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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040106
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】油性メイクアップ化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/04 20060101AFI20220303BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20220303BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20220303BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20220303BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20220303BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20220303BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20220303BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20220303BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20220303BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20220303BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220303BHJP
【FI】
A61K8/04
A61Q1/02
A61Q1/04
A61K8/92
A61K8/25
A61K8/39
A61K8/19
A61K8/81
A61K8/60
A61K8/31
A61K8/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139408
(22)【出願日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】P 2020145096
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】篠田 知明
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB372
4C083AB432
4C083AC022
4C083AC372
4C083AC422
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD071
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD242
4C083BB03
4C083BB11
4C083BB21
4C083CC11
4C083CC13
4C083DD01
4C083DD22
4C083DD23
4C083DD30
4C083DD39
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】本発明は、液状の油性化粧料の中に粒状の化粧料が均一に分散した審美性に優れ、具体的には、使用前及び使用後も粒状顆粒が沈降することがない外観の均一性を保ち、さらに、使用時は易崩壊性顆粒が均一に伸び広がることで使用性にも優れ、色や光輝性等の外観審美性に優れたメイクアップ化粧料の提供。
【解決手段】
透明もしくは半透明の液状化粧料の中に平均粒子径が0.5mm~10mm易崩壊性顆粒の1種または2種以上がその粒状を認識できる状態で分散されている組み合わせ化粧料であって、25℃における油性液状化粧料の粘度が5,000~500,000mPas以上であることを特徴とする油性メイクアップ化粧料。
【選択図】なし


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明もしくは半透明の油相中に、平均粒子径が0.5mm~10mmの易崩壊性顆粒1種または2種以上が分散されている化粧料であって、25℃における粘度が5,000~500,000mPasである油性メイクアップ化粧料。
【請求項2】
前記易崩壊性顆粒中に着色顔料、および光輝性粉体から選ばれる1種または2種以上を25~98質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の油性メイクアップ化粧料。
【請求項3】
前記易崩壊性顆粒を化粧料内に0.5~15質量%含有する請求項1または2に記載の油性メイクアップ化粧料。
【請求項4】
さらに親油性ゲル化剤を含有する請求項1~3のいずれか一項に記載の油性メイクアップ化粧料。
【請求項5】
さらに前記易崩壊性顆粒中に、水分散性ポリマーエマルジョンを含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の油性メイクアップ化粧料。
【請求項6】
前記水分散性ポリマーエマルジョンが、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン、(メタ)アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション、アクリルアミド系ポリマーエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポリ塩化ビニルエマルジョン、ビニルピロリドン・スチレン共重合体エマルション、シリコーン系ポリマーエマルション、ウレタン系ポリマーエマルションから選ばれる1種または2種以上である請求項5に記載の油性メイクアップ化粧料。
