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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040703
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/06 20060101AFI20220304BHJP
   A47F 5/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
A47F3/06
A47F5/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145535
(22)【出願日】2020-08-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】松田 徹
【テーマコード(参考)】
3B110
3B118
【Fターム(参考)】
3B110AA12
3B110BA05
3B110CA12
3B110FA02
3B110GA28
3B110JA09
3B110JA13
3B110JA19
3B118AA12
3B118BB04
3B118BB11
3B118BB15
3B118DA02
3B118DA12
(57)【要約】
【課題】前後方向へスライド可能、及び、後方上がり状態と水平状態とに上下方向回動可能な商品陳列棚を備えたショーケースにおいて、商品陳列棚を後方上がり状態と水平状態とに回動させる操作を安全かつ容易に行う。
【解決手段】前後方向にスライド可能なスライドレール11、後方上がり状態と水平状態とに上下方向回動可能な角度可変ブラケット14、前後いずれか一方へスライドすることにより角度可変ブラケットを後方上がり状態に回動させて他方へスライドすることにより角度可変ブラケットを水平状態に回動させる角度可変レバー15、スライドレールと共に前後方向にスライドして角度可変ブラケットに乗り降りし、後方上がり状態と水平状態とに切換可能な商品陳列棚16を有し、角度可変レバーは、前後方向へのスライド時に上下方向に揺動可能であり、商品陳列棚が後方位置にスライドしていることにより角度可変レバーの上下方向への揺動を規制する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に商品陳列室を有し、正面に開口を有するショーケース本体と、
前記商品陳列室内に配置され、後端側が前記ショーケース本体に取付けられて前端側が前記開口に向けて延出する左右一対のブラケットと、
前記ブラケットに前後方向にスライド可能に取付けられたスライドレールと、
前端側が前記ブラケットに取付けられ、その取付部を支点として後方上がり状態と水平状態とに上下方向回動可能な角度可変ブラケットと、
前記ブラケットに前後方向にスライド可能に取付けられ、一方へスライドすることにより前記角度可変ブラケットを後方上がり状態に回動させ、他方へスライドすることにより前記角度可変ブラケットを水平状態に回動させる角度可変レバーと、
前端側が前記スライドレールに取付けられてこのスライドレールと共に前後方向にスライド可能であり、前後方向にスライドすることにより前記角度可変ブラケットに乗り降りし、後方上がり状態と水平状態とに切換可能な商品陳列棚と、
を有し、
前記角度可変レバーは、前後方向へのスライド時に支軸部を支点として上下方向に揺動可能であり、前記商品陳列棚が後方位置にスライドしていることにより前記角度可変レバーの上下方向への揺動が規制されることを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記角度可変ブラケットは、複数段の後方上がり状態に回動切替可能であることを特徴とする請求項1記載のショーケース。
【請求項3】
前記ブラケットにガイド部材が取付けられ、このガイド部材に上向きに湾曲して前後方向に延出するガイド溝が形成され、前記角度可変レバーに設けられた凸部が前記ガイド溝にスライド可能に嵌合され、前記角度可変レバーの揺動は、前記角度可変レバーが前後方向へスライドする時に前記凸部が前記ガイド溝に沿ってスライドすることにより行われることを特徴とする請求項1又は2記載のショーケース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品陳列室内に商品陳列棚が設けられ、その商品陳列棚を前後方向にスライド可能、及び、後方上がり状態と水平状態とに上下方向回動可能としたショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗では、商品陳列室内に商品陳列棚を設け、その商品陳列棚上に各種の商品を陳列するようにしたショーケースが使用されている。このようなショーケースにおいては、商品陳列棚を前後方向にスライド可能とし、さらに、商品陳列棚を後方上がり状態と水平状態とに上下方向回動可能としたものが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
