(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040680
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20220304BHJP
B23K 9/10 20060101ALN20220304BHJP
【FI】
H02M3/00 Y
B23K9/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145499
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】楠橋 悠真
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 仁
【テーマコード(参考)】
4E082
5H730
【Fターム(参考)】
4E082GA03
5H730AA13
5H730ZZ01
5H730ZZ07
5H730ZZ11
5H730ZZ12
(57)【要約】
【課題】 より適切に清掃することが可能な電源装置を提供すること。
【解決手段】空洞状の風路91と、風路91に風を送り込むファン81と、風路91に沿って配置された部品3と、風路91と区画され、且つ部品3を収容する収容空間と、を備える電源装置A1であって、ファン81は、風路91に対してx方向一方側から風を送り込み、y方向における風路91の第1端部911を規定する第1端板部21および第2端部912を規定する第2端板部22をさらに備え、第1端板部21には、風路91の風を排気する第1排気口214が形成されており、第2端板部22は、風路91の一端を規定する閉状態と、収容空間93を閉状態に維持しつつ風路91を開放状態とする開状態と、をとる。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空洞状の風路と、
前記風路に風を送り込むファンと、
前記風路に沿って配置された部品と、
前記風路と区画され、且つ前記部品を収容する収容空間と、
を備える電源装置であって、
前記ファンは、前記風路に対して第1方向一方側から風を送り込み、
前記第1方向と直角である第2方向における前記風路の第1端部を規定する第1端板部および第2端部を規定する第2端板部をさらに備え、
前記第1端板部には、前記風路の風を排出する第1排出口が形成されており、
前記第2端板部は、前記風路の一端を規定する閉状態と、前記収容空間を閉状態に維持しつつ前記風路を開放状態とする開状態と、をとることを特徴とする、電源装置。
【請求項2】
前記第2端板部には、前記風路の風を排出する第2排出口が形成されている、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1端板部は、前記風路の一端を規定する閉状態と、前記風路を開放状態としつつ前記収容空間を閉状態に維持する開状態と、をとる、請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第1端部に脱着可能であり、且つ前記風路から排出される風に含まれる粉塵を捕集するフィルタをさらに備える、請求項1ないし3のいずれかに記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置は、設置される環境やその用途によって、通常の動作に加えて、装置内の清掃が必要な場合がある。特許文献1には、従来の電源装置の一例が開示されている。同文献に開示された電源装置は、通常の動作において冷却の対象となる部品を備える。この電源装置には、風路が設けられており、この風路に沿って部品が配置されている。通常の動作を継続すると、装置外の塵埃等が風路内に堆積する。風路内を清掃する際には、部品等を覆う筐体カバーを取り外し、風路を開口させる。そして、この開口からエアブロー等によって空気を吹き込み、塵埃等を排除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、たとえば溶接用途の電源装置は、高電圧、大電流の電力を供給するため、筐体カバーは、強固な構造であり、確実な固定がなされている。このため、清掃に際して筐体カバーを取り外すには、過度な労力を生じることがある。また、筐体カバーを取り外すことによって、風路とは区画された収容空間等に収容された部品が露出すると、この収容空間に塵埃等が侵入することが懸念される。
【0005】
