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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022039992
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】電気外科用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20220303BHJP
   A61B 17/3205 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B17/3205
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021126495
(22)【出願日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】2013367.4
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】594089821
【氏名又は名称】ジャイラス メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス アラン ディクソン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF23
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK12
4C160KK39
4C160KK57
4C160MM32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】吸引力の損失や内部トラッキング距離の低下によってシェービング性能に悪影響を及ぼすことなく、周辺吸引の行える電気外科用器具を提供する。
【解決手段】電気外科用器具のエンドエフェクタは、絶縁材料22に受け入れられるアクティブ電極20を備え、アクティブ電極20は、アクティブ電極20から絶縁材料22を通って管腔40まで延在する一次流体チャネルへのアクセスを提供する一次吸引開口部26を備える。管腔40は、使用時に手術部位へ、及び手術部位から流体を運ぶように配置される。エンドエフェクタはアクティブ電極20から一次流体チャネルへの代替的なアクセスを提供する少なくとも1つの追加の流体チャネルdをさらに備え、少なくとも1つの追加の流体チャネルdは、一次吸引開口部を迂回する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科用器具のエンドエフェクタであって、
絶縁材料に受け入れられるアクティブ電極であって、前記アクティブ電極は、前記アクティブ電極から前記絶縁材料を通って管腔まで延びる一次流体チャネルへのアクセスを提供する一次吸引開口部を含み、前記管腔は、使用時における手術部位からの流体を運ぶように配置される、前記アクティブ電極と、
前記アクティブ電極から前記一次流体チャネルへの代替的なアクセスを提供する少なくとも1つの追加の流体チャネルであって、前記少なくとも1つの追加の流体チャネルは、前記一次吸引開口部を迂回する、前記少なくとも1つの追加の流体チャネルと、を備える、
エンドエフェクタ。
【請求項2】
前記アクティブ電極は、前記絶縁材料の凹部内に受け入れられる、
請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの追加の流体チャネルは、前記アクティブ電極と前記絶縁材料の間の前記一次流体チャネルに接続する、
請求項1又は請求項2に記載のエンドエフェクタ。
【請求項4】
前記アクティブ電極は、前記少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部を形成する凹部を有する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部が前記アクティブ電極を通って流れる、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項6】
前記絶縁材料は、前記少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部を形成するための凹部を有する、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項7】
前記アクティブ電極を所定の位置に保持するリテーナをさらに備える、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項8】
前記リテーナは、前記少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部を形成する凹部を有する、
請求項7に記載のエンドエフェクタ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部が前記リテーナの基部を通って流れる、
請求項7又は請求項8に記載のエンドエフェクタ。
【請求項10】
前記リテーナの前記凹部は、前記リテーナの基部に形成される、
請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部は、前記アクティブ電極と前記リテーナの両方の下を流れる、
