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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040072
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】タイヤ摩耗状態推定システム
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20220303BHJP
   B60C 11/24 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
B60C19/00 Z
B60C11/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021137692
(22)【出願日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】63/070506
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/343880
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】スパシュ シャルマ
(72)【発明者】
【氏名】カンヴァル バラ シン
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ アリ アラト
(72)【発明者】
【氏名】ピーター-ジャン デリュイン
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131BB03
3D131BC31
3D131BC49
3D131BC55
3D131LA03
3D131LA05
3D131LA06
3D131LA34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より正確で信頼できるタイヤ摩耗状態の推定値を提供する、包括的なタイヤ摩耗状態推定システムを提供する。
【解決手段】タイヤ摩耗状態推定システムは、車両を支持する少なくとも1つのタイヤを含む。センサはタイヤに取り付けられておりタイヤパラメータを測定する。少なくとも1つのセンサは車両に取り付けられており、車両パラメータを測定する。複数のサブモデルの夫々は、タイヤに取り付けられたセンサから選択されたタイヤパラメータを受信し、車両に取り付けられたセンサから選択された車両パラメータを受信する。サブモデルの夫々はサブモデル摩耗状態推定値を生成し、モデル信頼性はサブモデルの夫々に対して決定される。監視モデルは、サブモデルの夫々から摩耗状態推定値と、サブモデルの夫々に対するモデル信頼性とを受信し、タイヤに対する組み合わされた摩耗状態推定値を生成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ摩耗状態推定システムであって、
車両を支持する少なくとも1つのタイヤと、
前記少なくとも1つのタイヤに取り付けられ、タイヤパラメータを測定するセンサと、
前記車両に取り付けられた、車両パラメータを測定する少なくとも1つのセンサと、
複数のサブモデルであって、各々が、前記タイヤに取り付けられたセンサから、選択されたタイヤパラメータを受信し、前記車両に取り付けられた少なくとも1つのセンサから、選択された車両パラメータを受信する複数のサブモデルと、
各々が前記複数のサブモデルの1つによって生成される、複数のサブモデル摩耗状態推定値と、
前記複数のサブモデルの夫々に対して決定されるモデル信頼性と、
前記複数のサブモデル摩耗状態推定値と、前記複数のサブモデルの夫々に対する前記モデル信頼性と、を入力として受信する監視モデルと、を含み、
前記監視モデルは、前記少なくとも1つのタイヤに対する組み合わされた摩耗状態推定値を生成することを特徴とする、タイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項2】
前記監視モデルは、前記組み合わされた摩耗状態推定値の生成において、前記複数のサブモデルにわたる確率分布を決定するためにベイズ推論を実行することを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項3】
複数のサブモデルは、ローリングラジアスベースの摩耗状態推定装置を含むことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項4】
前記ローリングラジアスベースの摩耗状態推定装置はローリングラジアス計算機を含み、前記ローリングラジアス計算機は前記少なくとも1つのタイヤのラジアスの変化を計算するために、前記選択されたタイヤパラメータと前記選択された車両パラメータとを受信することを特徴とする、請求項3に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項5】
前記ローリングラジアスベースの摩耗状態推定装置の前記モデル信頼性は、前記ローリングラジアスベースの摩耗状態推定装置の前記モデル信頼性のスコアを生成するためにローリングラジアス感度パラメータを点数化するローリングラジアス信頼性スコア関数を含むことを特徴とする、請求項3に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項6】
