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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039925
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】鍋
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20220303BHJP
   A47J 27/08 20060101ALI20220303BHJP
   A47J 27/14 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
A47J27/00 101C
A47J27/08
A47J27/14 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021047217
(22)【出願日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2020143444
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】508236387
【氏名又は名称】株式会社 鋳物屋
(74)【代理人】
【識別番号】100127306
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 剛
(72)【発明者】
【氏名】金子 常夫
【テーマコード(参考)】
4B054
4B055
【Fターム(参考)】
4B054AA02
4B054AA12
4B054AA16
4B054AB02
4B054AC13
4B054BC01
4B054BC06
4B054BC13
4B054CA02
4B054CA04
4B054CA11
4B054CC13
4B054CD10
4B055AA08
4B055AA50
4B055BA26
4B055CA02
4B055CA05
4B055CA09
4B055CA21
4B055CB07
4B055CB17
(57)【要約】
【課題】 調理対象物の攪拌が十分に行える鍋などを提供する。
【解決手段】 圧力鍋1は、外鍋10と、内鍋40と、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間を密閉する外鍋内鍋密閉部50とを備える。内鍋40は、側部に、第1孔部41と、第1孔部41よりも下方に設けられた第2孔部42とを有する。上面視で、第1孔部41がある領域と第2孔部42がある領域の間に、内鍋40の底部の中心POが位置するように、第1孔部41と第2孔部42が内鍋40に設けられる。外鍋内鍋密閉部50は、外鍋1-の内壁と内鍋40の外壁の間であって、第1孔部41よりも上方の領域を密閉するために用いられる第1密閉部51を有する。
【選択図】図8

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外鍋と、
内鍋と、
前記外鍋の内壁と、前記内鍋の外壁の間を密閉する外鍋内鍋密閉部とを備え、
前記内鍋は、側部に、第1孔部と、前記第1孔部よりも下方に設けられた第2孔部とを有し、
上面視で、前記第1孔部がある領域と前記第2孔部がある領域の間に、前記内鍋の底部の中心が位置するように、前記第1孔部と前記第2孔部が前記内鍋に設けられ、
前記外鍋内鍋密閉部は、前記外鍋の内壁と前記内鍋の外壁の間であって、前記第1孔部よりも上方の領域を密閉するために用いられる第1密閉部を有する、鍋。
【請求項2】
前記内鍋は、前記底部または前記側部であって、前記第2孔部よりも下方に設けられた第3孔部を有し、
上面視で、前記第2孔部がある領域よりも、前記第1孔部がある領域に近い側に前記第3孔部が設けられ、
前記外鍋内鍋密閉部は、前記外鍋の内壁と前記内鍋の外壁の間であって、前記第3孔部と接する領域を密閉するために用いられる第2密閉部を有する、請求項1に記載の鍋。
【請求項3】
前記内鍋は、前記底部または前記側部であって、前記第2孔部よりも下方に設けられた第4孔部を有し、
上面視で、前記第1孔部がある領域よりも、前記第2孔部がある領域に近い側に前記第4孔部が設けられ、
前記第2密閉部は、前記外鍋の内壁と前記内鍋の外壁の間であって、前記第3孔部及び前記第4孔部と接する領域を密閉するために用いられる、請求項2に記載の鍋。
