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2022-39747長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法
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  • -長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039747
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 35/00 20160101AFI20220303BHJP
   A23L 33/00 20160101ALI20220303BHJP
【FI】
A23L35/00
A23L33/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144914
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】504347555
【氏名又は名称】株式会社中温
(71)【出願人】
【識別番号】519301733
【氏名又は名称】大田 律子
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】大田 律子
【テーマコード(参考)】
4B018
4B036
【Fターム(参考)】
4B018LB03
4B018LB10
4B018LE04
4B018MD20
4B018MD31
4B018MD49
4B018MD53
4B018MD90
4B018ME02
4B018MF07
4B018MF12
4B036LC04
4B036LC06
4B036LE02
4B036LF19
4B036LH09
4B036LH15
4B036LH22
4B036LH29
4B036LH30
4B036LH39
4B036LH49
4B036LK06
4B036LP01
4B036LP05
4B036LP16
4B036LP18
4B036LP24
(57)【要約】
【課題】 天然素材を用い、原料食品の風味を保持し、おいしく、消化が良く、栄養バランスが良く、適度な粘度を有して長期保存可能な、乳幼児及び高齢者向け、又は非常用の保存食として用いることができる、長期間保存可能な流動食を提供する。
【解決手段】 うるち米を炊飯する段階とチーズホエー及び/又はヒトミルクオリゴ糖を加えて均一化する乳成分含有うるち米粥製造段階と、野菜又は果実をペースト状にする野菜・果実ペースト製造段階と、野菜・果実ペーストを酵素分解処理する野菜・果実酵素処理ペースト製造段階と、乳成分含有うるち米粥に野菜・果実酵素処理ペーストを加え、撹拌し均一にして野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を製造する流動食製造段階と、野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を容器に充填し、容器を密封して加熱し、殺菌すると同時に耐熱性アミラーゼを失活させる流動食充填殺菌段階と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
うるち米飯を炊飯するうるち米飯製造段階と、
前記うるち米飯にチーズホエー(乳清)、及び/又はヒトミルクオリゴ糖からなる乳成分を加え、撹拌し均一化し粥状にして、乳成分含有うるち米粥を製造する乳成分含有うるち米粥製造段階と、
1種以上の野菜又は果実を微細化しペースト状にして、野菜・果実ペーストを製造する野菜・果実ペースト製造段階と、
前記野菜・果実ペーストに酵素を加え加熱し酵素分解処理して、野菜・果実酵素処理ペーストを製造する野菜・果実酵素処理ペースト製造段階と、
前記乳成分含有うるち米粥に前記野菜・果実酵素処理ペーストを加え、撹拌し均一にして、野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を製造する野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食製造段階と、
前記野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を容器に充填し、前記容器を密封して110℃乃至120℃で10分間乃至30分間加熱して、殺菌すると同時に耐熱性酵素を失活させて、長期保存可能な野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を製造する長期保存可能な野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食殺菌段階と、
を有することを特徴とする長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法。
【請求項2】
