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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039840
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】ベッド
(51)【国際特許分類】
   A47C 19/04 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
A47C19/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145087
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】507242226
【氏名又は名称】オリジン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154210
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】北原 義之
(57)【要約】
【課題】単純な機構で寝台を上下に移動させることのできるベッドを提供すること。
【解決手段】アーム固定部部材(アーム支持部材)の2か所で軸支され、垂直面内で回動する2本のアームと、2本のアームの軸支端以外の他端を接合して距離を保つ接合部材と、2本のアームの上方の1本に下側から係止される寝台とを備えるベッドを提供する。アームが回動することによって、寝台を上下に移動させることができる。アームが1本のみであると、寝台(及びその上の人体)の重量に対する耐性が不十分なので、2本のアームの間のアーム支持部材及び接合部材によって耐性を保つ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム支持部材の2か所で軸支され、垂直面内で回動する2本のアームと、
前記2本のアームの軸支端以外の他端を軸支して距離を保つ接合部材と、
前記アーム、前記接合部材、又はこれらに接続された接合板に係止される寝台とを備えることを特徴とする、ベッド。
【請求項2】
前記2本のアームが同長であり、前記接合部材の長さが前記軸支される2か所の距離に等しいことを特徴とする、請求項1に記載のベッド。
【請求項3】
前記2本のアームが同長でないか、又は、前記接合部材の長さが前記軸支される2か所の距離と相違することを特徴とする、請求項1に記載のベッド。
【請求項4】
上死点において寝台が水平であり、下死点において寝台が水平であることを特徴とする、請求項1又は3に記載のベッド。
【請求項5】
長尺状の前記寝台の前記アームとは他側の箇所を係止する係止部材を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のベッド。
【請求項6】
前記係止部材は、前記寝台又は前記アーム支持部材にいずれか一方に回動可能に軸支され、垂直方向に伸ばして前記寝台の下側を直下から支持することを特徴とする、請求項4に記載のベッド。
【請求項7】
前記寝台の下方に、前記アームによる移動を行わない下方寝台を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のベッド。
【請求項8】
前記寝台が下方に移動した際に、前記アームを被覆するアームレストを備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソファーベッドを含むベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ベッドは、寝台を上方に設けて、寝台の下の空間を有効活用したいことがある。例えば、2段ベッドの上段の寝台、下方に衣類等を収納するソファーベッド等において、かかる需要がある。一方、寝台を上方に設けると、ベッド自体の体積が大きくなり、ベッドを移動させる場合等に不都合である。そこで、寝台を上下に移動させることが可能なベッドが要望される。
【0003】
特許文献1には、床部を前方に起上させるベッドが開示されている。また、特許文献2には、上方への移動ではないが、寝台をアーム支持部材に対して回転させるベッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-081832号公報
【特許文献2】特開2012-254267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
単純な機構で寝台を上下に移動させることのできるベッドは知られていなかった。本発明は、単純な機構で寝台を上下に移動させることのできるベッドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のベッドは、
アーム支持部材の2か所で軸支され、垂直面内で回動する2本のアームと、
前記2本のアームの軸支端以外の他端を軸支して距離を保つ接合部材と、
