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特開2022-39874連続式単結晶引上げ装置、及び単結晶棒の連続引上げ方法
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  • 特開-連続式単結晶引上げ装置、及び単結晶棒の連続引上げ方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039874
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】連続式単結晶引上げ装置、及び単結晶棒の連続引上げ方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/06 20060101AFI20220303BHJP
   C30B 15/00 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
C30B29/06 502B
C30B15/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020162442
(22)【出願日】2020-09-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】202010886463.8
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520214949
【氏名又は名称】晶科▲緑▼能(上海)管理有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】シャン ウェイゾー
(72)【発明者】
【氏名】バイ シャーロン
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BA04
4G077CF06
4G077CF10
4G077EG01
4G077HA06
4G077HA12
4G077PB02
4G077PB09
4G077PB11
4G077PD02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】単結晶引上げをより安定化させ、コスト削減が可能な、連続式単結晶引上げ装置、及び単結晶棒の連続引上げ方法を提供する。
【解決手段】連続式単結晶引上げ装置は、第1坩堝101と、第1坩堝101の内側に位置する第2坩堝102とを備える坩堝と、坩堝の上方に位置する導流筒2と、坩堝内に材料を供給するための材料輸送配管3と、を備え、第2坩堝102の内径と導流筒2の外径との比が1.05以上であり、第1状態では、導流筒2の底面201と坩堝の底面との間の距離が第1距離であり、第2状態では、導流筒2の底面201と坩堝の底面との間の距離が第2距離であり、ここで、第1距離は第2距離より大きく、また、第1状態と第2状態とでは、坩堝内の融液界面6と導流筒2の底面201との間の距離が一定に維持される。本願は、単結晶の不規則な晶癖線、及び坩堝内の高材料残留量という従来技術の問題を解決することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1坩堝と、前記第1坩堝の内側に位置する第2坩堝と、を備え、前記第1坩堝と前記第2坩堝との間に材料供給空間が形成されている坩堝と、
前記坩堝の上方に位置する導流筒と、
前記材料供給空間に対応して設けられ、材料を前記坩堝内に供給するための材料輸送配管と、を備える連続式単結晶引上げ装置であって、
前記第2坩堝の内径と前記導流筒の外径との比が1.05以上であり、
第1状態で、前記導流筒の底面と前記坩堝の底面との間の距離を第1距離とし、第2状態で、前記導流筒の底面と前記坩堝の底面との間の距離を第2距離とし、前記材料輸送配管は、前記材料供給空間内に延びることに適しており、前記第1距離は前記第2距離よりも大きく、
第1状態と第2状態とでは、前記導流筒の底面と前記坩堝内の融液界面との距離が一定に維持される、ことを特徴とする連続式単結晶引上げ装置。
【請求項2】
前記第2坩堝の内径と前記導流筒の外径との比が1.09~1.3である、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項3】
前記導流筒は直筒部を備え、前記第2坩堝の内側壁と前記導流筒の直筒部の外側壁との間に隙間を有し、前記隙間の幅が50mm~150mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項4】
前記導流筒の外径が500mm~550mmであり、
前記第2坩堝の内径が600mm~650mm、及び/又は、第1坩堝の内径が750mm~800mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項5】
前記坩堝内に最初に投入された材料の質量を第1質量とし、最後の単結晶棒の引上げ終了後、前記坩堝内に残留する材料の質量を第2質量とする場合、前記第2質量は、前記第1質量の0.03倍~0.05倍である、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項6】
前記材料輸送配管は、直線状アーム部を備え、前記直線状アーム部は、前記第1状態で前記材料供給空間内に延出する長さが、前記第2状態で前記材料供給空間内に延出する長さよりも短い、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項7】
前記直線状アーム部の長さが180mm~300mmである、ことを特徴とする請求項6に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項8】
前記連続式単結晶引上げ装置は、昇降機構をさらに備え、
前記昇降機構は、前記坩堝に接続され、前記坩堝を昇降させることに用いられ、
及び/又は、
前記昇降機構は、前記導流筒に接続され、前記導流筒を昇降させることに用いられる、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項9】
前記昇降機構は、
一端が前記第1坩堝の外部に接続された昇降ロッドと、
前記昇降ロッドに接続され、前記昇降ロッドを駆動して前記坩堝を移動させることに用いられる駆動部とを備える、ことを特徴とする請求項8に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の連続式単結晶引上げ装置に適用される単結晶棒の連続引上げ方法であって、
前記単結晶棒の連続引上げ方法は、
前記第1坩堝と前記第2坩堝との間に形成された材料供給空間に第1融液を供給し、前記第2坩堝内に複数の単結晶棒を引上げるための第2融液を供給し、前記材料供給空間内の第1融液が前記第2坩堝内に流入して複数の単結晶棒を引上げることによる第2融液の消耗を補充することができるように設置するステップと、
前記第2融液に種結晶を供給し、前記種結晶を前記第2融液から引上げて前記単結晶棒を成長させるステップと、を含み、