請求項7、請求項8及び請求項10のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部は、前記リテーナと前記絶縁材料との間を流れる、
請求項7、請求項8、請求項10及び請求項11のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項13】
前記アクティブ電極と前記リテーナの両方は、前記少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部を形成するための凹部を有する、
請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部は、前記リテーナと前記アクティブ電極との間を流れる、
請求項7乃至請求項9及び請求項13のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項15】
複数の追加の流体チャネルを備える、
請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項16】
回転式シェーバ構成をさらに備える、
請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項17】
前記管腔は、リターン電極として機能する外側シャフトによって同心円状に包囲された、回転可能な内側シェーバブレードによって画定される、
請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項18】
前記アクティブ電極の表面は、実質的に矩形状である、
請求項1乃至請求項17のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項19】
前記アクティブ電極は金属から形成され、好ましくは、前記金属は、銅、ステンレス鋼、タングステン、又はタングステンと白金の合金のいずれか1つである、
請求項1乃至請求項18のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項20】
前記絶縁材料はセラミックから形成される、
請求項1乃至請求項19のいずれか1項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項21】
電気外科用器具であって、
ハンドピースと、
エンドエフェクタと、
前記器具を制御する前記ハンドピース上の1つ以上のユーザ操作可能なボタンと、
RF電気接続部を有する動作シャフト及び前記エンドエフェクタのための駆動構成要素と、を備え、
前記エンドエフェクタは、絶縁材料に受け入れられるアクティブ電極であって、前記アクティブ電極は、前記アクティブ電極から前記絶縁材料を通って管腔まで延びる一次流体チャネルへのアクセスを提供する一次吸引開口部を含み、前記管腔は、使用時における手術部位からの流体を運ぶように配置される、前記アクティブ電極と、前記アクティブ電極から前記一次流体チャネルへの代替的なアクセスを提供する少なくとも1つの追加の流体チャネルであって、前記少なくとも1つの追加の流体チャネルは、前記一次吸引開口部を迂回し、前記アクティブ電極は、前記RF電気接続部に接続されている、前記少なくとも1つの追加の流体チャネルと、を備える、
電気外科用器具。
【請求項22】
電気外科的システムであって、
RF電気外科用ジェネレータと、
吸引源と、
電気外科用器具であって、
ハンドピースと、
エンドエフェクタと、
前記器具を制御する前記ハンドピース上の1つ以上のユーザ操作可能なボタンと、
RF電気接続部を有する動作シャフト及び前記エンドエフェクタのための駆動構成要素と、を備え、
前記エンドエフェクタは、絶縁材料に受け入れられるアクティブ電極であって、前記アクティブ電極は、前記アクティブ電極から前記絶縁材料を通って管腔まで延びる一次流体チャネルへのアクセスを提供する一次吸引開口部を含み、前記管腔は、使用時における手術部位からの流体を運ぶように配置される、前記アクティブ電極と、前記アクティブ電極から前記一次流体チャネルへの代替的なアクセスを提供する少なくとも1つの追加の流体チャネルであって、前記少なくとも1つの追加の流体チャネルは、前記一次吸引開口部を迂回し、前記アクティブ電極は、前記RF電気接続部に接続されている、前記少なくとも1つの追加の流体チャネルと、を備える、前記電気外科用器具と、を備え、
前記電気外科的システムは、使用中に前記RF電気外科用ジェネレータが、RF電気接続を介して前記アクティブ電極へのRF凝固又はアブレーション信号を供給するように構成される、
電気外科的システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気外科用(electrosurgical)器具(電気手術器具)における吸引流路に関する。より具体的には、本発明は、電気外科用器具のエンドエフェクタ内に配置された周辺吸引流路に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波(radio frequency、RF)電気外科用器具を含む外科用器具(surgical instruments、手術器具)は、手術部位へのアクセスが狭い通路に制限される外科手術、例えば、低侵襲の「鍵穴(キーホール)」手術において、広く使用されるようになってきた。
【0003】