前記ローリングラジアス感度パラメータは、前記車両の荷重状態、膨張圧力状態、道路勾配状態、および全地球測位システムの状態の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項5に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項7】
前記ローリングラジアスベースの摩耗状態推定装置の前記モデル信頼性は、複数の相関を推測することによって生成されることを特徴とする、請求項3に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項8】
前記複数の相関は、前記少なくとも1つのタイヤのローリングラジアスと前記車両の走行距離との相関、全地球測位システムの速度と前記車両の車輪速度との相関、前記少なくとも1つのタイヤのローリングラジアスと車両荷重との間の相関、および前記車両が走行する道路の勾配の相関の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項7に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項9】
複数のサブモデルは、滑りベースの摩耗状態推定装置を含むことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項10】
前記滑りベースの摩耗状態推定装置はタイヤ滑り計算機を含み、前記タイヤ滑り計算機は前記少なくとも1つのタイヤの前記滑りを計算するために、前記選択されたタイヤパラメータと前記選択された車両パラメータとを受信することを特徴とする、請求項9に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項11】
前記滑りベースの摩耗状態推定装置の前記モデル信頼性は、滑りベースの感度パラメータを点数化する滑りベースの信頼性スコア関数を通じて計算されることを特徴とする、請求項9に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項12】
前記滑りベースの感度パラメータは、前記車両の荷重状態、膨張圧力状態、全地球測位システムの状態、前記少なくとも1つのタイヤの周囲温度、および道路の表面状態の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項11に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項13】
前記滑りベースの摩耗状態推定装置の前記モデル信頼性は、複数の相関を通じて推測されることを特徴とする、請求項3に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項14】
前記複数の相関は、前記少なくとも1つのタイヤの滑りと前記車両の走行距離との間の相関、全地球測位システムの速度と前記車両の車輪速度との相関、前記少なくとも1つのタイヤの滑りと前記少なくとも1つのタイヤの温度との相関、前記車両が走行する道路の表面特性の相関、および前記車両が走行する道路の粗さの相関の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項13に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項15】
複数のサブモデルは、摩擦エネルギーベースの摩耗状態推定装置を含むことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項16】
前記摩擦エネルギーベースの摩耗状態推定装置は摩擦エネルギー計算機を含み、前記摩擦エネルギー計算機は前記少なくとも1つのタイヤの摩擦エネルギーを計算するために、前記選択されたタイヤパラメータと前記選択された車両パラメータとを受信することを特徴とする、請求項15に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項17】
前記摩擦エネルギーベースの摩耗状態推定装置の前記モデル信頼性は、前記摩擦エネルギーベースの摩耗状態推定装置の前記モデル信頼性スコアを生成するために、摩擦エネルギーベースの感度パラメータを点数化する摩擦エネルギーベースの信頼性スコア関数を含むことを特徴とする、請求項15に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項18】
前記摩擦エネルギーベースの感度パラメータは、前記少なくとも1つのタイヤの周囲温度、道路の表面状態、および道路の粗さ状態の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項17に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項19】
複数のサブモデルは、振動ベースの摩耗状態推定装置、コーナリング剛性ベースの摩耗状態推定装置、ブレーキング剛性ベースの摩耗状態推定装置、接地面の長さベースの摩耗状態推定装置、並びにタイヤ走行距離、天候、およびタイヤ構造の少なくとも1つを含むパラメータの組合せの分析に基づくタイヤ摩耗状態推定装置の少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【請求項20】
