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  • 特開-複合型店舗 図1
  • 特開-複合型店舗 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040692
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】複合型店舗
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20220304BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20220304BHJP
【FI】
E04H1/12 304
G06Q30/06
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145518
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】520006735
【氏名又は名称】株式会社三鷹ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 学
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】
物品販売業と飲食提供業を共通のテーマのもとに同時協業し、相乗効果により集客数向上、売上向上を図る新しい業務形態を実現すること、また、新しい業務形態のテーマを変更するたびに、飲食業の変更に多くの資金や認可を必要としないよう顧慮すること。
【解決手段】
本発明は、物品販売店舗中にフードカーが一般道路からアクセス可能で駐停車可能かつ、該フードカーが調理を行えるスペースを有する複合型店舗を構成し、物品販売のイベントごとに適合するフードカーを招請して協業する。
【選択図】 図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品販売が提供される物品販売店舗と、
前記物品販売店舗における物品販売部中に、フードカーが一般道路からアクセス可能で駐停車可能かつ、該フードカーが調理を行えるスペースと
を有することを特徴とする複合型店舗。
【請求項2】
前記フードカーは、
物販あるいは飲食が企画するイベントに適合する飲食を提供するものであり、
前記スペースには前記フードカーが招請されて、物品販売と飲食販売とを同時に協業できることを特徴とする請求項1記載の複合型店舗。
【請求項3】
前記スペースは、雨天を含む天候不良時にも前記フードカーを用いての飲食営業が可能な屋根付きとし、風よけシールドの設置も可能な構造とすることを特徴とする請求項1もしくは2記載の複合型店舗。
【請求項4】
前記スペースの一部に野外への開口部がさらに設けられ、路上飲食の解放感を味わうことができる構造とすることを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか1項記載の複合型店舗。
【請求項5】
前記スペースに前記フードカーが駐車しない場合は物品販売の売り場として用いることができる構造とすることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか1項記載の複合型店舗。
【請求項6】
前記物品販売店舗に常設するトイレおよび上下水道設備を、前記フードカーによる飲食販売にも共通使用することを特徴とする請求項1~5のうちのいずれか1項記載の複合型店舗。
【請求項7】
前記スペースに排煙装置及び/もしくは換気装置が設置されることを特徴とすることを特徴とする請求項1~6のうちのいずれか1項記載の複合型店舗。
【請求項8】
前記物品販売店舗及び前記スペース間に、防火・防炎・防臭のうちいずれか1以上の作用を有する仕切りあるいはカーテンが取り付けられることが可能な構造をさらに有することを特徴とすることを特徴とする請求項1~7のうちのいずれか1項記載の複合型店舗。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば物品販売店舗中にフードカー用スペースを有する複合型店舗に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、アクセサリー販売業やアパレル(衣料品)販売業の様な年代層の若い顧客を対象にする業態、あるいは、流行に敏感な業態の物品販売店においては、類似店舗が多く他店との差別化が難しく価格競争に陥りやすい。また、対象年代層や専門店化により平日の集客力が乏しい。
【0003】
そのため、季節毎あるいは記念日ごとにイベントを催し、集客促進を行うことが多い。例えば、アクセサリー業やアパレル業において、7月14日に合わせてパリ祭と称してフランスをイメージしたアクセサリーや衣料を売り出すことが行われる。このとき、他店の同様なイベントと差別化するため、併せてクレープやカフェオレ等のフランスをイメージさせる飲食を提供できれば、物品販売と飲食販売両方の相乗効果により大きな売上が見込まれると考えられる。
