(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039903
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】ラインレーザーセンサ用のキャリブレーションブロック及びハンドアイキャリブレーション方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
G01B11/24 K
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021000997
(22)【出願日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】202010881809.5
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520022540
【氏名又は名称】中国計量大学
(74)【代理人】
【識別番号】100178434
【弁理士】
【氏名又は名称】李 じゅん
(72)【発明者】
【氏名】江 文松
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼ 哉
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 洪楠
(72)【発明者】
【氏名】朱 志▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲げい▼文
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA04
2F065AA34
2F065AA53
2F065BB02
2F065BB05
2F065BB08
2F065BB18
2F065DD19
2F065EE05
2F065EE08
2F065EE11
2F065FF01
2F065FF04
2F065FF61
2F065FF65
2F065FF67
2F065HH05
2F065MM11
2F065PP04
2F065PP05
2F065PP25
2F065QQ17
2F065QQ21
2F065QQ25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ラインレーザーセンサ用のキャリブレーションブロック及びハンドアイキャリブレーション方法を提供する。
【解決手段】キャリブレーションブロック401の表面には碁盤目402を備え、碁盤目402は縦横の等間隔の碁盤線列が交差して形成されるラインレーザーセンサ用のキャリブレーションブロック401であって、キャリブレーションブロック401の中央には円錐台孔404を備え、円錐台孔404の軸は碁盤目402の所在する表面に垂直であり、円錐台孔404の軸は碁盤目上の2本の交差線の交点を通過する。キャリブレーションブロック401は、平面上で碁盤目線及び円錐台孔404を識別するだけでよいため、加工がより簡単であり、加工精度を向上しやすい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリブレーションブロックの表面には碁盤目を備え、前記碁盤目は縦横の等間隔の碁盤線列が交差して形成されるラインレーザーセンサ用のキャリブレーションブロックであって、
前記キャリブレーションブロックの中央には円錐台孔を備え、前記円錐台孔の軸は碁盤目の所在する表面に垂直であり、前記円錐台孔の軸は碁盤目上の2本の交差線の交点を通過する、ことを特徴とするラインレーザーセンサ用のキャリブレーションブロック。
【請求項2】
前記円錐台孔の孔壁面と碁盤目の所在する表面とが交差する円形口のエッジの直径は、碁盤目上の最小方眼の辺の長さより小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のラインレーザーセンサ用のキャリブレーションブロック。
【請求項3】
円錐台の母線と底面との夾角は45°である、ことを特徴とする請求項1に記載のラインレーザーセンサ用のキャリブレーションブロック。
【請求項4】
前記碁盤目は陰刻(diaglyph)線である、ことを特徴とする請求項1に記載のラインレーザーセンサ用のキャリブレーションブロック。
【請求項5】
