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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040458
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】シャボン玉玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/28 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
A63H33/28 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145188
(22)【出願日】2020-08-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】520332313
【氏名又は名称】河野 陽光
(74)【代理人】
【識別番号】100137899
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 広文
(72)【発明者】
【氏名】河野 陽光
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150DE01
(57)【要約】
【課題】 誰でも簡単に一つのシャボン玉の中に一つ又は複数のシャボン玉(複合的シャボン玉)を生成することができるシャボン玉玩具を提供する。
【構成】 本発明は、玩具本体と、2本の筒体と、を備えたシャボン玉玩具であって、玩具本体は、浸漬板と膨出部とで構成し、浸漬板の表面から膨出部が膨出した凸形状であり、浸漬板及び膨出部には、鉛直方向に穿設した2つの貫通穴がそれぞれ独立して並列し、2本の筒体はそれぞれが独立し、それぞれが各貫通穴に立設し、各筒体内の通路と各貫通穴が連通していることを特徴とした、シャボン玉玩具である。
【選択図】図9


【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具本体と、2本の筒体と、を備えたシャボン玉玩具であって、
前記玩具本体には、鉛直方向に穿設した2つの貫通穴がそれぞれ独立して並列し、
2本の前記筒体はそれぞれが独立し、それぞれが各前記貫通穴に立設し、各前記筒体内の通路と各前記貫通穴が連通していることを特徴とした、シャボン玉玩具。
【請求項2】
玩具本体と、2本の筒体と、を備えたシャボン玉玩具であって、
前記玩具本体は、浸漬板と膨出部とで構成し、前記浸漬板の表面から前記膨出部が膨出した凸形状であり、
前記浸漬板及び前記膨出部には、鉛直方向に穿設した2つの貫通穴がそれぞれ独立して並列し、
2本の前記筒体はそれぞれが独立し、それぞれが各前記貫通穴に立設し、各前記筒体内の通路と各前記貫通穴が連通していることを特徴とした、シャボン玉玩具。
【請求項3】
前記貫通穴には、内径の異なる第一段目の穴及び第二段目の穴を形成し、
前記第一段目の穴と前記第二段目の穴との境目を段部とすることを特徴とした、請求項1又は請求項2に記載のシャボン玉玩具。
【請求項4】
各前記貫通穴の内周面を凹凸形状としたことを特徴とした、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具。
【請求項5】
前記第2の筒状体と前記第3の筒状体とは一体又は着脱自在
前記玩具本体又は前記浸漬板の裏面は、平滑性を有することを特徴とした、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシャボン玉生成玩具。
【請求項6】
前記本体と2本の前記筒体とは一体又は着脱自在であることを特徴とした、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具。
【請求項7】
前記玩具本体又は前記浸漬板を平面視略台形状、平面視略円形状、平面視略菱形状、平面視略多角形状、平面視略ハート形状のうちいずれかとすることを特徴とした、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具。
【請求項8】
前記筒体の外周にフランジを備えたことを特徴とした、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具。
【請求項9】
上方開放する受皿と、をさらに備え、