【請求項7】
前記水分散性ポリマーエマルジョンが、前記易崩壊性顆粒中に固形分換算で2.0~10質量%含有する請求項5または6に記載の油性メイクアップ化粧料。
【請求項8】
さらに充填温度50℃~95℃で充填する請求項1~7のいずれか一項に記載の油性メイクアップ化粧料。
【請求項9】
前記油性メイクアップ化粧料が、25℃の条件下において静置状態から、高シェア付加状態へと変化させさらに静置状態へと応力を変化させた際の、各静置状態での弾性成分を比較した場合に、弾性成分が100秒で10%以上の回復率を示す請求項1~8のいずれか一項に記載の油性メイクアップ化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油性メイクアップ化粧料に関し、より詳細には油性化粧料に粒状顆粒が均一に分散しているものである。
【背景技術】
【0002】
近年、メイクアップ化粧料の市場において消費者の化粧品に対するニーズは多様化しており、化粧料としての機能に加え外観が新規の化粧料が好まれるようになってきている。
【0003】
このような近年のトレンドに対応する製品として、美爪料基剤に、着色繊維を含有し、爪に塗布、乾燥した後の外観や、透明容器に充填した際の外観がマーブル(大理石)模様となるもの(特許文献1)や、液体状の外相中に液体状の内相を立体模様に分散する化粧料に関するもの(特許文献2)、固形化粧料中に粒状の固形化粧料を組み合わせた化粧料(特許文献3)などが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-098441号公報
【特許文献2】特開2014-162791号公報
【特許文献3】特開2011-032181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように外観に優れるが着色繊維がそのままの形を維持したまま残る点において美爪料以外のメイクアップ化粧料での応用が難しく、特許文献2のように外相と内相が共に油性組成物である場合、使用を重ねることで内相と外相が混じり合い外観の審美性が損なわれることがあった。特許文献3の技術のように粒状の固形化粧料を固形化粧料中に組み合わせた化粧料の技術はあるが、油性液状化粧料中に粒状の化粧料を組み合わせた技術はこれまでに見つかっていない。油性液状化粧料、特に油性のメイクアップ化粧料は、ゲル化剤を用いて、使用時の押し出し、塗布具による攪拌などによるシェアにより粘度低減を生じ塗布時には粘度が低下し、時間が経過すると粘度が戻る化粧料が広く用いられている。しかしながら、このような化粧料に粒状の顆粒を添加した場合、使用時の粘度低下により、分散していた粒が沈降してしまうという現象が起きる。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、液状の油性化粧料の中に粒状の化粧料が均一に分散した審美性に優れ、具体的には、使用前及び使用後も粒状顆粒が沈降することがない外観の均一性を保ち、さらに、使用時は易崩壊性顆粒が均一に伸び広がることで使用性にも優れ、色や光輝性等の外観審美性に優れたメイクアップ化粧料の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討した結果、外相である油性液状化粧料の粘度と、内相である易崩壊性顆粒の組成、大きさ、配合量によって外観審美性を叶えることができ、更には油性化粧料の使用時のシェアにより低下した粘度の復帰率をコントロールすることで、上記課題を解決することを見出し本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明は、透明もしくは半透明の油性液状化粧料の中に1種または2種以上の易崩壊性顆粒がその粒状を認識できる状態で分散されている組み合わせ化粧料であって 油性液状化粧料の25℃における粘度が5,000mPas~500,000mPasであり、易崩壊性顆粒の平均粒径が0.5mm~10mmである油性メイクアップ化粧料に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。尚、本発明において、「%」は質量%を意味し、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。なお、粘度は、1気圧下、25℃において
単一円筒回転式粘度計(芝浦システム社製)を用いて、ローターを1分間に60回転の速さで1分間回転させた際の測定値を読み取り、それぞれの乗数を乗じた値を意味する。本発明の透明とは、700nmの波長の光の透過率が30.0%以上のものをいい、半透明とは700nmの波長の光の透過率が0.5~30.0%のものをいう。尚、透過率は、光路長10mm×光路幅10mmの石英セル、またはプラスティックセルに試料を充填し、分光光度計にて測定される。セルの材質は、特に限定されず、ブランクでセル材質データを差し引くものである。
【0010】
本発明における油性液状化粧料とは油性成分を連続相とし、実質的に水を含有しないものである。ここで「実質的に含有しない」とは、全く含有しないか、0.5%未満を意味する。また、化粧料使用時に突出圧力をかけることで顆粒が崩壊し、平均粒子径が低下することを以下「易崩壊性」という。化粧料使用前の静置状態において、油性メイクアップ化粧料中に易崩壊性顆粒が崩壊することなく初期の顆粒粒子形状を保っているものである。これを外観の均一性とする。
液状化粧料は、25℃で流動性を有するものであり、25℃における粘度の下限値が5,000mPas以上、好ましくは10,000mPas以上、更に好ましくは30,000mPas以上である。また、粘度の上限は、500,000mPas以下であり、150,000mPas以下であると好ましく、100,000mPas以下であるとより好ましい。この範囲であると、易崩壊性顆粒が化粧料中に均一に分散された状態を保つことができ、使用性にも優れるものである。
