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特開2022-40062インクジェット印刷ヘッドのメンテナンス中に印刷ヘッドのフェイスプレートにおけるインク汚れを減少させるためのシステム及び方法
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  • 特開-インクジェット印刷ヘッドのメンテナンス中に印刷ヘッドのフェイスプレートにおけるインク汚れを減少させるためのシステム及び方法 図1
  • 特開-インクジェット印刷ヘッドのメンテナンス中に印刷ヘッドのフェイスプレートにおけるインク汚れを減少させるためのシステム及び方法 図2
  • 特開-インクジェット印刷ヘッドのメンテナンス中に印刷ヘッドのフェイスプレートにおけるインク汚れを減少させるためのシステム及び方法 図3
  • 特開-インクジェット印刷ヘッドのメンテナンス中に印刷ヘッドのフェイスプレートにおけるインク汚れを減少させるためのシステム及び方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040062
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】インクジェット印刷ヘッドのメンテナンス中に印刷ヘッドのフェイスプレートにおけるインク汚れを減少させるためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20220303BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220303BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
B41J2/165 303
B41J2/01 401
B41J2/14 501
B41J2/165 205
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021137047
(22)【出願日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】17/005,937
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エム.・フェラーラ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・エイ.・ヴァンコウウェンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・エム.・ルフェーヴル
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA20
2C056EC07
2C056EC23
2C056EC35
2C056EC37
2C056EC56
2C056FA13
2C056HA11
2C056JA01
2C056JB04
2C056JB07
2C056JB08
2C057AF61
2C057AF71
2C057AG07
2C057AN05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】印刷ヘッドフェイスプレート内のインクジェットアレイの表面全体にわたる良質なワイプを確実にするのに役立つ機構を提供する。
【解決手段】インクジェット印刷ヘッドアセンブリは、アクチュエータに動作可能に接続されたコントローラを含み、そのため、コントローラは、アクチュエータを動作させて、複数の印刷ヘッドが取り付けられているキャリアプレートを印刷ヘッドのパージが行われた後に傾斜させることができる。傾斜は、重力がパージされたインクをワイパーへ移動させることを助け、ワイパーは、コントローラが動作させる別のアクチュエータによって移動して、キャリアプレート内の1つ以上の印刷ヘッドフェイスプレートのうちのフェイスプレートをワイプする。ワイパーがそのホーム位置に戻された後、キャリアプレートはそのレベル位置に戻され、印刷ヘッドアセンブリは印刷のためにその動作位置に戻される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタ用の印刷ヘッドアセンブリであって、
長さ及び幅を有するキャリアプレートと、
前記キャリアプレートに取り付けられた複数の印刷ヘッドと、
前記キャリアプレートの前記長さの一端に位置付けられている、直線運動を行うように構成された部材と、