関節鏡検査(arthroscopy)のための多くの旧来の(legacy、レガシー)湿式RF手動器具は、組織のアブレーション(ablation、切除)又は凝固を行う間に、遠位端に生理食塩水吸引経路を使用する。一般的に、吸引及び周辺吸引は、以下の利点を提供する。
(i) 使用中の高温のRFチップ上に、より低温の生理食塩水を引き込むことにより、RFチップを冷却する。
(ii) 切除された組織片(debris)を手術部位から除去するのを助ける。
(iii) 複数の流路(一次(主)流路及び周辺流路)が、閉塞インスタンスの間、又はチップの面が組織内に圧縮された場合において、生理食塩水の流れを維持するのを助ける。
(iv) 関節の視認性を改善するために気泡を除去する。
(v) チップにおけるプラズマ形成に対するポジティブな効果。
【0004】
近年の、旧来型RFチップのデザインは、一般に、一次(主)吸引又は周辺吸引のいずれかに分類される複数の流路を有する。一次吸引経路は、一般に、組織に接触する先端の平坦部分の1つ以上の穴である。これらの穴は設計によってより大きくなる傾向があるが、これらの穴は先端の面がターゲット組織の表面に埋没するとすぐに組織で閉塞(ブロック)されるので、容易に閉塞され得る。周辺吸引は、ターゲット組織によってそれほど容易には閉塞されないRFチップの先端の周縁部に吸引を提供する1つ以上の経路からなる。
【0005】
周辺吸引流路の概念は、多くの旧来型装置に組み込まれている。例えば、一次吸引開口部(14a)と、追加の吸引チャネルを形成するアクティブ(活性)電極(14)と絶縁部材(16)との間のギャップ(25)とを有する電気外科用器具が記載された、国際公開第2009/019426号パンフレットを参照されたい。しかしながら、この国際公開第2009/019426号パンフレットの周辺吸引チャネルは、絶縁部材とアクティブ電極との間のギャップであり、一次吸引開口(14a)を吸引管腔(lumen、内腔、ルーメン)(22)に接続する一次吸引チャネルを経由することなく、吸引管腔(22)への直接の経路を提供する。この構成が反対側のRFシェーバ(shaver、剃刀)器具に実装された場合、以下でより詳細に説明するように、シェービング機能を使用するときに吸引圧力が大幅に低下し、優先的なRFトラッキングにネガティブな影響を与えることになる。
【0006】
「一次」吸引流と周辺吸引流路との間の違いは、周辺吸引が典型的にはチップ周辺の周りにあり、側部/下から生理食塩水を引き抜くことである。したがって、一次吸引の穴が組織にかみ合っている場合であっても、周辺の穴によって維持される吸引流量が依然として存在し、したがって、チップを冷却し、正面を向いたメインの穴が遮断されている間も、生理食塩水が流れ続けることを保証する。
【0007】
従来技術の器具の問題は、以下に説明するように、反対側のRFシェーバ内では、一次吸引及び周辺吸引のための旧来の構成がほとんど実施不可能であることである。
【0008】
反対側のRFシェーバ構成では、2つの可能な吸引流路が存在する。1つはシェービングウィンドウを通り、1つはRFウィンドウを通る。RF側を使用している間は、シェービングウィンドウを通る流れを最小にし、シェービング機能を使用している間は、RFウィンドウを通る流れを最小にすることが好ましい。これは、利用可能な最大の生理食塩水吸引圧力及び流量が、作動中の吸引ウィンドウ(それがRFウィンドウであろうとシェービングウィンドウであろうと)を通って導かれることを保証する。シェーバ吸引ウィンドウは、好ましくはRF作動中に閉じることができ、これは、(図3に図示されているように)歯がウィンドウを閉じるように重なった状態で、内側ブレードを静止状態に保つことで行われる。シェービング中にRF吸引ウィンドウを閉じることは、別個の機械的作動を必要とするため、容易には実行できない。このため、利用可能な吸引圧力の不足によってシェーブ機能が大きく妨げられることがないように、RFウィンドウの数とサイズをできるだけ小さくすることが好ましい。利用可能な吸引圧力の不足は、RFチップの過熱及び/又は手術部位の(気泡及び/又は組織片による可能性がある)視認性不良といった望ましくない結果をもたらし得る。上で引用した従来技術の例(国際公開第2009/019426号パンフレット)に戻ると、ここに開示された周辺吸引流路は、RFウィンドウの表面積を増加させ、その結果、利用可能な吸引圧力が著しく減少することは明らかである。国際公開第2009/019426号パンフレットの構成が反対側のRFシェーバに適用された場合、シェービング機能は、上述の方法で利用可能な吸引圧力の不足によって妨げられるであろう。
【0009】
反対側のRFシェーバにおける別の問題は、組織に対する意図されたRF効果が、アクティブRF電極と遠位チップ表面の外側の優先リターン経路との間のチップの外面上で発生するように、優先的なRFトラッキング距離(preferential RF tracking distance)を制御することである。1つの構成では、内側ブレードがリターン経路として使用される外側シャフトに密着しているので、リターンアセンブリの一部をも形成する。したがって、かなりの量のRFエネルギーがアクティブチップから内部で吸引穴を通過せず、内側ブレード又は外側ブレードの内面を主要なリターン経路として使用することを確実にする構成が必要である。これは、遠位チップアセンブリ内でプラズマが生成される可能性があるからである。このプラズマは、有用な目的を形成せず、装置(デバイス)のRF効率に悪影響を及ぼす。また、意図しない加熱や、内側のブレードエッジを含むチップの全体的な劣化を引き起こし、シェービング性能にも影響を与える可能性がある。上述したように、国際公開第2009/019426号パンフレットの周辺吸引チャネル(25)は、絶縁部材とアクティブ電極との間のギャップであり、一次吸引開口部(14a)を吸引管腔(22)に接続する一次吸引チャネルを経由することなく、吸引管腔(22)への直接経路を提供する。これにより、RFエネルギーが、ギャップ(25)を介してアクティブチップから内側ブレードに通過することになる。
