(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039786
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/02 20060101AFI20220303BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
B65H5/02 G
B65H9/00 A
B65H5/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020144972
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】特許業務法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川崎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】窪田 裕己
(72)【発明者】
【氏名】近藤 司
(72)【発明者】
【氏名】岩田 俊行
【テーマコード(参考)】
3F049
3F102
【Fターム(参考)】
3F049AA02
3F049BB04
3F049BB05
3F049BB07
3F049DA04
3F049EA27
3F049LA01
3F049LB03
3F102AA01
3F102BA02
3F102BB04
3F102BB05
3F102EA12
(57)【要約】
【課題】装置の大型化を抑制しつつ、シートの幅方向の位置ずれを補正できる構成を提供できる。
【解決手段】搬送面12Aを有し、シートを搬送方向Xに搬送する搬送ベルト12と、搬送面12Aの延設される方向において複数配置され、搬送面12Aとの間でシートを挟持しつつ、任意方向に回転可能な球体20と、搬送ベルト12の両側に配置され、搬送されるシートをガイド可能な1対の規制ガイド14A、14Bと、1対の規制ガイド14A、14Bを、シートの両端縁をガイドするガイド位置と、シートの両端縁から退避した退避位置とに移動可能なガイド移動部420と、を備え、ガイド移動部420は、シート幅方向Yにおいて延設されるベルト424A、424Bを有し、ベルト424A、424Bは、球体20に対して搬送ベルト12の反対側で、且つ、隣り合う球体20の間に位置するように配置される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを所定の搬送方向に搬送する搬送手段によって搬送されたシートを受け取って搬送するシート搬送装置であって、
前記搬送手段の前記搬送方向下流側に設けられ、前記搬送方向において延設される搬送面を有し、前記搬送面に受け渡されたシートを前記搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送面と対向する位置で前記搬送面の延設される方向において複数配置され、前記搬送面との間でシートを挟持しつつ、任意方向に回転可能な球体と、
前記搬送方向と交差するシート幅方向に関して前記搬送ベルトの両側に配置され、前記搬送ベルトと前記球体とで挟持されつつ搬送されるシートの前記シート幅方向両端縁をガイド可能な1対の規制ガイドと、
前記1対の規制ガイドを、シートの前記シート幅方向両端縁をガイドするガイド位置と、前記ガイド位置よりもシートの前記シート幅方向両端縁から退避した退避位置とに移動可能なガイド移動手段と、を備え、
前記ガイド移動手段は、前記1対の規制ガイドを前記シート幅方向に関して移動させるために、前記シート幅方向において延設される駆動ベルトを有し、
前記駆動ベルトは、前記球体に対して前記搬送ベルトの反対側で、且つ、前記搬送面に直交する方向から視て隣り合う前記球体の間に位置するように配置される、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記駆動ベルトは、前記搬送方向から視て、一部が前記複数の球体に重なるように配置されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
ジャムしたシートを取り出すための開口部が、前記搬送ベルトに対して、前記駆動ベルトとは反対側に、且つ、前記シート幅方向の片側に設けられている、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記ガイド移動手段は、前記駆動ベルトを移動可能な駆動手段を有し、
前記駆動手段は、前記搬送ベルトに対して、前記駆動ベルトとは反対側に、且つ、前記シート幅方向に関して前記開口部とは反対側に設けられている、
ことを特徴とする、請求項3に記載のシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを搬送するシート搬送装置においては、シートの搬送中に様々な要因でシートの位置ずれが生じる虞がある。そして、位置ずれが生じたまま、例えば、シートに画像を形成する画像形成装置に搬送された場合、シートに対して画像がずれるなどの不具合が生じてしまう。このため、搬送中のシートの位置ずれを補正するシート搬送装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、シート搬送方向に交差する幅方向片側に設けられた固定の基準ガイドと、基準ガイドに対して傾斜して設けられた搬送ベルトと、球体とを有する構成が開示されている。特許文献1に記載のシート搬送装置の場合、シートを搬送ベルトと球体とで挟持しつつ搬送することにより、シートの幅方向端縁を基準ガイドに突き当てるようにしている。そして、シートのサイドレジ(シート幅方向端縁の位置ずれ)とサイドスキュー(シート搬送方向に対するシートの幅方向端縁の傾き)を同時に補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシート搬送装置の場合、傾斜して設けられた搬送ベルトによりシートを搬送しつつ、シートの幅方向端縁を基準ガイドに突き当てるようにしている。このため、シートを基準ガイドに突き当てるまでシートを搬送する必要があり、シートを搬送するための長さを確保すべく、装置が大型化してしまう虞がある。そこで、装置の大型化を抑制しつつ、シートの幅方向の位置ずれを補正すべく、シートの幅方向両側に1対の規制ガイドを設ける構成が考えられる。この構成の場合、1対の規制ガイドを退避位置からガイド位置に移動させて、ガイド位置にてシートの幅方向両端縁をガイドすることで、シートの幅方向の位置ずれを補正する。
【0006】
ここで、1対の規制ガイドを移動させるためには規制ガイドの駆動部材が必要になる。この駆動部材の配置によっては装置が大型化してしまう虞がある。
【0007】
本発明は、装置の大型化を抑制しつつ、シートの幅方向の位置ずれを補正できる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シートを所定の搬送方向に搬送する搬送手段によって搬送されたシートを受け取って搬送するシート搬送装置であって、前記搬送手段の前記搬送方向下流側に設けられ、前記搬送方向において延設される搬送面を有し、前記搬送面に受け渡されたシートを前記搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、前記搬送面と対向する位置で前記搬送面の延設される方向において複数配置され、前記搬送面との間でシートを挟持しつつ、任意方向に回転可能な球体と、前記搬送方向と交差するシート幅方向に関して前記搬送ベルトの両側に配置され、前記搬送ベルトと前記球体とで挟持されつつ搬送されるシートの前記シート幅方向両端縁をガイド可能な1対の規制ガイドと、前記1対の規制ガイドを、シートの前記シート幅方向両端縁をガイドするガイド位置と、前記ガイド位置よりもシートの前記シート幅方向両端縁から退避した退避位置とに移動可能なガイド移動手段と、を備え、前記ガイド移動手段は、前記1対の規制ガイドを前記シート幅方向に関して移動させるために、前記シート幅方向において延設される駆動ベルトを有し、前記駆動ベルトは、前記球体に対して前記搬送ベルトの反対側で、且つ、前記搬送面に直交する方向から視て隣り合う前記球体の間に位置するように配置される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置の大型化を抑制しつつ、シートの幅方向の位置ずれを補正できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る画像形成システムの概略構成断面図。