複数のアクチュエータであって、少なくとも1つのアクチュエータは直線運動を行うように構成された前記部材に動作可能に接続されている、複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータに動作可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラは、前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、直線運動を行うように構成された前記部材を移動させて、前記キャリアプレートの前記一端を移動させ、前記キャリアプレートを傾斜させるように、かつ前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、直線運動を行うように構成された前記部材の動きを逆転させて、前記キャリアプレートをレベル位置に戻すように、構成されている、コントローラと、を備える、印刷ヘッドアセンブリ。
【請求項2】
直線運動を行うように構成された前記部材が、
回転するように構成された部材を更に備え、前記コントローラは、
前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、回転するように構成された前記部材を回転させて、前記キャリアプレートを傾斜させるように、かつ前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、回転するように構成された前記部材の回転を逆転させて、前記キャリアプレートを前記レベル位置に戻すように、更に構成されている、請求項1に記載の印刷ヘッドアセンブリ。
【請求項3】
回転するように構成された前記部材が主ねじである、請求項2に記載の印刷ヘッドアセンブリ。
【請求項4】
前記キャリアプレートの前記傾斜は、前記キャリアプレートが水平であるとき、前記キャリアプレートの水平軸の下に約1インチ~約2インチの範囲内である、請求項3に記載の印刷ヘッドアセンブリ。
【請求項5】
前記複数の印刷ヘッド内の前記印刷ヘッドのそれぞれが、インクジェットのアレイが位置する領域を有するフェイスプレートを有し、疎水性コーティングが、インクジェットの前記アレイが位置する各フェイスプレートの前記領域を覆う、請求項4に記載の印刷ヘッドアセンブリ。
【請求項6】
インクジェットプリンタであって、
長さ及び幅を有するキャリアプレート、前記キャリアプレートに取り付けられた複数の印刷ヘッド、前記キャリアプレートの前記長さの一端に位置付けられている、直線運動を行うように構成された部材、複数のアクチュエータであって、第1のアクチュエータは直線運動を行うように構成された前記部材に動作可能に接続されている、複数のアクチュエータ、並びに前記複数のアクチュエータに動作可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラは、前記第1のアクチュエータを動作させて、直線運動を行うように構成された前記部材を移動させて、前記キャリアプレートの前記一端を移動させ、前記キャリアプレートを傾斜させるように、かつ前記第1のアクチュエータを動作させて、直線運動を行うように構成された前記部材の前記直線運動を逆転させて、前記キャリアプレートをレベル位置に戻すように、構成されている、コントローラ、を有する印刷ヘッドアセンブリと、
前記複数のアクチュエータ内の第2のアクチュエータに動作可能に接続されたワイパーであって、前記コントローラは、前記複数のアクチュエータ内の前記第2のアクチュエータを動作させて、前記ワイパーを、第1の位置から前記キャリアプレートに取り付けられた少なくとも1つの印刷ヘッドのフェイスプレートを横切って移動させるように、かつ前記ワイパーが前記少なくとも1つの印刷ヘッドの前記フェイスプレートを横断した後に前記ワイパーを前記第1の位置に戻すように、更に構成されている、ワイパーと、を備えるインクジェットプリンタ。
【請求項7】
直線運動を行うように構成された前記部材が、
回転するように構成された部材を更に備え、前記コントローラは、
前記第1のアクチュエータを動作させて、回転するように構成された前記部材を回転させて、前記キャリアプレートを傾斜させるように、かつ前記第1のアクチュエータを動作させて、回転するように構成された前記部材の回転を逆転させて、前記キャリアプレートを前記レベル位置に戻すように、更に構成されている、請求項6に記載のプリンタ。
【請求項8】
回転するように構成された前記部材が主ねじである、請求項6に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記キャリアプレートの前記傾斜は、前記キャリアプレートが水平であるとき、水平軸の下に約1インチ~約2インチの範囲内である、請求項8に記載のプリンタ。
【請求項10】
前記複数の印刷ヘッド内の前記印刷ヘッドのそれぞれが、インクジェットのアレイが位置する領域を有するフェイスプレートを有し、疎水性コーティングが、インクジェットの前記アレイが位置する各フェイスプレートの前記領域を覆う、請求項9に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記第1のアクチュエータを動作させて前記キャリアプレートを傾斜させる前に、前記印刷ヘッドアセンブリ内の前記印刷ヘッドに動作可能に接続された圧力源を動作させて、前記インクジェットアレイ内の前記インクジェットから前記印刷ヘッドの前記フェイスプレート上にインクを吐出するように更に構成されている、請求項9に記載のプリンタ。
