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  • 特開-炎検知器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040659
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】炎検知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/12 20060101AFI20220304BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20220304BHJP
【FI】
G08B17/12 A
G02B7/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145465
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】萩原 直紀
(72)【発明者】
【氏名】田中 寛之
(72)【発明者】
【氏名】秋山 信幸
【テーマコード(参考)】
2H043
5C085
【Fターム(参考)】
2H043AE07
2H043AE09
2H043AE17
2H043AE23
5C085AA13
5C085AB01
5C085BA14
5C085CA30
5C085FA14
5C085FA40
(57)【要約】      (修正有)
【課題】衝撃試験と過圧試験に対する耐久性の高い炎検知器を提供する。
【解決手段】炎の検出機能を有する回路が形成された回路基板223を内蔵した防爆構造を構成する筐体と、筐体の正面側に設けられた開口部220Aに臨むように配設され、炎が発する所定波長光を受光する複数の検知用受光素子50A~50Cと、開口部と複数の検知用受光素子との間に設けられた検知窓222と、を備えた炎検知器であって、検知窓は、筐体の正面側の壁面に防爆構造を構成する固定部材がネジによって結合されることで、縁部全体が壁面と固定部材とによって挟持されて筐体に固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎の検出機能を有する回路が形成された回路基板を内蔵した防爆構造を構成する筐体と、
前記筐体の正面側に設けられた開口部に臨むように配設され、炎が発する所定波長光を受光する複数の検知用受光素子と、
前記開口部と前記複数の検知用受光素子との間に設けられた検知窓と、
を備えた炎検知器であって、
前記検知窓は、前記筐体の正面側の壁面に防爆構造を構成する固定部材がネジによって結合されることで、縁部全体が前記壁面と前記固定部材とによって挟持されて前記筐体に固定されるように構成されていることを特徴とする炎検知器。
【請求項2】
前記筐体の正面側の壁面には、前記開口部を囲むように突出形成された筒状の壁体が設けられ、前記壁体の内周面には雌ネジが形成され、
前記固定部材は、外周面に雄ネジが、内周面にフランジが、それぞれ形成され、
前記雌ネジに前記雄ネジが螺合されるようにして前記固定部材が前記壁体に結合され、前記フランジが前記検知窓の縁部に接触することで、前記検知窓が前記壁面と前記固定部材とによって挟持されていることを特徴とする請求項1に記載の炎検知器。
【請求項3】
前記フランジの内端部に前記開口部の方向へ向かうリブが形成され、前記リブが前記検知窓の縁部に接触されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の炎検知器。
【請求項4】
前記検知窓の周縁部と前記固定部材の内周面および前記フランジとの間には、弾性支持体が介装されていることを特徴とする請求項3に記載の炎検知器。
【請求項5】
前記筐体は、正面側に前記開口部を有する上部ケースと、前記上部ケースの前記開口部と反対の側に結合される下部ケースと、により構成され、
前記下部ケースの背面側には、前記筐体の内部に圧力を加えるための試験孔が形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の炎検知器。
【請求項6】
