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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040465
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】空調用レジスタ
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20220304BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
F24F13/15 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145203
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢一
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB02
3L081FA04
3L211BA43
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】ノブを下流フィンの長辺方向に円滑に移動できる空調用レジスタを提供する。
【解決手段】空調用レジスタは、空調用空気を流す通風路に設けられた長板状の下流フィン3と、通風路の下流フィン3よりも上流側に設けられた上流フィンと、下流フィン3がその長辺方向に貫通するノブと、を備える。ノブは、下流フィン3の長辺方向に移動することにより上流フィンを回転させる。下流フィン3は、ノブを貫通する貫通部24と、その貫通部24に組み付けられた突出部材29と、を備える。突出部材29は、下流フィン3よりも軟質の弾性材料で形成され、貫通部24から下流フィン3の厚さ方向に突出する。突出部材29の貫通部24からの突出量は、ノブを下流フィン3から取り外した状態のとき、貫通部24における突出部材29を含めた下流フィン3の厚さ方向の幅X1がノブの内部空間における厚さ方向の幅X2よりも大きくなる値とされる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用空気を流す通風路に設けられた長板状の下流フィンと、前記通風路の前記下流フィンよりも上流側に設けられた上流フィンと、前記下流フィンがその長辺方向に貫通するノブと、を備えており、前記下流フィンは、第1回転軸の中心線回りに回転することが可能であり、前記ノブは、前記下流フィンの長辺方向に移動可能であり、その移動を通じて前記上流フィンを第2回転軸の中心線回りに回転させる空調用レジスタにおいて、
前記下流フィンは、前記ノブを貫通する貫通部と、その貫通部に組み付けられた突出部材と、を備えており、
前記突出部材は、前記下流フィンよりも軟質の弾性材料で形成され、前記貫通部から前記下流フィンの厚さ方向に突出するものであり、
前記突出部材の前記貫通部からの突出量は、前記ノブを前記下流フィンから取り外した状態のとき、前記貫通部における前記突出部材を含めた前記下流フィンの厚さ方向の幅が前記ノブの内部空間における前記厚さ方向の幅よりも大きくなる値に定められている
ことを特徴とする空調用レジスタ。
【請求項2】
前記突出部材は、前記下流フィンの長辺方向に延びた形状となっている請求項1に記載の空調用レジスタ。
【請求項3】
前記突出部材は、前記貫通部を前記下流フィンの厚さ方向に貫通しており、
前記突出部材における前記貫通部から突出する部分と反対側の端部には、同突出部材が前記貫通部に対し同貫通部からの突出方向に抜けないようにするための抜け止め部が形成されている請求項1又は2に記載の空調用レジスタ。
【請求項4】
前記突出部材は、前記貫通部を前記下流フィンの厚さ方向に貫通しており、
前記突出部材の両端部は、前記貫通部から突出しており、且つ同貫通部内に位置する部分よりも大きい幅を有している請求項1又は2に記載の空調用レジスタ。
【請求項5】
前記突出部材は、前記下流フィンの短辺方向に間隔をおいて複数設けられている請求項1~4のいずれか一項に記載の空調用レジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調用レジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両は、空調装置及び空調用レジスタを備えている。空調装置から流れる空調用空気は、空調用レジスタを介して車室内に吹き出される。空調用レジスタは、空調用空気の吹き出し方向を調整するためのものである。
【0003】
