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特開2022-40031匂い分子に基づいて物流管理を行うシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040031
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】匂い分子に基づいて物流管理を行うシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20220303BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
B65G61/00 510
G01N21/78 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021134944
(22)【出願日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】109129156
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】514024712
【氏名又は名称】台湾ナノカーボンテクノロジー股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TAIWAN CARBON NANO TECHNOLOGY CORPORATION
【住所又は居所原語表記】5F.,NO.50-1, Keyan Rd.,Zhunan Township, Miaoli County, Taiwan(R.O.C.)
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】許 景棟
(72)【発明者】
【氏名】林 照傑
(72)【発明者】
【氏名】黄 原新
(72)【発明者】
【氏名】李 家宏
(72)【発明者】
【氏名】劉 文惠
(72)【発明者】
【氏名】蔡 群賢
(72)【発明者】
【氏名】李 庭鵑
(72)【発明者】
【氏名】蔡 群榮
【テーマコード(参考)】
2G054
【Fターム(参考)】
2G054AA01
2G054AB10
2G054BA04
2G054BB02
2G054CA30
2G054CD03
2G054CD04
2G054CE02
2G054EA05
2G054EA06
2G054EB02
2G054EB03
2G054EB05
2G054FA33
2G054FA34
2G054FA42
2G054FA44
2G054FA46
2G054GA03
2G054GB10
2G054GE06
2G054GE07
2G054JA02
2G054JA04
2G054JA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】匂い分子に基づいて物流管理を行うシステムを提供し、物流管理における信頼性と安全性を向上させる。
【解決手段】検知装置10と、情報処理装置20と、サーバー30とを含み、匂い分子に基づいて物流管理を行うシステムであって、検知装置は被追跡品物に設けられ、且つ比色センサアレイと、分子貯蔵・放出材料とを含み、比色センサアレイが複数の検知材料を含み、分子貯蔵・放出材料が匂い分子を放たせ、検知材料が匂い分子の少なくとも1つの代謝性分子と反応することで比色センサアレイが彩色模様を提示する。情報処理装置は彩色模様を取得する画像取得コンポーネント21と、彩色模様を伝送する送受信機22とを含む。サーバーにはデータベースが記憶されており、彩色模様とデータベースとの比較で比較結果が生成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被追跡品物に設けられる検知装置であって、比色センサアレイと分子貯蔵・放出材料とを含み、前記分子貯蔵・放出材料には予め少なくとも1つの匂い分子が貯蔵されており、前記比色センサアレイが前記匂い分子を検知するための複数の検知材料を含み、前記匂い分子と前記検知材料との組み合わせが前記被追跡品物に関連付けられる前記検知装置と、
画像取得コンポーネントと送受信機とを含む情報処理装置と、
データベースが記憶されているサーバーであって、前記情報処理装置と通信接続が確立される前記サーバーとを含み、
前記分子貯蔵・放出材料が前記匂い分子を放たせ、前記検知材料が前記匂い分子の少なくとも1つの代謝性分子とそれぞれ反応して初期色から指示色に変わることで、前記比色センサアレイが彩色模様を提示するステップと、