前記複数の単結晶棒のうち最後の単結晶棒を引上げる際に、前記第2坩堝内の第2融液の界面と前記導流筒の底面との距離を一定に維持するように、前記第2坩堝及び/又は前記導流筒の位置を調整する、ことを特徴とする単結晶棒の連続引上げ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は単結晶引上げの技術分野に関し、特に連続式単結晶引上げ装置、及び単結晶棒の連続引上げ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、単結晶シリコンの製造方法は、チョクラルスキー法、磁場チョクラルスキー法、帯域溶融法などがあり、その中でも、チョクラルスキー法は現在よく使われている単結晶シリコンの生産方法である。従来のチョクラルスキー法を用いた生産プロセスは、技術の発展・進歩に伴い、複数回投入チョクラルスキー法(RCZ)又は連続投入チョクラルスキー法(CCZ)に変化している。このうち、CCZ技術は単結晶棒引上げにかかる時間、坩堝のコストやエネルギー消耗量を効果的に低減できるなどの特徴がある。そのため、単結晶引上げコストをさらに削減させるために、単結晶メーカーはCCZ単結晶引上げプロセス、すなわち連続投入引上げプロセスを使用することを試みている。CCZ単結晶引上げプロセスは、結晶の引上げ中に材料を投入することができ、単結晶引上げ中に消耗されるシリコンとフィーダーを介して添加されるシリコンの質量が同一となるようにソフトウェアで制御することにより、単結晶引上げ過程において坩堝を上昇させずに液口距離(液口距離とは、導流筒の下部エッジから溶融シリコン面又は溶融シリコン界面までの距離をいう)を一定に維持することができる。従来の単結晶のチョクラルスキープロセスに比べて、CCZ結晶引上げプロセスでは、単結晶の引上げ中に原料を投入できる点が異なり、それにより、材料溶融用の時間を大幅に短縮させ、さらに1つの単結晶引上げ周期における有効待ち時間を大幅に増加させ、最終的に結晶引上げコストを大幅に削減させることができる。また、CCZ単結晶引上げプロセスは結晶の引上げ中に材料を投入できるので、母合金も単結晶引上げ中に添加することができ、単結晶引上げ速度と単結晶棒の直径に応じて、母合金の添加速度を算出することにより、溶融シリコン中の母合金の濃度がほぼ一致することを確保し、このため、CCZ単結晶引上げプロセスでは、単結晶棒の抵抗率分布が均一であり、N型単結晶を例にすると、通常の単結晶引上げプロセスで引上げられた単結晶棒の先端部と後端部の抵抗率が約3:1であるのに対して、CCZ単結晶引上げプロセスで引上げられた単結晶棒の先端部と後端部の抵抗率がほぼ1.1:1に制御され得る。単結晶棒の抵抗率の均一化は、後続の電池プロセスでの電池の高効率製造に大きく寄与する。
【0003】
しかし、CCZ単結晶引上げプロセスに難度が存在するため、現在、業界では、CCZ単結晶引上げプロセスはまだ試行段階であり、大幅に普及させていない。従来のCCZ単結晶引上げプロセスの試行には一定の難度があるため、CCZ単結晶引上げプロセスによる単結晶棒の歩留まりが低く、主に、引上げ中の単結晶に不規則な晶癖線が発生したり、最後の単結晶棒の引上げ終了後、坩堝内にシリコン材料が多く残留し、シリコン材料のコストが増大したりする。したがって、CCZ単結晶引上げプロセス又は装置の更なる改良が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の目的は、単結晶引上げ過程に添加されるシリコン材料による坩堝内部の温度変動を低減させることができ、単結晶引上げをより安定化させ、単結晶引上げ中の不規則な晶癖線の現象を回避又は低減させ、また、坩堝内の材料残留量の割合を低減させ、単結晶引上げコストを削減させることもできる連続式単結晶引上げ装置、及び単結晶棒引上げシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本願で採用される技術案は、次のとおりである。
【0006】
本願の一態様によれば、本願は、
第1坩堝と、前記第1坩堝の内側に位置する第2坩堝と、を備え、前記第1坩堝と前記第2坩堝との間に材料供給空間が形成されている坩堝と、
前記坩堝の上方に位置する導流筒と、
前記材料供給空間に対応して設けられ、材料を前記坩堝内に供給するための材料輸送配管と、を備え、
前記第2坩堝の内径と前記導流筒の外径との比が1.05以上であり、
第1状態では、前記導流筒の底面と前記坩堝の底面との間の距離が第1距離であり、第2状態では、前記導流筒の底面と前記坩堝の底面との間の距離が第2距離であり、前記材料輸送配管は、前記材料供給空間内に延びることに適しており、前記第1距離は前記第2距離よりも大きく、
第1状態と第2状態とでは、前記導流筒の底面と前記坩堝内の融液界面との距離が一定に維持される、連続式単結晶引上げ装置を提供する。
【0007】
1つの可能な実施形態では、前記第2坩堝の内径と前記導流筒の外径との比が、1.09~1.3である。
【0008】
1つの可能な実施形態では、前記導流筒は直筒部を備え、前記第2坩堝の内側壁と前記導流筒の直筒部の外側壁との間に隙間を有し、前記隙間の幅が50mm~150mmである。
【0009】
1つの可能な実施形態では、前記導流筒の外径が500mm~550mmであり、
前記第2坩堝の内径が600mm~650mm、及び/又は、前記第1坩堝の内径が750mm~800mmである。
【0010】
1つの可能な実施形態では、前記坩堝内に最初に投入される材料の質量が第1質量であり、最後の単結晶棒の引上げ終了後、前記坩堝内に残留する材料の質量が、前記第1質量の0.03~0.05倍の第2質量である。
【0011】
1つの可能な実施形態では、前記材料輸送配管は直線状アーム部を備え、前記直線状アーム部は、前記第1状態で前記材料供給空間内に延在する長さが、前記第2状態で前記材料供給空間内に延在する長さよりも短い。
【0012】
1つの可能な実施形態では、前記直線状アーム部の長さが180mm~300mmである。
【0013】
1つの可能な実施形態では、前記連続式単結晶引上げ装置は、昇降機構をさらに備え、
前記昇降機構は、坩堝に接続され、坩堝を昇降させることに用いられ、
及び/又は、前記昇降機構は、前記導流筒に接続され、前記導流筒を昇降させることに用いられる。
【0014】
1つの可能な実施形態では、前記昇降機構は、一端が前記第1坩堝の外部に接続された昇降ロッドと、駆動部と、を備え、
前記駆動部は、前記昇降ロッドに接続され、前記昇降ロッドを駆動して前記坩堝を移動させることに用いられる。
【0015】
本発明の別の態様によれば、本願は、上記連続式単結晶引上げ装置に適用され、
前記第1坩堝と前記第2坩堝との間に形成された材料供給空間に第1融液を供給し、前記第2坩堝内に複数の単結晶棒を引上げるための第2融液を供給し、前記材料供給空間内の第1融液が前記第2坩堝内に流入して複数の単結晶棒を引上げることによる第2融液の消耗を補充することができるように設置するステップと、
前記第2融液に種結晶を供給し、前記種結晶を前記第2融液から引上げて前記単結晶棒を成長させるステップと、を含み、
前記複数の単結晶棒のうちの最後の単結晶棒を引上げる際に、前記第2坩堝内の第2融液の界面と前記導流筒の底面との距離が一定に維持されるように、前記第2坩堝及び/又は前記導流筒の位置を調整する、単結晶棒の連続引上げ方法を提供する。
【0016】
あるいは、前記坩堝内に最初に投入される材料の質量が200kg~300kgである。
【0017】
あるいは、前記坩堝内に最初に投入される材料の質量が第1質量であり、最後の単結晶棒の引上げ終了後、坩堝内に残留する材料の質量が、前記第1質量の0.03~0.05倍の第2質量である。
【0018】
あるいは、前記材料輸送配管を介して供給される材料の投入速度が、100~200g/minである。
【0019】
あるいは、前記材料輸送配管は、長さ180mm~300mmの直線状アーム部を備える。
【0020】
あるいは、前記導流筒の外径が500mm~550mmであり、
