロボット1を自律走行させる。また、走行制御部P1は、前輪駆動部4Aと後輪行動部4Bを制御することで、各作業ロボット1の作業速度(走行速度)を制御する。
【0027】
制御装置5Uにおける作業制御部P2は、作業ロボット1の作業駆動部4Cを制御することで、入力部5B(54)からの入力で初期設定されている作業条件で作業部3を制御する。また、作業制御部P2は、入力部5B(54)で入力された作業条件の変更指示、或いは設定部P3の設定に応じて変更される作業条件に応じて、作業部3を制御する。作業部3が草刈り作業部の場合には、刈り速度や刈り高さなどが、前述した作業条件になる。
【0028】
制御装置5Uにおける設定部P3は、作業区画設定手段P30と、走行経路設定手段P31を少なくとも備えている。
【0029】
作業区画設定手段P30によって設定される作業区画Wsは、作業領域Wa内に仮想的に区画される小区画であって、1つの作業区画Wsは、1つの作業ロボット1により連続した(途切れのない)作業軌跡が形成される区画になっている。
【0030】
作業区画設定手段P30は、例えば、作業領域Wa内の何処に作業区画を設定するかの位置情報である設定位置情報に基づいて、複数の作業ロボット1(1A,1B,1C)毎の作業区画Wsを設定する。作業区画Wsの設定は、作業開始毎に1つの区画を設定してもよいし、作業開始に先立って、複数の作業区画を、例えば作業領域Waを複数の作業区画に区分するように、設定してもよい。
【0031】
設定部P3の作業区画設定手段P30が複数の作業ロボット1(1A,1B,1C)毎に作業区画Wsを設定するに際して、1つの作業領域Waにて、複数の作業ロボット1(1A,1B,1C)が干渉や衝突を回避して円滑な作業を行うことができるように、各作業区画Wsの設定位置を互いの区画の周りに隣接しないように設定している。
【0032】
図5及び図6は、その設定例を示している。図5(a)に示した例では、第1の作業ロボット1(1A)が作業を行う第1の作業区画Ws(1)と第2の作業ロボット1(1B)が作業を行う第2の作業区画Ws(2)を設定するに際して、第1の作業区画Ws(1)の周りに隣接区画Asを設定し、隣接区画Asと重ならないように、第2の作業区画Ws(2)を設定している。
【0033】
図5(a)に示した例では、作業領域Waに対して予め区分された複数の区画を設定しており、その複数の区画の中から、前述した第1の作業区画Ws(1)と第2の作業区画Ws(2)と隣接区画Asを設定している。図5(a)に示した例の隣接区画Asは、矩形状に設定された第1の作業区画Ws(1)の各辺に隣接する区画が選択されている。この例に限らず、第1の作業区画Ws(1)と第2の作業区画Ws(2)を作業領域Wa内に個別に設定するに際して、図5(b)に示すように、第1の作業区画Ws(1)の周りに任意に隣接区画Asを設定し、その隣接区画Asに重ならないように、第2の作業区画Ws(2)を設定するようにしてもよい。
【0034】
また、図5(a)に示した例では、第3の作業ロボット1(1C)が作業領域Waで作業する場合に、第3の作業ロボット1(1C)は、第1の作業ロボット1(1A)と第2の作業ロボット1(1B)の作業中には、作業を行わないように設定されている。具体的には、第1の作業区画Ws(1)と第2の作業区画Ws(2)が作業領域Waにて設定されている場合には、第3の作業ロボット1(1C)は、充電基地103にて充電を行いながら待機するように設定されている。
【0035】
これによると、作業区画Wsと隣接区画Asの設定のみで、複数の作業ロボット1が1つの作業領域Waにて作業を行う際の作業ロボット1同士の干渉や衝突を回避することができる。これによって、各作業ロボット1の作業時間や作業速度の調整を行うことなく、複数の作業ロボット1を用いて簡易に作業能率の向上を図ることができる。
【0036】
また、第3の作業ロボット1を用いる場合には、複数の作業ロボット1同士の干渉や衝突を回避しながら、2台の作業ロボット1が作業を行っている間に1台の作業ロボット1の充電を行うことができるので、効率的に作業中の充電時間を確保することができる。
【0037】
設定部P3における走行経路設定手段P31は、各作業ロボット1を自律走行させるための走行経路を設定するものであり、作業区画設定手段30が前述したように作業区画Wsの設定を行った後に、作業区画Wsにおける走行経路Rrを例えば図6に示すように設定する。
【0038】
走行経路設定手段P31は、図6に示すように、走行経路Rrを設定することで、作業区画Wsには走行経路Rrに沿って作業軌跡Wtが形成される。走行経路設定手段P31は、走行経路Rrを各種設定することで、作業区画Ws毎に、複数の作業モードを設定することができる。作業モードとしては、例えば、図6(a)に示すように、隣接する直線経路の進行方向を交互に変えたラインストライプ状軌跡、図6(b)に示すように、直線経路の進行方向を90°変えて旋回しながら進む旋回ストライプ状(旋回の方向は、図示のように外から内に向けた旋回と内から外に向けた旋回が選択可能)軌跡、図6(c)に示すように、直線経路の進行方向を作業区画Ws端でランダムに変えて進行するランダム軌跡などがある。
