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特開2022-39915双腕スカラロボットを利用した自動ボルト締付装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039915
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】双腕スカラロボットを利用した自動ボルト締付装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20220303BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20220303BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
B23P19/06 D
B25J13/00 Z
B23P19/06 A
B23P21/00 307Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021026699
(22)【出願日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0109242
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521078285
【氏名又は名称】ジェイ-レム カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジン ソク
(72)【発明者】
【氏名】チェ,クァン グン
【テーマコード(参考)】
3C030
3C707
【Fターム(参考)】
3C030BC02
3C030BC04
3C030BC17
3C030DA23
3C707AS06
3C707BS15
3C707BS26
3C707BT14
3C707DS02
3C707ES03
3C707FS01
3C707HS27
3C707HT17
3C707JS02
3C707MT02
3C707NS02
3C707NS24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安定的にボルトを締め付けながらボルト締付時間を大幅に短縮できる自動ボルト締付装置と工産品製造システムを提供する。
【解決手段】本体フレーム110に左右方向に回転可能に設けられた下部アーム120と、下部アーム120の先端部に設けられて、ボルトフィーダーF1からボルトをピックアップするグリッパー140と、下部アーム120の上側で本体フレーム110に左右方向に回転可能に設けられた上部アーム130と、上部アーム130の先端部に昇降可能に設けられ、グリッパー140にピックアップされたボルトを真空吸着した状態で上部アーム130により組立ラインに移動後、組立ラインに位置した被加工物P1にボルトを締め付けるボルト締付機160とを備え、グリッパー140によりボルトフィーダーF1からボルトをピックアップする工程と、ボルト締付機160により被加工物P1にボルトを締め付ける工程とが独立的に同時進行される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトフィーダーからボルトを供給され、組立ラインに位置した被加工物に対してボルトを締め付けることができるようにした自動ボルト締付装置であって、
本体フレームと、
前記本体フレームに左右方向に回転可能に設けられた下部アームと、
前記下部アームの先端部に設けられて、ボルトフィーダーからボルトをピックアップするグリッパーと、
前記下部アームの上側で前記本体フレームに左右方向に回転可能に設けられた上部アームと、
前記上部アームの先端部に昇降可能に設けられ、前記グリッパーにピックアップされたボルトを真空吸着した状態で前記上部アームにより組立ラインに移動した後、組立ラインに位置した被加工物にボルトを締め付けるボルト締付機と、
を備え、
前記グリッパーによりボルトフィーダーからボルトをピックアップする工程と、前記ボルト締付機により被加工物にボルトを締め付ける工程とが独立的に同時進行されることを特徴とする自動ボルト締付装置。
【請求項2】
前記グリッパーは、前記下部アームの先端部上面に左右方向に回転可能に設けられた補助アームの先端部に設けられて、前記ボルトフィーダーのボルトを真空吸着できるようにした真空グリッパーと、前記下部アームの先端部下面に左右方向に回転可能に設けられ、先端部に備えられた一対のジョー(jaw)により前記真空グリッパーに真空吸着されたボルトをグリッピングして前記ボルト締付機に伝達できるようにしたジョーグリッパーとからなることを特徴とする請求項1に記載の自動ボルト締付装置。
【請求項3】
