(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040672
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】保持アーム
(51)【国際特許分類】
G02B 21/22 20060101AFI20220304BHJP
G02B 21/24 20060101ALI20220304BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20220304BHJP
A61B 90/25 20160101ALI20220304BHJP
F16C 11/06 20060101ALI20220304BHJP
F16C 11/10 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
G02B21/22
G02B21/24
G02B21/36
A61B90/25
F16C11/06 R
F16C11/10 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145484
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】390013033
【氏名又は名称】三鷹光器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝之
(72)【発明者】
【氏名】土居 正雄
【テーマコード(参考)】
2H052
3J105
【Fターム(参考)】
2H052AA13
2H052AB19
2H052AD04
2H052AF14
2H052AF21
3J105AA23
3J105AA24
3J105AA32
3J105AA37
3J105AB03
3J105AB22
3J105AB41
3J105AC01
3J105CB03
3J105CB17
3J105CC05
3J105DA04
3J105DA33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】3Dビュアーを手術顕微鏡に支持することができる小型の保持アームを提供する。
【解決手段】保持アーム11が、第1アームと第2アームから構成され、第1アームの基端部がボールジョイントを介して手術顕微鏡4の上面に取付けられ、第2アームの先端部にボールジョイントを介して3Dビュアー8を支持することができる。小型の保持アーム11がロック手段で保持アーム11の可動部を全てロックすることにより、3Dビュアー8を希望する位置及び向きで確実に固定することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部が手術顕微鏡の上面に取付けられ、先端部に3Dビュアーを支持する保持アームであって、
基端部が手術顕微鏡の上面に対してボールジョイントにより回転自在に取付けられる第1アームと、先端部に3Dビュアーがボールジョイントにより回転自在に支持される第2アームと、を具備し、
第1アームの先端部と第2アームの基端部は、第1アーム及び第2アームの長手方向に直交する共通した回転軸に沿って重ね合わせ状態で且つ回転軸を中心に回転自在な状態で接続され、
該回転軸と、第1アーム及び第2アームとの間に、第1アームのボールジョイントを中心とした回転と、第2アームのボールジョイントを中心とした回転と、回転軸を中心とした第1アーム及び第2アームの各回転の4箇所を単一の操作で同時にロック自在なロック手段が設けられていることを特徴とする保持アーム。
【請求項2】
第1アームのボールジョイントは、手術顕微鏡の上面に固定されるピンが一体的に形成されたボールと、該ボールが内接するソケット状の基端部から構成され、基端部の一部にピンの角度変更を許容する溝部が形成され、
第2アームのボールジョイントは、3Dビュアーを支持するピンが一体的に形成されたボールと、該ボールが内接するソケット状の先端部から構成され、先端部の一部にピンの角度変更を許容する溝部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の保持アーム。
【請求項3】
ロック手段が、
一端に回転操作用の操作部が設けられたボルト状の回転軸と、
該回転軸の外側に内面が螺合した状態で設けられ、一部が第1アームの先端部又は第2アームの基端部と係合して軸心を中心にした回転が規制され、回転軸の回転に伴い回転軸の長手方向に沿ってスライドするスライド筒と、
該スライド筒の第1アーム及び第2アームに対応する位置にそれぞれスライド筒の軸心を中心に回転自在に外挿され且つ一端に回転軸の長手方向で傾斜する斜面が形成されたスライダと、