少なくとも前記受皿の内縁が前記浸漬板の外縁よりも広口であることを特徴とした、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重シャボン玉、より具体的には、一つのシャボン玉の中に一つ又は複数のシャボン玉(複合的シャボン玉)を生成することができるシャボン玉玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
主に子ども向け玩具の一つとして、シャボン玉を生成することができるシャボン玉玩具が広く知られているが、その中でも、一つのシャボン玉の中に一つ又は複数のシャボン玉を生成する、いわゆる多重、複合シャボン玉を生成することができるシャボン玉玩具がある。
【0003】
特許文献1は、外管(2)の内部に固定した支え(7)を介して、内管(5)をとりつけ、1個の大きいしゃぼん玉の中に、1個以上の独立したしゃぼん玉を含む新規なしゃぼん玉(複合しゃぼん玉)を作る玩具である。
特許文献2は、口径の異なる開口部を、小径の開口部が大径の開口部の内側に位置するように配置し、上記両開口部に別々に連通する吹管を設けて成り、1本のシャボン玉吹器で大きなシャボン玉の中空に小さなシャボン玉を形成して内外二重のシャボン玉を吹き出すことができるシャボン玉吹器である。
特許文献3は、外管(2)の内側に、通気孔(4)を有する保持板(3)をとりつけ、保持板(3)に内管(6)をとりつける構成で、1個の大きいしゃぼん玉の中に、1個以上の独立したしゃぼん玉を含む新規なしゃぼん玉(複合しゃぼん玉)を作る、吹いて複合しゃぼん玉を作る玩具である。
【0004】
【特許文献1】実開昭58-13298号公報
【特許文献3】実開昭56-173397号公報
【特許文献2】特開昭57-211383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る考案は、外管吹き込み口(1)と内管吹き込み口(4)が独立して設けられている実施態様が第4図で図示されているが、吹き出し口側の構成に関しては、外管吹き出し口(3)の中に内管吹き出し口(6)が配置されており、外管(2)の径が大きいため、大きなシャボン玉を作るための外管吹き込み口(1)から息を吹く際に労力が必要な場合があり、また、一つのシャボン玉の中に一つ又は複数のシャボン玉を生成することが困難な場合がある。
特許文献2に係る考案は、大径の開口部に連通する吹管、小径の開口部に連通する吹管が別々に設けているが、大径開口部(1)の内側に小径開口部(2)が配置されており、吹管(4)の径が大きいため、大きなシャボン玉を作るための吹口管(4)から息を吹く際に労力が必要な場合があり、また、一つのシャボン玉の中に一つ又は複数のシャボン玉を生成することが困難な場合がある。
また、特許文献1、特許文献2の場合、大きいしゃぼん玉を作る際の管の口と、大きいしゃぼん玉の中に入るしゃぼん玉を作る際の管の口がそれぞれ決まっているため、どちらの管の口で大きいしゃぼん玉を作るか否かを迷う場合がある。
特許文献3に係る発明は、吹き込み口(1)が一つであるため、一つのシャボン玉の中に一つ又は複数のシャボン玉を生成することが困難な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の目的は、誰でも簡単に一つのシャボン玉の中に一つ又は複数のシャボン玉(複合的シャボン玉)を生成することができるシャボン玉玩具を提供する。
【0007】
請求項1の発明は、玩具本体と、2本の筒体と、を備えたシャボン玉玩具であって、玩具本体には、鉛直方向に穿設した2つの貫通穴がそれぞれ独立して並列し、2本の筒体はそれぞれが独立し、それぞれが各貫通穴に立設し、各筒体内の通路と各貫通穴が連通していることを特徴とした、シャボン玉玩具である。をぶら下がる玩具では
【0008】
請求項2の発明は、玩具本体と、2本の筒体と、を備えたシャボン玉玩具であって、玩具本体は、浸漬板と膨出部とで構成し、浸漬板の表面から膨出部が膨出した凸形状であり、浸漬板及び膨出部には、鉛直方向に穿設した2つの貫通穴がそれぞれ独立して並列し、2本の筒体はそれぞれが独立し、それぞれが各貫通穴に立設し、各筒体内の通路と各貫通穴が連通していることを特徴とした、シャボン玉玩具である。
【0009】
請求項3の発明は、貫通穴には、内径の異なる第一段目の穴及び第二段目の穴を形成し、第一段目の穴と第二段目の穴との境目を段部とすることを特徴とした、請求項1又は請求項2に記載のシャボン玉玩具である。
【0010】
請求項4の発明は、各貫通穴の内周面を凹凸形状としたことを特徴とした、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具である。
【0011】