前記補助アームは、下側に垂直に結合されたボールスプラインにより前記下部アームの先端部に昇降可能なように支持された状態で第1のモータの駆動力を受けて左右方向に回転できるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の自動ボルト締付装置。
【請求項4】
前記ボールスプラインを弾性支持する緩衝用ばねがさらに設けられたことを特徴とする請求項3に記載の自動ボルト締付装置。
【請求項5】
前記ジョーグリッパーが真空グリッパーに真空吸着されたボルトをグリッピングした状態で前記真空グリッパーを上昇させてボルトを分離させるリフティングユニットが設けられ、
前記リフティングユニットは、第2のモータのシャフトに設けられたピニオンと、前記ピニオンと噛み合って直線運動するラックと、前記ラックに結合されて、前後方向に直線運動するスライド部材と、前記スライド部材が摺動するように案内するレールと、前記スライド部材の先端部に一端部がヒンジ結合されたリンクジョイントと、前記リンクジョイントの他端部にヒンジ結合されて、前記スライド部材が前方移動すれば上昇し、後方移動すれば下降しながら前記補助アームを昇降させる昇降体と、前記昇降体の下側に垂直に結合されて、前記昇降体の昇降を案内するガイド棒とを備えることを特徴とする請求項3に記載の自動ボルト締付装置。
【請求項6】
前記スライド部材は、前記ラックの上面に結合されたラック結合部と、前記ラック結合部の先端部に左右方向に長く形成された形態で結合された左右拡大部と、前記左右拡大部の左側端部と右側端部とに各々結合されて、互いに離間した状態で前後方向に長く形成された一対のスライディング部とからなり、前記スライディング部に対応して前記レール、リンクジョイント、及びガイド棒が左側と右側で対をなして備えられ、
互いに離間した一対のスライディング部間の空間に、真空グリッパーとジョーグリッパーとに各々動力を提供する第1のモータと第3のモータとが配置されるようにしたことを特徴とする請求項5に記載の自動ボルト締付装置。
【請求項7】
前記上部アームと下部アームとは、各々折れ曲がり可能な多関節アームからなることを特徴とする請求項1に記載の自動ボルト締付装置。
【請求項8】
工産品製造システムであって、
被加工物を各組立ラインに移送するコンベヤと、
ボルトを供給するボルトフィーダーと、
前記ボルトフィーダーからボルトを供給されて、1つの組立ラインに位置した被加工物に対してボルトを締め付けることができるようにした請求項1~7のいずれか1項に記載の自動ボルト締付装置と、
を備えることを特徴とする工産品製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ボルト締付装置に関し、特に、双腕スカラロボットを利用してボルトフィーダーからボルトをピックアップする工程と、被加工物にボルトを締め付ける工程とが独立的に同時進行されるようにして、安定的にボルトを締め付けながらもボルト締付にかかる時間を大幅に短縮できるようにした自動ボルト締付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、工産品の組立ラインは、ボルトの締付作業が主をなしており、それぞれの組立ラインにおいてボルトの締付工程は、ほとんど自動化されている。
各組立ラインにおいてボルト締付のために広く使用されている方式は、韓国登録実用新案公報第0453575号(2011.05.03.)に公知されたように、締め付けようとするボルトを真空吸着パイプに真空吸着した後、被加工物に締め付ける方式である。
このように、真空吸着パイプを利用する場合、真空吸着パイプがスカラロボットによりボルトフィーダーでボルトを真空吸着した後、組立ラインの被加工物まで移動してボルトを締め付け、再度ボルトフィーダーに移動してボルトを真空吸着する動作を繰り返し的に行うようになる。
【0003】
このような従来技術によれば、真空吸着パイプが下端部にボルトを真空吸着した状態でそのまま移動して被加工物にボルトを締め付けるので、ボルトの傾きがばらつくという問題なく、ボルト締付が極めて安定的になされるという長所があった。
【0004】
しかしながら、真空吸着パイプによるボルト締付の場合、安定的なボルト締付が可能であるという長所にもかかわらず、真空吸着パイプがボルトフィーダーに定位置した状態でボルトを真空吸着し、その後、組立ラインの被加工物まで移動した後、被加工物に定位置した状態で真空吸着されたボルトを締め付け、再度ボルトフィーダーに移動する工程等が順次1つずつ進行されなければならず、ボルト締付に多くの時間がかかるという短所があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第1998-0009981号(1998.04.30)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、上記のような従来の諸問題を解消するために提案されたものであって、本発明の目的は、双腕スカラロボットを利用してボルトフィーダーからボルトをピックアップする工程