前記うるち米飯製造段階は、うるち米1Kgを、水に0.5時間乃至2.0時間浸漬し水切りしたのち、2.5Kg乃至4.2Kgの水を加え15分間乃至25分間沸騰させながら撹拌し、加熱及び撹拌を停止して5分間乃至15分間蒸らして、前記うるち米飯を製造することを特徴とする請求項1に記載の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法。
【請求項3】
前記乳成分含有うるち米粥製造段階は、うるち米1Kgから製造した前記うるち米飯に、チーズホエーが1.5Kg乃至4.0Kg、及び/又はヒトミルクオリゴ糖が前記うるち米飯の質量の0.2質量%乃至1.0質量%からなる乳成分の中の1以上を加え、撹拌し均一化し粥状にして、乳成分含有うるち米粥を製造することを特徴とする請求項1又は2に記載の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法。
【請求項4】
前記野菜・果実ペースト製造段階は、石臼、セラミック石臼、又はそれらと同等の性能を有する微細化装置を用い、1種以上の野菜又は果実を粒径1.0mm以下に微細化して、水を加えずにペースト化することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法。
【請求項5】
前記野菜・果実ペースト製造段階は、石臼、セラミック石臼、又はそれらと同等の性能を有する微細化装置を用い、1種以上の野菜又は果実を粒径0.5mm以下に微細化して、水を加えずにペースト化することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法。
【請求項6】
前記野菜・果実酵素処理ペースト製造段階は、前記1種以上の野菜又は果実100質量部に対して0.1質量部乃至0.5質量部の酵素を加え45℃乃至55℃で40分間乃至80分間酵素分解して、野菜・果実酵素処理ペーストを製造することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法。
【請求項7】
前記野菜・果実酵素処理ペースト製造段階は、前記野菜・果実酵素処理ペーストを90℃乃至95℃で3分間乃至10分間加熱して、前記酵素を失活させる段階を更に有することを特徴とする請求項6に記載の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法。
【請求項8】
前記野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食製造段階は、前記乳成分含有うるち米粥100質量部に対して、前記野菜・果実酵素処理ペーストを4.0乃至50質量部加え、撹拌し均一にして、野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を製造する野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食製造段階を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法。
【請求項9】
前記野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食製造段階は、野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を製造したのちに、前記野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を、JIS規格30メッシュ以上の篩でろ過することを特徴とする請求項8に記載の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法。
【請求項10】
前記野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食殺菌段階は、前記野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を、複数個の容器に厚さが20mm以下になるように分注し、各容器を密封して110℃乃至120℃で10分間乃至30分間加熱し、殺菌すると同時に耐熱性酵素を失活させる段階を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法。
【請求項11】
前記1種以上の野菜又は果実は、前記野菜が、スイカ、メロン、シロウリ、カボチャ、イチゴ、キュウリ、ナス、ピーマン、ソラマメ、エダマメ、スイートコーン、インゲンマメ、アズキ、を含む果菜類、コマツナ、タカナ、ホウレンソウ、キクナ、ネギ、ワケギ、セルリー、ハクサイ、キャベツ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス、ウド、ブロッコリ、マツタケ、シイタケ、ヒラタケ、エノキタケ、マッシュルームを含む葉菜類、及びダイコン、カブ、ニンジン、ゴボウ、サツマイモ、ヤマイモ、ジネンジョ、ジャガイモ、サトイモ、レンコン、クワイを含む根菜類からなる群であり、果実が、ミカン、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、カボス、夏みかんを含む柑橘類、リンゴ、桃、ブドウ、メロン、パパイヤ、パイナップル、キーウイフルーツ、アボカド、及びバナナを含む群であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法に係り、より詳しくは、消化が良く、栄養バランスが良く、おいしく、かつ適当な粘度を有して、乳幼児用、高齢者用、及び非常時用の保存食として用いることができ、長期の保存が可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳児は消化酵素の働きが未熟であり、高齢者は消化酵素の働きが衰え、また被災者は非常時の体力の消耗やストレスによる消化機能の低下がみられることがある。