請求項5の発明は、玩具本体又は浸漬板の裏面は、平滑性を有することを特徴とした、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシャボン玉生成玩具である。
【0012】
請求項6の発明は、本体と2本の筒体とは一体又は着脱自在であることを特徴とした、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具である。
【0013】
請求項7の発明は、玩具本体又は浸漬板を平面視略台形状、平面視略円形状、平面視略菱形状、平面視略多角形状、平面視略ハート形状のうちいずれかとすることを特徴とした、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具である。
【0014】
請求項8の発明は、筒体の外周にフランジを備えたことを特徴とした、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具である。
【0015】
請求項9の発明は、上方開放する受皿と、をさらに備え、少なくとも受皿の内縁が浸漬板の外縁よりも広口であることを特徴とした、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、誰でも簡単に一つの大きなシャボン玉の中に一つ又は複数の小さなシャボン玉を生成することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、玩具本体を持ち易くすることができ、誰でも簡単に一つのシャボン玉の中に一つ又は複数のシャボン玉を生成することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、玩具本体の貫通穴に安定して筒体を立設することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、貫通穴の内周面を凹凸形状とすることによって、シャボン液を溜めることができ、シャボン玉を生成し易くすることができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、大きな一つのシャボン玉を生成し易くすることができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、玩具本体と筒体が一体の場合、製造工程の短縮により安価に製造することができ、また、筒体が玩具本体から着脱自在とすることができる場合、市販の筒体を使用することができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、本発明を様々な商品形態(販売形態)に合わせた形状とすることができる。
【0023】
請求項8の発明によれば、筒体に備えたフランジの裏面が膨出部の表面に当接すると、
筒体がそれ以上貫通穴に進入することができないため、筒体を安定して各貫通穴に立設することができる。
【0024】
請求項9の発明によれば、広口の受皿によって、しっかりとシャボン液を浸漬させることができ、また、シャボン液が玩具本体(浸漬板)から垂れても受皿で受けることができるため、床面にシャボン液が垂れることによる転倒等を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】筒体を吹き口から見た状態の斜視図である。
図2】筒体を発泡口から見た状態の斜視図である。
図3】透視した筒体の正面図である。
図4】一の例の玩具本体の平面図である。
図5図4の透視した正面図である。
図6図4の透視した側面図である。
図7図4の斜視図である。
図8】他の例の玩具本体の正面図である。
図9】一の例の玩具本体に2本の筒体を立設した状態の正面図である。
図10】2本の筒体を立設した一の例の玩具本体を受皿に入れた状態の側面図である。
図11】フランジを備えた筒体を発泡口から見た状態の斜視図である。
図12】フランジを備えた筒体を吹き口から見た状態の斜視図である。
図13】フランジを備えた筒体の正面図である。
図14】ストレート穴の玩具本体に2本の筒体を立設した状態の正面図(内部構造省略)である。
図15図14の側面図である。
図16図14を浸漬板側から図示した斜視図である。
図17図14を2本の筒体側から図示した斜視図である。
図18】両貫通穴の出口(発泡口)にシャボン液の膜が張った状態の斜視図である。
図19図18の状態から、徐々に膜が膨らみ始めた状態の斜視図である。
図20図19の状態から、浸漬板の裏面に沿ってさらに膨らみ、浸漬板の外周一杯に広がる1つの大きいシャボン玉を生成した状態の斜視図である。