前記監視モデルへの入力として受信された過去の時間ステップにおける、前記少なくとも1つのタイヤの摩耗状態の推定をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ摩耗状態推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にタイヤ監視システムに関する。より詳細には、本発明はタイヤ摩耗を予測するシステムに関する。具体的には、本発明はサブモデルを採用し、各サブモデルによって生成される推定値から包括的な摩耗状態を決定することによって、タイヤの摩耗状態を推定するシステムを対象とする。
【背景技術】
【0002】
タイヤ摩耗は、安全性、信頼性、および性能などの車両要因において重要な役割を果たす。タイヤのトレッドからの材料の損失を指すトレッド摩耗は、このような車両要因に直接影響する。その結果、タイヤが受けるトレッド摩耗の量を監視および/または測定することが望ましい。便宜上、用語「トレッド摩耗」は、ここでは用語「タイヤ摩耗」と殆ど同じ意味で使用されてもよい。
【0003】
トレッド摩耗の監視および/または測定に対する1つのアプローチは、タイヤトレッドに配置された摩耗センサの使用を通じたものであり、これは直接的な方法またはアプローチと呼ばれている。タイヤに取り付けられたセンサからタイヤの摩耗を測定する直接的なアプローチは、複数の課題を有している。センサを未硬化または「グリーン」タイヤに配置して高温で硬化させると、摩耗センサに損傷をもたらす可能性がある。さらに、センサの耐久性は、タイヤに対する数百万サイクルの要求を満たす上での問題であることを証明することができる。さらに、直接測定アプローチにおける摩耗センサは、タイヤが高速で回転することから、ユニフォーミティの問題を引き起こさないように十分小さくなければならない。最後に、摩耗センサは高価であり、タイヤのコストを著しく増大させることがある。
【0004】
このような課題のために、タイヤ摩耗状態の間接的な推定を含むタイヤの寿命にわたるトレッド摩耗の予測を含む代替アプローチが開発されている。これらの代替アプローチは最適な予測技術が欠如しているために、先行技術において一定の欠点に直面しており、これは、次に、トレッド摩耗予測の正確さおよび/または信頼性を減少させる。
【0005】
従来技術のタイヤ摩耗の間接的な推定は、特定のタイヤ挙動および/または特性の決定に基づく統計モデルを含む。例えば、間接的な摩耗推定値は、タイヤのローリングラジアス、タイヤの滑り、タイヤの摩擦エネルギー、タイヤの振動、タイヤのコーナリング剛性、タイヤのブレーキング剛性、タイヤの接地面の長さ、並びにタイヤ走行距離、天候、およびタイヤ構造などのパラメータの組合せの分析に基づいている。
【0006】
これらの技術の各々は、タイヤ摩耗状態の特定の推定値を提供する。しかしながら、各技術の信頼性は、天候、車両位置、道路の表面および道路の粗さのような外部パラメータの変化、並びにタイヤ温度、車両荷重状態などのようなタイヤ物理パラメータの変化によって影響を受ける可能性がある。さらに、これらの技術の何れか1つは、タイヤの動作環境と、外部パラメータおよび物理パラメータの付随する変化とに基づいて、タイヤ摩耗のより正確および/または信頼できる推定値を提供することによって、他の技術よりもより性能が優れている可能性がある。従来技術では、最適な摩耗状態推定値に到達するために、各別個の技術の結果をリアルタイムで結合または評価する方法はなかった。
【0007】
その結果、従来技術のシステムよりもより正確で信頼できるタイヤ摩耗状態の推定値を提供する包括的なタイヤ摩耗状態推定システムが、当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例示的な実施形態の一態様によれば、タイヤ摩耗状態推定システムが提供される。システムは、車両を支持する少なくとも1つのタイヤを含む。センサは前記タイヤに取り付けられており、前記タイヤに取り付けられたセンサはタイヤパラメータを測定する。少なくとも1つのセンサは前記車両に取り付けられており、前記車両に取り付けられたセンサは車両パラメータを測定する。複数のサブモデルの夫々は、前記タイヤに取り付けられたセンサから選択されたタイヤパラメータを受信し、前記車両に取り付けられたセンサから選択された車両パラメータを受信する。前記複数のサブモデルの各々は、夫々のサブモデル摩耗状態推定値を生成する。信頼性は、前記複数のサブモデルの夫々に対して決定される。監視モデルは、前記サブモデル摩耗状態推定値と、前記サブモデルの夫々に対する前記信頼性と、を入力として受信する。前記監視モデルは、前記タイヤに対する組み合わされた摩耗状態推定値を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、一例として、添付図面を参照して説明される。
図1】本発明のタイヤ摩耗状態推定システムに関して使用される車両の斜視図およびセンサを備えたタイヤの部分断面図である。
図2図1に示す車両の概略平面図である。
図3】本発明のタイヤ摩耗状態推定システムのサブモデルの態様を示すフロー図である。
図4】本発明のタイヤ摩耗状態推定システムの第1の例示的な実施形態の監視モデルの概略図である。