空調用レジスタは、空調用空気を流す通風路に設けられた下流フィン及び上流フィンを有している。下流フィンは、長板状に形成されており、第1回転軸の中心線回りに回転可能とされている。また、上流フィンは、通風路における前記下流フィンよりも上流側に位置している。上流フィンは、第2回転軸の中心線回りに回転可能とされている。第2回転軸は、第1回転軸とは異なる方向に延びている。
【0004】
特許文献1に示すように、下流フィンには、ユーザーによって操作されるノブが取り付けられている。このノブは、下流フィン及び上流フィンを操作するために用いられる。
下流フィンは、ノブを貫通する貫通部を備えている。この貫通部にはノブに向けて突出する突部が一体形成されている。ノブは、下流フィンの長辺方向に移動することが可能となっている。ユーザーは、ノブを手でつまむことにより、下流フィンを第1回転軸の中心線回りに回転させることができる。また、ユーザーは、ノブを下流フィンの長辺方向に移動させることにより、上流フィンを第2回転軸の中心線回りに回転させることもできる。すなわち、このときにノブが上流フィンを押すことにより、上流フィンが第2回転軸の中心線回りに回転する。
【0005】
ユーザーは、空調用レジスタにおける下流フィン及び上流フィンの回転位置を変更することにより、車室内への空調用空気の吹き出し方向を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-65506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、下流フィンの貫通部に突部が一体形成されている。そして、突部とノブとが接触するため、貫通部とノブとの接触面積が小さくなる。その結果、ノブが下流フィンの長辺方向に移動するよう、ユーザーは弱い力でノブを操作できる。
【0008】
しかし、ユーザーがノブを下流フィンの長辺方向に移動させるとき、ユーザーの手の力がノブを下流フィンに対し傾斜させるように作用する。このとき、ノブは、下流フィンの厚さ方向に傾斜するよう変形する可能性がある。このようにノブが変形すると、突部とノブとの間に隙間が生じる。この場合、ノブが下流フィンの長辺方向に移動するとき、突部とノブとの間の隙間の分、ノブのがたつきが生じる。その結果、ノブを下流フィンの長辺方向に円滑に移動できなくなる。
【0009】
本発明の目的は、ノブを下流フィンの長辺方向に円滑に移動できる空調用レジスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する空調用レジスタは、空調用空気を流す通風路に設けられた長板状の下流フィンと、通風路の下流フィンよりも上流側に設けられた上流フィンと、下流フィンがその長辺方向に貫通するノブと、を備えている。下流フィンは、第1回転軸の中心線回りに回転することが可能である。ノブは、下流フィンの長辺方向に移動可能であり、その移動を通じて上流フィンを第2回転軸の中心線回りに回転させる。下流フィンは、ノブを貫通する貫通部と、その貫通部に組み付けられた突出部材と、を備えている。突出部材は、下流フィンよりも軟質の弾性材料で形成され、貫通部から下流フィンの厚さ方向に突出するものである。突出部材の貫通部からの突出量は、ノブを下流フィンから取り外した状態のとき、貫通部における突出部材を含めた下流フィンの厚さ方向の幅がノブの内部空間における上記厚さ方向の幅よりも大きくなる値に定められている。
【0011】
上記構成によれば、ノブを下流フィンに取り付けた状態、すなわち下流フィンの貫通部がノブを貫通した状態では、貫通部に組み付けられた突出部材がノブの内面に押し付けられて弾性変形する。これは、突出部材が下流フィンよりも軟質の弾性材料で形成されており、且つ、突出部材の貫通部からの突出量が上述したように定められているためである。従って、ユーザーがノブを下流フィンの長辺方向に移動させるとき、ユーザーの手の力がノブを下流フィンに対し傾斜させるように作用することに伴い、ノブが下流フィンに対し厚さ方向に傾斜するように変形した場合でも、突出部材がノブの内面に押し付けられた状態に保持される。このため、ノブの上記変形により突出部材とノブとの間に隙間が生じることはなく、ノブが下流フィンの長辺方向に移動する際の上記隙間によるノブのがたつきを抑制できる。
【0012】
上記空調用レジスタにおいて、突出部材は、下流フィンの長辺方向に延びた形状となっているものとすることが考えられる。
この構成によれば、下流フィンの貫通部が貫通するノブの内面には、下流フィンの長辺方向に延びる突出部材が押し付けられる。このため、ユーザーがノブを下流フィンの長辺方向に移動させるとき、ノブが下流フィンに対し厚さ方向に傾斜するように変形したとしても、上上述したように延びる記突出部材がノブからの力を受けることによって上記変形を抑えることができる。