と、被加工物にボルトを締め付ける工程とが独立的に同時進行されるようにして、安定的にボルトを締め付けながらもボルト締付にかかる時間を大幅に短縮できるようにした自動ボルト締付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような目的を達成するために、本発明の技術的思想による自動ボルト締付装置は、ボルトフィーダーからボルトを供給され、組立ラインに位置した被加工物に対してボルトを締め付けることができるようにした自動ボルト締付装置であって、本体フレームと、前記本体フレームに左右方向に回転可能に設けられた下部アームと、前記下部アームの先端部に設けられて、ボルトフィーダーからボルトをピックアップするグリッパーと、前記下部アームの上側で前記本体フレームに左右方向に回転可能に設けられた上部アームと、前記上部アームの先端部に昇降可能に設けられ、前記グリッパーにピックアップされたボルトを真空吸着した状態で前記上部アームにより組立ラインに移動した後、組立ラインに位置した被加工物にボルトを締め付けるボルト締付機とを備え、前記グリッパーによりボルトフィーダーからボルトをピックアップする工程と、前記ボルト締付機により被加工物にボルトを締め付ける工程とが独立的に同時進行されることをその技術的構成上の特徴とする。
【0008】
ここで、前記グリッパーは、前記下部アームの先端部上面に左右方向に回転可能に設けられた補助アームの先端部に設けられて、前記ボルトフィーダーのボルトを真空吸着できるようにした真空グリッパーと、前記下部アームの先端部下面に左右方向に回転可能に設けられ、先端部に備えられた一対のジョー(jaw)により前記真空グリッパーに真空吸着されたボルトをグリッピングして前記ボルト締付機に伝達できるようにしたジョーグリッパーとからなることを特徴とすることができる。
【0009】
また、前記補助アームは、下側に垂直に結合されたボールスプラインにより前記下部アームの先端部に昇降可能なように支持された状態で第1のモータの駆動力を受けて左右方向に回転できるようにしたことを特徴とすることができる。
【0010】
また、前記ボールスプラインを弾性支持する緩衝用ばねがさらに設けられたことを特徴とすることができる。
【0011】
また、前記ジョーグリッパーが真空グリッパーに真空吸着されたボルトをグリッピングした状態で前記真空グリッパーを上昇させてボルトを分離させるリフティングユニットが設けられ、前記リフティングユニットは、第2のモータのシャフトに設けられたピニオンと、前記ピニオンと噛み合って直線運動するラックと、前記ラックに結合されて、前後方向に直線運動するスライド部材と、前記スライド部材が摺動するように案内するレールと、前記スライド部材の先端部に一端部がヒンジ結合されたリンクジョイントと、前記リンクジョイントの他端部にヒンジ結合されて、前記スライド部材が前方移動すれば上昇し、後方移動すれば下降しながら前記補助アームを昇降させる昇降体と、前記昇降体の下側に垂直に結合されて、前記昇降体の昇降を案内するガイド棒とを備えることを特徴とすることができる。
【0012】
また、前記スライド部材は、前記ラックの上面に結合されたラック結合部と、前記ラック結合部の先端部に左右方向に長く形成された形態で結合された左右拡大部と、前記左右拡大部の左側端部と右側端部とに各々結合されて、互いに離間した状態で前後方向に長く形成された一対のスライディング部とからなり、前記スライディング部に対応して前記レール、リンクジョイント、及びガイド棒が左側と右側で対をなして備えられ、互いに離間した一対のスライディング部間の空間に、真空グリッパーとジョーグリッパーとに各々動力を提供する第1のモータと第3のモータとが配置されるようにしたことを特徴とすることができる。
【0013】
また、前記上部アームと下部アームとは、各々折れ曲がり可能な多関節アームからなることを特徴とすることができる。
【0014】
一方、本発明の工産品製造システムは、被加工物を各組立ラインに移送するコンベヤと、ボルトを供給するボルトフィーダーと、前記ボルトフィーダーからボルトを供給されて、1つの組立ラインに位置した被加工物に対してボルトを締め付けることができるようにした前述した自動ボルト締付装置とを備えることをその技術的構成上の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明による自動ボルト締付装置は、双腕スカラロボットを利用してボルトフィーダーからボルトをピックアップする工程と、被加工品にボルトを締め付ける工程とが順次進行されず、独立的に同時進行されるようにして、安定的にボルトを締め付けながらもボルト締付にかかる時間を大幅に短縮することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置の使用状態図。
図2】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置の側面図。
