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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039868
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】駐車システム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20220303BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20220303BHJP
   E05B 71/02 20060101ALI20220303BHJP
   G07F 17/00 20060101ALI20220303BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
G07B15/00 M
E05B49/00 K
E05B71/02 Z
G07B15/00 N
G07F17/00 A
G08G1/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020154983
(22)【出願日】2020-08-28
(71)【出願人】
【識別番号】391009040
【氏名又は名称】横浜特殊船舶株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩田 愼一
(72)【発明者】
【氏名】増川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】並木 則夫
【テーマコード(参考)】
2E250
3E048
3E127
5H181
【Fターム(参考)】
2E250AA11
2E250BB08
2E250DD02
2E250FF36
3E048AA10
3E048BA06
3E127AA18
3E127BA01
3E127CA25
3E127CA36
3E127CA41
3E127CA48
3E127CA59
3E127CA63
3E127EA04
3E127EA05
3E127EA18
3E127EA19
3E127EA46
5H181AA05
5H181BB04
5H181EE10
5H181KK05
(57)【要約】
【課題】 自転車、自動二輪車、自動車などの車両の駐車設備に関して、精算装置を不要として設置コストを小さくしたい。
【解決手段】 駐車ラック6の入出庫制御部1は、ソレノイド制御部10とBLE(登録商標)通信部12とから構成されている。スマートフォン2は通信キャリア4に登録されていて、LTE(登録商標)通信部20とBLE(登録商標)通信部22とから構成されている。スマートフォン2はBLE(登録商標)通信部22から入出庫制御部1のBLE(登録商標)通信部12に接続して、入出庫制御部1に錠であるソレノイドの動作要求を行う。入出庫制御部1はBLE(登録商標)通信部12によりルータ部3,33のメッシュネットに属し、ルータ部3が通信キャリア40からインターネットNの管理部5に接続することで駐車ラック6の使用状況を通知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の入出庫制御手段と携帯端末との近距離無線通信手段とを有する駐車装置と、前記車両の入出庫制御手段との近距離無線通信手段を有する携帯端末と、前記駐車装置の複数組を近距離無線通信手段を通じて束ねるルーティング手段とから成り、このルーティング手段の複数組が近距離無線通信手段により網状に配設されてインターネットに接続されており、携帯端末から近距離無線通信手段を用いて入出庫制御手段の錠の開錠または施錠が直接に制御されると共に、駐車装置はルーティング手段を経由してネットワークに接続された管理手段にてその利用状況が管理される、駐車システム。
【請求項2】
前記携帯端末との近距離無線通信手段および前記車両の出庫制御手段との近距離無線通信手段およびルーティング手段との近距離無線通信手段にBLE(Bluetooth Low Energy)(Bluetoothは登録商標)通信を用いる、請求項1に記載の駐車システム。
【請求項3】
網状に配設され前記ルーティング手段が用いる近距離無線通信手段をBLE(Bluetooth Low Energy)(Bluetoothは登録商標)MESHとした、請求項1に記載の駐車システム。
【請求項4】
利用料金の精算は、携帯端末に対するキャリア課金手段を用いて行われるものである、請求項1に記載の駐車システム。
【請求項5】
利用料金の精算は、ネットワークに接続された課金手段を用いて行われるものである、請求項1に記載の駐車システム。