【0010】
吸引力の損失や内部トラッキング距離の低下によってシェービング性能に悪影響を及ぼすことなく、周辺吸引の機会を提供する構成が必要である。
【発明の概要】
【0011】
本発明の実施の形態は、アクティブ電極に送られる吸引圧力を実質的に低下させることなく、周辺吸引口を有する電気外科用器具のためのエンドエフェクタを提供することによって、上述の問題に対する解決策を提供する。本発明の実施の形態は、一次流体チャネルへの代替アクセスポイントを提供する、追加の(周辺)流体チャネルを生成することによって、これを達成する。周辺吸引口は管腔に接続する独立した流体チャネルを有さず、代わりに、一次吸引口を迂回するが一次流体チャネルには接続する小さな流体チャネルを有する。使用時に、一次吸引開口部が閉塞された場合には、周辺吸引口を使用してエンドエフェクタに吸引力を提供することができる。さらに、本明細書に記載される実施の形態は、遠位チップアセンブリ内に望ましくないプラズマが生じるであろう、アクティブチップから内側ブレードへのより短いRF経路を提供しないように成形され且つ配置される。エンドエフェクタは、組織の機械的切断、及び電気外科的アブレーション、シーリング及び/又は組織の凝固を含む、異なる動作が可能である。
【0012】
本発明の一実施の形態では、チップ及びリテーナを絶縁材料内の所定の位置に保持するために、アクティブチップに接合されたリテーナに凹部が形成される。この凹部は、リテーナの底部の切り欠きである。この凹部は、流体がアクティブチップ及びリテーナの下、及び一次吸引チャネルに流れ込み、一次吸引開口部を迂回することを可能にする。
【0013】
本発明のさらなる実施の形態では、リテーナとアクティブチップとが出会う場所に凹部が形成される。凹部は、流体がアクティブチップ/リテーナ構成要素(component、部品)を通って、一次吸引チャネルに流れ込み、一次吸引開口を迂回することを可能にする。
【0014】
本発明のさらなる実施の形態では、アクティブチップ構成要素に凹部が形成される。凹部は、流体がアクティブチップを通って一次吸引チャネルに直線的に流れ込み、一次吸引開口を迂回することを可能にする。
【0015】
本発明のさらなる実施の形態では、リテーナ構成要素に凹部が形成される。凹部は、流体がリテーナを通って一次吸引チャネルに流れ込み、一次吸引開口部を迂回することを可能にする。
【0016】
本発明のさらなる実施の形態では、絶縁材料のアクティブチップ/リテーナ構成要素が保持される部分に凹部が形成される。凹部は、流体がアクティブチップ及びリテーナの下を通って一次吸引チャネルに流れ込み、一次吸引開口部を迂回することを可能にする。この実施の形態では、リテーナ構成要素又はアクティブチップのいずれにも凹部は必要とされない。
【0017】
上述の実施の形態の追加の流体チャネルのいずれも、使用中に任意の数の方向から流体を受け取るように、一次吸引開口部の周りに配置することができる。
【0018】
上記に鑑みて、一態様から、本発明は電気外科用器具のエンドエフェクタを提供するものであって、このエンドエフェクタは、絶縁材料に受け入れられるアクティブ電極であって、前記アクティブ電極は、前記アクティブ電極から前記絶縁材料を通って管腔まで延びる一次流体(吸引)チャネルへのアクセスを提供する一次吸引開口部を含み、前記管腔は、使用時における手術部位からの流体を運ぶように配置される、前記アクティブ電極と、前記アクティブ電極から前記一次流体チャネルへの代替的なアクセスを提供する少なくとも1つの追加の流体チャネルであって、前記少なくとも1つの追加の流体チャネルは、前記一次吸引開口部を迂回する、前記少なくとも1つの追加の流体チャネルと、を含むものである。
【0019】
このような構成は、吸引圧力を大幅に低下させたり、吸引穴を介したアクティブチップからリターン電極までのより短いRF経路を提供したりすることなく、使用中に閉塞される可能性がある一次吸引口に代替の吸引口を提供することによって、従来技術の知られたRFシェーバ構成を改善する。このリターン電極は、内側ブレード又は外側ブレード構成要素の内面であってよい。
【0020】
アクティブ電極は、絶縁材料の凹部内に受け入れられてよい。これは、アクティブ電極及び絶縁材料が、アクティブ電極が絶縁材料の凹部にしっかりと保持されるように適合するように形成できるので有利である。これは、アクティブ電極及びリテーナ構成要素を接合プロセス(例えば、レーザ溶接)で固定して、絶縁体内にインターロック(interlock、連結)を作ることによって達成される。
【0021】
少なくとも1つの追加の流体チャネルは、アクティブ電極と絶縁材料との間の一次流体チャネルに接続してよい。これは、追加の流体チャネルが一次流体開口部を迂回しながら一次流体チャネルに接続するのに便利な位置であり、有利である。この接続点が一次吸引チャネルの頂部付近にあるので、追加の流体チャネルは、アクティブ電極からリターン電極へのより短いRF経路を生成しない。この接続点が一次吸引チャネルのさらに下方にあると、これはアクティブ電極とリターン電極との間により短いRF経路を生成する可能性があり、これは上述した理由のために望ましくない。