図21図20の状態から、大きなシャボン玉の中に複数の小さなシャボン玉を生成するため、もう片方の筒体に息を吹き込み徐々に膜が膨らみ始めた状態の斜視図である。
図22】1つの大きいシャボン玉の中に複数の小さなシャボン玉を生成させた状態の斜視図である。
図23】複合的シャボン玉を空中に浮遊させた状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、一つの大きなシャボン玉100の中に一つ又は複数の小さなシャボン玉200を生成する、複合的シャボン玉300を生成するためのシャボン玉玩具1を提供する。以下、各図を参照しながら、本発明であるところのシャボン玉玩具1の実施形態について説明する。
【0027】
本発明のシャボン玉玩具1は、図9で図示したように、玩具本体3と2本の筒体20、そして、その他、図10で図示したように、シャボン液を入れておき、このシャボン液に玩具本体3を浸漬するために使用する受皿30とを構成物品とする。以下、それぞれの構成物品について説明する。
【0028】
玩具本体3は、受皿30に入れたシャボン液に浸漬する物品であり、また、2本の筒体20が立設する本体となる物品である。玩具本体3と2本の筒体20は、別部材の別体であっても、また、同一部材又は別部材の一体であってもよい。なお、本実施形態では主に、玩具本体3と2本の筒体20が別部材の別体であることを前提として説明する。
【0029】
玩具本体3の全体の形状としては、玩具本体3に2本の筒体20が立設でき、また、シャボン液に浸漬することができればよく、どのような形状であっても問わないが、一の例として、図5図7等で図示したような、浸漬板7と膨出部5とで構成し、浸漬板7の表面7aから膨出部5が膨出した、全体として凸形状のものが挙げられる。したがって、この一の例においては、浸漬板7の外縁7dと膨出部5の外縁5dが相違することとなる。
【0030】
浸漬板7は、受皿30に入れたシャボン液に浸漬するための、文字通り板状の部材である。浸漬板7もシャボン液に浸漬することができればどのような形状であっても問わないが、一例として、図4等で図示した平面視略円形状の他、図示しないが、平面視略台形状、平面視略菱形状、平面視略多角形状、平面視略ハート形状等が挙げられる。その他、浸漬板の隅部を角丸形状としてもよい。また、大きさや厚み等も問わない。
【0031】
浸漬板7をシャボン液に浸漬することによって、浸漬板7の主に裏面7bにはシャボン液が付着する。また、後述するように一つの大きなシャボン玉100が生成する過程において、浸漬板7の裏面7bに沿いながら一つの大きなシャボン玉100を大きく膨らませる必要があるため、浸漬板7の裏面7bは、平滑性を有する滑面とすることが望ましい。その他、浸漬板7の裏面7bを滑りやすくするためのコート剤を塗布しても良い。なお、後述する玩具本体3の他の例の場合は、玩具本体3の裏面3bが平滑性を有する滑面とするのが望ましい。このように平滑性を有する滑面とすることにより、複合的シャボン玉300を生成した後、再度浸漬板7や玩具本体3の裏面3bをシャボン液に浸漬しなくても、浸漬板7に付着している残りのシャボン液が滑り落ちることよって貫通穴10の出口(発泡口17)にシャボン液を膜状に付着させることができるため、複合的シャボン玉300を生成することができる場合がある。
【0032】
図10で図示したように、浸漬板7の裏面7bの反対側である表面7aから膨出部5が膨出しており、この膨出部5に2本の筒体20が並列して立設する。以下、玩具本体3の膨出部5について説明する。
【0033】
膨出部5は、2本の筒体20が直接立設する部材である。膨出部5の形状は、図4等で図示したような略楕円柱形状の他、図示しないが、略円柱形状、略方形状、略角丸方形状、平面視略台形状、平面視略菱形状、平面視略多角形状、平面視略ハート形状等、様々な形状が考えられる。
【0034】
玩具本体3を持ちやすくするため、また、滑り止め機能を備えるため、膨出部5の周面5aに凹凸を設けてもよい。すなわち、膨出部5の周面5aの指が触れる部分においては凹部(不図示)や凸部(不図示)を設けることによって玩具本体3を使用する際しっかりと保持することができる。特に、本発明は性質上滑りやすいシャボン液を使用するものであるため、周面5aの凹部(不図示)や凸部は極めて有用である。
【0035】
玩具本体3には、鉛直方向Vに穿設した2つの貫通穴10がそれぞれ独立して並列している。浸漬板7と膨出部5とで構成する全体として凸形状である一の例の実施形態においては、膨出部5から浸漬板7にかけて鉛直方向Vに2つの貫通穴10が穿設している。すなわち、前記浸漬板及び前記膨出部には、鉛直方向Vに穿設した2つの貫通穴がそれぞれ独立して並列している。
