(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039841
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】テールゲートリフタ及びストッパ駆動装置
(51)【国際特許分類】
B60P 1/44 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
B60P1/44 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145089
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】505062628
【氏名又は名称】梶原 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】梶原 信一
(57)【要約】
【課題】台車の車輪に当たるストッパを閉じるストッパ駆動装置及びテールゲートリフタを提供する。
【解決手段】 ストッパ駆動装置40は、テールゲートリフタ10の台車が載るゲート板20に設けられ、第1の回転軸AX1回りに回転して台車の車輪14に接触するためのストッパ30を閉じるストッパ駆動装置であって、荷降ろし場所Pに接触する接触部42と、接触部42が取り付けられ、第1の回転軸AX1に沿って延びる第2の回転軸AX2回りに回転する回転部442と、ゲート板20に設けられ、回転部442の回転を案内する案内部材444と、ストッパ30に取り付けられる接続部材446と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テールゲートリフタの台車が載るゲート板に設けられ、第1の回転軸回りに回転して台車の車輪に接触するためのストッパを閉じるストッパ駆動装置であって、
荷降ろし場所に接触する接触部と、
前記接触部が取り付けられ、前記第1の回転軸に沿って延びる第2の回転軸回りに回転する回転部と、
前記ゲート板に設けられ、前記回転部の回転を案内する案内部材と、
前記ストッパに取り付けられ、前記回転部が接触する接続部材と、を備えたストッパ駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載のストッパ駆動装置において、
前記接続部材が、前記回転部から前記ストッパを閉じる力が伝達される被伝達部を有するストッパ駆動装置。
【請求項3】
請求項1記載のストッパ駆動装置において、
前記接続部材が、前記ストッパに固定される固定部と、
前記固定部との間に前記回転部が挿入される空間を形成する形成部と、を有するストッパ駆動装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載のストッパ駆動装置において、
前記接触部が車輪であるストッパ駆動装置。
【請求項5】
請求項2又は3記載のストッパ駆動装置において、
前記接触部が、前記第2の回転軸が延びる方向に固定されることなく、前記回転部に取り付けられているストッパ駆動装置。
【請求項6】
請求項2又は3記載のストッパ駆動装置において、
前記回転部及び前記接触部が、スプライン又はキーにより接続されているストッパ駆動装置。
【請求項7】
テールゲートリフタの台車が載るゲート板に設けられ、台車の車輪に接触するためのストッパを閉じるストッパ駆動装置であって、
荷降ろし場所に接触する接触部と、
前記接触部が前記荷降ろし場所から受けた力を伝達し、前記ストッパを閉じる伝達機構と、を備えたストッパ駆動装置。
【請求項8】
台車が載るゲート板と、
前記ゲート板に設けられ、前記台車の車輪に接触するストッパと、
前記ストッパを閉じるストッパ駆動装置と、を備え、
前記ストッパ駆動装置が、荷降ろし場所に接触する接触部と、
前記接触部が前記荷降ろし場所から受けた力を伝達する伝達機構と、を備えたテールゲートリフタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テールゲートリフタ及びテールゲートリフタのストッパ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、貨物自動車の後部に装着されるテールゲートリフター上に有輪コンテナを載せてこれを搬出入する際に、キャスターの移動を停めて昇降させるとき使用するキャスターストッパーが記載されている。このキャスターストッパーは、押出型材よりなるゲート板の自由端寄りに設けた巾方向凹所と、該凹所内に上下に回動可能にとりつけられ、本体部とその前後端に下向きに設けた長尺フランジ片及び短尺フランジ片とからなる押出型材よりなるストッパー部材と、該ストッパー部材を開放方向に付勢する弾発装置とからなり、ゲート板の凹所の底面とストッパー部材の裏面のいずれか一方に凸条嵌合部を、又他方に凹条嵌合部を設け、凸条嵌合部を凹条嵌合部に嵌挿してストッパー部材の開閉用枢支点としたことを特徴とする。