本開示は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、より適切に清掃することが可能な電源装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によって提供される電源装置は、空洞状の風路と、前記風路に風を送り込むファンと、前記風路に沿って配置された部品と、前記風路と区画され、且つ前記部品を収容する収容空間と、を備える電源装置であって、前記ファンは、前記風路に対して第1方向一方側から風を送り込み、前記第1方向と直角である第2方向における前記風路の第1端部を規定する第1端板部および第2端部912を規定する第2端板部をさらに備え、前記第1端板部には、前記風路の風を排気する第1排気口が形成されており、前記第2端板部は、前記風路の一端を規定する閉状態と、前記収容空間を閉状態に維持しつつ前記風路を開放状態とする開状態と、をとることを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2端板部には、前記風路の風を排気する第2排気口が形成されている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1端板部は、前記風路の一端を規定する閉状態と、前記風路を開放状態としつつ前記収容空間を閉状態に維持する開状態と、をとる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1端部に脱着可能であり、且つ前記風路から排気される風に含まれる粉塵を捕集するフィルタをさらに備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、前記風路を清掃するためには、前記第2端板部を開状態とすればよい。また、前記第2端板部を開状態としても、前記収容空間は依然として開放されていない状態であり、前記収容空間に清掃時の塵埃等が侵入することを回避可能である。また、前記第1端板部には、前記第1排気口が設けられているため、通常の動作における排気に加えて清掃時の排気を前記第1排気口から行うことが可能である。したがって、電源装置をより適切に清掃することができる。
【0011】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る電源装置を示す分解斜視図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係る電源装置を示す側面図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係る電源装置を示す要部側面図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る電源装置を示す側面図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係る電源装置を示す要部側面図である。
【
図7】
図6のVII-VII線に沿う断面図である。
【
図8】本開示の第1実施形態に係る電源装置の第1端板部を示す正面図である。
【
図10】本開示の第1実施形態に係る電源装置の第2端板部を示す正面図である。
【
図12】本開示の第1実施形態に係る電源装置において第1端板部および第2端板部が開状態とされた要部断面図である。
【
図13】本開示の第1実施形態に係る電源装置においてフィルタが取り付けられた要部断面図である。
【
図14】本開示の第1実施形態に係る電源装置においてフィルタが取り付けられた側面図である。
【
図15】本開示の第1実施形態に係る電源装置において清掃作業をしめす要部断面図である。
【
図16】本開示の第2実施形態に係る電源装置を示す分解斜視図である。
【
図17】本開示の第2実施形態に係る電源装置を示す要部断面図である。
【
図18】本開示の第3実施形態に係る電源装置を示す断面図である。
【
図19】本開示の第4実施形態に係る電源装置を示す要部側面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1~
図15は、本開示の第1実施形態に係る電源装置を示している。本実施形態の電源装置A1は、ベース部材1、筐体カバー2、部品3、ヒートシンク5、仕切板61~65、ファン81、風路91、収容空間93および予備空間94を備えており、フィルタ4が脱着可能な構成である。また、電源装置A1は、たとえば電源装置A1の動作を制御するための制御部や、使用者が操作するための操作部等を適宜備えるが、各図においては省略している。本開示に係る電源装置の用途は何ら限定されず、本実施形態の電源装置A1は、たとえば溶接用途であり、溶接の具体例としてアーク溶接が挙げられる。このような電源装置A1は、一般的に高電圧および大電流の電力を供給し、工場などの塵埃が多い雰囲気環境下で使用される。
【0015】
図3は、理解の便宜上、後述の第1端板部21を省略している。
図5は、理解の便宜上、後述の第2端板部22を省略している。
図7、
図12、
図13および
図15は、風路91を規定し、あるいは風路91に関連する構成要素を示しており、他の構成要素を適宜省略している。x方向は、本開示の第1方向に相当し、y方向は、本開示の第2方向に相当する。z方向は、x方向およびy方向と直角である方向であり、電源装置A1が床面等に載置された場合に鉛直方向に相当する方向である。
【0016】
〔ベース部材1〕
ベース部材1は、筐体カバー2、部品3、ヒートシンク5、仕切板61~65およびファン81等を直接的または間接的に支持する部材である。ベース部材1の具体的構成は何ら限定されず、図示された例においては、x方向およびy方向に沿った平板状である。ベース部材1のz方向下面には、複数の車輪10が取り付けられている。複数の車輪10は、床面等に載置された電源装置A1をよりスムーズに移動させるためのものである。