前記情報処理装置の前記画像取得コンポーネントが前記彩色模様の画像を取得するステップと、
前記画像を前記データベースと比較して比較結果を生成するステップとを行うように設定されることを特徴とする匂い分子に基づいて物流管理を行うシステム。
【請求項2】
前記検知材料は、メチルレッド、コンゴレッド、ブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールパープル、ブロモクレゾールグリーン、クレゾールレッド、フェノールレッド、チモールフタレイン、レサズリン、p-ニトロフェノール、ブロモチモールブルー、チモールブルー、ニュートラルレッド、クリスタルバイオレット、4-(4-ニトロベンジル)ピリジン、ピロカテコールバイオレット、クロロフェノールレッド、ニトラジンイエロー、ブロモフェノールレッド、m-クレゾールパープル、エリオクロムブラックT、サフラニン、ルシフェリン、エオシンY、ブリリアントグリーン、チタンエロー、ビクトリアブルーB、カルミン、リトマス、クルクミン、アントシアニン、アリザリンレッドS、アリザリンイエローR、インジゴカルミン、ナイルブルーA、オレンジG、エオシンB、3’,3’’,5’,5’’-テトラヨードフェノールスルホンフタレイン、ブロモキシレノールブルー、ディスパースオレンジ25、アクリジンオレンジ、ディスパースオレンジ3、ディスパースレッド1、ブロモピロガロールレッド、ジアミノジフェニルスルホン、アミノフルオレセイン、ムレキシド、2,6-ジクロロインドフェノール、ピロカテコールバイオレット、前記化合物のナトリウム塩もしくはそれらの任意の混合物又は組み合わせを含む呈色試薬を含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記検知材料は、ステアリルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリブテン樹脂、ポリエチレングリコール、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、セルロースナノファイバー、シロキサンもしくはそれらの任意の混合物又は組み合わせを含む分子バリア性材をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記分子貯蔵・放出材料は匂い分子貯蔵層と、前記匂い分子貯蔵層に積み重ねられる匂い分子放出層とを含み、前記匂い分子貯蔵層は多孔質構造を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
被追跡品物を提供するステップであって、前記被追跡品物には検知装置が設けられ、前記検知装置は比色センサアレイと分子貯蔵・放出材料とを含み、前記比色センサアレイが匂い分子を検知するための複数の検知材料を含み、前記分子貯蔵・放出材料には予め少なくとも1つの匂い分子が貯蔵されており、前記匂い分子と前記検知材料との組み合わせが前記被追跡品物に関連付けられるステップと、
前記分子貯蔵・放出材料が前記匂い分子を放たせ、前記検知材料が前記匂い分子の少なくとも1つの代謝性分子とそれぞれ反応して初期色から指示色に変わることで、前記比色センサアレイが彩色模様を提示するステップと、
前記彩色模様を設定模様と比較して比較結果を生成するステップとを含むことを特徴とする匂い分子に基づいて物流管理を行う方法。
【請求項6】
前記検知材料は、メチルレッド、コンゴレッド、ブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールパープル、ブロモクレゾールグリーン、クレゾールレッド、フェノールレッド、チモールフタレイン、レサズリン、p-ニトロフェノール、ブロモチモールブルー、チモールブルー、ニュートラルレッド、クリスタルバイオレット、4-(4-ニトロベンジル)ピリジン、ピロカテコールバイオレット、クロロフェノールレッド、ニトラジンイエロー、ブロモフェノールレッド、m-クレゾールパープル、エリオクロムブラックT、サフラニン、ルシフェリン、エオシンY、ブリリアントグリーン、チタンエロー、ビクトリアブルーB、カルミン、リトマス、クルクミン、アントシアニン、アリザリンレッドS、アリザリンイエローR、インジゴカルミン、ナイルブルーA、オレンジG、エオシンB、3’,3’’,5’,5’’-テトラヨードフェノールスルホンフタレイン、ブロモキシレノールブルー、ディスパースオレンジ25、アクリジンオレンジ、ディスパースオレンジ3、ディスパースレッド1、ブロモピロガロールレッド、ジアミノジフェニルスルホン、アミノフルオレセイン