【
図2】実施形態に係るシート搬送制御に関するブロック図。
【
図6】実施形態に係る中継搬送装置の搬送ベルトの支持構成周りの断面図。
【
図8】実施形態に係る規制ガイドの、(a)斜視図、(b)(a)の左側から見た図、(c)シートの搬送方向に沿った方向に切断した断面図、(d)シートの搬送方向と直交する方向に切断した断面図。
【
図9】実施形態に係る中継搬送装置の筐体の斜視図。
【
図10】実施形態に係る規制ガイドの動作を説明する図で、(a)シートの受け入れ状態を、(b)シートの後端がシート検知センサを通過した状態を、(c)シートが規制ガイドに引っかかって停止した状態を、(d)規制ガイドが退避位置に移動した状態を、それぞれ示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態について、
図1~
図10を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成システムについて、
図1を用いて説明する。
【0012】
[画像形成システム]
図1は、本実施形態に係る多段給送装置及び画像形成装置を備える画像形成システムの一例を概略的に示す断面図である。以下の説明では、画像形成部を有する画像形成装置として、電子写真方式を用いたレーザプリンタシステム(以下単にプリンタと呼ぶ)を例に挙げて説明する。なお、画像形成システムを構成する画像形成装置は、プリンタ以外に、複写機、ファクシミリ、複合機などであっても良い。また、画像形成装置は、電子写真方式に関らず、インクジェット方式などの他の方式の構成であっても良い。
【0013】
本実施形態の画像形成システム1000は、画像形成装置100と、画像形成装置100に接続されたシート給送装置としての多段給送装置200と、給送デッキ500と、を有している。多段給送装置200は、詳しくは後述するように、それぞれが複数枚のシートを収納可能な複数の収納庫を有しており、各収納庫から画像形成装置100にシートを給送可能である。また、給送デッキ500も複数枚のシートを収納可能な収納庫を有しており、シート搬送方向に関して、多段給送装置200の上流側に配置されている。また、給送デッキ500から給送されるシートは、多段給送装置200に設けられた中継搬送装置400を介して画像形成装置100に搬送される。なお、シートとしては、普通紙、薄紙、厚紙などの紙、プラスチックシートなどが挙げられる。
【0014】
画像形成装置100は、画像形成装置本体101に接続された原稿読み取り装置102又は画像形成装置本体101に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)をシートに形成する。本実施形態の場合、原稿読み取り装置102は、画像形成装置本体101の上側に配置されている。
【0015】
原稿読み取り装置102は、原稿を読み取る際には、プラテンガラス103の上に載置された原稿に走査光学系光源によって光を照射すると共に、反射光をCCDに入力することにより原稿画像を読み取るようにしている。また、原稿読み取り装置102は、自動原稿搬送装置(ADF)104を備えており、トレイ105上に載置された原稿をADF104により自動的に原稿読み取り装置102の読み取り部に搬送して、原稿画像を読み取ることも可能である。そして、読み取った原稿画像は電気信号に変換されて、後述する画像形成部110のレーザスキャナ113に伝送される。なお、レーザスキャナ113は、上述したようにパーソナルコンピュータ等から送信されてくる画像データが入力される場合もある。
【0016】
画像形成装置100は、画像形成部110、複数のシート給送装置120、シート搬送装置130等を備える。画像形成装置100は、制御部140により各部が制御される。制御部140は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0017】
複数のシート給送装置120は、それぞれシートSを収納するカセット121と、ピックアップローラ122と、フィードローラ123及びリタードローラ124から構成される分離搬送ローラ対125とを備えている。カセット121内に収納されたシートSは、所定のタイミングで昇降動作して回転するピックアップローラ122と分離搬送ローラ対125とによって1枚ずつ分離されて給送される。
【0018】
シート搬送装置130は、搬送ローラ対131、レジストローラ対133を備えている。シート給送装置120から給送されたシートSは、搬送ローラ対131によりシート搬送路134を通過させられた後、レジストローラ対133に導かれる。この後、シートSは、レジストローラ対133によって、所定のタイミングで画像形成部110に送り込まれる。
【0019】
なお、後述する多段給送装置200や給送デッキ500から搬送ローラ対201を介して搬送されるシートは、画像形成装置100との接続経路202を介して画像形成装置100内に搬送される。そして、多段給送装置200や給送デッキ500から画像形成装置100内に搬送されたシートは、画像形成装置100内のシート給送装置120から搬送されるシートと同様に、レジストローラ対133を介して所定のタイミングで画像形成部110に送り込まれる。
【0020】
画像形成部110は、感光ドラム111、帯電器112、レーザスキャナ113、現像器114、転写装置115、クリーナ117等を備えている。画像形成時には、感光ドラム111が図の矢印方向に回転駆動され、まず、帯電器112により感光ドラム111の表面が一様に帯電される。そして、画像信号に応じて発光されるレーザスキャナ113からのレーザ光が帯電された感光ドラム111に照射されることで、感光ドラム111上に静電潜像が形成される。さらに、このようにして感光ドラム111上に形成された静電潜像は、この後、現像器114によってトナー像として顕像化される。
【0021】
この後、感光ドラム111上のトナー像は、転写部116において転写装置115によりシートSに転写される。さらに、このようにトナー像が転写されたシートSは、定着装置150に搬送されてトナー像の定着が行われ、この後、排出ローラ151によって機外の排出トレイ152に排出される。
【0022】
シートSの裏面にトナー像を形成する場合には、定着装置150から排出されたシートSを反転搬送路160に搬送する。そして、反転搬送路160により表裏を反転した状態で、シートSを再度、画像形成部110の転写部116に搬送する。裏面にトナー像が転写されたシートSは、定着装置150に搬送され、トナー像の定着が行われた後、排出ローラ151により排出トレイ152に排出される。なお、転写後に感光ドラム111上に残った転写残トナーは、クリーナ117により除去される。
【0023】
[多段給送装置]
引き続き、
図1を用いて多段給送装置200の概要について説明する。多段給送装置200は、複数の収納庫210a~210c、中継搬送装置400等を備える。本実施形態では、3つの収納庫210a~210cを上下に3段並べており、一番下の収納庫210cと上から2番目の収納庫210bとの間に中継搬送装置400を配置している。
【0024】
一番上の収納庫210aから給送されたシートは、搬送経路212に搬送され、上から2番目の収納庫210bから給送されたシートは、搬送経路213に搬送され、一番下の収納庫210cから給送されたシートは、搬送経路214に搬送される。また、中継搬送装置400から搬送されたシートは、搬送経路215に搬送される。搬送経路213は、途中で搬送経路212に合流している。また、搬送経路212,214,215は、合流点216で合流し、搬送経路217を通って搬送ローラ対201に搬送され、接続経路202を介して画像形成装置100に搬送される。
