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特開2022-40041ガス発生化合物を含むポリマーフィラメント及びそれを用いた積層造形
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  • 特開-ガス発生化合物を含むポリマーフィラメント及びそれを用いた積層造形 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040041
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】ガス発生化合物を含むポリマーフィラメント及びそれを用いた積層造形
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/40 20170101AFI20220303BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20220303BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20220303BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20220303BHJP
   B29C 64/35 20170101ALI20220303BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220303BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220303BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20220303BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20220303BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20220303BHJP
【FI】
B29C64/40
B29C64/118
B29C64/209
B29C64/314
B29C64/35
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/00
B33Y40/20
B33Y70/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135390
(22)【出願日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】17/004,766
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ナヴィーン・チョプラ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ナピック
(72)【発明者】
【氏名】シド・モシン・アリ
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・エル・ベレリー
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA01
4F213AA19
4F213AA24
4F213AB02
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL23
4F213WL24
4F213WL25
4F213WL27
4F213WL55
4F213WL56
4F213WL62
4F213WW02
4F213WW38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】積層造形中に支持を必要とする張り出し構造の問題に対して、除去可能な支持体を短時間で排除し、構築材料からの分離を容易にし、排除を促進するための材料を提供する。
【解決手段】積層造形中に支持構造を形成するのに好適なポリマーフィラメントは、ポリマー材料と、ポリマー材料が液相を含む少なくとも1つの流体と接触しているときに発泡するのに有効な量で、ポリマー材料と混合されたガス発生物質と、を含み得る。積層造形プロセスは、構築材料及び除去可能な支持体を(例えば、印刷ベッド上に)堆積させることによって支持された部品を形成することを含み得、構築材料の少なくとも一部分は、除去可能な支持体上に堆積される。ポリマー材料が溶解又は分解する流体にガス発生物質を曝露することにより、ガスの発生が促進されて、発泡による除去可能な支持体の排除が容易になり得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーフィラメントであって、
ポリマー材料であって、液相を含む少なくとも1つの流体と接触したときの溶解、化学反応によって生じる溶解、前記少なくとも1つの流体中の前記ポリマー材料の溶解度特性、又はこれらの任意の組み合わせを呈する、ポリマー材料と、
ガス発生物質であって、前記ポリマー材料が少なくとも1つの流体と接触しているときに発泡を起こすのに有効な量で、前記ポリマー材料と混合されている、ガス発生物質と、を含む、ポリマーフィラメント。
【請求項2】
前記ポリマー材料は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む、請求項1に記載のポリマーフィラメント。
【請求項3】
前記ポリマー材料は、水溶性又は酸分解性である、請求項1に記載のポリマーフィラメント。
【請求項4】
前記ガス発生物質は、約1重量%~約10重量%の前記ポリマーフィラメントを含む、請求項1に記載のポリマーフィラメント。
【請求項5】
前記ガス発生物質は、炭酸塩、重炭酸塩、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項1に記載のポリマーフィラメント。
【請求項6】
前記ポリマー材料は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキサゾリン、セルロースエステル、ポリ乳酸、ポリラクテート、ポリエチレンオキシド、ポリカプロラクトン、これらの任意のコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む、請求項1に記載のポリマーフィラメント。
【請求項7】
前記ポリマー材料と混合された固体酸を更に含み、前記固体酸は、水性流体の存在下で前記ガス発生物質を活性化してガスを放出することができる、請求項1に記載のポリマーフィラメント。
【請求項8】
積層造形プロセスであって、
構築材料及び除去可能な支持体を堆積させることによって支持された部品を形成することであって、前記構築材料の少なくとも一部分は、前記除去可能な支持体上に堆積され、
前記除去可能な支持体は、水溶性又は酸分解性であるポリマー材料と、前記ポリマー材料が液相を含む少なくとも1つの流体と接触しているときに発泡を起こすのに有効な量で、前記ポリマー材料と混合されたガス発生物質と、を含み、前記ポリマー材料は、前記少なくとも1つの流体中に溶解可能又は分解可能である、ことと、
前記支持された部品の少なくとも一部分を前記少なくとも1つの流体に曝露することであって、
前記ガス発生物質は、前記少なくとも1つの流体中で反応して発泡を促進し、前記発泡は、前記除去可能な支持体の少なくとも一部分の崩壊、前記除去可能な支持体の少なくとも一部分の分解、前記除去可能な支持体の少なくとも一部分の溶解、前記除去可能な支持体の少なくとも一部分の前記構築材料からの分離、又はこれらの任意の組み合わせを促進する、ことと、
