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特開2022-40131アンチセンス抗細菌性化合物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040131
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】アンチセンス抗細菌性化合物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20220303BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220303BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220303BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220303BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20220303BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20220303BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20220303BHJP
   C07K 14/21 20060101ALN20220303BHJP
   A61K 31/712 20060101ALN20220303BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61P31/04
A61P43/00 121
A61K48/00
A61K38/12
A61K31/675
A61K47/64
C07K14/21
A61K31/712
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202636
(22)【出願日】2021-12-14
(62)【分割の表示】P 2017535019の分割
【原出願日】2015-12-23
(31)【優先権主張番号】62/098,713
(32)【優先日】2014-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516341280
【氏名又は名称】オレゴン ステート ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 West 7th Street Austin,Texas 78701 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ブルース エル. ゲラー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド グリーンバーグ
(57)【要約】
【課題】アンチセンス抗細菌性化合物および方法を提供すること
【解決手段】生化学的経路および/または細胞プロセスに関与する細菌遺伝子に対して標的化したアンチセンスオリゴヌクレオチド、および関連する組成物、ならびに該オリゴヌクレオチドおよび組成物を単独でまたは他の抗菌剤と組み合わせて、例えば感染した哺乳類対象の治療において使用する方法を提供する。例えば、リボソームタンパク質をコードする遺伝子およびリポ多糖生合成に重要なタンパク質をコードする遺伝子のような必須細菌遺伝子のアンチセンス標的化は、ポリミキシンのような抗生物質、ポリミキシンノナペプチドのような抗菌剤に対する抗生物質耐性(例えば、多剤耐性)細菌の感受性を増加させることが示され、したがって、例えば抗生物質および/または抗菌剤と組み合わせて、そのような細菌の処置に有用性を見出すことができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.§119(e)に基づき、2014年12月31日に出願された米国出願第62/098,713号の優先権を主張し、この出願は参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
配列表についての陳述
本出願に関連付けられた配列表は、ハードコピーの代わりにテキスト形式で提供され、これによって参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名前はSATH_005_01WO_SeqList_ST25.txtである。テキストファイルは約9KBであり、2015年12月21日に作成されたものであり、EFS-Webを介して電子的に提出されている。
【0003】
背景
本開示は、生化学経路および/または細胞プロセスに関与する細菌遺伝子に対して標的化したアンチセンスオリオゴヌクレオチド、および関連する組成物、ならびに該オリオゴヌクレオチドおよび組成物を単独でまたは他の抗菌剤と組み合わせて、例えば感染した哺乳類対象の治療において使用する方法に関する。
【0004】
抗生物質耐性の急速な増加に対抗するために、抗菌剤療法開発における新しいパラダイムが緊急に必要とされている。これは、嚢胞性線維症(CF)患者などの慢性感染症に罹患している宿主に特に重要である。CF患者は、両方とも重大な罹患率および死亡率を引き起こす、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)およびバークホルデリア・セパシア複合体(Burkholderia cepacia complex)(Bcc)を含む、様々な病原体による慢性肺炎症に罹る。嚢胞性線維症は、嚢胞性線維症膜コンダクタンス調節因子(CFTR)遺伝子の両方の対立遺伝子における突然変異から生じる。慢性肺炎症は、緑膿菌、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、およびバークホルデリア・セパシア複合体(Bcc)を含む様々な病原体により起こり、CF患者の罹患率および死亡率の主要原因である。さらに、これらの生物の抗生物質耐性株を保有する患者の割合が上昇している。これらの病原体は、肺から根絶することは不可能であり、肺機能の進行性または急速な低下のいずれかにつながる可能性がある。
【0005】
これらの多剤耐性グラム陰性病原体に対する新しい抗菌剤の現在の供給経路は限られたままである。さらに、開発されてきた多くの薬物は、薬物開発における根本的に新しいイノベーションとは対照的に、既存の抗生物質スカフォールドを改変することを含む。したがって、(i)細菌感染の抗生物質治療を現在妨げている主なタイプの抗生物質耐性を受けず、(ii)標的細菌の特異性に関してある程度合理的な程度の予測可能性で迅速に開発することができ、(iii)低用量で有効であり、そして(iv)副作用が少ない、抗菌剤の必要性が存在する。本開示は、単独で、または従来の抗生物質または他の抗菌剤と組み合わせて使用して、多剤耐性病原体を標的とすることができるアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態は、部分的に、生化学的経路および/または細胞プロセスに関与する細菌遺伝子のアンチセンス標的化が、とりわけ抗生物質耐性病原菌の抗生物質感受性を高
め、特定の病原菌の増殖能力を低下させることができるという発見に関する。例えば、リボソームタンパク質をコードする遺伝子およびリポ多糖生合成に重要なタンパク質をコードする遺伝子のような必須細菌遺伝子のアンチセンス標的化は、ポリミキシンのような抗生物質、ポリミキシンノナペプチドのような抗菌剤に対する抗生物質耐性(例えば、多剤耐性)細菌の感受性を増加させることが示され、したがって、例えば抗生物質および/または抗菌剤と組み合わせて、そのような細菌の処置に有用性を見出すことができる。そのようなアンチセンス標的化は、多剤耐性細菌に対するスタンドアロン療法、および例えば抗生物質および/または抗菌剤に対する細菌の感受性を増加させるための組み合わせ療法として有用である。さらに、アンピシリンに対する耐性をコードする遺伝子のような抗生物質耐性遺伝子のアンチセンス標的化は、アンピシリン耐性細菌のアンピシリンに対する感受性を増加させることが示された。
【0007】
したがって、本開示の実施形態は、モルホリノサブユニットと、1つのサブユニットのモルホリノ窒素を隣接するサブユニットの5’-環外炭素に結合させるリン含有サブユニット間結合と、からなる実質的に荷電していないアンチセンスモルホリノオリゴヌクレオチドであって、(a)約10~40のヌクレオチド塩基、ならびに(b)細菌生化学経路および/または細胞プロセスに関与するタンパク質をコードする細菌mRNA標的配列に特異的にハイブリダイズするのに十分な長さおよび相補性の標的化配列、を有する、アンチセンスモルホリノオリゴヌクレオチドを含み、このオリゴヌクレオチドは細胞膜透過性ペプチド(CPP)にコンジュゲートされている。
【0008】
ある特定の実施形態では、標的配列は、細菌mRNAの翻訳開始コドン、および/または細菌mRNAの翻訳開始コドンの約30塩基上流または下流以内の配列を含む。
【0009】
ある特定の実施形態において、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴヌクレオチドは、式I、
【化1】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、Nuは、一緒になって核酸塩基配列を形成する核酸塩基であり、Zは、8~38の整数であり、Tは、OHおよび下記式、
【化2】
の部分、から選択され、
式中、各Rは独立して、C-Cアルキルであり、Rは、電子対およびHから選択され、Rは、-N(R)CHC(O)NH、および下記式、
【化3】
の部分、から選択され、
式中、Rは、HおよびC-Cアルキルから選択され、Rは、G、-C(O)-R、アシル、トリチル、および4-メトキシトリチルから選択され、Rは、式-(O-アルキル)-OHのものであり、式中、yは、3~10の整数であり、y個のアルキル基の各々は独立して、C-Cアルキルから選択され、Rの各出現例は、-N(R1011であり、式中各R10は独立して、C-Cアルキルであり、R11は、電子対およびHから選択され、Rは、H、G、アシル、トリチル、4-メトキシトリチル、および式、
【化4】
の部分、からなる群から選択され、
式中、Lは、-C(O)(CHC(O)-および-C(O)(CH(CHC(O)-から選択され、各R12は、式-(CHOC(O)N(R26のものであり、式中、各R26は、式(CHNHC(=NH)NHのものであり、Rは、電子対、H、およびC-Cアルキルからなる群から選択され、Gは、-C(O)(CHNH-CPP、-C(O)(CHNH-CPP、-C(O)(CHNHC(O)(CHNH-CPP、-C(O)CHNH-CPP、および-C(O)CH(ピロリジン-2-イル)NH-CPPからなる群から選択される、細胞膜透過性ペプチド(「CPP」)およびリンカー部分であり、該CPPは、CPPカルボキシ末端においてアミド結合によってリンカー部分に結合されているが、但し、Gの1つの出現例が存在することを条件とする。
【0010】
いくつかの実施形態において、標的化配列は、RpsJ、LpxC、FabG、Acp
P、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRをコードする緑膿菌mRNAに称賛的(complimentary)である。
【0011】
いくつかの実施形態において、核酸塩基は、緑膿菌mRNAに相補的である標的化配列を含み、該標的化配列は、表1から選択されるか、表1における標的化配列の少なくとも10個の連続ヌクレオチドの断片であるか、または表1における標的化配列と少なくとも80%の配列同一性を有する変異型であり、配列中、チミン塩基は、ウラシル塩基であってもよい。
【0012】
ある特定の実施形態において、該CPPはアルギニンリッチペプチドである。ある特定の実施形態において、CPPは表2から選択される。
【0013】
いくつかの実施形態において、RがHまたはGから選択され、Rが、電子対またはHから選択される。特定の実施形態において、RがGであり、Gが、表2から選択される。いくつかの実施形態において、Rは、Hまたはアシルである。いくつかの実施形態において、各Rは、-N(CHである。
【0014】
ある特定の実施形態において、Tは、下記式、
【化5】
のものであり、
は、下記式、
【化6】
のものであり、
は、Gである。
【0015】
ある特定の実施形態において、Tは、下記式、
【化7】
のものであり、
は、Gである。
【0016】
ある特定の実施形態において、Tは、下記式、
【化8】
のものであり、
各Rは、-N(CHであり、Rは、Gであり、標的化配列および対応するGは、表3から選択される。
【0017】
ある特定の実施形態において、Tは、下記式、
【化9】
のものであり、
各Rは、-N(CHであり、Rは、-C(O)CHであり、標的化配列および対応するGは、表4から選択される。
【0018】
また、a)上記順列のいずれか1つに記載の式(I)の化合物または下記でさらに詳細に記載される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、b)ポリミキシンE(PME)、ポリミキシンB(PMB)、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)、
ポリミキシンEノナペプチド(PMEN)、上記のいずれかの薬学的に許容される塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の化合物と、を含む組み合わせも含まれる。いくつかの実施形態において、化合物(I)対第2の化合物の比は、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される。特定の実施形態において、第2の化合物は、PMEである。他の実施形態において、化合物(I)対PMEの比は、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される。いくつかの実施形態において、第2の化合物は、PMBNである。いくつかの実施形態において、化合物(I)対PMBNの比は、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される。他の実施形態において、第2の化合物が化合物(I)に対して存在する量は、第2の化合物の抗菌活性の治療的量未満である。
【0019】
また、(1)本開示の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、(2)薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物も含まれる。
【0020】
いくつかの実施形態において、標的化配列は、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRをコードする緑膿菌mRNAに称賛的(complimentary)である。
【0021】
いくつかの実施形態において、核酸塩基は、緑膿菌mRNAに相補的である標的化配列を含み、該標的化配列は、表1から選択されるか、表1における標的化配列の少なくとも10個の連続ヌクレオチドの断片であるか、または表1における標的化配列と少なくとも80%の配列同一性を有する変異型であり、配列中、チミン塩基は、ウラシル塩基であってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態において、該薬学的組成物は、ポリミキシンE(PME)、ポリミキシンB(PMB)、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)、ポリミキシンEノナペプチド(PMEN)、上記のもののいずれかの薬学的に許容される塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、第2の化合物をさらに含む。いくつかの実施形態において、化合物(I)対第2の化合物の比は、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される。特定の実施形態において、第2の化合物は、PMEである。いくつかの実施形態において、化合物(I)対PMEの比は、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される。いくつかの実施形態において、第2の化合物は、PMBNである。他の実施形態において、化合物(I)対PMBNの比は、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される。他の実施形態において、第2の化合物が化合物(I)に対して存在する量は、第2の化合物の抗菌活性の治療的量未満である。
【0023】
また、本開示の式(I)の化合物および薬学的に許容される担体を含む有効量の組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、緑膿菌感染症を治療する方法も含まれる。
【0024】
いくつかの実施形態において、核酸塩基は、緑膿菌mRNAに相補的である標的化配列を含み、該標的化配列は、表1から選択されるか、表1における標的化配列の少なくとも10個の連続ヌクレオチドの断片であるか、または表1における標的化配列と少なくとも80%の配列同一性を有する変異型であり、配列中、チミン塩基は、ウラシル塩基であっ
てもよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、本方法は、ポリミキシンE(PME)、ポリミキシンB(PMB)、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)、ポリミキシンEノナペプチド(PMEN)、上記のもののいずれかの薬学的に許容される塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含む組成物を投与することをさらに含む。特定の実施形態において、第2の化合物は、PMEである。他の実施形態において、化合物(I)対PMEの比は、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される。いくつかの実施形態において、第2の化合物は、PMBNである。他の実施形態において、化合物(I)対PMBNの比は、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される。いくつかの実施形態において、第2の化合物が薬学的組成物中に存在する量は、緑膿菌感染症の治療における第2の化合物の抗菌活性の治療的レベルを下回る。
【0026】
いくつかの実施形態において、本方法はアンピシリンを患者に投与する工程をさらに含む。他の実施形態において、アンピシリンは薬学的組成物と一緒に投与される。ある特定の実施形態において、薬学的組成物はさらにアンピシリンを含む。
【0027】
また、緑膿菌感染症の治療または予防を必要とする患者における、該治療または予防のための薬学的組み合わせ療法であって、(1)本開示に従う式(I)の化合物と、(2)ポリミキシンE(PME)、ポリミキシンB(PMB)、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)、ポリミキシンEノナペプチド(PMEN)、上記のもののいずれかの薬学的に許容される塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の化合物とを、含む、薬学的組み合わせ療法も含まれる。いくつかの実施形態において、化合物(I)に対する第2の化合物の量は、第2の化合物の抗細菌活性に対する治療量未満である。
【0028】
いくつかの実施形態において、核酸塩基は、緑膿菌mRNAに相補的である標的化配列を含み、該標的化配列は、表1から選択されるか、表1における標的化配列の少なくとも10個の連続ヌクレオチドの断片であるか、または表1における標的化配列と少なくとも80%の配列同一性を有する変異型であり、配列中、チミン塩基は、ウラシル塩基であってもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、対象または患者は緑膿菌の薬剤耐性または多剤耐性(MDR)株に感染している。特定の実施形態では、対象は、嚢胞性線維症(CF)であるか、またはそれを有する危険性がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1-1】様々なレベルの抗生物質耐性を有する21の緑膿菌臨床分離株のパネルに対して試験した表3および4のPPMOについての最小発育阻害濃度(MIC)値のヒートマップを示す。MICは各PPMOの下に色(灰色≧16μM、青色=8~16μM、赤色=2~4μM、茶色≦1μM、白色=MICは検出されない)および数値で示されている。
図1-2】様々なレベルの抗生物質耐性を有する21の緑膿菌臨床分離株のパネルに対して試験した表3および4のPPMOについての最小発育阻害濃度(MIC)値のヒートマップを示す。MICは各PPMOの下に色(灰色≧16μM、青色=8~16μM、赤色=2~4μM、茶色≦1μM、白色=MICは検出されない)および数値で示されている。
図2-1】様々なレベルの抗生物質耐性を有する緑膿菌臨床分離株のパネルに対して試験したコリスチン(ポリミキシンE)の阻害未満濃度(sub-inhibitory concentrations)と組み合わせた表3および4のPPMOの最小発育阻害濃度(MIC)値のヒートマップを示す。MICは、図1のように色および数値で示される。特に記載のない限り、すべてのMICは、1μg/mLのコリスチンの存在下で行った(*アスタリスクの菌株は0.5μg/mLのコリスチンで試験した)。コリスチン単独によるシュードモナスの増殖阻害はなかったが、PPMOは広範囲の遺伝子標的にわたって活性が増強されていることが示された。最も強力なPPMOは0.5μMのIC50濃度を有していた。
図2-2】様々なレベルの抗生物質耐性を有する緑膿菌臨床分離株のパネルに対して試験したコリスチン(ポリミキシンE)の阻害未満濃度(sub-inhibitory concentrations)と組み合わせた表3および4のPPMOの最小発育阻害濃度(MIC)値のヒートマップを示す。MICは、図1のように色および数値で示される。特に記載のない限り、すべてのMICは、1μg/mLのコリスチンの存在下で行った(*アスタリスクの菌株は0.5μg/mLのコリスチンで試験した)。コリスチン単独によるシュードモナスの増殖阻害はなかったが、PPMOは広範囲の遺伝子標的にわたって活性が増強されていることが示された。最も強力なPPMOは0.5μMのIC50濃度を有していた。
図3】酵素処理によるポリミキシンB(PMB)からのポリミキシンBノナペプチド(PMBN)の生成を示す。
図4A-1】PMBNの阻害未満濃度を有するPPMO MICのヒートマップを示す。PPMO単独と比較して、PMBNの存在下、MHII培地においてPPMOは活性の増加を示した。PPMOはまた、PMBNを含まないMOPS MM中でも活性を示した。図4A:2μg/mL PMBNを含むMH中でMICを行った。図4B:PMBNを含まないMOPS MM中でMICを行った。図4C:0.25μg/mLのPMBNを含むMOPS MM中でMICを行った。
図4A-2】PMBNの阻害未満濃度を有するPPMO MICのヒートマップを示す。PPMO単独と比較して、PMBNの存在下、MHII培地においてPPMOは活性の増加を示した。PPMOはまた、PMBNを含まないMOPS MM中でも活性を示した。図4A:2μg/mL PMBNを含むMH中でMICを行った。図4B:PMBNを含まないMOPS MM中でMICを行った。図4C:0.25μg/mLのPMBNを含むMOPS MM中でMICを行った。
図4B-1】PMBNの阻害未満濃度を有するPPMO MICのヒートマップを示す。PPMO単独と比較して、PMBNの存在下、MHII培地においてPPMOは活性の増加を示した。PPMOはまた、PMBNを含まないMOPS MM中でも活性を示した。図4A:2μg/mL PMBNを含むMH中でMICを行った。図4B:PMBNを含まないMOPS MM中でMICを行った。図4C:0.25μg/mLのPMBNを含むMOPS MM中でMICを行った。
図4B-2】PMBNの阻害未満濃度を有するPPMO MICのヒートマップを示す。PPMO単独と比較して、PMBNの存在下、MHII培地においてPPMOは活性の増加を示した。PPMOはまた、PMBNを含まないMOPS MM中でも活性を示した。図4A:2μg/mL PMBNを含むMH中でMICを行った。図4B:PMBNを含まないMOPS MM中でMICを行った。図4C:0.25μg/mLのPMBNを含むMOPS MM中でMICを行った。
図4B-3】PMBNの阻害未満濃度を有するPPMO MICのヒートマップを示す。PPMO単独と比較して、PMBNの存在下、MHII培地においてPPMOは活性の増加を示した。PPMOはまた、PMBNを含まないMOPS MM中でも活性を示した。図4A:2μg/mL PMBNを含むMH中でMICを行った。図4B:PMBNを含まないMOPS MM中でMICを行った。図4C:0.25μg/mLのPMBNを含むMOPS MM中でMICを行った。
図4B-4】PMBNの阻害未満濃度を有するPPMO MICのヒートマップを示す。PPMO単独と比較して、PMBNの存在下、MHII培地においてPPMOは活性の増加を示した。PPMOはまた、PMBNを含まないMOPS MM中でも活性を示した。図4A:2μg/mL PMBNを含むMH中でMICを行った。図4B:PMBNを含まないMOPS MM中でMICを行った。図4C:0.25μg/mLのPMBNを含むMOPS MM中でMICを行った。
図4C-1】PMBNの阻害未満濃度を有するPPMO MICのヒートマップを示す。PPMO単独と比較して、PMBNの存在下、MHII培地においてPPMOは活性の増加を示した。PPMOはまた、PMBNを含まないMOPS MM中でも活性を示した。図4A:2μg/mL PMBNを含むMH中でMICを行った。図4B:PMBNを含まないMOPS MM中でMICを行った。図4C:0.25μg/mLのPMBNを含むMOPS MM中でMICを行った。
図4C-2】PMBNの阻害未満濃度を有するPPMO MICのヒートマップを示す。PPMO単独と比較して、PMBNの存在下、MHII培地においてPPMOは活性の増加を示した。PPMOはまた、PMBNを含まないMOPS MM中でも活性を示した。図4A:2μg/mL PMBNを含むMH中でMICを行った。図4B:PMBNを含まないMOPS MM中でMICを行った。図4C:0.25μg/mLのPMBNを含むMOPS MM中でMICを行った。
図4C-3】PMBNの阻害未満濃度を有するPPMO MICのヒートマップを示す。PPMO単独と比較して、PMBNの存在下、MHII培地においてPPMOは活性の増加を示した。PPMOはまた、PMBNを含まないMOPS MM中でも活性を示した。図4A:2μg/mL PMBNを含むMH中でMICを行った。図4B:PMBNを含まないMOPS MM中でMICを行った。図4C:0.25μg/mLのPMBNを含むMOPS MM中でMICを行った。
図4C-4】PMBNの阻害未満濃度を有するPPMO MICのヒートマップを示す。PPMO単独と比較して、PMBNの存在下、MHII培地においてPPMOは活性の増加を示した。PPMOはまた、PMBNを含まないMOPS MM中でも活性を示した。図4A:2μg/mL PMBNを含むMH中でMICを行った。図4B:PMBNを含まないMOPS MM中でMICを行った。図4C:0.25μg/mLのPMBNを含むMOPS MM中でMICを行った。
図5】一定濃度のPMBN(4μg/ml)でインキュベートした様々な濃度のRpsJ PPMOを含む2つの異なる緑膿菌株(PAO1およびM57-15)における経時的コロニー形成単位(CFU)/ml(log10))を示す。PPMOは、緑膿菌の増殖を時間および濃度依存的に阻害する。
図6-1】PPMO処理が緑膿菌バイオフィルムの形成を妨げることを示す。緑膿菌PAO1(5×10cfu/mL)を、MBECプレート中のMHII培地中で20時間、単独で、または5μMの指定のPPMO、PMBN単独、(RXR)、もしくはスクランブルPPMOの存在下でのいずれかで増殖させた。別途指定されない限り、すべての条件において2μg/mLのPMBNを含有した。20時間目で、ペグをクリスタルバイオレットのために加工し、または顕微鏡観察によって可視化した。図6A:20時間目のバイオフィルムのクリスタルバイオレット分析により、5μM濃度のRpsJ(PPMO#14)、RpmB(PPMO#5)およびLpxC(PPMO#2)PPMOで、バイオフィルムの統計的に有意な予防が示された(一元配置ANOVA p<0.0001。*Tukeyの多重比較検定によって解析したとき、PPMOなし、Scr PPMO#41、ペプチド、およびノナペプチドとの統計的に有意な差)。図6B~6D:(図6B)PPMOなし、(図6C)5μM Scr PPMO#41、(図6D)5μM RpsJ PPMO#14で処理された20時間目のバイオフィルムのスピニングディスク共焦点顕微鏡観察画像。PAO1 GFPは、緑色で示され、バイオフィルムは、赤色で示される。バイオフィルムは、200μg/mLのConcanavalin A、Alexafluor 647コンジュゲートで染色されている。
