(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040683
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】蓋器具
(51)【国際特許分類】
B67B 7/48 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
B67B7/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145504
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】520333240
【氏名又は名称】廣瀬 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 健太郎
【テーマコード(参考)】
3E081
【Fターム(参考)】
3E081AA04
3E081AB06
3E081AC01
3E081CC02
3E081CC13
3E081CC28
3E081CC42
3E081CD02
3E081EE21
(57)【要約】
【課題】 収容袋から内容物を取り出しやすい蓋器具を提供する。
【解決手段】 収容袋から内容物を取り出すための蓋器具であって、筒状の挿通部を有する本体と、前記本体の前記挿通部の一端部に設けられる刃部と、を備え、前記本体は、前記挿通部の他端部に外周方向に延出する鍔部と、前記挿通部と連通し収容空間を有する取出部と、を有する蓋器具。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容袋から内容物を取り出すための蓋器具であって、
筒状の挿通部を有する本体と、
前記本体の前記挿通部の一端部に設けられる刃部と、を備え、
前記本体は、前記挿通部の他端部に外周方向に延出する鍔部と、前記挿通部と連通し収容空間を有する取出部と、を有する
ことを特徴とする蓋器具。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋器具であって、
前記取出部は、前記挿通部の貫通孔の出口を覆うドーム状に形成される
ことを特徴とする蓋器具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蓋器具であって、
前記取出部は、略1/4球面形状のカップ部と、前記カップ部を開閉可能に覆う開閉部とを有する
ことを特徴とする蓋器具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の蓋器具であって、
前記刃部に隣接または接するように配置され、外径が前記鍔部より小さく前記刃部に向かって漸次縮径する保持部を備える
ことを特徴とする蓋器具。
【請求項5】
請求項4に記載の蓋器具であって、
前記保持部は、中抜部を有して内周壁と外周壁とが断面視略∠形状に形成される
ことを特徴とする蓋器具。
【請求項6】
請求項4または5に記載の蓋器具であって、
前記保持部と前記鍔部との間に、外径が前記保持部より大きく、加圧により変形し且つ変形に対して復元性を有する素材により形成される押え部を有する
ことを特徴とする蓋器具。
【請求項7】
請求項6に記載の蓋器具であって、
前記押え部は、軟質ポリウレタンフォームで形成される
ことを特徴とする蓋器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋器具に関する。
【背景技術】
【0002】
粉状物や粒状物等は袋に入れて接着や溶着等で上端を封止して収容袋の状態で提供されることが多い。使用者は、通常、収容袋の上端の封止部を鋏などで切って開口を設け、この開口から内容物を取り出して使用する。設けた開口は、内容物を取り出した後紐などで縛って閉じる。
【0003】
一方で、袋に蓋体を取り付けることも提案されている。特許文献1には、少なくとも開口縁部が可撓性を有する袋を封止する袋用蓋体であって、筒状の第一部材と、前記袋の開口縁部を前記第一部材の内部に挿入しつつ外側に折返したのち、前記袋の開口縁部を挟んだ状態で前記第一部材の外周面に嵌合させる筒状の第二部材と、前記第二部材の外周面に螺着自在な蓋部材と、を備えた袋用蓋体が提案されている(請求項1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記上端の封止部に開口を設け、紐などで縛って閉じる使用方法は、内容物を取り出すには袋を持ち上げて開口を下に向けなければならないが、プロテインの収容袋等大袋の場合は扱いにくい。そのため、一般的には、大袋から別のタッパー等の容器に適量移し、そこから取り出して使用する。しかし、これでは、容器に移す手間がかかる。袋を持ち上げず開口から手を入れるようにして大袋をそのまま使用してもよいが、袋の下部に手が届きにくく内容物を取り出しにくい。
