(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040086
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】コーキング練習機
(51)【国際特許分類】
E04G 21/16 20060101AFI20220303BHJP
E04B 1/68 20060101ALN20220303BHJP
【FI】
E04G21/16
E04B1/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138209
(22)【出願日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】P 2020143051
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520327401
【氏名又は名称】勝又 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】勝又 浩
【テーマコード(参考)】
2E001
2E174
【Fターム(参考)】
2E001MA02
2E001QA01
2E174DA43
2E174EA01
2E174EA07
(57)【要約】
【課題】コーキング作業の練習を効率よく行うことの可能なコーキング練習機を提供する。
【解決手段】コーキング作業の練習をするためのコーキング練習機100は、コーキング作業の土台となる土台ユニット110と、土台ユニット110に対して相対移動する1又は2以上の作業台ユニット120と、土台ユニット110と作業台ユニット120とを固定する固定具130と、を備え、土台ユニット110と作業台ユニット120とを相対移動させることで、土台ユニット110と作業台ユニット120との間隔を変えて、コーキング用溝Dを形成することができ、固定具130は、間隔を狭める方向には土台ユニット110と作業台ユニット120との相対移動を許容するが、間隔を広げる方向には該固定具130に対して所定の操作が行われるまでは土台ユニット110と作業台ユニット120との相対移動を規制する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーキング作業の練習をするためのコーキング練習機であって、
コーキング作業の土台となる土台ユニットと、
前記土台ユニットに対して相対移動する1又は2以上の作業台ユニットと、
前記土台ユニットと前記作業台ユニットとを固定する固定具と、
を備え、
前記土台ユニットと前記作業台ユニットとを相対移動させることで、前記土台ユニットと前記作業台ユニットとの間隔、又は、前記作業台ユニット間の間隔を変えて、コーキング用溝を形成することができ、
前記固定具は、前記間隔を狭める方向には前記土台ユニットと前記作業台ユニットとの相対移動を許容するが、前記間隔を広げる方向には該固定具に対して所定の操作が行われるまでは前記土台ユニットと前記作業台ユニットとの相対移動を規制することを特徴とする、コーキング練習機。
【請求項2】
前記土台ユニットには、1または2以上の凸部又は凹部が形成され、
前記作業台ユニットには、前記凸部又は凹部に対応して嵌合する凹部又は凸部が形成されることを特徴とする、請求項1に記載のコーキング練習機。
【請求項3】
1つの前記作業台ユニットを異なる方向から前記土台ユニットに対して相対移動させることができることを特徴とする、請求項1又は2に記載のコーキング練習機。
【請求項4】
2以上の前記作業台ユニットが、異なる方向から前記土台ユニットと相対移動することを特徴とする、請求項1又は2に記載のコーキング練習機。
【請求項5】
前記2以上の作業台ユニット間に前記コーキング用溝が形成されることを特徴とする、請求項4に記載のコーキング練習機。
【請求項6】
前記土台ユニット及び前記作業台ユニットの少なくとも一方の表面の少なくとも一部にはカバーが着脱自在に設けられることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のコーキング練習機。
【請求項7】
前記作業台ユニットには、前記固定具を操作する金属製の軸が着脱可能に設けられていることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載のコーキング練習機。
【請求項8】
前記作用台ユニットは、前記土台ユニットの少なくとも一方の側部に前記土台ユニットに対して相対移動可能な側板ユニットを有し、前記側板ユニットの表面の少なくとも一部にはカバーが着脱自在に設けられることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載のコーキング練習機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーキング作業を練習するためのコーキング練習機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内装工の養成に好適に使用される研修施設として、特開2010-256639号公報(特許文献1)に開示されるものがある。同文献に開示される内装工事研修施設は、施設用の部屋として用意された研修室の床に着脱自在に研修者の通路として敷設される通路ユニットと、通路ユニットが形成する通路の少なくとも一方の側に沿って配置された複数の研修展示ユニットとを備えている。各研修展示ユニットは、裏面にキャスターを備えたベースと、ベースに固定された内装材見本とから成っている。内装材見本は、破断されていて施工完了後における内装の断面構造を示しており、且つ施工手順における施工対象箇所の状態の変化を示している。
【0003】
かかる従来の内装工事研修施設によれば、通路の上を研修者が歩いていき、各研修展示ユニットを見ることで内装工事に関する知識が深められる。各研修展示ユニットは、裏面にキャスターを備えたベースに内装材見本が固定されたものであるので、別の場所への移動が容易である。そして、内装材見本は、破断されていて施工完了後における内装の断面構造を示しており、且つ施工手順における施工対処箇所の状態の変化を示しているので、内装の構造とともに内装工事の手順を同時に理解することができる。
【0004】
研修者は、各床壁用研修展示ユニットを通路に沿って見ていくことで、床材や壁面材の色々なバリエーションを確認することができ、またそれぞれの床材や壁面材についての施工手順を理解することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されるような従来技術には改善の余地があった。すなわち、特許文献1では、施工前の壁面に目地が形成されており、まずコーキング材で目地を塞ぐ工事をするようになっており、その後、壁下地材、壁表面材を順に貼り付けるようになっている。しかしながら、コーキング作業についてこれ以上の考察がなく、当該施設が内装工の技術習得するための大型施設であり、この施設を運用する際にはこの施設を設置できるだけの土地を所有しなければならないという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、コーキング作業の練習を効率よく行うことの可能な、新規かつ改良されたコーキング練習機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明によれば、コーキング作業の練習をするためのコーキング練習機であって、コーキング作業の土台となる土台ユニットと、前記土台ユニットに対して相対移動する1又は2以上の作業台ユニットと、前記土台ユニットと前記作業台ユニットとを固定する固定具と、を備え、前記土台ユニットと前記作業台ユニットとを相対移動させることで、前記土台ユニットと前記作業台ユニットとの間隔、又は、前記作業台ユニット間の間隔を変えて、コーキング用溝を形成することができ、前記固定具は、前記間隔を狭める方向には前記土台ユニットと前記作業台ユニットとの相対移動を許容するが、前記間隔を広げる方向には該固定具に対して所定の操作が行われるまでは前記土台ユニットと前記作業台ユニットとの相対移動を規制することを特徴とする、コーキング練習機が提供される。