図6-2】PPMO処理が緑膿菌バイオフィルムの形成を妨げることを示す。緑膿菌PAO1(5×10cfu/mL)を、MBECプレート中のMHII培地中で20時間、単独で、または5μMの指定のPPMO、PMBN単独、(RXR)、もしくはスクランブルPPMOの存在下でのいずれかで増殖させた。別途指定されない限り、すべての条件において2μg/mLのPMBNを含有した。20時間目で、ペグをクリスタルバイオレットのために加工し、または顕微鏡観察によって可視化した。図6A:20時間目のバイオフィルムのクリスタルバイオレット分析により、5μM濃度のRpsJ(PPMO#14)、RpmB(PPMO#5)およびLpxC(PPMO#2)PPMOで、バイオフィルムの統計的に有意な予防が示された(一元配置ANOVA p<0.0001。*Tukeyの多重比較検定によって解析したとき、PPMOなし、Scr PPMO#41、ペプチド、およびノナペプチドとの統計的に有意な差)。図6B~6D:(図6B)PPMOなし、(図6C)5μM Scr PPMO#41、(図6D)5μM RpsJ PPMO#14で処理された20時間目のバイオフィルムのスピニングディスク共焦点顕微鏡観察画像。PAO1 GFPは、緑色で示され、バイオフィルムは、赤色で示される。バイオフィルムは、200μg/mLのConcanavalin A、Alexafluor 647コンジュゲートで染色されている。
図7-1】PPMO処理が現存の緑膿菌バイオフィルムを減少させることを示している。緑膿菌PAO1(5×10cfu/mL)をMBECプレート中で24時間増殖させた。24時間目で、ペグを、新鮮なMHII培地、および指定濃度のスクランブル、RpsJ、またはAcpP PPMOのいずれかを含有する新たな96ウェルプレートに移動させた。PPMOを含有する(スクランブルを含む)すべてのウェルが、2μg/mLのPMBNを含有した。32時間目および40時間目で、ペグを再び、PPMOを含むまたは含まない新たなプレートに移動させた。48時間で、ペグをクリスタルバイオレットのために加工し、または顕微鏡観察によって可視化した。図7A:48時間目のバイオフィルムのクリスタルバイオレット分析により、10および5μMのRpsJ(PPMO#14)で、ならびに10、5、2.5、および1μMのAcpP PPMO#35で、バイオフィルムの統計的に有意な低減が示された(一元配置ANOVA p<0.0001。Tukeyの多重比較検定によって解析したとき、*PPMOなしおよびScr PPMO#41との統計的に有意な差、**PPMOなしおよびScr PPMO#42との統計的に有意な差)。図7B~7D:(図7B)10μM Scr PPMO#42、(図7C)2.5μM AcpP PPMO#35、(図7D)10μM AcpP PPMO#35で処理された48時間目のバイオフィルムのスピニングディスク共焦点顕微鏡観察画像。緑色のチャネルは、PAO1 GFPであり、赤色のチャネルは、200μg/mLのConcanavalin A、Alexafluor 647コンジュゲートで染色したバイオフィルムである。
図7-2】PPMO処理が現存の緑膿菌バイオフィルムを減少させることを示している。緑膿菌PAO1(5×10cfu/mL)をMBECプレート中で24時間増殖させた。24時間目で、ペグを、新鮮なMHII培地、および指定濃度のスクランブル、RpsJ、またはAcpP PPMOのいずれかを含有する新たな96ウェルプレートに移動させた。PPMOを含有する(スクランブルを含む)すべてのウェルが、2μg/mLのPMBNを含有した。32時間目および40時間目で、ペグを再び、PPMOを含むまたは含まない新たなプレートに移動させた。48時間で、ペグをクリスタルバイオレットのために加工し、または顕微鏡観察によって可視化した。図7A:48時間目のバイオフィルムのクリスタルバイオレット分析により、10および5μMのRpsJ(PPMO#14)で、ならびに10、5、2.5、および1μMのAcpP PPMO#35で、バイオフィルムの統計的に有意な低減が示された(一元配置ANOVA p<0.0001。Tukeyの多重比較検定によって解析したとき、*PPMOなしおよびScr PPMO#41との統計的に有意な差、**PPMOなしおよびScr PPMO#42との統計的に有意な差)。図7B~7D:(図7B)10μM Scr PPMO#42、(図7C)2.5μM AcpP PPMO#35、(図7D)10μM AcpP PPMO#35で処理された48時間目のバイオフィルムのスピニングディスク共焦点顕微鏡観察画像。緑色のチャネルは、PAO1 GFPであり、赤色のチャネルは、200μg/mLのConcanavalin A、Alexafluor 647コンジュゲートで染色したバイオフィルムである。
図8】AcpP PPMO#35がピペラシリン・タゾバクタム(Piperacillin Tazobactam)と相乗的であることをを示す。緑膿菌PAO1においてピペラシリン・タゾバクタムおよびAcpP PPMO#35を用いて、相乗アッセイを行った。1×10cfu/mLのPAO1を、96ウェルプレート中のMueller Hinton II培地に、2μg/mL PMBNの存在下で植菌した。ピペラシリン・タゾバクタム(PT)を2分の1希釈によって、横方向に128から0.124μg/mLまで段階希釈した。AcpP PPMO#35を同じ様態で32から0.5μMまで縦に希釈した。96ウェルプレートを次いで37℃で18時間インキュベートした。グラフは、PT単独対漸増濃度のAcpP PPMO#35と共にしたPTのMICを示す。PTとAcpP PPMO#35の組み合わせは、PPMO濃度が増加するにつれて減少するMIC値を示した。
図9】AmpR PPMOおよびPMBN濃度の関数としてのアンピシリンの最小生育阻害濃度(MIC)を示す。PMBNと組み合わせたAmpR PPMOは、緑膿菌PAO1におけるアンピシリンの活性を回復させる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または等価な任意の方法および材料が、本開示の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法および材料が記載される。本開示の目的のために、下記の用語を以下に定義する。
【0032】
冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法上の目的語の1つまたは1つよりも多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書で使用される。一例として、「an element」は1つの要素又は1つよりも多くの要素を意味する。
【0033】
「約」とは、参照する数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さに対して30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1%ほど変化する数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、または長さを意味する。
【0034】
「コード配列」とは、遺伝子のポリペプチド産物のコードに寄与する任意の核酸配列を意味する。対照的に、用語「非コード配列」は、遺伝子のポリペプチド産物のコードに直接寄与しない任意の核酸配列を指す。
【0035】
本明細書全体を通して、文脈上そうでないとする要求がない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および「含んでいる(comprising)」という語は、記載されたステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群を含むことを意味すると理解するべきであるが、他のステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群を除外するものではない。
【0036】
「からなる(consisting of)」とは、「からなる」という語句に続くものを含み、かつこれらに限定されることを意味する。したがって、「からなる」という語句は、列挙された要素が必要であるかまたは必須であり、他の要素が存在しないことを示す。「~から本質的になる(consisting essentially of)」とは、語句の後に列挙される任意の要素を含み、かつ列挙された要素の開示において特定された活動または作用を妨げないかまたは寄与する他の要素に限定されることを意味する
。したがって、「~から本質的になる」という句は、列挙された要素が必要または必須であることを示すが、他の要素は任意であり、列挙された要素の活性または作用に実質的に影響を及ぼすか否かに応じて存在しても存在しなくてもよい。
【0037】
本明細書中で使用される場合、「細胞と接触させる(contacting a cell)」、「導入する(introducing)」または「送達する(delivering)」という用語は、当該技術分野でルーチンの方法、例えばトランスフェクション(例えば、リポソーム、リン酸カルシウム、ポリエチレンイミン)、エレクトロポレーション(例えば、ヌクレオフェクション)、マイクロインジェクション)、形質転換、および投与によって、本開示のオリゴヌクレオチドを細胞に送達することが含まれる。
【0038】
用語「細胞膜透過性ペプチド(CPP)」または「細胞取り込みを増強するペプチド部分」は互換的に用いられ、「輸送ペプチド」、「キャリアペプチド」、または「ペプチド形質導入ドメイン」とも呼ばれるカチオン性細胞膜透過性ペプチドを指す。いくつかの態様では、該ペプチドは、所与の集団の細胞の約または少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%内で細胞透過を誘導する能力を有し、かつ/または全身投与すると生体内で、複数の組織へまたは複数の組織内で巨大分子の移動を可能にする。CPPの特定の例には、「アルギニンリッチペプチド」が含まれる。CPPは、当該技術分野において周知であり、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第2010/0016215号に開示されている。
【0039】
「電子対」は、他の原子と結合または共有されていない原子価電子対を指す。
【0040】
「相同性」は、同一であるかまたは保存的置換を構成するアミノ酸のパーセンテージ数を指す。相同性は、GAP(Deveraux et al.,1984,Nucleic Acids Research 12,387-395)またはBLASTなどの配列比較プログラムを用いて決定することができる。このようにして、本明細書で引用したものと同様のまたは実質的に異なる長さの配列を、アラインメントへのギャップの挿入によって比較することができ、そのようなギャップは、例えばGAPによって使用される比較アルゴリズムによって決定される。
【0041】
「単離された」とは、天然の状態で通常それに付随する成分を実質的にまたは本質的に含まない物質を意味する。例えば、本明細書中で使用される場合、「単離されたポリヌクレオチド」または「単離されたオリゴヌクレオチド」は、天然に存在する状態でそれに隣接する配列から精製または取り出されたポリヌクレオチド、例えば、ゲノム中の断片に隣接する配列から取り出されたDNA断片を指す。細胞に関する「単離」という用語は、源となる対象(例えば、ポリヌクレオチド反復疾患を有する対象)からの細胞(例えば、線維芽細胞、リンパ芽球)の精製を指す。mRNAまたはタンパク質の文脈において、「単離する」とは、例えば細胞などの源からmRNAまたはタンパク質を回収することを指す。
【0042】
「調整する」という用語は、1つ以上の定量可能なパラメータを、任意選択で、定義されたおよび/または統計的に有意な量だけ、「増加させる」または「減少させる」ことを含む。「増加させる(increase)」もしくは「増加している(increasing)」、「増強する(enhance)」もしくは「増強している(enhancing)」、または「刺激する(stimulate)」もしくは「刺激している(stimulating)」とは、一般に、アンチセンス化合物なしで、または対照化合物よって引き起こされる反応(すなわち、下流の作用)と比較して、細胞または対象においてより大きな生理学的反応を生成または引き起こす、1つ以上のアンチセンス化合物または組成物の能力を指す。関連する生理学的応答または細胞応答(インビボまたはインビトロ)は
、当業者には明らかであろう。「増加した」または「増強された」量は、代表的には「統計的に有意な」量であり、アンチセンス化合物のない(薬剤のない)または対照化合物により生成した量の1.1、1.2、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50倍、またはそれより多い倍数で(例えば、500、1000倍)(間にあるすべての整数と範囲および1以上を含む)、例えば1.5、1.6、1.7.1.8)の増加を含むことができる。用語「低減する」または「阻害する」は、一般に、診断技術における日常的な技術に従って測定されるような、関連する生理学的応答または細胞応答、例えば本明細書に記載の疾患または状態の症状を「低下させる」1つ以上のアンチセンス化合物または組成物の能力を指す。関連する生理学的または細胞性応答(インビボまたはインビトロ)は、当業者には明らかであり、細菌細胞増殖の減少、抗菌剤その他の最小阻害濃度(MIC)の低下などを含み得る。応答における「減少」は、アンチセンス化合物または対照組成物によって生成された応答と比較して「統計的に有意」であり、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%(間にあるすべての整数と範囲を含む)の減少を含み得る。
【0043】
本明細書で使用される場合、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」は、ワトソン-クリック塩基対形成によって核酸塩基がRNA中の標的配列にハイブリダイズして標的配列内にオリゴヌクレオチド:RNAヘテロ二重鎖を形成することを可能にする、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体の直鎖配列を指す。「アンチセンスオリゴヌクレオチド」、「アンチセンスオリゴマー」、「オリゴマー」、および「化合物」という用語は、オリゴヌクレオチドを指すために互換的に使用することができる。環状サブユニットは、リボースまたは別のペントース糖、または特定の実施形態ではモルホリノ基(以下のモルホリノオリゴヌクレオチドの説明を参照)に基づくものであってもよい。
【0044】
用語「オリゴヌクレオチド」または「アンチセンスオリゴヌクレオチド」はまた、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた1つまたは複数のさらなる部分であって、例えばその3’または5’末端において、可溶性を増強するのに有用であり得る10~100個のモノマーサブユニットを有するポリエチレングリコール部分または他の親水性ポリマー、または標的細菌細胞への化合物の取り込みを増強するおよび/または細胞中内で化合物の活性を増強する、例えば、標的ポリヌクレオチドへのその結合を増強するために有効な脂質もしくはペプチド部分などの部分、を有するオリゴヌクレオチドを包含する。
【0045】
「ヌクレアーゼ耐性」オリゴヌクレオチドは、非ハイブリダイズまたはハイブリダイズした形態で、その骨格が、体内または細菌細胞内における細胞外または細胞内の一般的なヌクレアーゼによる(例えば、3’-エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ、RNアーゼHなどのエキソヌクレアーゼによる)、ヌクレアーゼ切断に実質的に耐性である、すなわち、該オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドが受ける通常のヌクレアーゼ条件下でヌクレアーゼ切断をほとんどまたは全く示さないことを指す。「ヌクレアーゼ耐性ヘテロ二本鎖」は、ヘテロ二本鎖が、二本鎖のRNA/RNAまたはRNA/DNA複合体を切断可能である細胞内ヌクレアーゼおよび細胞外ヌクレアーゼによるインビボ分解に実質的に耐性であるように、アンチセンスオリゴマーのその相補的標的への結合によって形成されるヘテロ二本鎖を指す。「ヘテロ二重鎖」とは、アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的RNAの相補的部分との間の二本鎖をいう。
【0046】
本明細書で使用される「核酸塩基」(Nu)、「塩基対形成部分」または「塩基」は互換可能に使用され、天然のDNAまたはRNA(ウラシル、チミン、アデニン、シトシン
、およびグアニン)に見出されるプリンまたはピリミジン塩基、ならびにオリゴヌクレオチドへの結合親和性などの改善された特性を与える天然起源のプリンおよびピリミジンの類似体を指す。例示的な類似体には、ヒポキサンチン(ヌクレオシドイノシンの基本成分)、2,6-ジアミノプリン、5-メチルシトシン、C5-プロピニル修飾ピリミジン、9-(アミノエトキシ)フェノキサジン(G-clamp)などが挙げられる。
【0047】
リボース、糖類似体またはモルホリノに共有結合した核酸塩基は、ヌクレオシドを含む。「ヌクレオチド」は、1つのリン酸基と共にヌクレオシドから構成される。リン酸基は、隣接するヌクレオチドを互いに共有結合させて、オリゴヌクレオチドを形成する。
【0048】
40℃または45℃よりも実質的に高い、好ましくは少なくとも50℃、そして代表的には60℃~80℃またはそれよりも高いTmの生理学的条件下で、オリゴヌクレオチドが標的にハイブリダイズする場合、オリゴヌクレオチドは標的配列に「特異的にハイブリダイズする」。そのようなハイブリダイゼーションは、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件に相当する。所与のイオン強度およびpHにおいて、Tmは、標的配列の50%が相補的なポリヌクレオチドにハイブリダイズする温度である。そのようなハイブリダイゼーションは、標的配列に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの「ほぼ(near)」または「実質的な」相補性ならびに、正確な相補性で起こり得る。
【0049】
本明細書中で使用される場合、「十分な長さ」には、細菌mRNA標的配列の領域内の少なくとも約8、より典型的には約8~10、8~11、8~12、8~13、8~14、8~15、8~16、8~17、8~18、8~19、8~20、8~30、8~40、または10~11、10~12、10~13、10~14、10~15、10~16、10~17、10~18、10~19、10~20、10~30、10~40(間にあるすべての整数と範囲を含む)の連続または非連続核酸塩基に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。十分な長さのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、細菌mRNA標的の領域に特異的にハイブリダイズすることができる少なくとも最小数のヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態において、十分な長さのオリゴヌクレオチドは、長さが8~30ヌクレオチド、例えば長さが約10~20ヌクレオチドである。
【0050】
本明細書で使用される「配列同一性」または、例えば「対する50%の配列同一性」という用語は、配列が、比較ウインドウによってヌクレオチドごとにまたはアミノ酸ごとに同一である程度を指す。したがって、「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウインドウによって2つの最適に整列した配列を比較することと、同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)または同一のアミノ酸残基(Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys、およびMet)が両方の配列に存在する位置の数を決定して、一致した位置の数を得ることと、一致した位置の数を比較のウインドウの位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除することと、結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージを得ることと、によって計算することができる。
比較ウインドウを整列させるための配列の最適な整列は、アルゴリズムのコンピュータ化された実行(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0、Genetics Computer Group、575 Science Drive Madison、Wis.、USA製のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)により、または選択された様々な方法のいずれかによって生成された検査および最良の整列(すなわち、比較ウインドウに対して最も高い相同性を生じている)によって遂行できる。例えば、Altschul et al.、Nucl.Acids Res.25:3389、1997によって開示されているように、BLASTファミリーのプログラムも参照され得る。
【0051】
「対象」または「それを必要とする対象」は、ヒト対象または患者などの哺乳動物対象を含む。
【0052】
用語「TEG」または「トリエチレングリコールテイル」は、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートしたトリエチレングリコール部分、例えばその3’または5’末端を指す。例えば、いくつかの実施形態において、「TEG」は、式(I)の化合物のTが式
【化10】
であるものを含む。
【0053】
「標的配列」という用語は、標的RNAの一部、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドが向けられる細菌mRNA、すなわちオリゴヌクレオチドが相補的配列のワトソン-クリック塩基対形成によってハイブリダイズする配列によってハイブリダイズする配列を指す。特定の実施形態において、標的配列は、細菌遺伝子の翻訳開始領域の連続領域であってよい。
【0054】
「翻訳開始コドン領域」とは、遺伝子の翻訳開始コドンの30塩基上流または下流の領域をいう。
【0055】
「標的化配列」または「アンチセンス標的化配列」という用語は、RNA中の標的配列、例えば細菌mRNAに相補的または実質的に相補的であるオリゴヌクレオチド中の配列を指す。アンチセンス化合物の全配列または一部のみが標的配列に相補的であり得る。例えば、約10~30塩基のオリゴヌクレオチドにおいて、塩基の約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または29は、標的領域に相補的な標的化配列であり得る。代表的には、標的化配列は連続塩基から形成されるが、代わりに、例えばオリゴヌクレオチドの反対側の末端から、一緒に配置された場合に標的配列に及ぶ配列を構成する非連続配列から形成されてもよい。
【0056】
「標的化配列」は、標的配列に対する「近い」または「実質的な」相補性を有し得、そして依然として本開示の目的のために機能する、すなわち依然として「相補的」であり得る。いくつかの実施形態において、本開示に使用されるオリゴヌクレオチド類似体化合物は、例えば、標的配列との10ヌクレオチドのうちの最大でも1つのミスマッチ、および最大でも20のうちの1つのミスマッチを有する。あるいは、使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書に記載される例示の標的化配列と例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列相同性を有する。
【0057】
明細書で使用する用語「定量する」、「定量」または他の関連する単語は、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の単位体積中の量、質量または濃度を決定することを指す。
【0058】
本明細書で使用されるように、対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)または細胞の「治
療」は、個体または細胞の自然経過を変更しようと試みる任意の様式の介入である。治療には、薬学的組成物の投与が含まれるが、これに限定されるものではなく、病的事象の開始を予防的にまたは病因の開始後または病原体との接触後に行うことができる。また、治療される疾患または状態の進行速度を低下させること、その疾患または状態の発症を遅延させること、またはその発症の重症度を低下させることを指向することができる「予防的」治療も含まれる。「治療」または「予防」は、必ずしも、疾患または状態、またはその関連症状の完全な根絶、治癒、または予防を示すものではない。
【0059】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的組み合わせ療法」または単に「組み合わせ療法」は、本明細書に記載の式(I)の化合物と、本明細書で開示される第2の化合物、例えばポリミキシンE(PME)、ポリミキシンB(PMB)、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)、ポリミキシンEノナペプチド(PMEN)、上記のもののいずれかの薬学的に許容される塩、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリミキシンまたはポリミキシンノナペプチドと、を組み合わせて投与することを一般に指す。言い換えれば、「薬学的組み合わせ療法」という用語は、本開示のPPMO例えば式(I)の化合物は、本明細書に開示される1つ以上の第2の化合物と薬学的に許容される形態で、
(i)同じ剤形で、例えば同じ本開示のPPMO例えば式(I)の化合物、本明細書に開示される1つ以上の第2の化合物、および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を意味する錠剤または薬学的組成物で、
(ii)同じ投与様式、例えば式(I)の化合物のような本開示のPPMOおよび薬学的に許容される担体を含む経口投与に適した第1の薬学的組成物と、本明細書に開示される1つ以上の第2の化合物および薬学的に許容される担体を含む経口投与に適した第2の薬学的組成物と、を含むキット、を有する別個の剤形で、および(iii)異なる投与様式、例えば式(I)の化合物のような本開示のPPMOおよび薬学的に許容される担体を含む経口投与に適した第1の薬学的組成物と、本明細書に開示される1つ以上の第2の化合物および薬学的に許容される担体を含む非経口投与に適した第2の薬学的組成物と、を含むキット、を有する別個の剤形で、同時に投与することができる。さらに、本開示の利益を受ける当業者は、本開示の2つ以上の第2の化合物が投与される場合、例えば、本開示のPPMO例えば式(I)の化合物を含む経口投与に適した第1の薬学的組成物、および薬学的に許容される担体、本開示の第1の第2の化合物および薬学的に許容される担体を含む経口投与に適した第2の薬学的組成物、および本開示の第2の化合物および薬学的に許容される担体を含む、非経口投与に適した第3の薬学的組成物を含むキットのように薬剤は同じ投与様式を共有する必要のないことを理解するであろう。当業者であれば、「薬学的組み合わせ療法」の文脈における上記の同時投与は、本開示のPPMOを含む薬学的組成物および第2の化合物を含む薬学的組成物が、同じスケジュールで、すなわち、同じ時間および同じ日に、または別のスケジュール、すなわち、必ずしも異なるスケジュールではないが異なるスケジュールで実行されることを意味することを理解するであろう。その点で、本開示のPPMOを含む薬学的組成物および本開示の(複数の)第2化合物を含む薬学的組成物が異なるスケジュールで投与される場合、そのような異なるスケジュールは、本明細書では「バックグラウンド」または「バックグラウンド投与」とも呼ぶ。例えば、本開示のPPMOを含む薬学的組成物は、1日2回、特定の剤形で投与されてもよく、本開示の第2の化合物を含む薬学的組成物は、1日1回、例えば、本開示のPPMOを含む薬学的組成物は、毎日の投与の1つの間に、本開示の第2の化合物を含む薬学的組成物と同時に投与されてもよいが、必ずしも投与される必要はなく投与できる。当然のことながら、「薬学的組み合わせ療法」に対する他の適切な変形は、本開示の利益を受ける当業者には容易に明らかであり、この用語の意味の一部である。
【0060】
生化学的経路および細胞プロセスにおける細菌遺伝子を標的とするための配列
特定の実施形態は、生化学的経路および/または細胞プロセスにおいて遺伝子をコードする細菌mRNA標的配列に特異的にハイブリダイズするのに十分な長さおよび相補性を
有するアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび関連組成物および方法に関する。一般的な例には、ムレイン生合成、細胞分裂、全体的な遺伝子調節機構、脂肪酸生合成、リボソームタンパク質、DNA複製、転写、翻訳開始、リポ多糖生合成、核酸生合成、および中間代謝が含まれる。生化学的経路および細胞プロセスにおける遺伝子の特定の例には、RpsJおよびRpmB(リボソームタンパク質);LpxC、WaaC、WaaG、WaaA、WaaF、LpxA、およびLpxB(リポ多糖生合成);MraY、MurC、MurB、MurE、MurF、およびMurG(ムレイン生合成);FabG、AcpP(脂肪酸生合成)、AccA、AccB、FabZ(脂肪酸生合成)などが含まれる。