前記円錐台孔の下方には走査位置決め装置が配置され、前記走査位置決め装置は、走査光を受け取ることができる光電検出器を含み、前記光電検出器の光電プローブは、変形フレーム上に設置され、変形フレームは、12個の弧形の変形ユニットを含み、変形ユニットは2つの弧形ロッドを含み、2つの弧形ロッドの中央部分は中央ヒンジ軸を介して回転連結され、複数の変形ユニットの弧形ロッドは端部ヒンジ軸を介して閉鎖連結されて閉じた円形の変形フレームになり、円形の変形フレームは円錐台孔の中心軸に垂直であり、変形フレームの円心は円錐台孔の中心軸上に位置され、同一変形ユニットの同一径向上の2つの端部ヒンジ軸はスライド可能にラジアルガイドレール上に配合され、端部ヒンジ軸又は中央ヒンジ軸は、リニアモータにより制御され、ラジアルガイドレールを沿って移動することにより、前記変形フレームの収縮変形を制御し、光電検出器と円錐台孔の中心軸との距離を変更し、光電検出器は変形フレームの内側における12個の端部ヒンジ軸上に設置される、ことを特徴とする請求項1に記載のラインレーザーセンサ用のキャリブレーションブロック。
【請求項6】
ラインレーザーセンサ用のハンドアイキャリブレーション方法であって、
(1)ラインレーザーセンサをロボットアームのエンドエフェクタ上に固定的に取り付け、前記キャリブレーションブロック及び碁盤目をラインレーザーセンサの測定範囲内に取り付ける、センサを設置するステップと、
(2)対応する姿勢下でラインレーザーセンサから放出されたレーザー走査面がキャリブレーションブロック上の碁盤目と交差し、碁盤目の表面上にライトストリップ直線を形成するように、ロボットアームを介してエンドエフェクタの姿勢を調整し、前記ライトストリップ直線は円錐台孔の中心に対して対称である碁盤線の交点を少なくとも2つ通過させることにより、円錐台孔の中心がライトストリップ直線上に位置され、センサはレーザー走査面から反射された三次元点群のセンサ座標系における座標データを収集し、ロボットアームティーチペンダントを介して、前記エンドエフェクターの異なる姿勢における姿勢情報データを読み取って記録し、エンドエフェクタの少なくとも6つの異なる姿勢に対応する三次元点群データを取得する、「姿勢-点群データ集合」を取得するステップと、
(3)異なる姿勢下で対応する三次元点群データに対して直線フィッティングを行い、フィッティング直線方程式を構築し、円錐台孔の中心に対して対称である2つの対称点を取得し、2つの対称点の同一座標軸上で対応する第一座標値をフィッティング直線方程式に代入し、2つの対称点のフィッティング直線で対応するもう一つの座標軸における第二座標値を取得し、2つの対称点の対応する座標値の合計の二分の一が、即ち円錐台孔の中心のセンサ座標系における座標である、円錐台孔の中心のセンサ座標系における座標を計算するステップと、
(4)キャリブレーションブロック及びロボットアームのベースはすべて固定されているため、次の行列方程式からエンドエフェクタ座標系に対するセンサ座標系の並進及び回転行列R
x、T
xを求解する、ロボットに対してハンドアイキャリブレーションを行うステップとを含む、ことを特徴とするラインレーザーセンサ用のハンドアイキャリブレーション方法。
【数1】
ここで、nは、走査及びデータ収集の総回数を表し、P
Baseは、円錐台孔の中心のベース座標系における座標を表し、P
Siは、第i回目の走査及びデータ収集時、円錐台孔の中心のセンサ座標系におけるフィッティング座標を表し、
は、第i回目の走査及びデータ収集時、ベース座標系に対するエンドエフェクタ座標系の並進及び回転行列を表し、R
x、T
xは、エンドエフェクタ座標系に対するセンサ座標系の並進及び回転行列、即ち求解する必要のあるハンドアイ関係を表す。
【請求項7】
前記2つの対称点は、ライトストリップ直線毎に対応する三次元点群データの中で座標の突然な変化を伴う2つの点である、ことを特徴とする請求項6に記載のラインレーザーセンサ用のハンドアイキャリブレーション方法。
【請求項8】
レーザーセンサを駆動する時、円錐台孔の中心に対して対称である碁盤目上の2つの縦横の碁盤線の交点はすべて前記ライトストリップ直線上に位置される、ことを特徴とする請求項6に記載のラインレーザーセンサ用のハンドアイキャリブレーション方法。
【請求項9】
前記2つの対称点は、円錐台孔の中心に対して対称である2つの碁盤目線とライトストリップ直線との交点である、ことを特徴とする請求項6に記載のラインレーザーセンサ用のハンドアイキャリブレーション方法。
【請求項10】