前記アーム、前記接合部材、又はこれらに接続された接合板に係止される寝台とを備えることを特徴とする。
【0007】
この特徴によれば、アームが回動することによって、寝台を上下に移動させることができる。ここでアームが1本のみであると、寝台(及びその上の人体)の重量に対する耐性が不十分なので、2本のアームの間のアーム支持部材及び接合部材によって耐性を保つ。機構が単純であり、製造コストが小さく、使用が容易なものとなる。
【0008】
本発明のベッドは、
前記2本のアームが同長であり、前記接合部材の長さが前記軸支される2か所の距離に等しいことを特徴とする。
【0009】
この特徴によれば、2本のアームがいわゆる「平行リンク機構」を構成する。寝台が確実に支持される。
【0010】
本発明のベッドは、
前記2本のアームが同長でないか、又は、前記接合部材の長さが前記軸支される2か所の距離と相違することを特徴とする。
【0011】
この特徴によれば、アームの上下動に依存して、寝台の傾斜を制御することができる。詳細は実施例3に説明する。
【0012】
本発明のベッドは、上死点において寝台が水平であり、下死点において寝台が水平であることを特徴とする、
【0013】
この特徴によれば、上死点及び下死点の双方において寝台が水平であるベッドとなる、ここで、「上死点」とはベッドの構成に基づいて寝台が移動し得る最上の箇所、「下死点」とはベッドの構成に基づいて寝台が移動し得る最下の箇所を言う。本明細書において、アームが寝台を離れて移動する場合と区別するため、「寝台を上方に移動した状態」「寝台を下方に移動した状態」と記す。「上死点」「下死点」と記した場合も、「寝台を上方に移動した状態」「寝台を下方に移動した状態」と同義である。また、実施例3(図13)に例示するように上死点と下死点の中間では寝台が傾斜し得る。
【0014】
本発明のベッドは、
長尺状の前記寝台の前記アームとは他側の箇所を係止する係止部材を備えることを特徴とする。
【0015】
この特徴によれば、係止部材を用いて寝台の高さを決定することができる。なお、支持部材の長さが上方に移動した寝台の下の部分だけの長さを必要とするので、寝台が上方にない場合には斜めに配置することになる。
【0016】
本発明のベッドは、
前記係止部材は、前記アーム、前記接合部材、又はこれらに接続された接合板に回動可能に軸支され、垂直方向に伸ばして前記寝台の下側を直下から支持することを特徴とする。
【0017】
この特徴によれば、垂直方向に伸ばした係止部材がその伸びた方向に支持するので、確実な支持となる。なお、係止部材の長さが上方に移動した寝台の下の部分だけの長さを必要とするので、寝台が上方にない場合には斜めに配置することになる。このために、回動させる。
【0018】
本発明のベッドは、
前記寝台の下方に、前記アームによる移動を行わない下方寝台を備えることを特徴とする。
【0019】
この特徴によれば、寝台と下方寝台の2つの寝台が構成される、2段ベッドとして使用することができる。
【0020】
本発明のベッドは、
前記寝台が下方に移動した際に、前記アームを被覆するアームレストを備えることを特徴とする。
【0021】
この特徴によれば、アームレストによってアームが視認されなくなり、ベッドの意匠性が高くなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、単純な機構で寝台を上下に移動させることのできるベッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、ベッドの構成を示す図である。(実施例1)
図2図2は、アームの固定を示す補助図である。(実施例1)
図3図3は、寝台を上方に移動した状態を示す図である。(実施例1)
図4図4は、寝台を下方に移動した状態を示す図である。(実施例1)
図5図5は、寝台を下方に移動した状態のベッドの構成を示す図である。(実施例1)
図6図6は、ベッドの構成を示す図である。(実施例2)
図7図7は、寝台を上方に移動した状態を示す図である。(実施例2)
図8図8は、寝台を下方に移動した状態を示す図である。(実施例2)
図9図9は、寝台が傾斜した状態を示す図である。(実施例3)
図10図10は、寝台が傾斜した状態を示す図である。(実施例3)
図11図11は、寝台が傾斜した状態を示す図である。(実施例3)
図12図12は、寝台が傾斜した状態を示す図である。(実施例3)
図13図13は、寝台が傾斜した状態を示す図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【実施例0024】
図1は、ベッドの構成を示す図である。ベッド1は、アーム支持部材2を備え、アーム支持部材2から上方のアーム31及び下方のアーム32が伸ばされている。上方のアーム31と下方のアーム32とは、接合部材4によって垂直方向の距離が保たれている。接合部材4は接合板4aに組み込まれている。また、係止部材6、下方寝台8及びアームレスト9が設けられている。
【0025】
ここで、下方寝台8は、アームによる移動を行わないので、板状でなくてもよい、例えばマットであってもよい。