図5】本発明のタイヤ摩耗状態推定システムの第2の例示的な実施形態の監視モデルの概略図である。
図6】クラウドベースサーバおよび表示装置へデータ送信の表示を伴う図1に示す車両の概略斜視図である。
【0010】
同様の番号は、図面全体を通して同様の部分を指す。
【0011】
(定義)
「軸線方向の」および「軸線方向に」とは、タイヤの回転軸に平行な線または方向を意味する。
【0012】
「CAN」は、コントローラエリアネットワークの略語である。
【0013】
「周方向の」とは、軸線方向に垂直な環状のトレッドの表面の周縁部に沿って延びるラインまたは方向を意味する。
【0014】
「赤道中心面(CP)」とは、タイヤの回転軸に垂直で、トレッドの中心を通る面を意味する。
【0015】
「フットプリント」とは、タイヤが回転するまたは転がるとき、タイヤトレッドによって平らな表面に作成される接触面または接触領域を意味する。
【0016】
「GPS」は、グローバルポジショニングシステムの略語である。
【0017】
「インボード側」とは、タイヤがホイールに取り付けられ、ホイールが車両に取り付けられたときに、車両に最も近いタイヤの側を意味する。
【0018】
「横方向」とは、軸方向を意味する。
【0019】
「正味接触面積」とは、トレッドの全周に沿った、側縁部間の接地トレッド要素の総面積を、側縁部間のトレッド全体の総面積で割ったものを意味する。
【0020】
「アウトボード側」とは、タイヤがホイールに取り付けられ、ホイールが車両に取り付けられたときに、車両から最も離れたタイヤの側を意味する。
【0021】
「半径方向の」および「半径方向に」とは、半径方向にタイヤの回転軸に向かい、または離れる方向を意味する。
【0022】
「リブ」とは、少なくとも1つの周方向溝と、第2のそのような溝または側縁の何れかと、によって画定される、トレッド上の周方向に延びるゴムのストリップを意味し、ストリップは、十分に深い溝によっては横方向に分割されない。
【0023】
「TPMS」とは、タイヤプレッシャーモニタリングシステムの略語である。
【0024】
「トレッド要素」または「牽引要素」とは、隣接する溝を有する形状によって画定されるリブまたはブロック要素を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、異なるサブモデルによって生成されたタイヤ摩耗状態推定値から包括的なタイヤ摩耗状態を決定する監視モデルを用いて、タイヤ摩耗状態の間接的な推定値を提供するシステムを提供する。
【0026】
本発明のタイヤ摩耗状態推定システムの第1の例示的な実施形態は10で示され、図1~4および6に示される。とりわけ図1に関して、システム10は、車両14を支持している各タイヤ12についてタイヤ摩耗状態を推定する。車両14は乗用車として描かれているけれども、本発明はそのように制限されるものではない。本発明の原理は商業用トラック、道路以外で使われる車両などのような他の車両区分に応用され、この場合、車両はより多くのまたはより少ないタイヤによって支持されてもよい。さらに、本発明は、単一の車両14または車両隊に応用される。
【0027】
各タイヤ12は、一対のビード領域16(1つのみ図示)と、各ビード領域に埋め込まれたビードコア(図示せず)とを含む。一対のサイドウォール18の夫々(1つのみ図示)は、夫々のビード領域16から地面に接触するトレッド20に半径方向外側に延びる。タイヤ12は当業者に知られているように、一方のビード領域16から他方のビード領域へ環状に延びるカーカス22によって補強されている。インナーライナ24はカーカス22の内面に形成されている。タイヤ12は、当業者に知られている方法でホイール26に取付けられ、取付けられると、空気のような加圧流体で満たされた内部キャビティ28を形成する。
【0028】
センサユニット30は、接着剤などの手段によって夫々のタイヤ12のインナーライナ24に取り付けることができ、以下でより詳細に説明されるように、タイヤの特定のパラメータまたはタイヤの特定の状態を測定する。センサユニット30は、そのような方法で、またはタイヤ12の他の構成要素に、すなわち、カーカス22の複数層の間、サイドウォール18の1つの上または中、トレッド20の上または中、および/またはそれらの組合せなどに取り付けることができることを理解されたい。便宜上、ここではセンサユニット30のタイヤ12への取り付けについて言及するものとするが、取り付けはこのような取り付けのすべてを含むことを理解されたい。
【0029】
センサユニット30は、タイヤ圧力および温度のような、タイヤ内部のある特定のリアルタイムのタイヤパラメータを検出する目的で、各タイヤ12に取り付けられている。好ましくは、センサユニット30は、市販のタイプのタイヤ圧力監視システム(TPMS)モジュールまたはセンサであり、任意の既知の構成であってよい。便宜上、センサユニット30は、TPMSセンサと呼ばれるものとする。各TPMSセンサ30は、好ましくは、タイヤID情報として知られる、各タイヤ12の識別(ID)情報を記憶するための電子メモリ容量をも含む。代替的に、タイヤID情報は、他のセンサユニット、またはタイヤIDタグ34のような別々のタイヤID記憶媒体に含まれてもよい。
【0030】
