(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040310
(43)【公開日】2022-03-10
(54)【発明の名称】スピーカ装置
(51)【国際特許分類】
H04R 7/22 20060101AFI20220303BHJP
【FI】
H04R7/22
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006104
(22)【出願日】2022-01-19
(62)【分割の表示】P 2020047749の分割
【原出願日】2013-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】新寺 晋太郎
(57)【要約】
【課題】振動板やエッジの広さを犠牲にせずに小型化が図られつつも、エッジの外縁領域とフレームの取付け部との接続について高い強度が得られるスピーカ装置を提供する。
【解決手段】音を放射する振動板と、振動板の外周に設けられたエッジ12と、エッジ12の外縁領域12b、及び当該外縁領域12bに対面して配置される取付け部13a、の間に配置される接続部材17と、を備え、接続部材17の幅は外縁領域12bの幅よりも広く、接続部材17の内径は外縁領域12bの内径よりも小さい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を放射する振動板と、前記振動板の外周に設けられたエッジと、当該エッジの外縁領域、及び当該外縁領域に対面して配置される取付け部、の間に配置される接続部材と、を備え、
前記接続部材の幅は前記外縁領域の幅よりも広く、前記接続部材の内径は前記外縁領域の内径よりも小さいことを特徴とするスピーカ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばヘッドホン等のオーディオ機器に搭載されるスピーカ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。スピーカ装置の多くは、音を放射する振動板と、その振動板の外周に設けられたエッジと、そのエッジの外周に設けられたフレームとを有する。
【0003】
【0004】
この
図1に示すスピーカ装置50では、振動板51の外縁領域51aが、エッジ52の内縁領域52aに取り付けられ、エッジ52の外縁領域52bが、フレーム53に設けられた取付け部53aに接続されている。エッジ52の外縁領域52bと内縁領域52cの間には可撓部52cが設けられている。この可撓部52cの可撓性により、振動板51は、振動自在にエッジ52を介してフレーム53に連結されている。
【0005】
ここで、エッジ52は、可撓部52cで良好な可撓性が得られるように、比較的軟らかい樹脂やゴム系部材等で形成されることが多い。一方、フレーム53は、例えば磁気回路等の収容物を支持するために比較的硬い樹脂や金属等で形成されることが多い。このようにエッジ52とフレーム53とでは、多くの場合その材質が異なる。
【0006】
エッジ52の外縁領域52bの、フレーム53の取付け部53aへの接続には、接着剤による接着が採用されることが多い。このとき、エッジ52とフレーム53との材質の組合せによっては、例えばエッジ52の外縁領域52bをフレーム53の取付け部53aに直接接着しようとしても所望の接着強度が得られないことがある。
【0007】
そこで、
図1に示すように、エッジ52の外縁領域52bと取付け部53aとの間に、双方に対して良好な接着強度が得られる例えば紙や樹脂等で形成された接続部材54を挟んで接着することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
ところで、近年、スピーカ装置について小型化の要請が高まっている。一方で、音質の面から、振動板の広さやエッジの広さについて出来るだけ広くしたいという要請がある。
【0009】
これらの要請に答え、例えば
図1に示すスピーカ装置50について、振動板51やエッジ52の広さを犠牲にせずに小型化を図った場合、エッジ52の外縁領域52bと取付け部53aとの貼りしろの幅が例えば1mm未満となることがある。このような場合、接続部材54の幅もこの貼りしろの幅に合わせて1mm未満となることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭62-98396号公報
【特許文献2】特開2001-36987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、幅が例えば1mm未満等といった細い接続部材を挟んでエッジの外縁領域をフレームの取付け部に接着する作業は、製造工程上の難易度が高い場合が多い。