【0022】
アクティブ電極は、少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部を形成するための凹部を有する可能性がある。少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部は、アクティブ電極を通って流れてもよい。
【0023】
絶縁材料は、少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部を形成する凹部を有していてよい。これは、アクティブ電極及び/又は任意のリテーナ構成要素に凹部を有することが望ましくない場合に有利であり得る。
【0024】
エンドエフェクタは、アクティブ電極を所定の位置に保持するためのリテーナをさらに含むことができる。これは、リテーナ構成要素が絶縁材料内に保持されるアクティブ電極の安全性を高めることができるため有利である。リテーナは、少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部を形成するための凹部を有していてよい。これは、アクティブ電極及び/又は絶縁材料が凹部を有することが望ましくない場合に有利であり得る。少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部は、リテーナを通って流れてよい。リテーナの凹部は、リテーナの基部に形成することができる。少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部は、アクティブ電極及びリテーナの両方の下を流れてよい。少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部は、リテーナと絶縁材料との間を流れてよい。
【0025】
アクティブ電極とリテーナの両方は、少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部を形成するための凹部を有していてよい。少なくとも1つの追加の流体チャネルの一部は、リテーナとアクティブ電極との間を流れてよい。
【0026】
エンドエフェクタは、複数の追加の流体チャネルを含むことができる。これは、一次吸引開口部及び1つの追加の流体チャネルへの開口が閉塞された場合に、利用可能なさらなる追加の流体チャネルへの追加の開口部が存在するようになり有利である。吸引口のためのより多くのオプションを有することは、吸引が、使用中に高温のRFチップの上に低温の生理食塩水を引き込むことによってRFチップを冷却することができ、切除された組織片を手術部位から除去するのを助け、関節の視認性を改善するために気泡を除去することができ、チップでのプラズマの形成にポジティブな効果を有するので、有利である。
【0027】
エンドエフェクタは、回転式シェーバ構成をさらに含むことができる。回転式シェーバ構成は、外側シャフトによって同心円状に囲まれた回転可能な内側シェーバブレードを含んでいてよい。
【0028】
管腔は、リターン電極として作用する外側シャフトによって同心円状に包囲された、回転可能な内側シェーバブレードによって画定されてよい。
【0029】
アクティブ電極の表面は、実質的に(approximately、ほぼ)矩形状であってよい。アクティブ電極は金属から形成されてもよく、好ましくはこの金属が、銅、ステンレス鋼、タングステン、又はタングステンと白金との合金のいずれかであってよい。絶縁材料は、セラミックから形成されてよい。
【0030】
本開示の別の態様は、ハンドピースと、器具を制御するハンドピース上の1つ以上のユーザ操作可能なボタンと、RF電気接続部を有する動作シャフト及びエンドエフェクタのための駆動構成要素と、上述したエンドエフェクタと、回転式シェーバを駆動して使用中に動作させるために駆動構成要素に動作可能に接続されている回転式シェーバ構成と、RF電気接続部に接続されアクティブ電極と、を含む電気外科用器具を提供する。
【0031】
さらに別の態様は、RF電気外科用ジェネレータと、吸引源と、上記態様に記載されるような電気外科用器具とを含み、使用時に、RF電気外科用ジェネレータがRF電気接続を介してアクティブ電極にRF凝固又はアブレーション信号を供給するような構成を含む電気外科的(用)システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
ここで、本発明の実施の形態を、単に例として、添付の図面を参照してさらに説明するが、同様の参照番号は同様の部分を指す。
【0033】
図1】本発明に係る電気外科用器具を含む電気外科用システムの一例を示した図である。
図2】RF電気外科用器具の一例を示した図である。
図3】反対側のRFシェーバ(周辺吸引なし)の最新設計の断面斜視図である。
図4】本発明に係る装置を示す断面図であって、チップリテーナが基部に切り欠きを有するものを示す図である。
図5】本発明に係る装置を示す断面図であって、チップリテーナ及び/又はアクティブチップが嵌合部分に切り欠きを有するものを示す図である。
図6】本発明に係る装置を示す断面図であって、アクティブチップ及び/又はチップリテーナの構成要素が貫通孔(両方の孔が示されている)を有するものを示す図である。