前記第2坩堝の内径が600mm~650mmであり、及び/又は、前記第1坩堝の内径が750mm~800mmである。
【発明の効果】
【0021】
従来技術に比べて、本願に係る技術案は、以下の有益な効果を達成することができる。
【0022】
本願に係る連続式単結晶引上げ装置は、坩堝、導流筒、及び材料輸送配管を備え、坩堝は、第1坩堝と、第1坩堝の内側に位置する第2坩堝とを備え、第2坩堝の内径と導流筒の外径との比が1.05以上であり、つまり、第2坩堝の内径が導流筒の外径よりも大きく、それにより、単結晶引上げ中に坩堝を上昇できないという問題を回避し、第2坩堝の内径と導流筒の外径とがほぼ一致していることにより、坩堝及び/又は導流筒が昇降する際に、第2坩堝と導流筒が干渉しやすいという問題を回避することができる。
【0023】
また、第2坩堝のサイズを大きくすることで、初期投入量を増大することにより、単結晶引上げ中に材料輸送配管を介して添加されるシリコン材料による坩堝内の温度変動を低減させ、単結晶引上げ中に発生する不規則な晶癖線の現象を低減又は回避することができる。一方、最後の単結晶棒を引上げる際に、導流筒及び/又は坩堝を昇降させ、導流筒と坩堝の相対距離を調整することができ、また、坩堝内の融液界面と導流筒の底面との距離を一定に維持することができ、それにより坩堝内のシリコン残留量を低減させ、単結晶引上げコストを削減させることができる。
【0024】
本願の単結晶棒の連続引上げ方法は、前述の連続式単結晶引上げ装置と同一の発明思想に基づいているため、前述の連続式単結晶引上げ装置のすべての特徴及び利点を有しており、ここでは詳しく説明しない。
【0025】
なお、以上の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示的なものにすぎず、本願を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本願の特定の実施形態又は従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下、特定の実施形態又は従来技術の説明に使用される図面を簡単に説明するが、もちろん、以下の説明における図面は本願のいくつかの実施形態であり、当業者であれば、創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】は本願の例示的な実施形態に係る連続式単結晶引上げ装置の構造の模式図である。
図2】は本願の例示的な実施形態に係る連続式単結晶引上げ装置の断面構造の模式図である。
図3】は本願の例示的な実施形態に係る別の連続式単結晶引上げ装置の断面構造の模式図である。
図4】は本願の例示的な実施形態に係る別の連続式単結晶引上げ装置の構造模式図である。
図5】は比較例1の連続式単結晶引上げ装置の構造模式図である。
図6】は本発明の実施例1の連続式単結晶引上げ装置を用いて得られる単結晶棒のシミュレーション模式図である。
図7】は比較例1の連続式単結晶引上げ装置を用いて得られた単結晶棒のシミュレーション模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本願の目的、技術案、及び利点をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照しながら、本願をより詳細に説明する。なお、ここで説明する特定の実施例は、本願を解釈するために過ぎず、本願を限定するものではない。
【0028】
なお、本明細書で使用される用語「及び/又は」は、関連対象の関連関係を記述するものにすぎず、3つの関係が存在することを意味し、たとえば、A及び/又はBの場合は、Aが単独で存在する、AとBが同時に存在する、Bが単独で存在するという3つの状況を意味する。
【0029】
なお、本願の実施例に記載された「上」、「下」などの方位語は、図面に基づいて記載されたものであり、本願の実施例を限定するものとして理解されるべきではない。また、ある要素が別の要素「上」又は「下」に接続されている場合、別の要素の「上」又は「下」に直接接続されてもよく、中間要素を介して別の要素の「上」又は「下」に間接的に接続されてもよい。本願の実施例及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形式の「1種」、「前記」、及び「該」は、文脈が他の意味を明示的に示さない限り、複数形式の場合も含むことを意図する。
【0030】
特に断らない限り、本明細書に記載のすべての技術的特徴及び好ましい特徴は、相互に組み合わせて新たな技術案を形成することができる。別段の定義又は説明がない限り、本明細書で使用される専門的及び科学的用語は、当業者に公知のものと同一の意味を有するものとする。
【0031】
CCZ単結晶引上げプロセスは連続単結晶引上げプロセスであり、生産される単結晶棒の抵抗率が均一であり、分布が狭く、品質が高いなどの特徴がある。その中で、CCZ単結晶引上げの熱場の設計はCCZ単結晶引上げシステム又はプロセス全体にとって極めて重要である。現在のCCZ熱場設計では、単結晶棒の引上げ過程にフィーダーを通じて坩堝内に材料を継続的に投入し、計算により、単結晶棒の成長に消耗される溶融シリコン(融液)の質量と、フィーダーを通じて添加されるシリコン材料の質量を一致させる。従来の導流筒の外径サイズは、内坩堝の内径サイズとほぼ一致し、単結晶引上げ過程において、坩堝の位置と導流筒の位置はほぼ一定に維持される。これにより、CCZ単結晶引上げ過程において、坩堝の位置が一定に維持されるが、消耗される溶融シリコンと添加されるシリコン材料との質量が同じであるため、坩堝に対する溶融シリコン界面(融液界面)の位置も変化しない。CCZ単結晶引上げの場合、単結晶引上げ中に材料を投入するので、従来のチョクラルスキー法に比べて原料溶融にかかる時間を大幅に短縮させ、単結晶棒の抵抗率均一性を大幅に向上させることができる。
【0032】
CCZ単結晶引上げプロセスは1つの単結晶引上げ周期内の有効持ち時間を大幅に向上させることができ、また、単結晶棒の抵抗率均一性を大幅に向上させることができ、後続の電池プロセスに寄与する。しかし、現在、CCZ単結晶引上げプロセスは主に試行段階であり、大部分の関連企業や機構では広く普及させていない。その原因は以下を含む。(1)CCZ単結晶引上げプロセスでは、単結晶棒の歩留まりが低く、主に単結晶引上げ過程に不規則な晶癖線が発生する。CCZ単結晶引上げプロセスでは、単結晶引上げ過程にシリコン材料を添加する必要があるため、シリコン材料を坩堝内の溶融シリコンに添加すると、坩堝内の温度変動を引き起こす傾向があり、単結晶引上げ過程では坩堝内の温度変動が単結晶の成長に悪影響を与え、温度の変動が大きいと単結晶に晶癖線が発生してしまう。(2)現在のCCZ単結晶引上げプロセスと組み合わせる熱場の設計のため、単結晶引上げ過程における坩堝の上昇距離が限られ、その結果、最後の単結晶棒の引上げ終了後、坩堝の内部にシリコン材料が多く残留し、現在、ほとんどのメーカーでは、坩堝内のシリコン材料の残留量が50kg以上に達し、通常、シリコン材料の残留質量がシリコン材料の初期質量の50%~60%を占め、これは、シリコン材料のコストを大幅に増加し、CCZ単結晶引上げのコスト低下が困難になり。
【0033】