前記試験孔には、当該試験孔を閉塞可能な閉塞栓が着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の炎検知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎の検知を行う炎検知器に関し、特に可燃性ガスが充満又は滞留するおそれのある場所に設置される耐圧防爆構造を有する炎検知器において受光素子の前方の受光窓を覆う保護用ガラスの耐久性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災感知器として可燃性ガスが充満又は滞留するおそれのある場所に設置される耐圧防爆型炎検知器がある。炎検知器は、筐体の正面開口部から赤外線を受光して炎を検知する受光素子を備えており、受光素子の正面には透明な保護用ガラスを有する受光窓(センサ窓)が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の炎検知器は、図4(A)に示すように、受光窓に設けられている検知窓(透光性保護ガラス)34を断面L字型の支持部材39で支持し、検知窓34の周縁部とL字型の支持部材39との間にシリコンゴムや樹脂等からなる固着剤38を介在させることで耐圧を持たせる構成を採っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-358583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
耐圧防爆型炎検知器は、受光窓に設けられている保護用ガラスが、外から内側へ向けて衝撃力を作用させる衝撃試験と内側から外に向かう圧力を作用させる過圧試験に対する耐久性が求められる。特許文献1の炎検知器(図4(A))は、保護用ガラスの周縁部を支持するL字型の支持部材の支持片の幅が短いため、衝撃試験の衝撃力や過圧試験の圧力に対する耐力を主に固着剤の接着力に頼る構造であった。
一方、上記特許文献1の発明の出願当時に比べて現在は防爆の規格が厳しくなってきている。そのため、過圧試験での内圧に対して固着剤の接着力だけでは耐えられず、保護用ガラスが浮いてしまい気密性が損なわれてしまうおそれがあるという課題があることが明らかになった。
【0005】
また、特許文献1に記載されている炎検知器においては、図4(B)に示すように、検知窓(透光性保護ガラス)70の周縁部を支持する支持部材72と本体カバー71との接合面にOリング73を介在させて外部より検知器内部への水の浸入を防止する防水構造を開示している。
しかしながら、図4(B)に示す防水構造にあっては、検知窓70の周縁部とL字型の支持部材72との間の固着剤(シリコンゴムや樹脂等)74の性能が劣化した場合に、筐体正面の窓枠と検知窓(透光性保護ガラス)70の周縁部表面との隙間から水が浸入するおそれがあるという課題がある。
【0006】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、衝撃試験と過圧試験に対する耐久性の高い炎検知器を提供することにある。
本発明の他の目的は、筐体正面の窓枠と検知窓(透光性保護ガラス)の周縁部表面との隙間から水が浸入するおそれのない気密性の高い炎検知器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は、
炎の検出機能を有する回路が形成された回路基板を内蔵した防爆構造を構成する筐体と、
前記筐体の正面側に設けられた開口部に臨むように配設され、炎が発する所定波長光を受光する複数の検知用受光素子と、
前記開口部と前記複数の検知用受光素子との間に設けられた検知窓と、
を備えた炎検知器であって、
前記検知窓は、前記筐体の正面側の壁面に防爆構造を構成する固定部材がネジによって結合されることで、縁部全体が前記壁面と前記固定部材とによって挟持されて前記筐体に固定されるように構成したものである。
【0008】
上記のような構成を有する炎検知器によれば、検知窓の縁部が防爆構造を構成する上部ケースの壁面と固定部材とによって挟持されて筐体に固定されるため、衝撃試験で外部から検知窓に衝撃力が加えられたり過圧試験で筐体内部が加圧されたりしたとしても、検知窓が浮いたりすることがなく、しっかりと耐えることができる耐圧防爆構造を実現することができ、耐久性を向上させることができる。
ここで、「防爆構造を構成する筐体」や「防爆構造を構成する固定部材」とは、独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所が技術指針として刊行している「工場電気設備防爆指針」における「第1編総則」や「第2編耐圧防爆構造“d”」の「容器の材料」にて示されている条件に適合している材料を用いたものである。後述の実施例においては金属、より具体的にはステンレス鋳鋼を採用している。なお、上記指針の「非金属製容器及び容器の非金属製部分」で示されているように、金属製以外の場合、その材料としては例えばサファイアガラスやダイヤモンド、プラスチック等、上記指針を満たすものであれば良い。
【0009】
