(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040009
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】有限要素メッシュの修正方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/23 20200101AFI20220303BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20220303BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20220303BHJP
G06T 19/20 20110101ALI20220303BHJP
【FI】
G06F30/23
G06F30/10 100
G06F30/20
G06T19/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021132970
(22)【出願日】2021-08-17
(31)【優先権主張番号】20193382
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520467176
【氏名又は名称】シーメンス インダストリー ソフトウェア エヌヴェ
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS INDUSTRY SOFTWARE NV
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ニランジャン ムケルジー
(72)【発明者】
【氏名】ジーン カベロ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン マケム
(72)【発明者】
【氏名】ワファ ダルドール
【テーマコード(参考)】
5B050
5B146
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA19
5B050CA00
5B146AA05
5B146DJ08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有限要素メッシュの修正を提供する。
【解決手段】再メッシュ化方法は、孤立メッシュ(IEPO)を提供することと、孤立メッシュの少なくとも一部を、孤立要素パッチ・オブジェクト(OEPO)として選択し、抽出することと、孤立要素パッチ・オブジェクト上の面を、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面(FOMF)として生成することと、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面と、少なくとも1つの変更されたメッシュ用パラメータ(CMPR)とに基づいて、新しいメッシュ・パッチ要素(NMPE)を生成することと、を含む変更されたメッシュ用パラメータは、対応する孤立メッシュとは異なる新しいメッシュ・パッチ要素を生成するために割り当てられ、方法はさらに、新しいメッシュ・パッチ要素によって、孤立メッシュの孤立要素パッチ・オブジェクトを置き換えることで、修正された孤立メッシュ(AOM)を生成することを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有限要素メッシュを修正するための、コンピュータを用いて実施される方法であって、
当初入力の孤立メッシュ(IEPO)を提供することと、
前記当初入力の孤立メッシュ(IEPO)の少なくとも一部を、孤立要素パッチ・オブジェクト(OEPO)として選択し、抽出することと、
前記孤立要素パッチ・オブジェクト(OEPO)上の面を、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面(FOMF)として生成することと、
前記メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面(FOMF)と、少なくとも1つの変更されたメッシュ用パラメータ(CMPR)とに基づいて、新しいメッシュ・パッチ要素(NMPE)を生成することであって、この際、前記変更されたメッシュ用パラメータ(CMPR)は、対応する前記当初入力の孤立メッシュ(IEPO)とは異なる新しいメッシュ・パッチ要素(NMPE)を生成するために割り当てられることと、
前記新しいメッシュ・パッチ要素(NMPE)によって、前記当初入力の孤立メッシュ(IEPO)の前記孤立要素パッチ・オブジェクト(OEPO)を置き換えることで、修正された孤立メッシュ(AOM)を生成することと、
を含む方法。
【請求項2】
さらに、コンピュータを用いて実施されて、有限要素メッシュを生成し、
さらに、前記当初入力の孤立メッシュ(IEPO)を提供するステップの前に、
部品のジオメトリ・モデル(GEOM)を提供することと、
前記ジオメトリ・モデル(GEOM)に基づいて、当初のメッシュ(ORM)を生成することと、
前記当初入力の孤立メッシュ(IEPO)として、前記ジオメトリ・モデル(GEOM)から前記当初のメッシュ(ORM)を分離することと、
を含み、
さらに、前記修正された孤立メッシュ(AOM)を生成するステップの後に、
前記修正された孤立メッシュ(AOM)を適用して有限要素の計算を実行することで、少なくとも1つの計算結果(CART)を生成すること、
を含む、
請求項1に記載のコンピュータを用いて実施される方法。
【請求項3】
新しいメッシュ(NWM)を適用することで有限要素の計算を実行するステップの後に、
前記少なくとも1つの計算結果(CART)を後処理(PSPC)することを含む、
請求項2に記載のコンピュータを用いて実施される方法。
【請求項4】
さらに、設計仕様(DSPC)に従って部品(CMPT)を生成し、
前記少なくとも1つの計算結果(CART)を後処理するステップの後に、
a)
a.前記メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面(FOMF)と、
b.少なくとも1つの前記変更されたメッシュ用パラメータ(CMPR)と、
に基いて、新しいメッシュ・パッチ要素(NMPE)を生成することと、
b)前記新しいメッシュ・パッチ要素(NMPE)によって、前記当初入力の孤立メッシュ(IEPO)の前記孤立要素パッチ・オブジェクト(OEPO)を置き換えることで、修正された孤立メッシュ(AOM)を生成することと、
の繰り返しが、前記設計仕様(DSPC)に対してより良好な近似を得るために必要とされているのかを評価して、
適用可能な場合には、前記ステップa)、b)を繰り返して、
前記設計仕様(DSPC)に基づいて前記部品(CMPT)を生成する、
請求項3に記載のコンピュータを用いて実施される方法。
【請求項5】