【0009】
かかる構成によれば、同じコーキング練習機を用いて、繰り返しコーキング作業の練習を行うことができる。すなわち、まず土台ユニットと作業台ユニットとを相対移動させることで、コーキング用溝を形成することができる。コーキング作業の練習中はコーキング用溝の間隔が広がる方向に力が働くが、コーキング用溝の間隔が広がる方向には固定具に対して所定の操作を行わないと移動できないようにした。そして、コーキング作業の練習が終わったときには、固定具に対して所定の操作を行うことで、コーキング用溝を広げ、コーキングを除去することができる。このようにして、コーキング作業の練習を効率よく行うことが可能である。
【0010】
本発明は様々な応用が可能である。以下の応用例は適宜組み合わせることが可能である。
【0011】
例えば、前記土台ユニットには、1または2以上の凸部又は凹部が形成され、前記作業台ユニットには、前記凸部又は凹部に対応して嵌合する凹部又は凸部が形成されるようにしてもよい。かかる構成によれば、土台ユニットの凸部又は凹部と作業台ユニットの凹部又は凸部が、土台ユニットと作業台ユニットとが相対移動する際のガイドの役割を果たすことができる。また、土台ユニットと作業台ユニットの凸部と凹部が嵌合することによって、土台ユニットと作業台ユニットとの接点が多くなり、振れ止めになる。
【0012】
また、1つの前記作業台ユニットを異なる方向から前記土台ユニットに対して相対移動させることができてもよい。かかる構成によれば、1つの作業台ユニットを異なる方向(例えば、縦方向と横方向の90度異なる方向など)から土台ユニットに対して相対移動させることで、コーキング用溝の種類を増やすことができ、練習のバリエーションを増やすことができる。
【0013】
また、2以上の前記作業台ユニットが、異なる方向から前記土台ユニットと相対移動するようにしてもよい。かかる構成によれば、2以上の作業台ユニットによって、コーキング作業の練習のバリエーションを増やすことができる。
【0014】
また、前記2以上の作業台ユニット間に前記コーキング用溝が形成されるようにしてもよい。かかる構成によれば、作業台ユニット間にコーキング用溝を形成するので、例えば、対向する面の形状が異なる複数の作業台ユニットを用意しておくことで、コーキング用溝を任意の形状に形成することができる。例えば立体的なコーキング用溝も形成することができる。このような作業台ユニット間のコーキング用溝は、例えば、土台ユニットの上方や側方に形成することができる。このようにして、コーキング作業の練習のバリエーションを増やすことができる。
【0015】
また、前記土台ユニット及び前記作業台ユニットの少なくとも一方の表面の少なくとも一部にはカバーが着脱自在に設けられるようにしてもよい。かかる構成によれば、土台ユニットや作業台ユニットの傷や汚れを防止し、耐久性を向上させることができる。
【0016】
また、前記作業台ユニットには、前記固定具を操作する金属製の軸が着脱可能に設けられていてもよい。かかる構成によれば、軸の耐摩耗性が向上し、耐久性を向上させることができる。
【0017】
また、前記作用台ユニットは、前記土台ユニットの少なくとも一方の側部に前記土台ユニットに対して相対移動可能な側板ユニットを有し、前記側板ユニットの表面の少なくとも一部にはカバーが着脱自在に設けられていてもよい。かかる構成によれば、側板ユニットの傷や汚れを防止し、耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コーキング作業の練習を効率よく行うことの可能なコーキング練習機を提供することができる。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施形態にかかるコーキング練習機100を概略的に示す図である。
【
図3】固定具130の原理を示す概念図であり、(a)は斜視図であり、(b)は軸が右方向には動くが左方向には動かない状態を示し、(c)は軸が左右両方向に動く状態を示す。
【
図4】作業台ユニット120が土台ユニット110に対して相対移動した状態を示す図である。
【
図5】第2の実施形態にかかるコーキング練習機200を概略的に示す図である。
【
図6】作業台ユニット220が土台ユニット210に対して相対移動した状態を示す図である。
【
図7】第3の実施形態にかかるコーキング練習機300を概略的に示す図である。
【
図8】作業台ユニット320が土台ユニット310に対して相対移動した状態を示す図である。
【
図9】第4の実施形態にかかるコーキング練習機400を概略的に示す図である。
【
図10】作業台ユニット420、左側板ユニット440及び右側板ユニット450が土台ユニット410に対して相対移動した状態を示す図である。
【
図11】第5の実施形態にかかるコーキング練習機500を概略的に示す図である。
【
図12】作業台ユニット520、左サイドユニット540及び右サイドユニット550が土台ユニット510に対して相対移動した状態を示す図である。
【
図13】第6の実施形態にかかるコーキング練習機600を概略的に示す図である。
【
図14】第7の実施形態のコーキング練習機700の構成を概略的に示す図であり、(a)はカバー800をつける前の状態を示す平面図であり、(b)はカバー800を付けた状態を示す斜視図である。
【
図15】土台ユニット710と土台カバー810を説明するための図であり、(a)は土台カバー810を示す斜視図であり、(b)は土台ユニット710に土台カバー810を装着する途中の状態を示す斜視図であり、(c)は土台ユニット710に土台カバー810を装着した状態を示す斜視図である。
【
図16】作業台ユニット720と作業台カバー820を説明するための図であり、(a)は作業台ユニット720に作業台カバー820を装着する途中の状態を示す斜視図であり、(b)は作業台ユニット720に作業台カバー820を装着した状態を底面から見た斜視図であり、(c)は作業台ユニット720に作業台カバー820を装着した状態を右上から見た斜視図である。
【
図17】左側板ユニット740を説明するための図であり、(a)は全体構成を示す斜視図であり、(b)は固定具730付近の斜視図である。
【
図18】左側板ユニット740を土台ユニット710に連結する手順を示す図であり、(a)は鎌形クランプ748で連結する途中の状態示し、(b)は鎌形クランプ748で連結した状態を示す。
【
図19】側板カバー830を説明するための図であり、(a)は側板ユニット830を外側から見た斜視図であり、(b)は側板ユニット830を内側から見た斜視図である。