【0025】
また、搬送経路213と合流後の搬送経路212、中継搬送装置400、搬送経路214には、それぞれシートの重送を検知する重送検知センサが配置されている。そして、重送検知センサにより重送が検知されたシートは、搬送経路217まで搬送される。搬送経路217の下方には、重送が検知されたシートを収容する重送シート収容部(エスケープトレイ)218が配置されている。重送が検知され、搬送経路217に搬送されたシートは、搬送経路217に設けられた切換部材219により搬送経路が切り換えられることで、重送シート収容部に搬送される。
【0026】
また、多段給送装置200は、
図2に示されるように制御部203により後述する各部が制御される。制御部203は、CPU230(Central Processing Unit)、不図示のROM(Read Only Memory)、不図示のRAM(Random Access Memory)を有している。また、制御部203は、画像形成装置100の制御部140と通信可能であり、制御部140と通信することでシートの給送タイミングなどを制御する。
【0027】
具体的には、制御部203の制御基板は、
図2に示される、CPU(又はASIC)230、モータドライバ231、センサ入力回路232を有する。CPU230は、シート検知センサ433、434、435などの出力信号によりシートの搬送タイミング、シートのジャムなどの検知を行う。特に本実施形態では、CPU230は、シート検知センサ433、434、435の出力信号に基づいて、後述する各種モータM1~M6の制御を行う。モータM1は搬送ベルト12の駆動を、モータM2、M3は1対の規制ガイド14A、14Bの移動を、モータM4は搬送ローラ対401の駆動を、モータM5は搬送ローラ対402の駆動を、モータM6は搬送ローラ対403の駆動をそれぞれ行う。
【0028】
上流側の給送デッキ500から給送されたシートは、搬送経路512を通って中継搬送装置400に搬送される。また、多段給送装置200は、手差しでもシートが給送可能となっている。手差しで給送されたシートは、搬送経路512に合流する搬送経路510に搬送され、搬送ローラ対511により搬送経路512を介して中継搬送装置400に搬送される。
【0029】
中継搬送装置400は、詳しくは次述するが、搬送ベルト12などを備える位置ずれ補正部410を備える。位置ずれ補正部410のシート搬送方向上流側には、搬送手段としての搬送ローラ対401、位置ずれ補正部410のシート搬送方向下流側には、搬送ローラ対402が配置されている。搬送経路512を搬送されるシートは、搬送ローラ対401により位置ずれ補正部410に送られる。シートは、位置ずれ補正部410でサイドレジ(シート幅方向端縁の位置ずれ)とサイドスキュー(シート搬送方向に対するシートの幅方向端縁の傾き)が補正された後、下流側の搬送ローラ対402に受け渡される。そして、搬送ローラ対402、403により搬送経路215に搬送される。このように、中継搬送装置400は、上流側の給送デッキ500等から搬送されたシートの位置ずれなどを補正し、下流側の画像形成装置100に受け渡す。
【0030】
[中継搬送装置]
次に、シート搬送装置としての中継搬送装置400について説明する。まず、中継搬送装置400の概略構成について、
図3ないし
図8を用いて説明する。中継搬送装置400は、シートを搬送方向(所定の搬送方向Xに搬送する搬送手段(搬送部材)としての搬送ローラ対401によって搬送されたシートを受け取って搬送する。即ち、上流側の搬送ローラ対401から上述の位置ずれ補正部410に受け渡され、シートの位置ずれ補正がされた後に位置ずれ補正部410から下流側の搬送ローラ対402にシートが受け渡される。
【0031】
搬送ローラ対401、402は、
図3に示すように、駆動ローラ及び従動ローラがそれぞれ回転軸線方向に離間した2つのローラ部により構成されている。特に、下流側の搬送ローラ対402の幅(幅方向Yの長さ、
図3に示す、搬送ローラ対402の回転軸線方向に並ぶ2つのローラ部のうちの上側のローラ部の上端と下側のローラ部の下端との間隔)は、搬送ベルト12の幅(幅方向Yの長さ)よりも大きい。位置ずれ補正部410は、搬送ベルト12、複数の球体20、1対の規制ガイド14A、14B、ガイド移動部420等を有する。
【0032】
また、中継搬送装置400は、上述のモータM1、M2、M3、M4、M5、M6の他に、搬送ローラ対402、403の有する駆動ローラと従動ローラとを当接及び離間させる接離機構を駆動するためのモータM7,M8等を有する。
【0033】
搬送ベルト12は、シートを搬送方向Xに搬送する搬送手段(搬送部材)としての搬送ローラ対401の搬送方向Xの下流側(搬送方向下流側)に配置されている。搬送ベルト12は、プーリ11A、11Bに掛け渡された無端状のベルトであり、搬送方向Xにおいて延設される搬送面12Aを有する。片側のプーリ11Aには、駆動源としてのモータM1が接続されており、搬送ベルト12は、モータM1の駆動により回転する。このような搬送ベルト12は、搬送方向Xの上流側の搬送ローラ対401から搬送面12Aに受け渡されたシートを搬送方向Xに向けて搬送する。
【0034】
球体20は、搬送ベルト12の搬送面12Aと対向する位置に搬送方向Xにおいて複数配置されている。球体20は、中心位置がシートの中央基準位置となるように配置されている。即ち、球体20の中心が並んでいる位置は、シートの中央基準位置である。ここで、中央基準位置とは、シート幅方向において、シート幅の異なる第1シートと第2シート(即ち、シートのサイズにかかわらず)が両方とも中央となる位置である。更に言えば、球体20は、1対の規制ガイド14A、14B同士の間隔の中央位置に配置されている。なお、1対の規制ガイド14A、14Bの何れか一方の規制ガイドは固定であっても良い。
【0035】
また、複数の球体20が並ぶ方向は、後述する規制ガイド14A、14Bのガイド面15A(
図7)によるシートのガイド方向と一致する。なお、規制ガイド14A、14Bのガイド方向と搬送ベルト12の搬送方向Xは、略一致している。
【0036】
本実施形態では、複数の球体20は、搬送ベルト12の上方に配置されている。複数の球体20は、搬送面12Aとの間でシートを挟持しつつ、任意方向に回転可能である。このために、複数の球体20は、それぞれ搬送ベルト12の上方に設けられた保持板18に任意方向に回転自在に保持されている。即ち、保持板18は、
図3及び
図4に示すように、搬送ベルト12の上方に、搬送面12Aと所定距離離れた位置に搬送方向Xにおいて配置された長尺の板であり、搬送方向Xに互いに間隔をあけて複数の保持穴18Aを有する。そして、保持穴18Aにそれぞれ球体20を回転自在に保持している。
【0037】
球体20は、
図5に示すように、保持穴18Aから露出し、搬送ベルト12の搬送面12A上に載置され、任意の方向に回転自在とされている。球体20は、それぞれ自重により搬送面12Aに当接している。なお、球体20の個数は、搬送ベルト12上を搬送されるシートに対して必要とされる押し付け力に応じて設定すればよい。また、球体20は、シートが後述するように搬送ベルト12上でスリップしながら搬送されることから、摩擦係数が比較的低いガラスやプラスチックなどの材料で構成されることが好ましい。なお、本実施形態では、複数の球体20を搬送方向Xに沿って1列に並べた構成について説明したが、複数の球体20を2列など複数の列にそれぞれ搬送方向Xに並べて配置するようにしても良い。
【0038】
図6を用いて、より詳しく説明する。中継搬送装置400は、複数の球体20を回転自在に保持する保持板18と、その下方に配置された搬送ベルト支持部材481とを有する。搬送ベルト支持部材481は、保持板18と同様に、搬送方向Xに沿って延長する長尺の板部材からなる。