前記孤立要素パッチ・オブジェクト(OEPO)上の面を、前記メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面(FOMF)として生成するステップの前に、さらに、
前記孤立要素パッチ・オブジェクト(OEPO)の固定ノード(FRNO)を含む境界固定要素エッジ(BFEE)を受け取り、この際、前記新しいメッシュ・パッチ要素(NMPE)の生成中に、前記固定ノード(FRNO)を保持することによって、これらエッジ上に新しいノードが生成されないようにした、
請求項1から4のいずれか1項に記載のコンピュータを用いて実施される方法。
【請求項6】
前記孤立要素パッチ・オブジェクト(OEPO)上の面を、前記メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面(FOMF)として生成するステップの前に、さらに、
後続の方法のステップの間に空間的に固定されたものとして扱われる、前記当初入力の孤立メッシュ(IEPO)の要素エッジに対応する、入力特徴の要素エッジ(IFEE)を受け取る、
請求項1から5のいずれか1項に記載のコンピュータを用いて実施される方法。
【請求項7】
前記境界固定要素エッジ(BFEE)を受け取ることと、及び/又は、前記入力特徴の要素エッジ(IFEE)を受け取ることの、ステップでは、
ユーザ・インターフェース(UI)によって、前記境界固定要素エッジ(BFEE)、及び/又は、前記入力特徴の要素エッジ(IFEE)を提供することを含む、
請求項5又は6に記載のコンピュータを用いて実施される方法。
【請求項8】
前記孤立要素パッチ・オブジェクト(OEPO)上の面を、前記メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面(FOMF)として生成するステップは、さらに、
前記孤立要素パッチ・オブジェクト(OEPO)のメッシュ要素(MSEL)を、より小さい又はより大きいメッシュ要素(MSEL)に変えて、前記メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面(FOMF)として、前記孤立要素パッチ・オブジェクト(OEPO)上に面を生成するための基礎を形成する、
請求項1から7のいずれか1項に記載のコンピュータを用いて実施される方法。
【請求項9】
前記孤立要素パッチ・オブジェクト(OEPO)上の面を、前記メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面(FOMF)として生成するステップは、さらに、
前記メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面(FOMF)の特異点を識別するため、
前記メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面(FOMF)から、特徴として、領域を選択することと、
前記メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面(FOMF)の前記特徴に対して、各基準スコアを割り当てて、平面と隆起部と角部とを含む複数の特徴の種類の中から、第1の特徴の種類と第2の特徴の種類とを識別することと、
前記特徴に適用される少なくとも2つの各アルゴリズム基準スコアを計算することと、
前記基準スコアの重み付けの和として、前記特徴に対して割り当てられる合計スコアを決定することと、
前記合計スコアを所定のスコア閾値と比較して、前記合計スコアが閾値未満である場合には前記第1の特徴の種類を前記特徴に割り当てて、そうでない場合には、前記第2の特徴の種類を特徴に割り当てること、
を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のコンピュータを用いて実施される方法。
【請求項10】
コンピュータ・システム(CPSY)であって、
請求項1から9のいずれか1項に記載のコンピュータを用いて実施される方法のステップを実行するように構成された、コンピュータ・システム(CPSY)。
【請求項11】
実行可能命令を用いて符号化されたコンピュータ可読媒体であって、
実行されると、請求項1から9のいずれか1項に記載のコンピュータを用いて実施される方法を実行するように、請求項10に記載のコンピュータ・システムを実行させるように構成された、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、有限要素メッシュの修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの産業の工学解析では、失われたソース又は廃れたソースに起因する、レガシー・アナリス・データ(残余解析データ)が問題となっている。有限要素解析の分野では、そのような一般的なレガシー・データの1つとして、ジオメトリ(幾何学)から「孤立」した、完全又は部分的な、有限要素メッシュがある。このことは、そのメッシュが、当初に作成された親のジオメトリを失った、接続されたノードと要素(エレメント)の単なる集合であることを意味する。このような孤立した表面(サーフェス)メッシュの一般的な例として、自動車産業では、自動車のドアのアセンブリ・メッシュがある。この設計者は、多くの場合、軽微な特徴の修正及び/又は新規のメッシュの作成を行いながら、既存のモデルから自動車のドアを再利用している。
図1には、そのような自動車のドアCRDR(car door)の一例が示されている。この場合、既存のメッシュEXMS(existing mesh)を変更することができ、特に重要な、本来のジオメトリから孤立したものを再メッシュ(remesh)することがある。
図2には、自動車のドアCRDRの再メッシュされたメッシュRMMS(remeshed mesh)が例示されている。既存のメッシュを再メッシュする能力を備えることで、生産性を顕著に向上させて、設計サイクルを短縮することが可能になる。
【0003】
非特許文献1では、孤立メッシュ(orphaned meshes)について取り扱われている。孤立メッシュについては異なる用語、例えば、「幾何学的に分離したメッシュ(geometry-dissociated mesh)」又は「残余的な有限要素メッシュ(legacy finite element mesh)」等がある。
【0004】
非特許文献2では、孤立メッシュが取り扱われている。
【0005】
非特許文献3では、孤立メッシュが取り扱われている。
【0006】
非特許文献4では、幾何学的に分離した残余(レガシー)メッシュ上でのジオメトリの形成が公知となっている。
【0007】
非特許文献5及び非特許文献6では、すべて四角形のメッシュを局所的に向上させることと、複数のテンプレート・ベースのアルゴリズムが提案されている。
【0008】
非特許文献7及び非特許文献8では、四角形のメッシュの単純化が述べられている。
【0009】