【請求項4】
上面視で、前記第1孔部がある領域と、前記第2孔部がある領域と、前記底部の中心がある領域が、一直線上に並べられ、
上面視で、前記第1孔部がある領域と前記第2孔部がある領域の中間に、前記底部の中心が位置する、請求項2または請求項3に記載の鍋。
【請求項5】
前記第3孔部は、前記底部に設けられ、
上面視で、前記底部の中心と、前記内鍋の前記第1孔部がある領域の間に、前記第3孔部が設けられる、請求項2~請求項4のいずれかに記載の鍋。
【請求項6】
前記内鍋の外壁と、前記外鍋の内壁の少なくとも一方には、前記第1密閉部が着脱可能な状態で取り付けられる第1の環状溝と、前記第2密閉部が着脱可能な状態で取り付けられる第2の環状溝が設けられる、請求項2~請求項5のいずれかに記載の鍋。
【請求項7】
前記外鍋の上面開口を覆う蓋を更に備え、
前記鍋は、圧力鍋として使用される、請求項1~請求項6のいずれかに記載の鍋。
【請求項8】
前記内鍋の上面開口を覆う内鍋蓋を更に備え、
前記内鍋蓋は、前記蓋により上方向の移動が制限される、請求項7に記載の鍋。
【請求項9】
前記内鍋に投入する調理対象物は麺類であり、
前記鍋は、麺茹で装置である、請求項1~請求項8のいずれかに記載の鍋。
【請求項10】
前記第1密閉部と前記第2密閉部の少なくとも一方は、前記内鍋と前記外鍋のいずれかと一体的に構成される、請求項2に記載の鍋。
【請求項11】
前記外鍋には、外部の冷却水供給装置と連通する給水用孔が設けられる、請求項1~請求項10のいずれかに記載の鍋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、麺茹で装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-85736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、麺などの調理対象物の攪拌が十分に行えない場合があった。
【0005】
したがって本発明の目的は、調理対象物の攪拌が十分に行える鍋などを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る鍋は、外鍋と、内鍋と、外鍋の内壁と内鍋の外壁の間を密閉する外鍋内鍋密閉部とを備える。
内鍋は、側部に、第1孔部と、第1孔部よりも下方に設けられた第2孔部とを有する。
上面視で、第1孔部がある領域と第2孔部がある領域の間に、内鍋の底部の中心が位置するように、第1孔部と第2孔部が内鍋に設けられる。
外鍋内鍋密閉部は、外鍋の内壁と内鍋の外壁の間であって、第1孔部よりも上方の領域を密閉するために用いられる第1密閉部を有する。
【0007】
内鍋の上方で側部の一方から中央部分を通って側部の他方に流れる対流が作り出される。
このため、内鍋を設けない形態、内鍋を設けるが孔を設けない形態、及び内鍋を設け且つ複数の孔を略等間隔に均一に設ける形態に比べて、一定の方向に流れる対流を作りやすくなる。
【0008】
調理対象物は、加熱により、z方向上方に移動する。
内鍋の上方における、第1孔部がある側から第2孔部がある側に向けた熱水の流れによって、上方に移動した調理対象物には回転力が加えられる。
回転運動により、調理対象物の攪拌が行われ、かかる回転力が加えられない形態に比べて、均一に且つ早期に調理対象物の加熱を完了させることが可能になる。
【0009】
好ましくは、内鍋は、底部または側部であって、第2孔部よりも下方に設けられた第3孔部を有する。
上面視で、第2孔部がある領域よりも、第1孔部がある領域に近い側に第3孔部が設けられる。
外鍋内鍋密閉部は、外鍋の内壁と内鍋の外壁の間であって、第3孔部と接する領域を密閉するために用いられる第2密閉部を有する。
【0010】
第2密閉部により、外鍋の内壁と内鍋の外壁の間であって、内鍋の第3孔部と接する領域は、外鍋の内壁と内鍋の外壁の間であって、内鍋の側部の第1孔部及び第2孔部と接する領域と遮断される。
このため、内鍋よりも下方の領域(外鍋と内鍋と第2密閉部で囲まれた空間)の熱水は、第3孔部を介して、内鍋の内側の領域(内鍋の内部の空間)に流入する。
当該下方から流入した熱水は、内鍋の側部の第1孔部がある領域の近くで、上方に移動し、第1孔部を介して流入した熱水とともに、内鍋の上方で、第1孔部がある側から中央部分を通って第2孔部がある側に向けて流れる。