図6に示すように、搬送ベルト支持部材481は、シート幅方向の中央部分482が上向きに突出して、比較的狭幅の平坦な搬送ベルト支持面483を、搬送方向Xの略全長に亘って形成している。搬送ベルト支持部材481は、搬送ベルト支持面483のシート幅方向中央位置に球体20が位置するように、保持板18と上下に対向させて配置される。
【0039】
なお、球体20は1対の規制ガイド14A、14B同士の間隔の中央位置で、且つ、搬送ベルト支持面483のシート幅方向中央位置に配置されることが望ましいが、搬送ベルト支持面483と対向する位置であれば多少のずれは許容できる。
【0040】
搬送ベルト支持部材481は、中央部分482のシート幅方向両側の側辺部分484が、搬送ベルト12のシート幅方向両側端よりも外側に幾分延在し、それらの外側端が下向きに折曲されて、中継搬送装置400の下側枠体485に固定されている。下側枠体485は、搬送方向Xの両端に、それぞれシート幅方向外側に延在する取付端壁片485a、485bを有し、該取付端壁片485a、485bにおいて、止めねじ等の適当な止め手段で、中継搬送装置400側(例えば、筐体470(後述する
図9)に固定されている。このような搬送ベルト支持部材481で搬送ベルト12を支持することで、搬送ベルト12の中央部12Bが搬送ベルト支持部材481の中央部分482によって押し上げられ、上下方向に対向する無端状の搬送ベルト12の中央部同士の距離が搬送ベルト12の端部同士の距離よりも長い関係となっている。
【0041】
保持板18は、
図6に示すように、中継搬送装置400の上側枠体486上に固定されている。上側枠体486は、搬送方向Xの両端に、それぞれシート幅方向外側に延在する取付端壁片486a、486b、486c、486dを有し、該取付端壁片486a~486dにおいて、止めねじ等の適当な止め手段で、中継搬送装置400側(例えば、筐体470)に固定されている。これにより、保持板18と搬送ベルト支持部材481とは、複数の球体20が、搬送ベルト支持面483のシート幅方向中央位置で、搬送ベルト12の搬送面12A上に回転自在に保持される位置関係が維持される。
【0042】
搬送ベルト支持部材481には、シート幅方向両側の側辺部分484上に、搬送方向Xに沿って複数の阻止部材490が配設されている。阻止部材490は、シート幅方向の外端が、搬送ベルト12のシート幅方向両側端部よりも外側に所定の幅だけ延出している。阻止部材490のシート幅方向の外端には、外向きの阻止面491が設けられており、例えば封筒のジャム処理を行う際に封筒のフラップ部分が阻止面491に係合することで搬送ベルト12に引っ掛かることを防止している。
【0043】
1対の規制ガイド14A、14Bは、搬送方向Xと交差するシート幅方向Y(本実施形態では搬送方向と直交する方向)に関して、搬送ベルト12の両側に配置されている。そして、1対の規制ガイド14A、14Bは、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートのシート幅方向Yの両端縁(シート幅方向両端縁)をガイド可能である。即ち、シート幅方向Yに関して片側(装置の手前側)に配置された規制ガイド14Aは、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートのシート幅方向片側の端縁をガイド可能である。また、シート幅方向Yに関して他側(装置の奥側)に配置された規制ガイド14Bは、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートのシート幅方向他側の端縁をガイド可能である。なお、シート幅方向Yの片側(手前側)とは、画像形成システム1000を操作する側である。
【0044】
1対の規制ガイド14A、14Bは、
図7に示すように、それぞれ側板部15と、下板部16と、上板部17と、を有し、これら各板部15、16、17で囲まれる空間内に、搬送ベルト12で搬送されるシートSの端部が侵入可能としている。1対の規制ガイド14A、14Bは、後述するガイド移動部420によりガイド位置と、退避位置との移動可能に、支持軸421A、421B(
図4参照)に支持されている。支持軸421A、421Bは、それぞれシート幅方向Yと略平行に配置され、1対の規制ガイド14A、14Bの搬送方向Xの端部側を支持している。1対の規制ガイド14A、14Bは、支持軸421A、421Bに沿ってシート幅方向Yに移動可能である。
【0045】
側板部15は、ガイド位置において、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSのシート幅方向Yの端縁(シート幅方向端縁)と対向するガイド面15Aを有する。ガイド面15Aは、搬送方向Xと平行に配置されている。また、ガイド面15Aは、搬送方向X及びシート幅方向Yにそれぞれ直交する面、本実施形態では、略鉛直方向に沿った面である。
【0046】
下板部16は、側板部15と直交するように配置され、ガイド位置において、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSのシート幅方向Yの端縁を支持する支持面16Aを有する。支持面16Aは、ガイド面15Aの鉛直方向下端部から略水平方向に延設されている。また、支持面16Aは、搬送ベルト12の搬送面12Aよりも鉛直方向下方に位置する。
【0047】
ここで、仮に、支持面16Aと搬送面12Aとが同一の高さ、又は、支持面16Aの方が搬送面12Aよりも鉛直方向上方に位置する場合を考える。この場合、厚紙などの剛度の高いシートSが
図7に示すように下にカール状態(幅方向Yの両端縁が中央よりも下がった状態)で、搬送ベルト12と球体20の間に搬送されてくると、シートSの幅方向Yの両端縁が支持面16Aに支持される。この際、シートSの幅方向Yの中央部が持ち上げられた状態(ブリッジした状態)になり、球体20を押し上げてしまう。この結果、搬送ベルト12と球体20は離間した状態になり、搬送ベルト12の搬送力がシートSに伝わらず、搬送不良が生じる虞がある。このため、本実施形態では、支持面16Aは、搬送ベルト12の搬送面12Aよりも鉛直方向下方に配置するようにしている。
【0048】
上板部17は、支持面16Aと対向して配置される対向面17Aを有する。対向面17Aは、ガイド位置において、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSのシート幅方向Yの端縁の上方に位置する。また、対向面17Aは、支持面16Aと略平行に形成されている。
【0049】
更に、第1規制ガイド及び第2規制ガイドとしての規制ガイド14A、14Bの詳しい構成について、
図8(a)~(d)を用いて説明する。なお、
図8(a)~(d)では、片側の規制ガイド14Aのみを示すが、他側の規制ガイド14Bも同様の構成を有する。
図7に示したように、規制ガイド14Aは、ガイド面15Aを有する側板部15と、支持面16Aを有する下板部16と、対向面17Aを有する上板部17とを有する。
【0050】
図8(a)、(b)に示すように、下板部16及び上板部17は、規制ガイド14Aの長手方向ほぼ全域に亙って連続して設けられている。規制ガイド14Aは、
図3などに示したように、搬送方向Xと略平行に配置されているため、下板部16及び上板部17が搬送方向Xに関して連続している範囲を所定領域Aとする。したがって、本実施形態では、下板部16の支持面16A及び上板部17の対向面17Aは、搬送方向Xに関して所定領域Aに亙って連続して設けられている。所定領域Aは、位置ずれ補正部410によりシートが搬送される領域のほぼ全域である。
【0051】
一方、側板部15は、