【請求項6】
前記車両の入出庫制御手段は、前記錠の動作の電源として一次電池または二次電池を備えるものである、請求項1に記載の駐車システム。
【請求項7】
前記ルーティング手段は電源として一次電池または二次電池を備えるものである、請求項1に記載の駐車システム。
【請求項8】
前記二次電池に太陽電池を接続して成る、請求項6または請求項7に記載の駐車システム。
【請求項9】
前記車両の入出庫制御手段は、前記錠の動作の電源としてキャパシタを備えるものである、請求項1に記載の駐車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は自転車、自動二輪車、自動車などの一時預かりやレンタルのための駐車システムに係り、スマートフォンなどの携帯端末の近距離無線通信を利用して駐車装置の開錠や施錠を携帯端末側から制御すると共に、複数個の駐車装置を束ねる無線ルータの複数個が近距離無線通信で網状に配設されてインターネット上の管理装置に接続され、この管理装置で多数の駐車装置を管理するようにした点に特徴を有する、駐車システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば数十台から数百台もの駐車装置を設置したり、車両の入出庫の管理を自動化して管理者の無人化を計って、省力化やコストダウンを実現したりするためには、駐車装置に施錠装置を設けると共に利用料金の精算装置を設けることが必須となる。この利用料金の精算装置は概して大型であり、複数個所に設けなくてはならない場合もあり、設置に多大なコストが掛かっている。
【0003】
例えば特開2005-180161の駐車設備は一時預かりのサービスに係るものではあるが、精算装置としての操作盤が設けられている。この操作盤のコイン投入口にコインを投入して(コイン投入の代わりにプリペイドカードの使用も可能としている)精算し、テンキーによって駐車台番号を指定すると、この情報は制御装置へと伝達され、制御装置は精算を確認すると共に駐車台番号を確認して、通信ケーブルを通じて施錠装置のソレノイドに通電し、この駐車台に駐車されている自転車の前輪を開放して、出庫可能な状態にする。なお発券機はプリペイドカードを発行するためのものであるが、この他にはコイン(硬貨)による精算を可能としている。また入出力部では釣銭を取り扱うことが出来る。
【0004】
また例えば特開2005-339452の料金精算装置は、立設された支柱の回りがこの支柱に取り付けられた筒状の外壁でカバーされており、この筒状外壁の内部に料金精算装置を構成する各機能ブロックが位置取り自在に積み上げて納められており、前記筒状の外壁は前記機能ブロック毎に上下方向に分離可能に設けられている料金精算装置である。この機能ブロックとしては、例えばコイン投入口とコイン計数機のブロック、釣銭払戻機のブロック、カード受入口とカード読取機のブロック、テンキーボードと各種スイッチのブロック等々が任意に準備される。この構成により細長い筒状の筐体を積み上げて場所を取ることなくスッキリと設置することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-180161
【特許文献2】特開2005-339452
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特開2005-180161の精算装置も特開2005-339452の料金精算装置も、単にサイズが大きいと言うだけでなく製造・設置・管理の各段階に於いて多大なコストが掛かっている。仮にこのような精算装置が不要になるのであれば駐車場の設置コストが極めて小さいものとなるであろう。そうであれば駐車場設置の自由度もより一層高まり、分散化した複数の駐車場をまとめた管理が可能になることが期待される。
【0007】
なおこのような問題は、車両のレンタルシステムに於いても同様に認められる。
【0008】
そこでこの発明では上述したような問題を解決して、ユーザーの利便性を確保しつつ、自転車、自動二輪車、自動車などの車両の一時預かりやレンタルのための駐車設備をより低コストで設置出来るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の解決に先立ち、当発明者は、スマートフォンなどの携帯端末と駐車装置との間で直接的な通信を行い、携帯端末側から開錠や施錠の制御を行えるようにすれば良いと言う知見を得た。また複数個の駐車装置を束ねる無線ルータの複数個を網状に配設することで、広範囲を管理する駐車場でありながら低コストで設置することが可能になると言う知見を得た。更に錠の開錠や施錠の制御を低電圧な電力で行えるようにすることが出来れば、電源確保は容易なものになる。