図3図2において主要部位を拡大した拡大図。
図4】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置において真空グリッパーとジョーグリッパーとが設けられた下部アームの部分斜視図。
図5】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置において真空グリッパーとジョーグリッパーとが設けられた下部アームの内部構成を説明するための参照図。
図6】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置において真空グリッパーを昇降させてボルトを分離させるリフティングユニットの構成を説明するための斜視図。
図7】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置において真空グリッパーとジョーグリッパーとが設けられた下部アームの平面図。
図8】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置において真空グリッパーとジョーグリッパーとが設けられた下部アームの側面図。
図9図7のA-Aに沿う断面図。
図10図9の主要部位の部分拡大図。
図11A】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置においてボルトの移動と締め付け作業を示し、一連の参照図。
図11B】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置においてボルトの移動と締め付け作業を示し、一連の参照図。
図11C】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置においてボルトの移動と締め付け作業を示し、一連の参照図。
図11D】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置においてボルトの移動と締め付け作業を示し、一連の参照図。
図11E】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置においてボルトの移動と締め付け作業を示し、一連の参照図。
図11F】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置においてボルトの移動と締め付け作業を示し、一連の参照図。
図11G】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置においてボルトの移動と締め付け作業を示し、一連の参照図。
図11H】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置においてボルトの移動と締め付け作業を示し、一連の参照図。
図11I】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置においてボルトの移動と締め付け作業を示し、一連の参照図。
図11J】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置においてボルトの移動と締め付け作業を示し、一連の参照図。
図11K】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置においてボルトの移動と締め付け作業を示し、一連の参照図。
図11L】本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置においてボルトの移動と締め付け作業を示し、一連の参照図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付した図面を参照して本発明の実施形態等に係る自動ボルト締付装置について詳細に説明する。本発明は、様々な変更を加えることができ、種々の形態を有することができるところ、特定実施形態を図面に例示し、本文に詳細に説明しようとする。しかしながら、これは、本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物ないし代替物を含むことと理解されなければならない。各図面を説明しながら、類似した参照符号を類似した構成要素に対して使用した。添付された図面において、構造物等の寸法は、本発明の明確性を期するために実際より拡大したり、概略的な構成を理解するために実際より縮小して図示したものである。
【0018】