消化機能が低下した乳児、高齢者、及び被災者には、消化吸収の良い流動食を提供することが望ましい。また、流動食は長期保存が可能であって、必要時にパックを開けてそのまま食すことができることが好ましい。
【0003】
ここで、摂食は、食物を口に取り込み、咀嚼し、食塊形成を行い、奥舌へ送り込み、嚥下誘発後0.5秒前後で嚥下反射して、食塊を食道に送り込む一連の行為である。通常は意識されることなく行われるこの摂食行為も、嚥下・咀嚼困難等の障害を持つ患者や、消化機能の低い乳児、高齢者、及び被災者にとっては容易なことではなく、食品が誤嚥によって気管支に入って肺炎等の深刻な疾患を招くこともある。したがって流動食は、誤嚥を防ぐために一定の粘度を維持することが望まれる。
【0004】
流動食に適切な粘度を付与するために、たとえばクエン酸三ナトリウム、キサンタンガム、カラギナン、及びデキストリンからなる液状食品用増粘組成物が開示されている(例えば特許文献1を参照)。しかし、流動食にこのような増粘組成物を添加することは、流動食の味を変化させることになるから好ましいことではなく、素材の段階で一定な粘度を維持することができる流動食を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-55号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、おいしく、消化が良く、栄養バランスが良く、また適度の粘度を有し、乳幼児及び高齢者向け、又は非常用の保存食として利用でき、かつ長期間保存できる流動食を、天然素材を用いて提供することを目的とする。
【0007】
ここで、消化性の良い流動食を提供するためには、食品原料を消化吸収しやすいように消化分解することが好ましく、食品原料を消化分解する技術として、食品を酵素分解する方法がある。本発明は、消化性の良い流動食を提供するための、食品原料を酵素分解する方法を提供することを目的とする。
また、食品原料を酵素分解して消化しやすくさせるためには、食品原料の前処理が必要であるから、本発明は、食品原料を酵素分解する場合の前処理方法を提供することを目的とする。
【0008】
更に、流動食は、保存食、非常食として常温で6か月間以上、好ましくは2年間以上、品質を保持したままで保存できることが好ましい。しかし、市販の酵素を用いて食品原料の酵素処理を行うと、市販の酵素に混入している耐熱性アミラーゼの作用によって長期保存により流動食の粘度が低下することがあるから、本発明は、流動食の品質を維持したままで耐熱性アミラーゼを失活させ、流動食の長期保存による粘度の低下を防止する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法は、うるち米飯を炊飯するうるち米飯製造段階と、うるち米飯にチーズホエー(乳清)、及び/又はヒトミルクオリゴ糖からなる乳成分を加え、撹拌し均一化し粥状にして、乳成分含有うるち米粥を製造する乳成分含有うるち米粥製造段階と、1種以上の野菜又は果実を微細化しペースト状にして、野菜・果実ペーストを製造する野菜・果実ペースト製造段階と、野菜・果実ペーストに酵素を加え加熱し酵素分解処理して、野菜・果実酵素処理ペーストを製造する野菜・果実酵素処理ペースト製造段階と、乳成分含有うるち米粥に野菜・果実酵素処理ペーストを加え、撹拌し均一にして、野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を製造する野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食製造段階と、野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を容器に充填し、容器を密封して110℃乃至120℃で10分間乃至30分間加熱して、殺菌すると同時に耐熱性酵素を失活させて、長期保存可能な野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を製造する長期保存可能な野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食殺菌段階と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、前記うるち米飯製造段階は、うるち米1Kgを、水に0.5~2.0時間浸漬し、水切りしたのち、2.5~4.2Kgの水を加え15~25分間沸騰させながら撹拌し、加熱及び撹拌を停止して5~15分間蒸らして、うるち米飯を製造することを特徴とする。