これに鑑みて、単結晶引上げ過程にシリコン材料を添加することにより、坩堝内の溶融シリコンの温度変動が大きく、単結晶棒の歩留まりが低いという問題、及び従来のシリコン材料の残留質量がシリコン材料の初期質量の50%~60%を占め、単結晶引上げコストを増大するという従来のCCZ単結晶引上げプロセスの問題を回避するために、本発明の実施例の技術案は、熱場を改良することにより、初期投入量を増加させることで温度変動の幅を低減し、単結晶引上げ過程における連続投入による温度変動を低減させ、材料投入による単結晶引上げへの影響を低減させる連続式単結晶引上げ装置、及び単結晶棒の連続引上げ方法を提供する。熱場の相対サイズを変えることによって、坩堝底部の材料の割合を減らし、CCZ単結晶引上げコストを削減させることができる。
【0034】
第1態様では、図1図4に示すように、本発明の実施例は、連続式単結晶引上げ装置を提供し、該連続式単結晶引上げ装置は、
第1坩堝101と、前記第1坩堝101の内側に位置する第2坩堝102と、を備え、前記第1坩堝101と前記第2坩堝102との間に材料供給空間112が形成されている坩堝1と、
前記坩堝1の上方に位置し、底面201を有する導流筒2と、
前記坩堝1内に材料を供給するための材料輸送配管3であって、前記材料輸送配管3は前記材料供給空間112に対応して設けられるので、材料を材料供給空間112内に供給できる材料輸送配管3と、を備え、
前記第2坩堝102の内径と前記導流筒2の外径との比が1.05以上であり、
第1状態では、前記導流筒2の底面201と前記坩堝1の底面との間の距離が第1距離であり、第2状態では、前記導流筒2の底面と前記坩堝1の底面との間の距離が第2距離であり、前記材料輸送配管3は前記材料供給空間112内に延びることに適しており、前記第1距離は前記第2距離よりも大きく、前記第1状態と前記第2状態とでは、前記坩堝1内の融液界面6と前記導流筒2の底面201との間の距離が一定に維持される。
【0035】
該連続式単結晶引上げ装置では、熱場を再設計し、大きな坩堝、小さな導流筒のような熱場設計を採用することによって、坩堝上昇時の導流筒による坩堝への干渉を回避することができ、単結晶引上げ過程における坩堝の昇降距離が制限されるという従来のCCZ単結晶引上げプロセスの問題を解決し、坩堝内部に残留するシリコン材料を減らし、それによって、坩堝内の材料残留量が高いという従来のCCZプロセスの問題を解決し、単結晶引上げコストを削減させることができる。また、大きな坩堝、小さな導流筒のような熱場設計を採用することによって、CCZ単結晶引上げプロセスにおける坩堝の初期投入量を増大させ、それによって、単結晶引上げ過程における材料投入による温度変動を低減させ、CCZ単結晶引上げプロセスの単結晶棒の歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0036】
詳しくは、該連続式単結晶引上げ装置は、坩堝1、導流筒2、及び材料輸送配管3を備え、坩堝1は、第1坩堝101と第1坩堝101の内側に位置する第2坩堝102と、を備え、第2坩堝102の内径と導流筒2の外径との比が1.05以上であり、つまり、第2坩堝102の内径が導流筒2の外径よりも大きく、それにより、単結晶引上げ過程に坩堝を上昇できないという問題を回避し、また、第2坩堝102の内径と導流筒2の外径とがほぼ一致していることにより、坩堝1及び/又は導流筒2の昇降時に第2坩堝102と導流筒2とが干渉したり、坩堝の昇降距離が制限されたりするという問題を回避することができる。このようにして、最後の単結晶棒4を引上げる際に、導流筒2及び/又は坩堝1を昇降させ、坩堝1内の融液界面6と導流筒2の底面201との間の距離が一定、すなわち液口距離が一定に維持されるように、導流筒2の底面201と坩堝1の底面との間の距離を調整し、それによって、坩堝1内のシリコン残留量を減少させ、単結晶引上げコストを削減させることができる。また、大きな坩堝、小さな導流筒のような設計を採用することによって、すなわち、第2坩堝102のサイズを大きくし、初期投入量を増やすことによって、単結晶引上げ過程において材料輸送配管3を通じて添加されるシリコン材料による坩堝内の温度変動を低減させ、単結晶引上げ過程において発生する不規則な晶癖線の現象を低減又は回避し、さらに単結晶棒の歩留まりを向上させることができる。
【0037】
また、材料輸送配管3は、単結晶引上げ過程においてシリコン材料などの材料を連続的に供給することに用いられ、該材料輸送配管3は、第1坩堝101と第2坩堝102との間に形成された材料供給空間112に対応しており、導流筒2の底面と坩堝の底面との間の距離が小さくなると、材料輸送配管3の少なくとも一部が材料供給空間112内に進入し、それによって、坩堝1の上昇過程や坩堝1と導流筒2との相対位置が変化する過程で坩堝1と材料輸送配管3とが干渉し、坩堝を上昇させできなくなるという問題を回避することができる。
【0038】
上記第1坩堝101は外坩堝であり、上記第2坩堝102は内坩堝であり得る。
【0039】
上記第2坩堝102の内径と導流筒2の外径との比は1.05以上であり、すなわち、第2坩堝102の内径を導流筒2の外径よりも大きくする必要があり、一例として、第2坩堝102の内径と導流筒2の外径との比は、1.05~1.6、1.05~1.5、1.06~1.4、1.09~1.3などであってもよい。代表例として、たとえば1.05、1.08、1.09、1.1、1.15、1.2、1.25、1.28、1.3、1.35、1.4、1.5、1.6などであってもよいが、これらに制限されない。CCZ熱場の設計を改良することで、第2坩堝102の内径を大きくすることにより、第2坩堝102の内径を導流筒2の外径よりも大きくしてもよく、導流筒2の外径を小さくすることにより、第2坩堝102の内径を導流筒2の外径よりも大きくしてもよく、第2坩堝102の内径を大きくするとともに導流筒2の外径を小さくすることにより、第2坩堝102の内径を導流筒2の外径よりも小さくしてもよい。本発明の実施例では、好ましくは、第2坩堝102の内径を大きくすることにより、第2坩堝102の内径を導流筒2の外径よりも大きくし、このようにして、第2坩堝102の内径と導流筒2の外径とがほぼ一致することにより、坩堝昇降時に第2坩堝102と導流筒2とが干渉したり、坩堝の昇降距離が制限されたりするという問題を回避するとともに、初期投入量を増大することができる。
【0040】
上記第1状態は、第1単結晶棒4を引上げるときの状態であってもよく、第2単結晶棒、第3単結晶棒、第4単結晶棒などを引上げるときの状態であってもよく、つまり、上記第1状態は、最後の単結晶棒を引上げる前のいずれの状態であってもよく、上記第2状態は、最後の単結晶棒4を引上げるときの状態であってもよく、最後の単結晶棒を引上げてから最後の単結晶棒の引上げ終了までの状態であってもよい。最後の単結晶棒4を引上げる際に、導流筒2と坩堝1との相対距離を変えることができ、たとえば、導流筒2の底面201と坩堝1の底面との距離が短くなるように、坩堝1又は導流筒2を昇降させることができる。最後の単結晶棒を引上げる前の導流筒2の底面201と坩堝1の底面との距離は、いずれも第1距離であってもよく、最後の単結晶棒の引上げ過程において、液口距離を一定に維持するように導流筒2の底面201と坩堝1の底面との距離を常に調整することができ、最後の単結晶棒の引上げ終了後、導流筒2の底面201と坩堝1の底面との距離が最小になる。第1状態における導流筒2の底面201と坩堝1の底面との距離は、図2に示すように、第1距離であり、第2状態における導流筒2の底面201と坩堝1の底面との距離は、図3に示すように、第1距離である。図2及び図3から分かるように、第1距離は第2距離よりも大きく、つまり、最後の単結晶棒4を引上げる際に、導流筒2と坩堝1との相対距離を調整することで、導流筒2の底面201と坩堝1の底面との距離を小さくし、さらに坩堝1内の材料残留を減少させ、つまり坩堝1内の残留材料の質量を小さくし、結晶引上げコストを削減させることができる。そして、単結晶引上げ過程において、坩堝1内の融液界面6と導流筒2の底面201との間の距離である液口距離は、第1状態でも第2状態でも、一定に維持する必要がある。