【0061】
抗生物質耐性遺伝子/タンパク質などの少なくとも1つの病原因子をコードする細菌mRNA標的配列も含まれる。1つの特定の例には、β-ラクタマーゼAmpCのグローバルな転写制御因子であるAmpRが含まれる。
【0062】
特定の実施形態では、標的配列は、細菌mRNAの翻訳開始コドンの全部または一部(例えば、1または2ヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態では、標的配列は、細菌mRNA標的配列の翻訳開始コドン(例えばATG;AUG)の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30塩基上流もしくは下流にまたはその範囲内にある配列を含む。例えば、特定の実施形態では、標的配列の5’末端は、細菌mRNAの翻訳開始コドン中のアデニン、ウラシル、またはグアニンヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、標的配列の5’末端または3’末端は、細菌mRNAの翻訳開始コドンの最後のヌクレオチド(例えば、グアニン)の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30下流の残基で始まる。いくつかの実施形態では、標的化配列の5’末端または3’末端は、細菌mRNAの翻訳開始コドンの最初のヌクレオチド(例えば、アデニン)の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30上流の残基で始まる。
【0063】
選択されたアンチセンス標的化配列は、より短く例えば、約8、9、10、11、12、13、14、または15塩基とするか、またはより長く、例えば、約20、30、または40塩基で作製することができ、かつ配列が標的配列へのハイブリダイゼーション時に転写または翻訳を減少させるのに十分に相補的であり、任意選択で、RNAと45℃以上のTmを有するヘテロ二本鎖を形成する限り、少数のミスマッチを含むことができる。
【0064】
特定の実施形態では、標的配列とアンチセンス標的化配列との間の相補性の程度は、安定な二本鎖を形成するのに十分である。アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的RNA配列との相補性の領域は、8~9塩基、8~10塩基、8~11塩基、8~12塩基、10~11塩基、10~12塩基と短くてもよいが、12~15塩基以上、例えば10~40塩基、12~30塩基、12~25塩基、15~25塩基、12~20塩基、または15~20塩基であってもよく、これらの範囲内のすべての整数が含まれる。約10~15塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、一般に、独特の相補的配列を有するのに十分な長さである。特定の実施形態では、本明細書で論じるように、必要な結合Tmを達成するために最小限の長さの相補的塩基が必要とされ得る。
【0065】
特定の実施形態では、少なくとも最少数の塩基、例えば10~12塩基が標的配列に相補的である40塩基の長さのオリゴヌクレオチドが適切であり得る。しかしながら、一般に、細胞における促進されたまたは活性な取り込みは、約30個未満または約20個未満のオリゴヌクレオチド長で最適化される。少なくとも約6、8、9、10、11、12、
13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40の連続または非連続塩基が本明細書に記載の標的遺伝子に相補的である、約8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40塩基、例えば10~40塩基、10~30塩基、10~20塩基、15~40、15~30、15~20、11~40、11~30、または11~20塩基(間にあるすべての整数と範囲を含む)を含むかまたはそれらからなるアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRである。ある実施形態では、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRをコードする緑膿菌mRNAに相補的な標的化配列を含む。
【0066】
特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドと標的配列との間に形成されるヘテロ二重鎖がインビボで起こり得る細胞ヌクレアーゼおよび他の分解様式の作用に耐え、標的mRNAの発現を低下させるのに十分安定である限り、アンチセンスオリゴヌクレオチドは標的配列に対して100%相補的であり得るか、または例えば変異体に適応するミスマッチを含み得る。したがって、特定のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドと標的配列との間に、約または少なくとも約70%の配列相補性、例えば70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列相補性を有し得る。ヌクレアーゼによる切断の影響を受けにくいオリゴヌクレオチド骨格が、本明細書で考察される。ミスマッチは、存在する場合、典型的にはハイブリッド二本鎖の末端領域の方が中央よりも不安定化が少ない。許容されるミスマッチの数は、二本鎖安定性のよく理解されている原理に従い、オリゴヌクレオチドの長さ、二本鎖のG:C塩基対のパーセンテージ、および二重鎖中のミスマッチの位置に依存する。このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、必ずしも標的配列に対して100%相補的である必要はないが、例えば標的RNAの翻訳が減少するように、標的配列に安定かつ特異的に結合することが有効である。
【0067】
オリゴヌクレオチドと標的配列との間に形成された二重鎖の安定性は、結合Tmおよび二重鎖の細胞酵素切断に対する感受性の関数である。相補的配列RNAに関するオリゴヌクレオチドのTmは、例えばHames et al、Nucleic Acid Hybridization、IRL Press、1985、pp.107~108に記載されているおよびMiyada C.G.and Wallace R.B.、1987、Oligonucleotide Hybridization Techniques、Methods Enzymol.Vol.154 pp.94~107に記載されているような従来の方法によって、測定することができる。特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、相補的配列RNAに関して、体温よりも高く、好ましくは約45℃または50℃よりも高い結合Tmを有し得る。60~80℃以上の範囲のTmもまた含まれる。周知の原理によれば、相補性ベースのRNAハイブリッドに関し、オリゴヌクレオチドのTmは、二本鎖中のC:G塩基対の比を増加させることによって、および/またはヘテロ二本鎖の長さを(塩基対で)増加させることによって増加させることができる。同時に、細胞取り込みを最適化する目的のため、オリゴヌクレオチドのサイズを制限することが有利であり得る。
【0068】
以下の表1は、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドの例示的な標的化配列(5’→3’方向)を示す。
【表1】
【表A】
【0069】
いくつかの実施形態において、表1の標的化配列のチミン塩基は、ウラシル塩基である。
【0070】
ある特定のアンチセンスオリゴヌクレオチドは故に、表1における標的化配列(例えば、配列番号1~22、35)、あるいはその変異型、または連続もしくは非連続部分(複数可)を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。例えば、ある特定のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、表1における標的化配列(例えば、配列番号1、22、35)のうちのいずれかの約または少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、または27個の連続もしくは非連続部分ヌクレオチドを含む。非連続部分については、介在するヌクレオチドを欠失させるか、または異なるヌクレオチドで置換するか、また
は介在するヌクレオチドを付加することができる。変異型の追加の例としては、表1における標的化配列(例えば、配列番号1~22、35)のうちのいずれかの全長にわたって、約または少なくとも約70%の配列同一性または相同性、例えば、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性または相同性を有する、オリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0071】
アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその変異体の活性は、当該技術分野における常用手技に従ってアッセイすることができる(例えば実施例参照)。
【0072】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの化学
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、代表的には、生化学的経路および/または細胞プロセスにおいて遺伝子をコードする細菌mRNA標的配列に特異的にハイブリダイズし、それによって生化学経路および/または細胞プロセスタンパク質の発現(例えば、翻訳)を減少させるのに十分な長さおよび相補性の塩基配列を含む。この要件は、オリゴマー化合物が細菌細胞によって積極的に取り込まれ、一度取り込まれると、場合によっては約40℃または45℃を超えるTmを有する標的mRNAと安定な二本鎖(またはヘテロ二本鎖)を形成する場合、必要に応じて満たされる。
【0073】
特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの骨格は実質的に荷電しておらず、細胞壁および/または細胞膜を横切る活性輸送または促進輸送の基質として任意に認識される。オリゴヌクレオチドが標的RNAと安定な二本鎖を形成する能力は、標的に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの長さおよび相補性の程度、G:C対A:T塩基マッチの比、およびいずれかのミスマッチ塩基の位置が含まれる、骨格の他の特徴に関連し得る。細胞ヌクレアーゼに抵抗するアンチセンスオリゴヌクレオチドの能力は、細胞への薬剤の残存および最終的な送達を促進し得る。したがって、いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドはヌクレアーゼ耐性である。例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチド標的化配列を表1(上記)に列挙する。
【0074】
特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、モルホリノオリゴヌクレオチド、例えば、ホスホロジアミダートモルフォリノオリゴヌクレオチド(PMO)である。「モルホリノオリゴヌクレオチド」または「PMO」は、典型的なポリヌクレオチドに水素結合することができる核酸塩基を支持する骨格を有するオリゴヌクレオチドを含み、ポリマーはペントース糖骨格部分を欠くが、代わりにモルホリノ環を含む。したがって、PMOにおいて、モルホリノ環構造は、塩基対形成部分を支持して、典型的には、細胞または治療される対象において選択されたアンチセンス標的にハイブリダイズするように設計された塩基対形成部分の配列を形成する。例示的な「モルホリノ」オリゴヌクレオチドは、1つのサブユニットのモルホリノ窒素を隣接するサブユニットの5’の環外炭素に結合させるホスホラミデートまたはホスホロジアミデート結合によって一緒に連結されたモルホリノサブユニット構造を含み、各サブユニットは、塩基特異的水素結合によってポリヌクレオチド中の塩基に結合するのに有効なプリンまたはピリミジン核酸塩基を含む。
【0075】
モルホリノオリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む)およびそれらの合成は、例えば、米国特許第5,698,685号、同第5,217,866号、同第5,142,047号、同第5,034,506号、同第5,166,315号、同第5,185,444号、同第5,521,063号、同第5,506,337号、および係属中の米国特許出願第12/271,036号、同第12/271,040号、およびPCT公開番号WO/2009/064471、およびWO/2012/043730に記載されており、これらのすべては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0076】
オリゴヌクレオチド構造内では、リン酸基は、一般に、オリゴヌクレオチドの「ヌクレオシド間結合」を形成すると呼ばれている。天然に存在するRNAおよびDNAのヌクレオシド間結合は、3’→5’ホスホジエステル結合である。「ホスホルアミダート」基は、3つの結合酸素原子および1つの結合窒素原子を有するリンを含み、「ホスホロジアミダート」基は、2つの結合酸素原子および2つの結合窒素原子を有するリンを含む。
【0077】
特別な実施形態では、モルホリノサブユニットは、以下の構造に従ってホスホロジアミデート結合によって連結される:
【化11】
=酸素(O)または硫黄、窒素または炭素;Z=酸素または硫黄;Pは、ポリヌクレオチド中の塩基に塩基特異的な水素結合により結合するのに有効なプリン又はピリミジン塩基対形成部分であり、Xは-NRR’であり、RおよびR’は同一又は異なって、H又はアルキルである。特別な実施形態では、Xは-NRR’であり、ここでRおよびR’は同一または異なって、Hまたはメチルのいずれかである。
【0078】
ある特定の実施形態において、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴヌクレオチドは、式I、
【化12】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、Nuは、一緒になって核酸塩基配列を形成する核酸塩基であり、Zは、8~38の整数であり、Tは、OHおよび下
記式、
【化13】
から選択され、
式中、各Rは独立して、C-Cアルキルであり、Rは、電子対およびHから選択され、Rは、-N(R)CHC(O)NH、および下記式、
【化14】
の部分、から選択され、
式中、Rは、HおよびC-Cアルキルから選択され、Rは、G、-C(O)-R、アシル、トリチル、および4-メトキシトリチルから選択され、Rは、式-(O-アルキル)-OHのものであり、式中、yは、3~10の整数であり、y個のアルキル基の各々は独立して、C-Cアルキルから選択され、Rの各出現例は、-N(R1011であり、式中各R10は独立して、C-Cアルキルであり、R11は、電子対およびHから選択され、Rは、H、G、アシル、トリチル、4-メトキシトリチル、および式、
【化15】
の部分、から選択され、
式中、Lは、-C(O)(CHC(O)-および-C(O)(CH(CHC(O)-から選択され、各R12は、式-(CHOC(O)N(R26のものであり、式中、各R26は、式(CHNHC(=NH)NHのものであり、Rは、電子対、H、およびC-Cアルキルからなる群から選択され、Gは、-C(O)(CHNH-CPP、-C(O)(CHNH-CPP、-C(O)(CHNHC(O)(CHNH-CPP、-C(O)CHNH-CPP、および-C(O)CH(ピロリジン-2-イル)NH-CPPからなる群から選択される、細胞膜透過性ペプチド(「CPP」)およびリンカー部分であり、該CPPは、CPPカルボキシ末端においてアミド結合によってリンカー部分に結合されているが、但し、Gの1つの出現例が存在することを条件とする。
【0079】
いくつかの実施形態においてZは8ないし28であり、8ないし18である。ある特定の実施形態においてZは9であり、および標的化配列が表1から選択される。
【0080】
いくつかの実施形態において、RはHまたはGから選択され、Rは電子対またはHから選択される。特別な実施形態において、RはGであり、そしてが表2から選択される。特別な実施形態において、RはGであり、そしてが表2から選択される.いくつかの実施形態において、Rは、Hまたはアシルである。いくつかの実施形態において、各Rは、-N(CHである。
【0081】
ある特定の実施形態において、Tは、下記式、
【化16】
、のものであり、
は、下記式、
【化17】
、のものであり、
は、Gである。
【0082】
ある特定の実施形態において、Tは、下記式、
【化18】
、のものであり、
は、Gである。
【0083】
ある特定の実施形態において、Tは、下記式、
【化19】
、のものであり、
各Rは、-N(CHであり、Rは、Gである。
【0084】
ある特定の実施形態において、Tは、下記式、
【化20】
、のものであり、
各Rは、-N(CHであり、Rは、-C(O)CHである。
【0085】
PMOの分子量および極性特性のために、これらのオリゴヌクレオチドを膜透過性または細胞透過性ペプチドにコンジュゲートすることにより、細菌細胞への侵入を改善することができる。ペプチド-PMOコンジュゲート(PPMO)は、非コンジュゲート化対応物よりも特異的な標的の発現を有意に阻害する。膜透過性ペプチドは、その積荷(cargo)(アンチセンスオリゴマー)を、グラム陰性外膜を横切って輸送し、その後、原形質膜を横断する。
【0086】
ある特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの細胞膜透過性ペプチド(CPP)にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、CPPはアルギニンリッチペプチドである。「アルギニンリッチペプチド」とは、CPPが少なくとも2個、例えば2、3、4、5、6、7、または8個のアルギニン残基を有し、それぞれが任意選択で1個以上の非荷電疎水性残基によって分離され、および任意選択で約6~14個のアミノ酸残基を含有していることを意味する。例示的なCPPを表2(配列番号23~34)に示す。
【表2】
【0087】
いくつかの実施形態において、CPPは、1、2、3、4または5個のアミノ酸リンカーを介してそのC末端でオリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端に連結される。特別な実施形態では、該リンカーは、-C(O)(CHNH-CPP(Xリンカー)、-C(O)(CHNH-CPP(Bリンカー)、-C(O)(CHNHC(O)(CHNH-CPP(XBペプチドリンカー)、-C(O)CHNH-CPP(Gリンカー)および-C(O)CH(ピロリジン-2-イル)NH-CPP(Pリンカー)が含まれ、CPPは、CPPカルボキシ末端のアミド結合によってリンカー部分に結合される。実施例で使用される例示的な3’CCP PPMOを表3に提示し、実施例で使用される例示的5’CCP PPMOを表4に提示する。
【表3-1】
【表3-2】
【0088】
いくつかの実施形態において、表3の標的化配列のチミン塩基は、ウラシル塩基である。
【0089】
いくつかの実施形態において、本開示のオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩の例示的な構造は、下記によって表されてもよく、
【化21】
式中、標的化配列は、
a)GTT GTT TGA TC(配列番号2)、
b)TTC TCT CCT TT(配列番号3)、
c)CAT ACC TTG TT(配列番号4)、
d)CTC TAG ACA TG(配列番号5)、
e)AGC ACC CTC AT(配列番号6)、
f)TGA CTC TCC TC(配列番号7)、
g)CCA CCT CCA GG(配列番号8)、
h)AGG CTT CCG TC(配列番号9)、
i)ATC AAA CTC AT(配列番号10)、
j)TAA TCC GTC AG(配列番号11)、
k)GCC AGG GTC AT(配列番号12)、
l)GCA TTT GAC CT(配列番号13)、
m)GTA CGG TTC AT(配列番号14)、
n)AGA ATT CTC AT(配列番号15)、
o)CAG TCG CCC CT(配列番号16)、
p)AGG CTC ATA GG(配列番号17)、
q)CTA GCA CTC CC(配列番号18)、
r)ATG TCC ATC AT(配列番号19)、
s)ACC TCC CAG GC(配列番号20)、
t)GCA AAG TCC TC(配列番号21)、および
u)CTC ATA CCT TG(配列番号35)、からなる群から選択され、
配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい。
【0090】
ある特定の実施形態において、本開示のオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩の例示的な構造は、下記によって表されてもよく、
【化22】
標的化配列は、CCT CAG ACT CC(配列番号1)であり、配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい。
【0091】
いくつかの実施形態において、本開示のオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩の例示的な構造は、下記によって表されてもよく、
【化23】
標的化配列は、CCT CAG ACT CC(配列番号1)であり、配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい。
【0092】
いくつかの実施形態において、上記構造の標的化配列のチミン塩基は、ウラシル塩基である。
【表4-1】
【表4-2】
【0093】
いくつかの実施形態において、表4の標的化配列のチミン塩基は、ウラシル塩基である。
【0094】
いくつかの実施形態において、本開示のオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩の例示的な構造は、
【化24】
によって表されてもよく、
標的化配列は、CCT CAG ACT CC(配列番号1)であり、配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい。
【0095】
いくつかの実施形態において、上記構造の標的化配列のチミン塩基は、ウラシル塩基である。
【0096】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、当該技術分野で公知の方法および本明細書で引用した参考文献に記載されている方法を用いて、段階的固相合成によって調製することができる。
【0097】
使用方法および製剤
本開示の実施形態は、生化学的経路および/または細胞プロセスに関与する1つ以上の細菌タンパク質の発現および活性を低下させるために、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する方法を含む。特定の実施形態は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して、例えば、単独でまたは1つ以上のさらなる抗菌剤と組み合わせて対象における細菌感染症を治療するための、複製、増殖、病原性因子、または細菌の増殖を低減する方法を含む。場合によっては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細菌の1つ以上の抗生物質に対する感受性を増加させる。
【0098】
また、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、代表的には薬学的に許容される担体と組み合わせて含む、薬学的組成物も含まれる。場合によっては、薬学的組成物は、1つ以上の追加の化合物、例えば、1つ以上の追加の抗生物質を含む。本明細書で提供される方法は、インビトロまたはインビボで実施することができる。
【0099】
例えば、特定の実施形態は、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは薬学的組成物を、それを必要とする対象(例えば、細菌感染を有するかまたは有する危険性のある対象)に投与することを含む、対象における細菌感染を治療する方法を含む。また、病原性因子をコードする遺伝子を含む細菌(類)または細菌の病原性および/またはバイオフィルム形成を減少させる方法であって、細菌(類)または細菌を本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドと接触させることを含む、方法も含まれる。
【0100】
いくつかの実施形態では、細菌はシュードモナス(Pseudomonas)属から選択される。シュードモナス(Pseudomonas)は、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)に属するグラム陰性好気性ガンマプロテオバクテリアの属である。シュードモナス種はペニシリンおよび関連ベータラクタム系抗生物質の大部分には本来的に耐性であるが、ピペラシリン、イミペネム、チカルシリン、および/またはシプロフロキサシンに対して感受性が高いものもある。トブラマイシン、ゲンタマイシン、およびアミカシンなどのアミノグリコシドは、シュードモナス感染の治療のための他の可能性のある微生物剤である。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は、環境中に広く存在し、病院環境において主要な日和見病原体である。それはまた、嚢胞性線維症(CF)における肺感染に関連する主要な病原体でもある。CF患者は、環境から緑膿菌の株に感染し、その後、それらはCF肺で発症する。CF患者の80%が成人期に緑膿菌に感染し、この病原体による慢性肺感染が罹患率および死亡率の主要な原因である。現在、緑膿菌の完全な根絶はほとんど達成されていない。慢性感染単離体は、環境中の表現型とは異なる表現型または、ムコイドエキソポリサッカライドアルギネート(抗生物質不応性バイオフィルムの形成に関与する)の発現、不完全なリポポリサッカライドO抗原合成、鞭毛および/またはIV型線維の消失、および減少させたエキソ酵素産生を含む、急性感染を引き起こす表現型を有し得る。緑膿菌の多剤耐性分離株は現在、CFにおいて一般的であり、実質的に治療選択肢を残さない。
【0101】
したがって、いくつかの実施形態において、細菌は、シュードモナス属の上記のメンバーのいずれかである。特定の実施形態では、細菌は緑膿菌の1つ以上である。
【0102】
特定の実施形態では、細菌は多剤耐性(MDR)細菌類または細菌である。多剤耐性(MDR)、多薬剤耐性(multi-drug resistance)、または多耐性(multiresistance)は、病原菌(細菌、ウイルス、真菌または寄生生物)が抗生物質、抗真菌薬、抗ウイルス薬、駆虫薬などの異なる抗菌薬に耐える得る条件である。特別な実施形態において、細菌は、広範囲薬剤耐性(XDR)または汎薬剤耐性(PDR)である。いくつかの実施形態において、細菌は、基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)を産生するグラム陰性細菌、または多剤耐性グラム陰性桿菌(MDR GNR)MDRGN細菌である。特定の実施形態において、細菌は、MDR緑膿菌である。
【0103】
緑膿菌感染症を治療する方法におけるいくつかの実施形態において、該標的化配列は、表1から選択されるか、表1における標的化配列の少なくとも10個の連続ヌクレオチドの断片であるか、または表1における標的化配列と少なくとも80%の配列同一性を有する変異型であり、配列中、チミン塩基は、ウラシル塩基であってもよい。
【0104】
緑膿菌感染症を治療する方法におけるいくつかの実施形態において、化合物は、下記式、
【化25】
のもの、またはその薬学的に許容される塩であり、標的化配列は、5’から3’に、
a)GTT GTT TGA TC(配列番号2)、
b)TTC TCT CCT TT(配列番号3)、
c)CAT ACC TTG TT(配列番号4)、
d)CTC TAG ACA TG(配列番号5)、
e)AGC ACC CTC AT(配列番号6)、
f)TGA CTC TCC TC(配列番号7)、
g)CCA CCT CCA GG(配列番号8)、
h)AGG CTT CCG TC(配列番号9)、
i)ATC AAA CTC AT(配列番号10)、
j)TAA TCC GTC AG(配列番号11)、
k)GCC AGG GTC AT(配列番号12)、
l)GCA TTT GAC CT(配列番号13)、
m)GTA CGG TTC AT(配列番号14)、
n)AGA ATT CTC AT(配列番号15)、
o)CAG TCG CCC CT(配列番号16)、
p)AGG CTC ATA GG(配列番号17)、
q)CTA GCA CTC CC(配列番号18)、
r)ATG TCC ATC AT(配列番号19)、
s)ACC TCC CAG GC(配列番号20)、
t)GCA AAG TCC TC(配列番号21)、および
u)CTC ATA CCT TG(配列番号35)、からなる群から選択され、
配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい。
【0105】
ある特定の実施形態において、化合物は、
【化26】