【
図20】左側板ユニット740に側板カバー830を取り付ける手順を示す図であり、(a)は取り付ける途中の状態を示し、(b)は取り付けが完了した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るコーキング練習機100について、
図1~
図4を参照しながら説明する。まず、
図1を参照しながら、コーキング練習機100の全体構成について説明する。
図1は、本実施形態にかかるコーキング練習機100の構成を概略的に示す図である。
【0022】
コーキング練習機100は、コーキング作業の練習をするためのものであって、
図1に示したように、コーキング作業の土台となる土台ユニット110と、土台ユニット110に対して相対移動する作業台ユニット120と、土台ユニット110と作業台ユニット120とを固定する固定具130と、を備える。以下、コーキング練習機100の各構成要素について順に説明する。
【0023】
(土台ユニット110)
土台ユニット110は、コーキング作業の土台となるユニットであり、後述する作業台ユニット120との間にコーキング用溝Dが形成される。土台ユニット110は、
図1に示したように、土台112と、背板114と、底板116を含む。土台112の形状は任意であるが、一例として、
図1に示したような略直方体形状とする。背板114と底板116は、それぞれ土台112の背面、底面に設けられる板状部材であり、大きさは任意である。以下の説明では、土台ユニット110は動かさずに、作業台ユニット120を動かすことで、両者を相対移動させるものとするが、土台ユニット110を動かしてもよいことは言うまでもない。
【0024】
土台112の前面には、作業台ユニット120の軸122が挿入される軸挿入孔112aが形成されている。また、土台112の上面には、固定具130を配置するための固定具配置穴112bが形成されている。軸挿入孔112aと固定具配置穴112bは連通している。本実施形態ではこのように、軸挿入孔112aと固定具配置穴112bが異なる面に形成されることを特徴とする。
【0025】
(作業台ユニット120)
作業台ユニット120は、土台ユニット110とともにコーキング作業に供されるものであり、上述したように、土台ユニット110との間でコーキング用溝が形成される。作業台ユニット120の形状は任意であるが、一例として、
図1に示したような中空の略直方体形状とする。この中空の部分に上記土台ユニット110が結合される。作業台ユニット120は、上面120aと、3つの側面120b、120c、120dとからなり、側面の1つと底面は設けられておらず解放されている。
【0026】
作業台ユニット120の上面120aには窓Wが形成されている。この窓Wは、後述するように、作業台ユニット120を土台ユニット110から離間させる際に、固定具130を操作するために手を入れるためのものである。窓Wはこのような動作を行うのに適切な大きさに設けられている。1つの側面120bの内側には、
図1に示したように、軸122が設けられている。軸122は、作業台ユニット120内において解放された側面の方向に突出している。作業台ユニット120は、この軸122によって、土台ユニット110に連結される。
【0027】
(固定具130)
固定具130は、
図1に示したように、土台ユニット110と作業台ユニット120とを相対移動させたり、両者を固定させたりすることを切り替えるためのものである。具体的には、固定具130は、コーキング溝の間隔を狭める方向には土台ユニット110と作業台ユニット120との相対移動を許容するが、コーキング溝の間隔を広げる方向には固定具130に対して所定の操作が行われるまでは土台ユニット110と作業台ユニット120との相対移動を規制することを特徴とする。以下、固定具130の構成について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
図2は固定具130の詳細を示す斜視図である。
図3は、固定具130の原理を示す図である。
【0028】
固定具130は、
図2に示したように、枠材132と、枠材132の中で揺動する板134とからなる。枠材132には、穴132aが設けられており、上記作業台ユニット120の軸122がこの穴132aを貫通する。枠材132の内部には、バネ136が設けられている。バネ136は、枠材132の穴132aが設けられている一の面と板134の間に配置されている。
【0029】
図3(a)は、作業台ユニット120の軸122が枠材132を貫通している状態を示す。軸122は、穴132a、バネ136、板134、穴132aを順次貫通する。板134は、枠材132の底部から上方に突出する突起132bに下端が当接している。このように、枠材132の突起132bに板134が引っ掛かることで支点になり、バネ136の力が板134を押さえつけることで力点が生まれ、板134が作用点として軸122を押さえ、軸122を固定する。バネ136の力が掛かっている板134を反対方向から押すと、作用点が無くなるため、テコの原理が働かなくなり、軸122が動く。軸122をバネ136の力と反対方向に押し込んでも軸122は動く。
【0030】
固定具130の作用について、
図3(b)、(c)を参照しながら説明する。軸122を右方向に押し込むと、
図3(b)に示したように、バネ136の力が相殺されて軸122が右方向に動く。軸122は右方向には固定されずに動く。
図3(c)に示したように、バネ136の力に対して反対側から板134を押すと、テコの原理が働かなくなり、軸122に加わる力が消滅して、軸122は左方向にも動くようになる。つまり、軸122が左右に自由に動く。
【0031】
なお、本実施形態の固定具130は、いわゆる第3種てこの原理の応用であるが、この構成は一例に過ぎない。コーキング溝の間隔を狭める方向には土台ユニット110と作業台ユニット120との相対移動を許容するが、コーキング溝の間隔を広げる方向には固定具130に対して所定の操作が行われるまでは土台ユニット110と作業台ユニット120との相対移動を規制する構成であれば、任意の固定具を用いることができる。
【0032】
以上、本実施形態のコーキング練習機100の構成を説明した。次に、コーキング練習機100の動作として、作業台ユニット120が土台ユニット110に対して相対移動して、コーキング用溝Dが形成される一連の動作について、
図4を参照しながら説明する。
【0033】
まず、
図4に示したように、固定具130を、土台ユニット110の固定具配置穴112bに配置する。上述したように、軸挿入孔112aと固定具配置穴112bは異なる面に形成されており、固定具配置穴112bは、軸挿入孔112aに連通している。よって、固定具配置穴112bに配置された固定具130に対して、作業台ユニット120の軸122を軸挿入孔112aから挿入することができる。
【0034】
次に、作業台ユニット120が土台ユニット110を覆うように、作業台ユニット120を土台ユニット110の前方からスライドさせる。このとき、作業台ユニット120の軸122が軸挿入孔112aから土台ユニット110内に挿入されて、固定具130の穴132aを介して、バネ136、板134の穴132aを貫通する。作業台ユニット120は、固定具130の作用により土台ユニット110の背板114に接近する方向への移動は許容されるが、背板114から遠ざかる方向への移動は規制される。こうして、作業台ユニット120と土台ユニット110(の背板114)との間でコーキング用溝Dが形成される。