レーザーセンサを駆動する時、走査光の一部が円錐台孔の内部に入射され、走査光がその中の2つのヒンジ軸上の光電検出器により検出されるように、リニアモータを介して変形フレームの変形を制御し、リニアモータの伸縮量及び光を検出した光電検出器の所在するヒンジ軸の位置により走査光の入射角及び方向を計算でき、碁盤目上の走査光の走査位置を知ることができる、ことを特徴とする請求項6に記載のラインレーザーセンサ用のハンドアイキャリブレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学検出の技術分野に関するものである。特に、レーザーセンサのキャリブレーション技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製造業工程の継続的な向上に伴い、工業検出産業は検出方法に対してますます高い要件を提出し、従来の接触式測定方法は既に工業検出の要件を満たすことができず、非接触式、高精度、高感度、デジタル化及び携帯化は、検出産業の現在の発展の主な傾向になっている。ラインレーザーセンサは、レーザー技術を用いて測定を行うセンサであり、非接触式レーザ測定は、光電検出技術の分岐の一つとして、高速度、高精度、広い測定範囲、強力な信頼性、広い適用範囲等の利点を備え、長さ、距離及び三次元形態等の検出で広く適用されている。
【0003】
高効率、高精度の測定要件を満たすために、現代の産業では、ラインレーザーセンサをロボットアームのエンドエフェクタに取り付ける組合せ測定システムがますます広く適用されている。取り付ける時、ロボットとラインレーザーセンサとの間の位置関係は未知であり、正確に測定を行う目的を実現するためには、実際の測定前に、必ず先にロボットとレーザーセンサの位置関係に対して求解とキャリブレーションを行う必要がある。即ち、「ハンドアイキャリブレーション」を行う必要がある。センサ装置の内部パラメータに基づいて、物体の画像座標系における座標をセンサ座標系に変換した後、また、測定システムの外部パラメータに基づいて、物体のセンサ座標系における座標を世界座標系に変換する必要がある。実際上、センサ装置の内部パラメータは、工場出荷時に既に固化され、使用中で変更することはできないが、外部パラメータは調整及びキャリブレーションすることができる。ここで、とても重要な過程の一つは、ロボット視覚システムに対してハンドアイキャリブレーションを行い、センサとロボットとの間の相対的な位置関係を決定する必要がある。
【0004】
簡単に言えば、ハンドアイキャリブレーションの目的は、ベース座標系又は世界座標系とラインレーザーセンサの視覚座標系との間の変換関係を取得し、ラインレーザーセンサが測定した視覚座標系におけるデータをベース座標系又は世界座標系中に統合することである。
【0005】
現在、ハンドアイ関係のキャリブレーション方法には、通常、有限シナリオ点(Limited scene points)法、平面ターゲット法及び標準球法が含まれる。有限シナリオ点法と平面ターゲット法は、カメラに基づくキャリブレーションであり、カメラの異なる姿勢を調整することにより、空間内の同一点Pに対して撮影を行い、点Pの異なる画像中における位置関係を求解することにより、カメラとロボットとの間のハンドアイ関係を取得する方法である。ラインレーザーセンサの測定範囲が限られており、且つ測定原理が異なるため、この方法はラインレーザーセンサのハンドアイキャリブレーションには適用しない。
【0006】
標準球法は、現在、一般的にラインレーザーセンサのハンドアイキャリブレーションに適用されている方法であるが、このキャリブレーション方法は操作過程が複雑であり、標準球の加工精度に対する要求が高く、及び球心の座標を取得する時のカット断面による円のフィッティング誤差が大きいため、キャリブレーション結果の精度に影響を与え、ハンドアイキャリブレーション結果の精度要件を保証することは困難である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、従来技術における上記の問題を解決することを目的とし、ラインレーザーセンサ用のキャリブレーションブロック及びハンドアイキャリブレーション方法を提供する。このキャリブレーションブロックは、加工精度の要件が低く、ハンドアイキャリブレーションに便利であり、このキャリブレーションブロックに適用されるハンドアイキャリブレーション方法は簡単で精度が高い。
【0008】