【0026】
なお、ベッド1の別の側にも、アーム支持部材2X、上方のアーム31X、下方のアーム32X及び接合板4aXが設けられている。また、アーム支持部材2、2Xがフレームとして描かれているが、上方のアーム31と下方のアーム32とを支持するものであれば、いかなるものであってもよい。
【0027】
図2は、アームの固定を示す補助図である。下方のアーム32及び32Xが、ピン7及び7Xによって、アーム支持部材2及び2Xに係止されている。なお、上方のアーム、31及び31Xを係止してもよい。また。これらに付随する部分を係止してもよい。
【0028】
図3は、寝台を上方に移動した状態を示す図である。ベッド1の構造の要部(アーム支持部材2、上方のアーム31、下方のアーム32、接合部材4、接合板4a、寝台5及び係止部材6)のみを抽出して示す。図1の左方から見た側面図である。
【0029】
なお、図1においては、理解の容易性のために接合部材4を管の形に描いていたが、接合板4aの一部によって上方のアーム31と下方のアーム32との垂直方向の距離を保ってもよい、接合板4aの接合部材4として機能する箇所を破線で示す。接合板4aは、水平方向の長さをもって寝台5を支持している。
【0030】
上方のアーム31と下方のアーム32とが、アーム支持部材2に、軸支端31aと32aによって軸支されている。軸支端31aと32aとは、上方のアーム31と下方のアーム32とを垂直方向(図面内平面)において回動させる。接合板4aが、寝台5の下方に接合している。ただし、接合板4aでなく、上方のアーム31又は接合部材4によって寝台5の下方に接合してもよい。なお、接合させずに接合板4aが寝台5に係止される(寝台5に対し小距離だけ移動する)こととしてもよい。
【0031】
ここで、上方のアーム31と下方のアーム32との他端31bと他端32bとは、接合部材4によって接合されている。上方のアーム31と下方のアーム32とは同長であり、接合部材4の長さは軸支端31aと32aの距離と等しい。これにより、図において破線で示した平行四辺形(アーム支持部材2、上方のアーム31、接合部材4、下方のアーム32により構成される)が構成される。いわゆる「平行リンク機構」が構成され、寝台5を安定して支持することができる。
【0032】
上方のアーム31と下方のアーム32が引き上げられ、寝台5が、係止部材6によって下側から係止され、上側に配置される。
【0033】
係止部材6が、寝台5の一方の端を下方に移動しないように支持している。上方における寝台5の高さ(上方のアーム31X、下方のアーム32X及び接合板4aXの配置)が決定される。上方のアーム31X及び、下方のアーム32Xを寝台5の高さに合わせて回動させることで、接合板4a及び4aXによって、寝台5が水平に支持される。
【0034】
以上により、寝台5を上側に固定することが容易にできる。ここで、上側に固定された寝台5と下方寝台8とによって、2段ベッドを構成できることも、本発明のベッド1の利点である。
【0035】
図4は、寝台を下方に移動した状態を示す図である。図3の状態から、上方のアーム31と下方のアーム32が引き下げられ、寝台5が、下方に配置された状態である。この状態では、ベッド自体の体積が小さくなり、ベッドを移動させる場合等に好都合である。
【0036】
上方のアーム31と下方のアーム32の移動によって寝台5が下方に移動することは、図において破線で示した平行四辺形が他端31bと他端32bが下方向に移動するようになることで実現される。
【0037】
ここで、寝台5が下方に移動するため、係止部材6を垂直方向に伸ばすだけのスペースが、寝台5の下方には存在しなくなる。このため、係止部材6は回動して寝台5の下方に傾斜して収納される。寝台5を上方に固定しないので、係止部材6による支持は必要がなく、係止部材を利用せずともよい。
【0038】
図5は、寝台を下方に移動した状態のベッドの構成を示す図である。アーム31及び32が、アームレスト9に収容され、視認されない。ベッド1の意匠性が高いものとなる。
【実施例0039】
本実施例は、実施例1に示したベッド1に微小な変更を加えるものである。以下に説明する相違点として説明する箇所を除き、実施例1と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0040】
図6は、ベッドの構成を示す図である。ベッド1はソファーベッドであり、寝台5の上にソファーの機能を満たせるための背もたれ51が付されている。また、アーム支持部材2、上方のアーム31、下方のアーム32及び接合部材4が曲線形状を有している。
【0041】
図7は、寝台を上方に移動した状態を示す図である。アーム支持部材2、上方のアーム31、下方のアーム32及び接合部材4が図のように配されている。軸支端31a、32a、他端31b、32bの4点によって、図において破線で示した平行四辺形が、実施例1と同様に、固定される。
【0042】
この状態において、上方のアーム31が、接合部材4と合わせて、下方への力を吸収する。
【0043】