非特許文献9では、CADの表面メッシュ用にC1とC2の不連続の識別が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】MUKHERJEE NILANJAN著、"A Hybrid, 1-11 Variational 3D Smoother for Orphaned Shell Meshes", (INTERNATIONAL MESHING ROUNDTABLE, XX, XX, 2002年9月15日, 379-390頁, XP002307517)
【非特許文献2】THILAKARATHNA P S M等著、"Understanding fracture mechanism and behaviour of ultra-high strength concrete using mesoscale modelling" (ENGINEERING FRACTURE MECHANICS, ELSEVIER, AMSTERDAM, NL, vol. 234,2020年5月24日, XP086177558, ISSN: 0013-7944, DOI: 10.1016/J.ENGFRACMECH.2020.107080)
【非特許文献3】BARRETT TIMOTHY J等著、"An automated 1-11 procedure for geometry creation and finite element mesh generation: Application to explicit grain structure models and machining distortion" (COMPUTATIONAL MATERIALS SCIENCE, vol. 141, 2017年10月5日, 269-281頁, XP085244425, ISSN: 0927-0256, DOI: 10.1016/ J.COMMATSCI.2017.09.048)
【非特許文献4】Basu, D., Cabello, J., Hancock, M.著、Abstraction on legacy finite element data ― re-meshing, surface generation and morphing, US National Congress on Computational Mechanics, Dearborn, 2001年
【非特許文献5】Schneiders, R.著、Refining Quadrilateral and Hexahedral Element Meshes. Numerical Grid Generation in Computational Field Simulations 1, 679―688 (1996年)
【非特許文献6】Parrish, M., Borden, M., Staten, M.L., Benzley, S.E.著、A Selective Approach to Conformal Refinement of Unstructured Hexahedral Finite Element Meshes. In: Proceedings of 16th International Meshing Roundtable,251―268頁(2007年)
【非特許文献7】Staten, M.L., Benzley, S.E., Scott, M.著、A Methodology for Quadrilateral Finite Element Mesh Coarsening; Engineering with Computers 24, 241―251 (2008年)
【非特許文献8】Staten, M.L, Woodbury, A.C, Benzley, S.E, Shepherd,, J.F著、Hexahedral finite element mesh coarsening using pillowing technique, US 8.194.068 B1 (2012年)
【非特許文献9】Xiangmin Jiao及びNarasimha R. Bayyana著、“College of Computing, Georgia Institute of Technology 266 Ferst Drive, Atlanta, GA 30332, USA” published in Computer-Aided Design, Volume 40, Issue 2,2008年2月,160-175頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の従前の仕方では、特徴と、多くのメッシュ制約との双方を同時に満足させながら、古いメッシュ上に新しいメッシュを生成できなかったという点で限界があった。一部の学術的及び商業的なコードでは、妥当な程度で、特徴に感応して、メッシュを再メッシュ化することを可能にしていたものの、複数のステップから行われていた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、特徴に感応し、制約を意識して、孤立要素バッチを再メッシュ化することに関する。本発明の好ましい適用分野は、以下の例がある。
a)当初のメッシュの大きさとは異なる大きさで、当初のメッシュの小さな局所的な区間又は領域を再メッシュすること。
b)異なるメッシュ化を用いて、トポロジー情報を持たない、モザイク化された(テッセレートされた)ジオメトリ(孤立した三角形のメッシュ)を再メッシュすること。
c)当初のメッシュには存在しない局所的なメッシュの制御又は特性を、既存のメッシュの区間に加えるように再メッシュすること。例えば、孔又は切り欠きの周囲の多層状のメッシュ、既存の多層状のメッシュの層の数を変更すること、関心のある局所的な領域中のメッシュの緻密化又は希薄化等の特性がある。
d)特徴の回復(再特徴付け)又は特徴の無視(特徴をなくすこと)のため、異なるメッシュの大きさで再メッシュすること。
e)新しい負荷と境界条件に適合するように、局所的な要素パッチ又は領域を再メッシュすること。
f)局所的な小さなメッシュの更新を生成するために、変更されたジオメトリの近くで、局所廷な要素パッチを再メッシュすること。
【0013】
従来、上記の要件は、新しいメッシュ定義を用いて、当初のメッシュを削除して、当初のジオメトリ上で再メッシュすることで対応することがあった。この従来の仕方では、メッシュが孤立する場合、再メッシュの根拠となるジオメトリが不在のため、限界があった。本発明の内容では、「孤立する(orphaned)」とは、それぞれのメッシュが、基本的に、当初に作成された親のジオメトリを喪失した、ノードと要素との接続された集合だけを意味する。表面(面)メッシュは、しばしば、連続的なジオメトリ・モデルを伴わない表面メッシュとして与えられ、例えば、ステレオリソグラフィ(STL)メッシュ、又は動的な数値シミュレーションの解から求められたメッシュとして与えられることがある。従って、本発明では、孤立パッチ上で再メッシュすることは、次の2つの目的に寄与する。一つは、当初つくられたものに出来る限り近づけるように、新しい仮想的なジオメトリの推測に基づいた推定を介した再形成であり、もう一つは、修正した、又は完全に新しいメッシュ定義に基づいて、その上に新しいメッシュを生成することである。これらすべては、単一のステップで行われるため、強力な機能を提供できる。従前の調査では、特徴と、多くのメッシュ制約との双方を同時に満足させながら、古いメッシュ上に新しいメッシュを生成できなかったという点で限界があった。一部の学術的及び商業的なコードでは、妥当な程度で、特徴に感応して、メッシュを再メッシュ化することを可能にしていたものの、複数のステップから行われていた。さらに、孤立メッシュ上で、制約を意識してメッシュを生成することは、これまで知られていなかった。