、ムレキシド、2,6-ジクロロインドフェノール、ピロカテコールバイオレット、前記化合物のナトリウム塩もしくはそれらの任意の混合物又は組み合わせを含む呈色試薬を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記検知材料は、ステアリルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリブテン樹脂、ポリエチレングリコール、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、セルロースナノファイバー、シロキサンもしくはそれらの任意の混合物又は組み合わせを含む分子バリア性材をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
被追跡品物を提供するステップであって、前記被追跡品物には検知装置が設けられ、前記検知装置は比色センサアレイと分子貯蔵・放出材料とを含み、前記比色センサアレイが匂い分子を検知するための複数の検知材料を含み、前記分子貯蔵・放出材料には予め少なくとも1つの匂い分子が貯蔵されており、前記匂い分子と前記検知材料との組み合わせが前記被追跡品物に関連付けられるステップと、
前記分子貯蔵・放出材料が前記匂い分子が第1匂い分子を放たせ、前記検知材料が前記第1匂い分子の少なくとも1つの第1代謝性分子とそれぞれ反応して初期色から第1指示色に変わることで、前記比色センサアレイが第1彩色模様を提示するステップと、
前記第1彩色模様を設定模様と比較して第1比較結果を生成するステップと、
所定の時間が経つと、前記分子貯蔵・放出材料が前記匂い分子から第2匂い分子を放たせ、前記検知材料が前記第2匂い分子の少なくとも1つの第2代謝性分子とそれぞれ反応して前記第1指示色から第2指示色に変わることで、前記比色センサアレイが第2彩色模様を提示するステップと、
前記第2彩色模様を前記設定模様と比較して第2比較結果を生成するステップとを含むことを特徴とする匂い分子に基づいて物流管理を行う方法。
【請求項9】
前記検知材料は、メチルレッド、コンゴレッド、ブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールパープル、ブロモクレゾールグリーン、クレゾールレッド、フェノールレッド、チモールフタレイン、レサズリン、p-ニトロフェノール、ブロモチモールブルー、チモールブルー、ニュートラルレッド、クリスタルバイオレット、4-(4-ニトロベンジル)ピリジン、ピロカテコールバイオレット、クロロフェノールレッド、ニトラジンイエロー、ブロモフェノールレッド、m-クレゾールパープル、エリオクロムブラックT、サフラニン、ルシフェリン、エオシンY、ブリリアントグリーン、チタンエロー、ビクトリアブルーB、カルミン、リトマス、クルクミン、アントシアニン、アリザリンレッドS、アリザリンイエローR、インジゴカルミン、ナイルブルーA、オレンジG、エオシンB、3’,3’’,5’,5’’-テトラヨードフェノールスルホンフタレイン、ブロモキシレノールブルー、ディスパースオレンジ25、アクリジンオレンジ、ディスパースオレンジ3、ディスパースレッド1、ブロモピロガロールレッド、ジアミノジフェニルスルホン、アミノフルオレセイン、ムレキシド、2,6-ジクロロインドフェノール、ピロカテコールバイオレット、前記化合物のナトリウム塩又は混合物などからなる群から選ばれる呈色試薬を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記検知材料は、ステアリルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリブテン樹脂、ポリエチレングリコール、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、セルロースナノファイバー、シロキサンからなる群から選ばれる分子バリア性材をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品物を認識するシステム及び方法に関し、特に、匂い分子に基づいて物流管理を行うシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、グローバル化が進むにつれて、サプライチェーンや電子商取引の利用及びその流動性が大幅に向上し、物流産業の成長が後押しされる。それに伴い商品や貨物、原材料の輸送経路がますます複雑になり、関連の管理が難しくなる一方である。