また、第1及び第2などの用語は、様々な構成要素を説明するのに使用されることができるが、前記構成要素等は、前記用語等により限定されてはならない。前記用語等は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながら、第1構成要素は第2構成要素と命名されることができ、同様に、第2構成要素も第1構成要素と命名されることができる。一方、異なるように定義されない限り、技術的であるか、科学的な用語を含めて、ここで使用される全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により一般的に理解されることと同じ意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているような用語等は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有することと解釈されなければならず、本出願において明らかに定義しない限り、理想的であるか、過度に形式的な意味と解釈されない。
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置の使用状態図であり、図2は、本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置の側面図であり、図3は、図2において主要部位を拡大した拡大図であり、図4は、本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置において真空グリッパーとジョーグリッパーとが設けられた下部アームの部分斜視図である。
【0019】
図示されたように、本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置は、本体フレーム110、下部アーム120、上部アーム130、真空グリッパー140、ジョーグリッパー150、ボルト締付機160を主な構成要素として含んでなる。本発明は、このような主な構成要素等によりボルトフィーダーF1からボルトをピックアップする工程と、コンベヤC1により組立ラインに位置した被加工物P1にボルトを締め付ける工程とが独立的に同時進行されるようにすることで、安定的にボルトを締め付けながらもボルト締付にかかる時間を大幅に短縮できるように構成される。
【0020】
以下、上記各構成要素を中心に本発明の実施形態に係る自動ボルト締付装置について詳細に説明する。
【0021】
前記本体フレーム110は、下部アーム120と上部アーム130とを各々昇降及び左右方向に回転可能なように支持する役割をする。
【0022】
前記下部アーム120は、真空グリッパー140とジョーグリッパー150とを先端部に支持しながら移動させる役割をするものであって、多関節のアームからなる。前記下部アーム120は、本体フレーム110に昇降可能なように結合される下部昇降体121、前記下部昇降体121に左右方向に回転可能なように順次結合される第1の下部アーム122、第2の下部アーム123からなる。前記第2の下部アーム123の上面には、補助アーム124により垂直な形態で真空グリッパー140が設けられ、下面には、一対のジョー152(jaw)を備えたジョーグリッパー150が設けられる。
【0023】
前記上部アーム130は、真空グリッパー140を先端部に支持しながら移動させる役割をするものであって、下部アーム120と同様に、多関節のアームからなる。前記上部アーム130は、本体フレーム110に昇降可能なように結合される上部昇降体131、前記上部昇降体131に左右方向に回転可能なように順次結合される第1の上部アーム132、第2の上部アーム133、及び第3の上部アーム134からなる。前記第3の上部アーム134の先端部下側には、垂直にボルト締付機160が設けられる。また、前記第3の上部アーム134の先端部上側には、ビジョン190が設けられて、被加工物のボルト締付地点を確認し、ボルト締付機160による締付作業が正確になされ得るように助力する。
【0024】
前記真空グリッパー140は、ボルトフィーダーからボルトをピックアップする役割をし、真空圧によりボルトを吸着する真空吸着管の形態で備えられる。前記真空グリッパー140は、下部アーム120の先端部上面に左右方向に回転可能に設けられた補助アーム124の先端部に下方向に垂直に設けられる。このような真空グリッパー140の内部構造をみると、図9図10の断面図に図示されたように、下端部でボルトを真空吸着できるように内部が中空で形成されて真空ポンプと連結されるようにした。
【0025】
ここで、真空グリッパー140を支持する補助アーム124は、図10に示されたように、下側に垂直に結合されたボールスプライン180により下部アーム120の先端部に昇降可能なように支持された状態で第1のモータM1の駆動力を受けて左右方向に回転できるように設けられる。前記ボールスプライン180の場合、中空の垂直軸181とナット182とが結合されてなる。前記ボールスプライン180の垂直軸181下部には緩衝用ばね185が挟まれた形態で追加設置されて、ボールスプライン180のナット182を下側で弾性支持させる。これにより、前記真空グリッパー140の昇降動作の際に共に昇降するボールスプライン180の昇降動作による振動及び衝撃を減殺させることができるようになる。