【請求項12】
前記コントローラは、
吐出された前記インクが前記ワイパーの前記第1の位置に向かって流れるように、前記第1のアクチュエータを動作させて前記キャリアプレートを傾斜させた後に所定の時間間隔を待機するように更に構成されている、請求項11に記載のプリンタ。
【請求項13】
前記所定の時間間隔が、吐出された前記インクの一部が前記第1の位置で前記ワイパーと接触するのに十分である、請求項12に記載のプリンタ。
【請求項14】
前記所定の時間間隔が、約25~約35秒の範囲である、請求項13に記載のプリンタ。
【請求項15】
インクジェットプリンタを動作させる方法であって、
コントローラを用いて、複数のアクチュエータ内の第1のアクチュエータを動作させて、直線運動を行うように構成された部材を移動させ、複数の印刷ヘッドが取り付けられたキャリアプレートを傾斜させることと、
前記コントローラを用いて、前記複数のアクチュエータ内の前記第2のアクチュエータを動作させて、ワイパーを、第1の位置から前記キャリアプレートに取り付けられた少なくとも1つの印刷ヘッドのフェイスプレートを横切って移動させるように、かつ前記ワイパーが前記少なくとも1つの印刷ヘッドの前記フェイスプレートを横断した後に前記ワイパーを前記第1の位置に戻すことと、
前記コントローラを用いて、前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、直線運動を行うように構成された前記部材の前記直線運動を逆転させて、前記キャリアプレートをレベル位置に戻すことと、を含む、方法。
【請求項16】
前記キャリアプレートに取り付けられた前記印刷ヘッドの上にキャップを配置することと、
前記コントローラを用いて、前記キャリアプレート内の前記印刷ヘッドに動作可能に接続された圧力源を動作させて、前記印刷ヘッド内のインクジェットから前記印刷ヘッドのフェイスプレート上にインクを吐出することと、を更に含み、前記圧力源は、前記コントローラが前記少なくとも1つのアクチュエータを動作させて前記部材を移動させ、前記キャリアプレートを傾斜させる前に、前記インクを吐出するように動作する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のアクチュエータを動作させて前記キャリアプレートを傾斜させた後、前記第2のアクチュエータを、前記コントローラを用いて動作させて前記ワイパーを移動させる前に、所定の期間間隔を待機すること、を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記キャリアプレートを傾斜させるための前記少なくとも1つのアクチュエータの前記動作は、前記第1のアクチュエータを動作させて、直線運動を行うように構成された前記部材を回転させて、前記キャリアプレートを傾斜させ、前記第1のアクチュエータを動作させて、直線運動を行うように構成された前記部材の回転を逆転させて前記キャリアプレートを前記レベル位置に戻す、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
直線運動を行うように構成された前記部材を回転させるための前記少なくとも1つの部材の前記動作は、主ねじを回転させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記キャリアプレートを傾斜させるための前記少なくとも1つのアクチュエータの前記動作が、前記印刷ヘッドが水平であるとき、前記キャリアを前記フェイスプレートの水平軸の下に約1インチ~約2インチの範囲内で傾斜させる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にインクジェット印刷システムに関し、より具体的には、そのようなプリンタにおける印刷ヘッドのメンテナンスに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模インクジェットプリンタは、短いダウンタイムで長い印刷実行を行い、印刷設備において複数のシフトにわたり使用することができる。印刷生産中、これらのプリンタの印刷ヘッドは、適切な噴射機能性及び良好な画質を維持するために、インクがフェイスプレートにまだ存在している間に、定期的にインクジェットを介したインクパージ、及び印刷ヘッドフェイスプレートのワイプを必要とする。これらのプリンタのインクジェット印刷ヘッドのコーティングは、インクがインクジェットノズルからフェイスプレート上に漏れるのを防ぐために疎水性である。この疎水性コーティングは、フェイスプレート内のインクジェットアレイの縁部からインクを退避させ、大きな滴を形成させる。加えて、インクジェットノズルは、パージ中にインクが取り除かれた後に、小さな負圧で保持される。この負圧の結果としてまた、インクジェットアレイの縁部から更に離れてインクが退避し、ノズルに戻ることになる。