【0010】
上記課題は、車両の入出庫制御手段と携帯端末との近距離無線通信手段とを有する駐車装置と、前記車両の入出庫制御手段との近距離無線通信手段を有する携帯端末と、前記駐車装置の複数組を近距離無線通信手段を通じて束ねるルーティング手段とから成り、このルーティング手段の複数組が近距離無線通信手段により網状に配設されてインターネットに接続されており、携帯端末から近距離無線通信手段を用いて入出庫制御手段の錠の開錠または施錠が直接に制御されると共に、駐車装置はルーティング手段を経由してネットワークに接続された管理手段にてその利用状況が管理される、駐車システムを提供することにより達成される。
【0011】
駐車装置は自転車、自動二輪車、自動車などの車両の違いによって専用のものが用意され、それぞれに車両の入出庫制御手段が設けられる。入出庫制御手段は主として電動式のロック機構であって電動モータやソレノイドなどが施錠開錠を司る。なお施錠はユーザーによる手動であるが開錠は電動であると言うような設計もあり得る。錠に付いては、前輪捕捉タイプ、ハンドル捕捉タイプ、出庫阻止板タイプ等々、任意設計事項である。
【0012】
駐車装置側が有する携帯端末との近距離無線通信手段と携帯端末側が有する前記車両の入出庫制御手段との近距離無線通信手段とで通信を行い、携帯端末側から入出庫制御手段に錠の開錠または施錠の制御をしてもらうことが出来る。携帯端末などデジタル機器用の近距離無線通信手段の代表的なものとして一例BLE(Bluetooth Low Energy)(Bluetoothは登録商標)通信は本願発明の実施に好適である。
【0013】
上記駐車装置に駐車され、例えばソレノイドを用いた錠により出庫不能に捕捉されている車両であるが、ユーザーがこの車両を出庫させたいとして、上記近距離無線通信手段を用いて携帯端末から直接、車両の入出庫制御手段に開錠要求を出すと、入出庫制御手段はソレノイドを操作して車両を出庫可能にする。或いはユーザーが車両を入庫させたいとして携帯端末から直接、車両の入出庫制御手段に施錠要求を出すことで、入出庫制御手段はソレノイドによる施錠を行う。なお後者に於いては入庫すると自動的に施錠されるような方式も採用可能である。
【0014】
一方、ルーティング手段には複数組の駐車装置が近距離無線通信手段により接続されている。この近距離無線通信手段の代表的なものとして一例BLE(Bluetooth Low Energy)(Bluetoothは登録商標)通信は本発明の実施に好適である。このようなルーティング手段はまた、これを構成する複数組のルーターが近距離無線通信手段により網状に接続されて成る。このような所謂メッシュネットワークの構築に適するものの代表例として、BLE(Bluetooth Low Energy)(Bluetoothは登録商標)MESHを上げる。
【0015】
そしてこのようなルーティング手段がインターネットにLTE(Long Term Evolution)(LTEは登録商標)や5G等のキャリア通信などを介して接続されている。この場合、上記メッシュネットワーク中の何れか一のルーターがまたは複数組のルーターが殊には全てのルーターが、インターネットに接続されていれば良い。各々のルーターでインターネットに接続されていれば、パケットの迂回が可能なより強固なインターネット接続が得られることになる。
【0016】
本願発明のBLE(Bluetooth Low Energy)(Bluetoothは登録商標)MESHによれば、複数組の駐車装置を束ねるルーティング手段をノードとするメッシュが構成されている。BLE(Bluetooth Low Energy)(Bluetoothは登録商標)MESHでは、ブロードキャスト通信によってデータが全デバイスに送出されるも、一度送信したIPパケットを再送信しないことや、ホップリミットを設定することなどが同時に制御される。これにより数千台と言うような規模の駐車装置を管理手段にて管理することが可能である。すなわち広大な駐車場用地が準備されている場合ではその規模の駐車場を整備することが出来る。或いはここに数台、あちらに数十台、またその近辺にも数十台、と言うように設置が分散していたり、用地が入手出来次第に駐車場を追加して行くような場合に、これ等を一纏めにして管理することが出来る。これは偏に、ルーティング手段に複数組の駐車装置が近距離無線通信手段によって接続され、このルーティング手段の複数組が近距離無線通信手段により網状に接続されて、メッシュネットワークを構築するとしたことによる。
【0017】