タイヤID情報は、タイヤタイプ、タイヤモデル、リムサイズ、幅、および外径などのサイズ情報、製造場所、製造日、化合物同定を含むかまたは化合物同定に相関するトレッドキャップコード、およびトレッド構造識別を含むかまたはトレッド構造識別に相関するモールドコードなど、タイヤ12の製造情報を含むことができる。タイヤID情報は、サービス履歴、または各タイヤ12の特定の特徴およびパラメータを識別するための他の情報、並びにコーナリングパラメータ、ばね定数、荷重-膨張関係等のようなタイヤの機械的特性をも含むことができる。このようなタイヤ識別は、測定されたタイヤパラメータと特定のタイヤ12との相関を可能にし、タイヤの局所的な追跡または主要な追跡、タイヤの現在の状態、および/または、タイヤの経時的な状態を提供する。さらに、全地球測位システム(GPS)機能は、TPMSセンサ30および/またはタイヤIDタグ34に含まれる可能性があり、タイヤが取り付けられる車両14の輸送および/または位置追跡中にタイヤ12の位置追跡を提供する。
【0031】
ここで、次に図2を見ると、TMPSセンサ30およびタイヤIDタグ34は、夫々、測定されたタイヤの温度、並びにタイヤIDデータのプロセッサ38への無線送信36のためのアンテナを含む。プロセッサ38は図示のように車両14に取り付けられてもよいし、TPMSセンサ30に一体化されてもよい。便宜上、プロセッサ38は車両14に取り付けられるものとして説明されているが、プロセッサは代わりにTPMSセンサ30に一体化されてもよいことを理解されたい。好ましくは、プロセッサ38はCANバスと呼ばれる車両CANバスシステム42のような車両14の電子システムと電子通信するか、または電子システムに統合される。
【0032】
タイヤ摩耗状態推定システム10の態様は、好ましくはTMPSセンサ30およびタイヤIDタグ34からのデータの入力、並びにCANバスと電子通信する他のセンサからのデータの入力を可能にする、車両CANバス42を介してアクセス可能なプロセッサ38または他のプロセッサ上で実行される。このように、タイヤ摩耗状態推定システム10は、好ましくはプロセッサ38に送信されるTPMSセンサ30を用いてタイヤ温度およびタイヤ圧力の測定を可能にする。タイヤID情報は、好ましくはタイヤIDタグ34からプロセッサ38に送信される。プロセッサ38は、好ましくは各タイヤ12について測定されたタイヤ温度、測定されたタイヤ圧力、測定時間、およびID情報を相関させる。
【0033】
図4を見ると、タイヤ摩耗状態推定システム10の第1の例示的な実施形態は、監視モデル60を含む。監視モデル60は、外部パラメータまたは物理的パラメータに基づいて各サブモデルの信頼性スコアを計算する信頼性スコア関数を用いて、複数のサブモデルまたは推定装置の信頼性を推測する。各サブモデルの推測された信頼性は、各サブモデルからのタイヤ摩耗状態の個々の推定値と組み合わされ、単一の組み合わされた摩耗状態推定値62を生成する。好ましい監視モデル60はベイジアンネットワークであり、これは有向非循環グラフを介して1組の変数および変数のセットの条件付き依存性を表す確率的なグラフィカルモデルである。もちろん、他のタイプの予測モデルが監視モデル60に使用されてもよい。
【0034】
監視モデル60によって分析されるサブモデルまたは推定装置は、ローリングラジアスベースの摩耗状態推定装置54、滑りベースの摩耗状態推定装置56、および摩擦エネルギーベースの摩耗状態推定装置58を含む。図3を参照すると、例示的なローリングラジアスベースの摩耗状態推定装置54は、タイヤ12の半径の変化を計算してローリングラジアス摩耗推定値64を生成するローリングラジアス計算機66を含む。監視モデル60によって分析される他のサブモデルは、振動ベースの摩耗状態推定装置と、コーナリング剛性ベースの摩耗状態推定装置と、ブレーキング剛性ベースの摩耗状態推定装置と、接地面の長さベースの摩耗状態推定装置と、タイヤ走行距離、天候、およびタイヤ構造などのパラメータの組合せの分析に基づくタイヤ摩耗状態推定装置とを含む。
【0035】
ローリングラジアスベースの摩耗状態推定装置54において、圧力、温度、およびIDなどのTPMSセンサ30から得られるタイヤパラメータ68は、ローリングラジアス計算機66に入力される。さらに、車両パラメータ70は、車両14に取り付けられ、かつ車両CANバスシステム42(図2)と電子通信するセンサによって測定される。具体的には、車輪速度、車両速度、加速度および/または位置のような車両パラメータ70が得られ、車両パラメータ70はローリングラジアス計算機66に入力される。
【0036】
ローリングラジアス計算機66は、タイヤパラメータ68および車両パラメータ70に基づいてタイヤ12の半径の変化を計算し、半径の変化は、ローリングラジアスベースの摩耗状態推定装置54によってローリングラジアス摩耗推定値64を生成するために使用される。ローリングラジアス摩耗推定値64を決定するための例示的な技術は、本発明と同じ譲受人である、The Goodyear Tire & Rubber Companyによって所有されている米国特許第9,663,115号明細書、第9,878,721号明細書および第9,719,886号明細書に記載されており、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0037】