【0036】
貫通穴10は、筒体20の吹き口21から吹いた空気を外部へ排出するための玩具本体3を鉛直方向Vに貫通している穴である。その形状は、段部15がないストレート穴であっても、段部15がある二段穴(二段の貫通穴)であってもよい。二段穴の場合、内径の異なる第一段目の穴及び第二段目の穴を形成し、第一段目の穴と第二段目の穴との境目を段部15としている。筒体20挿入側の第一段目の穴11は、筒体20の発泡口25を挿入できる径である必要があり、第一段目の穴11に続く第二段目の穴12は、第一段目の穴11よりも小径となる。すなわち、第一段目の穴11の径は第二段目の穴12の径より大きく、第二段目の穴12の径は第一段目の穴11の径より小さい。第一段目の穴11には筒体20の発泡口25を挿入することができるが、第二段目の穴12には筒体20の発泡口25を挿入することができない。これにより、第一段目の穴11に筒体20の発泡口25を挿入した場合は、段部15の表面15aに筒体20の発泡口25の先端20aが接地することとなる。また、段部15を浸漬板7の表面7aとしてもよい。この場合は、浸漬板7の表面7aに筒体20の発泡口25の先端20aが接地することとなる。
【0037】
なお、ストレート穴の場合、貫通穴10に筒体20を挿入し、押し進んだ場合は、筒体20の発泡口25の先端と浸漬板7の裏面7bとを面一とすることができ、また、筒体20の発泡口25の先端が浸漬板7の裏面7bから突出することもできる。特に、段部15がないストレート穴の場合、筒体20の外周、例えば、発泡口25の吹き口21側にフランジ25fを備えるような別の構成を備えた筒体20を利用することによって、安定して各筒体20を各貫通穴に立設することができる。この構成によれば、フランジ25fの裏面25f1が膨出部5の表面5bに当接することとなり、安定する(図11から図17参照)。
【0038】
フランジ25fは、筒体20の外周であればどこに備えてもよい。また、突出していればよく、形状等は問わない。その他、フランジ25fを備えた筒体20は、貫通穴10が二段穴の玩具本体3であっても利用することができる。なお、図11から図17に関しては、玩具本体3及び筒体20の内部構造は他と同一であるため省略する。
【0039】
筒体20が玩具本体3と別体の場合、貫通穴10に筒体20を支持するための支持凸部11bを貫通穴10の内周面に複数個備えていることが望ましい。具体的には、二段穴の場合は、第一段目の穴11の内周面11aに複数個の支持凸部11bを備え、発泡口25の外周を支持凸部11bで支持することによって、貫通穴10に筒体20を支持し立設することができる。
【0040】
さらに、貫通穴10の内周面を凹凸形状とすることが望ましい。具体的には、二段穴の場合は、第二段目の穴12の内周面12aを凹凸形状とする。このように凹凸形状とすることによって、シャボン液に浸漬板7を浸漬した際も第二段目の穴12の付近のシャボン液がすぐさま流れ落ちず、第二段目の穴12の出口付近にシャボン液が膜状に付着しやすくなる。もちろん、貫通穴10がストレート穴の場合も貫通穴10の内周面を凹凸形状とすることが望ましい。
【0041】
図10等では、第二段目の穴12の内周面12aに6個の液溜り凸部12bを備えることによって凹凸形状としているが、この液溜り凸部12bの位置、大きさ、数は問わないため、適宜選択することができる。また、貫通穴10内に段部15がないストレート穴の場合は、筒体20の発泡口25の内周面25aに液溜り用の多数の突状26を備えていれば、これらの突状26にシャボン液が溜まることとなるため、貫通穴10の内周面に液溜り凸部12bを備えていなくても、液溜り凸部12bを備えているのと同様の効果を奏することができる。
【0042】
また、玩具本体3の全体の他の例の形状としては、一例として、図8で図示した略円柱形状の他、図示しないが、略楕円柱形状、略方形状、略角丸方形状が挙げられる。その他、略台形状、略菱形状、略多角形状、略ハート形状等であってもよい。この場合、玩具本体の軽量化を図るため、適所に一又は複数の肉抜きや、内部の適所に一又は複数の空洞を設けてもよい。また、大きさ等も問わない。
【0043】
玩具本体3が浸漬板7と膨出部5とで構成する全体として凸形状の一の例の場合、シャボン液に浸漬板7を浸漬するが、図8で図示した他の例の玩具本体3の場合は、浸漬板7や膨出部5といった箇所に分類できないことがあり、玩具本体3の裏面3b側が浸漬板7の役割を有することとなる。すなわち、シャボン液に玩具本体3の裏面3bを浸漬することによって、両貫通穴10の出口(発泡口17)にはシャボン液の膜50が張った状態となり、浸漬板7の場合と同様に複合的シャボン玉300を生成することができる。その他の貫通穴10の構造等に関しては、一の例の場合と同様である。