このようなショーケースにおいては、商品陳列棚を前方にスライドさせて商品陳列室内から引き出すことにより、商品陳列棚上に商品を陳列する作業を容易に行うことができるようにしている。また、商品陳列棚上に陳列する商品の種類や数量に応じて商品陳列棚を後方上がり状態と水平状態とに回動させることにより、商品陳列棚からの商品取り出し性能を高めることができ、さらに、商品の陳列状態の見栄えを良くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-175535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたショーケースにおいては、商品陳列棚を前後方向にスライドさせる操作と上下方向に回動させる操作との手順を間違える場合がある。例えば、後方位置にスライドして後方上がり状態に回動している商品陳列棚を、その位置から水平状態に回動させる場合である。また、後方位置にスライドして水平状態となっている商品陳列棚を、その位置から後方上がり状態に回動させる場合である。
【0006】
後方位置にスライドして後方上がり状態に回動している商品陳列棚を、その位置から水平状態に回動させると、重量物である商品陳列棚が大きな衝撃を伴って急に回動する。これにより、商品陳列棚上に陳列されている商品が落下したり、陳列状態が乱れたりする。場合によっては、商品陳列棚を回動させる作業員が、手や指を挟まれて怪我をする場合がある。
【0007】
また、後方位置にスライドして水平状態となっている商品陳列棚を後方上がりに回動させようとすると、重量物である商品陳列棚を上向きに回動させる操作は多大な労力を必要として煩雑である。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は、前後方向へスライド可能、及び、後方上がり状態と水平状態とに上下方向回動可能な商品陳列棚を備えたショーケースにおいて、商品陳列棚を後方上がり状態と水平状態とに回動させる操作を安全かつ容易に行うことができるショーケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るショーケースは、内部に商品陳列室を有し、正面に開口を有するショーケース本体と、前記商品陳列室内に配置され、後端側が前記ショーケース本体に取付けられて前端側が前記開口に向けて延出する左右一対のブラケットと、前記ブラケットに前後方向にスライド可能に取付けられたスライドレールと、前端側が前記ブラケットに取付けられ、その取付部を支点として後方上がり状態と水平状態とに上下方向回動可能な角度可変ブラケットと、前記ブラケットに前後方向にスライド可能に取付けられ、一方へスライドすることにより前記角度可変ブラケットを後方上がり状態に回動させ、他方へスライドすることにより前記角度可変ブラケットを水平状態に回動させる角度可変レバーと、前端側が前記スライドレールに取付けられてこのスライドレールと共に前後方向にスライド可能であり、前後方向にスライドすることにより前記角度可変ブラケットに乗り降りし、後方上がり状態と水平状態とに切換可能な商品陳列棚と、を有し、前記角度可変レバーは、前後方向へのスライド時に支軸部を支点として上下方向に揺動可能であり、前記商品陳列棚が後方位置にスライドしていることにより前記角度可変レバーの上下方向への揺動が規制されることを特徴とする。
【0010】
また、前述のショーケースにおいて、前記角度可変ブラケットは、複数段の後方上がり状態に回動切替可能であることが望ましい。
【0011】
また、前述のショーケースにおいて、前記ブラケットにガイド部材が取付けられ、このガイド部材に上向きに湾曲して前後方向に延出するガイド溝が形成され、前記角度可変レバーに設けられた凸部が前記ガイド溝にスライド可能に嵌合され、前記角度可変レバーの揺動は、前記角度可変レバーが前後方向へスライドする時に前記凸部が前記ガイド溝に沿ってスライドすることにより行われることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るショーケースでは、前後方向にスライド可能な角度可変レバーを一方へスライドさせることにより角度可変ブラケットが後方上がり状態に回動し、角度可変レバーを他方へスライドさせることにより角度可変ブラケットが水平状態に回動する。