そのため、確実かつ安全に品物の管理を行うことが、改善を要する課題になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主たる目的は、物流管理における信頼性と安全性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前記目的を達成するためになされたもので、匂い分子に基づいて物流管理を行うシステムを提供する。当該システムは、被追跡品物に設けられる検知装置であって、比色センサアレイと分子貯蔵・放出材料とを含み、当該分子貯蔵・放出材料には予め少なくとも1つの匂い分子が貯蔵されており、当該比色センサアレイが当該匂い分子を検知するための複数の検知材料を含み、当該匂い分子と当該検知材料との組み合わせが当該被追跡品物に関連付けられる当該検知装置と、画像取得コンポーネントと送受信機とを含む情報処理装置と、データベースが記憶されているサーバーであって、当該情報処理装置と通信接続が確立される当該サーバーとを含み、当該システムは、当該分子貯蔵・放出材料が当該匂い分子を放たせ、当該検知材料が当該匂い分子の少なくとも1つの代謝性分子とそれぞれ反応して初期色から指示色に変わることで、当該比色センサアレイが彩色模様を提示するステップと、当該情報処理装置の当該画像取得コンポーネントが当該彩色模様の画像を取得するステップと、当該画像を当該データベースと比較して比較結果を生成するステップとを行うように設定される。
【0005】
本発明は、前記目的を達成するためになされたもので、匂い分子に基づいて物流管理を行う方法をさらに提供する。当該方法は、被追跡品物を提供するステップであって、当該被追跡品物には検知装置が設けられ、当該検知装置は比色センサアレイと分子貯蔵・放出材料とを含み、当該比色センサアレイが匂い分子を検知するための複数の検知材料を含み、当該分子貯蔵・放出材料には予め少なくとも1つの匂い分子が貯蔵されており、当該匂い分子と当該検知材料との組み合わせが当該被追跡品物に関連付けられるステップと、当該分子貯蔵・放出材料が当該匂い分子を放たせ、当該検知材料が当該匂い分子の少なくとも1つの代謝性分子とそれぞれ反応して初期色から指示色に変わることで、当該比色センサアレイが彩色模様を提示するステップと、当該彩色模様を設定模様と比較して比較結果を生成するステップとを含む。
【0006】
本発明は、前記目的を達成するためになされたもので、匂い分子に基づいて物流管理を行う方法をさらに提供する。当該方法は、被追跡品物を提供するステップであって、当該被追跡品物には検知装置が設けられ、当該検知装置は比色センサアレイと分子貯蔵・放出材料とを含み、当該比色センサアレイが匂い分子を検知するための複数の検知材料を含み、当該分子貯蔵・放出材料には予め少なくとも1つの匂い分子が貯蔵されており、当該匂い分子と当該検知材料との組み合わせが当該被追跡品物に関連付けられるステップと、当該分子貯蔵・放出材料が当該匂い分子から第1匂い分子を放たせ、当該検知材料が当該第1匂い分子の少なくとも1つの第1代謝性分子とそれぞれ反応して初期色から第1指示色に変わることで、当該比色センサアレイが第1彩色模様を提示するステップと、当該第1彩色模様を設定模様と比較して第1比較結果を生成するステップと、所定の時間が経つと、当該分子貯蔵・放出材料が当該匂い分子から第2匂い分子を放たせ、当該検知材料が当該第2匂い分子の少なくとも1つの第2代謝性分子とそれぞれ反応して当該第1指示色から第2指示色に変わることで、当該比色センサアレイが第2彩色模様を提示するステップと、当該第2彩色模様を当該設定模様と比較して第2比較結果を生成するステップとを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明では分子貯蔵・放出材料と比色センサアレイとの組み合わせを利用して、予め被追跡品物に対応する匂い分子を分子貯蔵・放出材料で保持し、比色センサアレイにより肉眼で識別可能な情報を提供することで、彩色模様から被追跡品物に関する情報を得て、被追跡品物を管理することができる。分子貯蔵・放出材料に保持された匂い分子が置き換えにくく、しかも接触しにくいため、安全性が高い。それに、適当な材料を選択すれば、匂い分子が経時的に変化して、異なる彩色模様を形成させるように設計することで、物流管理の安全性を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は本発明の一実施例的システム構成の模式図である。
図2図2は本発明の一実施例に係る当該検知装置の構造模式図である。
図3図3は本発明の別の実施例に係る当該検知装置の構造模式図である。