【0041】
上記融液界面6は、溶融シリコン界面であってもよいし、融液5と現在の単結晶棒4との間の界面であってもよいし、融液5の表面であってもよい。
【0042】
上記坩堝1の底面は、第1坩堝101の外側底面であってもよい。
【0043】
いくつかの実施例では、第2坩堝102の内径を多くする一方、第2坩堝102のサイズの増加に対する第1坩堝101の影響を回避するために、第1坩堝101の内径も適応的に多くすることが可能である。また、第1坩堝101と第2坩堝102との間の材料供給空間112は、材料輸送配管3が進入可能である必要があるため、この材料供給空間112の距離又はサイズについては、材料輸送配管3の外径以上とする必要がある。
【0044】
いくつかの実施例では、前記第2坩堝102の内径と前記導流筒2の外径との比は1.09~1.3であり、たとえば、1.09、1.0、1.1、1.15、1.2、1.22、1.25、1.28、1.3などであってもよい。
【0045】
この範囲とすると、第2坩堝102の内径と導流筒2の外径とがほぼ一致していることにより、坩堝昇降時に第2坩堝102と導流筒2とが干渉したり、坩堝の昇降距離が制限されたりするという問題を回避するだけでなく、最後の単結晶棒を引上げる際に坩堝を上昇させ、坩堝内部のシリコン材料の残留量を低減させ、単結晶引上げコストを削減させることができる。また、初期投入量を増加させ、単結晶引上げ過程において原料供給配管3を通じて添加されるシリコン材料による坩堝内の温度変動を低減させることができ、単結晶引上げ過程に発生する不規則な晶癖線の現象を低減又は回避し、さらに単結晶棒の歩留まりを向上させることができる。
【0046】
いくつかの実施例では、前記導流筒2は直筒部202を備え、前記第2坩堝102の内側壁と前記導流筒2の直筒部202の外側壁との間に隙間121を有し、前記隙間121の幅は、50mm~150mm、さらに50mm~120mm、さらに60mm~100mmであってもよく、代表例として、たとえば50mm、60mm、70mm、80mm、90mm、100mm、120mm、140mm、150mmなどとしてもよいが、これらに制限されない。
【0047】
上記導流筒2は、直筒部202と非直筒部と、を備えていてもよく、該非直筒部は、たとえば円弧面を有する部分であってもよい。前記導流筒2の外径とは、導流筒2の直筒部202の外径である。
【0048】
上記導流筒2の具体的な構造形状は様々であり、図1図4に示すような形状の構造を採用してもよいが、他の実施例では他の形状構造を採用してもよく、本発明の実施例では、それについて限定しない。
【0049】
最後の単結晶棒を引上げる際に、坩堝1内に残留するシリコン材料を減少させるために、導流筒2と坩堝1との相対位置を変えることで、導流筒2の底面201と坩堝1の底面との距離を短縮させることができる。昇降時の導流筒2と第2坩堝102との干渉を回避するために、両者の隙間121を適切な範囲とすることができ、このようにすると、コスト削減、干渉回避に寄与する。
【0050】
いくつかの実施例では、前記導流筒2の外径は500mm~550mmであり、代表例として、たとえば500mm、510mm、520mm、530mm、540mm、550mmなどであってもよいが、これらに制限されない。
【0051】
前記第2坩堝102の内径は、600mm~650mmであり、代表例として、たとえば600mm、610mm、620mm、630mm、640mm、650mmなどであってもよいが、これらに制限されない。
【0052】
前記第1坩堝101の内径は750mm~800mmであり、代表例として、たとえば750mm、760mm、770mm、780mm、790mm、800mmなどであってもよいが、これらに制限されない。
【0053】
上記第1坩堝101及び第2坩堝102の具体的な構造形態は様々であり、本発明の実施例では、それについて限定しない。一例として、いくつかの実施例では、前記第2坩堝102は、第1坩堝101の内側に配置された円筒状の石英坩堝であってもよく、第2坩堝102は垂直部を備え、第2坩堝102と第1坩堝101は、共通の底部を有していてもよく、該第2坩堝102の下部には、メルトが通過するための連通口が設けられている。別の実施例では、第2坩堝102は、第1坩堝101の内側に配置されたU字形坩堝であってもよく、第1坩堝101と第2坩堝102の両方は、円弧状の底部と垂直部が設けられてもよく、そして、第2坩堝102の底部には、溶融シリコンを通過させるためのいくつかの貫通孔が設けられている。
【0054】
あるいは、第1坩堝101及び/又は第2坩堝102の内面は、坩堝を強化させる機能を果たす透明シリカガラス層のようなコーティング層を備えていてもよい。
【0055】
いくつかの実施例では、坩堝1内に最初に投入される材料の質量は第1質量であり、最後の単結晶棒4の引上げ終了後、坩堝1内に残留する材料の質量は、前記第1質量の0.03倍~0.05倍、たとえば0.03倍、0.04倍、0.05倍などの第2質量である。
【0056】
これにより、坩堝内に残留するシリコン材料を大幅に低減させ、単結晶引上げコストを削減させることができる
【0057】
いくつかの実施例では、前記材料輸送配管3は直線状アーム部301を備え、前記第1状態で前記材料供給空間112内に延在する前記直線状アーム部301の長さが、前記第2状態で前記材料供給空間112内に延在する前記直線状アーム部301の長さよりも短い。
【0058】
第1状態では、材料輸送配管3の排出口が材料供給空間112の開口に対応するか、材料輸送配管3の直線状アーム部301の下端が部分的に材料供給空間112内に進入し得る。第2状態では、材料輸送配管3の直線状アーム部301が材料供給空間112内にさらに進入し得る。つまり、最後の単結晶棒4を引上げる際に、坩堝を上昇させることができ、材料輸送配管3による坩堝1の上昇への影響を回避するために、材料輸送配管3の直線状アーム部301の長さを増大し、最後の単結晶棒4を引上げる際に材料供給空間112内に延在する直線状アーム部301の長さを大きくし、それによって、坩堝1の昇降時に坩堝1が材料輸送配管3と干渉することがなく、坩堝1を上昇できなくなるという問題を回避することができる。
【0059】
いくつかの実施例では、前記直線状アーム部301の長さは180mm~300mmであり、代表例として、たとえば、180mm、190mm、200mm、220mm、240mm、250mm、260mm、280mm、280mmなどであってもよいが、これらに制限されない。
【0060】
材料輸送配管3の直線状アーム部301の長さを180mm~300mmの範囲内に長くすることにより、坩堝1の上昇時に坩堝1が材料輸送配管3と干渉することがなく、坩堝1を上昇できなくなるという問題を回避することができる。
【0061】
最後の単結晶棒4を引上げる際に、導流筒2の底面201と坩堝1の底面との距離を短くし、坩堝1内のシリコン残留量を減少させるためには、坩堝1又は導流筒2を昇降させることができ、このため、坩堝1又は導流筒2を昇降させ得る昇降機構を設ける必要がある。具体的には、いくつかの実施例では、前記連続式単結晶引上げ装置は、昇降機構8をさらに備え、
前記昇降機構8は、前記坩堝1に接続され、前記坩堝1を昇降させることに用いられ、