パージが終了すると、フェイスプレートはエラストマーワイパーでワイプされ、パージされたインクがフェイスプレートから除去される。このワイピングは、プリンタ内のシステム制約により、パージシーケンスの終了より時間遅延後に生じる。結果的に、ワイプの開始時に、ワイプが開始するインクジェットアレイの端部に、フェイスプレートの滑らかなワイプのためにワイパーを潤滑するのに十分な量のインクが、存在しない場合がある。それどころか、ワイプの開始時に、インクはフェイスプレートに擦れて汚なくなり、この擦れて汚くなったインクは、ワイプの開始時に位置するアレイ内のノズルを部分的に閉じるか、又は別の方法で損傷することになり得る。これらの損なわれた又は機能的でないインクジェットは、画質不良をもたらすことがある。インクジェットアレイ全体にわたる良質なワイプを確実にすることは有益であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
新しい印刷ヘッドアセンブリは、印刷ヘッドフェイスプレート内のインクジェットアレイの表面全体にわたる良質なワイプを確実にするのに役立つ機構を含む。印刷ヘッドアセンブリは、長さ及び幅を有するキャリアプレートと、キャリアプレートに取り付けられた複数の印刷ヘッドと、キャリアプレートの長さの一端に位置付けられている、直線運動を行うように構成された部材と、複数のアクチュエータであって、少なくとも1つのアクチュエータは直線運動を行うように構成された部材に動作可能に接続されている、複数のアクチュエータと、複数のアクチュエータに動作可能に接続されたコントローラと、を含む。コントローラは、少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、直線運動を行うように構成された部材を移動させて、キャリアプレートの一端を移動させ、キャリアプレートを傾斜させるように、かつ少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、直線運動を行うように構成された部材の動きを逆転させて、キャリアプレートをレベル位置に戻すように、構成されている。
【0004】
新しいインクジェットプリンタは、印刷ヘッドフェイスプレート内のインクジェットアレイの表面全体にわたる良質なワイプを確実にするのに役立つ印刷ヘッドメンテナンスシステムを含む。インクジェットプリンタは、長さ及び幅を有するキャリアプレート、キャリアプレートに取り付けられた複数の印刷ヘッド、キャリアプレートの長さの一端に位置付けられている、直線運動を行うように構成された部材、複数のアクチュエータであって、第1のアクチュエータは直線運動を行うように構成された部材に動作可能に接続されている、複数のアクチュエータ、並びに複数のアクチュエータに動作可能に接続されたコントローラであって、コントローラは、第1のアクチュエータを動作させて、直線運動を行うように構成された部材を移動させて、キャリアプレートの一端を移動させ、キャリアプレートを傾斜させるように、かつ第1のアクチュエータを動作させて、直線運動を行うように構成された部材の直線運動を逆転させて、キャリアプレートをレベル位置に戻すように、構成されている、コントローラ、を有する印刷ヘッドアセンブリと、複数のアクチュエータ内の第2のアクチュエータに動作可能に接続されたワイパーであって、コントローラは、複数のアクチュエータ内の第2のアクチュエータを動作させて、ワイパーを、第1の位置からキャリアプレートに取り付けられた少なくとも1つの印刷ヘッドのフェイスプレートを横切って移動させるように、かつワイパーが少なくとも1つの印刷ヘッドのフェイスプレートを横断した後にワイパーを第1の位置に戻すように、更に構成されている、ワイパーと、を含む。
【0005】
インクジェット印刷システムにおいて印刷ヘッドメンテナンスシステムを動作させる方法は、印刷ヘッドフェイスプレート内のインクジェットアレイの表面全体にわたる良質なワイプを確実にするのに役立つ。本方法は、コントローラを用いて、複数のアクチュエータ内の第1のアクチュエータを動作させて、直線運動を行うように構成された部材を移動させ、複数の印刷ヘッドが取り付けられたキャリアプレートを傾斜させることと、コントローラを用いて、複数のアクチュエータ内の第2のアクチュエータを動作させて、ワイパーを、第1の位置からキャリアプレートに取り付けられた少なくとも1つの印刷ヘッドのフェイスプレートを横切って移動させ、ワイパーが少なくとも1つの印刷ヘッドのフェイスプレートを横断した後にワイパーを第1の位置に戻すことと、コントローラを用いて、少なくとも1つのアクチュエータを動作させて、直線運動を行うように構成された部材の直線運動を逆転させて、キャリアプレートをレベル位置に戻すことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