【0014】
上記課題は、独立請求項に記載の発明によって解決される。従属請求項は、好適な実施形態に関連している。
【0015】
本明細書で開示された様々な実施形態には、後述のように本発明を可能にするために使用可能な方法とコンピュータ・システムとが含まれる。
【0016】
本発明は、コンピュータを用いて実施される方法であって、有限要素メッシュを修正する方法を提供する。本発明に係る方法は、当初入力の孤立メッシュを提供することを含む。この当初入力の孤立メッシュは、有限要素メッシュであって、完全又は部分的に、当初作成された親ジオメトリから孤立したものである。
【0017】
さらに、本発明に係る方法は、当初入力の孤立メッシュの少なくとも一部を、孤立要素パッチ・オブジェクトとして選択して、抽出することを含む。この方法は、完全な当初入力の孤立メッシュの再メッシュ化を可能にし、例えば、完全な当初入力の孤立メッシュを、孤立要素パッチ・オブジェクトとして選択する。
【0018】
好適な実施形態では、後続の方法のステップの最中に、空間的に固定されたものとして取り扱われる、当初入力の孤立メッシュの要素エッジに相当する、入力特徴の要素エッジを受け取ることができる。
【0019】
好適な実施形態では、孤立要素パッチ・オブジェクトの固定ノード(フローズン・ノード)を含む境界固定要素エッジを受け取ることができ、その際、新しいメッシュ・パッチ要素の上記生成の最中に上記固定ノードが保持されて、これらエッジ上に新しいノードが生成されないようにする。
【0020】
好適な実施形態では、境界固定要素エッジ及び/又は入力特徴要素エッジは、ユーザ・インターフェースによって提供することができ、例えば、グラフィカル・ユーザ・インターフェースによって提供することができる。
【0021】
本発明に係る方法では、さらに、孤立要素パッチ・オブジェクト上の面を、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面として生成すことを含む。このことは、好適には、孤立要素パッチ・オブジェクトから、メッシュ・オブジェクト・ポリゴン上の面を生成することによって行うことができる。
【0022】
好適な実施形態では、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面、好ましくは、メッシュ・オブジェクト・ポリゴン上の面は、3D(3次元)ジオメトリから2D(2次元)ジオメトリへと平坦化することができる。
【0023】
他の好適な実施形態では、3D表面上に直接的に表面メッシュを生成することができる(3D表面とは、全てのノードが、3つの座標を有することを意味し、例えばx、y、z座標を有する)。このことは、ノードの2Dパラメータ空間への平坦化の替わりでもよく、この際、全てのノードが局所的に3つの座標のみを有し、例えばu、v座標を有する。この場合、3Dジオメトリから2Dジオメトリへの平坦化が行われたとき、この手順は、好ましくは、生成された2Dメッシュを3Dに変換する後続のステップを含むことができ、これは、好ましくは、最終的な変換ステップでもよい。
【0024】
好適な実施形態では、孤立要素パッチ・オブジェクトのメッシュ要素は、より小さい又はより大きいメッシュ要素に変えることができ、これは、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面として、孤立要素・パッチ・オブジェクト上の面を生成するための基礎を形成する。
【0025】
好適な実施形態では、より小さいメッシュ要素に変更することは、四角形(四つの辺を有する)メッシュ要素を三角形(三つの辺を有する)メッシュ要素へと分割して、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面として、孤立要素パッチ・オブジェクト上に面を生成するための基礎を形成してもよい。
【0026】
さらに、本発明に係る方法では、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面と、少なくとも1つの変更されたメッシュ用パラメータとに基づいて、新しいメッシュ・パッチ要素を生成することを含み、この変更されたメッシュ用パラメータは、対応する当初入力の孤立メッシュとは異なる、新しいメッシュ・パッチ要素を生成するように割り当てられる。
【0027】
メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面は、「メタ・ジオメトリ(meta-geometry)」として捉えることができる。用語「メタ・ジオメトリ」とは、コンピュータ支援設計(CAD)での完全に揃ったジオメトリとしてではなく、後続のメッシュ化の目的のためにのみ生成された中間ジオメトリとして理解することができる。
【0028】
本発明に係る他の好適な実施形態では、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面を提供する際、上記メタ・ジオメトリは、ユーザに対して、例えば、選択的にジオメトリを修正するために、ファセット(小面)又は個々のジオメトリとして、出力又は提供されてもよい。
【0029】
さらに、本発明に係る方法は、当初入力の孤立メッシュのうちの孤立要素パッチ・オブジェクトを、新しいメッシュ・パッチ要素によって置き換えることで、修正された孤立メッシュを生成することを含む。
【0030】
本発明に係る好適な実施形態では、コンピュータを用いて実施される有限要素のメッシュ生成方法が提供されるが、それは本発明に係る方法を含み、さらに、当初入力の孤立メッシュを提供するステップが実行される前に、以下が実施される。
部品又はコンポーネントのジオメトリ(幾何学的)モデルを提供することと、
ジオメトリ・モデルに基づいて、当初のメッシュ(オリジナル・メッシュ)を生成することと、
当初入力の孤立メッシュが提供されるように、ジオメトリ・モデルから当初のメッシュを分離すること。
【0031】
本発明に係る好適な実施形態では、コンピュータを用いて実施される有限要素のメッシュ生成方法が提供されるが、それは本発明に係る方法を含み、さらに、修正された孤立メッシュを生成するステップが実行される後に、以下が実施される。
修正された孤立メッシュを適用することによって、有限要素の計算を実行して、少なくとも1つの計算結果を生成すること。
【0032】