【0044】
凹凸の大きさや位置、凹凸の数は適宜設定できる。
口で吹くことによってシャボン玉を生成することができる筒体20は、本発明においては、2本使用する構成となっている。すなわち、1本を大きなシャボン玉100を生成するための筒体20、もう1本を大きなシャボン玉100の中に複数の小さなシャボン玉200を生成するための筒体20に分類できる。すなわち、この2本の筒体20をそれぞれ分けて吹くことによって複合的シャボン玉300を生成することができる。また、2本の筒体20は、それぞれが略同一、すなわち、略同長、略同内径、略同外径等であることが望ましい。
【0045】
筒体20を玩具本体3と別体とした場合、玩具本体3から筒体20を着脱自在とすることができるが、この場合、市販の筒体20を利用することもできる。市販の筒体20の構成の一例として、空気を吹き込む吹き口21、空気が通り抜ける通路23を備えた筒本体22、シャボン玉が生成される発泡口25からなる。筒本体22には、シャボン液誤飲防止のための通気穴24を備える(不図示)。また、発泡口25の内周面25aには液溜り用の多数の突状26を備えている(図2等参照)。
【0046】
玩具本体3に立設する2本の筒体20は適宜間隔を空けており、それぞれが独立している。そして、それぞれが各貫通穴10に挿入立設し、各筒体20内の通路23と各貫通穴10が連通している(図10参照)。したがって、吹き口21から空気を吹き込めば、その空気は筒体20内の通路23、発泡口25(第一段目の穴11)を通り、その後、第二段目の穴12を通り、そして貫通穴10の出口(発泡口17)から排出される。
【0047】
受皿30は、シャボン液を入れておき、このシャボン液に浸漬板7(玩具本体3)を浸漬することができるように上方開放となっており、望ましくは把手31を備える(図10参照)。
【0048】
上述のように、玩具本体3は様々な形状が挙げられており、受皿30は玩具本体3の形状に合致した形状であることが望ましいが、少なくとも玩具本体3よりも大きければ、受皿30が玩具本体3の形状に合致していなくてもよい。したがって、少なくとも受皿30の内縁(内径)が浸漬板7の外縁7d(外径)や玩具本体3の外縁3d(外径)よりも広口であることが望ましい。このような浸漬板7や玩具本体3よりも広口の受皿30場合、シャボン液が浸漬板7から垂れても受皿30で受けることができるため、床面を汚すことが少なくなり、衛生的かつ安全である。
【0049】
本発明を使用して複数のシャボン玉、具体的には、一つの大きなシャボン玉100の中に複数の小さなシャボン玉200(多重、複合的シャボン玉300)を生成する方法について、一の例の玩具本体3に基づいて説明する。
【0050】
図9では、2本の筒体20を玩具本体3に立設した本発明を正面から図示している。上述したように、玩具本体3の両貫通穴10に立設した2本の筒体20は、1本を大きなシャボン玉100を生成するための筒体20、もう1本を大きなシャボン玉100の中に複数の小さなシャボン玉200を生成するための筒体20としている。
【0051】
最初に、受皿30にシャボン液を入れ、このシャボン液に浸漬板7を浸漬させた後、浸漬板7を一旦上げる。この作業を行うことによって、貫通穴10の出口(発泡口17)にシャボン液を膜状に付着させることができる。すなわち、両貫通穴10の出口にはシャボン液の膜50が張った状態となる(図18参照)。なお、図18図19図20中、膜50は、ハーフトーン(網掛)で表現している。
【0052】
この状態で大きなシャボン玉100を生成する1本の筒体20(この時点においてはどちらの筒体20であってもよい)にゆっくりと息を吹き込む。すると、息を吹き込んだ筒体20側の貫通穴10の出口(発泡口17)に付着したシャボン液の膜50が徐々に膨らんで球状の膨らみかけたシャボン玉55となり(図19参照)、浸漬板7の裏面7bに沿ってさらに膨らみ、浸漬板7の外縁7d一杯に広がる1つの大きいシャボン玉100を生成することができる(図20参照)。このようにして、1つの大きいシャボン玉100が完成する。
【0053】
1つの大きいシャボン玉100が浸漬板7の外縁7d一杯に広がった上記の状態のまま、大きなシャボン玉100の中に複数の小さなシャボン玉200を生成するため、大きなシャボン玉100を生成した筒体20ではないもう一方の筒体20に息を吹き込む(図21参照)。ちなみに、大きなシャボン玉100の中に複数の小さなシャボン玉200を生成する場合、比較的強く息を吹き込むと複数の小さなシャボン玉200が生成し易くなる(図22参照)。このようにして、1つの大きいシャボン玉100の中に複数の小さなシャボン玉200を生成させることができる(図23参照)。