図4図4は本発明の一実施例の使用の模式図である。
図5図5は本発明の一実施例に係る方法のステップの模式図である。
図6図6は本発明の別の実施例に係る方法のステップの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して本発明の技術内容の詳細な説明を行う。
図1が参照されるとおり、本発明は匂い分子に基づいて物流管理を行うシステムを開示する。当該システムは、検知装置10と、情報処理装置20と、サーバー30とを含み、検知装置10は被追跡品物40に設けられる。図2は本発明の一実施例に係る当該検知装置の構造模式図であり、図2が参照されるとおり、検知装置10は比色センサアレイ11と、分子貯蔵・放出材料12と、少なくとも1つの情報表示領域13とを含み、比色センサアレイ11は複数の検知材料111を含み、検知材料111は検知画素とされてもよい。本実施例において、比色センサアレイ11及び情報表示領域13は基材14に設けられ、基材14は分子貯蔵・放出材料12に設けられ、分子貯蔵・放出材料12は被追跡品物40に貼り付けられる。
【0010】
一実施例において、検知材料111は呈色試薬を含み、当該呈色試薬はメチルレッド、コンゴレッド、ブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールパープル、ブロモクレゾールグリーン、クレゾールレッド、フェノールレッド、チモールフタレイン、レサズリン、p-ニトロフェノール、ブロモチモールブルー、チモールブルー、ニュートラルレッド、クリスタルバイオレット、4-(4-ニトロベンジル)ピリジン、ピロカテコールバイオレット、クロロフェノールレッド、ニトラジンイエロー、ブロモフェノールレッド、m-クレゾールパープル、エリオクロムブラックT(Eriochrome black T)、サフラニン、ルシフェリン、エオシンY(Eosin yellow)、ブリリアントグリーン(Brilliant green)、チタンエロー、ビクトリアブルーB、カルミン、リトマス、クルクミン、アントシアニン、アリザリンレッドS、アリザリンイエローR、インジゴカルミン、ナイルブルーA、オレンジG、エオシンB、3’,3’’,5’,5’’-テトラヨードフェノールスルホンフタレイン、ブロモキシレノールブルー、ディスパースオレンジ25、アクリジンオレンジ、ディスパースオレンジ3、ディスパースレッド1、ブロモピロガロールレッド、ジアミノジフェニルスルホン、アミノフルオレセイン、ムレキシド、2,6-ジクロロインドフェノール、ピロカテコールバイオレット、前記化合物のナトリウム塩もしくはそれらの任意の混合物又は組み合わせである。検知材料111は分子バリア性材をさらに含んでもよく、当該分子バリア性材はステアリルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリブテン樹脂、ポリエチレングリコール、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、セルロースナノファイバー、シロキサンもしくはそれらの任意の混合物又は組み合わせを含む。当該分子バリア性材を当該呈色試薬と混合して当該検知画素が形成されてもよいし、当該分子バリア性材を当該呈色試薬にコーディングして当該検知画素が形成されてもよい。当該分子バリア性材が検知材料111の反応速度に影響を与えるため、当該分子バリア性材の選択によって、反応速度を調整し、使用上のニーズを満たすことができる。
【0011】
図2が参照されるとおり、一実施例において、分子貯蔵・放出材料12は単層であり、且つ多孔質構造を有する。又は、図3は本発明の別の実施例に係る当該検知装置の構造模式図であり、図3が参照されるとおり、分子貯蔵・放出材料12は二重層であり、且つ匂い分子貯蔵層12aと匂い分子放出層12bとを含み、匂い分子貯蔵層12aと匂い分子放出層12bとが互いに積み重ねられ、匂い分子貯蔵層12aは多孔質構造を有する。匂い分子が当該多孔質構造の表面に貯蔵されており、拡散律速(Diffusion controlled)、逆浸透圧制御(Osmotically controlled)又は化学的制御(Chemically controlled)により、当該匂い分子を放出させる。例えば、化学的制御としては、イオン交換樹脂、化学結合切断が挙げられる。本実施例において、情報表示領域13は第1情報表示領域13aと第2情報表示領域13bとを含み、第1情報表示領域13aは比色カードであり、第2情報表示領域13bはコードであり、当該コードは直接的に又は間接的に被追跡品物40に関連付けられ、且つ当該コードは被追跡品物40の少なくとも1つの情報、例えば、履歴情報、品質情報、利用前外観に基づいて決定され、当該コードの形態は文字列、数字列又はそれらの組み合わせ、一次元バーコード、二次元コード(QR code)などであってもよい。