本発明に係る好適な実施形態では、上記のコンピュータを用いて実施される有限要素のメッシュ生成方法を提供する際、新しいメッシュを適用することによって有限要素の計算を実行するステップの後に、少なくとも1つの計算結果を後処理することを含む。この後処理では、上記有限要素法の計算の計算出力のそれぞれの詳細で複雑な計算結果を、ユーザが容易に理解できるフォーマットに変換することを含むことができる。このことは、グラフィカル・イラストレーション(絵)、テーブル(表)、テキスト・レポート(文字)、及び/又はこれらの組合せを含むことができる。これらの後処理の出力は、工学的判断又は解析に使用されてもよい。例えば、FEM(有限要素法)モデルの妥当性/機能性チェックの一部として、又は結果を報告するために、又は任意の種類の計算/FEM解析の結果提示のために使用されてもよい。
【0033】
本発明に係る好適な実施形態では、設計仕様に従って部品(コンポーネント)を生成する方法が提供され、それは本発明に係る方法を含み、さらに、少なくとも1つの計算結果の後処理のステップの後、以下が実施される。
a.メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面と、少なくとも1つの変更されたメッシュ用パラメータとに基づいて、新しいメッシュ・パッチ要素を生成することと、
b.新しいメッシュ・パッチ要素によって、当初入力の孤立メッシュのうちの孤立要素パッチ・オブジェクトを置き換えることで、修正された孤立メッシュを生成することと、
のこれらの繰り返しが、設計仕様のより良好な近似値を得るために必要とされているのかを評価して、
適用可能な場合には、ステップa、bを繰り返して、
設計仕様に基づいて、部品を生成する。
【0034】
本明細書では、「適用可能な場合には、ステップa、bを繰り返す」という記載は、「・・・の繰り返しを評価すること」を指し、そして、設計仕様を満たす基準(すなわち、設計基準に適合する基準)とは、例えば、上記基準を閾値と比較することで評価してもよく、設計仕様を満たさない場合、上記繰り返しを実行し、そうでなければ、上記繰り返しを実行しなくてもよいことを意味する。
【0035】
他の好適な実施形態では、以下のステップを含む。
メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面として、孤立要素パッチ・オブジェクト上に面を生成することは、
メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面の特異性を識別することを含み、さらに以下のステップを含む。
メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面から、特徴として、領域を選択することと、
メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面の上記特徴に対してそれぞれ基準スコアを割り当てて、平面、隆起部(リッジ)、角部(コーナ)を含む複数の特徴の中から、第1の特徴の種類と第2の特徴の種類とを識別することと、
特徴に適用される少なくとも2つの各アルゴリズム基準スコアを計算することと、
上記特徴に割り当てられた合計スコアを、上記基準スコアの重み付けの和として決定することと、
合計スコアを所定のスコア閾値と比較して、合計スコアが閾値未満の場合には、上記第1の特徴タイプを特徴に割り当て、そうでなければ、第2の特徴タイプを割り当てること。
【0036】
特徴に適用される少なくとも2つの各アルゴリズム基準スコアを計算するための好適な実施形態の一例は、以下のステップを含む。
a.固有ベクトルE
3、E
2、E
1を有する固有値
【数1】
について各頂点で中間2次式を解くこと。
【数2】
ここで、xは、3×1行列である。
Aは、3×3正規行列(対称的で、陽性の半確定的A
【数3】
)であり、この際、
【数4】
j =頂点Vを囲む要素、
N
jは、三角形jに対する単位法線ベクトル、
w
jは、三角形jの領域重さ、
bは、3×1行列であって、
【数5】
固有ベクトルE
3、E
2、E
1を有する固有値λ
1≧λ
2≧λ
3≧0(数1参照)について解き、次を出力する。
【数6】
b.各頂点に対して幾何学的特性を割り当てる。
i.上記頂点は、厳密に1つの大きな固有値が決定される場合には、平面である(平坦とは、すべての法線が同一であることを意味する、Aのランク1を意味する)
ii.上記頂点は、厳密に2つの大きな固有値が決定される場合には、隆起部(凸状部)である(Aは、2つの異なる法線方向を意味するランク2である)
iii.上記頂点は、3つの大きな固有値が決定される場合には、角部(コーナ)である(Aは、それぞれがフルのランクのランク3である)
【0037】
この方法は、固有値解析を用いて、各頂点で局所的に最小二乗問題を解く「中間の四角形」を用いる。この方法は、例えば、『X. Jiao, P. Alexander, Parallel feature-preserving mesh smoothing, in: Proc. Int. Conf. on Comput. Sci. and Appl., 2005年, 1180―1189頁』で説明されていて、上記のXiangmin Jiao及びNarasimha R. Bayyanaによる非特許文献9に記載されている。不連続部又は特異点の識別について引用された教示内容は、ここでは繰り返さないが、参照により本明細書中に組み込まれるものとする。
【0038】
特徴に適用される少なくとも2つのアルゴリズム基準スコアのうちの1つを計算するための他の好適な実施形態は、以下のステップのうち少なくとも1つを含む。
2面角の値に対して所定の基準スコアを割り当てるように、2面角の基準化。
2面角の小さな変動に対してより高いスコアを割り当てて、これらの小さな変動がそれぞれより好適にすること。
必要な変更を加えて、好適には、仮想的なエッジがギザギザでないこと。
必要な変更を加えて、好適には、隆起方向の変動を小さくすること(隆起方向が堅固であって、信頼性があり、かつ正確であると仮定する)。
【0039】
本発明は、コンピュータ・システムを用いて実施することができ、この際、当該コンピュータ・システムは、上記の特徴の任意の合理的な組み合わせに従って、コンピュータを用いて実施される方法の各ステップを実行するように構成される。
【0040】
本発明の別の好適な実施形態では、実行可能な命令を用いて符号化された、コンピュータ可読媒体に関し、当該媒体は、実行されると、上記コンピュータ・システムに対して、本発明に係る方法又はその方法の任意の好適な実施形態を実行させるように構成される。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ・プログラム製品と同義として考えることができる。
【0041】