【0026】
前記真空グリッパー140の回転動作は、第1のモータM1によりピニオン126が回転すれば、それに順次連結された回転軸125、ボールスプライン180のナット182、垂直軸181が回転し、前記垂直軸181の上端部に結合された補助アーム124が回転しながらなされる。
【0027】
前記ジョーグリッパー150は、下部アーム120の先端部下面に左右方向に回転可能に設けられ、先端部に備えられた一対のジョー152(jaw)により真空グリッパー140に真空吸着されたボルトをグリッピングしてボルト締付機160に伝達する役割をする。前記ジョーグリッパー150は、下部アーム120の先端部下面に回転可能なように結合され、第3のモータM3から動力を提供されて回転動作するグリッパー本体151と、前記グリッパー本体151の先端部に設けられて、左右に拡げるか、狭めながらボルトをグリッピングできるようにした一対のジョー152とからなる。このようなジョーグリッパー150が備えられれば、真空吸着によりボルトフィーダーでボルトをピックアップする真空グリッパー140と、やはり真空吸着によりボルトを真空吸着した状態で組立ラインにある被加工物にボルトを締め付けるボルト締付機160との間に円滑なボルト伝達がはじめて可能となる。
【0028】
ここで、一対のジョー152は、相互間に夾角180度以上に拡げることができるものとして設けられることが好ましい。これにより、真空グリッパー140が補助アーム124の左右方向回転により移動するとき、一対のジョー152が最大限拡げられた状態になるようにすることで、相互間に干渉が起こらないように遮断することができる。
【0029】
一方、ジョーグリッパー150が真空グリッパー140に真空吸着されたボルトをグリッピングした状態で前記真空グリッパー140を少し上昇させてボルトを分離させることができるようにするリフティングユニット170が設けられる。
【0030】
前記リフティングユニット170は、図6に示されたように、第2のモータM2のシャフトに設けられたピニオン171と、前記ピニオン171と噛み合って直線運動するラック172と、前記ラック172に結合されて、前後方向に直線運動するスライド部材173と、前記スライド部材173が摺動するように案内するレール174と、前記スライド部材173の先端部に一端部がヒンジ結合されたリンクジョイント175と、前記リンクジョイント175の他端部にヒンジ結合されて、前記スライド部材173が前方移動すれば上昇し、後方移動すれば下降しながら前記補助アーム124を昇降させる昇降体176と、前記昇降体176の下側に垂直に結合されて、前記昇降体176の昇降を案内する左右一対のガイド棒177とからなる。
【0031】
このように、リフティングユニット170を備えた構成によれば、第2のモータM2のシャフトと、それに結合されたピニオン171を回転させてラック172を前方へ移動させると、ラック172とともにスライド部材173が前方へ移動し、前記スライド部材173の先端部にリンクジョイント175によりヒンジ結合された昇降体176が上昇するようになる。このとき、ガイド棒177は、昇降体176が前方へ移動せずに安定的に上昇するように案内する。ここで、ガイド棒177は、左側と右側に一対で備えられた構成により昇降体176が左側や右側に傾きながらボールスプライン180が挿入されているホールに挟まれて昇降できないという問題を解消できる。これにより、昇降体176上面に形成された定着溝176aに後端部が定着した状態で支持された補助アーム124が上昇し、前記補助アーム124の先端部に設けられた真空グリッパー140も上昇するようになる。
【0032】
このようなリフティングユニット170の構成において昇降体176の定着溝176aに形成された通孔176bを介して補助アーム124の下側に垂直に結合されたボールスプライン180の垂直軸181が貫通された状態で下部アーム120の先端部に挿入された形態となる。これにより、前記補助アームが後端部のみ昇降体176の定着溝176aに支持された形態に設けられても先端部が垂れ下がることなく、前記リフティングユニット170の昇降体176により昇降できるようになる。
【0033】
また、前記リフティングユニット170の構成においてスライド部材173の形状に注目することができる。前記スライド部材173は、ラック172の上面に結合されたラック結合部173aと、ラック結合部173aの先端部に左右方向に長く形成された形態で結合された左右拡大部173cと、左右拡大部173cの左側端部と右側端部とに各々結合されて、相互間に左右に広く離間した状態で前後方向に長く形成された一対のスライディング部173bとからなり、前記スライディング部173bに対応して前記レール174、リンクジョイント175、及びガイド棒177が左側と右側で対をなして備えられる。
【0034】