これにより、第1孔部から内鍋に流入した熱水の対流の勢いを増加させることが出来る。
【0011】
さらに好ましくは、内鍋は、底部または側部であって、第2孔部よりも下方に設けられた第4孔部を有する。
上面視で、第1孔部がある領域よりも、第2孔部がある領域に近い側に第4孔部が設けられる。
第2密閉部は、外鍋の内壁と内鍋の外壁の間であって、第3孔部及び第4孔部と接する領域を密閉するために用いられる。
【0012】
第4孔部を設けない形態に比べて、内鍋の内部の空間と、外鍋と内鍋と第2内鍋密閉部で囲まれた空間との間の熱水の移動をスムーズに行える。
【0013】
さらに好ましくは、上面視で、第1孔部がある領域と、第2孔部がある領域と、底部の中心がある領域が、一直線上に並べられる。
上面視で、第1孔部がある領域と第2孔部がある領域の中間に、底部の中心が位置する。
【0014】
第1孔部から流入した熱水、及び第3孔部から流入した熱水は、内鍋の第2孔部がある領域の近くで、内鍋の上方から下方に流れる。
上面視で、内鍋の第1孔部がある領域と、内鍋の第2孔部がある領域と、内鍋の底部の中心が略一直線上に並べられるので、上方を流れる時に、中央部分を熱水が通りやすい。このため、第1孔部などから流入した熱水が、上方で且つ中央部分に浮かび上がった調理対象物に回転力を与えやすくなる。
【0015】
さらに好ましくは、第3孔部は、底部に設けられる。
上面視で、底部の中心と、内鍋の第1孔部がある領域の間に、第3孔部が設けられる。
【0016】
第1孔部から流入した熱水、及び第3孔部から流入した熱水は、内鍋の上方から、第2孔部がある領域で下方に流れる。
上面視で、内鍋の第1孔部がある領域と、内鍋の第2孔部がある領域と、内鍋の底部の中心が略一直線上に並べられるので、上方を流れる時に、中央部分を熱水が通りやすい。このため、第1孔部などから流入した熱水が、上方で且つ中央部分に浮かび上がった調理対象物に回転力を与えやすくなる。
【0017】
さらに好ましくは、内鍋の外壁と、外鍋の内壁の少なくとも一方には、第1密閉部が着脱可能な状態で取り付けられる第1の環状溝と、第2密閉部が着脱可能な状態で取り付けられる第2の環状溝が設けられる。
【0018】
第1の環状溝を内鍋の外壁若しくは外鍋の内壁に設けることにより、第1密閉部を内鍋若しくは外鍋の正しい位置に取り付けやすくなる。
第2の環状溝を内鍋の外壁若しくは外鍋の内壁に設けることにより、第2密閉部を内鍋若しくは外鍋の正しい位置に取り付けやすくなる。
【0019】
さらに好ましくは、鍋は、外鍋の上面開口を覆う蓋を更に備える。
鍋は、圧力鍋として使用される。
【0020】
さらに好ましくは、鍋は、内鍋の上面開口を覆う内鍋蓋を更に備える。
内鍋蓋は、蓋により上方向の移動が制限される。
【0021】
さらに好ましくは、内鍋に投入する調理対象物は麺類である。
鍋は、麺茹で装置である。
【0022】
麺類などの調理対象物は、加熱により、上方に移動する。
内鍋の上方における、第1孔部がある側から第2孔部がある側に向けた熱水の流れによって、上方に移動した調理対象物には回転力が加えられる。
回転運動により、調理対象物の攪拌が行われ、かかる回転力が加えられない形態に比べて、均一に且つ早期に調理対象物の加熱を完了させることが可能になる。
特に、うどんなど、小麦粉で出来た麺類については、小麦粉のデンプンが均一に且つ早期にアルファ化するので、良好な伸びと歯ごたえのある仕上がりを得やすくなる。
【0023】
また、好ましくは、第1密閉部と第2密閉部の少なくとも一方は、内鍋と外鍋のいずれかと一体的に構成される。
【0024】
また、好ましくは、外鍋には、外部の冷却水供給装置と連通する給水用孔が設けられる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明によれば、調理対象物の攪拌が十分に行える鍋などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態における圧力鍋の分解斜視図である。
図2】蓋外鍋密閉部が取り付けられた蓋と、外鍋内鍋密閉部が取り付けられた内鍋と、外鍋の斜視図である。
図3】外鍋内鍋密閉部が取り付けられた内鍋を前方から見た斜視図である。
図4】外鍋内鍋密閉部が取り付けられた内鍋を公報から見た斜視図である。
図5】蓋外鍋密閉部が取り付けられた蓋と、内鍋が取り付けられた外鍋の斜視図で、取り付け前のものである。