以上、当業者が後述の詳細な説明について良好に理解できるように、本開示内容の技術的特徴について、比較的広めに概説した。本開示内容のさらなる特徴と長所については、以下に開示されて、特許請求の範囲の主題を形成する。当業者であれば、本開示内容の同一の目的を達成するための他の構造を修正又は設計するための基礎として、ここで開示された技術思想と特定の実施形態を利用できることを理解するであろう。また、当業者であれば、係る均等な構成は、その最も広い形態で、本開示内容の技術思想と範囲から逸脱しないことを理解するであろう。
【0042】
また、以下の詳細な説明を行う前に、特定の用語と語句についての様々な定義が本明細書中で提供されたが、当業者であれば、それらについて、定義された用語と語句の多くは、ほとんどではないにしても、先立つものだけでなく、将来的な使用においても適用可能なことを理解するであろう。幾つかの用語は、様々な実施形態を含むことができるが、添付の特許請求の範囲では、これらの用語を特定の実施形態に明示的に限定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、自動車のドアのメッシュを例示した図である。
【
図2】
図2は、自動車のドアのメッシュを例示した図である。
【
図3】
図3は、本発明に従って、再メッシュ化の方法のフローダイアグラムを例示した図である。
【
図4】
図4は、本発明に従って、再メッシュ化の方法のフローダイアグラムを例示した図である。
【
図5】
図5は、本発明に従って、孤立メッシュ・パッチの再メッシュ化を例示した図である。
【
図6】
図6は、本発明に従って、孤立メッシュ・パッチの再メッシュ化を例示した図である。
【
図7】
図7は、本発明に従って、孤立メッシュ・パッチの再メッシュ化を例示した図である。
【
図8】
図8は、本発明に従って、孤立メッシュ・パッチの再メッシュ化を例示した図である。
【
図9】
図9は、当初入力の孤立メッシュの要素エッジに相当する入力特徴の要素エッジの適用を例示した図である。
【
図10】
図10は、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ・エッジ上の面の二面角のジオメトリを例示した図である。
【
図11】
図11は、本発明に係る方法を用いて、メッシュ分割モジュールの異なる特徴エッジ種類の分類を例示した図である。
【
図12】
図12は、入力孤立メッシュ・オブジェクトを例示した図である。
【
図13】
図13は、
図12の符号XIIIに沿って、入力孤立メッシュ・オブジェクトの2つの仮想的なエッジの交差を例示する図である。
【
図14】
図14は、
図12に例示した入力孤立メッシュ・オブジェクトの2つの仮想的なエッジと1つの仮想的な面とを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図3には、本発明に係るコンピュータを用いて実施される、有限要素メッシュを修正する方法が例示されている。この方法は、以下のステップS1-S5を含む。
ステップS1:当初入力の孤立メッシュ(オリジナル・インプット・オーファン・メッシュ)IEPOを、メッシュ分割(メッシュ・パーティショナ)MPモジュール(mesh-partitioner-module)に提供する。
ステップS2:当初入力の孤立メッシュIEPOの少なくとも一部を、孤立要素(オーファン・エレメント)パッチ・オブジェクトOEPO(orphan-element-patch-object)として選択して、抽出する。
ステップS3:メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面FOMF(faces-on-mesh-object geometry)として、孤立要素パッチ・オブジェクトOEPO上に面を生成する。
ステップS4:メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面FOMFと、少なくとも1つの変更されたメッシュ用パラメータCMPR(changed meshing-parameter)とに基づいて、新しいメッシュ・パッチ要素NMPE(new mesh patch element)を生成する。この際、上記変更されたメッシュ用パラメータCMPRが割り当てることで、対応する当初入力の孤立メッシュIEPOとは異なる、新しいメッシュ・パッチ要素NMPEを生成する。
ステップS5:新しいメッシュ・パッチ要素NMPEによって、当初入力の孤立メッシュIEPOの孤立要素パッチ・オブジェクトOEPOを置き換えることで、修正された孤立メッシュAOM(amended orphan mesh)を生成する。
【0045】
ステップS3の前又はそのステップと同時に、孤立要素パッチ・オブジェクトOEPOの固定ノードFRNO(frozen nodes)を含む境界固定要素エッジBFEE(boundary-frozen-element-edges)が、メッシュ分割モジュールMPによって受け取られてもよい。その際、上記固定ノードFRNOは、新しいメッシュ・パッチ要素NMPEの上記生成中に保持されて、それらエッジ上に新しいノードが生成されないようにする。替わりに、又は追加的に、後続の方法のステップ中に、空間的に固定されたものとして扱われる、当初入力の孤立メッシュIEPOの要素エッジに対応する、入力特徴の要素エッジIFEE(input-feature-element-edges)が、メッシュ分割モジュールMPによって受け取られてもよい。
【0046】
さらに、ステップS3の最中に、メッシュ分割モジュールMPは、孤立要素パッチ・オブジェクトOEPOのメッシュ要素MSEL(mesh-elements)を、より小さい又はより大きいメッシュ要素MSELに変えて、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面FOMFとして、孤立要素パッチ・オブジェクトOEPO上の面を生成するための基礎としてもよい。
【0047】
さらに、より実行可能なメッシュの種類を得るために、四角形のメッシュ要素QLME(quadrilateral mesh-elements)を三角形のメッシュ要素TLME(trilateral mesh-elements)に分割してもよい。メッシュ要素MSELをより大きくする1つの仕方として、少なくとも2つを統合させて、新しい単一のメッシュ要素MSELに変えてもよい。
【0048】
新しいメッシュ・パッチ要素NMPEを生成するステップS4は、公知のメッシュ化(mesher)を用いて行われてもよい。例えば、四角形の要素では、CSALF-Qメッシュ化が好適であり得る『参考:CSALF-Q mesher - N. Mukherjee, ‘CSALF-Q: A Bricolage Algorithm for Anisotropic Quad Mesh Generation’, Proc. XXth International Meshing Roundtable, Paris, France, (2011年)489-510頁, Springer』。又は、例えば、J.Cabelloによるメッシュ化を用いることも可能である『参考:‘Toward Quality Surface Meshing’, Proc. XIIth International Meshing Roundtable, Santa Fe, New Mexico, (2003年)201-213頁』。