【0006】
一方で、上記特許文献1の袋用蓋体は、生産者が袋を効率よく封止するためのもので、使用者自らが取り付けて使用する蓋体を提案するものではない。なお、使用者が収容袋の封止部に開口を設け、上記袋用蓋体を取り付けて使用することも考えられるが、収容袋が大袋の場合は上記上端の封止部に開口を設ける使用方法と同様に扱いにくい。
【0007】
本願発明は、上記課題の少なくとも一つを解決し、収容袋から内容物を取り出しやすい蓋器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した少なくとも1つの課題を解決するために、本願発明の一方面に係る蓋器具は、収容袋から内容物を取り出すための蓋器具であって、筒状の挿通部を有する本体と、前記本体の前記挿通部の一端部に設けられる刃部と、を備え、前記本体は、前記挿通部の他端部に外周方向に延出する鍔部と、前記挿通部と連通し収容空間を有する取出部と、を有する。
【0009】
上記蓋器具において、前記取出部は、前記挿通部の貫通孔の出口を覆うドーム状に形成されてもよい。
【0010】
上記蓋器具において、前記取出部は、略1/4球面形状のカップ部と、前記カップ部を開閉可能に覆う開閉部とを有してもよい。
【0011】
上記蓋器具において、前記刃部に隣接または接するように配置され、外径が前記鍔部より小さく前記刃部に向かって漸次縮径する保持部を備えてもよい。
【0012】
上記蓋器具において、前記保持部は、中抜部を有して内周壁と外周壁とが断面視略∠形状に形成される。
【0013】
上記蓋器具において、前記保持部と前記鍔部との間に、外径が前記保持部より大きく、加圧により変形し且つ変形に対して復元性を有する素材により形成される押え部を有してもよい。
【0014】
上記蓋器具において、前記押え部は、軟質ポリウレタンフォームで形成されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によれば、収容袋から内容物を取り出しやすい蓋器具を提供することができる。
【0016】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本願発明に係る蓋器具の一例を斜視図である。
【
図2】本願発明に係る蓋器具の一例を示す分解斜視図である。
【
図3】本願発明に係る蓋器具の本体(取出部不図示)及び刃部の例を示す側面図である。
【
図4】本願発明に係る蓋器具の本体(取出部不図示)の例を示す断面図である。
【
図5】本願発明に係る蓋器具の一例(閉じ状態)を示す斜視図である。
【
図6】本願発明に係る蓋器具の本体の一例を示す側面図である。
【
図7】本願発明に係る蓋器具の一例を示す斜視図である。
【
図8】本願発明に係る蓋器具の保持部の例を示す側面図である。
【
図9】本願発明に係る蓋器具の保持部の例を示す断面図である。
【
図10】本願発明に係る蓋器具の押え部の例を示す側面図である。
【
図11】本願発明に係る蓋器具の収容袋への装着例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本願発明の実施形態の例を図面を用いて説明する。本願において、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0019】
図1は本願発明に係る蓋器具の一例を示す斜視図で、
図2はその分解斜視図である。本願発明に係る蓋器具は、粉状物や粒状物等の内容物を収容している収容袋から、手動で内容物を取り出すためのものである。以下では、
図1及び
図2と、後述の
図3~
図11を参照して本願発明に係る蓋器具の例を説明する。なお、本願では、装着状態で収容袋に近位の側を裏側とし、その反対側を表側とする。
【0020】
蓋器具1は、少なくとも、本体10と刃部20とを備える。本体10は、例えば樹脂や金属、木材等剛性を有する素材で形成される。本体10は、筒状の挿通部11を有する。挿通部11は、好ましくは、長さが外径より小さい短円筒状である。
【0021】
図3は本体(取出部不図示)及び刃部の例を示す側面図である。刃部20は、収容袋に開口を設けるためのもので、三角形状や鋸刃形状等の形状を有する複数の切刃21を備える。切刃21の形状や大きさ、数は、収容袋の材質や厚み等に応じて設定される。