ここで、望ましくは、前記筐体の正面側の壁面には、前記開口部を囲むように突出形成された筒状の壁体が設けられ、前記壁体の内周面には雌ネジが形成され、
前記固定部材は、外周面に雄ネジが、内周面にフランジが、それぞれ形成され、
前記雌ネジに前記雄ネジが螺合されるようにして前記固定部材が前記壁体に結合され、前記フランジが前記検知窓の縁部に接触することで、前記検知窓が前記壁面と前記固定部材とによって挟持されるように構成する。
かかる構成によれば、検知窓を筐体に固定するための固定部材を簡単に筐体に結合させて、検知窓を固定することができる。
【0010】
さらに、望ましくは、前記フランジの内端部に前記開口部の方向へ向かうリブが形成され、前記リブが前記検知窓の縁部に接触されるように構成する。
かかる構成によれば、固定部材が検知窓に接触する部位がリブのみとなるため、リブの幅によって接触圧力すなわち固定力を自由に設定することができ、検知窓に使用する材料(ガラス)の強度や厚み等に応じて最適な固定力を容易に実現することができる。
【0011】
また、望ましくは、前記検知窓の周縁部と前記固定部材の内周面および前記フランジとの間には、弾性支持体が介装されているように構成する。
かかる構成によれば、弾性支持体が介装されているため、弾性支持体で衝撃を吸収して検知窓(保護ガラス)が破損するのを防止することができるとともに、検知窓の周縁部表面の隙間から水が浸入するのを防止することができ、炎検知器の気密性を高めることができる。
【0012】
また、望ましくは、前記筐体は、正面側に前記開口部を有する上部ケースと、前記上部ケースの前記開口部と反対の側に結合される下部ケースと、により構成され、
前記下部ケースの背面側には、前記筐体の内部に圧力を加えるための試験孔が形成されているように構成する。
かかる構成によれば、下部ケースの背面側に試験孔が形成されているため、検知器を組み立てた後に試験孔から筐体内部に圧力を加えて、防水性能を確認する試験を容易に行うことができる。
【0013】
さらに、望ましくは、前記試験孔には、当該試験孔を閉塞可能な閉塞栓が着脱可能に設けられているようにする。
かかる構成によれば、試験孔を閉塞栓で塞ぐことによって耐圧防爆構造を実現することができるとともに、試験孔から閉塞栓を外すことによって、本体ケース(下部ケース)と本体カバー(上部ケース)とからなる筐体の組立て、分解時に筐体に内在する空気の圧縮と減圧を回避でき、筐体の組立てと分解の作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る炎検知器によれば、衝撃試験と過圧試験に対する耐久性を高めることができる。また、本発明によれば、本体カバーの窓枠と検知窓(透光性保護ガラス)の周縁部表面との隙間から水が浸入するおそれのない気密性の高い炎検知器を提供することができる。さらに、製品を組み立てた後に防水性能を確認する試験を容易に行うことができるとともに、筐体の組立て、分解時に筐体に内在する空気の圧縮と減圧を回避でき、筐体の組立てと分解の作業を容易に行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る炎検知器の一実施形態を示すもので、(A)は炎検知器を斜め上方から見た斜視図、(B)は炎検知器を斜め下方から見た斜視図である。
図2】実施形態の炎検知器の内部構造を示す断面図である。
図3】実施形態の炎検知器の上部ケースの内部構造を示す拡大断面図である。
図4】(A)、(B)は、従来(特許文献1)の炎検知器における受光窓に設けられる保護用ガラスの支持構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る炎検知器の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態の炎検知器10の斜視図、図2はその内部構造を示す断面図である。
炎検知器は、一般に、背面側を取付け面に向けた状態で建造物の壁面に直接あるいは角度調整器などを台座として固定設置され、正面前方の領域の炎を検出する。かかる炎検知器は、検知対象のエリア内の複数の炎検知器を集中的に管理する図示しない受信機に配線により接続され、炎を検出すると、検出信号を受信機へ送信する。
【0017】
なお、以下の説明では、説明の便宜上、炎検知器を建造物に設置した状態で正面前方になる側を上側、背面側を下側と称する。また、本実施形態の炎検知器10では、図2に示すように、筐体20内に各々検出波長の異なる三つの赤外線センサ(例えば焦電素子)などからなる検知用受光素子50A,50B,50Cが横並びで回路基板223上に配設されており、場合によっては、炎検知器10の検知用受光素子50A,50B,50Cが向く方向を正面側、反対側を背面側と呼ぶ。なお、回路基板223には、検知用受光素子の他、これらの素子からの信号を増幅する回路や炎の有無を判定する回路等を構成する素子やICが実装されている。