【0004】
同様に、10月31日のハロウィンのイベント時に 仮装用アクセサリーや衣料と、ケーキやアメリカンテイストな料理を提供することができれば相乗効果により更なる売上向上が期待できる。上記の例ではアクセサリー販売業や衣料品販売業と飲食業のコラボレーションの例を挙げたが、アクセサリーや衣料品販売以外の物品販売業と飲食業のコラボレーションも考えられる。
【0005】
しかし、同一店舗において物品販売業と飲食業を行うには物品販売業申請と併せて飲食業申請をも行わなければならない。物品販売店経営については、特別な資格や免許は必要ないが、飲食店経営では食衛生責任者や防火管理者が必要となり、保健所や消防署への届け出という煩雑な手続きが必要となる。
【0006】
上記で説明した例では、アクセサリーや衣料品販売業の販売種類をイベントごとに変えることについての認可は必要ない。しかし、飲食業の飲食種類を変えるには調理資格や厨房設備を変えるため、改めて資格や免許及び届け出が必要となる。また、厨房設備の変更には莫大な費用が掛かり、飲食店の業態を変えることは容易ではない。
【0007】
一方、移動販売車として知られるフードカーあるいはキッチンカー(以下、「フードカー」に統一)には、非常に種類が多く、それぞれ異なった飲食を提供できることができ、それぞれが許認可を受けており、他の外部施設を必要とせず、飲食店経営業として自己完結している。しかし、フードカーは出店場所が安定せず、天候にも大きく影響されてしまう。また、イベント場所への出店のため営業予測が難しく、出店料が高価な上、収入が安定しない。
【0008】
さらに、道路上での使用許可が必要で、出店場所が安定しない。また、飲み物を提供するフードカーについては、飲み物を飲んだ来客のトイレが問題となる。通常、フードカーにはトイレは常備されておらず、フードカーの営業場所は公園等の公衆トイレ設置場所の近辺に限られることが多い。同様に、公共の水道、下水道の設備がそばにあることが望ましい。
【0009】
例えば、特許文献1には、フードカー側面に営業窓口を開口させるとともに、調理ユニットを営業窓口から突き出し、店頭面積を著しく拡大させるとする技術思想が開示されている。さらに、調理ユニット上部に防塵カバーを展開させる技術思想が開示されている。この場合に、当該防塵カバーにより若干の雨にも対応できるが、雨降りが続く悪天候時には営業は難しい。
【0010】
また、特許文献2には、 フードカーをエレベータに載せることが可能な車幅にし、容易に屋上などの陳列位置に移動するとともに、 販売や調理のためのスペースを容易かつ迅速に確保する移動販売自動車についての技術思想が開示されている。この場合の移動販売車は、エレベータのように小さなスペースにも載せることができ、 高層ビルの屋上に容易に移動させることができる。また、屋上のように、狭いスペースでも、容易に駐車することができる。よって、屋上などでのイベント会場に、移動販売車を移動させて、商品の陳列や調理などの空間を容易かつ迅速に設置することができ、また、その撤収も容易かつ迅速に行うことができる。
【0011】
特許文献1、特許文献2に記載された発明は一定のすぐれた効果を有し得る技術思想であるものの、両発明のどちらにも、物品販売業とフードカーとの積極的なコラボレーションを絡めた技術思想については触れられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実開昭54-152411号公報
【特許文献2】特開2016-199132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決することを企図したものであって、物品販売業と飲食提供業とを共通のテーマのもとに同時協業し、相乗効果により集客数向上、売上向上を図る新しい業務形態を実現することの可能な複合型店舗を提供することを課題とする。
【0014】
また、こうした新しい業務形態のテーマを変更するたびに、飲食業の変更に多くの資金や認可を必要としないような態様として可能な複合型店舗を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような課題を解決するために、まず、本発明の第1の態様に係る複合型店舗は、物品販売店中にフードカーが一般道路からアクセス可能で駐停車可能かつ、該フードカーが調理を行えるスペースを有するものとして構成する。
【0016】
本発明の第2の態様として、第1の態様において、前記フードカーは、物販あるいは飲食が企画するイベントに適合する飲食を提供するものであり、前記スペースには前記フードカーが招請されて、物品販売と飲食販売とを同時に協業できるように構成してもよい。
【0017】