【0017】
〔仕切板61~65〕
仕切板61~65は、筐体カバー2内の空間を区画するためのものである。仕切板61~65の材質は特に限定されず、金屬板や絶縁性の樹脂等からなる板部材が適宜選択される。
図1~
図5に示すように、仕切板61は、x方向およびy方向に沿った平板状であり、筐体カバー2内の空間をz方向に区画している。仕切板62は、y方向およびz方向に沿った平板状であり、
図1~
図6に示すように、仕切板61のz方向下方に位置する空間をx方向に区画している。仕切板62は、貫通孔621を有する。貫通孔621は、仕切板62をx方向に貫通する孔であり、たとえばx方向に沿って見て矩形状である。仕切板63は、y方向およびz方向に沿った平板状であり、仕切板62に対してx方向一方側に離間して配置されている。仕切板64は、仕切板63のy方向一端に繋がっており、x方向およびz方向に沿った平板状である。仕切板64には、固定用孔641が形成されている。仕切板65は、仕切板63の仕切板63のy方向他端に繋がっており、x方向およびz方向に沿った平板状である。仕切板65には、固定用孔651が形成されている。
【0018】
〔筐体カバー2〕
筐体カバー2は、部品3およびヒートシンク5等を保護するためのものである。筐体カバー2の具体的構成は何ら限定されず、本実施形態においては、
図1~
図7に示すように、正面部201、背面部202、側方部203,204、天側部205、第1端板部21および第2端板部22を有する。筐体カバー2は、たとえば、金屬板を用いて形成されている。
【0019】
正面部201は、y方向およびz方向に沿った平板状であり、x方向の一方側(正面側)に位置している。背面部202は、y方向およびz方向に沿った平板状であり、x方向の他方側(背面側)に位置している。側方部203は、正面部201および背面部202のy方向一端同士を繋いでおり、全体としてx方向およびz方向に沿った形状である。側方部204は、正面部201および背面部202のy方向他端同士を繋いでおり、全体としてx方向およびz方向に沿った形状である。天側部205は、正面部201、背面部202、側方部203,204のz方向上端を繋いでおり、x方向およびy方向に沿った平板状である。
【0020】
正面部201には、複数の吸気孔209が設けられている。複数の吸気孔209は、ファン81が動作する際に外気を吸気するための開口である。複数の吸気孔209の配置等は何ら限定されず、図示された例においては、複数の吸気孔209は、正面部201のy方向両側寄りに配置されている。
【0021】
図3および
図6に示すように、側方部203には、開口部2031が形成されている。開口部2031は、側方部203のうちx方向における仕切板62と正面部201の間の領域であって、z方向におけるベース部材1と仕切板61との間の領域が開口された部位である。ただし、y方向に沿って見て開口部2031の一部は、仕切板64に占められている。側方部203には、取付用孔206および複数のフィルタ用孔207が形成されている。取付用孔206は、開口部2031のz方向上方に設けられている。複数のフィルタ用孔207は、y方向に沿って見て、仕切板62および仕切板63に沿うように設けられている。なお、複数のフィルタ用孔207のいずれかは、仕切板64に形成されたものであってもよい。
【0022】
図5および
図6に示すように、側方部204には、開口部2041が形成されている。開口部2041は、側方部204のうちx方向における仕切板62と正面部201の間の領域であって、z方向におけるベース部材1と仕切板61との間の領域が開口された部位である。ただし、y方向に沿って見て開口部2041の一部は、仕切板65に占められている。側方部204には、取付用孔208が形成されている。取付用孔208は、開口部2041のz方向上方に設けられている。
【0023】
第1端板部21は、風路91のy方向における一端を規定する部材である。本実施形態においては、
図2、
図3、
図6および
図7に示すように、第1端板部21は、側方部203の開口部2031を塞ぐように側方部203に取り付けられている。この開口部2031を塞ぐように側方部203に取り付けられた状態が、本開示における閉状態である。
図8および
図9は、第1端板部21を示す部品図である。第1端板部21は、主板部211、枠板部212、延出部213、複数の第1排気口214、係合部215および取付用孔216を有する。
【0024】
主板部211は、x方向およびz方向に沿った平板状の部位である。枠板部212は、主板部211のx方向端縁およびz方向端縁から起立する枠状板部分である。延出部213は、枠板部212のz方向上端からy方向に延出した部位である。複数の第1排気口214は、主板部211に設けられた開口部分である。複数の第1排気口214は、y方向に沿って見て仕切板62と仕切板63との間の領域に重なる位置に設けられており、図示された例においては、z方向に配列されている。係合部215は、枠板部212のz方向下方部分に設けられており、筐体カバー2の正面部201や側方部203等と係合することにより、第1端板部21をx方向周りの回動動作で開閉可能とする部位である。図示された例においては、一対の係合部215が設けられている。取付用孔216は、第1端板部21を側方部203に取り付けるための孔であり、たとえばねじが挿通される。図示された例においては、2つの取付用孔216が延出部213に設けられている。