【0049】
図4では、コンピュータを用いて実施される有限要素メッシュの生成方法で用いられた、
図3に例示したステップS1からS5が含まれるが、さらに、設計仕様(DSPC:design specification)に従って部品又はコンポーネント(CMPT:component)を生成するための方法に用いられる。
【0050】
このプロセスは、コンポーネントのジオメトリ(幾何学的)モデル(GEOM:geometry model)を提供することから開始するが、これは、ジオメトリ・モデル(GEOM)に基づいて当初のメッシュ(ORM:original mesh)を生成するために用いられる。当初のメッシュ(ORM)は、ジオメトリ・モデル(GEOM)から任意の理由で分離される。この結果、当初入力の孤立メッシュ(IEPO)となる。当初のメッシュ(ORM)からジオメトリ・モデルを分離する理由として、ジオメトリ・モデル(GEOM)のファイル・フォーマットが古いことや、ワークフローの設計上、所定の段階ではメッシュORMのみが後続のプロセスのステップに送信されて、その後にジオメトリ・モデルGEOMが利用できなくなることが挙げられる。
【0051】
又は、当初入力の孤立メッシュ(IEPO)は、光造形法(ステレオリソグラフィー)ファイルとして受け取ることも可能である。それは、光学スキャンから生成されてもよい。又は、1つ又は複数の写真等から生成されてもよい。
【0052】
続いて、上述のステップS1からS5が実行される。
次のステップは、それらの繰り返しについて評価されてもよい。即ち、
S4)メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面FOMFと、少なくとも1つの変更されたメッシュ用パラメータCMPRとに基づいて、新しいメッシュ・パッチ要素NMPEを生成することと、
S5)新しいメッシュ・パッチ要素NMPEによって、当初入力の孤立メッシュIEPOの孤立要素パッチ・オブジェクトOEPOを置き換えることで、修正された孤立メッシュAOMを生成することと、
について、設計仕様DSPCに対してより良好な近似を得るため、又は計算プロセスを修正するため、又はより信頼できる計算結果を得るためであって、計算結果がより正確であることを意味する所定の基準データにより近付けるために、上記ステップの繰り返しについて評価されてもよい。これらのステップは、基準値CRTR(criterion)と閾値THRS(threshold)との比較の結果として、計算速度、計算結果精度、収束特性、又は他の目的等の目的を達成するために修正が必要な場合、繰り返されてもよい。
【0053】
ステップS4は、メッシュ分割MPMモジュールによって実行されてもよい。
このメッシュ分割MPMモジュールは、要素のエッジの不連続(離散データ)の検出に基づいて、要素を論理的にクラスタ(集合)化させてグループにすることによって、(連続的な)表面を回復させるように要素のパッチを修正するためのモジュールとして理解することができる。
【0054】
基本的に、離散データから、連続した幾何学的エンティティをリバース・エンジニアすることができ(頂点、エッジ、面など)、そして、CADモデルを画定するために用いられる完全な境界の表現を定めることができる。
【0055】
修正された孤立メッシュAOMに基づいて、有限要素計算FEMSを実行することで、少なくとも1つの計算結果CARTを生成することができる。少なくとも1つの計算結果CARTの後処理PSPC(Post-processing)では、その情報をユーザに示すことができる。計算結果CARTは、表やグラフを用いてこの情報を表示することで、ユーザがその結果を速やかに理解できるようにすることが好ましい。
【0056】
最後に、設計仕様DSPCに基づくコンポーネントCMPTは、従来の機械加工、追加的な製造等の任意の生成の仕方によって生成GNRTすることができる。
【0057】
図5から
図8では、それぞれ、本発明に係る方法の異なる段階を例示している。即ち、本発明に係る孤立メッシュ・パッチの再メッシュ化は、以下のように例示できる。
【0058】
図5では、当初入力の孤立メッシュIEPOの少なくとも一部を、孤立要素パッチ・オブジェクトOEPOとして選択して、抽出するステップS2を例示している。
【0059】
図6では、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面FOMFとして、孤立要素パッチ・オブジェクトOEPO上に面を生成するステップS3を例示している。
【0060】
図7では、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面FOMFに固定ノードFRNOを記憶することを可能にする、ステップS3とステップS4の間の任意選択のステップを例示している。孤立要素パッチ・オブジェクトOEPOを選択した後、パッチの固定境界エッジが識別される。パッチ内部の1つの要素と、パッチ外部の1つの要素とに接続される要素エッジが、固定ノードFRNOとして識別されて、記憶される。固定要素エッジは、それらの始点と終点とを定める各ノードによって定められるフォーマット中に記憶することができる。
【0061】
図8では、新しいメッシュ・パッチ要素NMPEを生成するステップS4を例示している。この際、
メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面FOMFと、
少なくとも1つの変更されたメッシュ用パラメータCMPRと、に基づく。この変更されたメッシュ用パラメータCMPRは、対応する当初入力の孤立メッシュIEPOに対応して、異なる、新しいメッシュ・パッチ要素NMPEを生成するために割り当てられる。これは、それぞれ、変更されたメッシュ用パラメータCMPRを用いて、異なるサイズ及び/又は異なるメッシュの種類で、新しいメッシュ・パッチ要素NMPEを生成してもよい。
【0062】
図9では、(ステップS3とステップS4との間の任意選択のステップ)の入力特徴の要素エッジIFEEの任意選択を例示しており、そのIFEEは、再メッシュ化中にそれぞれ後続の方法のステップ中に空間的に固定されたものとして扱われる、当初入力の孤立メッシュIEPOの要素エッジに相当する。入力特徴の要素エッジIFEEの選択は、メッシュ分割モジュールMPによって受け取られて、メッシュ生成MGによって、修正されたメッシュAOMの生成の際に考慮される。これら入力特徴の要素エッジIFEEの選択は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースUIを用いるユーザによって行われてもよい。
【0063】
図10は、面σ1、σ2によって定められるエッジeの両側の単位法線ベクトル間の角度∠eである、二面角について例示している。