【0011】
また、前記前記乳成分含有うるち米粥製造段階は、うるち米1Kgから製造したうるち米飯に、チーズホエーが1.5~4.0Kg、及び/又はヒトミルクオリゴ糖がうるち米飯の質量の0.2~1.0質量%からなる乳成分の中の1以上を加え、撹拌し均一化し粥状にして、乳成分含有うるち米粥を製造することを特徴とする。
【0012】
また、前記野菜・果実ペースト製造段階は、石臼、セラミック石臼、又はそれらと同等の性能を有する微細化装置を用い、1種以上の野菜又は果実を粒径1.0mm以下に微細化して、水を加えずにペースト化することを特徴とする。
【0013】
また、前記野菜・果実ペースト製造段階は、石臼、セラミック石臼、又はそれらと同等の性能を有する微細化装置を用いて、1種以上の野菜又は果実を粒径0.5mm以下に微細化し、水を加えずにペースト化することを特徴とする。
【0014】
また、前記野菜・果実酵素処理ペースト製造段階は、1種以上の野菜又は果実100質量部に対して0.1~0.5質量部の酵素を加えて45~55℃で40~80分間酵素分解して、野菜・果実酵素処理ペーストを製造することを特徴とする。
また、前記野菜・果実酵素処理ペースト製造段階は、野菜・果実酵素処理ペーストを90~95℃で3~10分間加熱して、酵素を失活させる段階を更に有することを特徴とする。
【0015】
また、前記野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食製造段階は、乳成分含有うるち米粥100質量部に対して、野菜・果実酵素処理ペーストを4.0~50質量部加え、撹拌し均一にして、野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を製造する野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食製造段階を有することを特徴とする。
【0016】
また、前記野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食製造段階は、野菜・果実のペーストを酵素で処理したのちに、野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を製造したのちに、前記野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食をJIS規格30メッシュ以上の篩でろ過することを特徴とする。
【0017】
また、前記野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食殺菌段階は、野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を、複数個の容器に厚さが20mm以下になるように分注し、各容器を密封して110~120℃で10~30分間加熱し、殺菌すると同時に耐熱性酵素を失活させる段階を有することを特徴とする。
【0018】
また、前記1種以上の野菜又は果実は、前記野菜が、スイカ、メロン、シロウリ、カボチャ、イチゴ、キュウリ、ナス、ピーマン、ソラマメ、エダマメ、スイートコーン、インゲンマメ、アズキ、を含む果菜類、コマツナ、タカナ、ホウレンソウ、キクナ、ネギ、ワケギ、セルリー、ハクサイ、キャベツ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス、ウド、ブロッコリ、マツタケ、シイタケ、ヒラタケ、エノキタケ、マッシュルームを含む葉菜類、及びダイコン、カブ、ニンジン、ゴボウ、サツマイモ、ヤマイモ、ジネンジョ、ジャガイモ、サトイモ、レンコン、クワイを含む根菜類からなる群であり、果実が、ミカン、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、カボス、夏みかんを含む柑橘類、リンゴ、桃、ブドウ、メロン、パパイヤ、パイナップル、キーウイフルーツ、アボカド、及びバナナを含む群であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、天然素材及びその酵素処理食品を用いて、消化が良く、栄養バランスが良く、おいしく、かつ適当な粘度を有して、乳幼児用、高齢者用、及び非常時用の保存食として用いることができ、かつ長期の保存可能な流動食の製造方法を提供することができる。
また本発明は、消化性の良い流動食を提供するための食品原料を酵素処理する方法、食品原料を酵素処理する場合の前処理方法、及び流動食の品質を維持したまま流動食の長期保存による粘度の低下を防止する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の製造工程を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の製造工程を説明するためのフローチャートである。