図2および
図7に示すように、本実施形態においては、係合部215の係合と、取付用孔216に挿通させたねじ291を取付用孔206および固定用孔641に螺合させることにより、第1端板部21が取り付けられて閉状態をとっている。
【0025】
第2端板部22は、風路91のy方向における他端を規定する部材である。本実施形態においては、
図4~
図7に示すように、第2端板部22は、側方部204の開口部2041を塞ぐように側方部204に取り付けられている。この開口部2041を塞ぐように側方部204に取り付けられた状態が、本開示における閉状態である。
図10および
図11は、第2端板部22を示す部品図である。第2端板部22は、主板部221、枠板部222、延出部223、複数の第2排気口224、係合部225および取付用孔226を有する。
【0026】
主板部221は、x方向およびz方向に沿った平板状の部位である。枠板部222は、主板部221のx方向端縁およびz方向端縁から起立する枠状板部分である。延出部223は、枠板部222のz方向上端からy方向に延出した部位である。複数の第2排気口224は、主板部221に設けられた開口部分である。複数の第2排気口224は、y方向に沿って見て仕切板62と仕切板63との間の領域に重なる位置に設けられており、図示された例においては、z方向に配列されている。係合部225は、枠板部222のz方向下方部分に設けられており、筐体カバー2の正面部201や側方部204等と係合することにより、第2端板部22をx方向周りの回動動作で開閉可能とする部位である。図示された例においては、一対の係合部225が設けられている。取付用孔226は、第2端板部22を側方部204に取り付けるための孔であり、たとえばねじが挿通される。図示された例においては、2つの取付用孔226が延出部223に設けられている。
図4および
図7に示すように、本実施形態においては、係合部225の係合と、取付用孔226に挿通させたねじ292を取付用孔208および固定用孔651に螺合させることにより、第2端板部22が取り付けられて閉状態をとっている。
【0027】
〔風路91〕
風路91は、部品3を冷却する風を通すための空洞状の空間である。本実施形態の風路91は、
図3、
図5、
図6および
図7に示すように、z方向両端がベース部材1および仕切板61によって規定されており、x方向両端が仕切板62および仕切板63によって規定されており、y方向両端が第1端板部21および第2端板部22によって規定された空間である。風路91は、第1端部911および第2端部912を有する。第1端部911は、y方向一方側の端部であり、第1端板部21が位置する端部である。第2端部912は、y方向他方側の端部であり、第2端板部22が位置する端部である。
【0028】
〔収容空間93〕
収容空間93は、
図1~
図6に示すように、ベース部材1、仕切板61、背面部202、仕切板62、側方部203および側方部204によって区画された空間である。収容空間93は、複数の部品3を収容するための空間である。収容空間93は、風路91や外部に対して密閉されていることが好ましい。ただし、収容空間93と風路91および外部との間には、たとえば塵埃の侵入を防止可能な程度の僅かな隙間が存在していてもよい。
【0029】
〔予備空間94〕
予備空間94は、
図1~
図6に示すように、ベース部材1、仕切板61、正面部201、仕切板63、仕切板64、および仕切板65によって区画された空間である。予備空間94は、ファン81を収容しており、ファン81が吸入する空気の経路を構成している。
【0030】
〔部品3〕
部品3は、電源装置A1の電力供給機能等を果たすためのものである。部品3は、動作時に発熱しやすいものを含む。部品3としては、たとえば電源回路を構成するスイッチング素子やダイオード、コンデンサといった電子部品、さらにはトランスやリアクトルといった電気部品が挙げられる。本実施形態の部品3は、複数の電子部品31が例として示されている。電子部品31は、収容空間93に収容されており、風路91に沿って配置されている。
【0031】
〔ヒートシンク5〕
ヒートシンク5は、風路91に収容されており、風路91を通過する風によって複数の電子部品31からの熱を放熱するためのものである。ヒートシンク5は、基部51および複数のフィン52を有する。基部51は、平板状あるいはブロック状の金属部材であり、貫通孔621を塞ぐようにして仕切板62に固定されている。基部51のうち貫通孔621から収容空間93側に露出した部分には、複数の電子部品31が取り付けられている。複数のフィン52は、各々が基部51からx方向一方側に突出しており、y方向を長手方向とする長矩形状の板状部材である。複数のフィン52は、z方向に等ピッチで配置されている。
【0032】
〔ファン81〕