【0054】
上記の状態では、1つの大きいシャボン玉100が浸漬板7の外縁7dから剥離していないので、素早く玩具本体3を上下左右に動かす等によって、1つの大きいシャボン玉100を浸漬板7の外縁7dから剥離させ、生成した複合的シャボン玉300を空中に浮遊させることができる(図16参照)。
【0055】
以上のような方法により、誰でも簡単に複合的シャボン玉300を生成することができるため、1つの大きいシャボン玉100の中に複数の小さなシャボン玉200を空中に浮遊させて楽しむことができる。
【0056】
その他、2本の筒体20、20を同時に吹くことによって、複数の小さなシャボン玉200を生成することができる。
【0057】
上述のとおり、2本の筒体20はそれぞれが独立しているため、2本の筒体20が同じ構造や同じ長さ等であるような場合は、複合的シャボン玉300を生成する際、どちらの筒体20を吹いても大きなシャボン玉100を生成することができるため、大きなシャボン玉100を生成するための筒体20か、又は、大きなシャボン玉100の中に複数の小さなシャボン玉200を生成するための筒体20かの判別に悩むことがなくなる。
【0058】
玩具本体3、筒体20、受皿30の材質としては、シャボン液に対して耐性があれば、例えば、金属、アルミ等の非鉄金属、木材、竹材等どのような材質であってもよいが、比較的安価で製造が容易な各種樹脂等が望ましい。
【0059】
本発明の材質を樹脂とした場合、製造方法に関しては特に制限はなく、どのような製造方法で製造してもよい。したがって、射出成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形等、公知の技術を使用することができ、また、3Dプリンターで製造してもよい。
【0060】
上述のとおり、玩具本体3の形状は問わず、また、色彩、模様の有無も問わない。これにより、本発明を商品として販売する際、本発明全体として、また、本発明と商品パッケージ等と合わせて様々な商品形態(販売形態)とすることが考えられる。
【0061】
具体的には、本発明によって生成されるものは「シャボン玉」であるので、本発明全体や商品パッケージ等を合わせて、「泡」や「鼻提灯」を出す甲殻類や動物、人間等をイメージするような商品形態、パッケージデザインとしてもよい。
【0062】
例えば、シャボン玉を生成する玩具本体3(浸漬板7)で蟹の口元(出水孔)をイメージした形状等として、その他の本発明の構成物品又は商品パッケージデザイン等で蟹を彷彿とさせるような商品形態が考えられる。また、その他、玩具本体3(浸漬板7)の貫通穴10、10で人間の鼻の穴や、ゾウやブタ等の動物の鼻の穴をイメージして、本発明全体又は商品パッケージデザイン等でゾウやブタ等の動物を彷彿とさせるような商品形態が考えられる。
【0063】
また、人形、張りぼて、各種看板やパネル、さらには、着ぐるみの一部に本発明を装着可能とすることによって人形等と複合的シャボン玉300との相乗効果を得ることができる。例えば、着ぐるみの蟹の口元(出水孔)に本発明を脱着自在とし、蟹の口元(出水孔)から複合的シャボン玉300を生成することによって、蟹が口元(出水孔)から泡を吹いたイメージを演出させることができ、イベント等では観客を一層盛り上げられると予想できる。
【0064】
上記のような商品形態とすることによって、各種イベント、展示会、プロモーションにおいて販促品、PR品等として有効活用することができる。
【0065】
以上、各実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態に記載の技術、又は、その他の公知や周知の技術を組み合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1:シャボン玉玩具
3:玩具本体
3b:裏面
3d:外縁
5:膨出部
5a:周面
5b:表面
5d:外縁
7:浸漬板
7a:表面
7b:裏面
7d:外縁
10貫通穴
11:第一段目の穴
11a:内周面
11b:支持凸部
12:第二段目の穴
12a:内周面
12b:液溜り凸部
15:段部
15a:表面
17:発泡口
20:筒体
20a:先端
21:吹き口
22:筒本体
23:通路
24:通気穴
25:発泡口
25a:内周面
25f:フランジ
25f1:裏面
26:突状
30:受皿
31:把手
50:膜