また、スライドレールを前後方向へスライドさせることによりスライドレールと共に商品陳列棚が前後方向にスライドし、スライドレールを後方へスライドさせた場合には商品陳列棚が角度可変ブラケットに乗り上げ、スライドレールを前方へスライドさせた場合には商品陳列棚が角度可変ブラケットから降りる。そして、角度可変レバーは、前後方向へのスライド時に支軸部を支点として上下方向に揺動可能であり、商品陳列棚が後方位置にスライドしている場合には角度可変レバーの上下方向への揺動が規制される。このため、商品陳列棚が後方位置にスライドしている場合には、角度可変レバーの上下方向への揺動が規制され、及び、角度可変レバーの前後方向へのスライドが規制される。これにより、商品陳列棚が後方位置にスライドして後方上がり状態となっている場合には、 角度可変レバーの前後方向へのスライドが規制され、商品陳列棚を水平状態に回動させることが規制される。従って、商品陳列棚が後方位置にスライドして後方上がり状態となっている場合には、商品陳列棚がその状態から水平状態に回動することを防止できる。これにより、商品陳列棚が後方上がり状態から急に水平状態に回動することを防止することができ、そのような急な回動により発生する不都合、例えば、商品陳列棚上に陳列されている商品が落下することや、商品陳列棚上に陳列されている商品の陳列状態が乱れることや、商品陳列棚を回動させた作業員が手や指を挟まれて怪我をすることを防止できる。さらに、後方位置で水平状態となっている商品陳列棚をその位置から角度可変ブラケットと共に後方上がり状態に回動させることができないので、重量物である商品陳列棚を水平状態から後方上がり状態に回動させようとして多大な労力を消費するという事態の発生を防止することができる。
【0013】
また、角度可変ブラケットが複数段の後方上がり状態に回動切替可能であるので、商品陳列棚の後方上がり状態の回動角度を、複数段に切替えることができる。
【0014】
また、ブラケットにガイド部材を取付け、そのガイド部材に上向きに湾曲して前後方向に延出するガイド溝を形成し、そのガイド溝に角度可変レバーに取付けた凸部をスライド可能に嵌合させるという簡単な構成により、角度可変レバーを前後方向にスライドさせるときに上下方向に揺動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一の実施形態のショーケースを示す断面側面図である。
図2】角度可変ブラケットと商品陳列棚とが水平状態に回動している状態を示す側面図である。
図3図2に示す状態からスライドレールを前方位置へスライドさせ、商品陳列棚を前方へスライドさせた状態を示す側面図である。
図4図3に示す状態から角度可変レバーを後方へスライドさせて角度可変ブラケットを後方上がり状態に回動させる途中の状態を示す側面図である。
図5】角度可変レバーを最大の後方位置へスライドさせ、角度可変ブラケットを後方上がり状態に回動させた状態を示す側面図である。
図6図5に示す状態からスライドレールを後方へスライドさせ、商品陳列棚を角度可変ブラケットの上に乗り上げさせることにより商品陳列棚を後方上がり状態に回動させた状態を示す側面図である。
図7】角度可変ブラケットを示す側面図である。
図8】第二の実施形態のショーケースにおいて、角度可変ブラケットと商品陳列棚とが水平状態に回動している状態を示す側面図である。
図9図8に示す状態からスライドレールを前方位置へスライドさせ、商品陳列棚を前方へスライドさせた状態を示す側面図である。
図10図9に示す状態から角度可変レバーを後方へスライドさせ、角度可変ブラケットを第一段階目の後方上がり状態の位置に回動させた状態を示す側面図である。
図11図10に示す状態から角度可変レバーをさらに後方へスライドさせ、角度可変ブラケットを第二段階目の後方上がり状態の位置に回動させた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第一の実施形態のショーケースについて、図1ないし図7に基づいて説明する。図1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗内に設置されるショーケース1を示す断面側面図である。このショーケース1は、正面に開口2が形成された断面形状コの字型のショーケース本体3を有し、ショーケース本体3の内部には商品陳列室4が設けられている。ショーケース本体3の内周部に沿って、冷気が流れる冷気通路5が形成されている。この冷気通路5内には、空気を冷却して冷気を生成する冷却器6と、冷気を矢印方向に送風するファン7とが設けられている。
【0017】
冷気通路5の正面側上端部には、冷気が下向きに吹出す吹出口8が形成されている。冷気通路5の正面側下端部には、吹出口8から吹出した冷気が吸い込まれる吸込口9が形成されている。吸込口9から吸い込まれた冷気は冷却器7により冷却され、再び吹出口8から吹出すようになっている。
【0018】