図7】本発明に係る装置を示す断面図であって、セラミックが流体の流れのために基部に凹部を有するものを示す図である。
図8】本発明に係る装置を示す平面図であって、この例では、図4にも示される実施の形態が示される。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施の形態は、内部RFトラッキング距離に違反するであろうセラミックを通る追加の吸引穴を生成することなく、生理食塩水がチップの周囲を通過し、チップを周回あるいは通過することを可能にするために、チップを保持する構成要素、アクティブなチップの構成要素、ワンピース(1つ)のアクティブなチップ、又はセラミック構成要素のいずれかの修正を含む。また、この解決策は必要以上に、追加の穴又はより大きな穴を介して全体的な流量を増加させてはならない。これらの溶液は一次吸引穴が接触するターゲット組織によって閉塞された場合、流れをリダイレクト(再指向、再案内)する。
【0035】
これは、以下の方法で達成することができる。
1.基部に切り欠きを有するチップリテーナ。
2.チップリテーナ、ワンピースのアクティブなチップ、又はアクティブチップは、単体で嵌合部分に切り欠きを有する。
3.スルーホール付きのアクティブなチップ又はチップリテーナ構成要素。
4.ベースに流体を流すための凹部があるセラミック。
【0036】
上記の4つの概念は、組織に対する吸引/閉塞(目詰まり)性能、必要な吸引効果を提供するために必要な流速、及び製造可能性の制約によって導かれる可能性が高い任意の数の順列(permutation、配列)で組み合わせることができる。上記のコンセプト(概念)は、図面を参照して以下により詳細に説明される。
【0037】
図1は、接続コード4を介して電気外科用器具3のための高周波(radio frequency、RF)出力を供給する、出力ソケット2を有する電気外科用ジェネレータ(generator、発電機)1を含む電気外科用装置を示す。器具3は、吸引源10に接続された吸引チューブ14を有する。ジェネレータ1の作動は、器具3から器具3上のハンドスイッチ(図示せず)を介して、又はフットスイッチ接続コード6によってジェネレータ1の後部に別個に接続されたフットスイッチユニット5によって実行されてもよい。図示の実施の形態では、フットスイッチユニット5がジェネレータ1の凝固モード又は切断又は気化(アブレーション)モードをそれぞれ選択するための2つのフットスイッチ7及び8を有する。ジェネレータの前面パネルは、ディスプレイ11に示されるアブレーション(切断)又は凝固出力レベルをそれぞれ設定するための押しボタン9及び10を有する。押しボタン12は、アブレーション(切断)モードと凝固モードとの間の選択のための代替手段として提供される。
【0038】
図2は、電気外科用器具3のRF側の例をより詳細に示す。電気外科用器具3のRF側は、セラミック絶縁体22内に収容された組織治療用のアクティブ電極(「アクティブチップ」)20を含む電極アセンブリを備える。アクティブチップ20には、これらの位置に電界(electric field、電場)を集中させるための突起24が設けられている。この突起24はまた、アクティブ電極20の平坦な表面と治療されるべき組織との間に小さな分離(separation、隔たり)を作り出すように働く。これは、導電性流体が平坦な表面上を循環することを可能にし、電極又は組織の過熱を回避する。器具のアクティブチップ20には、リターン電極(戻り電極)として作用し得る外側シャフト28内の管腔(図示せず)に延びる一次流体チャネル(図示せず)への開口である、一次吸引開口部26が設けられている。管腔は吸引開口部26を吸引ポンプ10に接続し、流体をアクティブチップ20からポンプ10に送る。管腔はまた、アクティブ電極20をジェネレータ1に電気的に接続するための手段を構成する。電気外科用器具の反対側のシェーバ側は、図2には示されていない。
【0039】
導電性材料はアクティブ電極チップ20を形成するのに適した任意の材料、例えば、銅又はステンレス鋼、タングステン、あるいはタングステンと白金の合金といった金属であってよい。
【0040】
図3は、本発明の周辺吸引を行わない反対側のRFシェーバ電気外科用器具3の断面を示す。ラインbbは、より短い優先RFトラッキング経路を示す。ラインcc1は、一次吸引チャネル30を通って内側ブレードエッジまでの、より長く、意図しないトラッキング経路を示す。ラインcc2は、一次吸引チャネル30を通って外側ブレード32までの、より長く、意図しないトラッキング経路を示す。外側ブレード32は一次リターン経路であり、一方、内側ブレード34は外側に密着しているため、偶然のリターン(coincidental return)である。いくつかの例では、内側ブレードは絶縁材料(例えば、絶縁鋼、又は完全なセラミック)から作製することができ、この場合、内側ブレード34は、リターン経路として作用しない。矢印aはRF使用中の(すなわち、一次吸引チャネル30を通る)生理食塩水の吸引経路を示す。電気外科用器具3は、リターン電極として作用する外側シャフト28を含み、外側シャフト28は切断歯32を有する。この器具はまた、切断歯36を有する内側シェーバブレード34を備える。外側シャフト28と内側シャフト34とは、切断歯32、36が切断ウィンドウ38を構成するように同心円状に配置されている。