本発明の目的は、以下の技術的解決策を通じて達成することができる。キャリブレーションブロックの表面には碁盤目を備え、前記碁盤目は縦横の等間隔の碁盤線列が交差して形成されるラインレーザーセンサ用のキャリブレーションブロックであって、前記キャリブレーションブロックの中央には円錐台孔を備え、前記円錐台孔の軸は碁盤目の所在する表面に垂直であり、前記円錐台孔の軸は碁盤目上の2本の交差線の交点を通過する。
【0009】
いくつかの実施形態において、前記円錐台孔の孔壁面と碁盤目の所在する表面とが交差する円形口のエッジの直径は、碁盤目上の最小方眼の辺の長さより小さい。即ち、2つの隣接する平行線の間隔より小さい。
【0010】
いくつかの実施形態において、円錐台の母線と底面との夾角は45°である。
【0011】
いくつかの実施形態において、前記碁盤目は陰刻(diaglyph)線である。
【0012】
いくつかの実施形態において、前記円錐台孔の下方には走査位置決め装置が配置され、前記走査位置決め装置は、走査光を受け取ることができる光電検出器を含み、前記光電検出器の光電プローブは、変形フレーム上に設置され、変形フレームは、12個の弧形の変形ユニットを含み、変形ユニットは2つの弧形ロッドを含み、2つの弧形ロッドの中央部分は中央ヒンジ軸を介して回転連結され、複数の変形ユニットの弧形ロッドは端部ヒンジ軸を介して閉鎖連結されて閉じた円形の変形フレームになり、円形の変形フレームは円錐台孔の中心軸に垂直であり、変形フレームの円心は円錐台孔の中心軸上に位置され、同一変形ユニットの同一径向上の2つの端部ヒンジ軸はスライド可能にラジアルガイドレール上に配合され、端部ヒンジ軸又は中央ヒンジ軸は、リニアモータにより制御され、ラジアルガイドレールを沿って移動することにより、前記変形フレームの収縮変形を制御し、光電検出器と円錐台孔の中心軸との距離を変更し、光電検出器は変形フレームの内側における12個の端部ヒンジ軸上に設置される。
【0013】
ラインレーザーセンサ用のハンドアイキャリブレーション方法であって、
(1)ラインレーザーセンサをロボットアームのエンドエフェクタ上に固定的に取り付け、前記キャリブレーションブロック及び碁盤目をラインレーザーセンサの測定範囲内に取り付ける、センサを設置するステップと、
(2)対応する姿勢下でラインレーザーセンサから放出されたレーザー走査面がキャリブレーションブロック上の碁盤目と交差し、碁盤目の表面上にライトストリップ直線を形成するように、ロボットアームを介してエンドエフェクタの姿勢を調整し、前記ライトストリップ直線は円錐台孔の中心に対して対称である碁盤線の交点を少なくとも2つ通過させることにより、円錐台孔の中心がライトストリップ直線上に位置され、センサはレーザー走査面から反射された三次元点群のセンサ座標系における座標データを収集し、ロボットアームティーチペンダントを介して、前記エンドエフェクターの異なる姿勢における姿勢情報データを読み取って記録し、エンドエフェクタの少なくとも6つの異なる姿勢に対応する三次元点群データを取得する、「姿勢-点群データ集合」を取得するステップと、
(3)異なる姿勢下で対応する三次元点群データに対して直線フィッティングを行い、フィッティング直線方程式を構築し、円錐台孔の中心に対して対称である2つの対称点を取得し、2つの対称点の同一座標軸上で対応する第一座標値をフィッティング直線方程式に代入し、2つの対称点のフィッティング直線で対応するもう一つの座標軸における第二座標値を取得し、2つの対称点の対応する座標値の合計の二分の一が、即ち円錐台孔の中心のセンサ座標系における座標である、円錐台孔の中心のセンサ座標系における座標を計算するステップと、
(4)キャリブレーションブロック及びロボットアームのベースはすべて固定されているため、次の行列方程式からエンドエフェクタ座標系に対するセンサ座標系の並進及び回転行列R
x、T
xを求解する、ロボットに対してハンドアイキャリブレーションを行うステップとを含む。
【数1】
【0014】
ここで、nは、走査及びデータ収集の総回数を表し、P
Baseは、円錐台孔の中心のベース座標系における座標を表し、P
Siは、第i回目の走査及びデータ収集時、円錐台孔の中心のセンサ座標系におけるフィッティング座標を表し、
は、第i回目の走査及びデータ収集時、ベース座標系に対するエンドエフェクタ座標系の並進及び回転行列を表し、R
x、T
xは、エンドエフェクタ座標系に対するセンサ座標系の並進及び回転行列、即ち求解する必要のあるハンドアイ関係を表す。