【化27】
から選択されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
標的化配列は、5’から3’に、CCT CAG ACT CC(配列番号1)であり、配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい。
【0106】
ある特定の実施形態において、化合物は、下記式、
【化28】
のものであり、標的化配列は、5’から3’に、GTC GAA CCA AT(配列番号22)であり、配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、緑膿菌感染症を治療する方法において薬学的組成物は、ポリミキシンE(PME)、ポリミキシンB(PMB)、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)、ポリミキシンEノナペプチド、上記のもののいずれかの薬学的に許容される塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の化合物をさらに含む。
【0108】
いくつかの実施形態において、第2の化合物は、PMEである。
【0109】
いくつかの実施形態において、化合物(I)対PMEの比は、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される。
【0110】
いくつかの実施形態において、第2の化合物は、PMBNである。
【0111】
いくつかの実施形態において、化合物(I)対PMBNの比は、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される。
【0112】
いくつかの実施形態において、第2の化合物が薬学的組成物中に存在する量は、緑膿菌
感染症の治療における第2の化合物の抗菌活性の治療的レベルを下回る。
【0113】
いくつかの実施形態では、緑膿菌感染症を治療する方法において、該方法は患者にアンピシリンを投与するステップをさらに含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、アンピシリンを薬学的組成物と同時投与する。
【0115】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物はさらにアンピシリンを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、緑膿菌感染症を治療する方法において、患者は免疫無防備状態である。
【0117】
いくつかの実施形態では、緑膿菌感染症を治療する方法において、患者は嚢胞性線維症(CF)であるか、またはそれを有する危険性がある。
【0118】
いくつかの実施形態では、緑膿菌感染症を治療する方法において、チミン塩基はウラシル塩基である。
【0119】
上記のように、本明細書に記載の細菌類または細菌は、抗生物質耐性遺伝子などの1つ以上の病原性因子を含み得る(例えば、コードする)。抗生物質耐性遺伝子(およびそれらの関連タンパク質)の一例は、ある種の抗菌剤を酵素的に不活性化するβ-ラクタマーゼを含む。特別な実施形態では、抗生物質耐性遺伝子は、β-ラクタマーゼAmpCのグローバル転写制御因子であるAmpRである。
【0120】
これらのおよび関連する実施形態のいくつかにおいて、それを必要とする対象または患者は、嚢胞性線維症(CF)または慢性肉芽腫性疾患(CGD)のような根底にある肺疾患を有する。いくつかの実施形態では、対象または患者は免疫無防備状態である。特定の実施形態では、対象または患者は免疫無防備状態であり、CFまたはCGDのような根底にある肺疾患である。したがって、特定の実施形態は、対象が肺疾患、例えばCFおよび/またはCGDであるかまたはそうなる危険性がある対象における細菌感染(例えば、緑膿菌感染)を治療する方法を含む。いくつかの実施形態は、免疫無防備状態の対象、例えばCFおよび/またはCGDのような肺疾患であるか、またはそれを有する危険性がある対象における細菌感染(例えば、緑膿菌感染)を治療する方法を含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細菌の増殖を低減または阻害する。例えば、いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは細菌の増殖を、対照(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドの不在、オリゴヌクレオチドとの接触前のスクランブルオリゴヌクレオチド)と比較して、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、または1000%またはそれ以上(間にあるすべての整数と範囲を含む)または対照と比較して、約または少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95倍、または100倍またはそれ以上(間にあるすべての整数と範囲を含む)低減させる。細菌の増殖は、インビトロ(例えば、実施例参照)またはインビボで測定することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の抗菌剤と組み合わせて使用される。
【0122】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、対照と比較して、細菌
中のリボソームタンパク質(例えばRpsJ、RpmB)レベルを約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、または1000%またはそれ以上(間にあるすべての整数と範囲を含む)コントロールと比較して、約または少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95倍、または100倍以上(間にあるすべての整数と範囲を含む)低下させる。特定の実施形態では、リボソームタンパク質レベルを低下させるアンチセンスオリゴヌクレオチドはRpsJおよび/またはRpmBを標的とし、細菌はRpsJおよび/またはRpmBを含むかまたは発現する、シュードモナス種、例えば緑膿菌である。これは例示的な細菌種であり、RpsJおよび/またはRpmB遺伝子を発現する細菌は、本明細書に記載の化合物および方法の影響を受けやすいと予想される。リボソームタンパク質レベルは、当該技術分野の常用手技に従って測定することができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、対照(例えば、オリゴヌクレオチドの非存在)と比較して、細菌におけるリポ多糖(LPS)生合成および/またはLPSレベルを低下させる。例えば、いくつかの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、対照と比較して、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、または1000%またはそれ以上(間にあるすべての整数と範囲を含む)まで、または対照と比較して、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100倍またはそれ以上(間にあるすべての整数と範囲を含む)まで、LPS生合成および/またはLPSレベルを低下させる。特別な実施形態において、LPS生合成および/またはLPSレベルを低下させるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、LpxC、WaaC、WaaG、WaaA、WaaF、LpxA、および/またはLpxBを標的とし、ならびに細菌は、LpxC、WaaC、WaaG、WaaA、WaaF、LpxA、および/またはLpxBを含むまたは発現するシュードモナス種、例えば緑膿菌である。LPS生合成および/またはLPSレベルは、当該技術分野の通常の技術に従って測定することができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、本方法はインビボで実施され、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、それを必要とする対象、例えば本明細書に記載の1つ以上の細菌(類)または細菌に感染または感染するリスクのある対象に投与することを含む。したがって、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の細菌(類)または細菌のいずれかによる感染を(予防上または治療上)処置するために対象に投与することができる。そのような治療と併せて、薬理ゲノミクス(例えば、個体の遺伝子型/表現型と外来化合物または薬物に対する個体の反応との間の関係の研究)が考慮され得る。治療薬の代謝の相違は、薬理学的に活性な薬物の用量と血中濃度との間の関係を変えることによって、重度の毒性または治療不全につながる可能性がある。
【0125】
したがって、医師または臨床医は、治療薬を投与するかどうかを決定すること、ならびに治療薬による治療の投与量および/または治療計画を調整することにおいて、関連する薬理ゲノミクス研究で得られた知識を適用することを検討することができる。
【0126】
標的核酸へのアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果的な送達は、処置の1つの態様である。アンチセンスオリゴヌクレオチド送達の経路には、経口および非経口経路、例えば、静脈内、皮下、腹腔内、および筋肉内)ならびに吸入、経皮および局所送達を含む様々
な全身経路が含まれるが、これらに限定されない。適切な経路は、治療中の対象の状態に応じて、当業者によって決定され得る。血管または血管外循環、血液またはリンパ系、および脳脊髄液は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが導入され得るいくつかの非限定的な部位である。直接的なCNS送達を用いることができ、例えば、脳内、脳室内、または髄腔内投与を投与経路として使用することができる。
【0127】
特定の実施形態において、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、経皮的方法(例えば、開示されるアンチセンスオリゴヌクレオチドのエマルジョンへの取り込み、そのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは任意選択でリポソーム中にパッケージングされる)によって送達され得る。このような経皮およびエマルジョン/リポソーム媒介送達方法は、当該技術分野でアンチセンスオリゴヌクレオチドの送達について、例えば、米国特許第6,965,025号に記載されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0128】
本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、移植可能なデバイスを介して送達することもできる。このようなデバイスの設計は、例えば、米国特許第6,969,400号に記載されている合成インプラント設計による、当該技術分野で認識されているプロセスであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0129】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、当該技術分野で認識されている技術(例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、融合、リポソーム、コロイド状ポリマー粒子、およびウイルス性および非ウイルス性ベクター、ならびに当該技術分野で公知の他の手段)を用いて細胞に導入することができる。選択された送達方法は、少なくともオリゴヌクレオチド化学、治療すべき細胞および細胞の位置に依存し、当業者には明らかであろう。例えば、リポソームを指向する特定のマーカーを有するリポソーム、標的細胞を含む組織への直接注入、特異的な受容体媒介性の取り込みなどにより、局在化を達成することができる。
【0130】
当該技術分野で知られているように、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、リポソーム媒介取り込み、脂質コンジュゲート、ポリリジン仲介取り込み、ナノ粒子媒介取り込み、および受容体媒介エンドサイトーシスを含む方法、ならびに送達のさらなる非エンドサイトーシス様式、例えばマイクロインジェクション、透過処理(例えば、ストレプトリジン-O透過処理、アニオン性ペプチド透過処理)、エレクトロポレーション、および当該技術分野で知られている様々な非侵襲的非エンドサイトーシス送達方法を含む(例えばDokka and Rojanasakul、Advanced Drug Delivery Reviews 44:35-49参照。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0131】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、生理学的および/または薬学的に許容される任意の簡便なビヒクルまたは担体で投与することができる。そのような組成物は、当業者によって使用される種々の標準的な薬学的に許容される担体のいずれかを含み得る。例には、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、水、水性エタノール、油/水エマルションまたはトリグリセリドエマルションなどのエマルジョン、錠剤およびカプセルが含まれるが、これらに限定されない。適切な生理的に許容される担体の選択は、選択された投与様式に依存して変化する。「薬学的に許容される担体」は、薬学的投与に適合する任意のおよびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むことが意図される。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、組成物におけるその使用が意図される。補充的活性化合物も組成物中に組み込むことができる。
【0132】
ある特定の実施形態において、本開示は、式(I)、
【化29】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
各Nuは、一緒になって核酸塩基配列を形成する核酸塩基であり、
Zは、8~38の整数であり、
Tは、OH、および下記式、
【化30】
の部分、から選択され、
式中、
各Rは独立して、HおよびC-Cアルキルから選択され、
は、電子対およびHから選択され、
は、-N(R)CHC(O)NH、および下記式、
【化31】
の部分、から選択され、
式中、
は、HおよびC-Cアルキルから選択され、
は、G、-C(O)-R、アシル、トリチル、および4-メトキシトリチル
から選択され、
式中、
は、式-(O-アルキル)-OHのものであり、式中、yは、3~10の整数であり、yアルキル基の各々は独立して、1つ以上の介在する酸素ラジカルを任意選択で含有するC-Cアルキルから選択され、
の各出現例は、-N(R1011であり、式中、各R10は独立して、C-Cアルキルであり、R11は、電子対およびHから選択され、
は、H、G、アシル、トリチル、4-メトキシトリチル、および下記式、
【化32】
の部分、からなる群から選択され、
式中、
Lは、-C(O)(CHC(O)-および-C(O)(CH(CHC(O)-から選択され、
各R12は、式-(CHOC(O)N(R26のものであり、式中、各R26は、式(CHNHC(=NH)NHのものであり、
は、電子対、H、およびC-Cアルキルからなる群から選択され、
Gは、-C(O)(CHNH-CPP、-C(O)(CHNH-CPP、-C(O)(CHNHC(O)(CHNH-CPP、
-C(O)CHNH-CPP、および-C(O)CH(ピロリジン-2-イル)NH-CPPからなる群から選択される、細胞膜透過性ペプチド(「CPP」)およびリンカー部分であり、該CPPは、CPPカルボキシ末端においてアミド結合によってリンカー部分に結合されているが、但し、Gの最大1つの出現例が存在することを条件とし、
核酸塩基配列は、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRをコードする緑膿菌mRNAに相補的である標的化配列を含む、
化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物を提供する。
【0133】
ある特定の実施形態において、該標的化配列は、表1から選択されるか、表1における標的化配列の少なくとも10個の連続ヌクレオチドの断片であるか、該標的化配列は、表1から選択されるか、表1における標的化配列の少なくとも10個の連続ヌクレオチドの断片であるか、または表1における標的化配列と少なくとも80%の配列同一性を有する変異型であり、配列中、チミン塩基は、ウラシル塩基であってもよい。
【0134】
いくつかの実施形態において、化合物は、下記式、
【化33】
のもの、またはその薬学的に許容される塩であり、標的化配列は、5’から3’に、
a)GTT GTT TGA TC(配列番号2)、
b)TTC TCT CCT TT(配列番号3)、
c)CAT ACC TTG TT(配列番号4)、
d)CTC TAG ACA TG(配列番号5)、
e)AGC ACC CTC AT(配列番号6)、
f)TGA CTC TCC TC(配列番号7)、
g)CCA CCT CCA GG(配列番号8)、
h)AGG CTT CCG TC(配列番号9)、
i)ATC AAA CTC AT(配列番号10)、
j)TAA TCC GTC AG(配列番号11)、
k)GCC AGG GTC AT(配列番号12)、
l)GCA TTT GAC CT(配列番号13)、
m)GTA CGG TTC AT(配列番号14)、
n)AGA ATT CTC AT(配列番号15)、
o)CAG TCG CCC CT(配列番号16)、
p)AGG CTC ATA GG(配列番号17)、
q)CTA GCA CTC CC(配列番号18)、
r)ATG TCC ATC AT(配列番号19)、
s)ACC TCC CAG GC(配列番号20)、
t)GCA AAG TCC TC(配列番号21)、および
u)CTC ATA CCT TG(配列番号35)、からなる群から選択され、
配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい。
【0135】
いくつかの実施形態において、化合物は、
【化34】
【化35】
から選択されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
標的化配列は、5’から3’に、CCT CAG ACT CC(配列番号1)であり、配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい。
【0136】
ある特定の実施形態において、化合物は、下記式、
【化36】
のものであり、標的化配列は、5’から3’に、GTC GAA CCA AT(配列番号22)であり、配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい。
【0137】
ある特定の実施形態において、本開示はポリミキシンE(PME)、ポリミキシンB(PMB)、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)、ポリミキシンEノナペプチド、上記のもののいずれかの薬学的に許容される塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の化合物をさらに含む、薬学的組成物を提供する。
【0138】
いくつかの実施形態において、第2の化合物は、PMEである。
【0139】
いくつかの実施形態において、化合物(I)対PMEの比は、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される。
【0140】
いくつかの実施形態において、第2の化合物は、PMBNである。
【0141】
いくつかの実施形態において、化合物(I)対PMBNの比は、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される。
【0142】
いくつかの実施形態において、本開示の薬学的組成物においてチミン塩基はウラシル塩
基である。
【0143】
本明細書に記載の化合物(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗菌剤)は、一般に、遊離酸または遊離塩基として利用することができる。あるいは、本開示の化合物は、酸または塩基付加塩の形態で使用することができる。本開示の遊離アミノ化合物の酸付加塩は、当該技術分野において周知の方法によって調製することができ、有機酸および無機酸から形成することができる。適切な有機酸としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、乳酸、マンデル酸、桂皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸、およびベンゼンスルホン酸を含む。
【0144】
適切な無機酸には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、および硝酸が含まれる。塩基付加塩は、カルボン酸アニオンと形成するこれらの塩を含み、および、アルカリおよびアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、およびカルシウム)、ならびにアンモニウムイオンおよびその置換誘導体(例えば、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウムなど)から選択されるような有機および無機カチオンと形成する塩を含む。したがって、用語「薬学的に許容される塩」は、任意のおよびすべての許容される塩形態を包含することを意図する。
【0145】
加えて、プロドラッグも本開示の文脈内に含まれる。プロドラッグは、そのようなプロドラッグが患者に投与されたときにインビボで化合物を放出するいずれかの共有結合した担体である。プロドラッグは、通常、慣用の操作またはインビボのいずれかで修飾が切断されて親化合物を生じるように、官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグには、例えば、ヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基が、患者に投与されたときに開裂してヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基を形成するいずれかの基と結合している本開示の化合物が含まれる。したがって、プロドラッグの代表的な例には、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドのアルコールおよびアミン官能基のアセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体が含まれる(がこれらに限定するものではない)。さらに、カルボン酸(-COOH)の場合、メチルエステル、エチルエステルなどのエステルを使用することができる。
【0146】
場合によっては、アンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞への取り込みを容易にするためにリポソームを使用することができる(例えば、Williams、S.A.、Leukemia 10(12):1980-1989、1996;Lappalainen et al.、Antiviral Res.23:119、1994;Uhlmann
et al.、antisense oligonucleotide:a new therapeutic principle、Chemical Reviews、90巻、4号、25頁、544-584頁、1990年;Gregoriadis、G.、第14章、Liposomes、Drug Carriers in Biology and Medicine、287-341頁、Academic Press、1979を参照)。ヒドロゲルはまた、例えばWO 93/01286に記載されているようにアンチセンスオリゴマー投与のためのビヒクルとして、使用することができる。あるいは、オリゴヌクレオチドをマイクロスフェアまたはマイクロ粒子で投与してもよい(例えば、Wu、G.Y.and Wu、C.H.、J.Biol.Chem.262:4429-4432、30 1987を参照。)。あるいは、米国特許第6,245,747号に記載されているように、アンチセンスオリゴマーと複合化したガス充填マイクロバブルの使用は、標的組織への送達を高めることができる。徐放性組成物を使用することもできる。これらは、フィルムまたはマイクロカプセルなどの成形品の形態の半透過性ポリマーマ
トリックスを含み得る。
【0147】
特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細菌感染症(例えば、抗生物質耐性またはMDR細菌感染症)の症状を示す哺乳動物対象、例えば、ヒトまたは家畜、に適切な薬学的担体中で投与される。いくつかの態様では、対象はヒト対象、例えば細菌感染であると診断された患者である。特別な実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、薬学的に許容される担体中に含有させ、そして経口的に送達させる。いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、薬学的に許容される担体中に含有させ、そして静脈内(i.v.)に送達させる。
【0148】
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも200~400nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドのピーク血中濃度をもたらすのに有効な量および様式で投与される。代表的には、アンチセンスオリゴヌクレオチドの1つ以上の用量は、一般に一定間隔で、約1~2週間投与される。経口投与のための特定の用量は、70kgあたり約1~1000mgのオリゴマーである。場合によっては、1000mgオリゴマー/患者を超える用量が必要な場合もある。静脈内投与に対して、いくつかの用量は、70kgあたり約0.5mg~1000mgのオリゴマーである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、短期間に、例えば2週間以下の毎日、一定間隔で投与することができる。しかしながら、場合によっては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、より長い期間にわたって断続的に投与される。投与は、本明細書に記載の抗菌剤(例えば、抗生物質)または他の治療的処置の後に、または同時に投与することができる。治療計画は、治療中の対象のイムノアッセイ、他の生化学検査および生理学的検査に基づいて、示されるように(用量、頻度、経路などを)調整することができる。
【0149】
本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する効果的なインビボ治療レジメンは、投与の期間、用量、頻度および経路、ならびに治療中の対象の状態(すなわち、局所または全身感染症に応じる予防的投与対投与)に従って変化し得る。したがって、そのようなインビボ治療は、最適な治療結果を達成するために、治療下の特定のタイプの障害または細菌感染に適切な試験によるモニタリング、および用量または治療レジメンにおける対応する調整をしばしば含む。
【0150】
治療は、例えば当該技術分野で公知の疾患の一般的指標によってモニタリングすることができる。本開示のインビボで投与されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの有効性は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与前、投与中および投与後の対象から採取された生物学的サンプル(組織、血液、尿など)から決定され得る。そのようなサンプルのアッセイには、1)電気泳動ゲル移動度アッセイなどの当業者に公知の手順を用いて、標的および非標的配列によるヘテロ二本鎖形成の存在または不在をモニターすること、(2)RT-PCR、ノーザンブロッティング、ELISAまたはウェスタンブロッティングなどの標準的な技術によって決定される基準の正常mRNAまたはタンパク質に関連した変異体mRNAの量をモニターすることを含む。
【0151】
組み合わせ療法
特定の実施形態には、組み合わせ療法、例えば、抗生物質などの抗菌剤と組み合わせたアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与が含まれる。組み合わせ療法は、例えば、1つ以上の抗菌剤に対する所定の細菌の感度または感受性を高め、それによって治療結果(例えば、感染の解消)を改善するために使用することができる。同様に、例えば、所定の細菌の1種以上の抗菌剤に対する抗生物質耐性を低減または逆転させるために、特定の組み合わせ療法を用いることができる。特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細菌に対する抗生物質の最小阻害濃度(MIC)を低下させる。アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび抗生物質などの抗菌剤を含む、本明細書に記載の薬学的組成物も含ま