【0012】
このため、
図1に示したようなスピーカ装置では、振動板やエッジの広さを犠牲にせずに小型化を図った場合、エッジの外縁領域とフレームの取付け部との接続について所望の強度が得られない場合があるという問題が一例として挙げられる。尚、細い接続部材の一例として幅が1mm未満のものを例示したが、1mm未満という寸法はあくまでも例示であって、接続部材の幅が1mm以上であってもエッジの素材などの条件によっては上記の問題は起こり得る。
【0013】
そこで、本発明は、振動板やエッジの広さを犠牲にせずに小型化が図られつつも、エッジの外縁領域とフレームの取付け部との接続について高い強度が得られるスピーカ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、音を放射する振動板と、前記振動板の外周に設けられたエッジと、当該エッジの外縁領域、及び当該外縁領域に対面して配置される取付け部、の間に配置される接続部材と、を備え、前記接続部材の幅は前記外縁領域の幅よりも広く、前記接続部材の内径は前記外縁領域の内径よりも小さいことを特徴とするスピーカ装置である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】第1実施例のスピーカ装置を、
図1の従来のスピーカ装置と並べて示す図である。
【
図3】第1実施例のスピーカ装置における、エッジとフレームとの接着箇所の拡大図である。
【
図4】第2実施例のスピーカ装置を、
図1の従来のスピーカ装置と並べて示す図である。
【
図5】第3実施例のスピーカ装置をエッジとフレームとの接着箇所に注目して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るスピーカ装置を説明する。本発明の一実施形態に係るスピーカ装置は、音を放射する振動板と、前記振動板の外周に設けられたエッジとを有している。さらに、このスピーカ装置は、エッジの外縁領域、及び当該外縁領域に対面して配置される取付け部、の間に配置される接続部材を有している。そして、このスピーカ装置では、前記接続部材の幅は前記外縁領域の幅よりも広く、前記接続部材の内径は前記外縁領域の内径よりも小さい。
また、前記取付け部は、前記振動板を振動させるための磁気回路を支持する金属部品に設けられていることが好適である。
また、前記接続部材の外周の形状は前記エッジの外周に沿った形状であることも好適である。
また、前記接続部材の外周の形状は前記エッジの外周に沿った形状であることも好適である。
また、前記接続部材の外径は、前記エッジの外径と略等しいことも好適である。
また、前記接続部材は、前記外縁領域及び前記取付け部に接着されていることも好適である。
また、前記接続部材は環状であることも好適である。
また、前記エッジは樹脂製であり、前記取付け部は金属製であることも好適である。
【0017】
また、前記接続部材は、その幅が前記取付け部の幅よりも広く、その内径が当該取付け部の内径よりも小さいことは好適である。これにより、接続部材とフレームの取付け部との接着についても製造工程上の難易度が軽減される。延いては、エッジの外縁領域とフレームの取付け部との接続について製造工程上の難易度が一層軽減され、この接続についてより高い強度が得られることとなる。
【0018】
また、前記接続部材の外径が、前記エッジの外径と略等しいことも好適である。これにより、例えば、接続部材の外縁とエッジの外縁とが大きくずれている場合に比べて、フレームに対するエッジの位置決め精度を高めることができる。
【0019】
また、前記接続部材の外径が、前記取付け部の外径と略等しいことも好適である。これにより、例えば、接続部材の外縁と取付け部の外縁とが大きくずれている場合に比べて、製造時におけるフレームに対するエッジの位置決め精度を高めることができる。
【0020】
また、前記接続部材が、前記取付け部の音放射側の面に接着され、前記エッジの外縁領域における音放射側とは反対側の面に接着されていてもよい。これにより、作業者は、例えば接続部材が接着されたエッジの外縁領域をフレームの取付け部に上方から載せるといった、作業者にとって行い易いアクセス方向から接着作業を行うことができる。
【0021】