及び/又は、前記昇降機構8は、前記導流筒2に接続され、前記導流筒2を昇降させることに用いられる。
【0062】
該連続式単結晶引上げ装置には、昇降機構8が設けられてもよく、該昇降機構8は、導流筒2に接続され、導流筒2を昇降させるか、坩堝1に接続され、坩堝1を昇降させるか、坩堝1と導流筒2の両方に接続され、坩堝1と導流筒2の両方を昇降させることに用いられる。
【0063】
導流筒を昇降させるための昇降機構は、様々なタイプがあり、たとえば、様々な周知の昇降機構などとしてもよく、本発明の実施例では、それについて限定されず、ここでは詳細に説明しない。
【0064】
いくつかの実施例では、前記昇降機構8は、一端が第1坩堝101の外部に接続された昇降ロッドと、駆動部と、を備え、
前記駆動部は、前記昇降ロッドに接続され、前記昇降ロッドを駆動して前記坩堝1を移動させることに用いられる。
【0065】
あるいは、前記駆動部はモータであってもよい。昇降ロッドをモータで駆動して移動させ、坩堝1を上昇又は下降させ、それにより、構造が簡単で、安価で、取り扱いが容易になる。
【0066】
いくつかの実施例では、該連続式単結晶引上げ装置には、距離センサ、温度センサ、制御ユニットなどがさらに設けられてもよく、その中でも、温度センサ及び距離センサは、それぞれ制御ユニットに接続され、温度センサは、単結晶引上げ過程の温度を監視することに用いられ、距離センサは、坩堝1内の融液界面6と導流筒2の底面201との間の距離を監視することに用いられ、単結晶引上げ過程に坩堝1内の融液界面6と導流筒2の底面201との間の距離を一定に維持することを確保する。
【0067】
いくつかの実施例では、図4に示すように、該連続式単結晶引上げ装置には、単結晶引上げ炉7が設けられ、この単結晶引上げ炉7内には、上記坩堝1、導流筒2、及び少なくとも一部の材料輸送配管3が配置されている。
【0068】
さらに、上記昇降ロッドも少なくとも部的に単結晶引上げ炉7内に配置され得、モータなどの駆動部は単結晶引上げ炉7外に配置され得る。
【0069】
さらに、単結晶引上げ炉7内には、坩堝1を加熱するための加熱手段10が設けられている。
【0070】
さらに、該連続式単結晶引上げ装置はフィーダー9をさらに備え、上記材料輸送配管3は、一端が材料供給空間112に対応して設けられ、他端がフィーダー9に接続される。
【0071】
なお、上記連続式単結晶引上げ装置では、制御ユニット、加熱手段、フィーダーやほかの保温構造など、詳細に記載されていない部分は、当業者が実際な状況に応じて選択することができるものであり、特に限定するものではなく、ここでは詳細に説明しない。
【0072】
以上から分かるように、本発明の実施例は、熱場の最適化設計によって、初期投入量を増大させるという目的を達成させ、単結晶引上げ過程におけるシリコン材料の添加による温度変動による単結晶引上げへの影響を低減させ、また、坩堝の上昇空間が大きく、最後の単結晶棒を引上げる際に、坩堝を上昇させることにより、坩堝での材料残留量が大きいという従来技術の問題を解決することができる。
【0073】
第2態様では、本願の実施例は単結晶棒の連続引上げ方法をさらに提供し、この単結晶棒の連続引上げ方法は、上記連続式単結晶引上げ装置に適用されて単結晶棒を引上げる方法であって、具体的には、
前記第1坩堝と前記第2坩堝との間に形成された材料供給空間に第1融液を供給し、前記第2坩堝内に複数の単結晶棒を引上げるための第2融液を供給し、前記材料供給空間内の第1融液が前記第2坩堝に流入して複数の単結晶棒を引上げることによる第2融液の消耗を補充することができるように設置するステップと、
前記第2融液に種結晶を供給し、前記種結晶を前記第2融液から引上げて単結晶棒を成長させるステップと、を含み、
前記複数の単結晶棒のうちの最後の単結晶棒を引上げる際に、前記第2坩堝内の第2融液の界面(融液界面)と前記導流筒の底面との距離が一定に維持されるように、前記第2坩堝及び/又は前記導流筒の位置を調整する。
【0074】
該単結晶棒の連続引上げ方法に関しては、従来のCCZ単結晶引上げプロセスに比べて、主に、以下の点が異なる。従来技術のCCZ単結晶引上げプロセスでは、最後の単結晶棒を引上げる際に坩堝又は導流筒の位置を調整できないため、坩堝内の材料残留量が多くなり、コストが高まり、一方、本願では、CCZ熱場を再設計することによって、前記複数の単結晶棒のうちの最後の単結晶棒を引上げる際に、第2坩堝及び/又は導流筒の位置を調整し、坩堝内の材料残留量を減少させ、第2坩堝内の第2融液の界面、すなわち坩堝内の融液の界面と導流筒の底面との距離を一定に維持することができる。また、本願は、第2坩堝と導流筒のサイズの比率を増加させ、それにより、初期投入量を増加させ、単結晶の不規則な晶癖線の現象を減少又は回避し、単結晶棒の歩留まりを向上させることができる。
【0075】
なお、最後の単結晶棒を引上げる前に、材料輸送配管を通じて材料を坩堝内に供給し、消耗された第2融液を補充することで、坩堝内の融液界面と導流筒の底面との距離を一定に維持することができ、最後の単結晶棒を引上げる際に、材料輸送配管による坩堝内への材料輸送を停止し、坩堝を上昇させて坩堝と導流筒との相対距離を調整することにより、坩堝内の融液界面と導流筒の底面との距離を一定に維持することができる。当業者が理解できるように、該単結晶棒の連続引上げ方法は、前述の連続式単結晶引上げ装置と同一の発明概念に基づくものであり、連続式単結晶引上げ装置について前述した特徴及び利点は、当該単結晶棒の連続引上げ方法にも適用できるため、ここでは詳細に説明しない。
【0076】
あるいは、前記坩堝に最初に投入される材料の質量は200kg~300kgである。
【0077】
発明者らは、坩堝の初期投入量が多いほど、CCZ単結晶引上げ過程において、同じ投入速度による温度変動が小さいことを見出した。第1坩堝、第2坩堝、材料輸送配管、導流筒の設計を最適化することによって、CCZ単結晶引上げプロセスによる成長過程において、単結晶引上げをさらに安定化させ、坩堝内の材料残留量の割合を大幅に低下させることができる。
【0078】
あるいは、前記坩堝内に最初に投入される材料の質量は第1質量であり、最後の単結晶棒の引上げ終了後、坩堝内に残留する材料の質量は第1質量の0.03~0.05倍の第2質量である。
【0079】
あるいは、前記材料輸送配管を通じて供給される材料の投入速度が100~200g/minである。
【0080】
あるいは、前記材料輸送配管は長さ180mm~300mmの直線状アーム部を含む。
【0081】
あるいは、前記導流筒の外径は500mm~550mmである。
【0082】
前記第2坩堝の内径は600mm~650mm、及び/又は、前記第1坩堝の内径は750mm~800mmである。
【0083】
本発明を理解しやすくするために、以下、特定の実施例及び比較例を参照しながら、本発明についてさらに説明する。
【0084】
実施例1
図1図4に示すように、連続式単結晶引上げ装置は、坩堝1と、導流筒2と、材料輸送配管3と、昇降機構8と、を備え、坩堝1は、第1坩堝101と、第1坩堝101の内側に位置する第2坩堝102と、を備え、第1坩堝101と第2坩堝102との間に材料供給空間112が形成されており、導流筒2は坩堝1の上方に位置し、底面201が設けられており、材料輸送配管3は坩堝1内に材料を供給することに用いられ、材料供給空間112に対応して設けられている。昇降機構8は、一端が第1坩堝101の外部に接続された昇降ロッドと、駆動部と、を備え、前記駆動部は、昇降ロッドに接続され、昇降ロッドを駆動して坩堝1を移動させることに用いられる。