商品陳列室4内には、水平方向で対向する左右一対のブラケット10が上下方向に沿って複数設けられている。これらのブラケット10の後端側は、ショーケース本体3内に設けられた支柱(図示せず)に取付けられ、ブラケット10の前端側は開口2に向けて延出している。
【0019】
ブラケット10には、図2ないし図6に示すように、スライドレール11と、ガイド部材12、13と、角度可変ブラケット14と、角度可変レバー15と、商品陳列棚16とが支持されている。
【0020】
スライドレール11は、前後方向に延出する向きに配置された長尺状の部材であり、ブラケット10に支持されている。このスライドレール11は、図2及び図6に示す後方位置と、図3及び図4に示す前方位置との間で、前後方向スライド可能とされている。なお、図面では、一方のブラケット10に支持された一つのスライドレール11のみを示しているが、スライドレール11は左右のブラケット10にそれぞれ一つずつ支持され、同時に同じ方向にスライドするように連結されている。
【0021】
ガイド部材12、13は、ブラケット10に固定されている。これらのガイド部材12、13は、別部材として設けられていてもよく、又は、一体とされていてもよい。ガイド部材12には、前後方向に延出する直線状のガイド溝12aが形成されている。ガイド部材13には、上向きに突出するように湾曲するとともに中間部分が水平状態となって前後方向に延出するガイド溝13aが形成されている。
【0022】
角度可変ブラケット14は、図7に示す形状をした長尺状の部材であり、左右に一対設けられている。角度可変ブラケット14の先端側には、楕円状の取付孔17が形成されている。角度可変ブラケット14は、取付孔17に挿通された取付ピン18によりブラケット10に取付けられている。取付ピン18によりブラケット10に取付けられた角度可変ブラケット14は、取付ピン18を中心として、図2及び図3に示す水平状態と、図4ないし図6に示す後方上がり状態とに上下方向回動可能とされている。また、角度可変ブラケット14には、前後方向に延出するととも後方下がりに傾斜したガイド溝14aが形成されている。
【0023】
角度可変レバー15は、前後方向に延出する向きに配置された長尺状の部材であり、左右に一対設けられ、前後方向にスライド可能とされている。角度可変レバー15の側面には、前後方向に並んで位置する三つの凸部19、20、21が設けられている。前部の凸部19は、ガイド溝12aにスライド可能に嵌合され、中央部の凸部20はガイド溝14aにスライド可能に嵌合され、後部の凸部21はガイド溝13aにスライド可能に嵌合されている。そして、角度可変レバー15が前後方向にスライドすることにより凸部20がガイド溝14a内をスライドする。これにより、角度可変ブラケット14が取付ピン18による取付部を支点として上下方向に回動し、角度可変ブラケット14が図2及び図3に示す水平状態と、図5及び図6に示す後方上がり状態とに回動するようになっている。
【0024】
さらに、角度可変レバー15には、角度可変レバー15のスライド位置が前方位置であるか後方位置であるか、言い換えれば、角度可変ブラケット14が水平状態であるか後方上がり状態であるかを示すための赤色や黄色等に着色された視認マーク15Aが設けられている。そして、ブラケット10には、スライドした視認マーク15Aと対向する位置に視認窓10A、10Bが形成されている。角度可変レバー15を前方位置へスライドさせることにより角度可変ブラケット14が水平状態となっている場合には、図2及び図3に示すように視認マーク15Aが前方に位置する視認窓10Aに対向し、周囲にいる作業員は視認マーク15Aを見ることにより、角度可変ブラケット14が水平状態であることを確認することができる。角度可変レバー15を後方位置にスライドさせることにより角度可変ブラケット14が後方上がり状態となっている場合には、図5及び図6に示すように視認マーク15Aが後方に位置する視認窓10Bに対向し、周囲にいる作業員は視認マーク15Aを見ることにより、角度可変ブラケット14が後方上がり状態であることを確認することができる。
【0025】
また、角度可変レバー15は、前後方向にスライドする場合に凸部19を支軸部として上下方向に揺動可能とされている。この揺動動作は、角度可変レバー15が前後方向へスライドする時に、凸部21がガイド溝13aに沿ってスライドすることにより行われる。角度可変レバー15の先端部には、この角度可変レバー15を前後方向にスライドさせるときに把持する把持部22が設けられている。
【0026】
商品陳列棚16は、販売する商品が陳列される棚であり、棚取付板23を介してスライドレール11に取付けられている。スライドレール11への棚取付板23の取付けは、支軸24により行われており、棚取付板23と商品陳列棚16とは、この支軸24の回りに上下方向回動可能とされている。