れる。特定の実施形態では、抗生物質は、ポリミキシンBまたはポリミキシンE(コリスチン)などのポリミキシンである。他の実施形態では、抗菌剤は、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)またはポリミキシンEノナペプチド(PMEN)である。
【0152】
いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび抗菌剤は、別々に投与される。特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび抗菌剤は、連続的に投与される。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび抗菌剤は、例えば同じまたは異なる薬学的組成物の一部として同時に投与される。
【0153】
特定の実施形態では、上記のように、組み合わせ療法には、1つ以上のポリミキシンの投与が含まれる。ポリミキシンは、様々な種のパエニバシラス(バシラス)・ポリミキサ(Paenibacillus(Bacillus)polymyxa)由来の長い疎水性テールを有するカチオン性環状ペプチド抗生物質である。これは、親水性および疎水性の両方の特性を有する分子である。ポリミキシンは、そのリン脂質と相互作用することによって細菌細胞膜の構造を破壊する。グラム陰性細菌の外膜のリポ多糖(lipopolysaccharide:LPS)の脂質部分である脂質Aに結合した後、ポリミキシンは外膜および内膜の両方を破壊する。疎水性の尾部は膜損傷を引き起こすのに重要であり、界面活性剤のような作用様式を示唆している。膜透過化による結果としての水の摂取は、細胞死をもたらす。
【0154】
ポリミキシンは、パエニバシラス・ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)のようなグラム陽性菌の非リボソームペプチド合成酵素系によって産生され、多くのグラム陰性外膜に存在するLPS分子に対する特異性により、グラム陰性細菌に対して選択的に毒性である。重要な院内病原菌である(大腸菌)Escherichia
coli、クレブシエラ種(Klebsiella spp.)、エンテロバクター種(Enterobacter spp.)、緑膿菌およびアシネトバクター種(Acinetobacter spp.)の分離株の大部分は、通常、ポリミキシンに感受性が高い。さらに、サルモネラ種(Salmonella spp.)、赤痢菌種(Shigella spp.)、パスツレラ種(Pasteurella spp.)およびヘモフィルス種(Haemophilus spp.)に対してかなりの活性が存在する。いくつかの病原体は、ポリミキシンに対する固有の耐性を有する:プロテウス種(Proteus spp.)、プロビデンシア種(Providencia spp.)およびセラチア種(Serratia spp.)。さらに、ブルセラ種(Brucella spp.)、ナイセリア種(Neisseria spp.)、クロモバクテリウム種(Chromobacterium spp.)およびバークホルデリア種(Burkholderia spp.)の分離株は耐性である。
【0155】
5種のポリミキシンが最初に記載され(ポリミキシンA~E)、2つのポリミキシンBおよびEがグラム陰性細菌感染の治療に使用されている。ポリミキシンBおよびEは、1つのアミノ酸の変更によって異なる:6位にポリミキシンBはD-フェニルアラニンを有し、ポリミキシンE(コリスチン)はD-ロイシンを有する。ポリミキシンBは、主成分であるポリミキシンB1およびB2を含む多くの関連化合物からなる。「マッタシン(mattacin)」として知られるポリミキシンMは、パエニバシラス・コーベンシス(Paenibacillus kobensis)M.により生産されることが知られている。研究では、その挙動が以前のポリミキシンBの研究で観察されたものと非常に類似しており、同一の作用機序が示唆される。したがって、本明細書で提供される方法および組成物は、そのようなポリミキシンのいずれか1以上を使用するか、または含むことができる。
【0156】
グラム陰性細菌は、ポリミキシンのLPSへの結合を阻害する、LPS構造の種々の改変を介してポリミキシンに対する耐性を発現できる。通常ポリミキシンは、グラム陽性生物に対して効果が少なく、効果的なスペクトルを広げるために(トリメトプリム/ポリミキシンのように)他の薬剤と組み合わせられることがある。
【0157】
ポリミキシン抗生物質は、神経系および腎臓に対して比較的毒性があるので、現代の抗生物質が、効果がないかまたは禁忌である場合、それらは通常、最後の手段としてのみ使用される。典型的な用途は、多剤耐性緑膿菌またはカルバペネマーゼ産生腸内細菌科の系統によって引き起こされる感染症である。部分的にその毒性のために、ポリミキシンのMICを低下させるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、特定の臨床的利点を提供することができる。
【0158】
ポリミキシンは胃腸管から十分に吸収されないので、特定の組み合わせ療法には、非経口投与(しばしば静脈内)または吸入による投与(おそらく標的が胃腸管の細菌でない限りなどの投与経路が含まれる。それらはまた、外耳炎(otitis externa (swimmers ear))を治療するためにクリーム剤または点滴薬として外用される。ポリミキシンは、局所救急調剤ネオスポリンにおいて使用される。
【0159】
いくつかの実施形態において、緑膿菌感染症の治療または予防のための薬学的組み合わせ療法では、該標的化配列は、表1から選択されるか、表1における標的化配列の少なくとも10個の連続ヌクレオチドの断片であるか、または表1における標的化配列と少なくとも80%の配列同一性を有する変異型であり、配列中、チミン塩基は、ウラシル塩基であってもよい。
【0160】
いくつかの実施形態において緑膿菌感染症の治療または予防のための薬学的組み合わせ療法では、化合物が式:
【0161】
【化37】
のもの、またはその薬学的に許容される塩であり、標的化配列は、5’から3’に、
a)GTT GTT TGA TC(配列番号2)、
b)TTC TCT CCT TT(配列番号3)、
c)CAT ACC TTG TT(配列番号4)、
d)CTC TAG ACA TG(配列番号5)、
e)AGC ACC CTC AT(配列番号6)、
f)TGA CTC TCC TC(配列番号7)、
g)CCA CCT CCA GG(配列番号8)、
h)AGG CTT CCG TC(配列番号9)、
i)ATC AAA CTC AT(配列番号10)、
j)TAA TCC GTC AG(配列番号11)、
k)GCC AGG GTC AT(配列番号12)、
l)GCA TTT GAC CT(配列番号13)、
m)GTA CGG TTC AT(配列番号14)、
n)AGA ATT CTC AT(配列番号15)、
o)CAG TCG CCC CT(配列番号16)、
p)AGG CTC ATA GG(配列番号17)、
q)CTA GCA CTC CC(配列番号18)、
r)ATG TCC ATC AT(配列番号19)、
s)ACC TCC CAG GC(配列番号20)、
t)GCA AAG TCC TC(配列番号21)、および
u)CTC ATA CCT TG(配列番号35)、からなる群から選択され、
配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい。
【0162】
いくつかの実施形態において、化合物は、
【化38】
【化39】
、から選択されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
標的化配列は、5’から3’に、CCT CAG ACT CC(配列番号1)であり、配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい。
【0163】
いくつかの実施形態において、化合物は、下記式、
【化40】
のものであり、標的化配列は、5’から3’に、GTC GAA CCA AT(配列番号22)であり、配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい。
【0164】
いくつかの実施形態において、第2の化合物は、PMEである。
【0165】
いくつかの実施形態において、化合物(I)対PMEの比は、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される。
【0166】
いくつかの実施形態において、第2の化合物は、PMBNである。
【0167】
いくつかの実施形態において、化合物(I)対PMBNの比は、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される。
【0168】
いくつかの実施形態において、第2の化合物の量は、緑膿菌感染症の治療における第2の化合物の抗生物質活性の治療レベル未満である。
【0169】
緑膿菌感染症の治療または予防のための薬学的組み合わせ療法におけるいくつかの実施
形態では、薬学的組み合わせ療法はさらにアンピシリンを含む。
【0170】
緑膿菌感染症の治療または予防のための薬学的組み合わせ療法におけるいくつかの実施形態では、患者は免疫無防備状態である。
【0171】
緑膿菌感染症の治療または予防のための薬学的組み合わせ療法におけるいくつかの実施形態では、患者は嚢胞性線維症(CF)であるか、またはそれを有する危険性がある。
【0172】
緑膿菌感染症の治療または予防のための薬学的組み合わせ療法におけるいくつかの実施形態では、チミン塩基はウラシル塩基である。
【0173】
特定の実施形態では、組み合わせ療法は、1つ以上のポリミキシンノナペプチドの投与を含む。ポリミキシンBの疎水性テールを除去すると、依然としてLPSに結合するが、もはや細菌細胞を死滅させない、ポリミキシンノナペプチド(PMBN)が得られる。しかしながら、それは依然として検出可能に他の抗生物質に対する細菌細胞壁の透過性を増加させ、依然としてある程度の膜崩壊を引き起こすことを示している。同様に、ポリミキシンEの疎水性テールを除去するための酵素処理により、ポリミキシンEノナペプチドが得られる。したがって、いくつかの実施形態では、ポリミキシンノナペプチドはPMBNである。いくつかの実施形態では、ポリミキシンノナペプチドはポリミキシンEノナペプチドである
【0174】
したがって、いくつかの実施形態では、抗菌剤は、本明細書に記載のカチオン性環状ペプチド抗生物質である。ある種のこれらのおよび関連する実施形態では、細菌はRpsJなどのリボソームタンパク質を含むか、または発現し、そしてアンチセンスオリゴヌクレオチドはRpsJを標的とする。これらの特定の実施形態および関連する実施形態では、細菌はLpxCなどのリポ多糖生合成遺伝子を含むか、または発現し、そしてアンチセンスオリゴヌクレオチドはLpxCを標的とする。いくつかの態様において、細菌は、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRから選択される標的遺伝子を含むか、または発現し、そしてアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRから選択される遺伝子を標的とする。ある種の実施形態では、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRをコードする緑膿菌mRNAに称賛的(complimentary)な標的化配列を含む。特定の実施形態では、抗菌剤はポリミキシンE(コリスチン)である。他の実施形態では、抗菌剤はポリミキシンBである。特定の実施形態では、細菌は緑膿菌である。
【0175】
いくつかの実施形態では、抗菌剤は、本明細書に記載のように、ノナペプチドを生成する酵素処理を受けたカチオン性環状ペプチド抗生物質である。ある種のこれらのおよび関連する実施形態では、細菌はRpsJなどのリボソームタンパク質を含むか、または発現し、そしてアンチセンスオリゴヌクレオチドはRpsJを標的とする。これらの特定の実施形態および関連する実施形態では、細菌はLpxCなどのリポ多糖生合成遺伝子を含むか、または発現し、そしてアンチセンスオリゴヌクレオチドはLpxCを標的とする。これらの特定の実施形態および関連する実施形態では、細菌はRpmBなどのリボソームタンパク質を含むか、または発現し、そしてアンチセンスオリゴヌクレオチドはRpmBを
標的とする。いくつかの態様において、細菌は、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRから選択される遺伝子を含むか、または発現し、そしてアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRから選択される遺伝子を標的とする。ある特定の実施形態において、標的化配列は、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRをコードする緑膿菌mRNAに称賛的(complimentary)である。特定の実施形態では、抗菌剤はポリミキシンBノナペプチド(PMBN)である。いくつかの実施形態では、抗菌剤はポリミキシンEノナペプチドである。特定の実施形態では、細菌は緑膿菌である。
【0176】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、抗菌剤単独と比較して、所定の細菌の抗菌剤に対する感度を増加させる。例えば、特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、抗菌剤単独と比較して、標的とされる細菌に対する抗菌剤の殺菌(細胞死滅)および/または静菌(成長減速)活性を増加させることによって、細菌の抗菌剤に対する感度を増加させる。特定の実施形態では、アンチセンスは、抗菌剤単独と比較して、約または少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、または1000%またはそれ以上(間にあるすべての整数と範囲を含む)まで、または、抗菌剤単独と比較して、約または少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100倍以上((間にあるすべての整数と範囲を含む)で感度を増加させる。
【0177】
いくつかの実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、抗菌剤単独と比較して、標的とされる細菌に対する抗菌剤の最小阻害濃度(MIC)を低下させる。「最小阻害濃度」または「MIC」は、一晩(インビトロ)インキュベーション後に微生物の可視の増殖を阻害する抗菌剤の最低濃度を指す。最小阻害濃度は、微生物の抗菌剤に対する耐性を確認するため、また新しい抗菌剤の活性をモニターするために、診断研究所において重要である。MICは、一般に、細菌性生物に対する抗菌剤の活性の最も基本的な実験室測定値と見なされている。したがって、ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、抗菌剤単独に対して少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、または1000%またはそれ以上(間にあるすべての整数と範囲を含む)、細菌に対する抗菌剤の最小阻害濃度(MIC)を低下させる。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、細菌に対する抗菌剤の最小阻害濃度(MIC)を、抗菌剤単独と比較して、約または少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100倍またはそれ以上(間にあるすべての整数と範囲を含む)減少させる。
【0178】
いくつかの実施形態では、感度を増加させるかまたはMICを減少させるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RpsJを標的とし、細菌はRpsJを含むかまたは発現する緑膿菌であり、かつ抗菌剤は、ポリミキシンBまたはポリミキシンE(Colistin)のようなカチオン性環状ペプチド抗生物質であるか、またはポリミキシンBノナペプチド
(PMBN)またはポリミキシンEノナペプチド(PMEN)である。
【0179】
特定の実施形態では、感度を増加させるかまたはMICを減少させるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、LpxCを標的とし、細菌は、LpxCを含むかまたは発現する緑膿菌であり、および抗菌剤は、ポリミキシンBまたはポリミキシンE(コリスチン)のようなカチオン性環状ペプチド抗生物質であるか、またはポリミキシンBノナペプチド(PMBN)またはポリミキシンEノナペプチド(PMEN)である。
【0180】
特定の実施形態では、感度を増加させるかまたはMICを減少させるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RpmBを標的とし、細菌は、RpmBを含むかまたは発現する緑膿菌であり、および抗菌剤は、ポリミキシンBまたはポリミキシンE(コリスチン)のようなカチオン性環状ペプチド抗生物質であるか、またはポリミキシンBノナペプチド(PMBN)またはポリミキシンEノナペプチド(PMEN)である。
【0181】
特定の実施形態では、感度を増加させるかまたはMICを減少させるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRから選択される遺伝子を標的とし、細菌は、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRから選択される遺伝子を含むかまたは発現する緑膿菌であり、および抗菌剤は、ポリミキシンBまたはポリミキシンE(コリスチン)のようなカチオン性環状ペプチド抗生物質であるか、またはポリミキシンBノナペプチド(PMBN)またはポリミキシンEノナペプチド(PMEN)である。
【0182】
追加の抗菌剤も任意の所定の組み合わせ療法の一部として使用することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて投与することができる抗菌剤(例えば、抗生物質)の例には、β-ラクタム抗生物質が含まれ、例えばカルバペネム系(carbapenems)、ペニシリン(penicillin)およびペニシリン誘導体(またはペナム)(penams))、セファロスポリン系(cephalosporins)(例えばセファセトリル(Cefacetrile)(セファセトリル(cephacetrile))、セファドロキシル(Cefadroxil)(cefadroxyl;ドゥリセフ(Duricef))、セファレキシン(Cephalexin)(cefalexin;ケフレックスケフレックス(Keflex))、セファログリシン(Cefaloglycin)(cephaloglycin)、セファロニウム(Cefalonium)(cephalonium)、セファロリジン((Cefaloridine)(セファロラジン(cephaloradine))、セファロチン(Cefalotin)(cephalothin;ケフリン(Keflin))、セファピリン(Cefapirin)(cephapirin;セファドリル(Cefadryl))、セファトリジン(Cefatrizine)、セファザフルール(Cefazaflur)、セファゼドン(Cefazedone)、セファゾリン(Cefazolin)(cephazolin;アンセフ(Ancef)、ケフゾル(Kefzol))、セフラジン(Cefradine)(cephradine;ベロセフ(Velosef))、セフロキサジン(Cefroxadine)、セフテゾール(Ceftezole)、セファクロール(Cefaclor)(セクロール(Ceclor)、ジスタクロル(Distaclor)、ケフラー(Keflor)、ラニクロア(Raniclor))、セフォニシド(Cefonicid)(モノシド(Monocid))、セフプロジル(Cefprozil)(セフプロキシル(cefproxil);セフジル(Cefzil))、セフロキシム(Cefuroxime)(ゼフ(Zefu)、ジナット(Zinnat)、ジナ
セフ(Zinacef)、セフチン(Ceftin)、ビオフロクシム(Biofuroksym)、ゾリマックス(Xorimax)))、セフゾナム(Cefuzonam)、セフメタゾール(Cefmetazole)、セフォテタン(Cefotetan)、セフォキシチン(Cefoxitin)、ロラカルベフ(loracarbef)(ロラビド(Lorabid));セファマイシン系(Cephamycins):セフブペラゾン(cefbuperazone)、セフメタゾール(cefmetazole)(ゼファゾン(Zefazone))、セフミノックス(cefminox)、セフォテタン(cefotetan)(セフォタン(Cefotan))、セフォキシチン(cefoxitin)(メフォキシン(Mefoxin))、セフォチタム(Cefotiam)(パンスポリン(Pansporin))、セフカペン(Cefcapene)、セフダロキシム(Cefdaloxime)、セフジニル(Cefdinir)(セフジン(Sefdin)、ジニル(Zinir)、オムニセフ(Omnicef)、ケフニル(Kefnir))、セフジトレン(Cefditoren)、セフェタメット(Cefetamet)、セフィキシム(Cefixime)(フィックス(Fixx)、ジフィ(Zifi)、スプラックス(Suprax))、セフメノキシム(Cefmenoxime)、セフォジジン(Cefodizime)、セフォタキシム(Cefotaxime)(クラフォラン(Claforan))、セフォベシン(Cefovecin)(コンベニア(Convenia))、セフピミゾール(Cefpimizole)、セフポドキシム(Cefpodoxime)(バンチン(Vantin))、(PECEF))、セフテラム(Cefteram)、セフチブテン(Ceftibuten)(セダックス(Cedax))、セフチオフル(Ceftiofur)、セフチオレン(Ceftiolene)、セフチゾキシム(Ceftizoxime)(セフィゾックス(Cefizox))、セフトリアキソン(Ceftriaxone)(ロセフィン(Rocephin))、セフォペラゾン(Cefoperazone)(セフォビド(Cefobid))、セフタジジム(Ceftazidime)(ミーザット(Meezat)、フォータム(Fortum)、フォータッズ(Fortaz))、ラタモクセフ(latamoxef)(モクサラクタム(moxalactam))、セフシリジン(Cefclidine)、セフェピム(cefepime(マキシピム(Maxipime))、セフルプレナム(cefluprenam)、セフォセィス(cefoselis)、セフォゾピラン(Cefozopran)、セフピロム(Cefpirome)(セフロム(Cefrom))、セフキノム(Cefquinome)、フロモキセフ(flomoxef)、セフトビプロール(Ceftobiprole)、セフタロリン(Ceftaroline)、セファロラム(Cefaloram)、セファパラロール(Cefaparole)、セフカネル(Cefcanel)、セフドロール(Cefedrolor)、セフェムピドン(Cefempidone)、セフトリゾーレ(Cefetrizole)、セフビトリル(Cefivitril)、セフマチレン(Cefmatilen)、セフメピディウム(Cefmepidium)、セフォキサゾール(Cefoxazole)、セフロチル(Cefrotil)、セフスミド(Cefsumide)、セフチオキシド(Ceftioxide)、セフラセチム(Cefuracetime))およびモノバクタム系(monobactams)例えば、アズトレオナム(aztreonam)、チグモナム(tigemonam)、ノカルジアンA(nocardin A)、タブトキシン(tabtoxin);アミノグリコシド系例えばトブラマイシン(tobramycin)、ゲンタマイシン(gentamicin)、カナマイシンa(kanamycin a)、アミカシン(amikacin)、ジベカシン(dibekacin)、シソマイシン(sisomicin)、ネチルマイシン(netilmicin)、ネオマイシンB(neomycin B)、ネオマイシンC(neomycin C)、ネオマイシンE(neomycin E)(パロモマイシン(paromomycin))、およびストレプトマイシン(streptomycin);テトラサイクリン系例えばテトラサイクリン(tetracycline)、クロルテトラサイクリン(chlortetracycline)、オキシテトラサイクリン(oxytetracycline)
、デメクロサイクリン(demeclocycline)、リメサイクリン(lymecycline)、メクロシクリン(meclocycline)、メタサイクリン(methacycline)、ミノサイクリン(minocycline)、ロリテトラサイクリン(rolitetracycline)、およびドキシサイクリン(doxycyline);スルホンアミド系例えばスルフアセタミド(sulfacetamide)、スルファジアジン(sulfadiazine)、スルファジミジン(sulfadimidine)、スルファフラゾール(sulfafurazole)、スルフィソミジン(sulfisomidine)、スルファドキシン(sulfadoxine)、スルファメトキサゾール(sulfamethoxazole)、スルファモキソール(sulfamoxole)、スルファジメトキシン(sulfadimethoxine)、スルファメトキシピリダジン(sulfamethoxypyridazine)、スルファメトキシジアジン(sulfametoxydiazine)、スルファドキシン(sulfadoxine)、およびスルファメトピラジン(sulfametopyrazine);キノロン系(quinolones)例えばシノキサシン(cinoxacin)、ナリジクス酸(nalidixic acid)、オキソリニン酸(oxolinic acid、ウロキシン(Uroxin))、ピロミド酸(piromidic
acid、パナシド(Panacid))、ピペミド酸(pipemidic acid、ドコール(Dolcol)、ロソクサシン(rosoxacin)エラダシル(Eradacil))、シプロフロキサシン(ciprofloxacin アルシプロ(Alcipro、シプロベイCiprobay)、シプロ(Cipro)、シプロキシン(Ciproxin)、ウルドラシプロ(ultracipro))、エノキサシン(enoxacin)(エンロキシル(Enroxil)、ぺネトレックス(Penetrex))、フレロキサシン(fleroxacin、メガロン(Megalone)、ロクイノール(Roquinol))、ロメフロキサシン(lomefloxacin)(マクサクイン(Maxaquin))、ナジフロキサシン(nadifloxacin)(アクアチム(Acuatim)、ナドキシン(Nadoxin)、ナディキサ(Nadixa)))、ノルフロキサシン(norfloxacin)(レクシノア(Lexinor)、ノロキシン(Noroxin)、クイナビック(Quinabic)、ジャナシン(Janacin))、オフロキサシン(ofloxacin)(フロキシン(Floxin)、オキザリジン(Oxaldin)、タリビド(Tarivid))、ペフロキサシン(pefloxacin)(ペフラシン(Peflacine))、ルフロキサシン(rufloxacin)(ウロフロックス(Uroflox))、バロフロキサシン(balofloxacin)(バロキシン(Baloxin))、グレパフロキサシン(grepafloxacin)(ラキサル(Raxar))、レボフロキサシン(levofloxacin)(クラビット(Cravit))、レバクイン(Levaquin)、タバニク(Tavanic))、パズフロキサシン(pazufloxacin)(パジル(Pasil)、パズクロス(Pazucross))、スパルフロキサシン(sparfloxacin)(ザガム(Zagam))、テマフロキサシン(temafloxacin)(オムニフロック(Omniflox))、トスフロキサシン(tosufloxacin)(オゼック(Ozex)、トサシン(Tosacin))、シリナフロキサシン(clinafloxacin)、ガチフロキサイシン(gatifloxacin)(ジナット(Zigat)、テクイン(Tequin))(ジマロフ(Zymar-opth.))、ジミフロキサシン(gemifloxacin)(ファクティブ(Factive))、モキシフロキサシン(moxifloxacin)(アクフロックスウッドワード(Acflox Woodward)、アベロックス(Avelox)、ビガモックス(Vigamox))、シタフロキサシン(sitafloxacin)(グラセビト(Gracevit))、トロバフロキサシン(trovafloxacin)(トロバン(Trovan))、プルリフロキサシン(prulifloxacin)(クイスノン(Quisnon));オキサゾリジノン系(oxazolidinones)例えばエペレゾリド(eperezolid)、リネゾリド(linezolid)、
ポゾゾリド(posizolid)、ラセゾリッド(radezolid)、ランベゾリド(ranbezolid)、ステゾリド(sutezolid)、テジゾリド(tedizolid);ポリミキシン系例えばポリスポリン(polysporin)、ネオスポリン(neosporin)、ポリミキシンB、ポリミキシンE(コリスチン);リファ