55:膨らみかけたシャボン玉
100:大きなシャボン玉
200:小さなシャボン玉
300:複合的シャボン玉
V:鉛直方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【手続補正書】
【提出日】2020-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具本体と、それぞれに吹き口を備えた2本の筒体と、を備えたシャボン玉玩具であって、
前記玩具本体には、鉛直方向に穿設した2つの貫通穴がそれぞれ独立して並列し、
2本の前記筒体はそれぞれが独立し、それぞれが各前記貫通穴に立設し、各前記筒体内の通路と各前記貫通穴が連通していることを特徴とした、シャボン玉玩具。
【請求項2】
玩具本体と、2本の筒体と、を備えたシャボン玉玩具であって、
前記玩具本体は、浸漬板と膨出部とで構成し、前記浸漬板の表面から前記膨出部が膨出した凸形状であり、
前記浸漬板及び前記膨出部には、鉛直方向に穿設した2つの貫通穴がそれぞれ独立して並列し、
2本の前記筒体はそれぞれが独立し、それぞれが各前記貫通穴に立設し、各前記筒体内の通路と各前記貫通穴が連通していることを特徴とした、シャボン玉玩具。
【請求項3】
前記貫通穴には、内径の異なる第一段目の穴及び第二段目の穴を形成し、
前記第一段目の穴と前記第二段目の穴との境目を段部とすることを特徴とした、請求項1又は請求項2に記載のシャボン玉玩具。
【請求項4】
各前記貫通穴の内周面を凹凸形状としたことを特徴とした、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具。
【請求項5】
請求項1に記載の前記玩具本体の裏面又は請求項2に記載の前記浸漬板の裏面は、平滑性を有することを特徴とした、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具
【請求項6】
前記玩具本体と2本の前記筒体とは一体又は着脱自在であることを特徴とした、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具。
【請求項7】
請求項1に記載の前記玩具本体又は請求項2に記載の前記浸漬板を平面視略台形状、平面視略円形状、平面視略菱形状、平面視略多角形状、平面視略ハート形状のうちいずれかとすることを特徴とした、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具。
【請求項8】
前記筒体の外周にフランジを備えたことを特徴とした、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具。
【請求項9】
上方開放する受皿と、をさらに備え、
少なくとも前記受皿の内縁が請求項1に記載の前記玩具本体の外縁又は請求項2に記載の前記浸漬板の外縁よりも広口であることを特徴とした、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
請求項1の発明は、玩具本体と、それぞれに吹き口を備えた2本の筒体と、を備えたシャボン玉玩具であって、玩具本体には、鉛直方向に穿設した2つの貫通穴がそれぞれ独立して並列し、2本の筒体はそれぞれが独立し、それぞれが各貫通穴に立設し、各筒体内の通路と各貫通穴が連通していることを特徴とした、シャボン玉玩具である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項5の発明は、請求項1に記載の玩具本体の裏面又は請求項2に記載の浸漬板の裏面は、平滑性を有することを特徴とした、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項6の発明は、玩具本体と2本の筒体とは一体又は着脱自在であることを特徴とした、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項7の発明は、請求項1に記載の玩具本体又は請求項2に記載の浸漬板を平面視略台形状、平面視略円形状、平面視略菱形状、平面視略多角形状、平面視略ハート形状のうちいずれかとすることを特徴とした、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項9の発明は、上方開放する受皿と、をさらに備え、少なくとも受皿の内縁が請求項1に記載の玩具本体の外縁又は請求項2に記載の浸漬板の外縁よりも広口であることを特徴とした、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のシャボン玉玩具である。