【0003】
特許文献2には、トラック荷台の後部等に設置されたテールゲートリフタの構造が記載されている。このテールゲートリフタは、キャスタの滑落を防止するキャスターストッパをプラットフォーム面から出入自在に設けたテールゲートリフタであって、第1の弾性手段は突出位置と収納位置の両位置にキャスターストッパを位置させるように弾性力を該ストッパに作用させ、第2の弾性手段はキャスターストッパが収納位置をとる時該第1の弾性手段の弾撥力よりも大きな力でキャスターストッパを突出位置に押し圧するように作用する。セレクタの作用により、積み荷作業時に操作者が突出させたキャスターストッパは、キャスタがこれを踏み越えて引込めても第2の弾性手段により自動的に突出してキャスタをストップさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4-23534号公報
【特許文献2】特開平8-40132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで一般に、テールゲートリフタのストッパは、作業者により手動にて元の位置に格納され、その後に台車がストッパの上を通過する。
本発明は、台車の車輪に当たるストッパを閉じるストッパ駆動装置及びテールゲートリフタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、テールゲートリフタの台車が載るゲート板に設けられ、第1の回転軸回りに回転して台車の車輪に接触するためのストッパを閉じるストッパ駆動装置であって、荷降ろし場所に接触する接触部と、前記接触部が取り付けられ、前記第1の回転軸に沿って延びる第2の回転軸回りに回転する回転部と、前記ゲート板に設けられ、前記回転部の回転を案内する案内部材と、前記ストッパに取り付けられ、前記回転部が接触する接続部材と、を備えたストッパ駆動装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のストッパ駆動装置において、前記接続部材が、前記回転部から前記ストッパを閉じる力が伝達される被伝達部を有する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載のストッパ駆動装置において、前記接続部材が、前記ストッパに固定される固定部と、前記固定部との間に前記回転部が挿入される空間を形成する形成部と、を有する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3記載のストッパ駆動装置において、前記接触部が車輪である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3記載のストッパ駆動装置において、前記接触部が、前記第2の回転軸が延びる方向に固定されることなく、前記回転部に取り付けられている。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項2又は3記載のストッパ駆動装置において、前記回転部及び前記接触部が、スプライン又はキーにより接続されている。
【0012】
請求項7に記載の発明は、テールゲートリフタの台車が載るゲート板に設けられ、台車の車輪に接触するためのストッパを閉じるストッパ駆動装置であって、荷降ろし場所に接触する接触部と、前記接触部が前記荷降ろし場所から受けた力を伝達し、前記ストッパを閉じる伝達機構と、を備えたストッパ駆動装置である。
【0013】
請求項8に記載の発明は、台車が載るゲート板と、前記ゲート板に設けられ、前記台車の車輪に接触するストッパと、前記ストッパを閉じるストッパ駆動装置と、を備え、前記ストッパ駆動装置が、荷降ろし場所に接触する接触部と、前記接触部が前記荷降ろし場所から受けた力を伝達する伝達機構と、を備えたテールゲートリフタである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、台車の車輪に当たるストッパを閉じるストッパ駆動装置及びテールゲートリフタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るテールゲートリフタを搭載した車両の外観図である。
【
図2】同テールゲートリフタの後端部を側面側からみた説明図である。