マイシン系(rifamycins)例えばリファンピシン(rifampicin)またはリファンピン(rifampin)、リファブチン(rifabutin)、リファペンチン(rifapentine)、およびリファキシミン(rifaximin);リピアマイシン系(lipiarmycin)例えばフィダキソマイシン(fidaxomicin);マクロライド系(macrolides)例えばアジスロマイシン(azithromycin)、クラリスロマイシン(clarithromycin)、ジリスロマイシン(dirithromycin)、エリスロマイシン(erythromycin)、ロキシスロマイシン(roxithromycin)、テリスロマイシン(telithromycin)、カルボマイシンA(carbomycin A)、ジョサマイシン(josamycin)、キタサマイシン(kitasamycin)、ミデカマイシン/ミデカマイシンアセテート(midecamycin/midecamycin acetate)、オレアンドマイシン(oleandomycin)、ソリトロマイシン(solithromycin)、スピラマイシン(spiramycin)、およびトロレアンドマイシン(troleandomycin);リンコサミド系(lincosamides)例えばリンコマイシン(lincomycin)、クリンダマイシン(clindamycin)、およびピルリマイシン(pirlimycin);環状リポペプチド系例えばダプトマイシン(daptomycin);糖ペプチド系例えばバンコマイシン(vancomycin)およびテイコプラニン(teichoplanin);グリシルサイクリン系例えばチゲサイクリン(tigecycline)などである。したがって、本明細書に記載の細菌のいずれかの治療のために、上記の抗生物質のいずれか1つ以上を、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドのいずれかと組み合わせることができる。
【0183】
治療のモニタリング方法
本明細書に記載の方法を含む所与の治療レジメンの有効性は、例えば全血球数(CBC)、核酸検出方法、免疫診断検査または細菌培養などの細菌感染症の一般的指標によってモニタリングすることができる。
【0184】
いくつかの態様において、細菌感染症の同定およびモニタリングには、(1)核酸検出方法、(2)血清学的検出法、すなわち従来のイムノアッセイ、(3)培養方法、および(4)生化学的方法、の1つ以上が関与する。そのような方法は、定性的または定量的であり得る。
【0185】
核酸プローブは、公に入手可能な細菌核酸配列に基づいて設計され、細菌感染症を示す標的遺伝子または代謝物(すなわち、毒素)を検出するために使用することができ、それは特定の細菌型、例えば特定の種または株に特異的であり得るか、または2つ以上の種または型の細菌に共通であり得る(すなわち、グラム陽性細菌またはグラム陰性細菌)。そのような検出方法においては、核酸増幅試験(例えば、PCR)も使用することができる。
【0186】
血清学的同定は、生体試料、例えば便、尿、脳脊髄液、血液などから単離した細菌試料または培養物を用いて達成することができる。細菌の検出のためのイムノアッセイは、一般に、当業者によって日常的に使用される方法、例えば、ELISAまたはウェスタンブロットによって行われる。さらに、特定の細菌株または種に特異的なモノクローナル抗体
は、多くの場合市販されている。
【0187】
好気性対嫌気性培養、様々な培養条件下での増殖および形態を含むがこれらに限定されない技術を用いることにより、培養法を用いて特定のタイプの細菌を単離および同定することができる。例示的な生化学的試験には、グラム染色(Gram、1884;グラム陽性菌株はダークブルーに染色され、およびグラム陰性菌株は赤に染色される)、酵素分析およびファージ分類が含まれる。
【0188】
そのような診断の正確な性質および定量試験ならびに細菌感染症を示す他の生理学的要因は、細菌標的、治療される状態および治療が予防的であるか治療的であるかに依存して変化すると理解するべきである。
【0189】
対象が特定のタイプの細菌感染症であると診断された場合、治療中の細菌感染症の特定のタイプをモニタリングするために、当業者によって通常使用される診断技術を用いて、細菌感染の状態もモニタリングされる。
【0190】
治療中の対象の、イムノアッセイ、他の生化学的試験および生理学的検査の結果に基づいて、PMOまたはPPMO処置レジメンを指示どおりに(用量、頻度、ルートなどを)調整することができる。
【0191】
上記のことから、本開示の様々な目的および特徴がどのように満たされるかが理解されるであろう。この方法は、生化学的経路および/または細胞プロセスに関与する細菌遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して、細胞取り込みおよび抗菌作用を増強する、細菌感染(例えば、多剤耐性(MDR)細菌および/またはバイオフィルム形成細菌)に対する治療の改善を提供する。結果として、薬物療法は、コストおよび化合物の必要量の両方の点で、より効果的で、より安価である。
【0192】
本開示の1つの例は、実質的に任意の病原性細菌に対して有効な化合物を、例えば、新薬耐性株に対する迅速な応答のために容易に設計および試験することができることである。
【0193】
以下の実施例は、本開示を説明することを意図するが、本開示を限定するものではない。本明細書で言及される特許および非特許文献の各々は、参照によりその全体が組み込まれる。
【実施例0194】
材料および方法
緑膿菌PPMO-MICプロトコール
-1日目:
緑膿菌の1コロニー(またはそれ以上)を新鮮なプレートから2mlのMHに採取し、一晩増殖させる。
0日目:一晩の培養物をプレーティングして開始接種材料のCFU/mlを決定する。一晩の培養物から、4μlを10mlの新鮮な培地に取り込み、十分に混合して細菌作業懸濁液を得る。この10mlから、50μlを450μlの生理食塩水に取り込む。10-2、10-3および10-4の段階希釈液をBAにプレーティングする。ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)を添加する場合は、4μg/mlのPMBNを1mg/mlのストック(水中)から4μg/mlの最終PMBN濃度まで細菌懸濁液に添加する。
試験すべきすべてのPPMOについて、以下の操作を行う。1mM PPMOストック6.8μlを細菌作業懸濁液413.2μlに添加し、ボルテックスする。200μlを96ウェルプレートの第1列(A)に2連(duplicate)で入れる。100μlの
細菌作業懸濁液を列B~Fに添加する。A列をピペットで10回よく混合する。次いで、A列の各ウェルからの100μlを、B列の各ウェル中の100μlの細菌作動懸濁液に添加して10回よく混合する。連続希釈は、同じ方法でF列まで継続する。最後に、最後の列の100μlを取り出して廃棄する。したがって、A列は16μMでPPMOを有し、B列は8μMでPPMOを有し、C列は4μMでPPMOを有し、D列は2μMでPPMOを有し、E列は1μMでPPMOを有し、F列は0.5μMでPPMOを有する。H列は対照に使用できる。対照(2連で)は、培地単独、細菌懸濁液単独、培地または細菌懸濁液による任意のさらなる処理を含むことができる。96ウェルプレートを通気性膜で覆い、37℃および225rpmで18時間インキュベートする。
+1日目:プレートをプレートリーダーで読み取り、OD600を測定する。
【0195】
緑膿菌MBECプレートプロトコールにおけるバイオフィルムの予防
0日目:新鮮なプレートをストリークし、インキュベーター内で一晩増殖させる。
1日目:
1.10mLのMHに単一のコロニーを接種し、37℃および約250rpmで約5時間インキュベートする。
2.試料を4℃、約4000rpmで10分間遠心分離し、上清をデカントし、ペレットを150mM NaClまたはPBS10mLに再懸濁する。この工程を繰り返してペレットを3回洗浄する。
3.試料を150mM NaClまたはPBS 10mLに再懸濁する。
4.試料のOD600を取り、cfu/mLを計算する(OD600は通常0.65~0.80の間である)。
5.細菌作業溶液(BWS)を5×10cfu/mLの最終濃度まで10mLのMHを接種することによって調製する。
6.2μL/mLの1mg/mLストックPMBNをBWSに添加し、3回ボルテックスする。
7.テストされる各条件のため、1mLのBWSを、それぞれ別々のエッペンドルフチューブにピペットで移す。
8.PPMOの適切な量を各エッペンドルフチューブに添加し、3回ボルテックスする。
9.外側のペグ(peg)が乾燥するのを防ぐため、外側のウェルに新鮮なMH、NaCl、またはPBSを充填する。
10.MBECプレートの1つのカラムに、各エッペンドルフチューブから1ウェル当たり150μLを充填する(1つのカラムにつき1つの条件)。
11.ペグをMBECプレートに入れ、エッジを通気性膜で覆う。
12.MBECプレートを37℃および110rpmで18~20時間インキュベートする。
2日目:
1.MBECプレート処理:
a.すすぎ:膜ストリップを取り出し、各ウェルに150μLの150mM NaClを含む96ウェル丸底プレートにペグを注意深く入れる。ペグをNaCl溶液中に1分間置く。
b.固定:ペグを100%メタノール(150μL/ウェル)を含む別の96ウェル丸底プレートに移す。ペグをメタノール中で15分間静置する。
c.乾燥:ペグをメタノールから取り出し、ドラフトで少なくとも3時間風乾する。この工程のために、ペグを一晩乾燥させることもできる。
d.染色:ペグを150μL/ウェルのクリスタルバイオレット(CV)溶液を有する別の丸底プレートに移す。プレートを最低設定のプレートロッカーで20分間揺動させる。
i.クリスタルバイオレット(CV)溶液レシピ:0.07gのCV粉末を100
mLの純水(0.07%濃度用)に混合し、一晩混合する。この0.07%CV溶液25mLを500mLの199培地中に混合する。12.5mLの1M HEPES溶液混合物に加える。溶液の10倍希釈の最終OD570は約0.500吸光度でなければならない。溶液をよく振り、使用しないときは4℃で保存する。
e.溶解:各ウェルに150μLの酢酸を含む別の96ウェルプレートにペグを移し、プレートを10分間激しく揺動させる。
2.OD読み取り:ステップ1eからの96ウェルプレートのOD570を決定する。任意のステップ:細菌の増殖を評価するために、一晩のMBECプレートから100μLを新たな96ウェルプレートにピペットで移し、OD600を決定する。
【0196】
MBECプレートプロトコールにおける緑膿菌バイオフィルムの減少
1日目:
1.10mLのMHに単一のコロニーを接種し、37℃および約250rpmで約5時間インキュベートする。
2.サンプルを4℃、約4000rpmで10分間遠心分離し、上清をデカントし、ペレットを10mLの150mM NaClまたはPBSに再懸濁する。この工程を繰り返してペレットを3回洗浄する。
3.試料を150mM NaClまたはPBS 10mLに再懸濁する。
4.試料のOD600を取り、cfu/mLを計算する(OD600は通常0.65~0.80の間である)。
5.細菌作業溶液(BWS)を、5×10cfu/mLの最終濃度まで10mLのMHを接種することによって調製する。
6.150μLのBWSを、PPMOを含まないMBECプレートの各ウェルに入れ、カバーする。
7.プレートを37℃および110rpmで24時間インキュベートする。
8.約15mLの新鮮な培地の溶液を調製する。
9.2μL/mLの1mg/mLストックPMBNを新しい培地に添加し、3回ボルテックスする。
10.1mLの新鮮な培地を、試験される各条件について、それぞれの別個のエッペンドルフチューブにピペットで移す。
11.適切な量のPPMOを各エッペンドルフチューブに添加し、3回ボルテックスする。
12.新鮮な96ウェルプレートの3つのウェルに、各エッペンドルフチューブから1ウェル当たり150μLを充填する(3つのウェルにつき1つの条件)。
13.ペグを新鮮な96ウェルプレートに入れ、縁を通気性の膜で覆う。
14.プレートを37℃および110rpmで8時間インキュベートする。
15.ステップ8~14を合計48時間までさらに2回(合計3回)繰り返す。次いで、プレートを取り出して処理する。
2日目:
1.MBECプレート処理:
a.すすぎ:膜ストリップを取り出し、各ウェルに150μLの150mM NaClを含む96ウェル丸底プレートにペグを注意深く入れる。ペグをNaCl溶液中に1分間置く.
b.固定:ペグを、100%メタノールを含む別の96ウェル丸底プレート(150μL/ウェル)に移す。ペグをメタノール中で15分間静置する。
c.乾燥:ペグをメタノールから取り出し、ドラフトで少なくとも3時間風乾する。この工程のために、ペグを一晩乾燥させることもできる。
d.染色:ペグを150μL/ウェルのクリスタルバイオレット(CV)溶液を有する別の丸底プレートに移す。プレートを最低設定のプレートロッカーで20分間揺動させる。
i.クリスタルバイオレット(CV)溶液レシピ:0.07gのCV粉末を100mLの純水(0.07%濃度用)に混合し、一晩混合する。この0.07%CV溶液25mLを、500mLの199培地中に混合する。12.5mLの1M HEPES溶液を混合物に加える。溶液の10倍希釈の最終OD570は約0.500吸光度でなければならない。溶液をよく振り、使用しないときは4℃で保存する。
e.溶解:各ウェルに150μLの酢酸を含む別の96ウェルプレートにペグを移し、プレートを10分間激しく揺動させる。
2.OD読み取り:ステップ1eからの96ウェルプレートのOD570を決定する。任意のステップ:細菌の増殖を評価するために、一晩のMBECプレートから100μLを新たな96ウェルプレートにピペットで移して、OD600を決定する。
【0197】
実施例1
PPMO単独によるシュードモナスの阻害
細胞透過性ペプチドコンジュゲートホスホロジアミデートモルホリノオリゴヌクレオチド(PPMO)を設計し、合成し、種々の生化学的経路および細胞プロセスを表す必須遺伝子に対して試験した。これらには、ムレイン生合成、細胞分裂、グローバル遺伝子調節機構、脂肪酸生合成、リボソームタンパク質、DNA複製、転写、翻訳開始、リポ多糖生合成、核酸生合成および中間代謝が含まれる。
【0198】
各PPMO(表3および4)は、最初に、病院臨床ラボで使用されている方法(CLSI微量希釈アッセイ)に従う最小阻害濃度(MIC)を測定により試験した。各PPMOのMICを、緑膿菌株のパネルに対して試験した。パネルの組成は、主に臨床分離株であり、多剤耐性分離株を含んでいた。
【0199】
シュードモナス必須遺伝子スクリーニング
様々なレベルの抗生物質耐性を有する、様々な身体部位から得られた臨床分離株を含む、種々なシュードモナス分離株を試験した。試験したPPMOの大部分は、単独で試験した場合、MIC>16μMであった(図1)。
【0200】
実施例2
PPMOは、緑膿菌においてポリミキシンE(コリスチン)と相乗的である。
ポリミキシンは、バシラス・ポリミキサ(Bacillus polymyxa)から単離された天然カチオン性環状デカペプチドである。ポリミキシンは、グラム陰性細菌において高度に殺菌性である。脂質Aへのその高親和性結合のために、ポリミキシンは、最も効率的な細胞透過性化合物の1つである。しかしながら、ポリミキシンの治療的適用は、その比較的高い毒性のために非常に限られている。
【0201】
PPMOは古くから伝統的な抗生物質であるポリミキシンE(コリスチン)と相乗的であることが見出された。1μg/mlまたは0.5μg/mlのいずれかで(菌株に依存する)コリスチン単独では、試験したいずれののシュードモナス菌株の増殖も阻害せず、コリスチンは、シュードモナス菌株に対して治療量未満(sub-therapeutic)か、または殺菌レベル未満(sub-bactericidal level)であることを示した。しかし、図2のヒートマップに見られるように、同じPPMO(表3および4)を阻害未満濃度のコリスチンと組み合わせた場合、劇的な相乗効果があった。試験した菌株の75%が8μM以下のMICを有する18のPPMOがあった。活性を示したPPMOは、LpxC、RpsJ、AccA、WaaG、FabG、MraY、AcpPおよびLpxBを含むいくつかの必須遺伝子標的にわたって存在した。これらのPPMOは、リポ多糖類(LPS)、ペプチドグリカンおよび脂肪酸生合成ならびにリボソーム標的を含む多くの必須細菌経路を標的とする。
【0202】
実施例3
阻害未満濃度のポリミキシンBノナペプチド(PMBN)は、MHII培地およびMOPS最小培地におけるPPMO活性を増強する。
特定の理論に縛られることなく、多数のPPMOがコリスチンと組み合わせた場合有効であるという事実を考慮すると、効力を増加させる際の主な問題はPPMOの細胞取り込みに関連すると仮定された。シュードモナスによるPPMOの取り込みを増強させる代替方法を決定するための研究が行われた。
【0203】
関連するポリミキシン抗生物質ポリミキシンB(PMB)における化学修飾は、カチオン性環状ペプチドポリミキシンBノナペプチド(PMBN)をもたらす(図3)。この環状ペプチドはそれ自体が抗菌活性が乏しいことが示されている。しかし、改変されていないPMBのように、ペプチドはグラム陰性菌の表面上のLPSに依然として結合するが、PMBとは異なり、ヒト細胞に対する毒性は非常に低い。PPMOおよびコリスチンの相乗的結果を仮定して、PPMO(表3および4)を異なる濃度のPMBNの存在下でスクリーニングした。
【0204】
図4A~4Cに示されるように、PPMOは、PPMO単独と比較して、PMBNの存在下でMHII培地における活性の増加を示した。PPMOはまた、PMBNを含まないMOPS MM中でも活性を示した。図4A:2μg/mL PMBNを含むMH中でMICを行った。図4B:PMBNを含まないMOPS MM中でMICを行った。図4C:0.25μg/mLのPMBNを含むMOPS MM中でMICを行った。
【0205】
実施例4
PPMO+PMBNは、時間と用量に依存するシュードモナスの死滅を引き起こす。
図5に示すように、PPMOは時間と濃度の両方に依存した死滅を呈示した。8時間のインキュベーションにより、4μg/mlのPMBNを有するRpsJ PPMOは、2つの異なる緑膿菌株(PAO1およびM57-15)において4μMで約3logのCFU/mlの減少を示した。16μMのPPMOでは、CFU/mlは検出限界以下であった。さらに、多剤耐性である緑膿菌株において8μM以下のMIC値が達成されている。例えば、T63547株はCF患者の喀痰から単離され、広範スペクトルのペニシリン、セファロスポリン、キノロンおよびカルバペネムに対して耐性であった。RpsJ PPMOおよびRpmB PPMOのMIC値は4μMであった。PPMOはまた、緑膿菌のムコイド株(例えば、H27925株;CF痰サンプル)において活性を保持した。ムコイドシュードモナスは重大な治療上の課題を提起するため、これは極めて重要な発見である。
【0206】
実施例5
PPMO治療は緑膿菌バイオフィルムの形成を予防する。
緑膿菌PAO1(5×10cfu/mL)を、MBECプレート中のMHII培地中で20時間、単独で、または5μMの指定のPPMO、PMBN単独、(RXR)、もしくはスクランブルPPMOの存在下でのいずれかで増殖させた。別途指定されない限り、すべての条件において2μg/mLのPMBNを含有した。20時間目で、ペグをクリスタルバイオレットのために加工し、または顕微鏡観察によって可視化した。図6A:20時間目のバイオフィルムのクリスタルバイオレット分析により、5μM濃度のRpsJ(PPMO#14)、RpmB(PPMO#5)およびLpxC(PPMO#2)PPMOで、バイオフィルムの統計的に有意な予防が示された(一元配置ANOVA p<0.0001。*Tukeyの多重比較検定によって解析したとき、PPMOなし、Scr#1、ペプチド、およびノナペプチドとの統計的に有意な差)。図6B~6D:PPMOなし(図6B)、5μM Scr#1(図6C)、5μM RpsJ PPMO#14(図6D)で処理した20時間目のバイオフィルムのスピニングディスク共焦点顕微鏡画像P
AO1 GFPは、緑色で示され、バイオフィルムは、赤色で示される。バイオフィルムは、200μg/mLのConcanavalin A、Alexafluor 647コンジュゲートで染色されている。
【0207】
実施例6
PPMO治療は既存の緑膿菌バイオフィルムを減少させる
緑膿菌PAO1(5×10cfu/mL)をMBECプレート中で24時間増殖させた。24時間目で、ペグを、新鮮なMHII培地、および指定濃度のスクランブル、RpsJ、またはAcpP PPMOのいずれかを含有する新たな96ウェルプレートに移動させた。PPMOを含有する(スクランブルを含む)すべてのウェルが、2μg/mLのPMBNを含有した。32時間目および40時間目で、ペグを再び、PPMOを含むまたは含まない新たなプレートに移動させた。48時間で、ペグをクリスタルバイオレットのために加工し、または顕微鏡観察によって可視化した。図7A:48時間目のバイオフィルムのクリスタルバイオレット分析により、10および5μMのRpsJ(PPMO#14)で、ならびに10、5、2.5、および1μMのAcpP PPMO#35で、バイオフィルムの統計的に有意な低減が示された(一元配置ANOVA p<0.0001。Tukeyの多重比較検定によって解析したとき、*PPMOなしおよびScr#1(PPMO#41)との統計的に有意な差、**PPMOなしおよびScr#2(PPMO#42)との統計的に有意な差)。図7B~7D:10μM Scr#2(図7B)2.5μM AcpP PPMO(図7C)10μM AcpP PPMO(図7D)で処理した(図7B)48時間目のバイオフィルムのスピニングディスク共焦点顕微鏡画像。緑色のチャネルは、PAO1 GFPであり、赤色のチャネルは、200μg/mLのConcanavalin A、Alexafluor 647コンジュゲートで染色したバイオフィルムである。
【0208】
実施例7
AcpP PPMO#35は、ピペラシリン・タゾバクタムと相乗的である
緑膿菌PAO1においてピペラシリン・タゾバクタムおよびAcpP PPMO#35を用いて、相乗アッセイを行った。1×10cfu/mLのPAO1を、96ウェルプレート中のMueller Hinton II培地に、2μg/mL PMBNの存在下で植菌した。ピペラシリン・タゾバクタム(PT)を2分の1希釈によって、横方向に128から0.124μg/mLまで段階希釈した。AcpP PPMO#35を32から0.5μMまで同様に縦方向に希釈した。次いで、96ウェルプレートを37℃で18時間インキュベートした。図8は、PT単独対、PTと増加させた濃度のAcPP PPMO#35、のMICを示す。PTとAcpP PPMO#35の組み合わせは、PPMO濃度が増加するにつれて減少するMIC値を示した。
【0209】
実施例8
AmpR PPMOは緑膿菌PAO1におけるアンピシリンの活性を回復する
既存の薬剤に対する抗生物質の感度を回復させるための補助療法としてPPMOを使用する能力は、慢性的に感染した患者においてますます発見されつつある多剤耐性病原体の治療を探求する興味深い方法となり得る。頻繁に遭遇する耐性遺伝子(β-ラクタマーゼ、排出ポンプ)を標的化した。原則的な研究の証拠は、これがさらなる動物研究にふさわしい実行可能なアプローチであり得ることを実証している。表5に示され、以下に例示される代表的なPPMOは、AmpCのようなβ-ラクタマーゼを制御するグローバル転写制御因子である緑膿菌のAmpRを標的とするように設計された。図9は、PMBNと組み合わせたAmpR PPMO(PPMO#28)が抗生物質アンピシリンの活性を回復させることを示す。PPMOの濃度が増加するにつれて、アンピシリンのMICは、32μMのAmpR PPMOおよび4μg/mlのPMBNの存在下で、PPMOの非存在下で512μg/mlのMICから4μg/mlのMICまで漸進的に減少した。動物モデ
ルにおいてAmpR PPMOを試験することは、伝統的な抗生物質によるアジュバント療法としてのアンチセンスの考え方に対する合理的な代替アプローチであろう。
【表5】
PPMO#28の例示的構造
【化41】
該標的化配列 はGTC GAA CCA AT (配列番号 22)であり、配列中、チミン塩基は、ウラシル塩基であってもよい。
【0210】
いくつかの実施形態において、表5の標的化配列のチミン塩基および/または上記構造の標的化配列は、ウラシル塩基である。
【0211】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
式(I)、
【化42】