【0022】
刃部20は、
図3(a)に示すように比較的に細かい切刃21を有するものでもよいし、
図3(b)に示すように比較的に大きい切刃21を有するものでもよいし、
図3(c)に示すように大きい切刃21に更に細刃211が設けられるものでもよい。
【0023】
刃部20は、
図3(d)に示す挿通部11の一端部である裏側端部111に、その端部外周形状に沿って取り付けられる。なお、刃部20は、挿通部11と一体に形成されてもよい。この場合、好ましくは、刃部20は、収容袋に切り込みやすいように、切刃21が先端に向かって厚みが漸次薄くなるように形成される。
【0024】
刃部20を備えることで、蓋器具1は、収容袋の上端の封止部に限らず、任意の位置に開口を設けることができる。より具体的には、鋏やカッター等で内容物を収容している収容袋の正面や背面に開口を設けることは容易ではない。本願発明の刃部20は、収容袋に押し付けるだけで簡単に開口を設けることができ、更に挿通部11を収容袋に挿入れば、挿通部11の筒状の周壁で囲まれる貫通部101を介して収容袋が外部と通じるようになり、内容物を取り出せるようになる。
【0025】
図4は本体(取出部不図示)の例を示す断面図である。
図4(a)に示すように、挿通部11は、中央に貫通孔で構成される空間である貫通部101を有する。挿通部11の内周の形状(貫通部101の周面の形状)は、一例として、図示のように内径が均一な形状である。
図4(b)に示すように、挿通部11は、内径に変化がある形状、例えば周壁の厚みに変化がある形状でもよい。
図4(c)に示すように、挿通部11は、他端部である表側端部112に貫通部101の出口の一部を塞ぐ遮断部113を有してもよい。図示しないが、挿通部11は、裏側端部111に貫通部101の入口の一部を塞ぐ遮断部113を有してもよい。
【0026】
本体10は、挿通部11の表側端部112に、さらに、挿通部11から外周方向に鍔状に延出する鍔部12を有する。鍔部12は挿通部11と一体に形成されてもよいし、別体に形成された後挿通部11の表側端部112に固着されてもよい。
【0027】
図5は本願発明に係る蓋器具の一例(閉じ状態)を示す斜視図である。本体10は、さらに、挿通部11と連通する取出部13を有する。取出部13は、収容空間を有する容器状の部分である。取出部13の収容空間は、挿通部11の貫通部101と連通する。収容袋の内容物が貫通部101を介して取出部13に到達するため、使用者は大袋に手を入れなくても簡単に取り出すことができる。
【0028】
取出部13は、好ましくは、貫通部101の出口を覆うドーム状に形成される。取出部13は、略1/4球面形状のカップ部131と、カップ部131を開閉可能に覆う開閉部132とを有する。開閉部132は、
図1に示すように、開き状態では下方に下ろされて、カップ部131の容器状の周面を覆うようにその表側に重なり、
図5に示すように、閉じ状態では上方に上げられて、カップ部131の開口を覆う。開閉部132は、好ましくは、カップ部131よりやや大きく形成され、略1/4球面形状をなしている。カップ部131及び開閉部132の一方または双方が、透明なものまたは透光性を有するものでもよい。
【0029】
カップ部131は、挿通部11ないし鍔部12と一体に形成されてもよいし、別体に形成された後固着されてもよい。開閉部132は、開閉可能にカップ部131に取り付けられる。カップ部131への開閉部132の取付けは、周知技術が適宜用いられてよい。一例として、図示のように、カップ部131及び開閉部132の一方の裏側端部付近に貫通孔または有底孔により構成される一対の受け部133が設けられ、他方の裏側端部付近に突起状の一対の軸部134が設けられて、回動可能に一方が他方に軸支される構造でもよい。
【0030】
図5に示すように、取出部13は、好ましくは、閉じ状態においてカップ部131と開閉部132が重なる部分に密封向上のためのパッキン135が設けられる。パッキン135は、一例としてゴム製で開閉部132にその形状に沿って設けられるが、カップ部131に設けられてもよい。好ましくは、さらに、開閉部132と鍔部12との当接部分に密封向上のためのパッキン136が設けられる。パッキン136は、一例としてゴム製で開閉部132にその形状に沿って設けられるが、鍔部12ないし挿通部11の貫通部に嵌められるように設けられてもよい。
【0031】