また、シェアストレスをかけた後の弾性の回復が早いものが好ましく、条件に関しては特に限定しないが、例えばストレス制御式レオメーター(TA INSTRUMENTS社製)を用いて25℃の100秒経過後の粘度回復率を測定した場合に、ステンレス製、直径4cm、コーン角2°のコーンプレートを使用し、サンプルを静置状態(ひずみ:0.01%)からゲル構造を崩す高シェア付加状態(シェアレート:100[1/s])へと変化させ、さらに静置状態(ひずみ:0.01%)へと変化させた際の各静置状態での弾性成分を比較した場合に、高シェア負荷状態によって失われた弾性成分が100秒で10%以上の回復を示すことが好ましい。この範囲であると、塗布時の使用性に優れ、使用後の化粧料中での易崩壊性顆粒の沈降を防ぎ、均一な分散状態を保つことができるため好ましい。
【0011】
本発明における油性液状化粧料に用いられる油性成分は、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず、液状油の他に固形油分や半固形油分が含まれていてもよく、動物油、植物油、合成油等の起源、液状もしくは固形状等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、硬化油類、エステル油類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリブテン、水添ポリイソブテン、ポリイソブチレンの炭化水素類、オリーブ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、イソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル、トリメリト酸トリトリデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等のエステル類、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール等の高級アルコール類、メチルポリシロキサン、フェニル変性シリコーン、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類等が挙げられる。また固形油としては、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライトワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ビーズワックス、ライスワックス、シリコーンワックス、ミツロウ、モクロウ、ゲイロウ、ジロウ、モンタンワックスなどが挙げられ、半固形油としてはダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル等のダイマー酸エステル、(12-ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリトール等のジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、コレステロール、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、リシノール酸コレステリル等の脂肪酸コレステリルエステル、フィトステロール、オレイン酸フィトステリル、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル等のステロール誘導体が挙げられる。
【0012】
さらに本発明で用いられる油性液状化粧料は親油性のゲル化剤を含有することが好ましい。具体的には、ステアリル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン等のアルキル変性シリコーンまたはアルコシキ変性シリコーン、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリン等のデキストリン脂肪酸エステル、ジステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、ショ糖パルミチン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸イヌリン等のフラクトオリゴ糖エステル、12-ヒドロキシステアリン酸、疎水化ポリウレタン、アシル化グルタミド等のアミノ酸系ゲル化剤、疎水性煙霧状シリカ等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。特に透明または半透明の油剤ゲルを形成するものが好ましく、デキストリン脂肪酸エステル、疎水性ポリウレタンが好ましい。特に、具体的には、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/2-エチルヘキサン酸)デキストリンが粘弾性復帰の点から好ましい。
【0013】
本発明における油性液状化粧料に用いられる油性成分は、化粧料中に80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上が更に好ましい。この範囲であると、より易崩壊性顆粒の外観審美性を叶えることができる。
【0014】
本発明における易崩壊性顆粒は、粉体を造粒して得られるものであり、圧力などの外的刺激により容易に使用時に崩壊するものである。本発明における易崩壊性とは単位面積当たり5g/cm2の圧力で形状を維持できず崩壊するものを指す。簡易的に易崩壊性を評価する方法としては、例えば、一定面積の皿状の容器に造粒組成物を乗せ、5g/cm2の圧力がかかる質量の重りを造粒組成物の上に置き、崩壊するものを易崩壊性顆粒とすることができる。また、造粒とは油剤、水溶性高分子、金属石鹸等の賦形剤等を用いて1種または2種以上の粉体から、より大きい粒子を得ることと定義する。本発明における易崩壊性顆粒は、圧力等の外的刺激により容易に崩壊する一方で、造粒組成物自体が形状を維持する強度を有するものである。また、易崩壊性顆粒の平均粒径としては、易崩壊性顆粒を圧縮成形した際の審美性の観点から0.5~10mmが好ましい。平均粒子径の算出方法に関しては作製した易崩壊性顆粒を20個取り出し、実体顕微鏡観察により粒径を算出した。