図1に示すように、本発明の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の製造方法は、うるち米飯製造段階(S-1)と、乳成分含有うるち米粥製造段階(S-2)と、野菜・果実ペースト製造段階(S-3)と、野菜・果実酵素処理ペースト製造段階(S-4)と、野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食製造段階(S-5)と、長期保存可能な野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食殺菌段階(S-6)と、を含むことを特徴とする。
【0022】
[乳成分含有うるち米粥の製造]
うるち米飯製造段階(S-1)
本発明の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食は、乳成分を含有するうるち米粥をベースとする。うるち米飯は炭水化物源として炭水化物を多く含みながらも消化吸収が良く、うるち米と水の比率を調節して流動食の粘度を調節することができるから、本発明の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食に適度の粘度を与えることができる。
【0023】
上記のうるち米飯は、水に浸漬し水切りしたうるち米に、水を加え加熱してうるち米飯を炊飯するうるち米飯製造段階によって製造することができる。
具体的には、うるち米1Kgを、0.5~2.0時間水に浸漬し、水切りしたのちに水を2.5~4.2Kg加え、15~25分間沸騰させながら撹拌したのち、加熱及び撹拌を停止させて5~15分間むらすことによって製造することができる。加える水の量を調節することによってうるち米飯の硬さを調節することができ、それによって本発明の長期間保存可能な酵素処理食品を含む流動食の粘度を調節することができる。また、水に替えて昆布だし汁、シイタケだし汁を用いたり、うるち米飯に味付けしたりすることもできる。
【0024】
乳成分含有うるち米粥製造段階(S-2)
本発明の乳成分は、チーズホエー及び/又はヒトミルクオリゴ糖からなる。
チーズホエーは、チーズ生産過程で生産され、独特の甘酸っぱい味があり、高蛋白・低脂肪で乳成分由来カルシウムなどの無機栄養分やビタミンB群をはじめ各ビタミン類などを含み、栄養価が高く、消化が速く、タンパク質合成及びインスリン分泌を促進する。また、チーズホエーは、牛乳アレルギーの原因となるカゼインの大半が除去されているため、乳児用調製粉乳の主原料として用いられる。
【0025】
ヒトミルクオリゴ糖は、ヒトの母乳に含まれ、他の哺乳類の母乳とは組成が異なり、フコシルラクトース(ラクトースにフコースが結合したもの)が主成分である。フコシルラクトースは、口腔や上部消化管では分解されずに大腸まで到達し、ビフィズス菌など腸内細菌の栄養源として利用される。乳児由来のビフィズス菌の多くは、このフコシルラクトースを利用する能力を保有し、腸に定着すると腸内の大腸菌群を減少させるという整腸作用を示すことが明らかとなっている。
【0026】
乳成分含有うるち米粥は、米飯にチーズホエー及び/又はヒトミルクオリゴ糖を加え撹拌して均一化することによって製造することができる。具体的には、1Kgのうるち米から製造したうるち米飯にチーズホエーを1.5~4.0Kg、及び/又はヒトミルクオリゴ糖を前記うるち米飯の質量の0.2~1.0%加え、撹拌して均一化することによって製造することができる。
【0027】
本発明の酵素処理食品を含む流動食のベースである乳成分を含有するうるち米粥は、うるち米粥と乳成分であるチーズホエー及び/又はヒトミルクオリゴ糖との栄養バランスが良く、味の相性が良いから調味料を使用しなくてもおいしくなり、また一定の粘度を有するから誤嚥を防ぐことができる。なお、流動食の粘度は、チーズホエーを加える量によっても調節することができる。
【0028】
[野菜・果実酵素処理ペーストの製造]
本発明の酵素処理食品を含む流動食は、ベースとなるうるち米飯と,チーズホエー、及び/又はヒトミルクオリゴ糖とに、更に栄養分を提供する食品として一種以上の野菜又は果実を加えることを特徴とする。しかし、消化機能の低下している乳児、高齢者、又は被災者に野菜や果物を含む流動食を提供するためには、使用する野菜又は果実に含まれる難消化性の原料を、消化しやすいような状態まで分解する必要がある。
【0029】
そのような分解技術の一つとして酵素による発酵がある。しかし、発酵を野菜又は果実に迅速かつ確実に行わせるためには、原料と酵素との接触面積を大きくするために原料となる野菜及び果実を出来る限り微細化することが要求される。そのためには、野菜又は果実を微細化した野菜・果実のペーストを製造して用いることが好ましい。
【0030】
野菜・果実ペースト製造段階(S-3)