本発明の第3の態様として、第1もしくは第2の態様において、前記スペースは、雨天を含む天候不良時にも前記フードカーを用いての飲食営業が可能な屋根付きとし、風よけシールドの設置も可能な構造とするようにしてもよい。こうすることで、野外への開口部を設け路上飲食の解放感を味わうこともできる構造が実現される。
【0018】
本発明の第4の態様として、第1~第3の態様のうちのいずれかの態様において、前記スペースの一部に野外への開口部がさらに設けられ、路上飲食の解放感を味わうことができる構造とするようにしてもよい。
【0019】
本発明の第5の態様として、第1~第4の態様のうちのいずれかの態様において、前記スペースに前記フードカーが駐車しない場合は物品販売の売り場として用いることができる構造とするようにしてもよい。
【0020】
本発明の第6の態様として、第1~第5の態様のうちのいずれかの態様において、前記物品販売店舗に常設するトイレおよび上下水道設備を、前記フードカーによる飲食販売にも共通使用するようにしてもよい。
【0021】
本発明の第7の態様として、第1~第6の態様のうちのいずれかの態様において、前記スペースに排煙装置及び/もしくは換気装置が設置されるようにしてもよい。すなわち、防炎/防煙(排煙装置、換気装置)対策として、境に煙返しなどのようなものをつける、境に少なくとも防火剤からなる垂れ壁(防炎、防火カーテン)をつける、などを施したり、また、防火対策として、フードカーが据えられるべき駐車スペースの4周建屋を耐火材で構築する、などを施すことで、より安全性の高い環境が構築される。
【0022】
本発明の第8の態様として、第1~第7の態様のうちのいずれかの態様において、前記物品販売店舗及び前記スペース間に、防火・防炎・防臭のうちいずれか1以上の作用を有する仕切りあるいはカーテンが取り付けられることが可能な構造をさらに有するようにしてもよい。すなわち、物販売り場と駐車スペース間を防臭カーテンで仕切ることが可能な構造として、防臭・遮臭の材料/垂れ壁/特設カーテン等の設置をすることで臭い遮断を行ってうことができる。この場合に、代替的に、敢えてこれらの防臭措置を設けないことで、物販売り場に匂いが漏れさせるようにして、潜在的顧客の購買意欲を刺激することでフードカー飲食販売の促進になるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の各態様によれば、物品販売の各種のイベントに適合するフードカーを、前記スペースに招請、協業することにより、物品購入と飲食販売が同時にできることにより集客力を著しく高めることができる。
【0024】
また、自己完結型のフードカーと協業することにより、許認可の手間や改装費用をかけずに物品販売と飲食販売を行うことができる。
【0025】
さらにまた、イベントの変更ごとに、適合する各種のフードカーを招請することにより、費用と各種手続きが煩雑な飲食店設備を変更することなく物品販売と販売物品に適合する飲食を提供することが可能となる。
【0026】
フードカーは物販店の予定に合わせて出店場所を決めることができるため、出店予測、営業予測が立てやすく、収入の安定化が期待できる。
【0027】
フードカーは道路使用許可が不必要で、出店料もイベント会場への出店に比べて安価な上、物販店の屋根付き駐車場への出店のため天候に左右されることが格段に少ない。
【0028】
また、上述の協業により、物品販売部の常設トイレおよび上下水道施設を用いることが出来るため、フードカーにとってはもちろん、フードカーに来店する客にとっても大変便利になるという利点が生ずる。
【0029】
物品購入のため来店した客が、物品に関連した飲食の香りや広告に誘引され、フードカーによる飲食の客となり、飲食の売上向上となる。すなわち、物品販売と、フードカーによる飲食販売ともに売り上げの向上効果が期待でき、両者ともに利益を享受できるという効果を生ずる。
【0030】
上記のごとく、物品販売と飲食販売が互いに連携することにより新しい事業形態を形づくることとなり、集客力、販売売り上げの格段の向上が期待できる。新しいビジネスを創生するという効果を生み出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に係る複合型店舗の平面概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る複合型店舗の立体視概略図である
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では本発明の実施形態に係る目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の実施形態に係る該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を主略する箇所については公知技術によるものとする。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係る複合型店舗1の見取り図である。図1の例ではかなりの大型店舗を想定したもので、物品販売部2が広く、入り口21より来店客が入店すると、物品売り場には各種の商品展示台22が並んでいる。物品販売部の一部23には、商品販売部2が複数階に至る場合に好適な昇降階段やトイレ、上下水道設備が設置される。