【0013】
上記空調用レジスタにおいて、突出部材は、貫通部を下流フィンの厚さ方向に貫通している。更に、突出部材における貫通部から突出する部分と反対側の端部には、同突出部材が貫通部に対し同貫通部からの突出方向に抜けないようにするための抜け止め部が形成されている。
【0014】
ノブを下流フィンの長辺方向に移動させるとき、突出部材とノブとの間の摩擦力によって突出部材が貫通部から抜き出す方向に引っ張られる。上記構成によれば、突出部材が貫通部から抜き出されることは、突出部材における貫通部から突出する部分と反対側の端部に形成された抜け止め部によって抑制される。
【0015】
上記空調用レジスタにおいて、突出部材は、貫通部を下流フィンの厚さ方向に貫通している。更に、突出部材の両端部は、貫通部から突出しており、且つ同貫通部内に位置する部分よりも大きい幅を有している。
【0016】
ノブを下流フィンの長辺方向に移動させるとき、突出部材とノブとの間の摩擦力によって突出部材が貫通部から抜き出す方向に引っ張られる。上記構成によれば、突出部材が貫通部から抜き出されることは、突出部材であって貫通部内に位置する部分よりも大きい幅の両端部によって抑制される。
【0017】
上記空調用レジスタにおいて、突出部材は、下流フィンの短辺方向に間隔をおいて複数設けられている。
この構成によれば、下流フィンの貫通部が貫通するノブの内面には、下流フィンの短辺方向に間隔をおいた複数の突出部材が押し付けられる。このため、ユーザーがノブを下流フィンの長辺方向に移動させるとき、ノブを上記複数の突出部材で支えることができる。従って、ノブを下流フィンの長辺方向に移動させるときにノブが下流フィンに対し傾きにくくなり、その傾きが円滑なノブの上記移動に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ノブを下流フィンの長辺方向に円滑に移動できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】空調用レジスタを示す斜視図。
図2】下流フィン及びノブを示す平面図。
図3】ノブ及び上流フィンを示す分解斜視図。
図4】下流フィン及びノブを図2の矢印A-A方向から見た状態を示す断面図。
図5】下流フィンの貫通部及び突出部材を示す断面図。
図6】貫通部及び突出部材の他の例を示す断面図。
図7】貫通部及び突出部材の他の例を示す断面図。
図8】貫通部及び突出部材の他の例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、空調用レジスタの一実施形態について、図1図5を参照して説明する。
図1に示す空調用レジスタはリテーナ1を備えており、通風路2がリテーナ1の内部を通過している。空調用レジスタにおいては、空調用空気がリテーナ1の通風路2を通過し、車室に吹き出される。空調用レジスタは、複数の下流フィン3,4と、複数の上流フィン5,6と、を備えている。下流フィン3,4及び上流フィン5,6は、空量用レジスタにおける空調用空気の吹き出し方向を変更するためのものである。
【0021】
下流フィン3,4は、空調用レジスタの通風路2に配置されている。下流フィン3,4は、図1の左右軸方向に延びる板状となっており、図1の上下軸方向に間隔をおいて並んでいる。複数の下流フィン3,4のうち、下流フィン3は中央に位置している。下流フィン4は、上下軸方向において下流フィン4の両側にそれぞれ配置されている。下流フィン3は、図1の左右軸方向に延びる回転軸7の中心線回りに回転可能となっている。下流フィン4は、図1の左右軸方向に延びる回転軸8の中心線回りに回転可能となっている。
【0022】
回転軸7は、下流フィン3の長辺方向の端部に固定されている。回転軸7は、リテーナ1に支持されることにより、回転軸7の中心線回りに回転可能となっている。また、回転軸7は、中心線方向に移動できないようにされている。回転軸7は、第1回転軸としての役割を担う。一方、回転軸8は、下流フィン4の長辺方向の端部に固定されている。回転軸8は、リテーナ1に支持されることにより、回転軸8の中心線回りに回転可能となっている。
【0023】
複数の下流フィン3,4は、同期して回転できるように互いに連結されている。このため、下流フィン3を回転軸7の中心線回りに回転させると、下流フィン3の回転が下流フィン4に伝達される。その結果、下流フィン3の回転と同じように、下流フィン4が回転軸8の中心線回りに回転する。下流フィン3と下流フィン4との連結は、リンク12によって実現されている。リンク12は、下流フィン3,4の長辺方向の端部であって、回転軸7,8よりも上流側に配置されている。
【0024】