従来の発酵技術では、野菜又は果実を微細化しペースト化するのに撹拌機又は剪断性を有する撹拌機を用い、ブランチング、煮沸、蒸煮等の前処理を行った野菜又は果実に水を加えて野菜又は果実の酵素処理ペーストを作成していた。しかしこの従来の方法は、原料の野菜又は果実の質量の30質量%以上の水を加えてペースト化させる必要がある。水を加えると、生成した野菜又は果実のペーストの濃度が薄められて発酵が遅くなり、発酵に必要な時間が数日乃至数週間単位の時間がかかることがあるという問題があった。
【0031】
本発明は、前処理として、野菜または果実を、石臼、セラミック石臼、又はそれらと同等の性能を有する微細化装置を用いて、1種以上の野菜又は果実を粒径1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下に微細化することによって、水を加えずにペースト化することができる。生成した野菜・果実ペーストは濃度が高く、従来は数時間~数日間かかっていた酵素処理を40~80分で確実に行うことができるという特徴を有する。
【0032】
具体的には、本発明は、野菜又は果実を加熱して組織を軟化させ、粗く砕き、石臼、セラミック石臼、又は同等の性能を有する微細化装置を用いてすり潰し、粒径1.0mm以下に微細化することによって、野菜又は果実の組織内に含有されていた水を分離させ、その水によって流動性を有する野菜・果実ペーストを製造する。野菜・果実ペーストは、野菜または果実を粒径0・5mm以下に微細化することが更に好ましい。
【0033】
野菜・果実酵素処理ペースト製造段階(S-4)
このようにして製造した、水を添加していない野菜・果実ペースト100質量部に対して0.1~0.5質量部の酵素を添加し加熱し撹拌することによって酵素反応が急速に進み、45~55℃、40~80分間で酵素分解が終了して野菜・果実酵素処理ペーストを製造し得る。
また、野菜・果実酵素処理ペースト製造段階は、反応終了後に野菜・果実酵素処理ペーストを、90~95℃で3~10分間加熱して酵素を失活させる段階を有することが好ましい。
【0034】
酵素としては、セルラーゼ活性の高い市販の酵素、たとえば「セルラーゼ TP5-協和(協和化成株式会社)」又は「スクラーゼC(登録商標)(三菱ケミカルフーズ株式会社)」等を用いることができる。なお、市販のセルロース分解酵素は微生物からの抽出物であって、目的以外の酵素活性を有する酵素、例えばアミラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ等を含み、特に粘度低下の原因となる耐熱性アミラーゼを微量含んでいる。
【0035】
[長期間保存可能な野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食の製造]
野菜・果実処理ペーストを含む流動食製造段階(S-5)
流動食のベースとなる乳成分含有うるち米粥に、栄養分として野菜・果実酵素処理ペーストを加え、撹拌し均一にして流動食を製造することができる。具体的には、乳成分含有うるち米粥の100質量部に、野菜・果実酵素処理ペーストの4.0~50質量部を加え撹拌し、均一にして野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を製造することができる。
【0036】
更に、このようにして製造した野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を、再度石臼、セラミック石臼、又は同等の性能を有する微細化装置を用いてすり潰すことによって、前記流動食成分の中の乳成分含有うるち米粥の組織を微細化して、更に消化吸収の良い野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を製造することができる。
また更に、上記の野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を、JIS規格30メッシュ以上(目開き0.5mm以下)の篩を用いてろ過することによって、ポタージュのように滑らかな口当たりの野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を製造することができる。
【0037】
長期間保存可能な野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食殺菌段階(S-6)
流動食は、非常食としての利用を考えると、6か月以上、好ましくは2年以上の賞味期限が必要である。
本発明の野菜・果実処理ペーストを含む流動食製造段階(S-5)で製造した野菜・果実処理ペーストを含む流動食は、アルミ蒸着フィルムかそれと同等以上の空気透過性のないフィルムを使用する容器に充填して、殺菌F値5.0程度の通常のレトルト殺菌を行なえば、無菌が維持され、内容物の酸化による変色や異臭などもない点では品質を維持することができる。
【0038】
しかし、上記の殺菌F値5.0程度の通常のレトルト殺菌をした(S-5)で製造した流動食は、6か月程度保存したのちに著しい粘度低下が起きた。流動食は、誤嚥を防ぐために一定値以上の粘度を維持することが望ましいので、(S-5)で製造した野菜・果実処理ペーストを含む流動食は、通常のレトルト殺菌をしただけでは、流動食としての品質を長期間維持することができないことが判明した。