【0015】
易崩壊性顆粒に使用される粉体としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されず使用することができる。具体的には酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、無水ケイ酸等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N-アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末、デキストリン粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等や、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、セルロース等の繊維等が挙げられる。
これらはフッ素化合物、シリコ-ン油、粉体、油剤、ゲル化剤、エマルションポリマー、界面活性剤等で表面処理されていてもよい。これらの粉体は、1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。
外観審美性の観点から酸化鉄、コンジョウ、群青、有機色素などの着色顔料が好ましく挙げられる。また、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆ガラス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、シリカ酸化鉄被覆アルミニウム、シリカ酸化チタン被覆ガラス等のカラートラベル粉体等の光輝性粉体が好ましく、さらに、酸化鉄酸化チタン被覆雲母、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス、コンジョウ被覆雲母等の着色パール剤がより好ましく用いられる。顆粒中への含有量は特に限定しないが、外観審美性の観点から、下限としては、15%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、35%以上がさらに好ましい。上限としては、100%未満、98%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、50%以下がさらに好ましい。
【0016】
また、易崩壊性顆粒には油剤も組み合わせて配合することができ、化粧料に通常使用される油剤であれば、特に限定されず、例えば、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、油溶性樹脂等が挙げられる。
【0017】
易崩壊性顆粒に油剤が含有される場合、具体的には、例えば、エチレンホモポリマー、(エチレン/プロピレン)コポリマー、パラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン、スクワレン、イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素油類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、キャンデリラワックス、ミツロウ、ライスワックス、モクロウ、ゲイロウ、モンタンワックス、カルナウバワックス、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸デシル、イソステアリン酸ラウリル、イソデカン酸イソデシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコ-ル、ジカプリン酸プロピレングリコ-ル、ジカプリル酸プロピレングリコ-ル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、セバシン酸ジエチル、2-エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸エチル、N-ラウロイル-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-グルタミン酸ジ(コレステリル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-サルコシン-イソプロピル、ダイマージリノール酸ジ(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、アジピン酸ジグリセリル混合脂肪酸エステル、ロジン酸ペンタエリトリット、ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、水添ヒマシ油、水添ヒマシ油脂肪酸エステル、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル、水添ホホバ油等のエステル油類、トリメチルシロキシケイ酸、メタクリル変性ポリシロキサン、ステアリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ベヘニル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン、架橋型オルガノポリシロキサン等のシリコーン油類、デキストリン脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、12-ヒドロキシステアリン酸、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類、α-オレフィン・ビニルピロリドン共重合体等が挙げられ、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特に、25℃で液状の油剤が、なめらかな伸び広がりのある使用感を得る点で好ましく用いられる。含有量は特に限定しないが、3~20%が好ましい。