図8(a)~(c)に示すように、所定領域Aよりも短い領域であるガイド領域Bに亙って連続して設けられている。本実施形態では、側板部15の搬送方向Xの上流端(搬送方向上流端)B1が、所定領域Aの搬送方向Xの上流端A1よりも下流側に位置する。即ち、側板部15のガイド面15Aの搬送方向Xの上流端B1は、所定領域Aの上流端A1よりも下流側に位置する。また、ガイド面15Aは、搬送方向Xに関して所定領域Aの下流端A2まで連続して設けられている。したがって、側板部15の搬送方向Xの下流端B2の位置と、所定領域Aの搬送方向Xの下流端A2の位置とは、搬送方向Xに関してほぼ同じ位置である。
【0052】
本実施形態では、側板部15の上流端B1よりも上流側には、切り欠き19Cが設けられている。そして、この切り欠き19Cの一部には、側板部15よりもシート幅方向Yの外側に位置する外側板部19を配置している。シート幅方向Yの外側とは、シート幅方向Yに関して搬送ベルト12よりも離れる側である。このため、
図8(c)に示すように、外側板部19の内側面19Aは、側板部15の内側面であるガイド面15Aよりもシート幅方向Yの外側に位置する。また、搬送方向Xに関して、外側板部19と側板部15との間には、下流に向かう程、側板部15に近づくように傾斜した傾斜板部19Bが設けられている。
【0053】
1対の規制ガイド14A、14Bは、それぞれ上述のように構成されることで、搬送方向Xの上流側の外側板部19の内側面19A同士の幅方向Yの間隔が、側板部15のガイド面15A同士の幅方向Yの間隔よりも広くなっている。このため、詳しくは後述するように、上流側の搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡されたシートの幅方向Yの両端縁は、搬送方向Xの上流側では内側面19A同士の間に位置し、下流側に搬送されることでガイド面15A同士の間に位置する。
【0054】
なお、外側板部19や傾斜板部19Bは、省略しても良い。但し、仮に、上流側の搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡されたシートの幅方向Yの端部が切り欠き19C内に位置した場合、シートが更に搬送された場合に、シートの端部が側板部15の上流端B1に引っ掛かる虞がある。このため、本実施形態では、外側板部19及び傾斜板部19Bを設け、シートが正規の位置から幅方向Yにずれて搬送されてきた場合にも、外側板部19でその位置を規制し、更に傾斜板部19Bによりシートの端部を側板部15のガイド面15Aに導くようにしている。
【0055】
ガイド移動手段としてのガイド移動部420は、
図3及び
図4に示すように、1対の規制ガイド14A、14Bのうちの片側の規制ガイド14Aを移動させる第1移動部420Aと、他側の規制ガイド14Bを移動させる第2移動部420Bとを有する。これにより、ガイド移動部420は、一対の規制ガイド14A、14Bを、シートの前記シート幅方向両端縁をガイドするガイド位置と、ガイド位置よりもシートのシート幅方向両端縁から退避した退避位置とに移動可能である。また、ガイド移動部420は、規制ガイド14Aを移動させる駆動力を発生させる駆動手段としてのモータM2、他側の規制ガイド14Bを移動させる駆動力を発生させる駆動手段としてのモータM3を有する。
【0056】
第1移動部420Aは、1対のプーリ422A、423Aと、両プーリ422A、423Aに掛け渡された駆動ベルトとしての無端状のベルト424Aと、ベルト424Aと規制ガイド14Aとを接続する接続部425Aとを有する。また、ベルト424Aは、複数の球体20の間を通るようにかけ渡されている。同様に、第2移動部420Bは、1対のプーリ422B、423Bと、両プーリ422B、423Bに掛け渡された駆動ベルトとしての無端状のベルト424Bと、ベルト424Bと他側の規制ガイド14Bとを接続する接続部425Bとを有する。また、ベルト424Bは、複数の球体20の間を通るようにかけ渡されている。
【0057】
また、
図3に示すように、第1移動部420Aは駆動手段としてのモータM2に、第2移動部420Bは駆動手段としてのモータM3にそれぞれ駆動される。即ち、本実施形態の場合、1対の規制ガイド14A、14Bを移動させる駆動手段としてのモータを別々とし、1対の規制ガイド14A、14Bは、それぞれ独立して移動可能となっている。このために、第1移動部420Aのプーリ422Aは、連結軸426Aを介してプーリ427Aと連結されており、プーリ427Aは、モータM2に回転駆動されるプーリとの間ベルト428Aを掛け渡されている。言い換えると、ベルト424Aは、規制ガイド14Aをシート幅方向Yに関して移動させるために、シート幅方向Yにおいて延設されている。そして、モータM2の回転駆動が、ベルト428A、プーリ427A、連結軸426A、プーリ422Aを介してベルト424Aに伝達される。上述のように、ベルト424Aには、接続部425Aを介して規制ガイド14Aが接続されているため、モータM2の駆動により、規制ガイド14Aが、支持軸421A、421Bに沿ってシート幅方向Yに移動する。
【0058】
また、本実施形態の場合、
図4及び
図5に示すように、ベルト424Aは、球体20に対して搬送ベルト12の反対側で、且つ、搬送面12Aに直交する方向から視て隣り合う球体20の間に位置するように配置されている。また、ベルト424Aは、搬送方向から視て、搬送ベルト12側の一部が複数の球体20に重なるように配置されている。
【0059】
同様に、第2移動部420Bのプーリ422Bは、連結軸426Bを介してプーリ427Bと連結されており、プーリ427Bは、モータM3に回転駆動されるプーリとの間でベルト428Bを掛け渡されている。言い換えると、ベルト424Bは、規制ガイド14Bをシート幅方向Yに関して移動させるために、シート幅方向Yにおいて延設されている。そして、モータM3の回転駆動が、ベルト428B、プーリ427B、連結軸426B、プーリ422Bを介してベルト424Bに伝達される。上述のように、ベルト424Bには、接続部425Bを介して他側の規制ガイド14Bが接続されているため、モータM3の駆動により、他側の規制ガイド14Bが、支持軸421A、421Bに沿ってシート幅方向Yに移動する。
【0060】
また、本実施形態の場合、
図4及び
図5に示すように、ベルト424Bも、球体20に対して搬送ベルト12の反対側で、且つ、搬送面12Aに直交する方向から視て隣り合う球体20の間に位置するように配置されている。また、ベルト424Bは、搬送方向から視て、搬送ベルト12側の一部が複数の球体20に重なるように配置されている。
【0061】
このようにモータM2、M3を駆動することで、規制ガイド14A、14Bをそれぞれガイド位置や退避位置に移動させている。本実施形態の場合、モータM2、M3は、パルスモータ(ステッピングモータ)としており、規制ガイド14A、14Bの位置は、モータに送るパルス数により制御している。また、規制ガイド14A、14Bは、それぞれホームポジションを有し、ホームポジションにはそれぞれ規制ガイド14A、14Bを検知するセンサを設けている。このため、ホームポジションで規制ガイド14A、14Bの位置を検知し、その後は、モータに送るパルス数により規制ガイド14A、14Bをガイド位置や退避位置に移動させるようにしている。
【0062】
本実施形態では、規制ガイド14A、14Bのホームポジションと最大幅サイズのシート受け入れ位置が同じとしている。即ち、規制ガイド14A、14Bは基本的に、ホームポジション、待機位置(シート受け入れ位置)、ガイド位置に移動可能である。なお、ガイド位置は、例えば、シートのシート幅方向Yの端部から0.5mmの位置であるが、シートによって異なる。通常、ホームポジション、待機位置、ガイド位置の順で規制ガイド14A、14Bの間隔は狭くなる。但し、本実施形態では、最大シート幅(例えば、シート幅(シート幅方向Yの長さ)が330.2mm)のシートの場合は、ホームポジションと待機位置とを同じにしている。これにより、装置サイズを小さくすることができる。
【0063】