印刷ヘッドフェイスプレート内のインクジェットアレイの表面全体にわたる良質なワイプを確実にするのに役立つインクジェット印刷システムの前述の態様及び他の特徴、並びにその動作方法を、添付の図面に関連して以下の記述で説明する。
【0007】
図1図1は、印刷ヘッドフェイスプレート内のインクジェットアレイの表面全体にわたる良質なワイプを確実にするのに役立つインクジェット印刷システムにおける印刷ヘッドアセンブリの側面図である。
【0008】
図2図2は、図1に示されているワイパー及びキャリアプレートの下面図である。
【0009】
図3図3は、図1の印刷ヘッドアセンブリの印刷ヘッド内のインクジェットからパージされたインクに対するキャリアプレートの効果を示す。
【0010】
図4図4は、図1の印刷ヘッドアセンブリ及び図2のワイパーを動作させて、印刷ヘッドフェイスプレート内のインクジェットアレイの表面全体にわたる良質なワイプを確実にするためのプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同様の参照番号が、同様の要素を指定するために図面を通じて使用されている。
【0012】
図1は、印刷ヘッドフェイスプレート内のインクジェットアレイの表面全体にわたる良質なワイプを確実にするのに役立つインクジェット印刷システムにおける印刷ヘッドアセンブリ100の側面図である。システム100は、印刷ヘッドアレイキャリアプレート108が取り付けられている支柱104を含む。図1に示す実施形態では、3つの印刷ヘッド112A、112B、及び112Cは、印刷ヘッド内のインクジェットが印刷ヘッドキャップ116.内にインク滴を排出することを可能にする向きで取り付けられている。本明細書で使用するとき、用語「キャリアプレート」は、互いに正確に位置合わせされた複数の印刷ヘッドを保持する任意の構造体を意味する。キャップ116は、パージサイクル及びフェイスプレートのワイプが生じるとき、印刷ヘッド112A、112B、及び112Cのインクジェットアレイの環境を封止するために、キャリアプレート108と嵌合する。ワイパー120は、図1に示されるホーム位置に位置付けられて、図に示される方向Wに印刷ヘッドのファイプレートをワイプする。以下でより詳細に説明するように、キャリアプレート108は、図1に示されるように印刷ヘッドのパージ後、ワイパー120が移動されてフェイスプレートのワイプを実行する前に傾斜して位置付けられる。3つの印刷ヘッド112A、112B、及び112Cは、印刷ヘッド112A及び112Bのインクジェットアレイの長手方向軸が整列しているが、印刷ヘッド112Cの長さに対応する距離だけ離間されるように配置されている。印刷ヘッド112Cは、3つの印刷ヘッドが印刷ヘッドアセンブリによって印刷され得る最大の媒体シートの幅を有する単一のインクジェットのアレイを形成するように印刷ヘッド112A及び112Cの整列した長手方向軸からオフセットされる。
【0013】
図2は、そのホーム位置にあるワイパー120をより詳細に示す。ワイパー120は、印刷ヘッド112Cのフェイスプレート212C及び印刷ヘッド112Aのフェイスプレート(図2には図示せず)をワイプするようにワイパースライドに沿った往復運動を行うためにワイパースライド208に摺動可能に取り付けられている、ワイパーキャリア204に固定的に取り付けられている。ワイパーキャリアの移動及びキャリアプレート108の傾斜を達成するために、コントローラ220は、複数のアクチュエータ224に動作可能に接続され、これらのアクチュエータは、ワイパーキャリア204及び主ねじ216に動作可能に接続される。コントローラ220は、アクチュエータ224のうちの少なくとも1つを動作させて主ねじ216を回転させ、ねじを前進させて、ワイパー120に最も近いキャリアプレートの端部を印刷ヘッドキャップ116に向かって押す。本明細書で使用するとき、用語「主ねじ」は、回転運動を直線運動に変換する任意の構成要素を意味する。キャリアプレートを傾斜させてレベル位置に戻す部材は回転部材であるものとして示されているが、往復直線状に移動する直線部材であってもよい。印刷ヘッドのパージに続いて、キャリアプレート108のこの傾斜により、印刷ヘッドのフェイスプレートのインクが、ワイパー120のホーム位置に最も近いキャリアプレートの端部に向かって流れることを可能にする。この流れは、印刷ヘッド112A、112B、及び112Cのインクジェットアレイの疎水性コーティングによって促進される。インクジェットアレイが位置する領域内の印刷ヘッドのフェイスプレートのこの疎水性コーティングは、フェイスプレート内のノズル間の印刷動作中に、及びフェイスプレートの長手方向軸と揃っているインクジェットアレイの端部から離れた印刷操作中に、印刷ヘッドのフェイスプレートに集まるインクを保持するのに役立つ。キャリアプレート108を傾斜させることによって、インクがワイパー120のホーム位置に向かって移動するので、そのホーム位置では、インクがワイパー120に接触するか、又は極めて近く接触する。