図6】蓋外鍋密閉部が取り付けられた蓋と、内鍋が取り付けられた外鍋の斜視図で、取り付け後のものである。
図7】第1実施形態における圧力鍋の分解断面構成図である。
図8】第1実施形態における、蓋外鍋密閉部が取り付けられた蓋と、内鍋が取り付けられた外鍋の断面構成図で、取り付け前のものである。
図9図8のA-A断面構成図である。
図10図8のB-B断面構成図である。
図11】第1実施形態における、五徳に乗せて加熱中の圧力鍋の断面構成図である。
図12】第2実施形態における、五徳に乗せて加熱中の圧力鍋の断面構成図で、第4孔部が追加されたものである。
図13】第3実施形態における圧力鍋の分解断面構成図である。
図14】第3実施形態における、蓋外鍋密閉部が取り付けられた蓋と、内鍋が取り付けられた外鍋の断面構成図で、取り付け前のものである。
図15】第3実施形態における圧力鍋の断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、第1実施形態について、図を用いて説明する。
なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。また、各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが出来る。
【0028】
(圧力鍋1)
第1実施形態における圧力鍋1は、外鍋10、蓋20、蓋外鍋密閉部30、内鍋40、外鍋内鍋密閉部50を備える(図1図11参照)。
【0029】
なお、図7図11の断面構成図は、第1実施形態における特徴的部分を分かりやすくするため模式的に形状を示しており、蓋の上面など、具体的な形状は、図1図6の斜視図と一致しない部分がある。
【0030】
方向を説明するために、水平方向の1つをx方向(前後方向)、x方向と垂直な水平方向をy方向(左右方向)、x方向とy方向に垂直な略鉛直方向をz方向として説明する。
図1などにおいて、xyz軸のそれぞれの矢印が指し示す方向をそれぞれ前方向、左方向、上方向と定義する。
なお、図5図6の斜視図は、内鍋40など、外鍋10の内部に収容される部材について、実際には外側からは見えないが、発明を説明するために、中身(内鍋40など)を点線で示す。
また、図9の断面構成図は、実際には上方からは見えないが、発明を説明するために、第2孔部42と第2密閉部52を点線で示す。
また、図10の断面構成図は、実際には上方からは見えないが、発明を説明するために、第2密閉部52を点線で示す。
また、図11では、容器(外鍋10、内鍋40)の内部で液体(熱水)が満たされた領域をバツ印(クロスマーク)で示し、熱水が流れる方向の主なものを破線矢印で示す。
また、後述する図12(第2実施形態)も図11と同様で、容器(外鍋10、内鍋40)の内部で液体(熱水)が満たされた領域をバツ印(クロスマーク)で示し、熱水が流れる方向の主なものを破線矢印で示す。
【0031】
(外鍋10)
外鍋10は、圧力鍋本体であって、蓋20とで、内部に内鍋40を収容する。
外鍋10の側面には、水平方向外側に延びる取っ手(外鍋取っ手11)が設けられる。
【0032】
(蓋20)
蓋20は、外鍋10の上面開口を覆う蓋である。
蓋20の側面には、水平方向外側に延びる取っ手(蓋取っ手21)が設けられる。
蓋20には、調圧装置23が設けられる。
調圧装置23は、圧力鍋1の内圧が所定の気圧(例えば2気圧)を超えないように、圧力調整するために用いられる。
蓋20の下面には、蓋外鍋密閉部30を保持する蓋側保持溝25が設けられる。
【0033】
(蓋外鍋密閉部30)
蓋外鍋密閉部(蓋密閉部)30は、パッキンなどで構成され、加熱による温度上昇で熱膨張した時に、外鍋10の内壁と接触し、外鍋10の上端と蓋20の下端の間を密閉する。
蓋外鍋密閉部30を構成するパッキンは、シリコンゴムなど熱により膨張する素材で構成され、略逆U字の断面形状を有する無端リングである。
第1実施形態では、蓋外鍋密閉部30が蓋20の下部に取り付けられる例を示すが、蓋外鍋密閉部30は外鍋10の上部に取り付けられてもよい。
【0034】
(内鍋40)
内鍋は、麺類などの調理対象物を入れる容器である。
内鍋40は、外鍋10の内側に配置される。
内鍋40の側部には、第1孔部41と第2孔部42が設けられる。
内鍋40の底部には、第3孔部43が設けられる。
【0035】