また、前記スピーカ装置が、磁気回路と、音声信号を供給されて前記磁気回路からの作用を受けて前記振動板を振動させるボイスコイルとを前記フレーム内に有しており、さらに以下の形態であってもよい。即ち、前記エッジにおける音放射側とは反対側の面、前記ボイスコイルの外面、及び前記フレームの内面で囲まれた空間と前記フレーム外との間で空気を行き来させる通気孔が、前記フレームに設けられているという形態であってもよい。このような通気孔をフレームに設けることにより、振動板の振動時に上記空間内の空気の、その空間外との通気性が確保され磁気回路の温度上昇が抑えられる。ここで、上記のように幅の広い接続部材を用いることでエッジの外縁領域とフレームの取付け部との接着について製造工程上の難易度が軽減される。このため、このような難易度の軽減を見込んで、例えば、取付け部の幅を若干狭くすること等によってフレーム内の上記空間を広くすることが可能となる。その結果、上記通気孔を大きく形成して、上記空間内の空気の、その空間外との通気性を向上させることが可能となる。
【実施例0022】
本発明の第1実施例に係るスピーカ装置10を
図2及び
図3を参照して説明する。
【0023】
図2のパート(A)には、
図1に示す従来のスピーカ装置50が、第1実施例に係るスピーカ装置10との比較のために示されている。そして、
図2のパート(B)に、第1実施例に係るスピーカ装置10が示されている。
図3には、
図2のパート(B)に示すスピーカ装置10における、エッジ12とフレーム13との接続箇所の拡大図が示されている。
【0024】
尚、
図2のパート(A)では、磁気回路等といった、
図2のパート(B)に示す第1実施例のスピーカ装置10の構成要素と同等な構成要素については、
図2のパート(B)と同じ符号が付されている。以下では、これら同等な構成要素は、第1実施例のスピーカ装置10についての説明でのみ触れることとし、従来のスピーカ装置50については説明を割愛する。
【0025】
図2に示すように、スピーカ装置10は、振動板11、エッジ12、フレーム13、磁気回路14、ボイスコイルボビン15、およびボイスコイル16を備えている。
【0026】
スピーカ装置10は、音を発する振動板11がドーム形状を有したいわゆるドーム型のスピーカ装置である。エッジ12は、振動板11の外周に設けられており、フレーム13は、そのエッジ12のさらに外周に設けられている。
【0027】
スピーカ装置10では、振動板11の外縁領域11aが、エッジ12の内縁領域12aにおける音放射側とは反対側の面に重ねられて接着されている。また、エッジ12の外縁領域12bが、フレーム13に設けられた取付け部13aの音放射側に接続されている。取付け部13aは、フレーム13の音放射側の端部における内側寄りに設けられた環状の窪みである。エッジ12の外縁領域12bは、この取付け部13aに嵌め込まれている。エッジ12の外縁領域12bと内縁領域12cの間には、音放射側に凸に湾曲した可撓部12cが設けられている。この可撓部12cの可撓性により、振動板11は、振動自在にエッジ12を介してフレーム13に連結されている。本実施例では、エッジ12は、可撓部12cが上記のように音放射側に凸に湾曲したアップロール型のエッジとなっている。
【0028】
磁気回路14は、磁石14aと、この磁石14aからの磁気が通るヨーク14b、プレート14dと備えている。ヨーク14bの外周がフレーム13の内壁に固定されている。ヨーク14bとプレート14dの間には、環状の磁気ギャップ14cが設けられている。この磁気ギャップ14c内には、ボイスコイルボビン15に巻き回されたボイスコイル16が収められている。振動板11の外縁領域11aにおける音放射側とは反対側の面が、ボイスコイルボビン15の音放射側の端部に固定されている。
【0029】
ボイスコイル16に音声信号が供給されると、その音声信号に応じてボイスコイル16に磁気回路14からの磁気によるローレンツ力が作用する。その結果、ボイスコイル16が振動し、その振動がボイスコイルボビン15を介して振動板11に伝わる。そして、振動板11が、その振動によって音を放射する。
【0030】
図2のパート(B)に示す振動板11が、本発明にいう振動板の一例に相当し、エッジ12が、本発明にいうエッジの一例に相当し、フレーム13が、本発明にいうフレームの一例に相当する。また、磁気回路14が、本発明にいう磁気回路の一例に相当し、ボイスコイル16が、本発明にいうボイスコイルの一例に相当し、フレーム13が、本発明にいうフレームの一例に相当する。
【0031】
また、エッジ12における音放射側とは反対側の面、ボイスコイル16の外面、及びフレーム13の内面で囲まれた空間とフレーム13外との間で空気を行き来させる通気孔13bが、フレーム13には設けられている。この通気孔13bにより、振動板12の振動時に上記空間内の空気の、その空間外との通気性が確保され磁気回路14の温度上昇を抑えることができる。尚、