第1アーム及び第2アームの内部にそれぞれ長手方向に沿って設けられ、一端にスライダの斜面に当接自在な斜面を有するクサビ部が形成され、他端にボールジョイントのボールに当接自在なカップ部が形成された軸圧伝達部と、
を具備することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の保持アーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手術顕微鏡に3Dビュアーを支持するための保持アームに関する。
【背景技術】
【0002】
スタンド装置から横方向に延びる支持アームの先端に支持される手術顕微鏡は左右一対の光学用接眼部を有し、メインドクターがこの光学用接眼部より術部の光学像を立体的に観察することができる。また手術顕微鏡にはカメラが組み込まれており、カメラにより術部を立体的に撮像して左右一対の電子映像を出力することができる。
【0003】
スタンド装置の支持アームの先端には先端部が手術顕微鏡の近くまで延びる保持アームが取付けられ、この保持アームの先端部に3Dビュアーが支持される。3Dビュアーにはカメラから出力された電子映像を表示する左右一対のパネルと、各パネルに対応する映像用接眼部が設けられている。従って、アシスタントドクターが3Dビュアーの映像用接眼部から左右のパネルに表示された電子映像を見ることにより、術部の立体的な映像を観察することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、スタンド装置の支持アームの先端から手術顕微鏡近くまで延びる保持アームを用いて3Dビュアーを支持していたため、保持アームがどうしても大型になり、スタンド装置全体の重量バランスに悪影響を与えていた。またスタンド装置の支持アームは保持アームの重量を支えるために強度を高める必要があり、スタンド装置側の設計にも影響を与えていた。そこで3Dビュアーをスタンド装置の支持アームでなく、より近くの手術顕微鏡に支持することができる小型の保持アームの提案が待たれている。
【0006】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、3Dビュアーを手術顕微鏡に支持することができる小型の保持アームを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の技術的側面によれば、基端部が手術顕微鏡の上面に取付けられ、先端部に3Dビュアーを支持する保持アームであって、基端部が手術顕微鏡の上面に対してボールジョイントにより回転自在に取付けられる第1アームと、先端部に3Dビュアーがボールジョイントにより回転自在に支持される第2アームと、を具備し、第1アームの先端部と第2アームの基端部は、第1アーム及び第2アームの長手方向に直交する共通した回転軸に沿って重ね合わせ状態で且つ回転軸を中心に回転自在な状態で接続され、該回転軸と、第1アーム及び第2アームとの間に、第1アームのボールジョイントを中心とした回転と、第2アームのボールジョイントを中心とした回転と、回転軸を中心とした第1アーム及び第2アームの各回転の4箇所を単一の操作で同時にロック自在なロック手段が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の技術的側面によれば、第1アームのボールジョイントは、手術顕微鏡の上面に固定されるピンが一体的に形成されたボールと、該ボールが内接するソケット状の基端部から構成され、基端部の一部にピンの角度変更を許容する溝部が形成され、第2アームのボールジョイントは、3Dビュアーを支持するピンが一体的に形成されたボールと、該ボールが内接するソケット状の先端部から構成され、先端部の一部にピンの角度変更を許容する溝部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の技術的側面によれば、ロック手段が、一端に回転操作用の操作部が設けられたボルト状の回転軸と、該回転軸の外側に内面が螺合した状態で設けられ、一部が第1アームの先端部又は第2アームの基端部と係合して軸心を中心にした回転が規制され、回転軸の回転に伴い回転軸の長手方向に沿ってスライドするスライド筒と、該スライド筒の第1アーム及び第2アームに対応する位置にそれぞれスライド筒の軸心を中心に回転自在に外挿され且つ一端に回転軸の長手方向で傾斜する斜面が形成されたスライダと、第1アーム及び第2アームの内部にそれぞれ長手方向に沿って設けられ、一端にスライダの斜面に当接自在な斜面を有するクサビ部が形成され、他端にボールジョイントのボールに当接自在なカップ部が形成された軸圧伝達部と、とから構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の技術的側面によれば、保持アームが、第1アームと第2アームから構成され、第1アームの基端部がボールジョイントを介して手術顕微鏡の上面に取付けられ、第2アームの先端部にボールジョイントを介して3Dビュアーが支持され、第1アームの先端部と第2アームの基端部が重ね合わされた状態で回転軸に対して回転自在に接続されている。