第1孔部41は、内鍋40の側部のx方向後方で高い位置に設けられる。
第2孔部42は、内鍋40の側部のx方向前方で低い位置に設けられる。
すなわち、第2孔部42は、第1孔部41よりもz方向下方に設けられる。
第1孔部41は、複数設けられてもよいし、1つだけ設けられてもよいし、複数の孔を含むメッシュ状に構成されてもよい。
第2孔部42は、複数設けられてもよいし、1つだけ設けられてもよいし、複数の孔を含むメッシュ状に構成されてもよい。
【0036】
z方向上方から見て、内鍋40の第1孔部41がある領域と、内鍋40の第2孔部42がある領域の間に、内鍋40の底部の中心POがある領域が位置するように、第1孔部41と第2孔部42が配置される。
第1実施形態では、上面視で、内鍋40の第1孔部41がある領域と、内鍋40の第2孔部42がある領域と、内鍋40の底部の中心POがある領域が、x方向に平行な略一直線上に並べられ、内鍋40の第1孔部41がある領域と内鍋40の第2孔部42がある領域の中間に、内鍋40の底部の中心POが位置する例を説明する(図9参照)。
しかしながら、上面視で、内鍋40の第1孔部41がある領域と内鍋40の第2孔部42がある領域の間に、内鍋40の底部の中心POが位置するように、第1孔部41と第2孔部42が内鍋40に設けられればよく、上面視で、内鍋40の第1孔部41がある領域と内鍋40の第2孔部42がある領域の中間に内鍋40の底部の中心POが位置する形態に限るものではない。
【0037】
第3孔部43は、第2孔部42よりもz方向下方に設けられる。
第3孔部43は、内鍋40の底部の中心POと、内鍋40の側部との間に設けられる。
第1実施形態では、第3孔部43は、内鍋40の底部の中心POと、内鍋40の側部であって第1孔部41が設けられる領域の下部との間に設けられる。
第3孔部43は、複数設けられてもよいし、1つだけ設けられてもよいし、複数の孔を含むメッシュ状に構成されてもよい。
【0038】
z方向上方から見て、内鍋40の第2孔部42がある領域よりも、内鍋40の第1孔部41がある領域に近い側に第3孔部43が設けられる。
第1実施形態では、上面視で、内鍋40の底部の中心POと、内鍋40の第1孔部41がある領域の間に、第3孔部43が設けられる。
しかしながら、上面視で、内鍋40の第2孔部42がある領域よりも、内鍋40の第1孔部41がある領域に近い側に第3孔部43が設けられればよく、上面視で、内鍋40の底部の中心POと内鍋40の第1孔部41がある領域の間に第3孔部43が位置する形態に限るものではない。
【0039】
内鍋40の側部の外壁であって、第1孔部41及び第2孔部42よりも高い位置には、第1密閉部51が取り付けられる第1の環状溝(第1溝45)が設けられる(図1図7参照)。
内鍋40の底部の外壁であって、中心PO及び第3孔部43を囲む位置には、第2密閉部52が取り付けられる第2の環状溝(第2溝46)が設けられる。
【0040】
(外鍋内鍋密閉部50)
外鍋内鍋密閉部50は、第1密閉部51と第2密閉部52を有する。
【0041】
第1密閉部51は、パッキンなどで構成され、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間であって、第1孔部41及び第2孔部42よりもz方向上方の領域を密閉するために用いられる。
第1密閉部51を構成するパッキンは、シリコンゴムなど熱により膨張する素材で構成され、略逆U字の断面形状を有する無端リングである。
第1密閉部51は、着脱可能な状態で、内鍋40の側部の外壁の第1溝45に嵌め込まれる。
【0042】
第2密閉部52は、パッキンなどで構成され、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間であって、内鍋40の第3孔部43と接する領域を囲み且つ密閉し、当該領域について、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間であって、内鍋40の側部の第1孔部41及び第2孔部42と接する領域と遮断するために用いられる。
第2密閉部52を構成するパッキンは、シリコンゴムなど熱により膨張する素材で構成され、略コの字(略U字を横にした状態)の断面形状を有する無端リングである。
第2密閉部52は、着脱可能な状態で、内鍋40の底部の外壁の第2溝46に嵌め込まれる。
【0043】