【0012】
情報処理装置20は画像取得コンポーネント21と送受信機22とを含む。本実施例において、情報処理装置20はスマートフォンであり、画像取得コンポーネント21は撮影モジュールであり、送受信機22はネットワークモジュールであり、本発明はそれに限定されない。情報処理装置20は画像取得コンポーネント21及び送受信機22を搭載した任意の電子装置であってもよく、例えば、パソコン、タブレットコンピュータである。サーバー30と情報処理装置20とで無線通信接続が確立される。本実施例において、サーバー30と情報処理装置20はインターネット50を介して接続される。
【0013】
本発明において、分子貯蔵・放出材料12が予め匂い分子を吸収しており、当該匂い分子と検知材料111との選択と組み合わせは検知材料111が提示する色(又は階調、色調)、例えば、RGB値、CMYK値、16進数カラーコードに影響を与える。設計の段階で、当該匂い分子と検知材料111との組み合わせは被追跡品物40の少なくとも1つの条件又はパラメータ、例えば、品物種類、製造者、生産時間、産地、発送者、受取人、値段などによって決定される。当該匂い分子と検知材料111との組み合わせで、当該匂い分子は所定の時間後に確定の当該匂い分子を放たせ、又は経時的に変化する当該匂い分子を放たせる。当該匂い分子は少なくとも1つの代謝性分子を含む。当該匂い分子が放たれると、比色センサアレイ11に拡散して、検知材料111と化学反応を行い、当該化学反応の後、検知材料111が初期色から指示色に変わることで、比色センサアレイ11が彩色模様を提示する。当該匂い分子が被追跡品物40に関連付けられるため、当該彩色模様は視覚的に、被追跡品物40に対応する匂い情報に関連付けられる。情報処理装置20は画像取得コンポーネント21によって当該彩色模様を取得し、送受信機22によって当該彩色模様をサーバー30に伝送する。サーバー30はデータベースを有し、当該彩色模様と当該データベースとの比較で比較結果が生成され、情報処理装置20は当該比較結果に基づいて被追跡品物40に対応する認識結果を提供する。
【0014】
上述したように、当該匂い分子とは被追跡品物40に設けられたパスワードのようなもので、分子貯蔵・放出材料12とは当該パスワードのキャリアのようなもので、当該彩色模様への変換と当該データベースとの比較とは当該パスワードへの解釈と見なされてよい。例えば、荷物配送においてこれを用いる場合は、出荷前に当該匂い分子を検知装置10に保持させ、当該匂い分子に対応する認識結果を受取人に送信しておく。受取人が被追跡品物40を受け取ったら当該認識結果から品物が合っているかどうか確認することができる。又は、適時性のある品物、例えば、食材、医療用血液バッグなどにおいてこれを用いる場合は、配送前に当該匂い分子を検知装置10に保持させ、当該匂い分子に対応し且つ設定到着時間に対応する認識結果を受取人に送信しておく。受取人が被追跡品物40を受け取ったら当該認識結果から品物が合っているかどうか確認することができる。
【0015】
図4は本発明の一実施例の使用の模式図である。検知装置10a、10b、10cのそれぞれは同じ装置である。分子貯蔵・放出材料12が予め吸収しておいた当該匂い分子は経時的に化学成分が変わり、つまり匂いが経時的に変化する。検知装置10a、10b、10cはそれぞれ異なる時間に対応し、例えば、検知装置10aとは反応後0時間、検知装置10bとは反応後1時間、検知装置10cとは反応後2時間である。分子貯蔵・放出材料12が放たせた当該匂い分子が比色センサアレイ11と反応して0時間が経つと、検知装置10aの検知材料111a、111b、111c、111dがそれぞれ暗赤色、暗黄色、暗青色、暗緑色を示す。分子貯蔵・放出材料12が放たせた当該匂い分子が比色センサアレイ11と反応して1時間が経つと、検知装置10bの検知材料111a、111b、111c、111dがそれぞれ濃赤色、濃黄色、濃青色、濃緑色を示す。分子貯蔵・放出材料12が放たせた当該匂い分子が比色センサアレイ11と反応して1時間が経つと、検知装置10cの検知材料111a、111b、111c、111dがそれぞれ薄赤色、薄黄色、薄青色、薄緑色を示す。
【0016】