上述したように、駐車装置側が有する携帯端末との近距離無線通信手段と携帯端末側が有する前記車両の入出庫制御手段との近距離無線通信手段とで通信を行い、携帯端末側から入出庫制御手段に錠の開錠または施錠の制御をしてもらうことが出来る。この際に課金が必要であれば課金と言うことを行わなくてはならない。何れの駐車装置が使用されるかの利用状況を管理・記録する必要があるやも知れない。ユーザー認証の必要も生ずるであろう。
【0018】
携帯端末はキャリア通信によって通信キャリアと接続されている。携帯端末が携帯電話であればキャリア通信は通話及びデータ通信と言うことになる。携帯電話の現在の主流はスマートフォンである。従って例えば携帯端末にスマートフォンを用いる場合では、課金手段に通信キャリアのキャリア課金手段を利用して、通話料金やデータ通信料金と共に、本願駐車システムの利用料金を徴収することが可能である。
【0019】
あるいは通信キャリアを介してクラウドサーバ等々の外部の、管理手段である所の管理サーバに接続し得るように本願発明の駐車システムを構築することが出来る。管理サーバは入出庫記録すなわち契約番号、駐車場名、駐車装置番号、ステータス、BDアドレス、利用時間等々の所要の記録を取っておくためのものである。また必要に応じて複数の駐車場を束ねて記録を取るものとして設計することが可能である。またこのような管理サーバに課金手段としての機能を持たせるように設計しても良い。課金のタイミングに付いてはこれを出庫時に行うようにしても入庫時(駐車時)に行うようにしても良い。すなわちどのようなサービスを提供するかによって異なるであろう。ユーザー認証に付いても同様である。
【0020】
利用料金の課金手段の一例としては、ユーザーのクレジットカードの決済端末であり、決済端末とクレジットカード会社のサーバとの接続が確保されているものを上げる。この他デビットカードやプリペイドカードを取り扱う金融機関と接続する設計も可能である。キャリア課金の場合でも同様であるが、課金手段がネットワークに接続されたクレジットカードの決済端末である場合にはユーザーが決済手段とするクレジットカードを予め登録しておく必要があることは言うまでもない。
【0021】
管理サーバの登録ユーザーの認証では、ユーザーの携帯端末に固有の識別符号を取得してユーザー認証を行うことが出来る。またユーザーの携帯端末から入力される暗証番号やユーザーの指紋やユーザーの顔写真やQRコード(登録商標)などを使用する設計も可能である。従って管理サーバはユーザーの携帯端末と、この携帯端末に関連付けられたユーザーの決済口座と、駐車場の駐車装置とを紐付けて記録しておくことが出来る。なお上記キャリア課金手段であれば、キャリア側は接続先が誰であるかを当初から知っていることになる。
【0022】
次に前記車両の入出庫制御手段は、前記錠の動作の電源として一次電池または二次電池を備えるものとすることが出来る。そもそもこの発明の目的の一は自転車、自動二輪車、自動車などの車両の一時預かりやレンタルのための駐車設備を低コストで設置することを可能にすると言うものであった。その目的に照らして見れば、錠の動作の電源として一次電池または二次電池を備えるようにすると更に良い。この場合、太陽電池を設置して二次電池で充放電管理を行えるように設計しても良い。
【0023】
さて前記車両の入出庫制御手段は、前記錠の動作の電源としてキャパシタを備えるものとすることが出来る。例えばDC電源としての乾電池で錠を動作させるソレノイドを駆動することは難しいが、キャパシタを備えることにより、瞬間的なピーク出力が発生するようなソレノイドであっても、キャパシタにピーク出力の補助をさせることが出来るので、電源を小型化することが可能である。この構成もまた駐車設備を低コストで設置することに大きく寄与するものである。
【発明の効果】
【0024】
この発明の駐車システムは、携帯端末と駐車装置とが近距離無線通信手段によって直接接続することで、車両の入出庫を行えるようにした点に特徴を有する。これにより従来は必須であった精算装置が不要となり、駐車場の設置コストが小さく駐車場設置の自由度が高まり、1台から数台の駐車装置の設置も可能となるなどの効果を奏する。
【0025】
なお駐車装置の複数組を近距離無線通信手段を通じて束ねるルーティング手段の、そのまた複数組が近距離無線通信手段により網状に配設されてインターネットに接続されている点にも特徴を有する。これにより駐車装置はルーティング手段を経由してネットワークに接続された管理手段にてその利用状況が管理されることになる。駐車装置を増設する際には、上記何れかのルーティング手段に接続させてメッシュネットワークに組み込むようにするだけである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】 実施例1の自転車一時預かりシステムの説明図である。