図2では、通気孔13bは、ボイスコイルボビン15やボイスコイル16に隠れていない一部が図示されている。
【0032】
ここで、エッジ12は、可撓部12cで良好な可撓性が得られるように、比較的軟らかい樹脂やゴム系部材等で形成されている。一方、フレーム13は、磁気回路14を支持するために比較的硬い樹脂や金属等で形成されている。そして、エッジ12の外縁領域12bとフレーム13の取付け部13aとの間に接続部材17が挟まれている。接続部材17は、エッジ12の外縁領域12bと取付け部13aとの双方に対して良好な接着強度が得られる例えば紙や樹脂等で環状に形成されたものである。接続部材17は、取付け部13aの音放射側の面に接着されているとともに、エッジ12の外縁領域12bの音放射側とは反対側の面に接着されている。
【0033】
本実施例における製造工程を記載する。まず、振動板11の外縁領域11aがエッジ12の内縁領域12aに接着される。さらに、このエッジ12の外縁領域12bにおける音放射側とは反対側の面に接続部材17が接着される。その後、接続部材17付きのエッジ12が、フレーム13の取付け部13aにおける音放射側の面に載せられてその面に接着される。本実施例のスピーカ装置10では、このように作業者にとって行い易いアクセス方向からの接着作業によってエッジ12の外縁領域12bの取付け部13aへの接続が行われる。
【0034】
本実施例では、
図3に示すように、接続部材17の幅A1が、エッジ12の外縁領域12bの幅A2よりも広く、この外縁領域12bの内周側に張り出している。また、接続部材17の幅A1は、フレーム13の取付け部13aの幅A3よりも広く、この取付け部13aの内周側にも張り出している。
【0035】
さらに、接続部材17の外径は、エッジ12の外径と等しく形成されている。その結果、接続部材17の外縁は、エッジの外縁と略揃うこととなっている。また、この接続部材17の外径は、接続部材17付きのエッジ12が取付け部13aに載せられる際に必要な、フレーム13の内壁との隙間を残して、取付け部13aの外径と略等しく形成されている。このため、接続部材17の外縁は、取付け部13aの外縁とも略揃うこととなっている。
【0036】
ここで、
図2のパート(A)に示す従来のスピーカ装置50は小型化が図られているが、その小型化に当たって、振動板51とエッジ52の可撓部52cとが狭められている。これにより、エッジ52の外縁領域52bとフレーム53の取付け部53aとの貼りしろの狭小化が避けられている。また、この従来のスピーカ装置50では、接着部材54の幅は、エッジ52の外縁領域52bの幅と略等しく、また、取付け部53aの幅とも略等しい。
【0037】
これに対し、
図2のパート(B)に示す本実施例のスピーカ装置10は、振動板11については、従来のスピーカ装置50の振動板51と同程度の広さとしつつも、エッジ12の可撓部12cについて所望の広さを確保しつつ小型化がなされている。このため、エッジ12の外縁領域12bの幅は、従来のスピーカ装置50におけるエッジ52の外縁領域52bの幅よりも狭くなっている。また、これに合わせて、フレーム13の取付け部13aの幅も、従来のスピーカ装置50におけるフレーム53の取付け部53aの幅よりも狭くなっている。一方で、接続部材17の幅は、従来のスピーカ装置50における接続部材54の幅と略同程度の広い幅のままとなっている。
【0038】
従来のスピーカ装置50では、上記のように、接着部材54の幅が、エッジ52の外縁領域12bの幅や、取付け部53aの幅と略等しい。このため、本実施例のスピーカ装置10のように、エッジ52の可撓部52cの広さを犠牲にせずに小型化が行われた場合には、接続部材54の幅が上記の外縁領域52bや取付け部53aの幅に略等しく狭い。振動板51やエッジ52の可撓部52cの広さを犠牲にせずにスピーカ装置50を小型化した場合、接続部材54の幅が1mm未満となることがある。幅が1mm未満の細い接続部材54を挟んでエッジ52の外縁領域52bをフレーム53の取付け部53aに接続する作業は、製造工程上の難易度が高い場合が多い。また、接続部材54の幅が狭い場合、エッジ52の外縁領域52bとフレーム53の取付け部53aとの接続について、高い強度が得られない問題が生じることがある。尚、細い接続部材の一例として、ここでは幅が1mm未満のものを例示したが、1mm未満という寸法はあくまでも例示であって、接続部材の幅が1mm以上であってもエッジ52の素材などの条件によっては上記の問題が生じ得る。従来のスピーカ装置50では、このような問題を避けるため、上記のようにエッジ52の可撓部52cの幅が狭められ、以って接続部材54の幅の狭小化が避けられている。