【0015】
いくつかの実施形態において、前記2つの対称点は、ライトストリップ直線毎に対応する三次元点群データの中で座標の突然な変化を伴う2つの点である。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記三次元点群データは、2つの部分、即ち、碁盤目の表面から反射された表面三次元点群データと、円錐台孔の内部底面から反射された底面三次元点群データとを含み、底面三次元点群データの座標と表面三次元点群データの座標との間の突然な変化が存在する特性により、底面三次元点群データを除去する。
【0017】
いくつかの実施形態において、レーザーセンサを駆動する時、円錐台孔の中心に対して対称である碁盤目上の2つの縦横の碁盤線の交点はすべて前記ライトストリップ直線上に位置される。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記2つの対称点は、円錐台孔の中心に対して対称である2つの碁盤目線とライトストリップ直線との交点である。
【0019】
いくつかの実施形態において、レーザーセンサを駆動する時、走査光の一部が円錐台孔の内部に入射され、走査光がその中の2つのヒンジ軸上の光電検出器により検出されるように、リニアモータを介して変形フレームの変形を制御し、リニアモータの伸縮量及び光を検出した光電検出器の所在するヒンジ軸の位置により走査光の入射角及び方向を計算でき、碁盤目上の走査光の走査位置を知ることができる。
【0020】
従来技術と比較して、本発明のラインレーザーセンサ用のキャリブレーションブロック及びハンドアイキャリブレーション方法には、以下の利点がある。
【0021】
本発明のキャリブレーションブロックは、平面上で碁盤目線及び円錐台孔を識別するだけでよいため、加工がより簡単であり、加工精度を向上しやすい。また、キャリブレーションを行う時、ロボットの姿勢の変換範囲がより広く、特徴点のフィッティングと抽出の過程がより便利で、操作が簡単で、迅速且つ正確であり、キャリブレーションブロックの世界座標系における座標を測定する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面(必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない)で、同様な参照番号が異なる図で同様な構成要素を記載することができる。異なる文字接尾辞を持つ同様な参照番号は、同様な構成要素の異なる例を表すことができる。図面は、限定ではなく例として、本明細書で論じられる各実施形態を示している。
【
図1】実施例1によるキャリブレーション装置の概略図である。
【
図2】キャリブレーションブロックの概略斜視図である。
【
図3】キャリブレーションブロックの碁盤目面の正面図である。
【
図4】キャリブレーションブロックの断面図である。
【
図5】2つのレーザー走査面とキャリブレーションブロックの碁盤目との交差状態を表す比較概略図である。
【
図6】収集された三次元点群データの概略分布図である。
【
図7】ハンドアイキャリブレーションの概略フローチャートである。
【
図9】実施例3による走査位置決め装置の概略図である。
【
図10】変形後の実施例3による走査位置決め装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下は、本発明の具体的な実施例であり、図面を結合しながら本発明の技術的解決策をさらに説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されず、以下の実施形態は、請求の範囲に係る本発明を限定するものではない。また、実施形態に記載されている特徴のすべての組み合わせは、本発明の解決に必ずしも必須ではない。
【0024】
すべての方向参照(例えば、上方、下方、上へ、上、下へ、下、頂部、底部、左、右、垂直、水平等)は読者の理解を補助するために図面で説明的に使用されるだけで、添付された請求の範囲により定義される本発明の範囲に対する制限(例えば、位置、方位又は用途等)を意味するものではないことを、当技術分野の一般技術者は、理解すべきである。また、「基本的」という用語は、条件、量、値、又はサイズ等のわずかな不正確さ又は偏差を指すことができ、これらの一部は製造偏差又は許容範囲内にある。
【0025】
実施例1