【0039】
作業ロボット1を草刈り作業に用いる場合には、作業モードの選択で、作業区画Ws毎にユーザーが望むように草刈りの模様を付けることができ、図6(c)に示すランダム軌跡を選択した場合には、模様を付けないように刈ることができる。特に、ゴルフ場やゴルフ練習場などでは、草(芝)の刈り方向がボールの転がり方に影響するので、オーナーなどの好むように、適宜作業モードの選択がなされる。
【0040】
設定部P3の走行経路設定手段P31が作業区画Wsにおける走行経路Rrを設定する際に、図7に示すように、設定された走行経路Rrによって、作業区画Wsの外側に作業軌跡Wtの外郭線OLが形成される場合がある。ここでは、作業部3が草刈り作業を行う際、作業部3が作業区画Wsの境界線を越えるように走行経路Rrの設定がなされ、作業区画Wsの境界線付近で刈り残しが発生することを抑止している。
【0041】
このような場合に、作業区画設定手段P30が前述した隣接区画Asを設定する際に、作業軌跡Wtの外郭線OLを含むように隣接区画Asの設定がなされる。図7に示す例では、矩形状をなす第1の作業区画Ws(1)の境界線の外側に作業軌跡Wtの外郭線OLが形成されているが、第1の作業区画Ws(1)の隣接区画Asは、この外郭線OLを含むように、第1の作業区画Ws(1)の各辺に隣接する隣接区画Asと、第1の作業区画Wsの各角に隣接する隣接区画Asが設定されている。そして、この隣接区画Asに重ならないように、第2の作業区画Ws(2)が設定されている。
【0042】
図7に示すように、作業軌跡Wtの外郭線OLを含むように隣接線Asを設定することで、外郭線OLが作業区画Wsの境界線の外側に形成される場合であっても、複数の作業ロボット1同士の干渉や衝突を回避することができ、各作業ロボット1の作業時間や作業速度の調整を行うことなく、複数の作業ロボット1を用いて簡易に作業能率の向上を図ることができる。
【0043】
作業を実行するために必要な作業区画Wsのマップデータは、例えば、作業ロボット1の記憶部(データ記憶部)5Cに記憶されている。このマップデータは、作業が行える分のマップデータを作業毎に記憶部5Cに記憶させており、例えば、1つの作業区画Wsのマップデータは、作業区画Wsの作業が完了されて作業ロボット1が充電基地103に戻った後に、記憶部5Cのマップデータが次の作業区画Wsのものに書き換えられる。このようにすることで、作業ロボット1が備える記憶部5Cのメモリ容量を小さくすることができる。この際、マップデータは、サーバー101や充電基地103などの基地局から送信されて、作業ロボット1内の記憶部5Cに記憶される。
【0044】
以上説明したように、本発明の実施形態にかかる作業ロボット1の制御装置5U或いはこれによる制御方法によると、自律走行する走行経路Rrに沿って作業軌跡Wtを形成する作業ロボット1の動作制御であって、作業ロボット1が作業を行う仮想の作業区画Wsを設定し、第1の作業ロボット1(1A)が作業を行う第1の作業区画Ws(1)と第2の作業ロボット1(1B)が作業を行う第2の作業区画Ws(2)を設定するに際して、第1の作業区画Ws(1)の周りに隣接区画Asを設定し、隣接区画Asと重ならないように、第2の作業区画Ws(2)を設定するなどして、第1の作業区画Ws(1)の周りに隣接しないように、第2の作業区画Ws(2)を設定している。これによって、1つの作業領域Waにて、複数の作業ロボット1の作業を行わせるに際して、作業速度などの調節を不要にして複数の作業ロボット1の干渉や衝突を回避し、作業品質に影響を与えることなく、簡易に作業能率の向上を図ることができる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1(1A,1B,1C):作業ロボット,1S:作業ロボットシステム,
10:機体,11:バッテリー,
100:GNSS衛星,101:サーバー,102:携帯情報端末,
103:充電基地,103A:充電装置,103B:商用交流電力,
2:走行部,2A:前輪走行部,2B:後輪走行部,3:作業部,
4:駆動部,4A:前輪駆動部,4B:後輪駆動部,4C:作業駆動部,
5,50,60:制御部,5A,51,61:通信部,
5B,54:入力部,5C,52:記憶部,6:センサ部,
6A:GNSSセンサ,6B:方位センサ,6C:境界検知センサ,
53:表示部,5U:制御装置,
P1:走行制御部,P2:作業制御部,P3:設定部,
P30:作業区画設定手段,P31:走行経路設定手段,
Wa:作業領域,Ws:作業区画,Wt:作業軌跡,Rr:走行経路,
As:隣接区画,NT:ネットワーク,OL:外郭線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7