【0035】
このように、作業台ユニット120は、固定具130の作用により土台ユニット110の背板114に接近する方向(コーキング用溝の幅が狭まる方向)への移動は許容されるが、背板114から遠ざかる方向(コーキング用溝の幅が広がる方向)への移動は規制されるようにした。コーキング作業中はヘラでコーキング材を斜め、横、下方向に押さえるか手繰る動作のため、コーキング用溝が広がる方向に力が働く。すなわち、土台ユニット110と作業台ユニット120が遠ざかる方向に力が働く。固定具130によって、土台ユニット110と作業台ユニット120が遠ざかる方向への移動を規制することで、コーキング作業の練習を円滑に行うことができる。
【0036】
コーキング作業の練習が終わりコーキング材が固まる前の場合は、固定具130に対して上記の操作を行うことで、土台ユニット110から作業台ユニット120を遠ざける。コーキング用溝を広げることで、コーキング用溝のコーキングを除去することができる。こうして、同じコーキング練習機100を用いて、繰り返しコーキング作業の練習を行うことができる。固まったコーキング材に対してもカッター等で切れ目を入れた後、土台ユニット110から作業台ユニットを遠ざけることで、コーキング用溝のコーキングを除去して繰り返しコーキングの練習が行える。
【0037】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、同じコーキング練習機100を用いて、繰り返しコーキング作業の練習を行うことができる。このようにして、コーキング作業の練習を効率よく行うことが可能である。
【0038】
以下では、上記第1の実施形態を応用した他の実施形態について説明する。以下の実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとし、上記第1の実施形態と同様の構成又は動作については、重複説明を省略することがある。
【0039】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本実施形態では、土台ユニットには、凹部が形成され、作業台ユニットには、その凹部に嵌合する凸部が形成されることを特徴とする。本実施形態に係るコーキング練習機200について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図5は、本実施形態のコーキング練習機200の構成を概略的に示す図である。
図6は、作業台ユニット220が土台ユニット210に対して相対移動した状態を示す図である。
【0040】
コーキング練習機200は、
図5に示したように、土台ユニット210と、作業台ユニット220と、固定具130とを備えて構成される。土台ユニット210と作業台ユニット220は、上記第1の実施形態の土台ユニット110と作業台ユニット120に対応するものであるが、以下の点が異なる。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0041】
土台ユニット210の土台212には、
図5に示したように、土台212の両側部に4本の溝(凹部)212cが形成されている。溝212cは、土台212の前後方向全長にわたって延びている。一側部に形成されている2本の溝212cは、土台212の下端と上下方向において中間位置に配置されている。なお、溝212cの本数は任意であり、1本でもよく、3本以上でもよい。土台ユニット210のその他の点は、上記第1の実施形態の土台ユニット110と同様に構成することができる。
【0042】
作業台ユニット220には、土台ユニット210の4本の溝212cに嵌合する4つの凸部224aが形成されている。作業台ユニット220のその他の点は、上記第1の実施形態の作業台ユニット120と同様に構成することができる。
【0043】
以上、コーキング練習機200の構成について説明した。次に、コーキング練習機200の動作として、作業台ユニット220が土台ユニット210に対して相対移動して、コーキング用溝Dが形成される一連の動作について、
図5に加えて
図6を参照しながら説明する。
【0044】
まず、
図5に示したように、固定具130を、土台212の固定具配置穴112bに配置する。次に、
図6に示したように、土台ユニット210に作業台ユニット220を組み付ける。このとき、土台212の溝212cに作業台ユニット220の凸部224aを嵌合させる。そして、作業台ユニット220を土台212に対して平行に移動させる。このとき、溝212cに沿って凸部224aを移動させることができるため、作業台ユニット220を移動させやすい。この状態で、コーキング作業の練習を行うことができる。
【0045】
次に、土台ユニット210から作業台ユニット220を遠ざける際には、固定具配置穴112b内の固定具130を操作する。固定具130は、作業台ユニット220の上面の窓Wから操作することができる。固定具130を操作することにより、土台ユニット210から作業台ユニット220を遠ざけることができる。
【0046】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、土台ユニット210の溝212cと作業台ユニット220の凸部224aが、土台ユニット210と作業台ユニット220とが相対移動する際のガイドの役割を果たすことができる。また、土台ユニット210の溝212cと作業台ユニット220の凸部224aが嵌合することによって、土台ユニット210と作業台ユニット220との接点が多くなり、振れ止めになる。
【0047】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。本実施形態では、1つの作業台ユニットを異なる方向から土台ユニットに対して相対移動させることを特徴とする。本実施形態に係るコーキング練習機300について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。
図7は、本実施形態のコーキング練習機300の構成を概略的に示す図である。
図8は、作業台ユニット320が土台ユニット310に対して相対移動した状態を示す図である。
【0048】
コーキング練習機300は、
図7に示したように、土台ユニット310と、作業台ユニット320と、固定具130とを備えて構成される。土台ユニット310と作業台ユニット320は、上記第2の実施形態の土台ユニット210と作業台ユニット220に対応するものであるが、以下の点が異なる。以下、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0049】
土台ユニット310は、上記第2の実施形態の土台ユニット210の設置方向を90度回転したものである。すなわち、土台ユニット310の背板314は、上記第2の実施形態の底板116である。土台ユニット310の底板316は、上記第2の実施形態の背板114である。土台ユニット310は、上記第2の実施形態の土台ユニット210を縦向きにするとともに、この向きで作業台ユニット320と組み付けができるように、溝(凹部)を増設している。
【0050】