このように、前記スライド部材173の左右拡大部173c及び一対のスライディング部173bにより左右に広く拡げられてレール174により支持された形態になると、前後方向への移動の際、極めて安定的にバランスを維持できるという長所があることはもちろん、互いに離間した一対のスライディング部173b間の空間に真空グリッパー140とジョーグリッパー150とに各々動力を提供する第1のモータM1と第3のモータM3とを中央に集めて配置しても、これによる干渉の問題を避けながら、使えなかった縁の空間を積極的に活用できるという長所がある。
【0035】
前述した前記リフティングユニット170の構成をみると、真空グリッパー140を昇降させるために、補助アーム124の後端部の下に第2のモータM2を設け、スクリュー及びナットにより簡単に補助アーム124を昇降させるように構成できるにもかかわらず、第2のモータM2を補助アーム124の後端部から離れた地点に設け、ピニオン171とラック172、スライド部材173、リンクジョイント175、及び昇降体176を使用した動力伝達体系により複雑かつ非効率的に見える構成を取っていることが分かる。しかし、このような構成は、補助アーム124及び真空グリッパー140が作動される高さをできる限り低めて上部アーム130に対する干渉の問題をなくすとともに、下部アーム120と上部アーム130との間隔を最小化するために最適化された構成であるといえる。
【0036】
前記ボルト締付機160は、上部アーム130の先端部に真空吸着管の形態で備えられて昇降可能に設けられる。前記ボルト締付機160は、真空グリッパー140がグリッピングしているボルトを真空吸着し、その状態で上部アーム130により組立ラインに移動した後、組立ラインに位置した被加工物にボルトを締め付ける。本発明においてボルト締付機160は、さらにボルトフィーダーまで移動してボルトをピックアップする作業をせず、中間に介入されたジョーグリッパー150からボルトを伝達された直後、直ちに移動して被加工物にボルトを締め付ける役割を専担するようになる。これにより、前記ボルト締付機160が組立ラインに位置した被加工物とボルトフィーダーとの間の遠い距離を移動するのにかかる時間、ボルトフィーダーに定位置し、ボルトをピックアップするのにかかる時間を節約できるものである。
【0037】
添付された図11a~図11lには、真空グリッパー140によるボルトピックアップ及び移動、ジョーグリッパー150によるボルトの中間グリッピング及び伝達、ボルト締付機160によるボルト移動及び締付作業が逐次的によく示されている。特に、図面から分かるように、ボルト締付機160が以前ボルトを締め付けている間、真空グリッパー140及びジョーグリッパー150が協力してボルトフィーダーからボルトをピックアップして運搬した後、ボルト締付機160に直ちに伝達できるように待機位置で待機し、ボルト締付機160は、以前ボルトに対するボルト締付が完了すれば、ジョーグリッパー150により待機位置に待機しているボルトを直ちにピックアップしてボルト締付を行うように動作することに注目することができる。
【0038】
そして、真空グリッパー140とボルト締付機160の中間でジョーグリッパー150により行なわれる細部的な動作及び作用にも留意することができる。前記ジョーグリッパー150は、図11dから図11kに至る図面に示されたように、ボルトを真空吸着する真空グリッパー140とボルト締付機160との間でグリッピングによりボルトを中間伝達する役割を円滑に果たす。さらに、ジョーグリッパー150は、真空グリッパー140との干渉を回避するために、一方に回転動作するだけでなく、ジョーを180度まで広く拡げることまでもできる。このような回避動作は、ジョーグリッパー150が動作するときには真空グリッパー140も行うことになる。
【0039】
以上から、本発明の望ましい実施形態を説明したが、本発明は、様々な変化と変更及び均等物を使用できる。本発明は、上記実施形態を適宜変形して同様に応用できることが明らかである。したがって、前記記載内容は、下記の特許請求の範囲の限界により決められる本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0040】
110 本体フレーム
120 下部アーム
130 上部アーム
140 真空グリッパー
150 ジョーグリッパー
160 ボルト締付機
170 リフティングユニット
180 ボールスプライン
図1
図2
図3
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図5
図6
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図9
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図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
図11H
図11I
図11J
図11K
図11L