そしてロック手段を解除することにより、保持アームを介して3Dビュアーを手術顕微鏡の前後左右上下いかなる任意の位置にも移動させることができ、更に3Dビュアーの向きも自由に変更することができる。そしてロック手段で保持アームの可動部を全てロックすることにより、3Dビュアーを希望する位置及び向きで確実に固定し、安定した状態で3Dビュアーの観察を行うことができる。従って、小型の保持アームだが3Dビュアーを手術顕微鏡に対して確実に支持することができる。
【0011】
本発明の第2の技術的側面によれば、第1アーム及び第2アームのソケット状の基端部及び先端部にそれぞれボールのピンの角度変更を許容する溝部が形成されているため、ボールのピンの角度変更範囲を溝部に沿う一方向へ拡大することができる。基端部及び先端部に溝部だけが形成されるため、基端部及び先端部の剛性が低下することなく、ボールジョイントとしての機能が確実に維持される。
【0012】
本発明の第3の技術的側面によれば、回転軸の操作部を回すことにより、スライド筒がスライダごとスライドし、第1アーム及び第2アーム内でスライダの斜面が各軸圧伝達部のクサビ部を押すことにより、軸圧伝達部には両端から圧縮力が加わると共に、その反力によりスライダがスライド筒を介して回転軸に圧接し且つカップ部がボールに圧接する。そのため回転軸を回すという単一操作で、第1アームのボールジョイントを中心とした回転と、第2アームのボールジョイントを中心とした回転と、回転軸を中心とした第1アーム及び第2アームの各回転の4箇所を同時にロックすることができる。従って、簡単に3Dビュアーを任意の位置及び向きに固定することができる。そして回転軸を逆側へ回転させれば、各可動部をフリーにすることができ、再度3Dビュアーの位置及び向きを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】手術顕微鏡を支持したスタンド装置を示す斜視図。
【
図2】手術顕微鏡と保持アームと3Dビュアーを示す斜視図。
【
図4】保持アームの位置を変えた手術顕微鏡を示す平面図。
【
図7】第2アームを分離した保持アームを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1~
図10は本発明の好適な実施形態を示す図である。
【0015】
以上及び以下において前後左右の方向性は
図1に示された通りである。
【0016】
スタンド装置1は上部に横方向に延びる支持アーム2を有し、この支持アーム2の先端に吊下アーム3を介して手術顕微鏡4が支持されている。スタンド装置1は平行リンク機構を利用したバランス式構造で、スタンド装置1を動かすことにより、支持アーム2の先端に支持された手術顕微鏡4の位置を移動させることができる。
【0017】
手術顕微鏡4は立体観察可能な構造で、観察対象である術部Gから左右2本の光束Lを内部に導入し、導入された2本の光束Lを内部の対物光学系及びズーム光学系を通過させた後、折り返して左右一対の光学用接眼部5に導いている。メインドクターはこの左右一対の光学用接眼部5から術部Gの光学像を立体的に観察することができる。
【0018】
手術顕微鏡4の上部には立体撮影可能なカメラ6が設けられており、手術顕微鏡4内の左右一対の光束Lの一部をそれぞれ分岐導入して術部Gを立体的に撮像し、撮像した左右一対の電子映像を出力することができる。
【0019】
カメラ6から出力された電子映像はケーブル7を介して3Dビュアー8に送られる。3Dビュアー8は内部にパネル(小型LCD)9を備え、そこにカメラ6から送られた術部Gに関する左右一対の電子映像をそれぞれ表示することができる。3Dビュアー8にはパネル9に対応する位置に映像用接眼部10が設けられ、そこからアシスタントドクターがパネル9に表示された電子映像を見ることにより、術部Gを立体的に観察することができる。アシスタントドクターはこの3Dビュアー8により術部Gを観察して手術状況を共有し、手術を的確に補助することができる。この3Dビュアー8は小型の保持アーム11を介して手術顕微鏡4の上面に取付けられる。