ファン81は、風路91に空気を吐出することにより、風路91内に風を生じさせるための送風源である。ファン81の具体的構成は何ら限定されず、たとえば複数の羽根と電動機とが一体化された軸流式のものである。
図6に示すように、ファン81は、仕切板63に設けられた開口に嵌め込まれており、吸入口811および吐出口812を有する。吸入口811は、予備空間94側に位置しており、予備空間94から空気を吸入する。吐出口812は、風路91に面しており、風路91に空気を吐出する。本実施形態においては、ファン81は、x方向に沿って見て、複数の吸気孔209の正面を避けた位置に設けられており、たとえば仕切板63のy方向の中央部分に配置されている。
図6に示すように、電源装置A1の動作時には、ファン81の駆動によって、複数の吸気孔209から吸気され、ファン81の吸入口811から吸入された空気が吐出口812から吐出される。これにより、x方向の一方側から風路91に風が送り込まれ、風路91内を第1端部911および第2端部912の双方に向かって進行し、y方向に沿ってy方向の両側に向かう風となる。
【0033】
次に、電源装置A1の清掃について、
図12~
図15を参照して説明する。
【0034】
電源装置A1の通常の動作を終えた後に、たとえば電源装置A1の主電源をOFF状態とする。次いで、
図12に示すように、ねじ291を取り外し、係合部215を中心として、第1端板部21を回動させる。これにより、第1端板部21がx方向およびy方向に沿った開状態をとり、風路91の第1端部911が開放される。しかし、第1端板部21が開状態であっても、収容空間93や予備空間94は、依然として側方部203や仕切板64によって塞がれた状態であり、開放されていない。また、ねじ292を取り外し、係合部225を中心として、第2端板部22を回動させる。これにより、第2端板部22がx方向およびy方向に沿った開状態をとり、風路91の第2端部912が開放される。ただし、第1端板部21および第2端板部22が開状態であっても、収容空間93や予備空間94は、依然として側方部203、側方部204や仕切板64、仕切板65によって塞がれた状態であり、開放されていない。なお、第1端板部21および第2端板部22を開閉させる機構は、図示された構成に限定されず、上下反対に回動させる構成や、いわゆる横開き、あるいはスライド動作等を適宜採用可能である。
【0035】
次いで、
図13および
図14に示すように、本実施形態においては、フィルタ4を取り付ける。フィルタ4は、風路91の第1端部911に取り付けられ、通過する風の塵埃等を捕集する機能を有する。図示された例においては、フィルタ4は、枠部41およびフィルタ部42を有する。枠部41は、たとえば矩形枠状の板状部材である。枠部41には、取付用孔43および複数の取付用孔49が形成されている。取付用孔43は、枠部41のz方向上側部分に設けられている。複数の取付用孔49は、枠部41のx方向両側部分に設けられている。フィルタ部42は、枠部41の内側開口を塞ぐように枠部41に固定されている。フィルタ部42は、たとえば不織布や微細な開口を有する金網等である。
【0036】
フィルタ4の取付は、たとえばねじ293を取付用孔49を挿通させて複数のフィルタ用孔207に螺合させることによって行う。これにより、フィルタ4は、第1端部911に配置され、第1端部911から外部に排気される風がフィルタ部42を通過する状態とされる。なお、フィルタ4を脱着可能とする手段は、何ら限定されず、ねじの他に接着や磁力を用いた手段であってもよい。
【0037】
次いで、
図15に示すように、第1端板部21を回動させてフィルタ4の外側に起立した状態とし、ねじ291によって第1端板部21を固定する。これにより、第1端板部21が閉状態とされる。次いで、たとえばエアブローノズルNzを用いて、第2端部912から圧縮空気を風路91に吹き込む。これにより、たとえばヒートシンク5のフィン52やベース部材1の上面等の風路91内に堆積した塵埃等を第2端部912に向けて吹き飛ばす。この塵埃等は、フィルタ4のフィルタ部42によって捕集され、空気が外部へと排気される。清掃が終了した後は、ねじ292によって第2端板部22を筐体カバー2に固定し、第2端板部22を再び閉状態とする。また、第1端板部21を一旦開状態とし、フィルタ4を取り外した後に、第1端板部21を再び閉状態とする。これにより、電源装置A1を通常の動作が可能な状態に復帰する。
【0038】
次に、電源装置A1の作用について説明する。
【0039】
本実施形態によれば、エアブローノズルNz等を用いて風路91を清掃するためには、第2端板部22を開状態とし、第2端部912から圧縮空気を吹き込めばよい。第2端板部22を開状態とすることは、たとえば筐体カバー2全体や側方部204をベース部材1から取り外すことと比べて簡便である。また、第2端板部22を開状態としても、収容空間93は依然として開放されていない状態であり、収容空間93に清掃時の塵埃等が侵入することを回避可能である。また、第1端板部21には、複数の第1排気口214が設けられているため、通常の動作における排気に加えて清掃時の排気を複数の第1排気口214から行うことが可能である。したがって、電源装置A1をより適切に清掃することができる。