第1密閉部51と第2密閉部52は、着脱可能な状態で内鍋40を外鍋10の内側に固定するための固定部材としても用いられる。
【0044】
(圧力鍋1の調理工程)
次に、圧力鍋1を使って調理対象物の調理を行う工程を説明する。
外鍋10が、五徳などの加熱機器の上に載置される。
内鍋40の第1溝45には、第1密閉部51が取り付けられる。
内鍋40の第2溝46には、第2密閉部52が取り付けられる。
蓋20の蓋側保持溝25には、蓋外鍋密閉部30が取り付けられる。
第1密閉部51及び第2密閉部52が外鍋10の内壁と接触した状態で、内鍋40が外鍋10の内側に取り付けられる。
内鍋40の内側に水などの液体が投入される。
液体は、第1孔部41、第2孔部42、第3孔部43を介して、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間にも浸入する。
内鍋40の内側に麺類などの調理対象物が投入される。
蓋20が外鍋10の上部に取り付けられる。
加熱機器の加熱が開始される。
【0045】
(熱水の流れ)
加熱時に、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間で且つ第1密閉部51と第2密閉部52の間の空間にある熱水は、第1孔部41を介して、内鍋40の内部に流入する(図11参照)。
加熱時に、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間で且つ第2密閉部52の内側の空間(外鍋10の内鍋40と第2密閉部52で囲まれた空間)にある熱水は、第3孔部43を介して、内鍋40の内部に流入する。
加熱時に、内鍋40の内部の空間にある熱水は、第2孔部42を介して、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間で且つ第1密閉部51と第2密閉部52の間の空間に流入し、第3孔部43を介して、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間で且つ第2密閉部52の内側の空間に流入する。
【0046】
また、内鍋40の上方では、第1孔部41がある側(x方向後方)から第2孔部42がある側(x方向前方)に向けて熱水が流れる。
また、内鍋40の第1孔部41がある側(x方向後方)では、z方向下方からz方向上方に向けて熱水が流れる。
また、内鍋40の第2孔部42がある側(x方向前方)では、z方向上方からz方向下方に向けて熱水が流れる。
【0047】
(第1孔部41、第2孔部42を設けたことの効果)
第1実施形態では、内鍋40の上方で側部の一方から中央部分を通って側部の他方に流れる対流が作り出される。
このため、内鍋40を設けない形態、内鍋40を設けるが孔を設けない形態、及び内鍋40を設け且つ複数の孔を略等間隔に均一に設ける形態に比べて、一定の方向に流れる対流を作りやすくなる。
【0048】
麺類などの調理対象物は、加熱により、z方向上方に移動する。
内鍋40の上方における、第1孔部41がある側(x方向後方)から第2孔部42がある側(x方向前方)に向けた熱水の流れによって、z方向上方に移動した調理対象物には回転力が加えられる。
回転運動により、調理対象物の攪拌が行われ、かかる回転力が加えられない形態に比べて、均一に且つ早期に調理対象物の加熱を完了させることが可能になる。
特に、うどんなど、小麦粉で出来た麺類については、小麦粉のデンプンが均一に且つ早期にアルファ化(糊化)するので、良好な伸びと歯ごたえのある仕上がりを得やすくなる。
【0049】
(第3孔部43を設けたことの効果)
第2密閉部52により、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間であって、内鍋40の第3孔部43と接する領域は、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間であって、内鍋40の側部の第1孔部41及び第2孔部42と接する領域と遮断される。
このため、内鍋40よりも下方の領域(外鍋10と内鍋40と第2密閉部52で囲まれた空間)の熱水は、第3孔部43を介して、内鍋40の内側の領域(内鍋40の内部の空間)に流入する。
当該下方から流入した熱水は、内鍋40の側部の第1孔部41がある領域の近くで、上方に移動し、第1孔部41を介して流入した熱水とともに、内鍋40の上方で、第1孔部41がある側から中央部分を通って第2孔部42がある側に向けて流れる。