上流フィン5,6は、通風路2における下流フィン3,4よりも上流側に配置されている。上流フィン5,6は、図1の上下軸方向に延びる板状となっており、図1の左右軸方向に間隔をおいて並んでいる。複数の上流フィン5,6のうち、上流フィン5は、中央に位置している。上流フィン6は、左右軸方向において上流フィン5の両側にそれぞれ配置されている。上流フィン5は、図1の上下軸方向に延びる回転軸13の中心線回りに回転可能となっている。上流フィン6は、図1の上下軸方向に延びる回転軸14の中心線回りに回転可能となっている。
【0025】
回転軸13は、上流フィン5の上下軸方向の端部に固定されている。回転軸13は、リテーナ1に支持されることにより、回転軸13の中心線回りに回転可能となっている。一方、回転軸14は、上流フィン6の上下軸方向の端部に固定されている。回転軸14は、リテーナ1に支持されることにより、回転軸14の中心線回りに回転可能となっている。複数の上流フィン5,6は、同期して回転できるように互いに連結されている。このため、上流フィン5を回転軸13の中心線回りに回転させると、上流フィン5の回転が上流フィン6に伝達される。その結果、上流フィン5の回転と同じように、上流フィン6が回転軸14の中心線回りに回転する。
【0026】
空調用レジスタにおいては、下流フィン3,4を回転させることにより、通風路2からの空調用空気の吹き出し方向が図1の上下軸方向に変更される。また、上流フィン5,6を回転させることにより、通風路2からの空調用空気の吹き出し方向が図1の左右軸方向に変更される。空調用レジスタは、下流フィン3及び上流フィン5を回転させるためのノブ23を備えている。ユーザーは、ノブ23を操作することにより、下流フィン3,4を回転させたり、上流フィン5,6を回転させたりする。
【0027】
次に、下流フィン3及びノブ23について詳しく説明する。
図1に示すように、下流フィン3は、ノブ23を左右軸方向に貫通している。ユーザーは、ノブ23を手で持つことができ、ノブ23を介して下流フィン3を回転軸7の中心線回りに回転させることができる。下流フィン3と下流フィン4とは、リンク12により同期して回転する。これにより、通風路2からの空調用空気の吹き出し方向が上下軸方向に変化する。
【0028】
図2に示すように、下流フィン3は、ノブ23を貫通する貫通部24を備えている。ノブ23は、下流フィン3の長辺方向に移動可能となっている。このときのノブ23の移動は、下流フィン3(貫通部24)に対する相対移動である。ノブ23の上流側(図2の上側)の端部には、一対のフォーク20が形成されている。図1に示すように、一対のフォーク20は、左右軸方向において上流フィン5を挟むよう位置している。
【0029】
図3に示すように、上流フィン5における下流側の部分には、上流フィン5を厚さ方向に貫通する空間部18が形成されている。上流フィン5の下流端、すなわち上記空間部18における下流側の部分には、上下軸方向に延びる連結バー19が設けられている。連結バー19は、ノブ23の一対のフォーク20によって挟まれる。
【0030】
連結バー19は、ノブ23が下流フィン3(図1)の長辺方向に移動するとき、その移動方向についてのノブ23(フォーク20)からの押圧を受ける。こうした押圧に伴い、上流フィン5が回転軸13の中心線回りに回転する。この上流フィン5の回転時、上流フィン5の連結バー19以外の箇所に対するフォーク20の接触は、上流フィン5の空間部18によって防止される。
【0031】
図3に示すように、複数の上流フィン5,6は、同期して回転できるよう、リンク15によって互いに連結されている。リンク12は、上流フィン5,6の上端に位置しており、且つ、回転軸13,14よりも上流側に位置している。ユーザーは、ノブ23を下流フィン3(図1)の長辺方向に移動させることにより、上流フィン5を回転軸13の中心線回りに回転させることができる。上流フィン5と上流フィン6とは、リンク15によって同期して回転する。これにより、通風路2からの空調用空気の吹き出し方向が、図1の左右軸方向に変化する。
【0032】
図4は、下流フィン3及びノブ23を図2の矢印A-A方向から見た状態を示している。ノブ23には、下流フィン3(貫通部24)を通すための貫通孔25が形成されている。貫通孔25は、下流フィン3の長辺方向(図4の紙面と直交する方向)に延びている。貫通部24は、貫通孔25内の上流側(図4の右側)に位置している。貫通孔25内の下流側(図4の左側)には、貫通孔25の内面から貫通部24の上流端に向けて突出する取付片26が形成されている。取付片26には弾性部材27が取り付けられており、弾性部材27は貫通部24の上流端に押し付けられている。
【0033】