前記除去可能な支持体の崩壊、分解、溶解、分離、又はこれらの任意の組み合わせの後に、支持されていない部品を取得することと、を含む、積層造形プロセス。
【請求項9】
前記構築材料及び前記除去可能な支持体は、熱溶解フィラメント製造技法を使用して堆積され、前記除去可能な支持体は、前記ポリマー材料と、前記ポリマー材料と混合された前記ガス発生物質と、を含むポリマーフィラメントから堆積される、請求項8に記載の積層造形プロセス。
【請求項10】
前記構築材料及び前記除去可能な支持体は、二重押出成形機印刷ヘッドから堆積される、請求項8に記載の積層造形プロセス。
【請求項11】
前記構築材料は、1つ以上の張り出し場所で前記除去可能な支持体上に堆積される、請求項8に記載の積層造形プロセス。
【請求項12】
前記除去可能な支持体は、約1重量%~約10重量%の前記ガス発生物質を含む、請求項8に記載の積層造形プロセス。
【請求項13】
前記ガス発生物質は、炭酸塩、重炭酸塩、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項8に記載の積層造形プロセス。
【請求項14】
前記ポリマー材料は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む、請求項8に記載の積層造形プロセス。
【請求項15】
前記ポリマー材料は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキサゾリン、セルロースエステル、ポリ乳酸、ポリラクテート、ポリエチレンオキシド、ポリカプロラクトン、これらの任意のコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つポリマーを含む、請求項8に記載の積層造形プロセス。
【請求項16】
前記除去可能な支持体は、前記ポリマー材料と混合された固体酸を更に含み、前記固体酸は、水性流体の存在下で前記ガス発生物質を活性化してガスを放出することができる、請求項8に記載の積層造形プロセス。
【請求項17】
複合組成物であって、
合成ポリマー材料であって、液相を含む少なくとも1つの流体と接触したときの溶解、化学反応によって生じる溶解、前記少なくとも1つの流体中の前記合成ポリマー材料の溶解度特性、又はこれらの任意の組み合わせを呈する、合成ポリマー材料と、
ガス発生物質であって、前記ポリマー材料が前記少なくとも1つの流体と接触しているときに発泡を起こすのに有効な量で、前記合成ポリマー材料と混合されている、ガス発生物質と、を含む、複合組成物。
【請求項18】
前記合成ポリマー材料は、水溶性又は酸分解性であり、前記ガス発生物質は、水又は酸の存在下で発泡する、請求項17に記載の複合組成物。
【請求項19】
前記ガス発生物質は、炭酸塩、重炭酸塩、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項17に記載の複合組成物。
【請求項20】
前記合成ポリマー材料は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキサゾリン、セルロースエステル、ポリ乳酸、ポリラクテート、ポリエチレンオキシド、ポリカプロラクトン、これらの任意のコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む、請求項17に記載の複合組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
該当なし。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、積層造形(ADDITIVE MANUFACTURING)に関し、より具体的には、1つ以上の張り出し又は製造中に一時的な支持を必要とする他の複雑なアーキテクチャを有する複雑な部品を生産するために採用され得る、分解可能な印刷材料を特徴とする積層造形プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
三次元(three-dimensional、3-D)印刷としても知られる積層造形は、急速に成長している技術分野である。積層造形は、従来、ラピッドプロトタイピング活動に使用されてきたが、この技法は、任意の数の複雑な形状で商用部品及び工業部品を生産するためにますます採用されている。積層造形プロセスは、1)溶融印刷材料の流れ、又は2)印刷材料の粉末粒子のいずれかの層ごとの堆積によって動作する。層ごとの堆積は、通常、製造される部品のデジタル三次元「青写真」に基づいて正確な場所に印刷材料を堆積させるために、コンピュータの制御下で行われ、印刷材料の圧密化が堆積と共に行われて、印刷部品が形成される。印刷部品の本体を形成する印刷材料は、本明細書では「構築材料」と称され得る。
【0004】
部品形成のために溶融印刷材料の流れを用いる積層造形プロセスは、典型的には、溶融印刷材料の供給源として熱可塑性ポリマーフィラメントを利用する。かかる積層造形プロセスは、時おり、「熱溶解積層(fused deposition modeling)」プロセス又は「熱溶解フィラメント製造(fused filament fabrication、FFF)」プロセスと称される。
以後、後者の用語が使用される。
【0005】
印刷材料の粉末粒子を用いる積層造形プロセスは、印刷材料の堆積後に選択場所での更なる加熱を利用して、圧密化された部品への粉末粒子の融合を促進する。特定の実施例では、粉末粒子の融合は、圧密化された部品の形成を促進するために選択的レーザー焼結(Selective Laser Sintering、SLS)を使用して行われてもよい。粉末粒子の圧密化を促進するのに好適な他の技法としては、例えば、粉末床溶融結合法(Power Bed Fusion、PBF)、電子ビーム溶融(Electron Beam Melting、EBM)、結合剤噴射、及びマルチジェットフュージョン(Multi-Jet Fusion、MJF)が挙げられる。
【0006】
様々な形状の広範囲の部品が、両タイプの積層造形プロセスを使用して製造され得る。両タイプの積層造形プロセスに関連付けられた1つの制限は、「付加的に」製造される部品のために、部品の層ごとの構築のために印刷材料を堆積させるための基礎をなす構造がなければならない。印刷部品の初期層は、三次元プリンタの印刷ベッド上に堆積されてもよく、後続層は次いで、最初に堆積された層の上に堆積されてもよい。粉末堆積プロセスの場合、後続層は、基礎をなす粉末ベッドの層によって支持されてもよく、圧密されて部品の一部分が形成されるか又は圧密されないままであるかのいずれであってもよい。部品の張り出し領域は、本質的に自己支持されるように、粉末ベッド内の基礎をなす非圧密粒子によって支持されてもよい。対照的に、熱溶解フィラメント製造法など、溶融印刷材料の堆積によって製造された部品は、印刷材料から形成される対応する支持構造を欠く。熱溶解フィラメント製造プロセスにおいて印刷ベッドから印刷部品が成長するにつれて、部品の形状により、印刷ベッドと又は前もって堆積された印刷材料の層とはもはや直接接触することができない、張り出し及び同様の構造が存在する場合がある。張り出し及び同様の構造を有する部品は、基礎をなす支持体の存在なく印刷材料を自由空間に堆積させることができないため、結果として熱融解フィラメント製造法によって直接印刷することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