図2】 同自転車一時預かりシステムの説明図である。
図3】 本システムのネットワーク構成を模式的に表わした説明図である。
図4】 駐車ラック6の説明図である。
図5】 一時預かりサービスの開始処理の説明図である。
図6】 駐車ラック6の施錠開錠処理の説明図である。
図7】 実施例2の自転車レンタルシステムの説明図である。
図8】 レンタルサービスの開始処理の説明図である。
図9】 実施例3の電源部の説明図である。
図10】 (A)(B)は実施例4の電源部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下にこの発明の実施例を説明するが、この発明はこれ等の実施例に限定されるものではない。すなわちこの発明に適宜バリエーションを与えることが出来るが、これ等もまたこの発明の権利範囲内のものである。
【実施例0028】
図1乃至図6を用いてこの実施例を説明する。この自転車の一時預かりシステムは図4に表した駐車ラック6と、この入出庫制御部1とユーザーが所有するスマートフォン2とルータ部3及びルータ部33とから構成される。
【0029】
駐車ラック6は自転車の車輪導入路60の先端部分に施錠装置61を有している。また駐車ラック6には車輪導入路60を横切るようにしてロックバー62が設けられている。ユーザーが自転車をその前輪Tから車輪導入路60に進入させて施錠装置61まで送ると図示しない入庫センサがこのことを感知して、後述するソレノイド制御部10が自転車の前輪のスポーク間にロックバー62を通し、前輪Tを捕捉して固定する。なお出庫時にはソレノイド制御部10が自転車の前輪Tを捕捉しているロックバー62を開放して自由にすることになる。なおロックバー62以外にも、例えば両側から車輪のリムに掛けるようにして自転車の前輪Tを捕捉したり、これとは逆方向に回動して前輪Tを開放したりする掛止手段なども任意に採用可能である。
【0030】
駐車ラック6の入出庫制御部1は、ソレノイド制御部10と電源部11とBLE(登録商標)通信部12とから構成されている。電源部11はロックバー62のソレノイド(図示せず)やBLE(登録商標)通信部12を動作させるべく電力を供給するためのものである。
【0031】
スマートフォン2は通信キャリア4に登録されていて、音声通信とデータ通信とを定額や従量制で行うことが出来る。このスマートフォン2は、LTE(登録商標)通信部20と制御部21とBLE(登録商標)通信部22とから構成されている。LTE(登録商標)通信部20は基地局を介して通信キャリア4に接続されている。一方BLE(登録商標)通信部22は、スマートフォン2に導入されたこの一時預かり専用のアプリケーションのために動作することが出来る。制御部21はこれ等を制御するためのものである。
【0032】
ルータ部3はLTE(登録商標)通信部30と電源部31とBLE(登録商標)ルータ32とから構成されている。LTE(登録商標)通信部30は基地局を介して通信キャリア40に接続されている。ルータ部3はLTE(登録商標)通信部30を備えているが、これとは別に図2で表すようにLTE(登録商標)通信部30を備えていない複数組のルータ部33があり、これ等と1個のルータ部3とは図3で表わすようにメッシュネットワークを構成している。すなわち駐車ラック6の入出庫制御部1の複数台を束ねているルータ部33の複数台がメッシュネットワークを構成しているのであるが、複数台のルータ部33の内の一がLTE(登録商標)通信部30を備えており、通信キャリア40を経てインターネットNに接続することの出来るルータ部3となっている。ルータ部33は電源部31とBLE(登録商標)ルータ32とから構成されている。こうしてルータ部33のBLE(登録商標)ルータ32とルータ部3のBLE(登録商標)ルータ32とが、またルータ部3のBLE(登録商標)ルータ32と入出庫制御部1のBLE(登録商標)通信部12とが、またルータ部33のBLE(登録商標)ルータ32と入出庫制御部1のBLE(登録商標)通信部12とが、ブルートゥース(登録商標)により網状に接続されていることになる。なお新たな駐車場の追加では、駐車ラック6の入出庫制御部1の複数台を束ねるルータ部33をメッシュネットワークに参加させることになる。なおルータ部3では駐車ラック6を配下に置かない設計も可能である。
【0033】
この自転車の一時預かりシステムを有料のサービスとして提供するのであるが、事前にスマートフォン2で専用のアプリケーションをインストールする。このアプリケーションは通信キャリア4から提供されるものであり、インストール時にいわゆる電話料金に加算して月極料金が課金されるように設定されている。図4で表すように、導入されたアプリケーションで使用開始の設定を行うと(ステップS1)、通信キャリアが月極料金の課金を行うので(ステップS2)、以後ユーザーは何時でも何度でも、自由に自転車の入出庫が行えるようになる。