図1、2、3及び4に示すように、ロボットアームの外側の操作プラットフォーム501上で世界座標系に対して相対的に固定な位置を決定し、キャリブレーションブロック401を固定する。キャリブレーションブロック401は、立方体構造であり、規格は220.0mm×220.0mm×30.0mmであり、サイズ加工精度は0.01mmであり、表面粗さは1.6であり、材質はセラミックである。前記キャリブレーションブロックの表面には碁盤目を備え、前記碁盤目は縦横の等間隔の碁盤線が交差して形成されており、碁盤目402は、キャリブレーションブロックの220mm×220mmの表面の中央に位置され、規格は200mm×200mmであり、21本の横向き/縦向き垂直の等間隔の線分からなり、2つの隣接する平行線分の間の距離は10.0mmであり、スクライビング精度は0.01mmである。前記キャリブレーションブロックの中央には円錐台孔(即ち、円錐台形状の孔)を備え、円錐台孔404の中心軸は、キャリブレーションブロック401の中心軸と同軸であり、キャリブレーションブロック401の中央に位置される。円錐台孔404の高さは30mmであり、上表面円の半径は5mmであり、下表面円の半径は35mmであり、円錐台の母線と底面との間の夾角は45°であり、前記円錐台孔の軸は碁盤目の所在する表面に対して垂直であり、特性点P403は碁盤目の中央交点に位置され、前記円錐台孔の軸はこの交点を通過する。そのため、特徴点P403は、即ち円錐台の上表面円孔の円心でもある。前記円錐台孔の孔壁面と碁盤目の所在する表面とが交差する円形口のエッジの直径は、碁盤目上の最小方眼の辺の長さより小さい、即ち、2つの隣接する平行線の間隔より小さい。
【0026】
キャリブレーションの基本原理:特性点P403は、キャリブレーションブロック401の表面の中央に位置されており、ラインレーザーセンサ301をロボットアームのエンドエフェクタ201上に固定的に取り付け、ラインレーザーセンサ301が異なる姿勢で特徴点P403に関する位置情報に対して走査及び収集を行うように、ロボットアーム101を介してエンドエフェクター201を調整するとともに、一緒に動くようにラインレーザーセンサ301を駆動する。ラインレーザーセンサ301とロボットのエンドエフェクタ201との相対的な位置関係が変わらないため、センサ座標系とエンドエフェクター座標系との相対的な位置関係は変わらない。これらの2つの座標系の関係を求めることが、ロボットのハンドアイキャリブレーションである。
【0027】
図5、6及び7に示すように、具体的なキャリブレーション方法は、次の通りである。
(1)センサを設定する。ラインレーザーセンサ301をロボットアーム101のエンドエフェクタ201に固定的に取り付け、キャリブレーションブロック401を操作プラットフォーム501上に固定的に取り付け、前記キャリブレーションブロック401及び碁盤目402をラインレーザーセンサ301の測定範囲内に取り付ける。
【0028】
(2)「姿勢-点群データ集合」を取得する。対応する姿勢下でラインレーザーセンサ301から放出されたレーザー走査面がキャリブレーションブロック401上の碁盤目402と交差し、碁盤目の表面上にライトストリップ直線を形成するように、ロボットアーム101を介してエンドエフェクタ201の姿勢を調整する。円錐台孔の中心がライトストリップ直線上に位置されるように、前記ライトストリップ直線は円錐台孔の中心(即ち、特徴点)に対して対称である碁盤線の交点を少なくとも2つ通過する。センサはレーザー走査面から反射された三次元点群のセンサ座標系における座標データを収集し、ロボットアームティーチペンダントを介して、前記エンドエフェクター201の異なる姿勢における姿勢情報データを読み取って記録する。少なくとも6つの異なる姿勢に対応する三次元点群データを取得する。この過程の姿勢データ及びキャリブレーションブロック401の三次元点群データを「姿勢-点群データ集合」としてパッケージ化する。
【0029】
(3)円錐台孔の中心のセンサ座標系における座標を計算する。