の化合物、またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
各Nuが、一緒になって核酸塩基配列を形成する核酸塩基であり、
Zが、8~38の整数であり、
Tが、OH、および下記式、
【化43】

の部分、から選択され、
式中、
各R が独立して、C -C アルキルであり、
が、電子対およびHから選択され、
が、-N(R )CH C(O)NH 、および下記式、
【化44】

の部分、から選択され、
式中、
が、HおよびC -C アルキルから選択され、
が、G、-C(O)-R 、アシル、トリチル、および4-メトキシトリチル
から選択され、
式中、
が、式-(O-アルキル) -OHのものであり、式中、yが、3~10の整数であり、前記y個のアルキル基の各々が独立して、C -C アルキルから選択され、
の各出現例が、-N(R 10 11 であり、式中、各R 10 が独立して、C -C アルキルであり、R 11 が、電子対およびHから選択され、
が、H、G、アシル、トリチル、4-メトキシトリチル、および下記式、
【化45】

の部分、からなる群から選択され、
式中、
Lが、-C(O)(CH C(O)-および-C(O)(CH (CH C(O)-から選択され、
各R 12 が、式-(CH OC(O)N(R 26 のものであり、式中、各R 26 が、式(CH NHC(=NH)NH のものであり、
が、電子対、H、およびC -C アルキルからなる群から選択され、
Gが、-C(O)(CH NH-CPP、-C(O)(CH NH-CPP、-C(O)(CH NHC(O)(CH NH-CPP、-C(O)CH NH-CPP、および-C(O)CH(ピロリジン-2-イル)NH-CPPからなる群から選択される、細胞膜透過性ペプチド(「CPP」)およびリンカー部分であり、前記CPPは、CPPカルボキシ末端においてアミド結合によって前記リンカー部分に結合されているが、但し、Gの1つの出現例が存在することを条件とし、
前記核酸塩基配列が、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRをコードする緑膿菌mRNAに相補的である標的化配列を含む、化合物、またはその薬学的に許容される塩。
(項2)
前記標的化配列は、表1から選択されるか、表1における標的化配列の少なくとも10個の連続ヌクレオチドの断片であるか、または表1における標的化配列と少なくとも80%の配列同一性を有する変異型であり、配列中、チミン塩基は、ウラシル塩基であってもよい、上記項1に記載の化合物。
(項3)
Zが9であり、前記標的化配列が、表1から選択される、上記項1または2に記載の化合物。
(項4)
前記CPPが、表2から選択され、Bは、β-アラニンであり、Xは、6-アミノヘキサン酸である、上記項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
(項5)
Tが、下記式、
【化46】