【0034】
さてこの実施例の使用方法であるが、スマートフォン2のBLE(登録商標)通信部22から入出庫制御部1のBLE(登録商標)通信部12に接続要求をして接続が確立されたならば、スマートフォン2から入出庫制御部1に入庫要求を行う。すると入出庫制御部1のソレノイド制御部10がロックバー62を動作させて、車輪導入路60を横切って車輪Tの入庫を阻止しているロックバー62を施錠装置61の中に引っ込めてしまう。これにより車輪導入路60上の自転車の車輪Tを迎え入れる。一定時間の経過後にソレノイド制御部10はロックバー62を施錠装置61から突出させる動作を行い、再び車輪導入路60を横切って車輪Tの出庫を阻止する。この後BLE(登録商標)通信部22とBLE(登録商標)通信部12との接続切断が行われる。
【0035】
一方、この駐車ラック6からは上流のルータ部3またはルータ部33に向けて使用状況が通知され、この使用状況はルータ部3のLTE(登録商標)通信部30から通信キャリア40とインターネットとを経由してクラウドの管理部5に通知され、管理部5にて入出庫記録50に記録されることになる。すなわち施錠を行った駐車ラック6の入出庫制御部1が、ルータ部3またはルータ部33からメッシュネットワークを経由してクラウドの管理部5に自己のステータスを送信し(ステップS3)、これを管理部5が入出庫記録50に記録して管理する(ステップS4)。従って管理部5はこのメッシュネットワークに属する全ての駐車ラック6を管理するようになっている。
【0036】
入出庫記録50には、一例契約番号、駐車場名、駐車装置番号、ステータス、BDアドレス、利用時間等々が記録される。このような入出庫記録50はスマートフォン2側あるいは入出庫制御部1側に記録しておくようにも設計することが出来るが、駐車場が巨大になって入出庫記録50を一元記録するには、このようにシステムを組むことも好ましい。この実施例はそのような考えに則ったものである。
【0037】
次に自転車をこの駐車ラック6から出庫させる時には、上記同様にスマートフォン2と入出庫制御部1とでBLE(登録商標)通信を行ってロックバー62を施錠装置61の中に引っ込めてから、自転車を車輪導入路60から引き下ろすようにすれば良い。ソレノイド制御部10は一定時間の経過後にロックバー62を施錠装置61から突出させて、車輪Tの入庫を阻止する。
【0038】
このようにこの実施例の一時預かりシステムではスマートフォン2と駐車ラック6とが直接、BLE(登録商標)通信を行って入出庫の動作管理を行っている点に特徴を有する。この結果、精算装置などの大きな設備が不要となっている。また駐車ラック6及び入出庫制御部1は、図3で表すように、BLE(Bluetooth Low Energy)(Bluetoothは登録商標)MESHに繋がるので、駐車ラック6の追加や廃止が自由であると言う効果がある。
【実施例0039】
この実施例は、図7で表わすように自転車のレンタルシステムに係るものである。その殆どの構成を実施例1に倣うものであるが、システムはインターネット上に課金処理部7を備えており、課金処理部7で利用料金の課金が出来るようになっている点に特徴を有する。
【0040】
課金を伴う設計のものでは、上述の実施例1のように通信キャリアで課金処理を行うようにしても良いし、この実施例2のように管理部5の入出庫記録50を利用して、管理部5周りに課金サーバとしての機能を持たせるようにしても良い。或いは例えばクレジットカード会社の決済サーバや、銀行のオンラインシステムに接続させるのである。何れにせよ入出庫記録50に基づいて利用回数や利用時間から課金の金額を計算することになる。このようにしてキャッシュレスでの利用が可能となる。
【0041】
その課金処理部7での都度利用の課金であるが、開錠または施錠を行った駐車ラック6の入出庫制御部1が、ルータ部3またはルータ部33からメッシュネットワークを経由すると共に、クラウドの管理部5を経由して課金処理部7に自己のステータスを送信すると(ステップS5)、課金処理部7では開錠または施錠の指示を出したスマートフォン2のユーザーに対して課金を行う(ステップS6)。
【0042】
なおこの実施例は自転車のレンタルシステムに係る都度利用に対する課金に関するものであるが、月極レンタルを設定することが出来るし、一時預かりに於ける都度利用を設定することも可能である。
【実施例0043】
この実施例は、実施例1や実施例2のソレノイド制御部10の電源とすることが出来るものに関しており、図9で表わすように、充放電コントローラ13にソーラーパネル14と二次電池15とソレノイド制御部10とが接続されており、ソーラーパネル14で発電した電力を一旦二次電池15に蓄えた後、ソレノイド制御部10に供給すると言うものである。