異なる姿勢下で対応する三次元点群データに対して直線フィッティングを行い、フィッティング直線方程式を構築し、円錐台孔の中心に対して対称である2つの対称点を取得し、2つの対称点の同一座標軸上で対応する第一座標値をフィッティング直線方程式に代入し、2つの対称点のフィッティング直線で対応するもう一つの座標軸における第二座標値を取得する。2つの対称点の対応する座標値の合計の二分の一が、即ち円錐台孔の中心のセンサ座標系における座標である。前記2つの対称点は、ライトストリップ直線毎に対応する三次元点群データの中で座標の突然な変化を伴う2つの点、即ち円錐台孔のエッジのセンサ座標系で対応する2つの点である。前記三次元点群データは、2つの部分、即ち、碁盤目402の表面から反射された表面三次元点群データと、円錐台孔404の内部底面から反射された底面三次元点群データとを含み、底面三次元点群データの座標と表面三次元点群データの座標との間の突然な変化が存在する特性により、三次元点群データの座標が突然に変化する点が、即ちライトストリップ直線と円錐台孔のエッジとが交差する2つの点である。この2つの点の中心が、即ち円孔の円心である。即ち、特徴点P403である。より具体的な説明は、次の通りである。
【0030】
前記ラインレーザーセンサ301が前記キャリブレーションブロック401に対して測定した三次元点群データはすべてセンサ座標系におけるyz平面内にあり、N個のデータ点(0,yi,zi)を含み、レーザーセンサ301から放出されたレーザー走査面302とキャリブレーションブロック401とが交差するライトストリップ直線上に分布される。前記三次元点群データは、2つの部分、即ち、碁盤目402上の三次元点群データと、円錐台孔404の底面上の三次元点群データとの2つの部分を含み、A、Bの2つの点は、碁盤目402上の三次元点群データの中で、特徴点P403に最も近い2つの点である。前記ライトストリップ直線上の三次元点群データに対して再び処理を行い、円錐台孔404の底面上におけるライトストリップ直線の所在する三次元点群データを除去し、碁盤目402上におけるライトストリップ直線の所在する三次元点群データを取得する。最小二乗法により、前記「碁盤目402上におけるライトストリップ直線の所在する三次元点群データ」に対して、センサ座標系におけるyz平面内でフィッティングを行い、関数Z(y)を構築し、フィッティング直線方程式
を表す。特徴点P403に最も近い2つの三次元点群データA(0,y
1,z
1)及びB(0,y
2,z
2)をそれぞれ取得し、それらのy軸値を取得してフィッティング直線方程式
に代入し、次の通りに、A、Bの2つの点のフィッティング後のZ軸座標値をそれぞれ取得する。
【数2】
特徴点P403が線分ABの中点であるため、フィッティング後の特徴点P403のセンサ座標系における座標は次のように表すことができる。
【数3】
。
したがって、特徴点P403のセンサ座標系における座標P(0,y
0,z
0)を取得することができる。
【0031】
(4)ロボットに対してハンドアイキャリブレーションを行う。キャリブレーションブロック401及びロボットアーム101のベースはすべて固定されているため、次の行列方程式から成り立つ。
【数4】
ここで、nは、走査及びデータ収集の総回数を表し、
は、円錐台孔の中心のベース座標系における座標を表し、、P
Siは、第i回目の走査及びデータ収集時、円錐台孔の中心のセンサ座標系におけるフィッティング座標を表し、
は、第i回目の走査及びデータ収集時、ベース座標系に対するエンドエフェクタ座標系の並進及び回転行列を表し、R
x、T
xは、エンドエフェクタ座標系に対するセンサ座標系の並進及び回転行列、即ち、求解する必要のあるハンドアイ関係を表し、エンドエフェクタ座標系に対するセンサ座標系の並進及び回転行列R
x、T
xを求解することにより、即ちハンドアイキャリブレーションを完了させる。具体的な計算過程は次の通りである。
式(5)から、次の方程式を取得することができる。
【数5】
を式(6)を代入して展開すると、次を取得することができる。
【数6】
さらに、次の関係を確立する。
【数7】
上記の式で、
は、第i回目の走査及びデータ収集を行う時、特徴点P403のセンサ座標系におけるフィッティング座標を表し、式(7)を以下の行列方程式に書き換えることができる。
Ax=b (11)
最小二乗解方程式を通じて、xの解を取得することができる。
【数8】
求解されたxにより、Rx、Txのパラメータ値を取得し、ハンドアイ関係の行列を取得し、ハンドアイキャリブレーションを完了させることができる。
【0032】
実施例2
ラインレーザーセンサ301を駆動する時、レーザー走査面と、碁盤目402上の円錐台孔の中心に対して対称である縦横の碁盤線との交点はすべて前記ライトストリップ直線上に位置されることにより、円錐台孔の中心がレーザー走査面上に位置されるように確保するとともに、交点を識別しやすくする。
【0033】