これにより、第1孔部41から内鍋40に流入した熱水の対流の勢いを増加させることが出来る。
【0050】
(上面視で第1孔部41がある領域と第2孔部42がある領域と底部の中心POが略一直線上に並べられることの効果)
第1孔部41から流入した熱水、及び第3孔部43から流入した熱水は、内鍋40の第2孔部42がある領域の近くで、内鍋40の上方から下方に流れる。
上面視で、内鍋40の第1孔部41がある領域と、内鍋40の第2孔部42がある領域と、内鍋40の底部の中心POが略一直線上に並べられるので、上方を流れる時に、中央部分を熱水が通りやすい。このため、第1孔部41などから流入した熱水が、上方で且つ中央部分に浮かび上がった調理対象物に回転力を与えやすくなる。
【0051】
(環状溝を設けたことの効果)
第1溝45を内鍋40の外壁(若しくは外鍋10の内壁)に設けることにより、第1密閉部51を内鍋40(若しくは外鍋10)の正しい位置に取り付けやすくなる。
第2溝46を内鍋40の外壁(若しくは外鍋10の内壁)に設けることにより、第2密閉部52を内鍋40(若しくは外鍋10)の正しい位置に取り付けやすくなる。
【0052】
(外鍋10の溝)
本実施形態では、内鍋40の外壁に、第1密閉部51及び第2密閉部52が取り付けられる環状溝(第1溝45、第2溝46)が設けられる例を説明した。
しかしながら、内鍋40に設けられる溝に代えて若しくは、内鍋40に設けられる溝に加えて、外鍋10の内壁に、第1密閉部51及び第2密閉部52が取り付けられる環状溝が設けられてもよい。
後述する第3実施形態(図13図15参照)は、内鍋40の外壁に第1溝45が設けられ、外鍋10の内壁に第3溝15が設けられ、第1密閉部51は、第1溝45と第3溝15に取り付けられる例を示す。
【0053】
(外鍋10による密閉部の保持)
本実施形態では、内鍋40の外壁に第1密閉部51及び第2密閉部52が取り付けられた状態で、内鍋40の外鍋10への取り付けが行われる例を説明した。
しかしながら、外鍋10の内壁に第1密閉部51及び第2密閉部52が取り付けられた状態で、内鍋40の外鍋10への取り付けが行われてもよい。
【0054】
(第2密閉部52の取付位置の応用例)
本実施形態では、第2密閉部52が、内鍋40の底部に取り付けられる例を説明した。
しかしながら、第2密閉部52は、内鍋40の側部であって、第2孔部42よりも低い位置に取り付けられてもよい。
【0055】
(内鍋40の構成の応用例)
第1実施形態では、1つの容器形状のものに、第1孔部41などの孔が形成されたもので内鍋40が構成される例を説明した。
しかしながら、内鍋40は一体的に構成されたものに限らず、例えば、網状の容器に、第1孔部41~第3孔部43がある部分以外の領域に板状物が取り付けられて内鍋40が構成されてもよい。
【0056】
(第4孔部44を設けた応用例)
第1実施形態では、上面視で、内鍋40の第2孔部42がある領域よりも、内鍋40の第1孔部41がある領域に近い側に第3孔部43が設けられる例を説明した。
しかしながら、第3孔部43に加えて、さらに、上面視で、内鍋40の第1孔部41がある領域よりも、内鍋40の第2孔部42がある領域に近い側に第4孔部44が設けられても良い(図12参照、第2実施形態)。
加熱時に、内鍋40の内部の空間にある熱水は、第2孔部42を介して、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間で且つ第1密閉部51と第2密閉部52の間の空間に流入し、第3孔部43及び第4孔部44を介して、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間で且つ第2密閉部52の内側の空間に流入する。
この場合、第3孔部43は、主に、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間で且つ第2密閉部52の内側の空間から、内鍋40の内部の空間への熱水の移動に用いられ、第4孔部44は、主に、内鍋40の内部の空間から、外鍋10の内壁と内鍋40の外壁の間で且つ第2密閉部52の内側の空間への熱水の移動に用いられる。
このため、第4孔部44を設けない形態に比べて、内鍋40の内部の空間と、外鍋10の内鍋40と第2密閉部52で囲まれた空間との間の熱水の移動をスムーズに行える。
【0057】
(圧力調整装置の応用例)