例示的な滑りベースの摩耗状態推定装置56は、滑りベースの摩耗状態推定値74を生成するためにタイヤ12の滑りを計算するタイヤ滑り計算機72を含む。滑りベースの摩耗状態推定装置56において、圧力、温度およびIDのようなTPMSセンサ30から得られるタイヤパラメータ68は、タイヤ滑り計算機72に入力される。さらに、車輪速度、車両速度、および/または加速度などの車両パラメータ70が得られ、車両パラメータ70はタイヤ滑り計算機72に入力される。
【0038】
滑り計算機72は、タイヤパラメータ68および車両パラメータ70に基づいてタイヤ12の滑りを計算し、タイヤ12の滑りは、滑りベースの摩耗状態推定装置56によって滑りベースの摩耗状態推定値74を生成するために使用される。滑りベースの摩耗状態推定値74を決定するための例示的な技術は、本発明と同じ譲受人である、The Goodyear Tire & Rubber Companyによって所有されている米国特許第9,610,810号明細書、第9,821,611号明細書および第10,603,962号明細書に記載されており、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0039】
例示的な摩擦エネルギーベースの摩耗状態推定装置58は、摩擦エネルギーベースの摩耗推定値78を生成するためにタイヤ12の摩擦エネルギーを計算するタイヤ摩擦エネルギー計算機76を含む。摩擦エネルギーベースの摩耗状態推定装置58において、圧力、温度およびIDのようなTPMSセンサ30から得られるタイヤパラメータ68は、摩擦エネルギー計算機76に入力される。さらに、車両慣性、および/または位置などの車両パラメータ70が得られ、車両パラメータ70は摩擦エネルギー計算機76に入力される。
【0040】
摩擦エネルギー計算機76は、タイヤパラメータ68および車両パラメータ70に基づいてタイヤ12の摩擦エネルギーを計算し、タイヤ12の摩擦エネルギーは、摩擦エネルギーベースの摩耗状態推定装置58によって摩擦エネルギーベースの摩耗推定値78を生成するために使用される。摩擦エネルギーベースの摩耗推定値78を決定するための例示的な技術は、本発明と同じ譲受人である、The Goodyear Tire & Rubber Companyによって所有されている米国特許第9,873,293号明細書に記載されており、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0041】
上述したように、他のサブモデルは、監視モデル60によって分析されてもよい。振動ベースの摩耗状態推定値を決定するための例示的な技術は、本発明と同じ譲受人である、The Goodyear Tire & Rubber Companyによって所有されている米国特許第9,259,976号明細書および第9,050,864号明細書、ならびに米国特許出願公開第2018/0154707号明細書および2020/0182746号明細書に記載されており、参照によって本明細書に組み込まれる。コーナリング剛性ベースの摩耗状態推定値を決定するための例示的な技術は、本発明と同じ譲受人である、The Goodyear Tire & Rubber Companyによって所有されている米国特許第9,428,013号明細書に記載されており、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0042】
ブレーキング剛性ベースの摩耗状態推定値を決定するための例示的な技術は、本発明と同じ譲受人である、The Goodyear Tire & Rubber Companyによって所有されている米国特許第9,442,045号明細書に記載されており、参照によって本明細書に組み込まれる。接地面の長さベースの摩耗状態推定装置を決定するための例示的な技術は、本発明と同じ譲受人である、The Goodyear Tire & Rubber Companyによって所有されいる米国特許出願番号62/893,862、62/893,852および62/893,860に記載されており、参照によって本明細書に組み込まれる。タイヤ走行距離、天候、およびタイヤ構造のようなパラメータの組合せの分析に基づくタイヤ摩耗状態推定値を決定する例示的な技術は、本発明と同じ譲受人である、The Goodyear Tire & Rubber Companyによって所有されている米国特許出願公開第2018/0272813号明細書に記載されており、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0043】
図4に戻ると、タイヤ摩耗状態推定システム10は、サブモデルまたは推定装置の信頼性を計算し、それらを監視モデル60に入力し、組み合わされた摩耗状態推定値62を生成する。ここでの参照は、例として、ローリングラジアスベースの摩耗状態推定装置54、滑りベースの摩耗状態推定装置56、および摩擦エネルギーベースの摩耗状態推定装置58が挙げられている。特に、夫々のモデル信頼性スコア82、84および86は、ローリングラジアスベースの摩耗状態推定装置54、滑りベースの摩耗状態推定装置56、および摩擦エネルギーベースの摩耗状態推定装置58の各々について決定され、各推定装置が高精度で感度パラメータと呼ばれる外部パラメータおよび物理パラメータに基づいて決定される。
【0044】