即ち、最大シート幅のシートを受け入れる場合、規制ガイド14A、14Bは、以下のように動作する。まず、ホームポジションを検知するセンサの検知結果に基づいて、規制ガイド14A、14Bをホームポジションに位置づける。この状態でシートを受け入れる。即ち、ホームポジションと待機位置を同じとしている。次に、規制ガイド14A、14Bをガイド位置に位置づけてシートを規制する。更に、次のシートを受け入れるために待機位置(=ホームポジション)に位置づけるが、その際にホームポジションセンサの出力は無視する。つまり、最初にホームポジションセンサを通過してからはパルスカウントで、規制ガイド14A、14Bの位置管理を行う。ジョブがすべて終わって異なる幅のシートを搬送する場合には、再びホームポジションセンサの出力を見て、適切な待機位置に規制ガイド14A、14Bを位置づける。
【0064】
なお、本実施形態の場合、駆動手段としての、上述のモータM1、M2、M3、M5、M7、M8は、他側の規制ガイド14B側に配置している。特に、搬送方向Xに関して、位置ずれ補正部410のシートの搬送範囲内にあるモータについては、搬送ベルト12よりも奥側(リア側、他側の規制ガイド14B側)に配置することが好ましい。これは、本実施形態の場合、手前側(フロント側、片側の規制ガイド14A側)からジャムしたシートを取り除くようにしているためである。
【0065】
また、本実施形態の場合、
図4及び
図5に示すように、上流側の搬送ローラ対401と搬送ベルト12との間に、シートの重送を検知する重送検知センサ430を配置している。重送検知センサ430は、例えば、超音波によりシートが2枚以上重なって搬送されたことを検知するセンサである。多段給送装置200の制御部203(
図1)は、重送検知センサ430によりシートの重送を検知した場合には、重送シートを中継搬送装置400、搬送経路215、217を介して上述した重送シート収容部218に搬送する。
【0066】
また、本実施形態の場合、
図4に示すように、シート幅方向Yに関して、搬送ベルト12と1対の規制ガイド14A、14Bの間に、搬送ベルト12により搬送されるシートの下面と対向する対向部材450、460を配置している。対向部材450、460は、仮に、シートの端部が規制ガイド14A、14Bの何れかに支持されずに搬送された場合に、そのシートの端部を支持する。
【0067】
このように構成される中継搬送装置400は、搬送方向Xの上流の搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡されたシートを、搬送ベルト12と球体20によって挟持する。そして、搬送ベルト12の回転によりシートを搬送する。この際、詳しくは後述するように、搬送ベルト12に搬送されるシートの幅方向Yの両端を1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15Aに突き当てる。シートは、ガイド面15Aへ突き当てられると、両側端をガイド面15Aに沿わせつつ搬送ベルト12との間でスリップしながら、ガイド面15Aと平行な方向に搬送される。この際、搬送ベルト12との間でシートを球体20により挟持しており、球体20は、任意方向に回転可能であるため、シートは、搬送ベルト12上を任意方向にスリップしながら移動可能である。これにより、シートのサイドレジ及びサイドスキューが補正される。
【0068】
[ジャム処理]
次に、本実施形態に係る中継搬送装置400におけるジャム処理について、
図5及び
図9を用いて、説明する。
図5に示すように、本実施形態の中継搬送装置400では、シートのジャムを検知するために複数のシート検知センサ433、435、436を有する。なお、シートのジャムとは、シートが搬送路において詰まるなどして滞留してしまうことである。上流側検知手段としてのシート検知センサ433は、搬送ベルト12の搬送方向Xの上流側(搬送方向上流側)に配置され、シートの有無を検知する。シート検知センサ433は、搬送ベルト12と搬送ローラ対401との間に配置される。
【0069】
検知手段としてのシート検知センサ435は、搬送ベルト12の搬送方向Xの下流側(搬送方向下流側)に配置され、シートの有無を検知する。シート検知センサ435は、搬送ベルト12の下流側に配置された搬送ローラ対402と搬送ローラ対403との間に配置されている。検知手段としてのシート検知センサ436は、シート検知センサ435の搬送方向Xの下流側に配置され、シートの有無を検知する。シート検知センサ436は、搬送ローラ対403の下流に配置されている。シート検知センサ435、436は、下流側検知手段に相当する。
【0070】
次に、中継搬送装置400の搬送部480においてジャムしたシートへのアクセスのための構成について、説明する。中継搬送装置400は、
図9に示すように、上述の位置ずれ補正部410を収容する筐体470を有する。筐体470は、シート幅方向Yの片側(幅方向片側)に、筐体470内のシートを取り出すための開口部471が形成されている。開口部471は、シート幅方向Yに関して規制ガイド14A側(第1の規制ガイド側)に設けられ、主として、搬送ベルト12上で停止した(ジャムした)シートを取り出すための開口である。
【0071】
ここで、シート幅方向Yの片側とは、画像形成システム1000を操作する側、即ち、装置の手前側である。開口部471は、筐体470の手前側の側板472に形成されており、操作者の手を挿入可能な高さ及び幅を有する。また、開口部471の搬送方向Xの長さは、対向部材450の搬送方向Xの長さよりも長くしている。
【0072】
また、開口部471は、
図9に示すように、搬送ベルト12の下方に位置する。また、開口部471は、搬送ベルト12に対して、ベルト424A、424Bとは反対側に、且つ、幅方向Yの片側に設けられている。一方、
図3に示すように、ガイド移動部420を構成する第1移動部420A及び第2移動部420Bは、搬送ベルト12よりも上方に配置されている。第1移動部420A及び第2移動部420Bは、上述したように、プーリ422A、423A、422B、423B、ベルト424A、424B、接続部425A、425Bを有する。
【0073】
ここで、開口部471が仮に、搬送ベルト12に対して第1移動部420A及び第2移動部420Bと同じ側にあった場合、シートを取り出す際にこれら第1移動部420A及び第2移動部420Bが邪魔になる可能性がある。このため、本実施形態では、開口部471を、搬送ベルト12に対して、第1移動部420A及び第2移動部420Bと反対側に設けている。
【0074】
なお、上述のように、本実施形態の場合、上述の搬送ベルト12を駆動するモータM1、規制ガイド14A、14Bを移動させるモータM2、M3、モータM5、M7、M8は、
図3に示すように、他側の規制ガイド14B側に配置している。言い換えると、モータM1、M2、M3、M5、M7、M8は、搬送ベルト12に対して、ベルト424A、424Bとは反対側に、且つ、幅方向Yに関して開口部471とは反対側に設けられている。このように各モータを開口部471と反対側に設けることで、開口部471からジャムしたシートを取り除く際に、各モータが邪魔になることがなく、ジャムしたシートを取り易くできる。
【0075】
多段給送装置200の制御部203(
図1)は、シート検知センサ433、435、436などの各種シート検知センサの検知信号に基づいて、搬送路においてシートがジャムしたか否かを判断する。そして、制御部203は、シートがジャムしたと判断した場合には、シートの搬送を停止し、画像形成システム1000に設けられた液晶パネルなどの表示部1001(
図1)などにシートがジャムしたこと、及び、ジャムした個所を表示する。この際、ユーザやサービスマンなどの操作者に該当箇所の扉を開けるように促す。そして、操作者は、該当箇所の扉を開け、上述の開口部471から筐体470内にアクセスして、ジャム処理を行う。
【0076】
[シート搬送動作]
次に、本実施形態の中継搬送装置400におけるシート搬送動作の具体例について、
図3ないし
図5などを参照しつつ、
図10(a)~(d)を用いて説明する。本実施形態では、制御部203が、シートの搬送状態に応じてモータM2、M3を制御して、1対の規制ガイド14A、14Bのシート幅方向Yの位置を変更するようにしている。上述したように、モータM2、M3を制御することでガイド移動部420(