のものであり、式中、R が、下記式、
【化47】

のものであり、
がGである、上記項1または2に記載の化合物。
(項6)
Tが、下記式、
【化48】

のものであり、
がGである、上記項1または2に記載の化合物。
(項7)
がHまたはGから選択され、R が、電子対またはHから選択される、上記項1または2に記載の化合物。
(項8)
がGであり、Gが、表2から選択される、上記項7に記載の化合物。
(項9)
がHまたはアシルである、上記項7に記載の化合物。
(項10)
各R が-N(CH である、上記項1または2に記載の化合物。
(項11)
Tが、下記式、
【化49】

のものであり、
各R が-N(CH であり、
がGであり、
前記標的化配列および対応するGが、表3から選択される、上記項1に記載の化合物。
(項12)
Tが、下記式、
【化50】

のものであり、
各R が、-N(CH であり、
が、-C(O)CH であり、
前記標的化配列および対応するGが、表4から選択される、上記項1または2に記載の化合物。
(項13)
前記化合物が、下記式、
【化51】

のもの、またはその薬学的に許容される塩であり、前記標的化配列が、5’から3’に、
a)GTT GTT TGA TC(配列番号2)、
b)TTC TCT CCT TT(配列番号3)、
c)CAT ACC TTG TT(配列番号4)、
d)CTC TAG ACA TG(配列番号5)、
e)AGC ACC CTC AT(配列番号6)、
f)TGA CTC TCC TC(配列番号7)、
g)CCA CCT CCA GG(配列番号8)、
h)AGG CTT CCG TC(配列番号9)、
i)ATC AAA CTC AT(配列番号10)、
j)TAA TCC GTC AG(配列番号11)、
k)GCC AGG GTC AT(配列番号12)、
l)GCA TTT GAC CT(配列番号13)、
m)GTA CGG TTC AT(配列番号14)、
n)AGA ATT CTC AT(配列番号15)、
o)CAG TCG CCC CT(配列番号16)、
p)AGG CTC ATA GG(配列番号17)、
q)CTA GCA CTC CC(配列番号18)、
r)ATG TCC ATC AT(配列番号19)、
s)ACC TCC CAG GC(配列番号20)、
t)GCA AAG TCC TC(配列番号21)、および
u)CTC ATA CCT TG(配列番号35)、からなる群から選択され、
配列中、チミン塩基がウラシル塩基であってもよい、上記項1または2に記載の化合物。
(項14)
前記化合物が、
【化52】

【化53】

からなる群から選択されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
前記標的化配列は、5’から3’に、CCT CAG ACT CC(配列番号1)であり、配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい、上記項1または2に記載の化合物。
(項15)
前記化合物が、下記式、
【化54】

のものであり、前記標的化配列が、5’から3’に、GTC GAA CCA AT(配列番号22)であり、配列中、チミン塩基はウラシル塩基であってもよい、上記項1または2に記載の化合物。
(項16)
前記チミン塩基が、ウラシル塩基である、上記項1~15のいずれか1項に記載の化合物。
(項17)
a)上記項1~16のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、
b)ポリミキシンE(PME)、ポリミキシンB(PMB)、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)、ポリミキシンEノナペプチド、前記のもののいずれかの薬学的に許容される塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の化合物と、を含む、組み合わせ。
(項18)
前記第2の化合物が、PMEである、上記項17に記載の組み合わせ。
(項19)
化合物(I)対PMEの比が、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される、上記項18に記載の組み合わせ。
(項20)
前記第2の化合物が、PMBNである、上記項17に記載の組み合わせ。
(項21)
化合物(I)対PMBNの比が、約1:1、2:1、4:1、8:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、および20:1から選択される、上記項20に記載の組み合わせ。
(項22)
緑膿菌感染症を治療する方法であって、それを必要とする患者に、式(I)、
【化55】

の化合物、またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
各Nuが、一緒になって核酸塩基配列を形成する核酸塩基であり、
Zが、8~38の整数であり、
Tが、OH、および下記式、
【化56】

の部分、から選択され、
式中、
各R が独立して、HおよびC -C アルキルから選択され、
が、電子対およびHから選択され、
が、-N(R )CH C(O)NH 、および下記式、
【化57】

の部分、から選択され、
式中、
が、HおよびC -C アルキルから選択され、
が、G、-C(O)-R 、アシル、トリチル、および4-メトキシトリチルから選択され、
式中、
が、式-(O-アルキル) -OHのものであり、式中、yが、3~10の整数であり、前記y個のアルキル基の各々が独立して、1つ以上の介在する酸素ラジカルを任意選択で含有するC -C アルキルから選択され、
の各出現例が、-N(R 10 11 であり、式中、各R 10 が独立して、C -C アルキルであり、R 11 が、電子対およびHから選択され、
が、H、G、アシル、トリチル、4-メトキシトリチル、および下記式、
【化58】

の部分、からなる群から選択され、
式中、
Lが、-C(O)(CH C(O)-および-C(O)(CH (CH C(O)-から選択され、
各R 12 が、式-(CH OC(O)N(R 26 のものであり、式中、各R 26 が、式(CH NHC(=NH)NH のものであり、
が、電子対、H、およびC -C アルキルからなる群から選択され、
Gが、-C(O)(CH NH-CPP、-C(O)(CH NH-CPP、-C(O)(CH NHC(O)(CH NH-CPP、-C(O)CH NH-CPP、および-C(O)CH(ピロリジン-2-イル)NH-CPPからなる群から選択される、細胞膜透過性ペプチド(「CPP」)およびリンカー部分であり、前記CPPは、CPPカルボキシ末端においてアミド結合によって前記リンカー部分に結合されているが、但し、Gの最大1つの出現例が存在することを条件とし、
前記核酸塩基配列が、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRをコードする緑膿菌mRNAに相補的である標的化配列を含む、
化合物、またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、を含む、有効量の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
(項23)
緑膿菌感染症の治療または予防を必要とする患者における、前記治療または予防のための薬学的組み合わせ療法であって、
式(I)、
【化59】

の化合物、またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
各Nuが、一緒になって核酸塩基配列を形成する核酸塩基であり、
Zが、8~38の整数であり、
Tが、OH、および下記式、
【化60】

の部分、から選択され、
式中、
各R が独立して、HおよびC -C アルキルから選択され、
が、電子対およびHから選択され、
が、-N(R )CH C(O)NH 、および下記式、
【化61】

の部分、から選択され、
式中、
が、HおよびC -C アルキルから選択され、
が、G、-C(O)-R 、アシル、トリチル、および4-メトキシトリチルから選択され、
式中、
が、式-(O-アルキル) -OHのものであり、式中、yが、3~10の整数であり、前記y個のアルキル基の各々が独立して、1つ以上の介在する酸素ラジカルを任意選択で含有するC -C アルキルから選択され、
の各出現例が、-N(R 10 11 であり、式中、各R 10 が独立して、C -C アルキルであり、R 11 が、電子対およびHから選択され、
が、H、G、アシル、トリチル、4-メトキシトリチル、および下記式、
【化62】

の部分、からなる群から選択され、
式中、
Lが、-C(O)(CH C(O)-および-C(O)(CH (CH C(O)-から選択され、
各R 12 が、式-(CH OC(O)N(R 26 のものであり、式中、各R 26 が、式(CH NHC(=NH)NH のものであり、
が、電子対、H、およびC -C アルキルからなる群から選択され、
Gが、-C(O)(CH NH-CPP、-C(O)(CH NH-CPP、-C(O)(CH NHC(O)(CH NH-CPP、-C(O)CH NH-CPP、および-C(O)CH(ピロリジン-2-イル)NH-CPPからなる群から選択される、細胞膜透過性ペプチド(「CPP」)およびリンカー部分であり、前記CPPは、CPPカルボキシ末端においてアミド結合によって前記リンカー部分に結合されているが、但し、Gの最大1つの出現例が存在することを条件とし、
前記核酸塩基配列が、RpsJ、LpxC、FabG、AcpP、RpmB、WaaC、MraY、MurC、AccA、LpxA、LpxB、WaaG、WaaA、WaaF、MurB、MurE、AccB、FabZ、MurF、MurG、またはAmpRをコードする緑膿菌mRNAに相補的である標的化配列を含む、
化合物、またはその薬学的に許容される塩と、
ポリミキシンE(PME)、ポリミキシンB(PMB)、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)、ポリミキシンEノナペプチド、前記のもののいずれかの薬学的に許容される塩、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の化合物と、を含む、薬学的組み合わせ療法。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3
図4A-1】
図4A-2】
図4B-1】
図4B-2】
図4B-3】
図4B-4】
図4C-1】
図4C-2】
図4C-3】
図4C-4】
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8
図9
【配列表】
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