例えば、ローリングラジアスモデル信頼性スコア82は、ローリングラジアス信頼性スコア関数88を用いて決定される。ローリングラジアス感度パラメータ94は、ローリングラジアスベースの摩耗状態推定装置54において説明されておらず、ローリングラジアス摩耗推定値64の信頼性に影響を及ぼすことが知られている要因である。感度パラメータ94は、車両14の荷重状態、すなわち、公称車両荷重状態から現在の車両荷重の偏差、極端に高いまたは低いタイヤ膨張圧力状態、すなわち、公称膨張圧力範囲からタイヤ膨張圧力の偏差、道路勾配状態、すなわち、車両が走行している道路の勾配の平坦な道路状態からの偏差、およびGPS状態、すなわち、駆動されない車輪速度から車両GPSによって示される車両速度の偏差を含む。これらの感度パラメータ94は、ローリングラジアス信頼性スコア関数88に入力され、ローリングラジアスモデル信頼性スコア82を生成するために、回帰技術、機械学習モデル、および/またはファジィ論理技術またはファジィ論理関数のような統計的モデリング技術を用いてパラメータを点数化する。
【0045】
滑りベースのモデル信頼性スコア84は、滑りベースの信頼性スコア関数90を用いて決定される。滑りベースの感度パラメータ96は、滑りベースのスリップ摩耗状態推定装置56において説明されておらず、滑りベースの摩耗状態推定値74の信頼性に影響を及ぼすことが知られている要因である。感度パラメータ96は、車両14の荷重状態、すなわち、公称車両荷重状態から現在の車両荷重の偏差、極端に高いまたは低いタイヤ膨張圧力状態、すなわち、公称膨張圧力範囲からタイヤ膨張圧力の偏差、GPS状態、すなわち、駆動されない車輪速度から車両GPSによって示される車両速度の偏差、タイヤ12の周囲温度、および道路の表面状態、すなわち、摩擦係数によって示されるように車両が走行している道路の表面特性を含む。これらの感度パラメータ96は、滑りベースの信頼性スコア関数90に入力され、滑りベースのモデル信頼性スコア84を生成するために、回帰技術、機械学習モデル、および/またはファジィ論理技術またはファジィ論理関数のような統計的モデリング技術を用いてパラメータを点数化する。
【0046】
摩擦エネルギーベースのモデル信頼性スコア86は、摩擦エネルギーベースの信頼性スコア関数92を用いて決定される。摩擦エネルギーベースの感度パラメータ98は、摩擦エネルギーベースの摩耗状態推定装置58において説明されておらず、摩擦エネルギーベースの摩耗推定値78の信頼性に影響を及ぼすことが知られている要因である。感度パラメータ98は、タイヤ12の周囲温度、道路の表面状態、すなわち、摩擦係数によって示されるように車両14が走行している道路の表面特性、および、道路の粗さ状態、すなわち、国際ラフネス指数(IRI)によって示されるように車両が走行している道路の粗さを含む。これらの感度パラメータ98は、摩擦エネルギーベースの信頼性スコア関数92に入力され、摩擦エネルギーベースのモデル信頼性スコア86を生成するために、回帰技術、機械学習モデル、および/またはファジー論理技術またはファジー論理関数のような統計的モデリング技術を用いてパラメータを点数化する。
【0047】
ローリングラジアスベースの摩耗状態推定装置54およびローリングラジアスモデルの信頼性スコア82によって生成されるローリングラジアス摩耗推定値64は、監視モデル60に入力される。滑りベースの摩耗状態推定装置56および滑りベースのモデルの信頼性スコア84によって生成される滑りベースの摩耗推定値74も、監視モデル60に入力される。さらに、摩擦エネルギーベースの摩耗状態推定装置58および摩擦エネルギーベースのモデルの信頼性スコア86によって生成される摩擦エネルギーベースの摩耗推定値78は、監視モデル60に入力される。
【0048】
タイヤ摩耗状態推定システム10は、好ましくは、過去の時間ステップ80におけるタイヤ摩耗状態の推定値をも含み、これはT-1におけるタイヤ摩耗状態と呼ぶことができる。時間が進行するにつれてタイヤ12は摩耗し続けるため、過去の時間ステップ80におけるタイヤ摩耗状態の推定値は、タイヤ摩耗状態62の現在の推定値を改善する。したがって、過去の時間ステップ80におけるタイヤ摩耗状態の推定値は、好ましくは、監視モデル60にも入力される。過去の時間ステップ80におけるタイヤ摩耗状態の推定値が利用できない場合、車両14の走行距離120を監視モデル120に入力し、過去の時間ステップにおけるタイヤ摩耗状態の推定値を得ることができる。
【0049】
したがって、監視モデル60は、ローリングラジアスモデルの摩耗推定値64、ローリングラジアスモデルの信頼性スコア82、滑りベースのモデルの摩耗推定値74、滑りベースのモデルの信頼性スコア84、摩擦エネルギーベースのモデルの摩耗推定値78、摩擦エネルギーベースのモデルの信頼性スコア86、および過去の時間ステップ80におけるタイヤ摩耗状態の推定値を入力として受信する。次に、監視モデル60は統計的推論を実行し、タイヤ摩耗状態にわたる確率分布を決定し、単一の最も可能性のある組み合わされた摩耗推定値62を示す。ベイシアンネットワークが監視モデル60として使用される場合、摩耗推定値62は、ベイズ推論を実行することによって生成される。
【0050】
このようにして、本発明のタイヤ摩耗状態推定システム10の第1の実施形態は、監視モデル60を用いてタイヤ摩耗状態の推定値62の正確で信頼できる推定値を提供する。監視モデルは、複数のサブモデル54、56および58によって生成された推定値から包括的な摩耗状態62を決定する。