図3)を駆動して、1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置及び退避位置に移動させることができる。
【0077】
ここで、ガイド位置は、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15Aが、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートの幅方向Yの端縁をガイド可能な位置である。本実施形態では、ガイド位置は、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15A同士(ガイド面同士)の距離が、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートのシート幅方向Yの長さよりも長くなる位置である。
【0078】
具体的には、シートの幅方向Yの中央位置と、両側のガイド面15A同士の中央位置とが一致する状態で、且つ、シートの幅方向Yの端縁がガイド面15Aと平行な状態(中央基準)で、シートが搬送された場合に、シートの幅方向Yの端縁とガイド面15Aとが所定の間隔となる位置がガイド位置である。この所定の間隔は、装置によって適宜設定可能であるが、この間隔内でシートがずれてもシートとシートに形成される画像とのずれが許容できるような間隔である。この所定の間隔は、例えば、0.5mmである。即ち、ガイド位置では、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15Aが、シートの幅方向Yの端縁よりもそれぞれ0.5mm離れた位置である。このガイド位置は、制御部203がシートサイズに応じて適宜変更可能である。
【0079】
このようにガイド位置において、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15A同士の距離が、シートのシート幅方向Yの長さよりも長くなる位置に、1対の規制ガイド14A、14Bを位置させているため、搬送ベルト12により搬送されるシートの搬送負荷を抑制できる。例えば、ガイド面同士の距離をシートの幅方向Yの長さと同じとした場合、シートの端部がガイド面と摺擦しながらシートが搬送されることになり、搬送抵抗が大きくなってしまう。特に、本実施形態では、搬送ベルト12と球体20によりシートを挟持しながら搬送しているため、搬送ベルト12と球体20とによりシートを挟持するニップ圧が小さい。このため、シートの搬送抵抗が大きいとシートの搬送に遅延が生じたり、シートの搬送が停止するなどの搬送不良が生じ易くなる虞がある。このため、本実施形態では、ガイド位置において上述のように1対の規制ガイド14A、14Bを位置させることで、シートの搬送抵抗を抑制するようにしている。
【0080】
なお、上述のようにシートを中央基準で搬送して、後述するようにシートのサイドレジやサイドスキューを補正する(整合動作を行う)ことが好ましい。これは、本実施形態では、搬送ベルト12と球体20の間でシートをスリップさせて、該シートを回転させながら、サイドスキューの補正を行うためである。即ち、シートSの重心と規制ガイド14A、14Bの中央部が略一致する位置(中央基準)において整合動作を開始することで、整合動作時にシートへのダメージを軽減できる。
【0081】
一方、退避位置とは、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15Aが、ガイド位置よりもシートの幅方向Yの端縁から退避した位置である。言い換えれば、退避位置における1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15A同士の幅方向Yの間隔は、ガイド位置における1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15A同士の幅方向Yの間隔よりも広い。
【0082】
本実施形態では、上述の中央基準で搬送されるシートの幅方向Yの端縁との間隔が5mmとなる位置を退避位置としている。なお、規制ガイド14A、14Bが退避位置にある状態でシートSが搬送ベルト12に受け渡されるが、この状態でシートSの上下方向の移動は支持面16Aと対向面17Aとによって規制される。これにより、シートSがカールしていても規制ガイド14A、14Bが退避位置からガイド位置に移動する際にシートSの両端縁をガイド面15A、支持面16Aおよび対向面17Aに囲われた領域内に収めることができる。
【0083】
本実施形態では、搬送ベルト12にシートが受け渡される前は1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置に位置させておく。そして、シートの先端が搬送ベルト12に受け渡され、且つ、シートの後端が上流側の搬送ローラ対を通過した後に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させる。具体的には、シートの後端が、搬送ベルト12と搬送ローラ対401との間に配置されたシート検知センサ433を通過したら、退避位置からガイド位置に向けて1対の規制ガイドの移動を開始させる。そして、1対の規制ガイド14A、14bがガイド位置にてシートを案内することで、シートのサイドレジ及びサイドスキューを補正するようにしている。
【0084】
ここで、
図10(a)~(d)を用いて、2枚のシートS1、S2が連続して中継搬送装置400に搬送される場合における、本実施形態の1対の規制ガイド14A、14B及び搬送ベルト12の動作の具体例について説明する。まず、
図10(a)に示すように、制御部203は、上流側の搬送ローラ対401から搬送ベルト12に1枚目のシートS1が搬送される場合には、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置に移動させておく。これは、シートS1が搬送ベルト12に受け渡された際に、1対の規制ガイド14A、14Bがガイド位置にあった場合、シートS1が斜行していたり、幅方向Yに位置ずれしていたりすると、シートS1の端部が規制ガイド14A、14Bの何れかと干渉して、シートS1の搬送不良が発生する虞があるためである。
【0085】
次に、
図10(b)に示すように、制御部203は、搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡された1枚目のシートS1の後端(上流端)がシート検知センサ433を通過した後に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させる。本実施形態では、搬送ベルト12に受け渡されたシートS1が、所定領域A内(
図8(b)、所定領域内)にある状態で、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させている。これにより、シートS1のサイドレジやサイドスキューの補正(整合動作)を行う。
【0086】
即ち、規制ガイド14A、14Bは、シートS1が搬送方向Xの上流側にある場合、退避位置に位置し、シートS1の両端縁はガイド面15Aから離間されている。そして、シートS1が更に下流側に搬送され、シートS1の後端が搬送ローラ対401を通過した後、規制ガイド14A、14Bがガイド位置に移動する。そして、シートS1の幅方向Yの両端縁にガイド面15Aを当接させる。シートS1は、ガイド面15Aへ突き当てられると、端縁をガイド面15Aへ沿わせつつ搬送ベルト12との間でスリップしながら、ガイド面15Aと平行な方向に搬送される。これにより、シートS1のサイドレジ及びサイドスキューが補正される。
【0087】