図6は本願発明に係る蓋器具の本体の一例を示す側面図である。なお、蓋器具の下方部分は図示を省略している。開閉部132は、好ましくは、鍔部12に係止する取っ手137を有する。係止構造は、周知技術が適宜用いられてよい。一例として、鍔部12に係合凹部114が設けられ、取っ手137に係合凸部138が設けられて、両者が係合することで、開閉部132が鍔部12に係止され、閉じ状態が保持される。
【0032】
図7は本願発明に係る蓋器具の一例を示す斜視図である。図示のように、ここでは、取出部13は、開閉部132を有せず、カップ部131のみにより構成される。この場合、好ましくは、挿通部11が貫通部101の出口の上方を塞ぐ遮断部113を有する。挿通部11が貫通部101の入口の上方を塞ぐ遮断部113を有してもよい。
【0033】
蓋器具1は、好ましくは、さらに保持部30を備える。保持部30は、中央に貫通孔31を有するリング状ないしドーナツ状の部材で、本体10の挿通部11に挿通されて、刃部20に隣接または接するように配置される。保持部30は、外径が鍔部12より小さく、刃部20に向かって漸次縮径し、刃部20に隣接または接する部分が刃部20の外周と略同等となる略円錐台状である。保持部30の貫通孔31は、挿通部11の外周形状と同形状で、大きさ(ここでは内径)が挿通部11にちょうど挿通されるように挿通部11の外径と同等またはやや大きい。保持部30は、好ましくはシリコン樹脂で形成される。
【0034】
図8は保持部の例を示す側面図(取出部不図示)である。
図8(a)に示すように、保持部30は、一例として、外周面に丸みを有する形状で、刃部20の表側端部と重なるように刃部20に接して配置される。
図8(b)に示すように、保持部30は、一例として、刃部20と重ならず、刃部20に隣接して配置されてもよい。
図8(c)に示すように、保持部30は、刃部20に接して配置され、さらに、刃部20の切刃21の刃付部または細刃211以外の部分を被覆する被覆部32を有してもよい。
【0035】
保持部30を備えることで、蓋器具1は、刃部20により設けた収容袋の開口の縁部を内側から保持することができる。より具体的には、収容袋に対して蓋器具1を押し付けると、刃部20の切刃21が収容袋に切り込み、開口が設けられる。また、刃部20とともに略円錐台状の保持部30も開口から収容袋に進入し、収容袋の開口の周囲の縁部に表側端部の端面33が当接してこれを保持する。これにより、開口が保持部30により支えられるとともに、蓋器具1が開口から抜けにくくなる。
【0036】
図9は保持部の例を示す断面図である。一例として、
図9(a)に示すように、保持部30は、中実に形成され、周壁が断面視略三角形状である。保持部30は、収容袋に進入しやすいように、柔軟性のある素材で形成されることが望ましい。
【0037】
一例として、保持部30は、外径が増減できる構造を有し、収容袋により進入しやすいように構成される。例えば、
図9(b)に示すように、保持部30は、表側からくりぬかれて中抜部34を有し、内周壁35と外周壁36とが中抜部34を挟んで断面視略∠形状をなしている。これにより、収容袋に進入する際には外周壁36が傘を閉じるように内周壁35に接近し、収容袋に進入した後は外周壁36が開いて内周壁35から離れて周囲に広がり、内周壁35の端面と外周壁36の端面とで収容袋の開口の縁部を保持する。
図9(c)に示すように、内周壁35は外周壁36より短く形成されてもよい。
【0038】
蓋器具1は、好ましくは、さらに押え部40を備える。押え部40は、中央に貫通孔41を有するリング状ないしドーナツ状の部材で、挿通部11に挿通されて、保持部30と鍔部12との間にこれらと両端部の端面が当接するように配置される。押え部40の貫通孔41は、挿通部11の外周形状と同形状で、大きさ(ここでは内径)が挿通部11にちょうど挿通されるように挿通部11の外径と同等またはやや大きい。
【0039】
押え部40は、外径が保持部30の外径より大きく、鍔部12の外径と同等または小さい。押え部40は、加圧により変形し且つ変形に対して復元性を有する素材により形成される。一例として、押え部40は、ポリウレタンフォームなどのプラスチック発泡体で形成され、好ましくは、軟質または半硬質ポリウレタンフォーム、例えば、10~60倍程度に発泡した連続気泡のセル構造を有する軟質ポリウレタンフォームにより形成される。押え部40は、被覆層を有してもよく、例えば、ポリウレタンフォームにシリコン樹脂がコーティングされてもよい。
【0040】
図10は押え部の例を示す側面図(取出部不図示)である。
図10(a)に示すように、押え部40は、裏側端部の端面42及び表側端部の端面43が保持部30の表側端部の端面及び鍔部12の裏側端部の端面と当接するように両者の間に配置される。