【0018】
本実施形態の炎検知器10は、図1(B)に示すように、円筒状をなす上部ケース220と、その正面側を覆う円板状のカバープレート210と、円筒状をなし上部ケース220の背面側に結合されて設置箇所に固定される下部ケース230とからなる筐体20を備える。このうち上部ケース220と下部ケース230はステンレス鋳鋼製であり、カバープレート210はアルミ鋳造品でアルマイト処理を行うことで表面が黒色を呈するように形成されている。カバープレート210は、図1(A)に示すように、4箇所に設けられたネジ挿通穴に挿通されたネジ219によって、上部ケース220の上面に結合されている。
【0019】
カバープレート210と上部ケース220の上壁221には、図1(A)に示すように、長円状の受光窓部210A,220Aがそれぞれ形成され、受光窓部220Aには、例えばサファイアガラスのような透光材料からなる保護カバー222が検知用受光素子50A,50B,50Cの上方を覆うように配設されている。なお、本明細書においては、受光窓部210A,220Aに配設される透光性保護カバー222を検知窓と称する。
【0020】
上部ケース220の下部は、上記下部ケース230よりも若干外径が大きなドーム状の円筒体であり、上部ケース220の下部の開口部に下部ケース230の上端部が挿入され、上部ケース220の内側に下部ケース230の上端部が嵌め込まれる。そして、図1(B)に示すように、下部ケース230の底壁部233に側方へ突出するように形成された固定片233aに挿通されたネジ241によって、下部ケース230と上部ケース220とが結合されるように構成されている。
また、下部ケース230の下側には、翼状をなすフランジ状の取付けベース231が形成され、取付けベース231の4隅にネジ挿通穴232が形成されそのネジ挿通穴232に挿通されたネジによって設置面に固定されるように構成されている。
【0021】
図2には、炎検知器10の断面構造が示されている。
図2に示すように、カバープレート210と上部ケース220の上壁221との間には、透明な樹脂で形成された発光表示部を構成する長円環状の光放出部材211が配設されており、光放出部材211は受光窓部210Aを有するカバープレート210の内側縁部の下面と上部ケース220の上壁221の上面との間に挟持されている。
光放出部材211は環状(リング状)の本体部の断面が台形をなすように形成されており、リング内側に位置するテーパ部が光放出面として、カバープレート210の受光窓部210Aの内側に露出するように構成されている。さらに、上部ケース220の上壁221の受光窓部220Aの内側縁部にも、上記光放出部材211の内側に形成されたテーパ部と連続するようにテーパ部が形成されている。
【0022】
また、光放出部材211の下面には、上部ケース220内に収納された回路基板223上に実装された例えば赤色発光のLEDに対向する部位(2箇所)に光導入部が設けられている。これにより、光導入部より導入された光を環状の光放出部材211に沿って反射させながら誘導して、上記窓の内側より出射させることで、光放出部材211をリング状に光らせることができるように構成されている。このとき、光放出部材211の周囲が黒色のカバープレート210の受光窓部210Aで囲まれているため、明度差が大きくなり、より鮮明に発光表示部の発光状態を視認させることができる。
【0023】
また、図3に拡大して示すように、上部ケース220の上壁221の下面には、受光窓部220Aを囲むようにして下方へ突出した円筒状をなす垂下壁224が形成されている。そして、この垂下壁224の内壁面には雌ネジが形成されており、この雌ネジに、外周に雄ネジが形成された円筒状のステンレス製窓固定部材225が螺合されることで、窓固定部材225が垂下壁224の内側に装着されている。
さらに、窓固定部材225は、その内周面の中段位置に内側フランジ225aが形成されており、内側フランジ225aの内端部は上方へ僅かに突出したリブが全周に亘って設けられている。そして、このリブの内側には上記内側フランジ225aの上面と窓固定部材225の内周面に接するように断面L字状のシリコンゴムからなる弾性支持体226が配設されている。
【0024】
また、この弾性支持体226に外周面が接するようにして円形の検知窓222が配設され、検知窓222は、下面の縁部が上記内側フランジ225aの端部のリブに接触し、上面の縁部が上記上部ケース220の受光窓部220Aの内側縁部のテーパ部の下面に接触する状態で、上部ケース220の上壁221と窓固定部材225とに挟持されている。