土台312の正面には、固定具130を配置するための固定具配置穴312bが形成されている。固定具130は、開口を上にした状態で、固定具配置穴312b内で動かないように配置される。固定具130が固定具配置穴312bに配置された状態で、その上方には指を入れられる隙間があり、固定具130の操作を行うことができる。固定具配置穴312bは、上記第2の実施形態における軸挿入孔112a(
図1)の役割も兼ねている。すなわち、この固定具配置穴312bには、固定具130が配置されるとともに、作業台ユニット320の軸322の軸322が挿入される。
【0051】
土台312の両側部には、6本の横溝(凹部)312aが形成されている。一側部に形成されている3本の横溝312aは、土台312の下端と上下方向に間隔を空けて2本配置されている。6本の横溝312aは、土台312の前後方向全長にわたって延びている。
【0052】
また、土台312の両側部には、
図7に示したように、4本の縦溝(凹部)312cが形成されている。4本の縦溝312cは、第2の実施形態の4本の溝212cと同様のものとすることができる。この4本の縦溝312cは、土台312を縦向きにしたときには、使用されない。上記第2の実施形態(
図5)のように土台312を横向きにしたときには、この4本の縦溝312cを、上記第2の実施形態の溝212cのように使用することができる。このように本実施形態では、土台ユニット310(の土台312)の向きを変えることで、コーキング作業の練習のバリエーションを増やすことができる。土台ユニット310のその他の点は、上記第2の実施形態の土台ユニット210と同様に構成することができる。
【0053】
作業台ユニット320には、土台ユニット310の6本の横溝312aに嵌合する6つの凸部324aが形成されている。また、作業台ユニット320には、窓Wが形成されており、窓Wの下方には土台ユニット310に連結するための軸322が設けられている。作業台ユニット320のその他の点は、上記第2の実施形態の作業台ユニット220と同様に構成することができる。
【0054】
以上、コーキング練習機300の構成について説明した。次に、コーキング練習機300の動作として、作業台ユニット320が土台ユニット310に対して相対移動して、コーキング用溝Dが形成される一連の動作について、
図7に加えて
図8を参照しながら説明する。
【0055】
まず、
図8に示したように、固定具130を、土台312の固定具配置穴312bに配置し、土台ユニット310に作業台ユニット320を組み付ける。このとき、土台312の横溝312aに作業台ユニット320の凸部324aを嵌合させる。そして、作業台ユニット320を土台312に対して平行に移動させる。このとき、横溝312aに沿って凸部324aを移動させることができるため、作業台ユニット320を移動させやすい。この嵌合された状態は触れ止めの役割も果たしながらコーキング作業の練習を行うことができる。
【0056】
次に、土台ユニット310から作業台ユニット320を遠ざける際には、固定具配置穴312b内の固定具130を操作する。固定具130は、作業台ユニット320の前面の窓Wから操作することができる。固定具130を操作することにより、土台ユニット310から作業台ユニット320を遠ざけることができる。
【0057】
(第3の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、作業台ユニット320を異なる方向から土台ユニット310に対して相対移動させることで、上記第2の実施形態よりもコーキング用溝の種類を増やすことができ、練習のバリエーションを増やすことができる。
【0058】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について説明する。本実施形態では、2以上の作業台ユニットが、異なる方向から土台ユニットと相対移動することを特徴とする。本実施形態に係るコーキング練習機400について、
図9及び
図10を参照しながら説明する。
図9は、本実施形態のコーキング練習機400の構成を概略的に示す図である。
図10は、作業台ユニット420、左側板ユニット440及び右側板ユニット450が土台ユニット410に対して相対移動した状態を示す図である。
【0059】
コーキング練習機400は、
図9に示したように、土台ユニット410と、作業台ユニット420と、3つの固定具130と、左側板ユニット440と、右側板ユニット450とを備えて構成される。土台ユニット410と作業台ユニット420は、上記第1の実施形態の土台ユニット110と作業台ユニット120に対応するものであるが、以下の点が異なる。左側板ユニット440と右側板ユニット450は、本発明の作業台ユニットの一例である。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0060】
土台ユニット410の土台412には、
図9に示したように、両側面に左右の側板ユニット440、450の軸442、452が挿入される軸挿入孔412c、412dが形成されている。また、土台412の上面には、左側板ユニット440及び右側板ユニット450に対応した固定具130を配置するための固定具配置穴412e、412fが形成されている。軸挿入孔412cと固定具配置穴412eは連通しており、軸挿入孔412dと固定具配置穴412fは連通している。土台ユニット410のその他の点は、上記第1の実施形態の土台ユニット110と同様に構成することができる。
【0061】
作業台ユニット420の左側面には、左側板ユニット440の軸442が挿入される軸挿入孔420fが形成されている。軸挿入孔420fは、左側板ユニット440の軸442よりも大きく形成されている。軸挿入孔420fに軸442が挿入された後でも、作業台ユニット420を動かすことができ、コーキング用溝Dの幅を変えることができる。同様に、作業台ユニット420の右側面には、右側板ユニット450の軸452が挿入される軸挿入孔420gが形成されている。作業台ユニット420のその他の点は、上記第1の実施形態の作業台ユニット120と同様に構成することができる。
【0062】
(左側板ユニット440)
左側板ユニット440は、方形状の薄板であり、高さ寸法が土台ユニット410の底板116の厚み分だけ低く、奥行き寸法が背板114の厚み分だけ薄い。左側板ユニット440には面と直行する方向に軸442が突出している。軸442は、作業台ユニット420の軸挿入孔420fと土台ユニット410の軸挿入孔412cを介して固定具130に連結される。
【0063】
(右側板ユニット450)
右側板ユニット450も、方形状の薄板であり、高さ寸法が土台ユニット410の底板116の厚み分だけ低く、奥行き寸法が背板114の厚み分だけ薄い。右側板ユニット450には面と直行する方向に軸452が突出している。軸452は、作業台ユニット420の軸挿入孔420gと土台ユニット410の軸挿入孔412dを介して固定具130に連結される。
【0064】
以上、コーキング練習機400の構成について説明した。次に、コーキング練習機400の動作として、作業台ユニット420、左側板ユニット440及び右側板ユニット450が土台ユニット410に対して相対移動して、コーキング用溝Dが形成される一連の動作について、
図9に加えて
図10を参照しながら説明する。
【0065】
まず、
図9に示したように、固定具130を土台412の固定具配置穴112b、412e、412fに配置する。次に、