図5に示すように、下流フィン3は、貫通部24に一体形成された複数の突部28と、貫通部24に組み付けられた複数の突出部材29と、を備えている。
下流フィン3(貫通部24)は例えば硬質な樹脂によって形成されている。こうした樹脂としては、ガラス繊維を含有するポリエチレンテレフタレート(PBT-GF)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエステル系熱可塑性エラストマ(TPC)、ポリアミド(PA)、ガラス繊維強化ポリアミド(PA-GF)等があげられる。
【0034】
突出部材29は、貫通部24よりも軟質の弾性材料で形成されている。こうした弾性材料としては、例えばオレフィン系熱可塑性エラストマ(TPO)、動的架橋型熱可塑性エラストマ(TPV)等の熱可塑性エラストマ(TPE)があげられる。
【0035】
突部28は、下流フィン3の短辺方向(図5の左右軸方向)に間隔をおいて複数形成されている。突部28は、貫通部24における厚さ方向の一方の面24aに位置している。突部28は、面24aからノブ23側(図5の下側)に向けて突出している。突部28は、下流フィン3の長辺方向(図5の紙面と直交する方向)に延びた形状となっている。
【0036】
突出部材29は、下流フィン3の短辺方向に間隔をおいて複数設けられている。突出部材29は、貫通部24における厚さ方向の他方の面24bに位置している。突出部材29は、面24aの突部28に対応するように位置している。突出部材29は、下流フィン3の長辺方向に延びた形状となっている。
【0037】
突出部材29は、貫通部24に埋め込まれた本体29aと、面24bからノブ23側(図5の上側)に向けて突出する端部29bと、を備えている。端部29bは、本体29aよりも大きい幅を有している。
【0038】
下流フィン3の貫通部24及び突出部材29は、インサート成形や二色成形といった射出成形によって形成されている。従って、射出成形によって貫通部24及び突出部材29が形成されたとき、突出部材29は貫通部24に組み付けられた状態となる。
【0039】
突出部材29の面24bからの突出量は、次の幅X1,X2に基づいて定められている。幅X1は、ノブ23を下流フィン3から取り外した状態のときの貫通部24の厚さ方向の最大幅、より詳しくは突部28及び突出部材29を含めた貫通部24の厚さ方向の最大幅である。幅X2は、上記厚さ方向におけるノブ23の内部空間(貫通孔25)の幅である。そして、幅X1と幅X2とが次の式「X1>X2」の関係を満たすよう、突出部材29の面24bからの突出量が定められている。
【0040】
次に、本実施形態の空調用レジスタの作用について説明する。
ノブ23を下流フィン3に取り付けた状態、すなわち下流フィン3の貫通部24がノブ23の貫通孔25を貫通した状態では、貫通部24に組み付けられた突出部材29(端部29b)がノブ23(貫通孔25)の内面に押し付けられて弾性変形する。これは、突出部材29が下流フィン3(貫通部24)よりも軟質の弾性材料で形成されており、且つ、突出部材29の貫通部24の面24bからの突出量が上述したように定められているためである。
【0041】
ユーザーがノブ23を下流フィン3の長辺方向に移動させるとき、ユーザーの手の力がノブ23を下流フィン3に対し傾斜させるように作用する。このとき、ノブ23は、下流フィン3の厚さ方向に傾斜するよう変形する可能性がある。ここで、突出部材29はノブ23(貫通孔25)の内面に押し付けられて弾性変形している。このため、上述したようにノブ23が変形した場合でも、突出部材29がノブ23(貫通孔25)の内面に押し付けられた状態に保持される。従って、上述したようにノブ23の変形に伴い、突出部材29とノブ23の内面との間に隙間が生じることはなく、ノブ23が下流フィン3の長辺方向に円滑に移動する際の上記隙間によるノブ23のがたつきを抑制できる。
【0042】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)ノブ23を下流フィン3の長辺方向に移動させる際、ノブ23ががたつくことを抑制できる。従って、ノブ23を下流フィン3の長辺方向に円滑に移動できる。
【0043】
(2)下流フィン3の貫通部24が貫通するノブ23(貫通孔25)の内面には、下流フィン3の長辺方向に延びる突出部材29が押し付けられる。このため、ユーザーがノブ23を下流フィン3の長辺方向に移動させるとき、ノブ23が下流フィン3に対し厚さ方向に傾斜するように変形したとしても、上述したように延びる突出部材29がノブ23からの力を受けることによって上記変形を抑えることができる。
【0044】