積層造形中に支持を必要とする張り出し及び同様の構造の問題に対する解決策として、一般的な方策は、構築材料及び犠牲材料を同時に堆積させることであり、犠牲材料は、その上に構築材料を堆積させるための除去可能な支持体として形成され得る。構築材料及び犠牲材料は、構築材料及び犠牲材料を別個に提供するための2つの押出成形機を備える印刷ヘッドから堆積されてもよく、又は別個の印刷ヘッドが使用されてもよいがあまり一般的ではない。部品の印刷が完了すると、犠牲材料は、印刷部品から除去可能な支持体を排除するために分解、崩壊、又は溶解されて、支持されていない部品がもたらされ得る。非限定的な例では、除去可能な支持体は、支持された部品を溶媒に接触させることによって排除されてもよく、溶媒中、犠牲材料は可溶性又は分解性であり、構築材料は安定的かつ不溶性である。犠牲材料を除去するためのこの手法は通常有効であるが、除去可能な支持体を排除するために必要な時間は、多くの場合、望ましい時間よりもはるかに長く、時として、除去可能な支持体の構築材料からの不完全な分離が生じ得る。除去可能な支持体の排除を促進するために使用される有機溶媒は高価である場合があり、時として、構築材料の膨化又は可塑化を促進し得る。
【0008】
本開示は、積層造形に使用するのに好適なポリマーフィラメントを提供する。ポリマーフィラメントは、ポリマー材料と、ポリマー材料が液相を含む少なくとも1つの流体と接触しているときに発泡を起こすのに有効な量でポリマー材料と混合されたガス発生物質と、を含む。ポリマー材料は、少なくとも1つの流体と接触したときに溶解を呈し、溶解は化学反応、少なくとも1つの流体中のポリマー材料の溶解度特性、又はこれらの任意の組み合わせによって生じる。
【0009】
本開示はまた、1つ以上の張り出し場所を有する部品の積層造形のためのプロセスを提供する。このプロセスは、構築材料及び除去可能な支持体を堆積させることによって支持された部品を形成することであって、構築材料の少なくとも一部分は、除去可能な支持体上に堆積される、ことと、支持された部品の少なくとも一部分を、ポリマー材料が溶解又は分解する液相を含む少なくとも1つの流体に曝露することと、除去可能な支持体の崩壊、分解、溶解、分離、又はそれらの任意の組み合わせの後に、支持されていない部品を得ることと、を含む。除去可能な支持体は、水溶性又は酸分解性であるポリマー材料と、ポリマー材料が少なくとも1つの流体と接触しているときに発泡を起こすのに有効な量でポリマー材料と混合されたガス発生物質と、を含む。ポリマー材料は、少なくとも1つの流体中で溶解性又は分解性である。ガス発生物質は、少なくとも1つの流体中で反応して発泡を促進し、発泡は、除去可能な支持体の少なくとも一部分の崩壊、除去可能な支持体の少なくとも一部分の分解、除去可能な支持体の少なくとも一部分の溶解、除去可能な支持体の少なくとも一部分の構築材料からの分離、又はこれらの任意の組み合わせを促進する。
【0010】
本開示は、液体相を含む少なくとも1つの流体と接触したときに溶解を呈する合成ポリマー材料と、合成ポリマー材料が少なくとも1つの流体と接触しているときに発泡を起こすのに有効な量で合成ポリマー材料と混合されたガス発生物質と、を含む、複合組成物をなお更に提供する。溶解は、化学反応、少なくとも1つの流体中の合成ポリマー材料の溶解度特性、又はこれらの任意の組み合わせによって生じる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の図は、本開示の特定の態様を例示するために含まれ、排他的な実施形態として見られるべきではない。開示される主題には、その形態及び機能において、当業者が想到し、しかも本開示の利益を有するような、相当な修正、変更、組み合わせ、及び等価物を考えることができる。
【0012】
図lA】図lAは、1つ以上の張り出しを有する例示的な部品の概略図を示す。
図1B図1Bは、除去可能な支持体と接触する1つ以上の張り出しを有する例示的な支持された部品の概略図を示す。
【0013】
図2図2は、張り出しを有する部品を製造するための例示的な熱溶解フィラメント製造プロセスの概略図を示す。
【0014】
図3図3は、部品と印刷ベッドとの間に介在する第1の除去可能な支持体と、部品の2つの部分の間に介在する第2の除去可能な支持体と、を有する、例示的な部品の概略図を示す。
【0015】
図4A図4Aは、ガス発生物質が、積層造形中の除去可能な支持体の除去を速め得る様子を示す例示的な概略図を示す。
図4B図4Bは、ガス発生物質が、積層造形中の除去可能な支持体の除去を速め得る様子を示す例示的な概略図を示す。
図4C図4Cは、ガス発生物質が、積層造形中の除去可能な支持体の除去を速め得る様子を示す例示的な概略図を示す。
【0016】
図5図5は、支持されていない部品をもたらすための除去可能な支持体の崩壊及び除去を示す例示的な概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、概して、積層造形に関し、より具体的には、1つ以上の張り出しを有する複雑な部品を製造するために採用され得る、分解性印刷材料を特徴とする積層造形プロセスに関する。更により具体的には、本開示は、支持されていない部品を提供するための犠牲材料の迅速な除去を特徴とする積層造形プロセスに関する。発泡促進下で溶解可能又は分解可能なポリマーフィラメント及び複合組成物についても記載される。
【0018】
上述のように、熱溶解フィラメント製造プロセスなどの積層造形プロセスは、広範囲の形状で部品を生成するための強力なツールである。場合によっては、積層造形によって生成される部品の形状は、構築材料を特定の形状に堆積させる除去可能な支持体を提供するために、犠牲材料の使用を必要とし得る。印刷部品からの犠牲材料の除去は、時として時間がかかるか、又は不完全であり得、場合によっては、処理量を制限するか又は部品の品質を低下させることになり得る。
【0019】
積層造形プロセスにおける犠牲材料の除去に時間がかかること又は除去が不完全であることの解決策として、本開示は、複合組成物、ポリマーフィラメント、及びそれらを用いて行われる積層造形プロセスであって、水溶性若しくは酸分解性であるポリマー材料など、液相を含む少なくとも1つの流体において可溶性であるポリマー材料と混合されたガス発生物質を特徴とする、積層造形プロセスについて説明する。ポリマー材料としては、積層造形プロセス中に除去可能な支持体を形成する際に従来使用されているもののいずれかが挙げられてよい。同様に、本明細書の開示における構築材料は、積層造形プロセスで従来使用されているもののうちのいずれかから選択されてもよい。本開示において、ガス発生物質は、発泡として知られるプロセスである、水又は水性酸などの液相を含む少なくとも1つの流体と接触しているときに気泡を形成する化合物である。ガス発生物質から生成される気泡は、除去可能な支持体を弱体化し、その溶解、分解、崩壊、及び/又は構築材料からの分離を促進する力を提供し得る。気泡は、例えば、任意の理論又は機構によって拘束されることなく、除去可能な支持体の剥離、層間剥離、及び/又は溶解を増加させること、機械的一体性が低下するにしたがい、除去可能な支持体の断片を分離すること、除去可能な支持体の多孔性を増加させて、溶媒接触の増加を促進すること、機械的撹拌を提供すること、又はこれらの任意の組み合わせを含む、様々な方法でこれらの行為を容易にし得る。有利には、ガス発生物質は、ガス発生前のポリマーフィラメント又は除去可能な支持体の機械的一体性を損なうことなく、発泡による除去可能な支持体の排除を促進するのに十分な量で、積層造形に使用するのに好適なポリマーフィラメントに混合されてもよい。更に有利には、ガス発生物質は、熱溶解フィラメント製造及び他の積層造形プロセスにおいて従来使用されている犠牲材料の多くと適合性がある。場合によっては、ガス発生物質は、印刷中に追加の機械的補強を提供し得る。