図10に示したように、作業台ユニット420を土台ユニット410に組み付ける。この動作は上記第1の実施形態と同様である。次に、
図10に示したように、左側板ユニット440の軸442を、作業台ユニット420の軸挿入孔412fに挿通し、右板ユニット450の軸452を、作業台ユニット420の軸挿入孔412gに挿通することによって、左側板ユニット440と右側板ユニット450を土台ユニット410に組み付ける。この状態で、コーキング作業の練習を行うことができる。
【0066】
次に、土台ユニット410から作業台ユニット420、左側板ユニット440及び右側板ユニット450を遠ざける際には、上記と逆の順序で遠ざける。まず、固定具配置穴412e、412f内の固定具130を操作して、左側板ユニット440と右側板ユニット450を土台ユニット410から遠ざける。次に、上記第1の実施形態と同様に、固定具配置穴412b内の固定具130を操作する。固定具130は、作業台ユニット420の上面の窓Wから操作することができる。固定具130を操作することにより、土台ユニット410から作業台ユニット420を遠ざけることができる。
【0067】
(第4の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、2以上の作業台ユニット(作業台ユニット420のほかに左側板ユニット440及び右側板ユニット450)によって、コーキング作業の練習のバリエーションを増やすことができる。
【0068】
(第5の実施形態)
第5の実施形態について説明する。本実施形態は、上記第4の実施形態の応用例であり、2以上の作業台ユニットが、異なる方向から土台ユニットと相対移動し、2以上の作業台ユニット間にコーキング用溝が形成されることを特徴とする。本実施形態に係るコーキング練習機500について、
図11及び
図12を参照しながら説明する。
図11は、本実施形態のコーキング練習機500の構成を概略的に示す図である。
図12は、作業台ユニット520、左サイドユニット540及び右サイドユニット550が土台ユニット510に対して相対移動した状態を示す図である。
【0069】
コーキング練習機500は、
図11に示したように、土台ユニット510と、作業台ユニット520と、固定具130と、左サイドユニット540と、右サイドユニット550とを備えて構成される。土台ユニット510と作業台ユニット520は、上記第4の実施形態の土台ユニット410と作業台ユニット420に対応するものであるが、以下の点が異なる。左サイドユニット540と右サイドユニット550は、本発明の作業台ユニットの一例である。以下、上記第4の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0070】
土台ユニット510は、
図11に示したように、第4の実施形態の土台412に固定具解除穴512g、512h、512iと4本の溝512jが形成されているものである。固定具解除穴512g、512h、512iは、固定具を解除するためのものである。溝512jは、作業台ユニット520の移動を規制するものである。固定具解除穴512g、512h、512iは軸挿入孔112a、412c、412dの下方に形成されており、固定具配置穴112b、412e、412fに連通している。土台512の上面には、第3の実施形態と同様の固定具配置穴312bが形成されている。
【0071】
4本の溝512jは、
図11に示したように、土台512の両側部に形成されている。一側部に形成されている2本の溝512jは、土台512の背板114の側端部と、土台512の背板114と反対側の端部近傍に配置されている。4本の縦溝512jは、土台512の上下方向全長にわたって延びている。土台ユニット510のその他の点は、上記第4の実施形態の土台ユニット410と同様に構成することができる。
【0072】
作業台ユニット520は、
図11に示したように、上面520aと、2つの側面520b、520cと、側面520b、520cより上方に延びる逆L字状の背面520dと、からなる。作業台ユニット520内において、背面520dから開口方向に軸522が突出している。側面520bの軸挿入孔520gの下方には、固定具を操作するための固定操作穴520hが形成されている。また、背面520dの軸522の下方には、固定具130を操作するための固定具操作穴520iが形成されている。作業台ユニット520のその他の点は、上記第4の実施形態の作業台ユニット420と同様に構成することができる。
【0073】
(左サイドユニット540)
左サイドユニット540は、断面略逆L字状であり、側面540aから軸が突出している。軸は、作業台ユニット520の軸挿入孔と土台ユニット510の軸挿入孔412cを介して固定具に連結される。軸の下方に固定具を操作するための固定具操作穴が形成されている。また、側面540aの両側部には溝512jに嵌め合わされる凸部544が形成されている。上面の先端540cは連続する山形に形成されている。
【0074】
(右サイドユニット550)
右サイドユニット550も、断面略逆L字状であり、側面550aから軸552が突出している。軸552は、作業台ユニット520の軸挿入孔512gと土台ユニット510の軸挿入孔412dを介して固定具に連結される。軸552の下方に固定具を操作するための固定具操作穴550bが形成されている。また、側面550aの両側部には溝512jに嵌め合わされる凸部554が形成されている。上面の先端550cは連続する山形に形成されている。
【0075】
以上、コーキング練習機500の各部の構成について説明した。
次に、コーキング練習機500の組み立て手順について、
図11及び
図12を参照しながら説明する。まず、土台512の固定具配置穴112b、412e、412fに固定具を配置する。そして、土台512の軸挿入孔112aに作業台ユニット520の軸522を挿入するように、土台512に作業台ユニット520を組み付ける。
【0076】
次に、左右のサイドユニット540、550の軸552を作業台ユニット520の軸挿入孔520gを介して土台512の軸挿入孔412c、412dの挿入するように、作業台ユニット520に左右のサイドユニット540、550を組み付ける。このとき、
図12に示したように、土台ユニット510と作業台ユニット520は、左右のサイドユニット540、550によって上方(上面)が覆われており、左右のサイドユニット540、550の先端540c、550cの間にコーキング用溝Dが形成される。左右のサイドユニット540、550を接近させる幅を変えることによって、コーキング用溝Dの幅が変更される。また、作業台ユニット520と左右側板ユニットとの取り合いにもコーキング用溝が形成され、立体的なコーキング用溝が形成される。
【0077】
(第5の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、対向する面の形状が異なる複数の作業台ユニット(左右のサイドユニット540、550)を用意しておくことで、コーキング用溝を任意の形状(例えば、立体的な形状)に形成することができる。このようにして、コーキング作業の練習のバリエーションを増やすことができる。
【0078】
(第6の実施形態)
上記実施形態、応用例、変形例は、任意に組み合わせて実施することができる。例えば、