シェーバ構成要素(すなわち、内側ブレード及び外側ブレード)が使用中である場合、内側シェーバブレード34は、内側歯36及び外側歯32が組織を切断するように回転する。図3では、シェーバの構成要素は使用されておらず、切断ウィンドウ38は閉じられている。内側シェーバブレード34は、アクティブチップ20から流体を運ぶ管腔40を画定する。外側シャフトに接続されているのは、外側シャフトリターン経路28からアクティブチップ20を絶縁する絶縁構成要素22である。この絶縁材料22は、例えば、アルミナ、ジルコニア強化アルミナ(zirconia toughened alumina、ZTA)、イットリア安定化ジルコニア(yttria stabilized zirconia、YTZP)等のセラミック材料とすることができる。アクティブチップ20は、(図3に示すように)リテーナ42によって所定の位置に保持され得る。リテーナ42とアクティブチップ20とが出会う場所は、嵌合部分44と呼ばれる。あるいはアクティブチップ20及びリテーナ42は、単一の構成要素(「ワンピースチップ」)として形成されてもよい。一次吸引チャネル30は、アクティブチップ20の表面からアクティブチップ20及び絶縁材料22を通って管腔40まで延在する。一次吸引チャネル26の開口部は、アクティブチップ20の表面(「一次吸引開口部」)上に位置する。一次吸引開口部26は、アクティブチップ20の中央に配置されてよく、あるいは片側にオフセットされてもよい。絶縁材料22は、リテーナ42が位置決めされる凹部46を備える。凹部46は、外側リップ48及び内側リップ50によって画定される。リテーナ42の上部では、アクティブチップ20が絶縁材料22の外側リップ48の上方に延びるように、アクティブチップ20が所定の位置に保持される。ワンピースチップの場合、アクティブチップ20は、絶縁材料22の凹部46内に直接配置される。一次吸引チャネル30は、2つの内側リップ50の間を一次吸引開口部26から管腔40まで直接延びている。管腔40は、(図1に示すように)吸引チューブ14を介して吸引源10に接続される。
【0041】
本明細書に記載される本発明の実施の形態では、追加の(周辺の)流体流路は、絶縁材料22内の凹部46(絶縁材料22の外側リップ48とアクティブチップ20/リテーナ42との間)に流下し、リテーナ42/アクティブチップ20の下、又はそれを通って、凹部46(絶縁材料22の内側リップ50とアクティブチップ20/リテーナ42との間)から出る。この時点で、追加の流体流路は一次吸引チャネル30と接続し、したがって、流体は次に、一次吸引チャネル30を介して管腔40まで下方に流れることができる。
【0042】
以下に説明する図4図7は、上述の図3と同様であるが、追加の流体流路に関する変形例を示す本発明の実施の形態を示す。
【0043】
図4は、本発明に係る一実施の形態の断面図であり、チップリテーナ42は、リテーナ42と絶縁材料22との間に追加の流体流路dを可能にする基部に凹部52を有するものを示す。
【0044】
図4において、アクティブチップ20は、リテーナ42によって絶縁材料22内の所定の位置に保持される。リテーナ42はそのベースに切り欠き52(又は「凹部」)を有し、リテーナ42と絶縁材料22との間に、リテーナ42/アクティブチップ20構成要素の下を流れる追加の流体流路dのための空間を提供する。これにより、流体はアクティブチップ20の外縁から、アクティブチップ20及びリテーナ42の下(ただし、絶縁材料22の上)を流れ、一次吸引開口部26を迂回(バイパス)して、管腔40に接続された一次吸引チャネル30に合流することができる。
【0045】
図5は、本発明に係る一実施の形態の断面図であり、(図4に関して上述したように)チップリテーナ42及びアクティブチップ20の両方は、それらが出会う場所に(すなわち、「嵌合部分」44に)凹部54を有するものを示す。これにより、リテーナ42とアクティブチップ20との間に流体流路eが形成される。代替的に、凹部54はチップリテーナ42のみに、又はアクティブチップ20のみに形成することができる。
【0046】
図5において、リテーナ42は、アクティブチップ20を所定の位置に保持するために使用される。リテーナ42がアクティブチップ20と接続する位置は、嵌合部分44として知られている。追加の流体流チャネルeのための空間を提供するための切り欠き54(又は凹部)は、この嵌合部分44に配置される。これにより、追加の流体流路eは、絶縁材料22内の凹部46(絶縁材料22の外側リップ48とアクティブチップ20/リテーナ42との間)、及びリテーナ42とアクティブチップ20との間(嵌合部分44における切り欠き54を使用)に流下し、凹部46から(絶縁材料22の内側リップ50とアクティブチップ20/リテーナ42との間から)出ていくことが可能となる。この時点で、追加の流体流路eは一次吸引チャネル30と接続し、したがって、流体は一次吸引チャネル30を介して管腔40に流れ落ち、一次吸引開口部26を迂回することができる。
【0047】
代替的に、切り欠き54は嵌合部分44の上方に、すなわちアクティブチップ20の構成要素内にのみ形成することができる。これはより浅い形状の追加の流体流チャネルをもたらすことになる。すなわち、追加の流体流チャネルeは絶縁材料22内にそれほど深くは延在しないであろう。
【0048】
あるいは、切り欠き54が嵌合部分44の下方に、すなわちリテーナ42の構成要素にのみ形成することができる。これはより深い形状の追加の流体流チャネルをもたらすことになる。すなわち、追加の流体流チャネルeは絶縁材料22内により延在することになる。