【0020】
本開示の様々な態様を更に詳細に論じる前に、複雑な部品の製造を促進するために除去可能な支持体を利用する積層造形プロセス、特に熱溶解フィラメント製造プロセスの簡単な考察が、本開示の特徴をより良く理解し得るよう、最初に記載される。図1Aは、除去可能な支持体を使用した積層造形によって製造され得る例示的な部品100の概略図を示す。図1Aに示すように、部品100は、積層造形プロセス中に印刷ベッドと直接接触することができない張り出し102を含む。製造中の印刷ベッドに対する部品100の位置決めは、図1Aに破線で示されており、印刷ベッドはこの図には示されていない。張り出し102は、除去可能な支持体を用いずに積層造形プロセス中に製造することはできないが、これは、除去可能な支持体を用いないと、部品100の張り出し部分を付加的に製造するために構築材料を堆積させる表面が存在しないためである。対照的に、部分100の非張り出し部分104は、構築材料の層ごとの堆積によって印刷ベッドから直接構築され得る。
【0021】
図1Bは、除去可能な支持体106と張り出し部分112で接触している、例示的な部品100の概略図を示す。除去可能な支持体106は、印刷ベッド108と部品100の張り出し部分112との間に介在する。以下に更に説明するように、部品100の製造中、別個の印刷材料が、部品100及び除去可能な支持体106を製造するために使用されてもよい。部品100の非張り出し部分104は、印刷ベッド108上に第1の印刷材料を層ごとに直接堆積させることによって形成され得る。非張り出し部分104の形成と同時に、印刷ベッド108上に第2の印刷材料を層ごとに直接堆積させることによって、除去可能な支持体106が形成され得る。除去可能な支持体106は、望ましくは第1の印刷材料と第2の印刷材料との間の境界面での混合が最小限であるか又は混合しない状態で、部品100と隣接し得る。部品100が所望の形状で製造されると、部品100は印刷ベッド108から分離されてもよく、除去可能な支持体106は排除されて、支持されていない部品がもたらされ得る。除去可能な支持体106の排除を促進することに関連付けられた具体的な詳細は、以下に提供される。
【0022】
図2は、張り出しを有する部品を生産するための例示的な熱溶解フィラメント製造プロセスの概略図を示す。図2に示すように、印刷ヘッド200は、第1の押出成形機202a及び第2の押出成形機202bを含み、これらはそれぞれ、フィラメント状印刷材料を受容するように構成されている。具体的には、第1の押出成形機202aは、第1の供給リール206aから第1のフィラメント204aを受容し、第1の印刷材料の溶融流208aを提供するように構成され、第2の押出成形機202bは、第2の供給リール206bから第2のフィラメント204bを受容し、第2の印刷材料の溶融流208bを提供するように構成されている。両方の溶融流は、最初に印刷ベッド(図2に示さず)上に堆積され、支持された部品220の層ごとの成長を促進する。第1の押出成形機202aによって供給される第1の印刷材料は、部品210を製造するために使用される構築材料であってもよく、第2の押出成形機202bによって供給される第2の印刷材料は、張り出し214の下に除去可能な支持体212を製造するために使用される犠牲材料であってもよい。図2に示す配置では、除去可能な支持体212は、張り出し214と印刷ベッドとの間に介在しているが、代替的に構成される部品では、除去可能な支持体214は、部品210の2つ以上の部分の間に介在し得ることを理解されたい。図3は、例えば、除去可能な支持体302が、部品300間に画定された張り出しと印刷ベッド304との間に介在する例示的な部品300を示し、除去可能な支持体306は、部品300の2つの部分の間に介在する。非限定的な例では、第1の印刷材料及び第2の印刷材料は、熱可塑性ポリマーを含んでもよい。
【0023】
再び図2を参照すると、部品210及び除去可能な支持体212の印刷が完了すると、アセンブリ220は、除去可能な支持体212の除去(排除)をもたらし、部品210を、張り出し214が支持されていない状態にする、支持体除去条件225に晒され得る。本開示によって提供される支持体除去条件225としては、少なくとも1つの流体との接触が生じたときに、除去可能な支持体212内でのガスの発生をもたらすものが挙げられ得る。好適な流体は、前述の任意の乳化形態を含む、液体、液体-液体混合物、液体-液体溶液、液体-固体混合物、液体中又は液体混合物中の溶解固溶体、ガス-液体混合物、液体中の溶解ガス、ガス-液体-固体混合物などの液層を含み得る。除去可能な支持体212を含む様々な組成物では、ガスの発生は、以下に更に詳細に記載されるように、部品210からの除去可能な支持体212の分離、崩壊、分解、溶解、及び/又は除去を速め得る。
【0024】
本開示によれば、積層造形中に除去可能な支持体を形成するために使用されるポリマーフィラメントは、水溶性又は酸分解性である熱可塑性ポリマーなどのポリマー材料と混合されたガス発生物質を含んでもよい。本明細書で使用するとき、用語「ポリマー材料」は、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーの両方を指し、これらのいずれかの除去は、本明細書の開示による発泡によって容易になり得る。用語「ポリマー材料」は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなど、及びこれらの任意の組み合わせを包含する。ポリマー材料は、液相を含む少なくとも1つの流体と接触したときに溶解を呈し得、溶解は、化学反応、少なくとも1つの流体中のポリマー材料の溶解度特性、又はこれらの任意の組み合わせによって生じる。すなわち、ポリマー材料は、1つ以上の溶解プロセスによって液相中に少なくとも部分的な溶解度特性を有し得る。ガス発生物質は、少なくとも1つの流体中にガスを生成し、前述の溶解プロセスを容易にするように活性化し得る。ガス発生物質は、部品の構築材料からのその除去、分解、崩壊、溶解、及び/又は分離を速めるために、除去可能な支持体全体に分散化し得る。特定のプロセス構成では、水又は水性酸などの水性流体と接触すると、ガス発生物質が活性化して、除去可能な支持体内にガスが形成され得る。水又は水性酸がガス発生を促進する場合、ガス発生プロセスは発泡と称され得る。固体酸はまた、ポリマーフィラメント又は除去可能な支持体内に存在してもよく、固体酸は、水性流体の存在下で、ガス発生物質を活性化してガスを放出し得る。
【0025】
図4A図4Cは、ガス発生物質が、積層造形中の除去可能な支持体の除去を速め得る様子を示す例示的な概略図を示す。図4Aに示すように、除去可能な支持体400は、水溶性又は酸分解性である熱可塑性ポリマーなどのポリマー材料を含むマトリックス402を含み、その中に、複数のガス発生粒子404としてガス発生物質が混合される。水溶解及び酸分解の両方とも、本明細書の開示によるガス発生により強化され得る。除去可能な支持体400の表面部分406は、流体408に接触し得、流体408はガス発生粒子404を活性化してガスを形成するのに有効である。ポリマー材料はまた、化学反応(例えば、分解)によって、及び/又はその中での溶解度特性によって流体408中に溶解し得る。図4Aは、表面部分406を実質的に覆う流体408の液滴又は層を描写しているが、除去可能な支持体400(及びそれと隣接する付加的に製造された部品)は、本明細書に記載されるものと同様の結果を得るために、流体408に完全に又は部分的に浸漬されてもよいことを理解されたい。支持された部分を流体408と接触させることは、除去可能な支持体408の所望の量の除去が行われるのに十分な時間の長さにわたって行われてもよい。