【0027】
このような構成において、ショーケース1の商品陳列室4内には上下7段の商品陳列棚16が設けられており、上側4段の商品陳列棚16は後方上がり状態に回動しており、下側3段の商品陳列棚16は水平状態に回動している。以下、商品陳列棚16を後方上がり状態と水平状態とに切替える場合の操作について説明する。
【0028】
図2は、商品陳列棚16と角度可変ブラケット14とが水平状態に回動している場合を示している。商品陳列棚16と棚取付板23とは、共に角度可変ブラケット14の上に乗り上げている。また、この図2に示す状態では、スライドレール11は最大の後方位置にスライドしており、スライドレール11の後端側が角度可変レバー15の後方部分の上方を覆う位置に近接して位置している。
【0029】
図2に示すように水平状態に回動している商品陳列棚16を、後方上がり状態に回動させる場合には、まず、図3に示すように、スライドレール11を前方にスライドさせる。スライドレール11を前方にスライドさせると、棚取付板23と商品陳列棚16とがスライドレール11と共にスライドし、商品陳列棚16と棚取付板23とが角度可変ブラケット14の上から降りる。なお、前方にスライドしたスライドレール11の後端側は、角度可変レバー15の後方部分の上方を覆う位置から前方側へ移動し、角度可変レバー15は上下方向に揺動することが許容されるようになる。
【0030】
図3に示すように、スライドレール11を商品陳列棚16及び棚取付板23と共に前方へスライドさせた後、図4及び図5に示すように、角度可変レバー15を後方へスライドさせる。図4は、角度可変レバー15を前後方向へのスライド可能範囲の略半分の位置までスライドさせ、角度可変ブラケット14を後方上がり状態に回動させた状態を示している。図5は、角度可変レバー15を最大の後方位置にスライドさせ、角度可変ブラケット14の後方上がり状態の回動角度を最大とした状態を示している。
【0031】
角度可変レバー15を後方へスライドさせると、前部の凸部19はガイド溝12a内を後方へスライドし、中央部の凸部20はガイド溝14a内を後方へスライドし、後部の凸部21はガイド溝13a内を後方へスライドする。
【0032】
凸部20がガイド溝14a内を後方へスライドすることにより、角度可変ブラケット14は取付ピン18を支点として後方上がり状態に次第に回動する。また、凸部21がガイド溝13a内を後方へスライドすることにより、角度可変レバー15は凸部19を支点として上下方向に揺動する。この揺動動作は、凸部21がガイド溝13aの前端側の湾曲部分をスライドする場合に、角度可変レバー15が凸部19を支点として後方上がりに回動し、凸部21がガイド溝13aの後端側の湾曲部分をスライドする場合に、角度可変レバー15が凸部19を支点として後方下がりに回動することにより行われる。
【0033】
図5に示すように、角度可変ブラケット14の後方上がり状態の回動角度を最大とした後、スライドレール11を後方へスライドさせる。スライドレール11を後方へスライドさせると、棚取付板23と商品陳列棚16とが一体に後方へスライドし、棚取付板23と商品陳列棚16とは支軸24を支点として後方上がり状態に回動し、角度可変ブラケット14の上に乗り上げる。そして、スライドレール11を最大の後方位置までスライドさせると、商品陳列棚16は図6に示すように最大角度の後方上がり状態に回動する。なお、スライドレール11が図6に示すように後方位置にスライドした場合には、即ち、商品陳列棚16が後方位置にスライドした場合には、スライドレール11の後端側が角度可変レバー15の後方部分の上方を覆う位置に近接して位置し、角度可変レバー15が上下方向に揺動することが規制されるようになる。
【0034】
図6は、角度可変レバー15が後方位置にスライドすることにより角度可変ブラケット14が後方上がり状態に回動し、スライドレール11が後方位置にスライドすることにより商品陳列棚16が角度可変ブラケット14の上に乗り上げて後方上がり状態に回動している状態を示している。このとき、スライドレール11の後端側が角度可変レバー15の後方部分の上方を覆う位置に近接して位置し、角度可変レバー15が上下方向に揺動することが規制されている。
【0035】
図6に示すように後方上がり状態に回動している商品陳列棚16を、図2に示すように水平状態に回動させる場合には、まず、図5に示すようにスライドレール11を前方へスライドさせ、商品陳列棚16を角度可変ブラケット14の上から降ろす。スライドレール11を前方にスライドさせることにより、角度可変レバー15は上下方向に揺動可能となるとともに前後方向へスライド可能となる。そこで、角度可変レバー15を前方へスライドさせることにより角度可変ブラケット14を図3に示すような水平状態に回動させる。ついで、スライドレール11を後方へスライドさせ、水平状態に回動している角度可変ブラケット14の上に商品陳列棚16を乗り上げさせ、商品陳列棚16を水平状態とする。