異なる当該匂い分子の選択と当該検知材料により、別の実施例として、空間的に異なる場所に位置する当該検知材料が時間別に輝点を示すこともできる。例えば、分子貯蔵・放出材料12が放たせた当該匂い分子が比色センサアレイ11と反応して0時間が経つと、検知装置10aの検知材料111aが明赤色を示し、残りは暗色である。分子貯蔵・放出材料12が放たせた当該匂い分子が比色センサアレイ11と反応して1時間が経つと、検知装置10bの検知材料111bが明黄色を示し、残りは暗色である。分子貯蔵・放出材料12が放たせた当該匂い分子が比色センサアレイ11と反応して1時間が経つと、検知装置10cの検知材料111cが明青色を示し、残りは暗色である。
【0017】
これにより、比色センサアレイ11は物流管理における判定の根拠として、経過時間によって設定のとおり異なる当該彩色模様を提示する。
【0018】
図5は本発明の一実施例に係る方法のステップの模式図であり、図5が参照されるとおり、当該方法は下記のステップS11~S13を含む。
ステップS11において、被追跡品物40を提供し、被追跡品物40には検知装置10が設けられ、検知装置10は比色センサアレイ11と分子貯蔵・放出材料12とを含み、比色センサアレイ11が匂い分子を検知するための複数の検知材料111を含み、分子貯蔵・放出材料12には予め少なくとも1つの匂い分子が貯蔵されており、当該匂い分子と検知材料111との組み合わせが被追跡品物40に関連付けられる。
【0019】
ステップS12において、分子貯蔵・放出材料12が当該匂い分子を放たせ、検知材料111が当該匂い分子の少なくとも1つの代謝性分子とそれぞれ反応して初期色から指示色に変わることで、比色センサアレイ11が彩色模様を提示する。
【0020】
ステップS13において、当該彩色模様を設定模様と比較して比較結果を生成する。
【0021】
図6は本発明の別の実施例に係る方法のステップの模式図であり、図6が参照されるとおり、当該方法は下記のステップS21~S25を含む。
ステップS21において、被追跡品物40を提供し、被追跡品物40には検知装置10が設けられ、検知装置10は比色センサアレイ11と分子貯蔵・放出材料12とを含み、比色センサアレイ11が匂い分子を検知するための複数の検知材料111を含み、分子貯蔵・放出材料12には予め少なくとも1つの匂い分子が貯蔵されており、当該匂い分子と当該検知材料12との組み合わせが被追跡品物40に関連付けられる。
【0022】
ステップS22において、分子貯蔵・放出材料12が当該匂い分子から第1匂い分子を放たせ、検知材料111が当該第1匂い分子の少なくとも1つの第1代謝性分子とそれぞれ反応して初期色から第1指示色に変わることで、比色センサアレイ11が第1彩色模様を提示する。当該第1匂い分子は当該匂い分子から放たれるもので、当該匂い分子と当該第1匂い分子は同じでもよいし又は異なってもよい。
【0023】
ステップS23において、当該第1彩色模様を設定模様と比較して第1比較結果を生成する。
【0024】
ステップS24において、所定の時間が経つと、分子貯蔵・放出材料12が当該匂い分子から第2匂い分子を放たせ、検知材料111が当該第2匂い分子の少なくとも1つの第2代謝性分子とそれぞれ反応して当該第1指示色から第2指示色に変わることで、比色センサアレイ11が第2彩色模様を提示する。当該第1匂い分子と当該第2匂い分子は異なる。
【0025】
ステップS25において、当該第2彩色模様を当該設定模様と比較して第2比較結果を生成する。
【0026】
本発明では分子貯蔵・放出材料と比色センサアレイとの組み合わせを利用して、予め被追跡品物に対応する匂い分子を分子貯蔵・放出材料で保持し、比色センサアレイにより肉眼で識別可能な情報を提供することで、彩色模様から被追跡品物に関する情報を得て、被追跡品物を管理することができる。分子貯蔵・放出材料に保持された匂い分子が置き換えにくいため、安全性が高い。それに、適当な材料を選択すれば、匂い分子が経時的に変化して、異なる彩色模様を形成させるように設計することで、物流管理の安全性を一層高めることができる。
【符号の説明】
【0027】
10、10a、10b、10c 検知装置
11 比色センサアレイ
12 分子貯蔵・放出材料
12a 匂い分子貯蔵層
12b 匂い分子放出層
13 情報表示領域
13a 第1情報表示領域
13b 第2情報表示領域
14 基材
20 情報処理装置
21 画像取得コンポーネント
22 送受信機
30 サーバー
40 被追跡品物
50 インターネット
111、111a、111b、111c、111d 検知材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】