円錐台孔の中心のセンサ座標系における座標を計算する時、碁盤目上の円錐台孔の中心に対して対称である2つの縦横の碁盤線の交点がすべて前記ライトストリップ直線上に位置されるようにする。碁盤目線が陰刻(diaglyph)線であるため、碁盤目線とライトストリップ直線との交点のセンサ座標系における座標は、三次元点群の他の点に対して明らかな座標値の変化がある。そのため、2つの対称点は簡単に見つけることができる。即ち、前記2つの対称点は、円錐台孔の中心に対して対称である2つの碁盤目線とライトストリップ直線との交点である。
【0034】
ラインレーザーセンサ301を駆動する時、特徴点P403がライトストリップ直線の中央位置に近づくように、ロボットアーム101を制御し、エンドエフェクタ201の姿勢を調整することにより、ラインレーザーセンサー301が収集された座標データのより正確な処理に役立つ。
【0035】
実施例3
図8、9、10に示すように、上記の実施例と異なることは、前記円錐台孔の下方には走査位置決め装置が配置され、前記走査位置決め装置は、走査光を受け取ることができる光電検出器を含み、前記光電検出器の光電プローブ8は、変形フレーム上に配置され、変形フレームは、12個の弧形の変形ユニットを含み、変形ユニットは2つの弧形ロッド12を含み、2つの弧形ロッドの中央部分は中央ヒンジ軸6を介して回転連結され、複数の変形ユニットの弧形ロッドは端部ヒンジ軸7を介して閉鎖連結されて閉じた円形の変形フレームになり、円形の変形フレームは円錐台孔の中心軸に垂直であり、変形フレームの円心は円錐台孔の中心軸上に位置され、同一変形ユニットの同一径向上の2つの端部ヒンジ軸はスライド可能にラジアルガイドレール9上に配合され、端部ヒンジ軸又は中央ヒンジ軸は、リニアモータ10により制御され、ラジアルガイドレールを沿って移動することにより、前記変形フレームの収縮変形を制御し、光電検出器と円錐台孔の中心軸との距離を変更し、光電検出器は変形フレームの内側における12個の端部ヒンジ軸上に設置される。図には、複数のリニアモータが示されているが、実は、リニアモータは1個だけでも良く、他の伸縮制御装置を採用することもできる。
【0036】
検出する時、走査光の一部が円錐台孔の内部に入射され、走査光がその中の2つのヒンジ軸上の光電検出器により検出されるように、リニアモータを介して変形フレームの変形を制御する。リニアモータの伸縮量及び光を検出した光電検出器の所在するヒンジ軸の位置により走査光の入射角及び方向を計算でき、碁盤目上の走査光の走査位置を知ることができる。
【0037】
ラジアルガイドレールは回転リング11上に固定することができ、前記回転リングは円錐台孔の中心軸と同軸であり、ステッピングモータは回転リングが円錐台孔の中心軸を中心に回転するように制御し、通常、任意の方向に向けて走査する光に対し、同時に2つの光電検出器がこの方向の光を検出されることを保証することができる。
【0038】
本明細書では、いくつかの用語がより多く使用されているが、他の用語を使用する可能性を排除することではない。これらの用語は、ただ本発明の性質をより便利に記載及び説明するためであり、それらを、あらゆる追加の制限として解釈することは、本発明の精神に反することである。明細書及び図面に示す装置及び方法における操作、ステップ等の実行順序は、特に明記しない限り、前の処理の出力が後の処理で使用されない限り、任意の順序で実施することができる。説明の便宜上、「まず」、「次に」等を使用した説明は、必ずこの順序で実行すべきであることを意味するわけではない。
【0039】
本明細書に記載された特定の実施形態は、単に本発明の精神を例示するものである。当業者は、記載された特定の実施形態に対して様々な変更又は補足又は類似な方法への置き換えを行うことができるが、それは本発明の精神から逸脱したり、添付の特許請求の範囲によって定義された範囲を超えたりすることはない。
【符号の説明】
【0040】
101、ロボットアーム;201、エンドエフェクタ;301、ラインレーザーセンサ;302、レーザー走査面;401、キャリブレーションブロック;402、碁盤目;403、特徴点P;404、円錐台孔;405、特徴点Pに対して対称である交点ペア(示例I);406、特徴点Pに対して対称である交点ペア(示例II);501、操作プラットフォーム;6、中央ヒンジ軸;7、端部ヒンジ軸;8、光電プローブ;9ラジアルガイドレール;10、リニアモータ;11、回転リング;12、弧形ロッド。