(3)ノブ23(貫通孔25)の内面には、下流フィン3の短辺方向に間隔をおいた複数の突出部材29が押し付けられる。このため、ユーザーがノブ23を下流フィン3の長辺方向に移動させるとき、ノブ23を上記複数の突出部材29で支えることができる。従って、ノブ23を下流フィン3の長辺方向に移動させるときにノブ23が下流フィン3に対し傾きにくくなり、その傾きが円滑なノブ23の上記移動に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
【0045】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・突出部材29は、図6に示す形状であってもよい。この突出部材29は、貫通部24を下流フィン3の厚さ方向に貫通している。突出部材29の本体29aにおける端部29bと反対側の端部は、抜け止め部29cとなっている。抜け止め部29cは、本体29aよりも大きい幅を有している。これにより、突出部材29が貫通部24に対し面24aから突出する方向に抜けないようにされる。
【0046】
ノブ23を下流フィン3の長辺方向に移動させるときには、突出部材29とノブ23との間の摩擦力によって突出部材29が貫通部24から抜き出す方向に引っ張られる。このとき、突出部材29が貫通部24から抜き出されることは、突出部材29の本体29aよりも大きい幅の抜け止め部29cによって抑制される。
【0047】
図6に示す下流フィン3において、突部28を省略してもよい。この場合、抜け止め部29cは、貫通部24の面24aよりも面24b寄りに位置していることが好ましい。この構成によれば、下流フィン3にノブ23を取り付けたとき、抜け止め部29cがノブ23(貫通孔25)の内面に接しない。このため、下流フィン3の厚さ方向についての抜け止め部29cの寸法誤差が製造時に生じたとしても、その寸法誤差が貫通部24の幅X1に影響を及ぼすことはない。従って、抜け止め部29cの上記寸法誤差に関係なく、突出部材29の面24bからの突出量を、上記式(1)の関係を満たすように定めることができる。
【0048】
・貫通部24において突部28を省略し、突出部材29の形状を図7に示す形状に変更してもよい。この突出部材29は、貫通部24を下流フィン3の厚さ方向に貫通している。突出部材29の本体29aにおける端部29bと反対側の端部29dは、端部29bと同じ形状を有している。すなわち、端部29dは、貫通部24の面24bから突出している。端部29dは、本体29aよりも大きい幅を有している。この構成では、ノブ23を下流フィン3に取り付けたとき、突出部材29の端部29bと端部29dとがノブ23(貫通孔25)の内面に押し付けられる。
【0049】
ノブ23を下流フィン3の長辺方向に移動させるときには、突出部材29とノブ23との間の摩擦力によって突出部材29が貫通部から抜き出す方向に引っ張られる。このときに突出部材29が貫通部24から抜き出されることは、本体29aよりも大きい幅を有する端部29b,29dによって抑制される。
【0050】
図8に示すように、貫通部24の面24b側に、図5の突出部材29と同じ形状の突出部材30を設けてもよい。この場合、突出部材30を下流フィン3の短辺方向(図8の左右軸方向)に間隔をおいて複数設けることが好ましい。また、下流フィン3の厚さ方向(図8の上下軸方向)において突出部材29と突出部材30との位置が重ならないよう、突出部材29と突出部材30との位置を図8の左右軸方向にずらすことが好ましい。これにより、ノブ23を下流フィン3の長辺方向に移動させるとき、ノブ23が下流フィン3に対し一層傾きにくくなる。
【0051】
・突出部材29は、必ずしも下流フィン3の長辺方向に延びている必要はない。
・突出部材29の端部29bは、必ずしも本体29aよりも大きい幅を有している必要はない。
【0052】
・突出部材29は、必ずしも複数設けられている必要はない。
図8に示す突出部材30は、必ずしも複数設けられている必要はない。
・ノブ23の取付片26及び弾性部材27を省略してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…リテーナ
2…通風路
3…下流フィン
4…下流フィン
5…上流フィン
6…上流フィン
7…回転軸
8…回転軸
12…リンク
13…回転軸
14…回転軸
15…リンク
18…空間部
19…連結バー
20…フォーク
23…ノブ
24…貫通部
25…貫通孔
26…取付片
27…弾性部材
24a…面
24b…面
28…突部
29…突出部材
29a…本体
29b…端部
29c…抜け止め部
29d…端部
30…突出部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8