(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040419
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】スマートフォン用抗ウイルスカバー
(51)【国際特許分類】
H04M 1/17 20060101AFI20220304BHJP
A45C 11/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
H04M1/17 Z
A45C11/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145112
(22)【出願日】2020-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】596177559
【氏名又は名称】インターマン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上田平 重樹
(72)【発明者】
【氏名】上田平 歩樹
【テーマコード(参考)】
3B045
5K023
【Fターム(参考)】
3B045BA26
3B045CE06
3B045DA22
3B045EA02
3B045EA06
3B045EB12
3B045FC08
5K023AA07
5K023DD06
5K023MM04
5K023MM06
5K023QQ00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウイルス、細菌といった病原体の感染を防止する機能を有するスマートフォン用抗ウイルスカバーを提供する。
【解決手段】病原体の感染を防止する機能を有するスマートフォン用抗ウイルスカバーは、抗ウイルス活性を有する酸化銅不織布からなり、銅イオンを生成することができる。この銅イオンは、スマートフォンSの表面に付着しているウイルスを不活性化する。酸化銅不織布は、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造され、この不織布に含まれる酸化銅の微粒子サイズは好ましくは0.2から20ミクロンの間である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗ウイルス活性を有する銅を含有する不織布からなるスマートフォン用抗ウイルスカバー。
【請求項2】
前記不織布は、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されていることを特徴とする請求項1に記載のスマートフォン用抗ウイルスカバー。
【請求項3】
前記銅酸化物の微粒子サイズは0.2から20ミクロンの間である請求項2に記載のスマートフォン用抗ウイルスカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス、細菌といった病原体の感染を防止する機能を有するスマートフォン用抗ウイルスカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
今般の新型コロナウイルスによって引き起こされたパンデミックは、人口密度があがり、高速大量輸送時代となった21世紀が、いかに感染症に弱い社会であるかを人々に思い知らせることとなった。
【0003】
このような状況においては、身の回りのあらゆる物が感染源に思え、生活状況が非常に窮屈なものとなる。事実、感染拡大の中では、全てを疑ってかかる必要がある。
【0004】
マスクを着用し、他人との距離を十分に取り、密集を避ける、といった対策を講じることが重要であるが、必要な社会生活を送る上で、どうしても最小限度の感染経路への接触は避けられない。このリスクをできるだけ小さくすることが感染を予防する上で肝要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
身近で最も注意すべき感染経路の一つは、常時携帯するスマートフォンである。実際、移動中でもスマートフォンを手にすることは多く、ドアノブなどのハイタッチサーフェスに触れた直後にスマートフォンを操作し、ウイルスがスマートフォンの表面に付着すると最長で数日間ウイルスが感染可能な状態で残るということも考えられる。
【0007】
しかし、こまめに消毒液によってスマートフォンの除菌を行うというのも、中々に困難である。実際、消毒液がスマートフォンの内部に侵入し、故障を誘発する可能性がある。スマートフォンにケースを取り付け(特許文献1参照)、スマートフォン本体ではなく、このケースの除菌を行うようにすることも考えられるが、消毒液を持ち歩き、都度除菌を行うというのも現実的ではない。また、スマートフォン本体の汚染も考えられる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、面倒な消毒作業を必要としない感染を防止する機能を備えた抗ウイルスカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の1つの様相によるスマートフォン用抗ウイルスカバーは、抗ウイルス活性を有する銅を含有する不織布からなることを特徴とする。
【0010】
また、一つの実施例では、前記不織布は、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されていることを特徴とする。