【
図3】同テールゲートリフタのストッパを駆動するストッパ駆動装置の説明図である。
【
図4】(A)、(B)は、同テールゲートリフタが備えるストッパ駆動装置の車輪と伝達機構との接続部を示す説明図であって、それぞれ、スプライン溝が形成された接続穴及びキー溝が形成された接続穴の説明図である。
【
図5】同テールゲートリフタが備えるストッパ駆動装置の伝達機構を模式的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0017】
本発明の一実施の形態に係るテールゲートリフタ10は、車両12の荷台から荷物を積み降ろすための昇降装置であり、
図1に示すように、車両12の後部に装着される。
テールゲートリフタ10は、
図2に示すように、ゲート板20、ストッパ30及びストッパ駆動装置40を備えている。
【0018】
ゲート板20は、積み降ろしする台車が載り、昇降する板状の部品である。
なお、ゲート板20の昇降方式は任意でよい。
【0019】
ストッパ30は、ゲート板20の後端側の上面に設けられ、台車の車輪14に接触することで台車の落下を防止するための部材である。
ストッパ30は、同
図2の矢印D1で示すように、開いた状態から回転軸(第1の回転軸の一例)AX1まわりに回転できる。ストッパ30が回転して閉じ、ゲート板20に格納されると、ストッパ30の上面とゲート板20の上面との高低差がなくなるので、台車がストッパ30の上を通過できるようになる。
ストッパ30は、図示しないバネにより、起立した状態となるように力が加えられている。なお、このバネに抗してストッパ30が閉じた状態を維持できるように、ストッパ30の動きを制限するロック機構(不図示)が設けられている。
【0020】
ストッパ駆動装置40は、矢印D2で示すようにゲート板20が下降すると、起立しているストッパ30を格納することができる。
ストッパ駆動装置40は、車輪42及び伝達機構44を有している。
【0021】
車輪42(接触部の一例)は、ゲート板20が下降すると荷降ろし場所Pに接触できる。この荷降ろし場所Pは、例えば、屋外であれば地面であり、屋内であれば床面である。
車輪42は、棒状の支持部材422の先端に設けられ、ストッパ30の回転軸AX1と間隔を空けて実質的に平行に延びる回転軸AX2から距離L1だけ離れた位置に配置されている。車輪42は、回転軸AX3回りに自転するのみならず、回転軸AX2回りに回転できる。
支持部材422の基端側(車輪42とは反対の側)には、
図4(A)に示すようなスプライン溝424aが設けられた接続穴又は
図4(B)に示すようなキー溝424bが設けられた接続穴が形成されている。なお、これら接続穴の中心軸は、回転軸AX2となる。
【0022】
車輪42は、車輪42の後端(
図2に示す荷降ろし場所Pに接触した車輪42がゲート板20の下降に伴って進もうとする方向の側の端部)が、車両12の進行方向に対して予め決められた角度だけ内側に向くように取り付けられている。すなわち、車輪42にはトー角が設定されている。
接触部は、車輪に限定されるものではなく、伝達機構44に荷降ろし場所Pから受けた力を伝達できれば任意でよい。したがって接触部は、例えば、弾性を有する樹脂であってもよい。
【0023】
伝達機構44は、車輪42が荷降ろし場所Pから受けた力をストッパ30に伝達することができる。
伝達機構44は、
図2及び
図3に示すように、回転部442、案内部材444及び接続部材446を有している。
【0024】
回転部442は、第1の棒状部材442a及び第2の棒状部材442bを有し、回転軸AX2(第2の回転軸の一例)回りに回転するクランク状の部材である。
第1の棒状部材442aは、回転軸AX2が延びる方向に延びる丸棒状の部材であり、支持部材422を介して車輪42が取り付けられる。第1の棒状部材442aの先端部には、支持部材422の接続穴のスプライン溝424a(
図4(A)参照)に対応するスプライン425(
図5参照)が形成されている。なお、第1の棒状部材442aの先端部には、スプライン溝424a(
図4(A)参照)に対応するスプライン軸に代えて、キー溝424b(
図4(B)参照)に対応するキー(不図示)が設けられていてもよい。
【0025】
第1の棒状部材442aの中央部には、
図5に示すように、伝達するトルクを制限するための過負荷保護部であるトルクリミッタ443が設けられている。トルクリミッタ443は、例えばコイルスプリングにより構成される。トルクリミッタ443が設けられていることにより、例えば、台車の車輪が挟まった状態でストッパ30を閉じてしまい、過負荷が加わった場合に、ストッパ30又はストッパ駆動装置40が損傷する可能性が低減される。なお、トルクリミッタ443は、必ずしも第1の棒状部材442aの中央部に設けられていなくてもよく、過負荷を抑制することができれば、その取り付け位置や構造は任意でよい。