【0039】
一方、
図2のパート(B)に示す本実施例のスピーカ装置10では、エッジ12の可撓部12cの広さを犠牲にせずに小型化を図りつつも、接続部材17の幅は、従来のスピーカ装置50の接続部材54と同程度の広い幅となっている。これにより、本実施例のスピーカ装置10では、接続部材17は、その幅がエッジ12の外縁領域12bの幅よりも広く、この外縁領域12bの内周側に張り出している。スピーカ装置10では、このような幅の広い接続部材17を用いることにより、まず、エッジ12の外縁領域12bと接続部材17との接着について製造工程上の難易度が軽減される。延いては、エッジ12の外縁領域12bとフレーム13の取付け部13aとの接続について製造工程上の難易度が軽減される。その結果、本実施例では、エッジ12の可撓部12cの広さを犠牲にせずに小型化を図りつつも、エッジ12の外縁領域12bとフレーム13の取付け部13aとの接続について高い強度が得られることとなっている。
【0040】
また、本実施例のスピーカ装置10では、接続部材17は、その幅が取付け部13aの幅よりも広く、この取付け部13aの内周側にも張り出している。これにより、スピーカ装置10では、接続部材17とフレーム13の取付け部13aとの接着についても製造工程上の難易度が軽減される。延いては、エッジ12の外縁領域12bと取付け部13aとの接続について製造工程上の難易度が一層軽減され、この接続についてより高い強度が得られることとなっている。
【0041】
また、本実施例のスピーカ装置10では、上記のように、接続部材17の外径が、エッジ12の外径と等しい径に形成されている。これにより、エッジ12の外縁と接続部材17の外縁とが略揃うこととなる。その結果、本実施例のスピーカ装置10では、例えば、エッジ12の外縁と接続部材17の外縁とが大きくずれている場合に比べて、製造時におけるフレーム13に対するエッジ17の位置決め精度が高められている。
【0042】
また、本実施例のスピーカ装置10では、上記のように、接続部材17の外径が、取付け部13aの外径と略等しい径に形成されている。これにより、取付け部13aの外縁と接続部材17の外縁が略揃うこととなる。その結果、本実施例のスピーカ装置10では、例えば、取付け部13aの外縁と接続部材17の外縁とが大きくずれている場合に比べて、製造時におけるフレーム13に対するエッジ12の位置決め精度が高められている。
【0043】
また、本実施例のスピーカ装置10では、エッジ12における音放射側と反対側の面、ボイスコイル16の外面、及びフレーム13の内面で囲まれた空間とフレーム13外との間で空気を行き来させる通気孔13bが磁気回路14の温度上昇を抑えるために設けられている。
【0044】
図2のパート(A)に示す従来のスピーカ装置50のフレーム53にも同様の通気孔53bが設けられている。しかしながら、本実施例では、フレーム13の取付け部13aの幅が、エッジ12の外縁領域12bの幅に合わせて狭められている。その結果、本実施例では、通気孔13bを行き来する空気が溜まる空間が、従来のスピーカ装置50における同様の空間よりも広くなっている。本実施例では、これを受けて、通気孔13bが、従来のスピーカ装置50における通気孔53bよりも大きめに形成されている。これにより、本実施例では、従来のスピーカ装置50に対して、上記空間内の空気について通気性の向上が図られ、磁気回路14の温度上昇が抑えられている。
【0045】
以上で第1実施例に係るスピーカ装置10の説明を終了し、次に、第2実施例に係るスピーカ装置について
図4を参照して説明する。
【0046】
図4のパート(A)には、
図1に示す従来のスピーカ装置50が、第2実施例に係るスピーカ装置20との比較のために示されている。そして、
図4のパート(B)に、第2実施例に係るスピーカ装置20が示されている。
【0047】
第2実施例のスピーカ装置20は、振動板21およびエッジ22の形状が、上記の第1実施例のスピーカ装置10と異なっている。以下、この第2実施例のスピーカ装置20について、第1実施例のスピーカ装置10との相違点に注目して説明する。尚、
図4のパート(B)では、
図2のパート(B)に示す第1実施例のスピーカ装置10の構成要素と同等な構成要素については
図2のパート(B)と同じ符号が付されている。以下では、これら同等な構成要素については重複説明を省略する。
【0048】