【0011】
ここで、前記抗ウイルスカバーの認証処理で用いる生体情報は、例えば、指静脈のパターンである。
【0012】
更に、一つの実施例では、前記銅酸化物の微粒子サイズは0.2から20ミクロンの間であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係わるスマートフォン用抗ウイルスカバーによれば、スマートフォンにウイルスが付着しても、抗ウイルスカバーから生成される銅イオンによってウイルスの不活性化がなされ、スマートフォンが感染源となるリスクを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1の抗ウイルスカバーを、スマートフォンに装着した状態を示す正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1の抗ウイルスカバーを、スマートフォンに装着した状態を示す背面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1の抗ウイルスカバーを閉じる動作を説明する斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1の抗ウイルスカバーの閉じた状態を示す正面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例1の抗ウイルスカバーの閉じた状態を示す背面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例2の抗ウイルスカバーを示す正面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例2の抗ウイルスカバーを、スマートフォンに装着する方法を説明する斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例2の抗ウイルスカバーを、スマートフォンに装着した状態を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例3の抗ウイルスカバーを示す正面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施例3の抗ウイルスカバーを示す背面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施例3の抗ウイルスカバーを、スマートフォンに装着する方法を説明する斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施例3の抗ウイルスカバーをスマートフォンに装着して、画面カバーを閉じた状態を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施例4の抗ウイルスカバーを示す正面図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施例4の抗ウイルスカバーをスマートフォンに装着する方法を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施例4の抗ウイルスカバーをスマートフォンに装着した状態を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施例4の抗ウイルスカバーをスマートフォンに装着した状態を背面から見た斜視図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施例5の抗ウイルスカバーを、スマートフォンに装着した状態を示す斜視図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施例5の抗ウイルスカバーに画面カバーを設けた例を示す斜視図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施例6の抗ウイルスカバーを、スマートフォンに装着するための係止フックを示す斜視図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施例6の抗ウイルスカバーを、係止フックによってスマートフォンに装着した状態を示す斜視図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施例6の抗ウイルスカバーの変形例を示す斜視図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施例7の抗ウイルスカバーを示す正面図である。
【
図25】
図25は、本発明の実施例7の抗ウイルスカバーを示す背面図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施例7の抗ウイルスカバーをスマートフォンに装着した状態を示す平面図である。
【
図27】
図27は、本発明の実施例8の抗ウイルスカバーをスマートフォンに装着する方法を示す斜視図である。
【
図28】
図28は、本発明の実施例8の抗ウイルスカバーをスマートフォンに装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、ユーザーが常時携帯するスマートフォンの為の抗ウイルスカバーである。スマートフォンは、感染源に触れた後に操作するということもあり得るので、除菌が望ましい。そこで、この抗ウイルスカバーは、酸化銅不織布からなっている。酸化銅不織布は、銅イオンを生成するのでスマートフォンの表面に付着しているウイルスを不活性化することができる。