【0026】
マイクロチャネル410は、表面部分406とガス発生粒子404の少なくとも一部分との間に流体連通をもたらすことができ、それにより、流体408がマトリックス402内に浸透して、ガスの形成を促進することが可能になる。図4Bに示すように、ガス発生粒子404の一部分は、流体408と接触し、化学反応を起こしてマトリックス402内にガスポケット412を形成する。ガスポケット412は、1つ以上の相補的機構による除去可能な支持体400の崩壊を促進し得る、気泡形成につながり得る。いかなる理論によっても制限されることなく、ガス発生粒子404の一部分をガスポケット412に変換することにより、マトリックス402内の内側表面積が増加し、それによって、除去可能な支持体400の迅速な崩壊、分解、又は溶解を促進するための流体408のより大きな表面接触がもたらされ得る。加えて、ガスポケット412は、マトリックス402に内圧を加えることができ、マトリックス402の少なくとも一部分の機械的破断を更に促進し得る。
【0027】
図4Cは、除去可能な支持体400の部分分解及び除去可能な支持体400からのガス440の放出後の、除去可能な支持体400の例示的な概略図を示す。図4Cは、依然として存在するマトリックス402の断片442を示しているが、本明細書の開示によるマトリックス402の組成及びマトリックス402の破断の仕方に応じて、別個の断片442が形成される場合又は形成されない場合があることを理解されたい。例えば、ガス440の流出は、別個の断片442を形成することなく、内部撹拌を通してマトリックス402の溶解を単純に促進する場合もあり、かつ/又は断片442は、マトリックス402から分離された後に攪拌下で急速溶解を起こす場合もある。形成された断片442の形状及び数は、例示的かつ非限定的であることを更に理解されたい。断片442又は等価な崩壊生成物が形成されると、更なる表面積がマトリックス402上又はマトリックス402内で露出され、その際に、本明細書の開示による、除去可能な支持体400の、更にガスに促進される除去が行われ得る。
【0028】
図5は、支持されていない部品をもたらすための除去可能な支持体の崩壊及び除去を示す例示的な概略図を示す。図示のように、支持部品502は、本明細書の開示によるガス発生物質を含む除去可能な支持体500と最初に隣接している。その後、除去可能な支持体500は、少なくとも部分的な崩壊、溶解、及び/又は分解を起こして、断片504を形成している。最後に、除去可能な支持体500の除去が完了すると、支持されていない部品510が提供される。
【0029】
したがって、本開示は、積層造形によって部品を形成するためのプロセスを提供し、該プロセスにおいて、除去可能な支持体は、部品の張り出し又は類似の特徴の形成を容易にするために使用され、次いで、除去可能な支持体は、少なくとも1つの流体と接触することによって容易になるその場でのガスの発生を促進させながら、後続の分解又は同様の除去を起こす。部品及び除去可能な支持体は、それぞれ、別個の印刷材料、構築材料、及び可溶性又は分解性支持材料から形成されてもよい。より具体的には、かかる積層造形プロセスは、構築材料及び除去可能な支持体を堆積させることによって支持された部品を形成することであって、構築材料の少なくとも一部分は、除去可能な支持体上に堆積される、ことと、支持された部品の少なくとも一部分を、ポリマー材料が溶解可能又は分解可能である水又は酸などの液相を含む少なくとも1つの流体に曝露することと、除去可能な支持体の崩壊、溶解、分解、分離、又はそれらの任意の組み合わせの後に、支持されていない部品を得ることと、を含み得る。除去可能な支持体は、水溶性又は酸分解性である熱可塑性ポリマーなどのポリマー材料、及びポリマー材料と混合されたガス発生物質を含んでもよい。ガス発生物質は、ポリマー材料が少なくとも1つの流体と接触しているときの化学反応を介して発泡を起こすのに有効な量で存在し、それにより、発泡は、除去可能な支持体の少なくとも一部分の崩壊、除去可能な支持体の少なくとも一部分の分解、除去可能な支持体の少なくとも一部分の溶解、除去可能な支持体の少なくとも一部分の除去可能な支持材料の、構築材料からの分離、又はこれらの任意の組み合わせを促進する。水溶性又は酸分解性熱可塑性ポリマーは、特に、本開示による発泡促進下でその分解速度を向上させ得る。
【0030】
より具体的な実施例では、構築材料及び除去可能な支持体が、図2に例示的に示される二重押出成形機の印刷熱及び印刷プロセスを使用するなど、熱溶解フィラメント製造技法を使用して堆積されるように、積層造形プロセスが実施され得る。かかる熱溶解フィラメント製造プロセスは、ポリマーフィラメントを利用して、除去可能な支持体にポリマー材料を提供することができ、ポリマーフィラメントは、本明細書で更に詳細に記載されるように、ポリマー材料と、ポリマー材料が水又は水性酸などの少なくとも1つの流体と接触しているときの発泡による、熱可塑性ポリマーの分解又は溶解を促進するのに有効な量で、ポリマー材料と混合されるガス発生物質と、を含む。除去可能な支持体に好適なポリマー材料を以下に示す。同じく以下に例が示される構築材料も、かかるプロセスにおいて、フィラメント形態で二重押出成形機印刷ヘッドに供給される。
【0031】
本開示のプロセスにおいて好適なガス発生物質、及びそれと共に使用可能なポリマーフィラメントは、水又は酸と反応してガスを形成する物質、特に水性酸を含み得る。ガス発生物質が水又は水性酸と反応する場合、ガス発生物質は発泡性化合物を含み得る。発泡性の特に好適なガス発生物質は、炭酸塩、重炭酸塩、又はこれらの任意の組み合わせである少なくとも1つの化合物を含み得、生成されるガスは二酸化炭素である。本明細書の開示によるガスの発生を促進するのに好適な炭酸塩及び重炭酸塩としては、限定するものではないが、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。
【0032】
ガス発生物質は、除去可能な支持体又はその製造に使用されるポリマーフィラメント中に、少なくとも1つの流体と接触しているときに発泡を起こすのに有効な量、例えば、水又は水性酸などのガス発生物質を活性化する少なくとも1つの流体と接触しているときに、除去可能な支持体の崩壊、分解、溶解などの除去を促進するために有効な量で存在し得る。ガス発生物質の好適な量としては、ポリマー材料に関して測定したときに、ポリマーフィラメントの約1重量%以上が挙げられ得る。加えて、ガス発生物質は、ポリマーフィラメントの機械的一体性が損なわれず、犠牲材料は依然として押出可能なままであるような量で存在し得る。ポリマーフィラメントの機械的一体性及び押出成形性を維持するためのガス発生物質の好適な量は、ポリマー材料に関して測定したときに、ポリマーフィラメントの約10重量%以下が挙げられ得る。したがって、ガス発生物質を含むポリマーフィラメント及びそこから形成される除去可能な支持体は、ポリマー材料に関して測定したときに、約1重量%~約10重量%のガス発生物質を含み得る。より具体的な例では、ポリマーフィラメント及び/又は除去可能な支持体は、それぞれポリマー材料に関して測定したときに、約1重量%~約2重量%のガス発生物質、又は2重量%~約4重量%のガス発生物質、又は3重量%~約5重量%のガス発生物質、又は4重量%~約6重量%のガス発生物質、又は5重量%~約7重量%のガス発生物質、又は6重量%~約8重量%のガス発生物質、又は7重量%~約10重量%のガス発生物質を含み得る。
【0033】