【0049】
図5から、ワンピースチップ設計の場合(すなわち、チップリテーナ42及びアクティブチップ20が1つの構成要素である場合)に、同様の流体流路がどのように形成され得るかも明らかである。凹部54は、図5と同じ位置に形成することができるが、2つではなく1つのチップ構成要素を有する。この場合、アクティブチップ20はリテーナ42を用いて所定の位置に保持されず、代わりに、絶縁材料22の凹部46内に配置されたワンピースのアクティブチップ20であり、切り欠き54は、上述したのと同じ形状の付加的な流体流路eを与えるように、ワンピースのアクティブチップ20に形成され得る。
【0050】
図6は、本発明に係る一実施の形態の断面図であり、アクティブチップ20又はチップリテーナ42の構成要素が貫通穴を有するものを示す。図6は、2つのオプションを同時に示している。第1のオプションは、アクティブチップ20の凹部56である。この結果、流路fhは、アクティブチップ20を通って一次吸引チャネル30に直接延びる(矢印aによって示される流れ)。この場合、追加の流体流チャネルfhは、前述の実施の形態のように、絶縁材料22内の凹部46内において下方に延在しない。一次吸引開口部26は、アクティブチップ20の表面上に位置する。追加の流体流吸引チャネルfhは、アクティブチップ20を通って流れ、一次吸引開口部26の直下の一次吸引チャネル30に適合する。上述のように、追加の流体流路fhは一次吸引開口部26を迂回して一次吸引流路30と接続し、その結果、流体は、一次吸引流路30を介して管腔40に流れ落ちることができる。
【0051】
図6に示す第2のオプションは、チップリテーナ42に凹部58を有することである。これにより、流体流路fgは、絶縁材料22内の凹部46(絶縁材料22の外側リップ48とアクティブチップ20/リテーナ42との間)に流下し、リテーナ42の切り欠き58を通って、凹部46(絶縁材料22の内側リップ50とアクティブチップ20/リテーナ46との間)から出ていく。この時点で、追加の流体流路fgは再び、一次吸引開口部26を迂回して、一次吸引チャネル30と接続し、したがって、流体は、次に一次吸引チャネル30を介して管腔40に流れることができる。
【0052】
図7は、本発明に係る一実施の形態の断面図であり、絶縁材料22が、流体の流れのためにその基部に凹部60を有するものを示す。生理食塩水がチップリテーナ42又はワンピースチップ設計のいずれかの下で一次吸引チャネル30に流れることができるように、絶縁材料22に凹部60を形成することができる。この実施の形態では、アクティブチップ20及びリテーナ42(又はワンピースアクティブチップ)は、通常のように、いかなる凹部もなく形成される。その代わりに、リテーナ42/アクティブチップ20が保持される絶縁材料22の凹部46には、アクティブチップ20/リテーナ42の下に追加の流体流路kの一部を形成するために、追加の凹部60がベース内に形成される。これにより、追加の流体流路kは、絶縁材料22内の凹部46(絶縁材料22の外側リップ48とアクティブチップ20/リテーナ42との間)に流下し、リテーナ42/アクティブチップ20の下(絶縁材料22内の追加の凹部60を使用)に流れ込み、凹部46(絶縁材料22の内側リップ50とアクティブチップ20/リテーナ42との間)から出ていくことが可能となる。この時点で、追加の流体流路kは一次吸引チャネル30と接続し、したがって、流体は一次吸引チャネル30を介して管腔40に流れ込み、一次吸引開口部26を迂回することができる。
【0053】
図8は、図4図7では見えないいくつかの方法で、上述の実施の形態の各々を一次吸引開口部26の周りにどのように離間させることができるかを示す。図8は、図4に示す実施の形態に係る4つの周辺吸引チャネル経路62、64、66、68を示す構成を示しており、この構成は、上述の実施の形態のいずれにも適用することができる。任意の数の経路を作成できる。最終的な数は、実用性及び必要性に依存する。図7では、4つの追加チャネル62、64、66、68が一次吸引開口部26/チャネル30の周囲に配置されている。追加のチャネル62、64、66、68は、一次吸引チャネル30から等距離離れて位置しており、その結果、一次チャネル30の前方に1つの追加チャネル64があり、1つのチャネル68は後方に残り、1つのチャネル62は左側に残り、1つのチャネル66は右側に残る。追加のチャネルの位置及び数は明らかに、個々の器具に適するように変更され得る。図8から、追加のチャネル62、64、66、68が一次吸引開口部26をバイパスすることも明らかである。上述の追加の流体チャネルd、e、fh、fg、又はkのいずれも、追加の流体チャネル62、64、66、68として任意の組合せで配置することができる。
【0054】
上述のように、図4図7に示す実施の形態は、組織に対する吸引/詰まり性能、必要な吸引効果を提供するために必要な流量、及び製造可能性の制約によって導かれる可能性が高い任意の数の順列に組み合わせることができる。
【0055】
追加、削除、又は置換のいずれによるかにかかわらず、上記の実施の形態に対する様々なさらなる修正は、追加の実施の形態を提供することが当業者には明らかであり、そのいずれか及び全ては、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】