【0036】
ここで、図6に示す状態から角度可変レバー15を前方へスライドさせようと操作しても、角度可変レバー15はスライドレール11によって上下方向へ揺動することが規制されているため、角度可変レバー15を前方へスライドさせることができず、角度可変ブラケット14を水平状態に回動させることができない。従って、商品陳列棚16が図6に示すように後方上がり状態に回動している場合には、角度可変ブラケット14に乗り上げて後方上がり状態となっている商品陳列棚16がその位置から水平状態に回動することを防止できる。これにより、商品陳列棚16が後方上がり状態から急に水平状態に回動した場合に発生する不都合、例えば、商品陳列棚16上に陳列されている商品が落下することや、商品陳列棚16上に陳列されている商品の陳列状態が乱れることや、商品陳列棚16を回動させた作業員が手や指を挟まれて怪我をすることを防止できる。
【0037】
また、図2に示すように、角度可変ブラケット14や商品陳列棚16が水平状態に回動している場合においては、後方位置へスライドしているスライドレール11の後端側が角度可変レバー15の後方部分の上方を覆う位置に近接して位置しており、角度可変レバー15が上下方向に揺動することが規制されている。従って、水平状態に回動している商品陳列棚16をその位置から後方上がり状態に回動させることができないので、重量物である商品陳列棚16を水平状態から後方上がり状態に回動させようとして多大な労力を消費するという事態の発生を防止することができる。
【0038】
なお、本実施の形態では、角度可変レバー15を後方へスライドさせた場合に角度可変ブラケット14が後方上がり状態に回動し、角度可変レバー15を前方へスライドさせた場合に角度可変ブラケット14が水平状態に回動する場合を例に挙げて説明している。しかし、角度可変レバー15と角度可変ブラケット14との連結構造を変更することにより、角度可変レバー15を前方にスライドさせた場合に角度可変ブラケット14が後方上がり状態に回動し、角度可変レバー15を後方にスライドさせた場合に角度可変ブラケット14が水平状態に回動するようにしてもよい。
【0039】
つぎに、本発明の第二の実施形態のショーケースについて、図8ないし図11に基いて説明する。なお、第一の実施形態で説明した構成と同じ構成は同じ符号で示し、説明は省略する。第一の実施形態では、商品陳列棚16が後方上がり状態に回動した場合の角度が一段階である場合を示している。一方、この第二の実施形態では、商品陳列棚16が後方上がり状態に回動した場合の角度が、二段階に切換可能とされている。この二段階の切換を行うために、角度可変ブラケット14には下向きに突出するように湾曲して連続する二段階のガイド溝25a、25bが形成されている。また、ガイド部材13には、上向きに突出するように湾曲するとともに中間部分が水平状態となって前後方向に延出する連続した二段階のガイド溝26a、26bが形成されている。ガイド溝25a、25bには凸部20がスライド可能に嵌合され、ガイド溝26a、26bには凸部21がスライド可能に嵌合されている。図8に示す状態では、角度可変ブラケット14及び商品陳列棚16は水平状態となっている。
【0040】
また、ブラケット10には、第一の実施の形態で説明した二つの視認窓10A、10Bに加えて、その間に位置する三つ目の視認窓10Cが形成されている。角度可変レバー15を前後方向へスライドさせることにより、視認マーク15Aがいずれかの視認窓10A、10B、10Cに対向し、その対向状態を見ることにより左右の角度可変ブラケット14の傾き状態を確認することができる。これにより、左右の角度可変ブラケット14の傾斜角度が異なる場合に、それらの傾斜角度の異なる二つの角度可変ブラケット14の上に商品陳列棚16を乗せるという誤操作を防止することができる。
【0041】
図9は、図8に示す状態からスライドレール11を前方にスライドさせた状態である。スライドレール11を前方にスライドさせると、棚取付板23と商品陳列棚16とがスライドレール11と共に前方にスライドし、商品陳列棚16と棚取付板23とが角度可変ブラケット14の上から降りる。なお、前方にスライドしたスライドレール11の後端側は、角度可変レバー15の後方部分の上方を覆う位置から前方側へ移動し、角度可変レバー15は上下方向に揺動することが許容されるようになる。
【0042】