ガス発生物質からのガス発生を促進するために使用される酸は、水性酸溶液であってもよい。例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸などの水性鉱酸溶液を使用して、ガス発生を促進することができる。同様に、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸などの有機酸、又はこれらの水溶液を使用して、ガス発生を促進することができる。酸の濃度は、ガス発生物質との反応を促進するのに少なくとも十分であり得る。必要に応じて、より高い酸濃度を使用して、除去可能な支持体を形成する犠牲材料の少なくとも部分的な分解を促進することもできる。例えば、酸分解性ポリマー材料は、ポリマーフィラメント中に存在し、本明細書の開示による犠牲材料として使用されてもよい。
【0034】
ポリマーフィラメント及び除去可能な支持体は、作業性添加剤も更に含んでもよい。1つの非限定的な例では、グリセロールは、好適な作業性添加剤であり得る。任意選択的に存在し得る他の作業性添加剤としては、限定するものではないが、例えば、約200~約10,000、又は約200~約1,000などの十分に低い分子量を有するフタル酸塩(例えばフタル酸ジブチル)又はポリエチレングリコールなどの可塑剤が挙げられる。好適な可塑剤は、国際特許出願公開第2017/100447号に記載されているように、ガラス転移温度(T)を低下させることによって、積層造形プロセス中の層間接着を改善し得る。
【0035】
上述のように、ガス発生物質は、水又は酸、特に水性酸と反応して、ガスの形成を促進し得る。あるいは、固体酸はまた、ポリマーフィラメント、及びガス発生物質と組み合わせてポリマーフィラメントから形成される除去可能な支持体に混合されてもよく、ガス発生物質及び固体酸は、固体として混合されたときに実質的なガスを形成しない。水性流体と接触すると、固体酸は溶解し、本明細書の開示によるガスの発生をもたらし得る。固体酸は、例えば、支持された部品を水性酸と直接接触させることが望ましくない場合、又は除去可能な支持体の崩壊速度が低すぎる場合、ポリマーフィラメント及び除去可能な支持体に組み込まれてもよい。水が除去可能な支持体に浸透し、固体酸と接触すると、水性酸溶液は、除去可能な支持体内においてその場で形成されて、ガス発生物質との反応によってガスの発生を促進し得る。ガス発生物質と組み合わせてポリマーフィラメント及び/又は除去可能な支持体中に好適に存在し得る固体酸としては、有機酸、例えば、限定するものではないが、酒石酸、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、安息香酸、ナフトエ酸、スルファミン酸、アスコルビン酸、乳酸、糖酸、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。固体酸がポリマーフィラメントに含まれる場合、固体酸は、それぞれポリマー材料に関して測定して、約1重量%~約80重量%、又は約1重量%~約10重量%、又は約5重量%~約25重量%、又は約5重量%~約20重量%の範囲の量で存在し得る。含まれる固体酸の量は、固体酸のpKaの関数として様々であり得る。
【0036】
熱可塑性ポリマーは、本明細書の開示で使用するのに特に好適なポリマー材料であり得る。本明細書の開示によるポリマーフィラメント及び/又は除去可能な支持体を形成するための好適な熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリマーが、フィラメント内に十分に形成され、押出成形され、その後、除去可能な支持体として配置されたときに十分な速度で崩壊、分解、溶解などを起こし得る限り、特に限定されないものと考えられる。液相を含む少なくとも1つの流体に溶解可能な合成ポリマー材料と、ポリマー材料と混合されたガス発生物質と、を含む、フィラメント系及び非フィラメント系の両形態を含む複合組成物も、本明細書において企図される。本明細書で論じられるように、除去可能な支持体の除去速度は、ガスの発生によって向上され得る。ガスの発生は、熱可塑性ポリマーの溶解及び/又は酸分解を加速し得る。本明細書の開示で使用するのに好適な熱可塑性ポリマーとしては、限定するものではないが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキサゾリン(例えば、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン))、セルロースエステル、ポリ乳酸、ポリラクテート、ポリエチレンオキシド、ポリカプロラクトン、これらの任意のコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。特定の実施例では、熱可塑性ポリマーは、水溶性であってもよく、ポリビニルアルコールは、本明細書の開示に使用される特に好適な水溶性熱可塑性ポリマーを表す。他の特定の実施例では、熱可塑性ポリマーは酸分解性であってもよく、ポリ乳酸は、特に好適な酸分解性熱可塑性ポリマーを表す。ポリ乳酸はまた、構築材料として好適であり得、構築材料として使用される場合、犠牲材料として使用される熱可塑性ポリマーは、ポリ乳酸に有害でない条件(すなわち、非酸性条件)下で分解するように選択されてもよい。
【0037】
犠牲材料として本開示で使用される熱可塑性ポリマーは、押出成形を容易にするのに十分な融点又は軟化温度を特徴とし得る。好適な熱可塑性ポリマーは、約50℃~約300℃、又は約70℃~約275℃、又は約100℃~約200℃、又は約175℃~約250℃の範囲の温度で押出成形を行うことを可能にするのに十分な軟化温度又は融点を呈し得る。融点は、ASTM E794-06(2018)を使用して10℃の昇温速度及び冷却速度で判定することができ、軟化温度はASTM D6090-17を使用して判定することができる。構築材料として使用するのに好適な熱可塑性ポリマーは、同様の範囲内の融点又は軟化温度を呈し得る。
【0038】
熱溶解フィラメント製造プロセスでは、構築材料は同様に、印刷ヘッドで押出成形されるのに好適なポリマーフィラメントに形成されてもよく、典型的には二重押出成形機印刷ヘッドが犠牲材料も分配する。好適な構築材料としては、熱溶解フィラメント製造技法において典型的に使用されるものが挙げられ得るが、構築材料が、除去可能な支持体の除去を促進する条件に曝されたときに、実質的な崩壊、分解などを起こさない限り、特に限定されないものと考えられる。本明細書の開示で使用するのに好適な構築材料としては、限定するものではないが、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルピロリドン-ポリビニルアセテート(PVP-co-PVA)、これらの任意のコポリマー、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。これらは、積層造形に現在用いられている最も一般的な熱可塑性ポリマー構築材料の1つである。他の好適な構築材料としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、及びこれらの様々なコポリマーが挙げられる。ポリマー複合体も、場合によっては好適な構築材料として使用され得る。構築材料が潜在的に反応性(例えば、ポリ乳酸、酸との反応性)である場合、除去可能な支持体を形成するための犠牲材料は、酸がその除去を促進するために使用されないように選択されてもよい。すなわち、構築材料及び犠牲材料は、異なる化学反応性を有するように選択されてもよい。例えば、部品が構築材料としてPLAを用いて形成される場合、除去可能な支持体の熱可塑性ポリマーは、異なる熱可塑性ポリマーを含み、除去可能な支持体の除去を促進するために水性酸を有効に使用することはできない。あるいは、除去可能な支持体が、ガス発生を伴わない構築材料より、その場でのガス発生を通してより迅速に除去され得る場合、構築材料は、場合によっては水溶性又は酸分解性熱可塑性ポリマーを含んでもよく、除去可能な支持体を含むものと同じ熱可塑性ポリマーであってもよい。好適な構築材料は、上で言及したASTM法によって判定されるように、約150℃~約300℃、又は約175℃~約275℃、又は約180℃~約250℃の範囲の温度での押出成形を可能にするのに十分な軟化温度又は融点を呈し得る。PLAは、例えば、約150℃~約160℃の範囲の融点を有する。