【0018】
本発明における易崩壊性顆粒は、さらに水分散性ポリマーエマルジョンを含有することが好ましい。粉体同士を結合させることができるものであれば特に限定されるものではなく、疎水基を有していてもよく、水に分散しやすいポリマーエマルジョンが、粉の結合剤として好ましい。具体例としては、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ウレタン系ポリマー等が挙げられるが、特に限定しない。さらに具体的には、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン、(メタ)アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション、アクリルアミド系ポリマーエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポリ塩化ビニルエマルジョン、ビニルピロリドン・スチレン共重合体エマルション、シリコーン系ポリマーエマルション、ウレタン系ポリマーエマルション等のポリマーエマルジョンを用いることができ、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができるが、保形性の観点からアクリル系ポリマーエマルジョンが特に好ましい。さらに、アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体エマルジョン、(メタ)アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション含有することがより好ましい。ポリマー固形分換算で易崩壊性顆粒中に2~10%が好ましく、さらに、3~8%がより好ましい。この範囲であると、易崩壊性顆粒の形状を油性メイクアップ化粧料中で維持しやすく、外観の均一性の点から好ましい。
【0019】
本発明における易崩壊性顆粒の含有量は、化粧料中に、下限として、0.1%以上が好ましく、1.5%以上がより好ましく、2%以上が更に好ましく、上限として、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、3%以下が更に好ましい。この範囲であると、化粧料の審美性と、使用性の点において好ましい。
【0020】
本発明の易崩壊性顆粒の製造方法は、特に限定されず、例えば、水分散性ポリマーエマルジョンと、粉体、さらに必要に応じて油剤、その他の成分とを常法を用いて混合し、造粒粉砕機等により粉砕造粒し、乾燥機等で乾燥して水を除去することで易崩壊性顆粒を得ることができる。造粒方法としては、例えば、スーパーミキサー等を用いる攪拌造粒法、造粒粉砕機等を用いる押し出し造粒法、噴霧乾燥法(スプレードライ法)等が挙げられる。造粒に用いられる機器としては、例えば、スーパーミキサー(SMP-2/カワタ社製)、ディスクアトマイザー(スプレードライヤーSD12型/三井鉱山社製)等が挙げられる。粒子径の大きい易崩壊性顆粒を得る場合には、攪拌造粒法が好ましく、粒子径の小さい易崩壊性顆粒を得る場合には、流動層造粒法が好ましい。ここで、粒子径の大きいとは、5mmより大きく30mm以下を示し、粒子径の小さいとは、0.3~5mmを示す。さらに、造粒粉砕では、目的の粒子径に合わせてスクリーン径を選択することで、易崩壊性顆粒を目的の粒子径に調整することができる。これらの造粒方法は、求める粒子径の大きさに合わせて何れの方法も選択できる。
【0021】
また、本発明の油性メイクアップ化粧料は、易崩壊性顆粒以外に着色顔料、光輝性粉体なども含む粉体を含有しても良い。加えて、2種以上の易崩壊性顆粒を組み合わせ、油性メイクアップ化粧料としても良く、2種以上の易崩壊性顆粒を組み合わせ、さらに粉体を組み合わせて油性メイクアップ化粧料としても良い。易崩壊性顆粒以外の粉体としては、特に限定されず、必要に応じて組み合わせて使用することができる。
【0022】
本発明の油性メイクアップ化粧料を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、70℃に加熱した液状化粧料の中に2種以上の易崩壊性顆粒を投入し、パドルなどを用いて易崩壊性顆粒が壊れない程度の攪拌速度で均一に顆粒を分散させた後に容器に充填する方法等が挙げられる。本発明の化粧料において、易崩壊性顆粒以外に粉体を含有する場合、易崩壊性顆粒と粉体とを混合し、容器に充填しても良い。また、化粧料の審美性や嗜好性の観点から、異なる色や使用感の異なる2種以上の易崩壊性顆粒を組み合わせて用いることが好ましく、各色が点在し、審美性が高まるという観点から、液状化粧料と組み合わせる前に予め混合しておくことが好ましい。
【0023】
本発明の油性メイクアップ化粧料は、上述した成分の他に、通常化粧料に使用される成分、油性成分、粉体成分、界面活性剤、繊維、多価アルコール、水溶性高分子、水溶性皮膜形成性樹脂、保湿剤等の水性成分、糖類、紫外線吸収剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。
【0024】
本発明の油性メイクアップ化粧料は、メイクアップ化粧料であり、目的に応じ種々の製品形態とすることができ、リキッドグロス、リキッドファンデーション、頬紅、リキッドアイシャドウ、リキッドアイライナー等の液状化粧料の他に易崩壊性顆粒中に香料を配合した香料組成物等が挙げられる。また、異なる色や使用感の2種以上の易崩壊性顆粒を混合することで、化粧料としての彩りや華やかさを演出することができる。
【実施例0025】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0026】
実施例1~12及び比較例1~5:リップグロス