なお、受光窓部220Aは長円形であるのに対し、検知窓222は円形である。従って、検知窓222は、上部ケース220の長円状受光窓部220Aの長径よりも若干大きな径を有するように形成される。図3は、受光窓部220Aの短径方向に沿った断面を示している。長径方向に沿った断面(図2)では、受光窓部220Aの縁部と検知窓222の縁部との重なり量は図3よりも少なくなっている。
【0025】
上記のように検知窓222が、ステンレス製の窓固定部材225の内側フランジ225aの端部と同じくステンレス製の上部ケース220の上壁221の下面との間に挟持されることで、機械的強度を固着剤(シリコンゴムを含む)の接着力だけに頼らない構造となる。その結果、衝撃試験時の衝撃力や過圧試験時の圧力にしっかりと耐えることができ、耐久性が向上する。
また、検知窓222の周縁部には、シリコンゴムからなる弾性支持体226が密着されているため、検知器の筐体内部の気密性を確保することができる。
さらに、検知窓222の上面縁部と上部ケース220の上壁221下面との間には、防水用のOリング227が配設されており、受光窓部220Aから浸入した水が筐体内に入るのを防止できるように構成されている。
【0026】
一方、図2に示すように、下部ケース230の下部には、上部ケース220の内部に収納された回路基板223と電気的に接続するためのケーブル30の端部のカプラ(接続具)32が結合される円筒状のケーブル接続部234が設けられている。また、ケーブル接続部234の反対側には、過圧試験をする際に筐体20の内部に圧縮空気を入れるための試験孔235と、試験孔235を閉塞するための閉塞栓236とが設けられている。閉塞栓236は、試験孔235に挿入可能でほぼ同径の円柱部236aと、円柱部236aの端部に設けられた鍔部236bとを有しており、鍔部236bに形成されたネジ挿通孔に挿通された2個のボルト237によって、試験孔235の縁部に固定される。
【0027】
さらに、閉塞栓236の円柱部236aの外周には、気密性維持のためのOリング238が配設されている。また、試験孔235を閉塞するための閉塞栓236が設けられているため、試験後に閉塞栓236を装着して試験孔235を塞ぐことによって、耐圧防爆構造を実現することができる。
さらに、上部ケース220と下部ケース230の組立て、点検のための分離の際に閉塞栓236を外すことによって、筐体に内在する空気の圧縮と減圧を回避でき、筐体の組立てと分解の作業を容易に行えるようになる。
【0028】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、上部ケース220の上壁221の下面に、受光窓部220Aを囲むようにして下方へ突出し内壁面には雌ネジが形成された円筒状の垂下壁224を設け、この垂下壁224の雌ネジに、外周に雄ネジが形成され内側フランジが形成された窓固定部材225を螺合させることで、上部ケース220の上壁221と窓固定部材225のフランジとによって検知窓222を挟持するように構成しているが、垂下壁224を省略して、窓固定部材225の縁部に複数のネジ挿通穴を設けるとともに、上部ケース220の上壁221の対応する部位にネジ穴を形成し、ビスによって窓固定部材225を固定し検知窓222を挟持するように構成しても良い。
【0029】
また、上記実施形態では、検知窓222を構成する透光性の材料としてサファイアガラスを使用すると説明したが、透光性材料はサファイアガラスに限定されるものではなく、使用する検知用受光素子の波長帯の光を透過し易い素材であれば良い。
さらに、上記実施形態では、本発明を炎検知器に適用したものについて説明したが、赤外線の代わりに紫外線を用いて炎を検知してもよく、また、本発明は炎検知器以外の検知器や監視カメラの筐体にも利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 炎検知器
20 筐体
30 ケーブル
32 カプラ
50A,50B,50C 検知用受光素子
210 カバープレート
211 光放出部材
220 上部ケース
220A 受光窓部(開口部)
221 上壁
222 検知窓(保護カバー)
223 回路基板
224 垂下壁
225 窓固定部材
226 弾性支持体(シリコンゴム)
227 Oリング(シール材)
230 下部ケース
231 取付けベース
232 ネジ挿通穴
233 底壁部
234 ケーブル接続部
235 試験孔
236 閉塞栓
図1
図2
図3
図4