【0039】
熱溶解フィラメント製造技法では、構築材料を含む第1のポリマーフィラメントが第1の押出成形機から堆積され得、犠牲材料を含む第2のポリマーフィラメントが第2の押出成形機から堆積されて、除去可能な支持体を形成し得るように、印刷ヘッドは二重押出成形機を含んでもよい。一般に、それぞれのポリマーフィラメントは、直径約0.5mm~約5mm、特に直径約1.5mm~約3.5mmの範囲であり得る。熱溶解製造技法を採用する多くの三次元プリンタの標準フィラメント直径は、1.75mm又は3.0mmである。ポリマーフィラメントが使用者の特定の印刷システムと適合性がある限り、本明細書の開示に従って任意の好適なポリマーフィラメントの直径が使用されてもよいことを認識されたい。同様に、ポリマーフィラメント、特に構築材料を含むポリマーフィラメントの長さ及び/又は色は、特に限定されないものと考えられる。
【0040】
本明細書に開示される実施形態は以下を含む。
【0041】
A.犠牲材料として積層造形に使用するのに好適なポリマーフィラメント。ポリマーフィラメントは、液相を含む少なくとも1つの流体と接触したときの溶解、化学反応によって生じる溶解、少なくとも1つの流体中のポリマー材料の溶解度特性、又はこれらの任意の組み合わせを呈するポリマー材料と、ポリマー材料が少なくとも1つの流体と接触しているときに発泡を起こす有効量で、ポリマー材料と混合されたガス発生物質と、を含む。発泡は、ポリマー材料の分解又は溶解を促進し得る。
【0042】
B.積層造形プロセス。このプロセスは、構築材料及び除去可能な支持体を堆積させることによって支持された部品を形成することであって、構築材料の少なくとも一部分は、除去可能な支持体上に堆積され、除去可能な支持体は、水溶性又は酸分解性であるポリマー材料と、ポリマー材料が液相を含む少なくとも1つの流体と接触しているときに発泡を起こすのに有効な量で、ポリマー材料と混合されたガス発生物質と、を含み、ポリマー材料は、少なくとも1つの流体中に溶解可能又は分解可能である、ことと、支持された部品の少なくとも一部分を少なくとも1つの流体に曝露することであって、ガス発生物質は、発泡を促進するために少なくとも1つの流体中で反応し、発泡が、除去可能な支持体の少なくとも一部分の崩壊、除去可能な支持体の少なくとも一部分の分解、除去可能な支持体の少なくとも一部分の溶解、除去可能な支持体の少なくとも一部分の構築材料からの分離、又はこれらの任意の組み合わせを促進する、ことと、除去可能な支持体の崩壊、分解、溶解、分離、又はこれらの任意の組み合わせの後に支持されていない部品を取得することと、を含む。ポリマー材料は、少なくとも1つの流体中で溶解又は分解し得る。
【0043】
C.内部発泡による崩壊又は分解が可能な複合組成物。複合組成物は、液相を含む少なくとも1つの流体と接触したときの溶解、化学反応によって生じる溶解、少なくとも1つの流体中の合成ポリマー材料の溶解度特性、又はこれらの任意の組み合わせを呈する合成ポリマー材料と、合成ポリマー材料が少なくとも1つの流体と接触しているときに、発泡を起こす有効量で合成ポリマー材料と混合されたガス発生物質と、を含む。発泡は、少なくとも1つの流体中の合成ポリマー材料の分解又は溶解を促進し得る。
【0044】
実施形態A~Cのそれぞれは、以下の追加要素のうちの1つ以上を任意の組み合わせで有してもよい。
【0045】
要素1:ポリマー材料は、水溶性又は酸分解性である。
【0046】
要素1A:ポリマー材料は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む。
【0047】
要素1B:合成ポリマー材料は、水溶性又は酸分解性であり、ガス発生物質は、水又は酸の存在下で発泡する。
【0048】
要素2:ガス発生物質は、約1重量%~約10重量%のポリマーフィラメントを含む。
【0049】
要素3:ガス発生物質が活性化されて、水又は酸の存在下でガスを形成する。
【0050】
要素4:ガス発生物質は、炭酸塩、重炭酸塩、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。
【0051】
要素5:ポリマー材料は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキサゾリン、セルロースエステル、ポリ乳酸、ポリラクテート、ポリエチレンオキシド、ポリカプロラクトン、これらの任意のコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む。
【0052】
要素5A:合成ポリマー材料は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキサゾリン、セルロースエステル、ポリ乳酸、ポリラクテート、ポリエチレンオキシド、ポリカプロラクトン、これらの任意のコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの合成ポリマーを含む。
【0053】
要素6:ポリマー材料は水溶性である。
【0054】
要素7:ポリマー材料はポリビニルアルコールを含む。
【0055】
要素8:ポリマーフィラメントは、ポリマー材料と混合された固体酸を更に含み、固体酸は、水性流体の存在下でガス発生物質を活性化してガスを放出することができる。
【0056】
要素9:構築材料及び除去可能な支持体は、熱溶解フィラメント製造技法を使用して堆積され、除去可能な支持体は、ポリマー材料と、ポリマー材料と混合されたガス発生物質と、を含むポリマーフィラメントから堆積される。
【0057】
要素10:構築材料及び除去可能な支持体は、二重押出成形機印刷ヘッドから堆積される。
【0058】
要素11:構築材料は、1つ以上の張り出し場所で除去可能な支持体上に堆積される。
【0059】
要素12:除去可能な支持体は、約1重量%~約10重量%のガス発生物質を含む。
【0060】
要素13:除去可能な支持体は、ポリマー材料と混合された固体酸を更に含み、固体酸は、水性流体の存在下でガス発生物質を活性化してガスを放出することができる。
【0061】