第1実施形態、第2実施形態では、蓋には、圧力調整装置として調圧装置23だけが設けられる例を説明した。
しかしながら、圧力鍋1の内圧が当該所定の気圧よりも更に高い気圧(例えば、2.4気圧)以上を超えないように、圧力調整するために用いられる安全装置24a、手動で排気を行うための排気バルブ24bが、圧力調整装置として、更に設けられてもよい(図13図15参照、第3実施形態)。
【0058】
(密閉部が内鍋40などと一体的に構成される応用例)
第1実施形態、第2実施形態では、第1密閉部51と第2密閉部52は、外鍋10及び内鍋40と別体で構成される例を説明した。
しかしながら、第1密閉部51と第2密閉部52の少なくとも一方は、外鍋10と内鍋40のいずれかと一体的に構成されてもよい。
第3実施形態は、第2密閉部52が内鍋40と一体的に構成される例を示す。具体的には、内鍋40の底部から下方に突出し、第3孔部43及び第4孔部44を囲むリングが形成され、当該リングが第2密閉部52として機能する。
【0059】
(給水用孔13を設けた応用例)
また、第3実施形態のように、圧力鍋1には、外部からの冷却水を取り入れるための孔(給水用孔13)が設けられてもよい。
給水用孔13は、外鍋10の側壁若しくは外鍋取っ手11に、設けられ、外壁の内壁の間を貫通する孔である。
給水用孔13には、給水バルブ、液送パイプなどを介して冷却水供給装置が接続される(給水バルブ、液送パイプ、冷却水供給装置は不図示)。
調理完了後など、圧力鍋1を冷却する場合には、給水バルブが開状態にされ、冷却水供給装置からの冷却水が外鍋10の内側に供給される。
冷却水は、外鍋10から第1孔41を介して内鍋40の内側に入り、麺類などの調理対象物、及び圧力鍋1を冷却する。
冷却水供給装置は、冷却水を貯蔵し、ポンプで貯蔵した冷却水を排出する装置であってもよいし、水道水を排出する蛇口であってもよい。
これにより、給水用孔13を設けない形態に比べて、圧力鍋1及び調理対象物の冷却を早期に行うことが可能になる。
なお、調理中など、圧力鍋1を冷却する必要がない場合には、給水バルブは閉状態にされる。
【0060】
(内鍋蓋49を設けた応用例)
また、第3実施形態のように、内鍋40の上面開口を覆う蓋(内鍋蓋49)が設けられてもよい。
内鍋蓋49には、内鍋40の内部の蒸気を排出するための孔(内鍋蓋孔49a)が設けられる。
内鍋蓋49には、内鍋蓋49を保持するための取っ手(内鍋蓋取っ手、不図示)が設けられてもよい。
内鍋蓋49は、調理中に圧力で外れないように、内鍋40の上端部と係合する。
また、内鍋蓋49は、調理中に圧力で外れないように、蓋20により上方向への移動が制限される。具体的には、内鍋40と内鍋蓋49の間の空間の内圧により、内鍋蓋49の一部が蓋20と接するように構成される。
【0061】
(第3孔部43などが側部に設けられてもよいこと)
第1実施形態~第3実施形態では、第3孔部43及び第4孔部44が、内鍋40の底部に設けられる例を説明した。
しかしながら、第3孔部43と第4孔部44の少なくとも一方が、内鍋40の側部に設けられてもよい。
この場合、第2密閉部52は、内鍋40の側部の外壁であって、第3孔部43及び第4孔部44よりもz方向上方で且つ第2孔部42よりもz方向下方の位置に取り付けられる。
【0062】
第1実施形態~第3実施形態では、圧力鍋1を使って、麺類などの調理対象物の加熱が均一に且つ早期に行える鍋を説明したが、鍋は、高圧状態で調理が行われる圧力鍋に限るものではなく、通常の鍋であってもよい。
第1実施形態~第3実施形態では、調理対象物が麺類であって、圧力鍋1が麺茹で装置である例を説明したが、調理対象物は麺類に限るものではない。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
1 圧力鍋
10 外鍋
11 外鍋取っ手
13 給水用孔
15 第3溝
20 蓋
21 蓋取っ手
23 調圧装置
24a 安全装置
24b 排気バルブ
25 蓋側保持溝
30 蓋外鍋密閉部(蓋密閉部)
40 内鍋
41 第1孔部
42 第2孔部
43 第3孔部
44 第4孔部
45 第1溝
46 第2溝
49 内鍋蓋
49a 内鍋蓋孔
50 外鍋内鍋密閉部
51 第1密閉部
52 第2密閉部
PO 内鍋の底部の中心
図1
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