【0026】
第2の棒状部材442bは、回転軸AX2が延びる方向が長手となる丸棒状の部材であり、
図3に示すように、その中心軸AX4は、回転軸AX2と間隔L2を空けるように設けられている。
【0027】
案内部材444は、回転部442の第1の棒状部材442aの回転を案内できる。案内部材444は、内部を第1の棒状部材442aが通る円筒状の部材であり、固定部445を介してゲート板20に固定される。
【0028】
接続部材446は、ストッパ30に固定される部材であり、回転部442が接触する。
接続部材446は、固定部446a及び形成部446bを有している。
固定部446aは、ストッパ30の裏面に固定される板状の部材である。
形成部(被伝達部の一例)446bは、固定部446aとの間に回転部442の第2の棒状部材442bが挿入される空間を形成する部材である。
【0029】
次に、テールゲートリフタ10の動作について説明する。
テールゲートリフタ10は、ゲート板20が上昇した状態から、以下のステップS1~S5に従って動作する。ただし、可能な場合には、各ステップS1~S5は順番を入れ替えて実施されてもよいし、並行して実施されてもよい。
【0030】
(ステップS1)
ゲート板20が上昇した状態にある場合においては、
図2及び
図3に示す通り、バネ(不図示)の作用により、ストッパ30がゲート板20から起立した状態となっている。
この状態において、作業者が、台車を荷台からゲート板20の上に移動させ、ゲート板20を下降させる。
なお、ストッパ30が起立して開いた状態となっているので、台車が落下する可能性が低減される。
【0031】
(ステップS2)
ゲート板20が下降すると(
図2の矢印D2参照)、車輪42が荷降ろし場所Pに接触する。
【0032】
(ステップS3)
ゲート板20が更に下降を続けると、車輪42が荷降ろし場所Pから力を受け、矢印D3で示す方向に自転する(矢印D3参照)。
また、車輪42が荷降ろし場所Pから受けた力は支持部材422及び回転部442(第1の棒状部材442a及び第2の棒状部材442b)に伝達される。その結果、第2の棒状部材442bが接続部材446の形成部446bに接触し、ストッパ30が回転軸AX1回りに回転して閉じる(矢印D4参照)。
その際、自転する車輪42にはトー角が設定されているため、自転に伴ってゲート板20の方向に寄ろうとする力が生じ、車輪42が脱落する可能性が低減される。
【0033】
(ステップS4)
作業者が、閉じたストッパ30の上を通って台車を荷降ろし場所Pに移動させる。
【0034】
(ステップS5)
台車を車両12から降ろし終えた作業者が、ゲート板20を上昇させると、バネ(不図示)の作用により、ストッパ30を起立させようとする力が形成部446bに接触した第2の棒状部材442bに伝達される。その結果、第1の棒状部材442aとともに車輪42が回転軸AX2を中心として
図2の矢印D4で示す方向とは反対の方向に回転する。
車輪42が回転軸AX2回りに回転するにつれストッパ30もAX1回りに回転し、車輪42が荷降ろし場所Pから浮き上がると、ストッパ30が所定の位置まで起立する。
【0035】
なお、車輪42が設けられた支持部材422と回転部442とは、
図4(A)に示すスプラインにより接続され、車輪42が回転軸AX2が延びる方向に固定されることなく回転部442に取り付けられている。
従って、作業者は、必要に応じて車輪42を回転軸AX2が延びる方向に挿抜して容易に着脱できる。
【0036】
このように、テールゲートリフタ10によれば、ゲート板20が下降すると、ストッパ30が閉じて格納されるので、作業者が手動でストッパ30を格納する必要がなくなり、作業効率が向上する。
【0037】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
【符号の説明】
【0038】
10 テールゲートリフタ
12 車両
14 車輪
20 ゲート板
30 ストッパ
40 ストッパ駆動装置
42 車輪
44 伝達機構
422 支持部材
424a スプライン溝
424b キー溝
425 スプライン
442 回転部
442a 第1の棒状部材
442b 第2の棒状部材
443 トルクリミッタ
444 案内部材
445 固定部
446 接続部材
446a 固定部
446b 形成部
AX1、AX2、AX3 回転軸
AX4 中心軸
P 荷降ろし場所