【0034】
店舗の一角にはスペース3が設けられている。このスペース3には、たとえばフードカー31を駐停車し、かかるフードカー31から調理台32が展開されて飲食を来店客に提供することができる。なお、図1においてはフードカーが一台の場合を図示しているが、さらに大型店舗として複数台のフードカーを駐停車できるスペースとしてもよく、或いは単一のフードカーを駐停車できるスペースが複数あってもよく、さらには、複数台のフードカーを駐停車できるスペースを同一階に複数備える構成であってもよい。
【0035】
来店客は、店舗入り口の看板あるいは新聞やネット広告によってイベントの情報を知り、来店すると、たとえばハロウィンの時期であれば物品売り場にはハロウィン用のアクセサリーやコスプレ衣装等の関連商品が並んでいる。物品販売部2と駐停車しているフードカー3との間の仕切り部36はフードカーの運転席が隠れる程度の間仕切りとし、キッチンカーを強調せず、店舗中の飲食部分として、気楽に客が回ってくるように配慮するのも好適であるものと考えられる。このため、調理台を物品売り場側に出すような態様を採用してもよい、
【0036】
天候の良い場合は、フードカーと外部とを仕切る仕切り部34をオープンとし、野外の空気に触れながらハロウィンにふさわしいケーキや料理、飲み物を提供するようにしてもよい。特に仕切り部34をオープンにした場合には、店舗入り口21から来店する買い物客以外に、フードカーの看板や調理を見て来店する客も見込めるものと考えられる。
【0037】
上記のごとき複合型店舗構成により、物品の買い物に来た客が調理光景や匂いに誘われてフードカーによって供される料理を購入、飲食し、フードカーの看板や調理光景に誘われて入店した客がフードカーの脇に見える物品に魅かれて、店内をまわり、物品を購入するという効果も期待できる。
【0038】
図2は、図1で示した本発明の複合型店舗をより分かりやすくするために立体視した概略図である。各部番号は図1に従う。図2においては、フードカーの営業状況を分かりやすくするため、上記スペース部分は透視図的に表示されている。
【0039】
複合型店舗1の状況設定例として、その正面入り口21は道路40に面しており、店舗横は道路41に面している場合を仮定している。道路40から駐車スペース3に入車したフードカー15は右側面の料理提供部37を複合型店舗1の道路41側に開口している。なお、通常多くのフードカーの多くは、左側面に料理提供部を有するが図2においては図示説明を容易にするため右側面に料理提供部を有する構成としている。
【0040】
図2から分かるごとく、駐車スペース3の道路41側の店舗仕切り部34を開口(オープン)としておけば、道路31を通行する通行人が、フードカーの調理の匂いや調理光景を見て、フードカーの料理を注文するようになることが容易となる。
【0041】
料理を食べ終わった通行人客は、フードカーの上部や脇から見えるイベント看板や物品陳列台を見て興味を惹かれ、物品購入をする確率が高くなる。このように、物品販売、フードカーによる料理販売が、それぞれが単独営業を行うより相乗効果によって売り上げ拡大を図ることができる。
【0042】
図2においては、駐車スペース3を囲む店舗1の側面仕切り部34,35を開口として図示しているが、強風や降雨時には上記両側面は閉口としておく。このため仕切り部34,35は巻き上げ式金属シャッターあるいは建付け容易な壁構造とすることが望ましい。
【0043】
上記駐車スペースは、各種の料理を提供するフードカーが十分営業できる面積を確保しておく必要があり、可能な場合には、複数台のフードカーが営業できる面積が割り当てられることが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
上述したように、本発明の各態様に係る複合型店舗によれば、冒頭に例示したアクセサリーやアパレル販売に限らず、広く物品販売とフードカーを協業することにより新しいビジネス展開に発展できる可能性がある。
【0045】
すなわち、物品販売店とフードカーとによる料理販売の協業による集客力アップ、売り上げ向上が期待でき、来店客、物品販売店、フードカー提供者の3者に相応の利益をもたらす全く新しいビジネスシステムが構築できる。
【0046】
したがって、本発明は、物品販売業、飲食業を含む各種産業において、広い利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0047】
1…複合型店舗、2…物品販売部、3…スペース、21…入口、22…商品展示台、23…物品販売部の一部、31…フードカー、32…調理台、33…椅子、34、35…仕切り部、40,41…道路

図1
図2