図10は、図9に示す状態から角度可変レバー15を後方にスライドさせ、凸部20をガイド溝25aの後端部までスライドさせ、凸部21をガイド溝26aの後端部までスライドさせた状態を示している。これにより、角度可変ブラケット14は一段階目の回動位置に回動する。そして、この状態から商品陳列棚16を棚取付板23と共に後方にスライドさせれば、商品陳列棚16は角度可変ブラケット14の上に乗り上げ、一段階目の回動位置で保持される。
【0043】
図11は、図10に示す状態から角度可変レバー15をさらに後方にスライドさせ、凸部21をガイド溝26bの後端部までスライドさせ、凸部21をガイド溝26bの後端部までスライドさせた状態を示している。これにより、角度可変ブラケット14は二段階目の回動位置に回動する。そして、この状態から商品陳列棚16を棚取付板23と共に後方にスライドさせれば、商品陳列棚16は角度可変ブラケット14の上に乗り上げ、二段階目の回動位置で保持される。
【0044】
ここで、スライドレール11が図10又は図11に示す後方位置までスライドしていると、スライドレール11の後端側が角度可変レバー15の後方部分の上方を覆う位置に近接して位置し、角度可変レバー15が上下方向に揺動することが規制される。従って、後方上がり状態に回動している角度可変ブラケット14の上に商品陳列棚16が乗っている場合、その状態から角度可変レバー15を前方へスライドさせることはできず、角度可変ブラケット14を水平状態に回動させることはできない。従って、商品陳列棚16が図10又は図11に示すように後方上がり状態に回動している角度可変ブラケット14の上に乗っている場合、角度可変ブラケット14がその位置から水平状態に回動することを防止できる。これにより、商品陳列棚16が後方上がり状態から急に水平状態に回動することを防止でき、そのような急な回動により発生する不都合、例えば、商品陳列棚16上に陳列されている商品が落下することや、商品陳列棚16上に陳列されている商品の陳列状態が乱れることや、商品陳列棚16を回動させた作業員が手や指を挟まれて怪我をすることを防止できる。
【符号の説明】
【0045】
1 ショーケース
2 開口
3 ショーケース本体
4 商品陳列室
5 冷気通路
6 冷却器
7 ファン
8 吹出口
9 吸込口
10 ブラケット
10A、10B、10C 視認窓
11 スライドレール
12 ガイド部材
12a ガイド溝
13 ガイド部材
13a ガイド溝
14 角度可変ブラケット
14a ガイド溝
15 角度可変レバー
15A 視認マーク
16 商品陳列棚
17 取付孔
18 取付ピン
19 凸部
20 凸部
21 凸部
22 把持部
23 取付板
24 支軸
25a、25b ガイド溝
26a、26b ガイド溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2021-02-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に商品陳列室を有し、正面に開口を有するショーケース本体と、
前記商品陳列室内に配置され、後端側が前記ショーケース本体に取付けられて前端側が前記開口に向けて延出する左右一対のブラケットと、
前記ブラケットに前後方向にスライド可能に取付けられたスライドレールと、
前端側が前記ブラケットに取付けられ、その取付部を支点として後方上がり状態と水平状態とに上下方向回動可能な角度可変ブラケットと、
前記ブラケットに前後方向にスライド可能に取付けられ、一方へスライドすることにより前記角度可変ブラケットを後方上がり状態に回動させ、他方へスライドすることにより前記角度可変ブラケットを水平状態に回動させる角度可変レバーと、
前端側が前記スライドレールに取付けられてこのスライドレールと共に前後方向にスライド可能であり、前後方向にスライドすることにより前記角度可変ブラケットに乗り降りし、後方上がり状態と水平状態とに切換可能な商品陳列棚と、
を有し、
前記角度可変レバーは、前後方向へのスライド時に支軸部を支点として上下方向に揺動可能であり、前記商品陳列棚が後方位置にスライドしていることにより前記スライドレールが前記角度可変レバーの上方に近接して位置し、前記角度可変レバーの上下方向への揺動が規制されることを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記角度可変ブラケットは、複数段の後方上がり状態に回動切替可能であることを特徴とする請求項1記載のショーケース。
【請求項3】
前記ブラケットにガイド部材が取付けられ、このガイド部材に上向きに湾曲して前後方向に延出するガイド溝が形成され、前記角度可変レバーに設けられた凸部が前記ガイド溝にスライド可能に嵌合され、前記角度可変レバーの揺動は、前記角度可変レバーが前後方向へスライドする時に前記凸部が前記ガイド溝に沿ってスライドすることにより行われることを特徴とする請求項1又は2記載のショーケース。