エッジeにおける面角度(フェイス角度)は、符号∠eで示すことができ、又は、n1とn2との間の角度∠eとして示すことができる。
【0064】
範囲(0、π)内で与えられたθに対して、エッジeが「強いエッジ」として割り当てられると、新しく生成されるメッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面FOMFでは、テッセレーション(モザイク)エッジは、高い二面角∠eを有する。
図10を参照すると、(0、π)の範囲内でθが与えられると、エッジeは、∠e≧θの場合には、面角度では強いθとなる。
【0065】
∠e<θの場合には、「弱いエッジ」が適用される。このことは、二面角∠eがそれほど高くないことを意味する。その値は、0度である(平坦な表面を意味する)必要はないが、特徴の角度の閾値をかなり下回ることを意味し得る。これらの弱いエッジは、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面FOMFを作成する際にはほとんど無視できるが、特徴の境界を完成させるために必要とされることがある。
【0066】
角度∠eが大きな度合いでθを上回る場合には、エッジは、u-強いエッジ又は無条件に強いエッジUSE(unconditionally strong edge)として分類することができる。これらのエッジは、新らしく生成されるメッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面FOMF内で識別することができ、この際、テッセレーション・エッジは、高い二面角∠eを有する。このようなエッジは、非常に鋭角なターンを意味する。
【0067】
ある角度が限界角度(limiting angle)θよりも大きいが、第二の上限よりも小さい場合、そのエッジは、l-強いエッジ又は局所的に強いエッジLSE(locally-strong-edge)として参照することができる。
【0068】
このエッジ評価スキームは、
図11に概略的に例示するように、メッシュ分割MPによって適用されて、強い特徴のエッジと弱い特徴のエッジとを識別してもよい。主なステップは、次のように概説できる。
1. 無条件に強いエッジUSEが検出される。
2. 局所的に強いエッジLSEが識別される。
3. 凹状コーナーが検出されて、浅いエッジが露出される。
4. 必要に応じて、スカー・エッジ(傷のあるエッジ)の切り取りを行うことができる(このことは、ギザギザ/ジグザグの尺度に基づいて行われてもよい)。
5. 検出対象の無条件に強いエッジUSEが存在しない場合、仮想的な平面カットが実行される。
【0069】
以下の手順を適用することができる。
A)シード(根源)エッジから開始する。
B)これら規則に従って次の最良の候補のエッジを見つけ出し、それぞれのエッジをランク付けする。
テッセレーション・データ(すなわち、当初入力の孤立メッシュIEPO)から特徴を作成し、保存する間に、多くの特徴が誤って識別されることがあるが、これらは、「偽の陽性」又は「偽の陰性」として識別された特徴として分類できる。偽の陽性とは、数学的には、強いエッジとして見なされるが、最終的には、認識可能な特徴をもたらさないため、無視されるテッセレーション・エッジのことである。偽の陰性のエッジとは、強いエッジとして識別されないが、そうあるべきもののことである。偽の陰性のエッジは、数学的には、強いエッジとはみなされないものの、本質的な(認識可能な)特徴の境界の一部であるため、幾何学的なエッジになる必要があるものである。
【0070】
本発明に係る好適な実施形態の一つでは、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面FOMFとして、孤立要素パッチ・オブジェクトOEPO上に面を生成するステップを提供し、さらに以下のステップを含む。
c.固有ベクトルE
3、E
2、E
1を有する固有値
【数7】
について各頂点Vで中間2次式を解く。
【数8】
ここで、xは、3×1行列である。
Aは、3×3正規行列(対称的で、陽性の半確定的
【数9】
)、この際、
【数10】
j=頂点Vを囲む要素、
N
jは、三角形jに対する単位法線ベクトル、
w
jは、三角形jの領域重さ、
bは、3×1行列であって、
【数11】
固有ベクトルE
3、E
2、E
1を有する固有値λ
1≧λ
2≧λ
3≧0(数7参照)について解くと、次を出力する
【数12】
d.各頂点Vに対して幾何学的な特性を割り当てる。
i.上記頂点Vは、厳密に1つの大きな固有値が決定される場合には、平面である(平らとは、すべての法線が同一であることを意味する、A-ランク1を意味する)
ii.上記頂点Vは、厳密に2つの大きな固有値が決定される場合には、隆起(凸部)である(Aは、2つの異なる法線方向を意味するランク2である)
iii.上記頂点Vは、3つの大きな固有値が決定される場合には、角部(コーナ)である(Aは、それぞれがフル・ランクのランク3である)
【0071】
図11には、固有値に対する各頂点Vのこの処理の結果が例示されている。面メッシュは、それぞれの隆起方向を例示している。さらに、
図11は、角度∠eが大きな度合いでθを上回るときの無条件に強いエッジUSEらの間の差を示しているが、この際、角度が限界角度θより大きいものの第2の上限より小さいときの1-強いエッジ又は局所的に強いエッジLSEと比較して示している。
【0072】
図12~
図14では、閉じた面を表す孤立要素パッチ・オブジェクトOEPOから、メッシュ分割アルゴリズムを用いて、メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面FOMFを生成する仕方について例示している。
図12では、多角形(ポリゴン)テッセレーションである、閉じた面を定める環状の孤立要素パッチ・オブジェクトOEPOを例示している。
図13では、
図12の符号XIIIの詳細を示しており、孤立要素パッチ・オブジェクトOEPOの2つの仮想的なエッジVRED(virtual edges)の交差を例示している。
図14では、
図12に例示した、これら2つの仮想的なエッジVREDと、入力孤立メッシュ・オブジェクトの1つの仮想的な面VRFC(virtual face)と、を例示している。
【符号の説明】
【0073】
AOM 修正された孤立メッシュ(オーファン・メッシュ)
CMPR 変更されたメッシュ用パラメータ
CMPT コンポーネント(部品)
DSPC 設計仕様
FOMF メッシュ・オブジェクト・ジオメトリ上の面
FRNO 固定ノード(フローズン・ノード)
GEOM ジオメトリ・モデル(幾何学的モデル)
IEPO 当初入力の孤立メッシュ(オーファン・メッシュ)
IFEE 入力特徴の要素エッジ(エレメント・エッジ)
LSE 局所的に強いエッジ
MSEL メッシュ要素(メッシュ・エレメント)
NMPE 新しいメッシュ・パッチ要素
OEPO 孤立要素パッチ・オブジェクト
ORM 当初のメッシュ
USE 無条件に強いエッジ
VRED 仮想的なエッジ
VRFC 仮想的な面
【外国語明細書】