図13に示したコーキング練習機600のように、第3の実施形態の土台ユニット310と、第2の実施形態の作業台ユニット220と、第4の実施形態の左側板ユニット440及び右側板ユニット450と、これらを連結する固定具130とを備えた構成とすることもできる。
【0079】
(第6の実施形態の効果)
上記各実施形態の相乗効果が得られる。
【0080】
(第7の実施形態)
第7の実施形態について説明する。本実施形態は、上記第4の実施形態の応用例であり、2以上の作業台ユニットが、異なる方向から土台ユニットと相対移動し、2以上の作業台ユニット間にコーキング用溝が形成される構成であり、土台ユニット及び作業台ユニットの表面にカバーが着脱自在に設けられることを特徴とする。本実施形態に係るコーキング練習機700について、
図14を参照しながら説明する。
図14は、本実施形態のコーキング練習機700の構成を概略的に示す図であり、(a)はカバー800をつける前の状態を示す平面図であり、(b)はカバー800を付けた状態を示す斜視図である。
【0081】
コーキング練習機700は、
図14に示したように、土台ユニット710と、作業台ユニット720と、固定具730と、左側板ユニット740と、右側板ユニット750と、カバー800を備えて構成される。土台ユニット710、作業台ユニット720、左側板ユニット740、右側板ユニット750は、上記第4の実施形態の土台ユニット410、作業台ユニット420、左サイドユニット540、右サイドユニット550に対応するものであるが、以下の点が異なる。以下、上記第4の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0082】
コーキング練習機700は、
図14(a)に示したように、土台ユニット710と作業台ユニット720との間、作業台ユニット720と左側板ユニット740との間、及び作業台ユニット720と右側板ユニット750との間にカバー800の厚み分だけ隙間を設けることができる。各ユニットにカバー800を装着すると、
図14(b)に示したように、隙間が塞がれる。
【0083】
(カバー800)
カバー800は、各ユニットの作業面に装着されて、各ユニットを傷や汚れから守るものである。カバー800は、
図14(b)に示したように、土台ユニット710に装着される土台カバー810と、作業台ユニット720に装着される作業台カバー820と、左右の側板ユニット740に装着される側板カバー830と、によって構成される。カバー800は、各ユニットの作業面の傷を防止するだけではなく、作業面の材質、形状などの変更を容易に行うことができるものである。
【0084】
そもそも、コーキング練習機では、コーキングの練習後にコーキング材を剥がすときに、カッターやコーキング剥がしなどの刃物を使って剥がす。そのため、各ユニットの表面が傷付き、凸凹が酷くなった場合はユニット全部を交換・破棄しなければならない。各ユニットを金属製にすれば作業面の摩耗には強くなるが、樹脂製と比べると重量が増し、加工の難易度が上がる。また、コストが樹脂と比べて割高になるなどの課題もある。
【0085】
カバー800は、各ユニットの作業面を覆うことにより、傷ついたら交換できるようにしたものである。また、カバー800は各ユニットに着脱可能であるので材料も形も色も自由に選ぶことができる。以下、各ユニットにカバー800を装着する状態について説明する。
【0086】
(土台ユニット710+土台カバー810)
土台ユニット710に土台カバー810を装着する状態について、
図15を参照しながら説明する。
図15は、土台ユニット710と土台カバー810を説明するための図であり、(a)は土台カバー810を示す斜視図であり、(b)は土台ユニット710に土台カバー810を装着する途中の状態を示す斜視図であり、(c)は土台ユニット710に土台カバー810を装着した状態を示す斜視図である。
【0087】
土台カバー810は、
図15(a)に示したように、土台ユニット710の背板714と底板716を覆うように略L字状に構成されており、土台112に対応する部分には開口部812が形成されている。
【0088】
土台カバー810は、
図15(b)に示したように、開口部812と土台712との位置を合わせて土台ユニット710の上方から装着する。土台カバー810を背板714に沿って底板716に当接するまで下降させると、
図15(c)に示したように、土台カバー810が土台ユニット710に装着される。
【0089】
土台ユニット710には、
図14及び
図15に示したように、背板710の背面に脚部718が設けられる。脚部718は、背板710とは別体に構成されて背板710に対してボルトなどで固定されるようにしてもよく、背板710と一体に成形されてもよい。背板710に脚部718を設けることにより、背板710に力が加わった際の後方への転倒が防止される。また、土台712は着脱自在としてもよく、形状も任意に設計することができる。
【0090】
(作業台ユニット720+作業台カバー820)
作業台ユニット720に作業台カバー820を装着する状態について、
図16を参照しながら説明する。
図16は、作業台ユニット720と作業台カバー820を説明するための図であり、(a)は作業台ユニット720に作業台カバー820を装着する途中の状態を示す斜視図であり、(b)は作業台ユニット720に作業台カバー820を装着した状態を底面から見た斜視図であり、(c)は作業台ユニット720に作業台カバー820を装着した状態を右上から見た斜視図である。
【0091】
作業台ユニット720は、
図16(a)に示したように、上面に作業台カバー820の装着を案内する案内溝724が設けられている。案内溝724は、作業台の奥行方向に3本並設されている。また、作用台ユニット720の下部近傍にも奥行方向に延びる案内溝726が1本ずつ設けられている。
【0092】
作業台ユニット720には、
図16(b)に示したように、第4の実施形態と同様の軸722が設けられているが、本実施形態の軸722は、金属製である。よって、作業台ユニット720の軸722以外の部分が樹脂製であったとしても、軸722が金属製であるため、固定具730に対する相対移動による摩耗を防止することができる。
【0093】
作業台カバー820は、
図16に示したように、作業台ユニット720の背面と底面以外の部分を覆うように構成されている。本実施形態の作業台カバー820は、キッチンのシンクの形状である。作業台カバーの形状及び材質は練習したい対象に合わせて任意に設計することができる。例えば、バスタブ、食器棚などの形状にすることもできる。
【0094】
作業台カバー820の内面には、
図16に示したように、作業台ユニット720の案内溝724、726に対応する位置に案内凸部822、824が設けられている。作業台カバー820は、案内溝724に案内凸部822を、案内溝726に案内凸部824をそれぞれ嵌め合わせて奥行方向にスライドさせることにより、作用台ユニット720に取り付けることができる。案内溝724に案内凸部822が嵌め合わされることにより、作動台カバー820の左右方向の移動が拘束される。また、案内溝726に案内凸部824が嵌め合わされることにより、作動台カバー820の上下方向の移動が拘束される。
【0095】
(左側板ユニット740+側板カバー830)
左側板ユニット740に側板カバー830を装着する状態について、
図17~
図19を参照しながら説明する。本実施形態では、左側板ユニット740を例にとって説明するが、右側板ユニットも同様の構成であり、ここでは説明を省略する。