図10(b)に示すように、押え部40は、矢印方向に圧力を加えると、変形して表裏方向に厚みが圧縮され、圧力を取り去ると、反発して元の状態に復元する。
【0041】
押え部40を備えることで、蓋器具1は、収容袋の開口の縁部を外側から押えることができる。これにより、収容袋の開口は、内側及び外側の両方で支えられるようになる。また、蓋器具1を収容袋に装着する際に内容物が漏れにくくなる。
【0042】
図11は蓋器具の収容袋への装着例を示す模式図である。図示の収容袋Aは、例えばプロテインを収容している。蓋器具1は、収容袋Aを横に寝かせた状態でこれに装着し、立たせた状態で使用してもよいが、収容袋を立たせた状態で装着してそのまま使用することもできる。蓋器具1は片手でも装着できるため、一方の手で収容袋Aを支えながら、他方の手で装着してもよい。以下では、収容袋Aを立たせた状態で装着する例を説明する。
【0043】
図11(a)に示すように、蓋器具1を収容袋Aの例えば正面下端寄りの部分に近づけ、矢印方向に力を加えて押し付ける。そうすると、
図11(b)に示すように、蓋器具1の刃部20が収容袋Aに切り込み、刃部20の外周形状と同形状(ここでは円形)の袋片A1(図示の破線部分)が収容袋Aから切り離され、収容袋Aが開口する。袋片A1は本体10の貫通部から取り出すことができる。
【0044】
図11(c)に示すように、蓋器具1をさらに矢印方向に押し付けると、押え部40が厚み方向(表裏方向)に圧縮され、刃部20に続いて保持部30が収容袋A内に進入する。そして、収容袋Aの開口の縁部A2が、保持部30の表側端部と押え部40の裏側端部との間に広がるスリットに入り込む。
【0045】
図11(d)に示すように、蓋器具1を押し付ける力を取り除くと、押え部40は元の厚みに復元し、収容袋Aの開口の縁部A2は保持部30の表側端部の端面と押え部40の裏側端部の端面との間に挟まれる。また、収容袋Aの厚み分だけ保持部30と押え部40との間の隙間が狭まるため、縁部A2は常に押え部40により押さえられた状態となり、保持部30の表側端部の端面及び押え部40の裏側端部の端面と密着状態になる。なお、保持部30と押え部40との間の初期状態の隙間を負の値にして密着の度合いを高めてもよい。
【0046】
以上に記載のように、本願発明の蓋器具1は、収容袋の任意の位置に簡便に装着できる。すなわち、従来の袋用蓋体は、袋の開口縁部を蓋体の内部に挿入しつつ外側に折り返さなければならないため、挿入し折り返せる余裕のある上端封止部に開口を設けなければならない。これに対して、本願発明の蓋器具1は、保持部30及び押え部40により開口の縁部をそのまま支えることができるため、任意の部分に開口を設けることができる。
【0047】
また、鋏やカッター等で収容袋の封止部以外の部分に開口を設けようとすると、カットする際に内容物が漏れやすく、開口の形状も円形等整った形状にすることが難しい。これに対して、本願発明の蓋器具1は、刃部20が挿通部11に支持されるため、整った形状に均等に切り込むことができる。また、開口の際に、刃部20に円錐台状の保持部30が連なるため、開口の縁部が外側で押えられ、内容物が漏れにくい。さらに、保持部30に続いて、押え部40が縁部を外側で更に押えるため、蓋器具1を装着する過程で内容物が漏れることはない。
【0048】
本願発明の蓋器具1は、装着するときだけでなく、内容物を取り出すときも優れたものとなっている。まず、収容袋を立たせた保管状態で内容物を取り出すことができる。また、内容物が本体10の取出部に出てくるので、視認しながら適量取り出すことができる。また、開閉部を有するため、内容物をきれいに保つことができる。
【0049】
なお、本願発明の蓋器具は、挿通部が貫通孔を有すればよく、角筒状等円筒状以外の筒形状でもよいし、更には筒形状以外の形状でもよい。また、取出部は貫通部と連通し、内容物を所定量収容するものであればよく、上記以外の形状でもよい。
【0050】
なお、上記の記載に基づいて、当業者であれば、本願発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本願発明の態様は、上述した実施形態の例に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本願発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 蓋器具
10 本体
11 挿通部
12 鍔部
13 取出部
131 カップ部
132 開閉部
20 刃部
21 切刃
30 保持部
34 中抜部
40 押え部