【0051】
図1から図3および図5から図6を参照すると、本発明のタイヤ摩耗状態推定システムの第2の例示的な実施形態が100で示されている。タイヤ摩耗状態推定システム100の第2の実施形態は、タイヤ摩耗状態推定システムの第2の実施形態においてローリングラジアスモデル信頼性スコア82と滑りベースのモデル信頼性スコア84が異なるように決定されることを除いては、タイヤ摩耗状態推定システム10の第1の実施形態と構造および動作において類似している。そこで、タイヤ摩耗状態推定システム100の第2の実施形態とタイヤ摩耗状態推定システム10の第1の実施形態との間の相違点のみを説明する。
【0052】
タイヤ摩耗推定システム100の第2の実施形態では、ローリングラジアスモデルの信頼性82が多重相関を用いて推測される。例えば、第1のローリングラジアス相関102は、タイヤ12のローリングラジアスを車両14の走行距離に相関させることを含む。第2のローリングラジアス相関104は、全地球測位システム(GPS)速度を車両14の車輪速度に相関させることを含む。第3のローリングラジアス相関106は、タイヤ12のローリングラジアスを車両荷重に相関させることを含む。第4のローリングラジアス相関108は、車両14が走行している道路の勾配に関係している。これらの相関102、104、106、および108は、ローリングラジアスモデルの信頼性82を推測するために監視モデルによって使用される。監視モデル60としてベイジアンネットワークが使用される場合、信頼性82はベイズ推論を実行することによって推測される。
【0053】
滑りベースのモデルの信頼性84もまた、多重相関を用いて推測される。第1の滑りベースの相関110は、タイヤ12の滑りと車両14の走行距離との間の相関を含む。第2の滑りベースの相関112は、全地球測位システム(GPS)速度と車両14の車輪速度との間の相関を含む。第3の滑りベースの相関114は、タイヤ12の滑りをタイヤの温度に相関させることを含む。第4の滑りベースの相関116は、車両14が走行している道路の表面特性に関係している。第5の相関118は、車両14が走行している道路の粗さに関係している。これらの相関110、112、114、116および118は、滑りベースのモデルの信頼性84を推測するために監視モデルによって使用される。監視モデル60としてベイジアンネットワークが使用される場合、信頼性84はベイズ推論を実行することによって推測される。
【0054】
タイヤ摩耗状態推定システム10の第1の実施形態と同様に、タイヤ摩耗状態推定システム100の第2の実施形態では、監視モデル60は、ローリングラジアスモデルの摩耗推定値64、ローリングラジアスモデルの信頼性82、滑りベースのモデルの摩耗状態推定値74、滑りベースのモデルの信頼性84、摩擦エネルギーベースのモデルの摩耗推定値78、摩擦エネルギーベースのモデルの信頼性スコア86、および過去の時間ステップ80におけるタイヤ摩耗状態の推定値を入力として受信する。次に、監視モデル60は統計的推論を実行し、タイヤ摩耗状態にわたる確率分布を決定し、これは、単一の最も可能性のある組み合わされた摩耗推定値62を示すのに役立つ。ベイジアンネットワークが監視モデル60として使用される場合、摩耗推定値62は、ベイズ推論を実行することによって生成される。
【0055】
このようにして、本発明のタイヤ摩耗状態推定システム100の第2の実施形態は、監視モデル60を用いてタイヤ摩耗状態の推定値62の正確で信頼できる推定値を提供する。監視モデル60は、複数のサブモデル54、56および58によって生成された推定値から包括的な摩耗状態62を決定する。
【0056】
図6に示すように、各タイヤ12のタイヤパラメータ68、車両14の車両パラメータ70は、車両上のプロセッサ38および/またはCANバス42から、クラウドベースのサーバ44内のプロセッサのような遠隔プロセッサ48に無線40で送信することができる。クラウドベースのサーバ44は、タイヤ摩耗状態推定システム10、100の態様を実行することができる。タイヤ摩耗状態推定値62は全車両管理サーバまたは車両オペレータ装置のような装置50に無線46で送信され、装置50は推定された摩耗状態を全車両管理者または車両14のオペレータに示すためのディスプレイ52を含む。
【0057】
本発明は、タイヤ12の摩耗状態62を推定する方法をも含む。その方法は上記で提示され、図1から図6に示される説明による工程を含む。
【0058】
上述のタイヤ摩耗状態推定システム10、100の構造および方法は、本発明の全体的な概念または運用に影響を及ぼすことなく、変更されまたは再編成される可能性があり、あるいは当業者に知られている構成要素またはステップは、省略されまたは追加される可能性があることを理解されたい。
【0059】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されてきた。この説明を読んで理解すると、潜在的な変更および代替が他人に浮かぶであろう。すべてのそのような変更および代替は、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲、またはその均等物に含まれることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】