図17は、左側板ユニット740を説明するための図である。
図18は、左側板ユニット740を土台ユニット710に連結する手順を示す図である。
図19は、側板カバー830を説明するための図である。
【0096】
左側板ユニット740は、
図17(a)に示したように、作業台ユニット720と対面する内側面に側板カバー830と嵌合する嵌合凸面744が形成されている。また、左側板ユニット740には、軸742が移動可能に挿通している。軸742の一端は、
図17(b)に示したように、左側板ユニット740の外側面に設けられている固定具730によって移動が拘束可能である。嵌合凸面744には軸742を挟んで2つの突出片746が形成されている。
【0097】
また、左側板ユニット740の上端と下端には、土台ユニット712に連結するための鎌形クランプ748、749が設けられている。左側板ユニット740の上端に設けられている鎌形クランプ748は、
図18に示したように、土台ユニット710の背板714に引っ掛けるように連結される。一方、左側板ユニット740の下端に設けられている鎌形クランプ749は、土台ユニット710の底板716に同様の方法で連結される。
【0098】
側板カバー830は、左側板ユニット740の傷、汚れなどを防止するものである。側板カバー830は、
図19に示したように、左側板ユニット740に応じた方形状の形状をしている。側板カバー830には、
図19(b)に示したように、左側板ユニット740の嵌合凸面744に嵌合する嵌合凹面834が形成されている。また、側板カバー830には、軸742と突出片746に対応する位置に、軸挿通孔832と突出片挿通孔836が設けられている。
【0099】
以上、左側板ユニット740と側板カバー830の構成について説明した。次に、
図20を参照しながら、左側板ユニット740に側板カバー830を取り付ける手順について説明する。
図20は、左側板ユニット740にカバーを取り付ける手順を示す図である。
【0100】
図20(a)に示したように、左側板ユニット740の嵌合凸面744と側板カバー830の嵌合凹面834を対面させて配置する。そして、側板カバー830の軸挿通孔832と突出片挿通孔836に軸742と突出片746を挿通させる。そして、
図20(b)に示したように、左側板ユニット740の嵌合凸面744と側板カバー830の嵌合凹面834を嵌合させることにより取り付けられる。
【0101】
(第7の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、土台ユニット710、作業台ユニット720、左側板ユニット740の表面にカバーが着脱自在に設けられるため、土台ユニット710、作業台ユニット720、左側板ユニット740の傷や汚れを防止し、耐久性を向上させることができる。
【0102】
また、作業台ユニット720や左側板ユニット740には、固定具730を操作する金属製の軸722、742が着脱可能に設けられているため、軸722、742の耐摩耗性が向上し、耐久性を向上させることができる。
【0103】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0104】
例えば、上記第2の実施形態では、土台ユニット210に溝(凹部)が設けられ、作業台ユニット220に凸部が設けられる構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。溝(凹部)と凸部は逆に設けてもよい。すなわち、土台ユニットに1又は2以上の凸部を設け、作業台ユニットには、その凸部に嵌合する溝(凹部)を設けてもよい。
【0105】
また、上記第3の実施形態では、上記第2の実施形態との比較で、土台ユニット310に対して作業台ユニット320を異なる方向から嵌合する例について説明した。土台ユニット310には6本の横溝312aが設けられ、作業台ユニット320には、6本の横溝312aに嵌合する6つの凸部324aが設けられる構成について説明したが、これらの横溝312aや凸部324aがない構成でもよい。
【0106】
上記第1の実施形態では、固定具130として、いわゆる第3種てこの原理を応用したものを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。コーキング溝の間隔を狭める方向には土台ユニット110と作業台ユニット120との相対移動を許容するが、コーキング溝の間隔を広げる方向には固定具130に対して所定の操作が行われるまでは土台ユニット110と作業台ユニット120との相対移動を規制する構成であれば、任意の固定具を用いることができる。例えば、ガススプリング等の原理を用いた固定具を用いることもできる。他の実施形態についても同様である。
【0107】
また、上記第1の実施形態では、固定具130は、間隔を狭める方向には土台ユニット110と作業台ユニット120との相対移動を許容するが、間隔を広げる方向には固定具130に対して所定の操作が行われるまでは土台ユニット110と作業台ユニット120との相対移動を規制する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。固定具の強度によっては、一定以上の力を掛かると、土台ユニットと作業台ユニットの移動を規制しきれないこともある。そこで固定具の構成として、次のような構成でもよい。
固定具に対して所定の操作が行われるまでは、土台ユニット110と作業台ユニット120との間隔を広げる方向に相対移動させるための力が、土台ユニット110と作業台ユニット120との間隔を狭める方向に相対移動させるための力よりも大きい。
他の実施形態についても同様である。
【0108】
また、上記第7の実施形態では、カバー800は、土台ユニット710に装着される土台カバー810と、作業台ユニット720に装着される作業台カバー820と、左右の側板ユニット740に装着される側板カバー830と、によって構成されるものとしたが、本発明はこの例に限定されない。いずれかのユニットの少なくとも一部に設けられていてもよい。
【0109】
上記実施形態、応用例、変形例は、任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0110】
100、200、300、400、500、600、700 コーキング練習機
110、210、310、410、510、710 土台ユニット
112、212、312、412、512、712 土台
112a 軸挿入孔
112b 固定具配置穴
114、714 背板
116、716 底板
120、220、320、420、520、720 作業台ユニット
120a 上面
120b、120c、120d 側面
W 窓
122、222、322、422、522、722 軸
130、730 固定具
132 枠材
132a 穴
134 板
136 バネ
212c 溝(凹部)
224a 凸部
312a 横溝
312c 縦溝
440、740 左側板ユニット
450 右側板ユニット
540 左サイドユニット
550 右サイドユニット
718 脚部
722、742 軸
724 案内溝
744 嵌合凸面
746 突出片
748、749 鎌形クランプ
800 カバー
810 土台カバー
812 開口部
820 作業台カバー
822 案内凸部
830 側板カバー
832 軸挿通孔
834 嵌合凹面
836 突出片挿通孔