第2実施例のスピーカ装置20は、エッジ22の可撓部22cについては、従来のスピーカ装置50の可撓部52cと同程度の広さとしつつも、振動板21について所望の広さを確保しつつ小型化がなされている。このため、振動板21の外縁領域21aの位置が、従来のスピーカ装置50の振動板51の外縁領域51aの位置よりもフレーム13側にずれている。これに合わせて、本実施例では、可撓部22cの位置が、従来のスピーカ装置50の可撓部52cの位置よりもフレーム13側にずれている。その結果、エッジ22の外縁領域22bの幅が、従来のスピーカ装置50におけるエッジ52の外縁領域52bの幅よりも狭くなっている。
【0049】
そして、この幅の狭い外縁領域22bの、フレーム13の取付け部13aへの接続が、第1実施例と同様に幅の広い接続部材17を介して行われる。これにより、エッジ22の外縁領域22bの取付け部13aへの接続部材17を介した接続について製造工程上の難易度が軽減されている。その結果、本実施例では、振動板21の広さを犠牲にせずに小型化を図りつつも、エッジ22の外縁領域22bとフレーム13の取付け部13aとの接続について高い強度が得られることとなっている。
【0050】
以上で第2実施例に係るスピーカ装置20の説明を終了し、次に、第3実施例に係るスピーカ装置30について
図5を参照して説明する。
【0051】
第3実施例のスピーカ装置30は、エッジ32と、フレーム33の取付け部33aの形状が、上記の第1実施例のスピーカ装置10と異なっている。以下、この第3実施例のスピーカ装置20について、第1実施例のスピーカ装置10との相違点に注目して説明する。
【0052】
図5には、第3実施例のスピーカ装置30における、エッジ32とフレーム33との接着箇所の拡大図が示されている。尚、この
図5では、
図2のパート(B)に示す第1実施例のスピーカ装置10の構成要素と同等な構成要素の1つである接続部材が、
図2のパート(B)と同じ符号が付されて示されている。以下では、この接続部材17を含む、第1実施例のスピーカ装置10の構成要素と同等な構成要素については重複説明を省略する。
【0053】
図5に示すように、第3実施例では、エッジ32が、可撓部32cが音放射側とは反対側に凸に湾曲したダウンロール型のエッジとなっている。そして、このエッジ32の外縁領域32bが取り付けられる環状の取付け部33aが、フレーム33の内壁から張り出している。エッジ32の外縁領域32bは、この取付け部33aの、音放射側とは反対側の面に接続部材17を介して接続されている。
【0054】
この第3実施例のスピーカ装置30でも、第1実施例と同様の幅の広い接続部材17を用いることで、第1実施例と同様に、エッジ32の外縁領域32bと取付け部32bとの接続について高い強度が得られることは言うまでもない。
【0055】
尚、上述の各実施形態では、「環状」について特定はしなかったが、ここにいう「環状」には、円環状、楕円環状、トラック形状、矩形環状といった、「環」を形作っているどのような形状も含まれる。
【0056】
また、上述の各実施例では、スピーカ装置のタイプとしていずれもドーム型が例示されている。しかしながら、スピーカ装置は、これに限るものではなく、例えばコーン型等の他のタイプのスピーカ装置であってもよい。
【0057】
また、上述の各実施例では、振動板の外縁領域とエッジの内縁領域との接着について、振動板の外縁領域の音放射側の面と、エッジの内縁領域の音放射側とは反対側の面とが接着される形態が例示されている。しかしながら、振動板の外縁領域とエッジの内縁領域との接着はこの形態に限るものではなく、例えば、振動板の外縁領域の音放射側とは反対側の面と、エッジの内縁領域の音放射側の面とが接着される形態であってもよい。
【0058】
また、上述の各実施例では、ボイスコイルが巻き回されたボイスコイルボビンが振動板に固定されたスピーカ装置が例示されている。しかしながら、スピーカ装置は、これに限るものではなく、例えば振動板にボイスコイルが直接に固定されたものであってもよい。また、スピーカ装置は、例えばボイスコイルやボイスコイルボビンがエッジに固定されたものであってもよい。
【0059】
また、上述の各実施例では、振動板とエッジのいずれか一方の広さを犠牲にせずに小型化が図られたスピーカ装置が例示されている。しかしながら、スピーカ装置は、これに限るものではなく、振動板とエッジの双方について広さを犠牲にせずに小型化が図られたものであってもよい。
【0060】
尚、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明のスピーカ装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。