非限定的な例として、A~Cに適用可能な例示的な組み合わせとしては、限定するものではないが、1及び/又は1A及び/又は1B、及び2;1及び/又は1A及び/又は1B、及び3;1及び/又は1A及び/又は1B、及び4;1及び/又は1A及び/又は1B、及び5/5A;1及び/又はlA及び/又は1B、及び6;1及び/又は1A及び/又は1B、及び8;2及び3;2及び4;2及び5/5A;2及び6;2及び8;4及び5/5A;4及び6;4及び8;並びに5/5A及び8が挙げられる。Bに適用可能な追加の非限定的な例示的実施形態としては、限定するものではないが、9~14のうちの1つ以上と更に組み合わされた前述のいずれか;1及び/又はlA及び/又は1B、及び9;2及び9;3及び9;4及び9;5/5A及び9;6及び9;7及び9;8及び9;1及び/又はlA及び/又は1B、及び10;2及び10;3及び10;4及び10;5/5A及び10;6及び10;7及び10;8及び10;1及び/又は1A及び/又は1B、及び11;2及び11;3及び11;4及び11;5/5A及び11;6及び11;7及び11;8及び11;1及び/又はlA及び/又は1B、及び12;2及び12;3及び12;4及び12;5/5A及び12;6及び12;7及び12;8及び12;1及び/又はlA及び/又は1B、及び13;2及び13;3及び13;4及び13;5/5A及び13;6及び13;7及び13;8及び13;9及び10;9及び11;9及び12;9及び13;9及び14;10及び11;10及び12;10及び13;10及び14;11及び12;11及び13;11及び14;12及び13;12及び14;並びに13及び14が挙げられる。
【0062】
本開示のより良い理解を容易にするために、好ましい又は代表的な実施形態の以下の実施例を示す。以下の実施例は、本発明の範囲を制限するか、又は定義するために読まれるべきではない。
【実施例0063】
ポリビニルアルコールフィラメントを、2つの異なる等級のポリビニルアルコール(PVA):1)87.5モル%の加水分解及び4%の水溶液粘度14cPを有するSELVOL 513S(Sekisui)、並びに2)88.0モル%の加水分解及び4%の水溶液粘度4.0cPを有するSELVOL 203S(Sekisui)を使用して製造した。PVA及び追加成分を、以下に記載される条件及び表1に示す量で、Haakeミキサー内にて180℃でブレンドした。Haakeミキサーを180℃に加熱し、4.0gのグリセロールを添加し、続いて2つのほぼ等しい部分にPVAを添加した。その後、存在する場合は、残りのグリセロールを添加し、続いて必要な量の重炭酸ナトリウムを添加した。15~30分の加熱ブレンド後、ミキサーを停止し、混合物を室温に冷却した。冷却後、混合物をブレンダーで砕き、得られた断片4~5グラムをポリマーフィラメント押出成形用のメルトフローインデックス器具に充填した。メルトフローインデックス器具からのフィラメント押出成形を、2.73mmのダイ及び16.9kgの重量を使用して実施した。
【表1】
【0064】
フィラメント形成後、それぞれのポリマーフィラメントの0.5インチ片を取得し、10%の水性酢酸溶液に入れた。グリセロール添加剤を含まない市販のポリビニルアルコールフィラメント(Ultimaker)も同様の条件下で試験した。表1に示すように、重炭酸ナトリウムを含有するポリマーフィラメント(エントリ3及び4)は、水性酢酸溶液中の接触時間30分以内に剥離され、フィラメントからの気泡形成が観察された。対照的に、グリセロールのみを含有するポリマーフィラメント(エントリ1及び2)及び市販のポリビニルアルコールフィラメントは、同じ期間中に有意な剥離を起こさず、気泡形成も観察されなかった。
【0065】
本明細書に記載される全ての文書は、そのような実施が許可される全ての法域の目的のために、参照により本明細書に組み込まれ、このテキストと矛盾しない範囲で、任意の優先文書及び/又は試験手順を含む。前述の一般的な説明及び具体的な実施形態から明らかなように、本開示の形態が例示及び説明されてきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができる。したがって、本開示はそれにより限定されることは意図されていない。例えば、本明細書に記載される組成物は、本明細書に明示的に列挙又は開示されていない任意の構成成分、又は組成物を含まなくてもよい。任意の方法は、本明細書に列挙又は開示されていないいかなる工程を欠いてもよい。同様に、用語「備える、含む(comprising)」は、用語「含む(including)」と同義であると考えられる。方法、組成物、要素又は要素の群が移行句「備える、含む(comprising)」で先行する場合はいつでも、本発明者らがまた、組成物、要素、又は複数の要素の列挙に先行する移行句「から本質的になる」、「からなる」、「からなる群から選択される」、又は「である」で同じ組成物又は要素の群を企図すること、及びその逆もまた同様であることは理解される。
【0066】
別途記載のない限り、本明細書及び関連する特許請求の範囲で使用される成分、分子量などの特性、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明の実施形態によって得ることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、請求項の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではなく、それぞれの数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。
【0067】
下限及び上限を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、その範囲内にある任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。とりわけ、本明細書に開示される(「約a~約b(from about a to about b)」、又は等しく「約a~b(approximately a to b)」、又は等しく「約a~b(from approximately a-b)」という形態の)値の全ての範囲は、広範な値の範囲内に包含される全ての数及び範囲を記載するものと理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者によって明示的かつ明確に定義されない限り、平易な通常の意味を有する。加えて、請求項で使用するとき、不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書において、それが導入する要素のうちの1つ以上を意味するように定義される。
【0068】
1つ以上の例示的な実施形態が本明細書に提示される。明確にするために、物理的実装の全ての特徴は、本出願に記載又は表示されていない。本開示の物理的な実施形態の開発では、システム関連、ビジネス関連、政府関連、及び他の制約によるコンプライアンスなど、実装によって及び随時に変化する開発者の目標を達成するために、数多くの実装固有の決定がなされなければならないことは理解される。開発者の努力に多くの時間が費やされる可能性があるが、それでも、そのような努力は、本開示の利益を有する当業者にとって日常的な仕事であろう。
【0069】
したがって、本開示は、言及された目標及び利点、並びにそれに固有の目標及び利点を達成するように十分に適合されている。上述の具体的な実施形態は例示的なものに過ぎず、本明細書に教示の利益を有する当業者にとって明らかである、異なるが同等の方法で本開示が修正及び実施され得る。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構造又は設計の詳細に限定することを意図するものではない。したがって、上記に開示された具体的な例示的実施形態が、変更され、組み合わされ、又は修正され得、全てのそのような変形が、本開示の範囲及び趣旨内で考慮されることは明らかである。好適に本明細書に例示的に開示される実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素、及び/又は本明細書に開示される任意の任意選択の要素の不在下で実施されてもよい。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5