【0016】
この酸化銅不織布は、銅酸化物の水不溶性の微細な粒子がその繊維中に取り込まれているポリマーから製造されている。具体的には、ポリアミド、ポリアルキレン、ポリウレタン及びポリエステルといったポリマーを約80度から150度の範囲の温度において加熱し溶解させ、カチオン型酸化銅の水不溶性の粉末を加え分散させる。分散された酸化銅の微粒子サイズは好ましくは0.2から20ミクロンの間である。このポリマーの液体スラリーは、紡糸口金へ圧力で押し出され、不織布が製造される。この製造方法の詳細は、例えば、特表2008-534708に記載されている。
【実施例0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明による抗ウイルスカバーの実施例1を説明する。
図1は、スマートフォンを装着した状態の抗ウイルスカバー1を示す正面図である。
図2は、スマートフォンを装着した状態の抗ウイルスカバー1を示す背面図である。
図3は、スマートフォンを持ち運ぶ際などに、抗ウイルスカバー1を閉じる動作を説明する斜視図である。
図4は、閉じた状態の抗ウイルスカバー1を示す正面図である。
図5は、閉じた状態の抗ウイルスカバー1を示す背面図である。
図6は、
図4のA-A線に沿った断面図である。
【0018】
図に示したように、抗ウイルスカバー1は、スマートフォンSを挟み込むのに十分な大きさの矩形不織布本体10と、この不織布本体10の右半分10aの上下端および右端に設けられた係止枠12と、不織布本体10の左端に設けられた面ファスナー14aと、不織布本体10の右端(
図2の背面図では左端)の外側に設けられた面ファスナー14bとからなっている。係止枠12は、不織布本体10と共に、上述の抗ウイルス機能を備えた酸化銅不織布からなっている。
【0019】
ここで、面ファスナーとは、マジックテープ(登録商標)、マジックファスナー(登録商標)、ベルクロ(登録商標)、フックアンドループテープ等の商品名で知られているもので、雌ファスナーと雄ファスナーからなる。接続固定したい一方(例えば、面ファスナー14a)には雌ファスナーを設け、他方(例えば、面ファスナー14b)には雄ファスナーを設ける。雄ファスナーは多数の微少なカギ状フックからなり、対応する雌ファスナーの多数の微少なループと係合する構造となっている。
【0020】
この抗ウイルスカバー1を使用するには、まず
図1に示したように、不織布本体10の右半分10aの上下に設けられた係止枠12に差し込むようにスマートフォンSを装着する。次に、
図3に示されているように、スマートフォンSの表面(画面)を覆って包み込むように、不織布本体10の左半分10bを右に折り曲げる。そして、
図6に示されているように、スマートフォンSの右側にはみ出た面ファスナー14aを更に折り曲げ、裏側の面ファスナー14bと係合させる。
【0021】
通常スマートフォンSを持ち歩く場合は、
図4乃至
図6に示されているような状態で携帯する。スマートフォンSを使用する場合は、抗ウイルスカバー1を装着したスマートフォンSをポケットなどから取り出し、面ファスナー14a、14bを外して、
図1のように抗ウイルスカバー1を開いて必要な操作を行う。操作を終えたら、
図5のように抗ウイルスカバー1を閉じて、スマートフォンSはポケットや鞄にしまっておく。すなわち、不織布本体10の左半分10bは、スマートフォンSの画面をカバーする画面カバーとして機能する。
【0022】
ユーザーは様々な感染源を触る可能性があるが、スマートフォンSを使用する場合、抗ウイルスカバー1で覆われているので、スマートフォンSにウイルスが付着したとしても、銅イオンによって不活性化される。また、指で抗ウイルスカバー1に触れるので、指にウイルスが付着していたとしても、酸化銅から生成される銅イオンによってウイルスは不活性化される。仮に、指に付着していたウイルスが、操作の際にスマートフォンSの画面に付着したとしても、
図5のように抗ウイルスカバー1を閉じた状態では、酸化銅不織布がスマートフォンSの画面に接触するので、ウイルスは不活性化される。従って、スマートフォンSは、ウイルスの感染経路にはなり得ない。
この抗ウイルスカバー2は、対応するスマートフォンと同じ大きさの矩形部分20と、この矩形部分20の上下左右に張り出した縁部20a、20b、20c、20dとからなっている。これら矩形部分20と縁部20a、20b、20c、20dは、上述の抗ウイルス機能を備えた酸化銅不織布からなっている。
また、縁部20a、20b、20c、20dには、夫々に両面粘着テープ22が貼り付けられている。抗ウイルスカバー2の使用前には、この両面粘着テープ22の表面は剥離紙で保護されている。
なお、この両面粘着テープは、例えば、アクリル系粘着剤を用いたものが使用される。アクリル系粘着剤は、モノマーの種類の選択、ポリマーの分子量、架橋密度などの制御により、粘着力や再剥離性などの粘着物性のコントロールを行うことができる。スマートフォンSは、常時出し入れしたりして頻繁に利用するものなので、この抗ウイルスカバーも劣化に伴い交換することになる。従って、張替えの際に、糊のこりすることなく剥がせるように粘着物性が調整される。なお、アクリル系粘着剤の他にも、シリコーン系粘着剤やシリコーン系粘着剤を用いることもできる。