【0039】
この粘度低下の原因は、野菜・果実酵素処理ペースト製造段階(S-4)において用いた市販の酵素に含まれていた微量の耐熱性アミラーゼによるものと推測される。すなわち、野菜・果実処理ペーストを含む流動食製造段階(S-5)で製造した野菜・果実処理ペーストを含む流動食は、酵素処理ペースト製造段階(S-4)で行った酵素失活操作及び通常のレトルト殺菌では、残存する耐熱性アミラーゼを不活性化することができず、6か月程度で粘度が著しく低下したものと推測される。
【0040】
本発明は、長期間保存可能な野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食殺菌段階(S-6)において、野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を殺菌すると同時に、耐熱性アミラーゼも失活させることができる加熱殺菌条件で処理することによって、粘度を長期間維持することを特徴とする。
この目的のため、本発明は、(S-5)で製造した野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食を、容器に充填し容器を密封して110℃~120℃で10分間~30分間加熱することによって、(S-5)で製造した流動食を殺菌すると同時に耐熱性アミラーゼを不活性化することによって、長期間保存が可能な酵素処理食品を含む流動食を提供することを特徴とする。
【0041】
より好ましくは、本発明は、(S-5)で製造した流動食を、複数個の容器に厚さが20mm以下になるように分注し、各容器を密封して、110~120℃で10~30分間加熱し、加熱条件を容器の中心部まで迅速に満足させ、加熱殺菌すると同時に耐熱性アミラーゼを完全に失活させる。
本発明の流動食は、容器を密封して殺菌すると同時に、耐熱性アミラーゼを不活性化することによって、流動食としての品質を維持し、適度な粘度を保ったままで乳幼児用、高齢者用、及び非常時用の保存食として長期間保存することができる。
【0042】
野菜・果実酵素処理ペーストを含む流動食は、加熱温度が120℃を超えるか、120℃での加熱時間が30分間を超えると味が劣化し、また、容器の厚さが20mmを超えると中心部が十分に加熱されないために耐熱性アミラーゼを完全に失活させることができないことがあり、好ましくない。
以下に、実施例を示して、本発明実施の形態についてより具体的に説明する。
【実施例0043】
[小松菜の酵素処理食品を含む長期間保存可能な流動食]
(1)うるち米飯の製造
うるち米100Kgを水に1時間浸漬し水切りしたのち、300Kgの水と共にニーダーに投入し、焦げないように攪拌しながら98℃以上で20分間加熱し、その後加熱及び攪拌を停止して10分間むらし操作を行ってうるち米飯を製造した。
【0044】
(2)チーズホエー含有うるち米粥の製造
うるち米100Kgから製造したうるち米飯を70℃まで放冷し、チーズホエー200Kgとうるち米飯の製造で蒸発した水分とを加えて全体を600Kgにしたのちに、均一になるまで攪拌して600Kgのチーズホエー含有うるち米粥を製造した。
【0045】
(3)小松菜ペーストの製造
小松菜50Kgを水洗し、30~50mmに切断し、沸騰した水で3分間加熱したのち直ちに冷水で冷却し、脱水し、セラミック石臼を用い、石臼間隔0.08mmに設定して高速回転しすり潰し、小松菜を粒径1.0mm以下に微細化して46Kgの小松菜ペーストを得た。
【0046】
(4)小松菜酵素処理ペーストの製造
得られた46Kgの小松菜ペーストを、バトル撹拌機能を備えたニーダーに投入し、小松菜46Kgに対して0.14Kgのセルラーゼ(スクラーゼC 三菱ケミカルフーズ株式会社)を添加し、45~55℃において150~200回転/分で60分間撹拌した。反応終了後、小松菜ペースト酵素処理液を撹拌しながら92℃以上で5分間加熱したのち、常温まで水冷して43Kgの小松菜酵素処理ペーストを製造した。
【0047】
(5)小松菜酵素処理ペーストを含む流動食の製造
乳成分含有うるち米粥100Kgに対して9.0Kgの小松菜酵素処理ペーストを加えてよく攪拌し、均一にして、109Kgの小松菜酵素処理ペーストを含む流動食を製造した。
【0048】
(6)長期間保存可能な小松菜酵素処理ペーストを含む流動食の製造
得られた小松菜酵素処理ペーストを含む流動食を、100gずつの複数のアルミ蒸着高分子樹脂フィルム製の容器に、厚さが20mm以下になるように分注し、各容器を密閉して120℃で15分間加熱し、殺菌すると同時に耐熱性アミラーゼを失活させて長期間保存可能な小松菜酵素処理ペーストを含む流動食を製造した。
【0049】
得られた小松菜酵素処理ペーストを含む流動食は、小松菜の風味とチーズホエーの味がマッチしておいしく、消化が良く、栄養バランスが良く、また適度の粘度を有し、乳幼児及び高齢者向け又は非常用の保存食として長期間保存することができる。また、小松菜の代わりに、ハクサイ、ホウレンソウ、グリーンピース、などを用いてもよい。
【実施例0050】