したがって、コントローラ220が別のアクチュエータ224を動作させてワイパースライド208に沿ってワイパーキャリア204を摺動させると、比較的新しいインクがワイパー120を潤滑し、印刷ヘッドのフェイスプレートを汚すのではなく、洗浄するのに役立つ(図3)。ワイピングが完了した後、コントローラ220は、アクチュエータ224を動作させてワイパーをそのホーム位置に戻す。次いで、コントローラ220は、アクチュエータのうちの1つを動作させて、主ねじ216を以前に回転された反対方向に回転させて、キャリアプレートをそのレベル位置に戻す。次いで、キャップ116を印刷ヘッドアセンブリ100から取り外すことができるので、アセンブリを、その動作印刷位置に戻すことができる。印刷ヘッド112C及び112Aのフェイスプレートを洗浄するためのワイパー120のみが図に示されているが、印刷ヘッド112Bを洗浄するための別のワイパーは、ワイパーキャリア204及びワイパースライド208に平行なワイパースライドに摺動可能に取り付けられたワイパーキャリアに取り付けられている。別のアクチュエータ224は、アクチュエータ224を動作させてワイパー120を移動させて、印刷ヘッド112Bのフェイスプレートを洗浄するためにワイパーキャリアを移動させるのと同時に動作する。一実施形態では、キャリアプレートの傾斜は、キャリアプレートが水平であるとき、キャリアプレートの水平軸の下に約1インチ~約2インチの範囲である。
【0014】
印刷ヘッドフェイスプレート内のインクジェットアレイの表面全体にわたる良質なワイプを確実にするのを助ける方法で、印刷ヘッドアセンブリ100及びワイパー120を操作するためのプロセス400が、図4に示されている。プロセスの説明において、プロセスがいくつかのタスク又は機能を実施しているという記述は、コントローラ又は汎用プロセッサが、データを動作させるために、又はプリンタ内の1つ以上の構成要素を操作してタスク若しくは機能を実施するために、コントローラ又はプロセッサに動作可能に接続された非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたプログラム命令を実行することを指す。上述したコントローラ220は、そのようなコントローラ又はプロセッサとすることができる。代替的に、コントローラは、2つ以上のプロセッサ並びに関連する回路及び構成要素と共に実装され得、これらは各々、本明細書に記載される1つ以上のタスク又は機能を形成するように構成される。追加的に、本方法の要素は、図に示される順序又は処理が記載される順序にかかわらず、任意の実行可能な時系列順序で実施され得る。
【0015】
プロセス400は、印刷ヘッドアセンブリをそのメンテナンスステーションに移動させ、印刷ヘッドをキャップすることによって開始する(ブロック404)。次いで、圧力源を、所定の圧力で所定の時間、コントローラ220によって動作させて、印刷ヘッド内のインクジェットをパージする(ブロック408)。別のアクチュエータを動作させて、主ねじを回転させ、キャリアプレートをワイパー(複数可)に向かって傾斜させる(ブロック412)。キャリアプレートの傾斜が完了し、所定の時間間隔が満了した後(ブロック416)、アクチュエータ(複数可)を操作してワイパースライド(複数可)に沿ってワイパー(複数可)を移動させて印刷ヘッドのフェイスプレートを洗浄する(ブロック420)。ワイプが終了すると(ブロック424)、ワイパースライド(複数可)に沿ってワイパー(複数可)を移動させるアクチュエータ(複数可)は、ワイパー(複数可)をホーム位置(複数可)に戻すように逆転される(ブロック428)。ワイプは、ワイパーが、ワイパーによってワイプされた最後の印刷ヘッド内の最後のインクジェットアレイを通過すると、終了と判定される。主ねじを回転させるアクチュエータを動作させて、主ねじの回転を逆転させ、キャリアプレートをそのレベル位置に戻す(ブロック432)。次いで、印刷ヘッドアセンブリのキャップを外し、印刷のためにその動作位置に戻す(ブロック436)。
【0016】
所定の時間間隔は、ワイパーに最も近い印刷ヘッドのフェイスプレート上のパージされたインクの一部が、ワイパーに向かって流れ、ワイピング動作の開始時における潤滑用にワイパーに接触するのに十分な時間間隔でなければならない。一実施形態では、所定の時間間隔は約25~約35秒であり、30秒は疎水性コーティングで被覆されたフェイスプレートの典型的な時間間隔である。インクジェットからパージされたインクの量、及びワイパーに最も近い印刷ヘッドのフェイスプレート上のコーティングの有無に応じて、他の時間間隔を使用することができる。
【0017】
上記で開示した装置及び他の特徴、並びに機能、又はそれらの代替物の変形は、望ましくは多くの他の異なるシステム又は用途に組み込まれ得ることが理解されるであろう。以下の「特許請求の範囲」によって包含されることも意図される、様々な現在予期されない代替、修正、変形、又は改善が、後に当業者によって行われてよい。
図1
図2
図3
図4