図8は、寝台を下方に移動した状態を示す図である。係止部材6の配置は、実施例1と同様である。
【0044】
以上説明したように、本実施例のベッド1は、アーム支持部材2、上方のアーム31、下方のアーム32及び接合部材4、及び係止部材6によって、実施例1のベッド1と同様に動作する。本発明のベッド1も効果を発揮することができる。
【実施例0045】
本実施例は、アームの上下動に依存して、寝台の傾斜を制御することを示すものである。
【0046】
図9は、寝台が傾斜した状態を示す図である。上方のアーム31の長さL1と下方のアーム32の長さL2とが、L1<L2の関係にあるものを示す。また、接合部材4の長さは軸支される2か所の距離と等しい。
【0047】
図9(A)は、寝台を上方に移動した状態を示す図である。寝台5が接合板4aに支持され、水平に配置されている。
【0048】
図9(B)は、寝台を下方に移動した状態を示す図である。上方のアーム31及び下方のアーム32を下方に移動したものである。図9(A)と比較すると、上方のアーム31が傾斜する角度が、下方のアーム32に比して大きい。これは、上方のアーム31を下方のアーム32と等角度に傾斜させると、L1<L2であるために他端31bが他端32bよりも小さく動くためである。接合部材4の長さが固定されているので、上方のアーム31が大きな角度で傾斜する必要がある。
【0049】
そうすると、他端31bと他端32bの位置関係により、接合板4aが傾斜することになる。寝台5も傾斜する。寝台を上方に移動した状態では寝台5が水平であるが、寝台を下方に移動した状態では寝台5が傾斜する。なお、この状況を表現するために、図(A)と(B)とで軸支される2か所の距離に対応する箇所を破線で示した。
【0050】
ソファーベッドにおいては、寝台を上方に移動した状態では寝台5が寝台として使われるので水平である必要がある。一方、寝台を下方に移動した状態では寝台5はソファーの表面となるので、図に示すように、背側を低く、足側を高くなるように傾斜させると、ソファーとしての使用感が増す。
【0051】
図10は、寝台が傾斜した状態を示す図である。L1>L2の関係にあるものを示す。。寝台を上方に移動した状態では寝台5が水平であるが、寝台を下方に移動した状態では寝台5が傾斜する点については、図9で説明したものと同様であるが、上方のアーム31が傾斜する角度が、下方のアーム32に比して小さくなり、背側を高く、足側を低くなるように傾斜させることができる。
【0052】
図11は、寝台が傾斜した状態を示す図である。L1=L2であるが、軸支される2か所の距離L3と接合部材4の長さL4とが、L3>L4の関係にある。この場合にも、L4が固定されているため、背側を低く、足側を高くなるように傾斜させることができる。
【0053】
図12は、寝台が傾斜した状態を示す図である。L3<L4の関係にあるものを示す。背側を高く、足側を低くなるように傾斜させることができる。
【0054】
図13は、寝台が傾斜した状態を示す図である。寝台5を上方に移動した状態(図13(A))、下方に移動した状態(図13(B))の双方において、寝台5は水平である。L1<L2であり、L3<L4であるため、下方に移動した状態において、図9に示した背側を低く足側を高くする傾斜と、図12に示した背側を高く足側を低くする傾斜とが相殺して、寝台5は水平になる。一方、中間においては、図13(C)に示すように、寝台5が傾斜している。「平行リンク機構」を有さずとも、上方に移動した状態、下方に移動した状態の双方においた寝台5を水平にすることができる。なお、L1>L2、L3>L4として、図10に示した背側を高く足側を低くする傾斜と、図11に示した背側を低く足側を高くする傾斜とを相殺させてもよい。
【0055】
以上説明したように、本実施例のベッド1は、寝台を下方に移動した状態では寝台5が傾斜する(又は水平になる)。寝台を上方に移動した状態ではベッド、下方に移動した状態ではソファーとして使用できる。ソファーベッドその他に有効である。また、「平行リンク機構」を有さずとも、上方に移動した状態、下方に移動した状態の双方においた寝台5を水平にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
単純な機構で寝台を上下に移動させることのできるベッドである。「平行リンク機構」を有すれば上下に移動した時に寝台が水平に保たれるが、「平行リンク機構」を有さない場合にも、上死点において寝台が水平であり、下死点において寝台が水平であるようにすることができる。また、下死点において寝台を前後に傾斜させてソファーとして使うこともできる。多くのベッド生産者による利用が考えられる。
【符号の説明】
【0057】
1 ベッド
2 アーム支持部材
31 上方のアーム
31a 軸支端
31b 他端
32 下方のアーム
32a 軸支端
32b 他端
4 接合部材
4a 接合板
5 寝台
6 係止部材
6a 回動中心
7 ピン
8 下方寝台
9 アームレスト
91 側版
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13