[サツマイモの酵素処理食品を含む長期間保存可能な流動食]
(1)チーズホエー及びヒトミルクオリゴ糖含有うるち米粥の製造
実施例1と同様に、うるち米100Kgからうるち米飯を製造し、製造したうるち米飯を70℃まで放冷し、チーズホエー200Kg、ヒトミルクオリゴ糖3.0Kg、及びうるち米飯の製造で蒸発した水分とを加えて全体を600Kgとしたのちに、均一になるまで攪拌して600Kgのチーズホエー及びヒトミルクオリゴ糖含有うるち米粥を製造した。
【0051】
(2)サツマイモペーストの製造
水洗し皮むきしたサツマイモ100Kgを賽の目に細断し、セラミック石臼を用いて、石臼間隔0.08mmに設定し高速回転処理しサツマイモをすり潰して粒径1.0mm以下に微細化して96Kgのサツマイモペーストを得た。
【0052】
(3)サツマイモ酵素処理ペーストの製造
得られた97Kgのサツマイモペーストに0.3Kgのセルラーゼ(セルラーゼ TP5-協和 協和化成株式会社製)を加え、45~55℃において150~200回転/分で60分間撹拌した。反応終了後、サツマイモペースト酵素処理液を撹拌しながら92℃以上で5分間加熱したのち、ただちに常温まで水冷して95Kgのサツマイモ酵素処理ペーストを製造した。
【0053】
(4)サツマイモ酵素処理ペーストを含む流動食の製造
チーズホエー及びヒトミルクオリゴ糖含有うるち米粥100Kgに対して、サツマイモ酵素処理ペースト15.8Kgを加えてよく攪拌し、均一にしてサツマイモ酵素処理ペーストを含む流動食を製造した。
【0054】
(5)長期間保存可能なサツマイモ酵素処理ペーストを含む流動食の製造
得られたサツマイモ酵素処理ペーストを含む流動食を、実施例1と同様に100gずつの複数個のアルミ蒸着高分子樹脂フィルム製の容器に、厚さが20mm以下になるように分注し、各容器を密閉して120℃で10分間加熱し、殺菌すると同時に耐熱性アミラーゼを失活させて長期間保存可能なサツマイモ酵素処理ペーストを含む流動食を製造した。
【0055】
得られたサツマイモの酵素処理ペーストを含む流動食は、サツマイモから出る甘さとチーズホエーの味とがマッチしておいしく、ヒトミルクオリゴ糖を含んで整腸作用があり、栄養バランスが良く、また適度の粘度を有し、乳幼児及び高齢者向け、又は非常用の保存食として長期間保存することができる。また、サツマイモの代わりに、ジャガイモ、カボチャ、ニンジン、ゴボウなどを用いてもよい。
【実施例0056】
[アボカドの酵素処理食品を含む長期間保存可能な流動食]
(3)ヒトミルクオリゴ糖含有うるち米粥の製造
実施例1と同様に、うるち米100Kgからうるち米飯を製造し、製造したうるち米飯を70℃まで放冷し、ヒトミルクオリゴ糖、及び水を加えて全体を600Kgとしたのち、均一になるまで攪拌して600Kgのヒトミルクオリゴ糖含有うるち米粥を製造した。
【0057】
(2)アボカドペーストの製造
アボカド100Kgの種を除き水洗したのち、セラミック石臼を用い、石臼間隔0.04mmに設定して高速回転処理しアボカドをすり潰して粒径0.5mm以下に微細化し、83Kgのアボカドペーストを得た。
【0058】
(3)アボカド酵素処理ペーストの製造
得られた83Kgのアボカドペーストに、0.3Kgのセルラーゼ(セルラーゼ TP5-協和 協和化成株式会社製)を加え、45~55℃において150~200回転/分で40分間撹拌して酵素分解した。反応終了後、酵素処理したペーストを撹拌しながら92℃以上で5分間加熱したのち、直ちに常温まで水冷し、79Kgのアボカド酵素処理ペーストを製造した。
【0059】
(4)アボカド酵素処理ペーストを含む流動食の製造
ヒトミルクオリゴ糖含有うるち米粥100Kgに対して12.5Kgのアボカド酵素処理ペーストを加えてよく攪拌し均一にしてアボカド酵素処理ペーストを含む流動食を製造した。得られたペーストを、JIS規格30メッシュ以上(目開き0.5mm以下)の篩を用いてろ過することによって、ポタージュのように滑らかな口当たりのアボカド酵素処理ペーストを含む流動食を製造した。
【0060】
(5)長期間保存可能なアボカド酵素処理ペーストを含む流動食の製造
得られたアボカド酵素処理ペーストを含む流動食を、実施例1と同様に、100gずつの複数のアルミ蒸着高分子樹脂フィルム製の容器に、厚さが20mm以下になるように分注し、各容器を密閉して110℃で30分間加熱し、殺菌すると同時に耐熱性アミラーゼを失活させて長期間保存可能なアボカド酵素処理ペーストを含む流動食を製造した。
【0061】
得られたアボカドの酵素処理ペーストを含む流動食は、ポタージュのように滑らかな口当たりを有し、アボカドのねっとりした食感とうるち米粥の食感がマッチして、さっぱりとしておいしく、また、ヒトオリゴ糖を含んで整腸作用があり、脂質を多く含んで栄養バランスが良く、また適度の粘度を有し、乳幼児及び高齢者向け又は非常用の保存食として長期間保存することができる。また、アボカドの代わりに、バナナ、リンゴ、イチゴなどを用いてもよい。
【0062】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。

図1