【0085】
ここで、第1坩堝101の内径は750~800mmであり、第2坩堝102の内径は600~650mmであり、導流筒2の外径は500~550mmである。
【0086】
材料輸送配管3は、長さ180~300mmの直線状アーム部301を備える。このようにして、材料輸送配管3により坩堝1を上昇できないことを防止することができる。
【0087】
実施例1の初期投入量は200~300kgである。単結晶棒4の成長速度は、従来のものとほぼ同じであり、材料輸送配管3を通じて供給する速度は、100~200g/min程度として設定することができる。
【0088】
最後の単結晶棒4を引上げる際に、昇降機構8を用いて坩堝1を上方に上昇させて、導流筒2の底面と坩堝1の底面との距離を短くすることができる。単結晶引上げプロセスと生産能力を総合的に考慮すると、結晶引上げ終了後、坩堝1内に残留する溶融シリコンの質量は約10kgである。また、最後の単結晶棒4を引上げる際に、導流筒2の底面201から坩堝1内の融液界面6までの距離を一定に維持するためには、単結晶引上げプロセスにおいて坩堝1を上昇させる必要があり、坩堝1内の初期投入量の高さと、最後の単結晶棒引上げ終了後の坩堝1内の残留溶融シリコンの高さとの差が、坩堝1を上昇させる具体的な高さである。
【0089】
比較例1
図5に示すように、連続式単結晶引上げ装置は、坩堝1と、導流筒2と、材料輸送配管3と、を備え、坩堝1は、第1坩堝と、第1坩堝の内側に位置する第2坩堝と、を備え、第1坩堝と第2坩堝との間に材料供給空間が形成されており、導流筒2は坩堝1の上方に位置し、底面が設けられており、材料輸送配管3は、坩堝1内に材料を供給することに用いられ、材料供給空間に対応して設けられる。
【0090】
ここで、第1坩堝の内径は650~700mmであり、第2坩堝の内径は470~520mmであり、導流筒2の外径は500~550mmである。この比較例1では、第2坩堝の内径が導流筒2の外径よりも小さいか、又は第2坩堝の内径が導流筒2の外径とほぼ一致しているため、単結晶引上げ過程において坩堝を上方に上昇させることができず、上昇させると、坩堝が導流筒2と干渉することになる。
【0091】
材料輸送配管3は、長さ40~60mmの直線状アーム部を備える。
【0092】
比較例1では、初期投入量は80~150kgであり、CCZ単結晶引上げ過程を採用する場合、溶融シリコンの液面である融液界面の位置が坩堝に対して変化しないように単結晶引上げ速度と投入速度を制御し、このため、最後の単結晶棒4を引上げる際に、坩堝内に残留するシリコン材料は40~90kgに達する。比較例1では、第2坩堝のサイズと導流筒2のサイズはほぼ同じであるため、最後の単結晶棒を引上げる際に、坩堝を上方に上昇させることができず、その結果、坩堝底部の材料が多くなり、無駄になる。
【0093】
実施例1と比較例1の比較・分析から分かるように、本発明の実施例のCCZ熱場は、導流筒2のサイズを一定にした上て、内坩堝と外坩堝の径方向のサイズを大きくし、導流筒2の外径と内坩堝の内径との間に絶対的な隙間量を残し、材料輸送配管3(又は投入容器)のサイズを最適化することにより、最後の単結晶棒4を引上げる際の坩堝の上昇空間を大きくし、それによって、最後の単結晶棒4を引上げる際に坩堝を上昇させることができ、最終的に坩堝での材料残留量を大幅に減少させ、CCZ単結晶引上げコストを削減させることができる。
【0094】
図6及び図7に示した単結晶棒の長さはいずれも1300mmであるが,図6の単結晶棒に使用される坩堝の内径は図7の単結晶棒に使用される坩堝の内径よりも大きい。図6及び図7のそれぞれに示すように、発明者は、CGsimシミュレーションソフトウェアを用いて次の結論に付いた。坩堝の内径が大きくなるにつれて、メルト表面のせん断流(shear flow)及びメルト内部の毛管対流(capillary convection)が明らかに強化され、酸素の放散が強化され、しかも坩堝の側縁の浮力対流(buoyancy driven convection)と中心の機械対流とがほぼ遮断され、坩堝壁からの酸素の長結晶界面への侵入の確率が大幅に減少し、そのため、坩堝の内径を大きくすることは単結晶棒の品質を高める効果がある。また、坩堝の内径を大きくすることにより、投入量を増加し、同じ投入速度では、初期投入量が大きくなり、温度変動の幅が小さくなる。したがって、熱場設計を最適化することにより、初期投入量を増加させ、投入速度を一定にする場合、坩堝内部の温度変動を小さくし、結晶成長をより安定化させることができる。
【0095】
以上の説明から分かるように、従来技術では、単結晶の不規則な晶癖線及び坩堝内の高材料残留量は、現在のCCZ単結晶引上げ過程に存在する主要な問題であり、その中でも、単結晶の不規則な晶癖線は、CCZ単結晶引上げプロセスの場合、炉台の結晶化率が低く、作業率が低いという問題を招き、一方、坩堝内の高材料残留量は、シリコン材料の浪費を招き、単結晶引上げコストを増大する。本発明は、熱場の最適化設計によって、上記第1坩堝101、第2坩堝102、導流筒2、材料輸送配管3などの設計を組み合わせることで、坩堝の初期投入量を増やし、単結晶引上げ過程に添加される固体シリコン材料による温度変動を低減させ、結晶成長をより安定化させ、そして、最後の単結晶棒を引上げる際に、坩堝に一定の上昇空間があり、それによって、液口距離(すなわち、導流筒2の底面201から融液界面までの距離)を一定に維持した上で、坩堝内のシリコン材料を可能な限り引上げ、無駄を減らし、コストを削減させることができる。
【0096】
以上の説明は、本願の好適な実施例に過ぎず、本願を限定するものではなく、当業者であれば、本願に対して様々な変更及び変化を加え得る。本願の精神及び原則から逸脱することなく行われるすべての補正、均等な置換、改良などは、本願の特許範囲に含まれるものとする。
【0097】
なお、本特許出願書類の一部には著作権により保護された内容が含まれている。特許庁の特許書類又は記録された特許文書の内容をコピーする以外に、著作権者は著作権を留保する。
【符号の説明】
【0098】
1-坩堝
101-第1坩堝
102-第2坩堝
112-材料供給空間
121-隙間
2-導流筒
201-底面
202-直筒部
3-材料輸送配管
301-直線状アーム部
4-単結晶棒
5-融液
6-融液界面
7-単結晶引上げ炉
8-昇降機構
9-フィーダー
10-加熱手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1坩堝と、前記第1坩堝の内側に位置する第2坩堝と、を備える坩堝であって、前記第1坩堝と前記第2坩堝との間に材料供給空間が形成されており、前記第2坩堝の下部に、融液が前記材料供給空間から前記第2坩堝の内部に流入するための連通口が設けられている坩堝と、
前記坩堝の上方に位置する導流筒と、
前記材料供給空間に対応して設けられ、材料を前記坩堝内に供給するための材料輸送配管と、を備える連続式単結晶引上げ装置であって、
前記第2坩堝の内径と前記導流筒の外径との比が1.05以上であり、
第1状態で、前記導流筒の底面と前記坩堝の底面との間の距離を第1距離とし、第2状態で、前記導流筒の底面と前記坩堝の底面との間の距離を第2距離とし、前記材料輸送配管は、前記材料供給空間内に延びており、前記第1距離は前記第2距離よりも大きく、
第1状態と第2状態とでは、前記導流筒の底面と前記坩堝内の融液界面との距離が一定に維持される、ことを特徴とする連続式単結晶引上げ装置。
【請求項2】