【0040】
第2端板部22には、複数の第2排気口224が設けられている。これにより、
図6に示すように、通常の動作において、風路91からの風をy方向の両側に排気することができる。これは、部品3の冷却促進に好ましい。
【0041】
第1端板部21は、閉状態と開状態とをとる。これにより、第1端部911にフィルタ4を取り付けるといった方策を採用可能である。また、第2端部912(第2端板部22)側からの圧縮空気の吹き込みでは清掃が難しいような箇所を、第1端部911側から圧縮空気を吹き込むこと等によって清掃することができる。
【0042】
第1端部911に対して脱着可能であるフィルタ4を採用することにより、清掃時の塵埃等を外部へと不当に飛散させてしまうことを回避することができる。また、通常の動作においてフィルタ4を取り外しておくことにより、第1端部911からの排気効率を低下させることなく動作せることができる。
【0043】
図16~
図19は、本開示の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0044】
<第2実施形態>
図16および
図17は、本開示の第2実施形態に係る電源装置を示している。本実施形態の電源装置A2は、第1端板部21の構成が上述した実施形態と異なっている。本実施形態の第1端板部21は、側方部203の一部によって構成されており、回動等による開状態をとらない構成である。
【0045】
本実施形態によっても、第2端板部22を開状態とすることにより、
図15に例示したような清掃を行うことが可能である。また、電源装置A2の清掃時には、たとえば、側方部203(第1端板部21)の外側に、接着や磁力を用いた手段によってフィルタ4を取り付けてもよい。本実施形態から理解されるように、本開示の電源装置は、第2端板部が閉状態と開状態とをとる構成であればよく、第1端板部および第2端板部の双方が開状態をとる構成に限定されない。この点は、以降の実施形態においても同様である。
【0046】
<第3実施形態>
図18は、本開示の第3実施形態に係る電源装置を示している。本実施形態の電源装置A3は、第2端板部22の構成が上述した実施形態と異なっている。
【0047】
本実施形態の第2端板部22は、上述した実施形態における第2排気口224を有していない。このため、電源装置A3の通常の動作においては、ファン81の吐出口812から第1端部911(複数の第1排気口214)に向かう風が生じ、第2端部912からは排気されない。ただし、本実施形態の第2端板部22は、上述した実施形態と同様に閉状態と開状態とをとる。
【0048】
本実施形態においても、第2端板部22を開状態とすることにより、
図15に例示したようにエアブローノズルNzを用いて第2端部912から圧縮空気を風路91に吹き込むことが可能であり、電源装置A3をより適切に清掃することができる。また、本実施形態から理解されるように、第2端板部22は、閉状態と開状態とをとる構成であれば、第2排気口224を有さない構成であってもよい。
【0049】
<第4実施形態>
図19は、本開示の第4実施形態に係る電源装置を示しており、理解の便宜上、第1端板部21を省略している。本実施形態の電源装置A4は、風路91および風路92とファン81およびファン82とを有する。風路91と風路92とは、z方向の上下に互いに位置しており、仕切板66によって区画されている。仕切板66は、ベース部材1と仕切板61との間に位置している。風路91には、たとえばヒートシンク5が配置されている。風路92には、部品3の一例である電気部品32の一部が配置されている。電気部品32は、たとえば、トランスやリアクトルである。ファン81は、風路91に空気を吐出し、ファン82は、風路92に空気を吐出する。第1端板部21および第2端板部22の構成は、上述した実施形態の構成をはじめ種々の構成を適宜採用すればよい。
【0050】
本実施形態によっても、電源装置A4の風路91および風路92をより適切に清掃することができる。また、本実施形態から理解されるように、複数の風路91,92を有する構成であってもよい。複数の風路91,92のy方向両端を1つずつの第1端板部21および第2端板部22によって一括して規定してもよいし、複数の風路91,92のそれぞれのy方向両端を個別に規定しうるように、2つずつの第1端板部21および第2端板部22を備える構成であってもよい。この場合、風路91および風路92のいずれか一方を清掃する際に、他方を開放されていない状態で維持することができる。
【0051】
本開示に係る電源装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示に係る電源装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0052】
A1~A4:電源装置、1:ベース部材、2:筐体カバー、3:部品、4:フィルタ、5:ヒートシンク、21:第1端板部、22:第2端板部、81:ファン、91:風路、93:収容空間、201:正面部、214:第1排気口、224:第2排気口