表1に示す油性液状化粧料(液状ベース)1~5、表2に示す易崩壊性顆粒(造粒物)1~8を調製し、表3及び4に示す組み合わせでリップグロスを調整し、評価を行った。
【0027】
【表1】
【0028】
※1:精製ポリブテンHV-100F(製)
※2:リソカスタIOHS(高級アルコール工業社製)
※3:日石ポリブテン(JX日鉱日石エネルギー社製)
※4:AEROSIL R-976S(日本アエロジル社製)
※5:AEROSIL 380S(日本アエロジル社製)
※6:シリコンKF-96(20CS)(信越化学工業社製)
【0029】
(粘度)
粘度は、1気圧下、25℃において、単一円筒回転式粘度計(芝浦システム社製)を用いて、ローターを1分間に60回転の速さで1分間回転させた際の測定値を読み取り、それぞれの乗数を乗じた値を測定した。
【0030】
(高シェア負荷直後から100秒後の弾性率の回復率)
ストレス制御式レオメーター(TA INSTRUMENTS社製)を用いてステンレス製、直径4cm、コーン角2°のコーンプレートを使用し、測定した場合にサンプルを静置状態の弾性率Es(ひずみ:0.01%)からゲル構造を崩す高シェア負荷状態(シェアレート:100[1/s])に変化させ静置状態(ひずみ:0.01%)にした直後の弾性率Eから、100秒後の状態の弾性率E100を測定した。
Es、E、E100それぞれの弾性率から下記式により100秒後の弾性率の回復率を求めた。
100秒後の弾性率の回復率=(E100/Es)×100
【0031】
(製造方法)
A.成分(1)~(7)を均一に混合する。
B.Aに成分(8)~(10)を加えて均一に分散し油性液状化粧料を得た。
【0032】
【表2】
※7:メタシャインMT1120RY(日本板硝子社製)
※8:メタシャインMT1120RS(日本板硝子社製)
※9:HELIOS 100R(トピー工業社製)
※10:ビニゾール2140L((アクリレーツ/VA)コポリマー42.7%、ヒドロキシエチルセルロース1%未満 他)(大同化成工業社製)
【0033】
(製造方法)
A.成分(1)~(7)を均一に混合する。
B.成分(8)を精製水40質量部に分散する。
C.AにBを加えスーパーミキサーで造粒する。
D.Cを60℃で8時間乾燥し、易崩壊性顆粒を得た。
尚、易崩壊性顆粒1~6に関してはスクリーン径0.8mm、易崩壊性顆粒7に関してはスクリーン径10mm、易崩壊性顆粒8に関してはスクリーン径0.5mmを使用した。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
(製造方法)
液状ベースに造粒物を均一に混合し、70℃に加熱し、チューブ容器に充填しリップグロスを得た。
【0037】
評価項目及び評価方法
実施例1~12及び比較例1~5のリップグロスに対し、イ.使用前の外観(均一性)、ロ.使用後の外観(均一性)、ハ.使用性、ニ.外観(審美性)について下記の評価方法にて評価し判定した。その結果も併せて表3及び表4に示す。
【0038】
<評価方法>
イ.使用前の外観(均一性)
ロ.使用後の外観(均一性)
イは使用前の化粧料について、ロはチューブから化粧料を押し出して使用する動作を3回行った後の化粧料の状態を、易崩壊性顆粒が化粧料中に均一に分散しているかを目視にて観察、下記判定基準により判定した。
<判定基準>
(判定):(評価)
A :造粒物が均一に分散し、美麗な外観を呈している
B :造粒物の一部が不均一、もしくは上部と下部を比較した際に若干の造粒物の偏りが見られる
C :造粒物が明らかに沈降している
【0039】
ハ.使用性
化粧料評価専門パネル10名による使用テストを行い、使用時に造粒物が均一に出るかどうか、塗布しやすいかどうか、造粒物が崩壊し均一に広がるかどうかを、パネル各人が下記絶対評価基準にて評価し評点をつけ、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記階判定基準により判定し、その結果を表3及び表4に示した。
<絶対評価基準>
(評点):(評価)
5 :非常に良い
4 :良い
3:やや良い
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
<判定基準>
(判定):(評点の平均点)
A :4点を超える :非常
B :2.5点を超え4点以下
C :2.5点以下
【0040】
二.外観(審美性)
二は使用前の化粧料について、易崩壊性顆粒が化粧料中に均一に分散し、着色・パール感を呈する美麗であるかを目視にて観察、下記判定基準により判定した。
<判定基準>
(判定):(評価)
A :造粒物が均一に分散、着色・パール感のある美麗な外観を呈している
B :造粒物の一部に不均一な部分がある、着色・パール感が物足りない
C :造粒物が沈降している、または着色・パール感がない。
【0041】
表3及び4の結果から明らかなように、実施例1~12は易崩壊性顆粒が化粧料中に分散し、パール感を呈する美麗なものであり、使用後も造粒物の均一性が保たれるものであった。特に実施例1、2、4、5、6、8は、塗布時の使用感においても優れていた。なお、液状ベースの弾性率の回復率が高いものは、外観、特に使用後の外観(均一性)が高かった。
易崩壊性顆粒の量が少ない実施例10では粒が目立たちにくい傾向があり、量の多い実施例11は全体が粒状となるものであった。易崩壊性顆粒中に水溶性ポリマーエマルジョンを含まないものを含有する実施例12は、使用性は問題ないものの、使用前から顆粒の形状を少し維持しにくいことから外観評価が下がる傾向があった。
一方、粘度回復率が低い油性液状化粧料を使用した比較例1、2は使用前の外観や使用感についてはよかったものの、使用後に易崩壊性顆粒が沈降する現象が見られた。また、パールを含まない比較例3は、顆粒の崩壊性が悪いため使用性が低く、また、易崩壊性顆粒の粒径が大きい比較例4では使用時に造粒物が均一に取れず、易崩壊性顆粒が崩壊後、塗布膜の中で不均一性が見られる面において使用性に劣り、粒径が小さい比較例5では造粒物の目視が困難であり審美性に劣るものであった。