【0020】
次に保持アーム11の構造を
図5~
図10により説明する。尚、図示された保持アーム11の部品は、実際は複数の小部品で形成されていても一体的に機能する部分は一体物として表している。
【0021】
保持アーム11は直線状の第1アームAと第2アームBとから構成されている。第1アームAの基端部12aはソケット状になっており、内部のボール13aを包んでいる。この基端部12aとボール13aでボールジョイント14aが形成される。
【0022】
ボール13aにはフランジ状の先端を有するピン15aが一体的に形成されており、ピン15aが基端部12aから突出した状態になっている。基端部12aはピン15aの軸心を中心に回転することができる。また基端部12aのピン15aが突出した部分を含め、基端部12aには一方向に延びる溝部16aが形成されており、ピン15aがその溝部16aに沿って180°の範囲で角度変更することができる。
【0023】
第2アームBの先端部17bも、第1アームAの基端部12a同様にソケット状になっており、内部のボール13bを包んでいる。この先端部17bとボール13bでボールジョイント14bが形成される。
【0024】
ボール13bにはフランジ状の先端を有するピン15bが一体的に形成されており、ピン15bが先端部17bから突出した状態になっている。ボール13bはピン15bの軸心を中心に先端部17bに対して回転することができる。先端部17bのピン15bが突出した部分を含め、先端部17bには一方向に延びる溝部16bが形成されており、ピン15bがその溝部16bに沿って180°の範囲で角度変更することができる。
【0025】
第1アームA及び第2アームBのソケット状の基端部12a及び先端部17bにそれぞれボール13a、13bのピン15a、15bの角度変更を許容する溝部16a、16bが形成されているが、基端部12a及び先端部17bに形成されているのが溝部16a、16bだけであるため、ボール13a、13bを包む基端部12a及び先端部17bの剛性が低下することなく、ボールジョイント14a、14bとしての機能が確実に維持される。
【0026】
第1アームAの先端部17aと、第2アームBの基端部12bは、第1アームA及び第2アームBの長手方向に直交する共通した回転軸18に沿って重ね合わせ状態で接続されている。先端部17aと基端部12bの間には中間リング19が介在されており、この中間リング19も含めて、先端部17aと基端部12bは接続された状態で、回転軸18に沿って連続した円筒形状を形成する。
【0027】
回転軸18は、一端にキャップ20が接続され、他端に蝶形の操作部21が形成されたボルト形状をしている。第1アームAの先端部17aと第2アームBの基端部12bはこの回転軸18に対して2つのベアリング22を介して回転自在に取付けられている。
【0028】
接続された先端部17aと基端部12bの内部に位置する回転軸18には、回転軸18の外側に螺合するスライド筒23が設けられている。このスライド筒23の一端23eは四角形状で、同形状の内面を有する第1アームAの先端部17aと係合しており、回転軸18が回転してもスライド筒23は回転しないようになっている。従って操作部21を手で持って回転軸18を回転させると、その回転方向に応じてスライド筒23は回転軸18の長手方向に沿ってスライドする。
【0029】
更にスライド筒23の外側には、第1アームA及び第2アームBに対応する位置にそれぞれスライダ24a、24bが設けられている。スライダ24a、24bの間にはスペーサ25が介在されており、スライダ24a、24bはスライド筒23と長手方向では一体化している。
【0030】
スライダ24a、24bはスライド筒23が貫通した状態でスライド筒23に対しては回転自在であり、スライダ24a、24bの一端には回転軸18の長手方向で傾斜する斜面26a、26bが形成されている。
【0031】
第1アームAと第2アームBの内部には、それぞれ長手方向に沿って軸圧伝達部27a、27bが設けられている。軸圧伝達部27a、27bは基本的にパイプ形状で、その回転軸18側にはスライダ24a、24bの斜面26a、26bに当接自在な斜面28a、28bを有するクサビ部29a、29bが形成され、ボールジョイント14a、14b側にはボール13a、13bに当接自在なカップ部30a、30bが形成されている。軸圧伝達部27a、27bはそれぞれ第1アームA及び第2アームBと共に回転自在で、軸圧伝達部27a、27bのクサビ部29a、29bと当接しているスライダ24a、24bもスライド筒23を中心に回転する。
【0032】