前記第2坩堝の内径と前記導流筒の外径との比が1.09~1.3である、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項3】
前記導流筒は直筒部を備え、前記第2坩堝の内側壁と前記導流筒の直筒部の外側壁との間に隙間を有し、前記隙間の幅が50mm~150mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項4】
前記導流筒の外径が500mm~550mmであり、
前記第2坩堝の内径が600mm~650mm、及び/又は、第1坩堝の内径が750mm~800mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項5】
前記坩堝内に最初に投入された材料の質量を第1質量とし、最後の単結晶棒の引上げ終了後、前記坩堝内に残留する材料の質量を第2質量とする場合、前記第2質量は、前記第1質量の0.03倍~0.05倍である、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項6】
前記材料輸送配管は、直線状アーム部を備え、前記直線状アーム部は、前記第1状態で前記材料供給空間内に延出する長さが、前記第2状態で前記材料供給空間内に延出する長さよりも短い、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項7】
前記直線状アーム部の長さが180mm~300mmである、ことを特徴とする請求項6に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項8】
前記連続式単結晶引上げ装置は、昇降機構をさらに備え、
前記昇降機構は、前記坩堝に接続され、前記坩堝を昇降させることに用いられ、
及び/又は、
前記昇降機構は、前記導流筒に接続され、前記導流筒を昇降させることに用いられる、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項9】
前記昇降機構は、
一端が前記第1坩堝の外部に接続された昇降ロッドと、
前記昇降ロッドに接続され、前記昇降ロッドを駆動して前記坩堝を移動させることに用いられる駆動部とを備える、ことを特徴とする請求項8に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の連続式単結晶引上げ装置に適用される単結晶棒の連続引上げ方法であって、
前記単結晶棒の連続引上げ方法は、
前記第1坩堝と前記第2坩堝との間に形成された材料供給空間に第1融液を供給し、前記第1融液の一部が、前記第2坩堝の下部に設けられる連通口を通して前記第2坩堝内に流入して、複数の単結晶棒を引上げるための第2融液を形成し、前記材料供給空間内の第1融液が前記連通口を通して前記第2坩堝内に流入して複数の単結晶棒を引上げることによる第2融液の消耗を補充することができるように設置するステップと、
前記第2融液に種結晶を供給し、前記種結晶を前記第2融液から引上げて前記単結晶棒を成長させるステップと、を含み、
前記複数の単結晶棒のうち最後の単結晶棒を引上げる際に、前記第2坩堝内の第2融液の界面と前記導流筒の底面との距離を一定に維持するように、前記第2坩堝及び/又は前記導流筒の位置を調整する、ことを特徴とする単結晶棒の連続引上げ方法。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1坩堝と、前記第1坩堝の内側に位置する第2坩堝と、を備える坩堝であって、前記第1坩堝と前記第2坩堝との間に材料供給空間が形成されており、前記第2坩堝の下部に、融液が前記材料供給空間から前記第2坩堝の内部に流入するための連通口が設けられている坩堝と、
前記坩堝の上方に位置する導流筒と、
前記材料供給空間に対応して設けられ、材料を前記坩堝内に供給するための材料輸送配管と、を備える連続式単結晶引上げ装置であって、
前記第2坩堝の内径と前記導流筒の外径との比が1.05以上であり、
第1状態で、前記導流筒の底面と前記坩堝の底面との間の距離を第1距離とし、第2状態で、前記導流筒の底面と前記坩堝の底面との間の距離を第2距離とし、前記材料輸送配管は、前記材料供給空間内に延びており、前記第1距離は前記第2距離よりも大きく、
第1状態と第2状態とでは、前記導流筒の底面と前記坩堝内の融液界面との距離が一定に維持され
前記材料輸送配管は、直線状アーム部を備え、前記直線状アーム部は、前記第1状態で前記材料供給空間内に延出する長さが、前記第2状態で前記材料供給空間内に延出する長さよりも短いことを特徴とする連続式単結晶引上げ装置。
【請求項2】
前記第2坩堝の内径と前記導流筒の外径との比が1.09~1.3である、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項3】
前記導流筒は直筒部を備え、前記第2坩堝の内側壁と前記導流筒の直筒部の外側壁との間に隙間を有し、前記隙間の幅が50mm~150mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項4】
前記導流筒の外径が500mm~550mmであり、
前記第2坩堝の内径が600mm~650mm、及び/又は、第1坩堝の内径が750mm~800mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項5】
前記坩堝内に最初に投入された材料の質量を第1質量とし、最後の単結晶棒の引上げ終了後、前記坩堝内に残留する材料の質量を第2質量とする場合、前記第2質量は、前記第1質量の0.03倍~0.05倍である、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項6】
前記直線状アーム部の長さが180mm~300mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項7】
前記連続式単結晶引上げ装置は、昇降機構をさらに備え、
前記昇降機構は、前記坩堝に接続され、前記坩堝を昇降させることに用いられ、
及び/又は、
前記昇降機構は、前記導流筒に接続され、前記導流筒を昇降させることに用いられる、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項8】
前記昇降機構は、
一端が前記第1坩堝の外部に接続された昇降ロッドと、
前記昇降ロッドに接続され、前記昇降ロッドを駆動して前記坩堝を移動させることに用いられる駆動部とを備える、ことを特徴とする請求項7に記載の連続式単結晶引上げ装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の連続式単結晶引上げ装置に適用される単結晶棒の連続引上げ方法であって、
前記単結晶棒の連続引上げ方法は、
前記第1坩堝と前記第2坩堝との間に形成された材料供給空間に第1融液を供給し、前記第1融液の一部が、前記第2坩堝の下部に設けられる連通口を通して前記第2坩堝内に流入して、複数の単結晶棒を引上げるための第2融液を形成し、前記材料供給空間内の第1融液が前記連通口を通して前記第2坩堝内に流入して複数の単結晶棒を引上げることによる第2融液の消耗を補充することができるように設置するステップと、
前記第2融液に種結晶を供給し、前記種結晶を前記第2融液から引上げて前記単結晶棒を成長させるステップと、を含み、
前記複数の単結晶棒のうち最後の単結晶棒を引上げる際に、前記第2坩堝内の第2融液の界面と前記導流筒の底面との距離を一定に維持するように、前記第2坩堝及び/又は前記導流筒の位置を調整する、ことを特徴とする単結晶棒の連続引上げ方法。