本実施形態では、制御部203は、シートが搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されている最中に、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させるようにしている。これにより、シートの搬送を止めることなくシートのサイドレジやサイドスキューなどの補正を行うことができ、生産性を高めることができる。但し、シートの搬送を一旦止めてから、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置からガイド位置に移動させる整合動作を行うようにしても良い。この場合、生産性は低下するが、位置ずれの補正などをより確実に行うことができる。
【0088】
次に、
図10(c)に示すように、シートS1が1対の規制ガイド14A、14Bの少なくとも何れかと当接して引っ掛かり、搬送ベルト12が駆動しているにも拘らずシートが搬送されていない状態になったとする。制御部203は、1対の規制ガイド14A、14Bがガイド位置に移動してから第1所定時間経過しても、下流側のシート検知センサ435がシートを検知しない場合には、搬送ベルト12の駆動を継続したまま、上流側の搬送ローラ対401、511の駆動を停止する。
【0089】
この際、2枚目のシートS2の先端が搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡されているが、シートS2は、搬送ローラ対401、511に挟持されている状態なので、搬送ベルト12が駆動されていても、搬送ローラ対401、511の駆動停止により搬送が停止される。ここで、1対の規制ガイド14A、14Bはガイド位置に位置した状態であるが、シートS2は、1対の規制ガイド14A、14Bに上流側に形成された切り欠き19C(
図8(a))に収まる位置で停止する。言い換えれば、第1所定時間は、後続のシートS2が、1対の規制ガイド14A、14Bの切り欠き19C内で停止するような時間に設定されている。第1所定時間(所定時間)は、例えば、500msである。
【0090】
即ち、本実施形態では、1枚目のシートS1が1対の規制ガイド14A、14Bにガイドされている最中に、2枚目のシートS2の所定領域A内への侵入を開始している。このため、先行のシートS1が引っ掛かって搬送されていない状態でも、後続のシートS2が所定領域A内に進入してしまう。このため、シートS1の搬送が停止したり遅くなっても、シートS2が切り欠き19C内で停止するようにしている。
【0091】
上述の
図8(a)~(d)で説明したように、切り欠き19Cには、ガイド面15Aよりも外側に位置する内側面19Aが位置する。したがって、1対の規制ガイド14A、14Bがガイド位置にある状態であっても、内側面19A同士の間隔はガイド面15A同士の間隔よりも広い。このため、この状態で2枚目のシートS2が斜行したり、幅方向Yに位置ずれしたりしつつ所定領域A内に侵入しても、シートS2の端部が1対の規制ガイド14A、14Bと干渉しにくい。このため、本実施形態では、2枚目のシートS2を上述のようなタイミングで搬送しても、シートの搬送不良が生じにくく、且つ、生産性を高めることができる。
【0092】
一方、制御部203は、1対の規制ガイド14A、14Bがガイド位置に移動してから第1所定時間経過しても、下流側のシート検知センサ435がシートを検知しない場合には、搬送ベルト12の駆動を継続したまま、1対の規制ガイド14A、14Bをガイド位置から退避位置に移動させる。これによりシートS1が規制ガイドから離れ、
図10(d)に示すように、搬送ベルト12により搬送される。そして、下流側のシート検知センサ435がシートS1を検知すると、そのまま、搬送を継続すると共に、搬送ローラ対401、511の駆動を開始して、シートS2の搬送を再開する。
【0093】
このように本実施形態の場合、搬送ベルト12に受け渡されたシートが、ガイド位置に1対の規制ガイド14A、14Bの何れかと当接して引っ掛かっても、1対の規制ガイド14A、14Bを退避位置に移動させることで、この引っ掛かりを解消できる。搬送ベルト12は駆動されたままであるため、引っ掛かりが解消されたシートは下流に搬送される。これにより、制御部203がジャムと判断することなく、シートの搬送が継続され、生産性の低下を抑制できる。
【0094】
なお、1対の規制ガイド14A、14Bが退避位置に移動してから第2所定時間経過してもシート検知センサ435がシートを検知しない場合には、シートがジャムしていると判断し、搬送ベルト12の駆動、その他のシート搬送に関する駆動を停止する。引き続いて、上述のように画像形成システム1000に設けられた表示部1001(
図1)などにシートがジャムしたこと、及び、ジャムした箇所を表示し、操作者は、それに従い該当箇所の扉を開き、開口部471から筐体470内にアクセスして、ジャム処理可能である。なお、第2所定時間は、第1所定時間よりも短くても、長くても、或いは、第1所定時間と同じでもよいが、第1所定時間よりも短く設定することが好ましい。例えば、第2所定時間は、100msである。
【0095】
上述のように、本実施形態では、搬送ベルト12と球体20でシートを挟んで搬送しつつ、1対の規制ガイド14A、14Bとを退避位置からガイド位置に移動させることでシートの幅方向Yの位置ずれを補正している。本実施形態に係る中継搬送装置400では、1対の規制ガイド14A、14Bはベルト424A、424Bによって駆動されているが、このような駆動ベルトを用いて規制ガイドを駆動させる構成では、駆動ベルトの配置によっては装置が大型化する虞がある。例えば、上方から視て、駆動ベルトが球体と重なるように配置されている場合、上下方向(搬送面に直交する方向)に関して、駆動ベルトと球体とが互いに干渉しないように間隔をあける必要があり、装置が大きくなる。
【0096】
このため、本実施形態では、ベルト424A、424Bを、上方から視て、隣り合う球体20の間に位置するようにして、ベルト424A、424Bが球体20と重ならないように配置することで、ベルト424A、424Bを、上下方向に関して球体20により近づけて配置することができ、装置の小型化を図れる。更に、本実施形態では、搬送方向から視てベルト424A、424Bの一部が球体20に重なるように配置している。このため、ベルト424A、424Bをより搬送ベルト12に近づけて配置することができ、装置の小型化をよりを図ることができる。以上より、本実施形態では、装置の大型化を抑制しつつ、シートの幅方向の位置ずれを補正できる。
【0097】
<他の実施形態>
上述の実施形態では、中継搬送装置400を制御する制御部203を多段給送装置200に設けたが、これらの制御を画像形成装置100の制御部140により行うようにしても良い。また、中継搬送装置400に中継搬送装置400の各部を制御する制御部を設けても良い。更に、シート搬送装置は、上述の中継搬送装置に関らず、シートの位置ずれを行えるシート搬送装置であれば、他の構成であっても良い。
【0098】
また、上述の実施形態では、上流側のシート検知センサ433をシートの後端が通過したら、1対の規制ガイド14A、14Bのガイド位置への移動を開始した。但し、シートの後端が搬送ローラ対401を抜けたときに1対の規制ガイド14A、14Bのガイド位置への移動を開始しても良い。例えば、シート検知センサ433が省略されている場合や、搬送ローラ対401の上流側に設けられたシートの有無を検知するセンサの検知結果によりシートの搬送位置が判断できる場合には、このようなタイミングで規制ガイド14A、14Bの移動開始を行うようにしても良い。
【符号の説明】
【0099】
S・・・シート/X・・・搬送方向/Y・・・シート幅方向/12・・・搬送ベルト/12A・・・搬送面/14A、14B・・・規制ガイド/20・・・球体/400・・・中継搬送装置(シート搬送装置)/401・・・搬送ローラ対(搬送手段)/420・・・ガイド移動部(ガイド移動手段)/424A、424B・・・ベルト(駆動ベルト)/471・・・開口部/M1、M2、M3、M5、M7、M8・・・モータ(駆動手段)