このような構造をした保持アーム11の基端部12aのピン15aが手術顕微鏡4の上面に形成された固定部31に固定され、先端部17bのピン15bに3Dビュアー8の上部に形成された固定部32が固定される。従って3Dビュアー8が保持アーム11を介して手術顕微鏡4の上面に取付けられた状態となる。
【0033】
第1アームAの基端部12aはボールジョイント14aにより、ピン15aの軸心を中心に回転自在であるため、
図4に示すように、3Dビュアー8を手術顕微鏡4の横にも後ろにも持ってくることができる。
【0034】
また、第1アームAの基端部12aに溝部16aが形成されていることにより、その溝部16aに沿って第1アームAの角度変更を行うことができ、且つ第1アームA及び第2アームBが回転軸18を中心にそれぞれ回転自在であるため、3Dビュアー8の位置を上下させることもできる。
【0035】
更に、第2アームBの先端部17bのボールジョイント14bにより、3Dビュアー8をどのような位置に移動させても、その位置において最適の向きに変更することができる。
【0036】
この実施形態では、前述の回転軸18、スライド筒23、スライダ24a、24b、軸圧伝達部27a、27bによりロック手段が構成される。3Dビュアー8を任意の位置及び向きにした後、その状態を維持するため、ロック手段により保持アーム11の状態をロックすることができる。
【0037】
すなわち、回転軸18の操作部21を手で右に回転させると、回転軸18は回転するがスライド筒23はその一端23eが第1アームAの先端部17aと係合しているため回転しない。そのためスライド筒23は回転軸18に対して操作部21側にスライドする。スライド筒23と一体的にスライダ24a、24bもスライドし、互いに斜面26a、26b、28a、28bが当接している軸圧伝達部27a、27bを軸方向に押す。
【0038】
そうすると軸圧伝達部27a、27bに両端から圧縮力が加わり、その反力により一方のスライダ24a、24bがスライド筒23を介して回転軸18に圧接し、他方のカップ部30a、30bがボール13a、13bに圧接する。そのため操作部21を回すという単一操作で、第1アームAのボールジョイント14aを中心とした回転と、第2アームBのボールジョイント14bを中心とした回転と、回転軸18を中心とした第1アームA及び第2アームBの各回転の4箇所を同時にロックすることができる。そして回転軸18を逆側へ回転させれば、各可動部をフリーにすることができ、再度3Dビュアー8の位置及び向きを変更することができる。
【0039】
この実施形態によれば、基端部12aが手術顕微鏡4の上面に取付けられた保持アーム11の先端部17bに3Dビュアー8を支持する構造のため、スタンド装置1側に取付ける場合に比べて保持アーム11自体を小型にすることができる。従って、保持アーム11は軽量になりスタンド装置1全体の重量バランスに影響を与えることがなく、またスタンド装置1の支持アーム2の強度を必要以上に高める必要がないため、スタンド装置1の設計も容易になる。
【0040】
また手術顕微鏡4及び3Dビュアー8は、両者の姿勢及び位置関係を維持したまま、スタンド装置1の支持アーム2を回動させることにより、両方一緒に移動させることができるため、手術顕微鏡4を観察するメインドクター及び3Dビュアー8を観察するアシスタントドクターの両者にとって位置関係が変化せず操作性が良い。
【0041】
以上の説明では、第1アームA及び第2アームBのソケット状の基端部12a及び先端部17bに溝部16a、16bを形成してボールジョイント14a、14bの角度変更範囲を一方向に拡大していたが、ボール13a、13bを包む基端部12a及び先端部17bのピン15a、15bが通過する部分に、強度が低下しない範囲である程度の大きさの開口を形成し、その開口の許す範囲内で、ピン15a、15bを一方向でなく全方向へ角度変更可能にしても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 スタンド装置
2 支持アーム
4 手術顕微鏡
5 光学用接眼部
6 カメラ
8 3Dビュアー
9 パネル
10 映像用接眼部
11 保持アーム
12a、12b 基端部
13a、13b ボール
14a、14b ボールジョイント
15a、15b ピン
16a、16b 溝部
17a、17b 先端部
18 回転軸(ロック手段)
21 操作部
23 スライド筒(ロック手段)
24a、24b スライダ(ロック手段)
27a、27b 軸圧伝達部(ロック手段)
29a、29b クサビ部
30a、31b カップ部
A 第1アーム
B 第2アーム
G 術部
L 光束