【0044】
充放電コントローラ13には、ソーラーパネル14が二次電池15を過充電させないように二次電池15への充電電圧をコントロールする役割がある。またソーラーパネル14が発電していない時に、二次電池15からソーラーパネル14へ電流が逆流しないようにする役割がある。
【0045】
この発明の駐車システムが従来必須であった精算装置を不要とした点は、駐車場の設置コストを小さくするために大いに役立っている。加えてこの実施例によれば、電源確保の自由度をより高めることに成功している。
【実施例0046】
この実施例は電源部に係る。図10(A)で表したこの実施例の入出庫制御部16は、ソレノイド制御部10と、BLE(登録商標)通信部12と、電気二重層コンデンサ電源部17とから構成され、DC電源としての乾電池にてソレノイド制御部10のソレノイドを駆動することを可能にするものであり、BLE(登録商標)通信部12に電力を供給するためのものである。
【0047】
我国でスーパーキャパシタ(登録商標)とも呼称される電気二重層コンデンサ電源部17の電気二重層コンデンサ(図示せず)は、使用毎に充電するかスレシホールドを決めておいて充電するようにすれば良い。
【0048】
この実施例は実施例3と同様で、電源確保の自由度を高めることを目的として為されたものである。特に一次電池から電気二重層コンデンサに充電する構成が最も好的である。従来は瞬間的なピーク出力が発生するようなソレノイド錠をDC電源としての乾電池のみで駆動することは難しかったが、この実施例によれば電気二重層コンデンサを備えることによりピーク出力が補助されて、ソレノイドを駆動することが出来るようになっている。このように小型化に成功した電源であるが、内蔵する図示しない乾電池は定期的に或いは残量の通知によって新しいものと交換するようにすれば良い。
【0049】
また図10の(B)で表したこの実施例のルータ部3は、LTE(登録商標)通信部30と電源部としてのソーラー電源部34とBLE(登録商標)ルータ32とから構成されている。LTE(登録商標)通信部30は基地局を介して通信キャリア40に接続されている。実施例1のルータ部3とは異なり、電源部31の代わりにソーラー電源部34を設けている点に特徴を有する。
【0050】
上述した実施例3のソーラーパネル14による電源部では、ここで発電した電力によりソレノイド制御部10を動作させていた。これに対してこの実施例のソーラー電源部34は、ソーラーパネル14や二次電池15や充放電コントローラ13を備えるものの、この電力でLTE(登録商標)通信部30やBLE(登録商標)ルータ32を動作させると言うものであり、メッシュネットワークをどこでも構築出来る利点がある。この意味で上述したルータ部33の電源部31の代わりにソーラー電源部34を設けることは大いに好ましいことである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
携帯端末と駐車装置とを近距離無線通信手段によって直接接続して、車両の入出庫時の錠操作を行うことが出来るようにしたことにより、従来は必須であった精算装置が不要となり、駐車場の設置コストが小さくなり、駐車場設置の自由度が高まったことには、産業上の利用可能性があると共に十分な価値が認められる。ある意味「置くだけで設置完了」となるようにも構成可能である。なおこの発明の駐車システムの利用料を無料とすることが可能である。また実施例4の図10(A)で表した入出庫制御部16などはこれを駐車ラック(駐車台)に実装するのではなく、自転車、自動二輪車、自動車などに実装することによって、駐車ラックなしのレンタルサービスを実現することが可能であるから、これもまたこの発明の権利範囲であるものとする。
【符号の説明】
【0052】
1 入出庫制御部 10 ソレノイド制御部
11 電源部 12 BLE(登録商標)通信部
13 充放電コントローラ 14 ソーラーパネル
15 二次電池 16 入出庫制御部
17 電気二重層コンデンサ電源部
2 スマートフォン 20 LTE(登録商標)通信部
21 制御部 22 BLE(登録商標)通信部
3 ルータ部 30 LTE(登録商標)通信部
31 電源部 32 BLE(登録商標)ルータ
33 ルータ部 34 ソーラー電源部
4 通信キャリア 40 通信キャリア
5 管理部 50 入出庫記録
6 駐車ラック 60 車輪導入路
61 施錠装置 62 ロックバー
7 課金処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10