(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040704
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】包装容器把持部開閉装置およびそれを備えた包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 43/54 20060101AFI20220304BHJP
B65B 43/46 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B65B43/54 D
B65B43/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145536
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】大島 雅志
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030DA01
3E030EA01
3E030EB01
3E030FA10
3E030GA03
(57)【要約】
【課題】簡素かつ低廉な構造でコンタミネーションを低減でき、包装容器の開放時における機械的負荷も低減でき、部品形状がシンプルで清掃性が良好で、包装容器を把持した状態の圧力を強化できると共に長持ちさせることができる包装容器把持部開閉装置およびそれを備えた包装機を提供する。
【解決手段】包装容器把持部開閉装置50は、第1アーム51と、第2アーム52と、第1アーム51に設けられたグリップ開閉軸53と、グリップ開閉軸53を軸として開閉可能に設けられたグリップ54と、第1アーム51と第2アーム52を連結するグリップ開閉リンク55と、第1アーム51に設けられた第1磁石または磁性体56と、第2アーム52に設けられた第2磁石または磁性体57を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アームと、該第1アームに並設された第2アームと、前記第1アームの先端側に設けられたグリップ開閉軸と、該グリップ開閉軸を軸として開閉可能に設けられたグリップと、前記第1アームと前記第2アームを連結するグリップ開閉リンクと、前記第1アームに設けられた第1磁石または磁性体と、前記第2アームに設けられ前記第1磁石または磁性体に吸着可能な第2磁石または磁性体を有し、
前記第1アームと前記第2アームは相対的位置が変動可能に設けられ、
前記第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体とが離隔した状態で、前記グリップは開放状態となり、
前記第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体が吸着または吸引した状態で、前記グリップは閉状態に保持されるように構成されていることを特徴とする包装容器把持部開閉装置。
【請求項2】
前記第1アームは可動アームに構成され、前記第2アームは固定アームに構成され、前記第1アームが前記第2アームに対して相対的に移動することにより前記グリップが開閉可能に構成されている請求項1に記載の包装容器把持部開閉装置。
【請求項3】
前記第1アームは押圧部を有し、該押圧部が押圧されることにより、前記第1アームと前記第2アームとの相対的位置が変動して、前記第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体とが離隔または吸着するように構成されている請求項2に記載の包装容器把持部開閉装置。
【請求項4】
前記包装容器把持部開閉装置は、前記第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体との吸引状態を保持しつつ、前記第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体との離隔距離を微調整して前記グリップによる包装容器の把持力を調整可能に構成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の包装容器把持部開閉装置。
【請求項5】
包装容器を各包装工程が行われる包装ステーション毎に間欠移動させ前記包装容器内に被包装物を充填して施封する包装機であって、
前記包装容器を把持するグリップ対と、該グリップ対を複数の工程毎に間欠移動させるための移動体と、被包装物を充填した前記包装容器を施封する施封装置とを有し、
前記グリップ対は、対向配置された一対の包装容器把持部開閉装置を有し、
該包装容器把持部開閉装置は、第1アームと、該第1アームに並設された第2アームと、前記第1アームの先端側に設けられたグリップ開閉軸と、該グリップ開閉軸を軸として開閉可能に設けられたグリップと、前記第1アームと前記第2アームを連結するグリップ開閉リンクと、前記第1アームに設けられた第1磁石または磁性体と、前記第2アームに設けられ前記第1磁石または磁性体に吸着可能な第2磁石または磁性体を有し、
前記第1アームと前記第2アームは相対的位置が変動可能に設けられ、
前記第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体とが離隔した状態で、前記グリップは開放状態となり、
前記第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体が吸着または吸引した状態で、前記グリップは閉状態に保持されるように構成されていることを特徴とする包装容器把持部開閉装置を備えた包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器を把持または開放するグリップを開閉するための包装容器把持部開閉装置およびそれを備えた包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、包装容器を把持または開放するグリップを開閉するための包装容器把持部開閉装置が多用されている。
この包装容器把持部開閉装置は、一般に、第1アームと、第1アームに並設された第2アームと、第1アームの先端部に設けられたグリップ開閉軸と、グリップ開閉軸を軸として開閉可能に設けられたグリップと、第1アームの先端側と第2アームの先端側とを連結するグリップ開閉リンクと、第1アームの基端側と第2アームの基端側とを連結するアームリンクと、第1アームに一端側が取り付けられ、第2アームに他端側が取り付けられたバネ部材とを有している(特開平10-236437号公報の
図2または
図3、特許第6171123号公報の
図4)。
【0003】
例えば
図17ないし
図19に示した従来の包装容器把持部開閉装置90は、第1アーム(可動側アーム)91と、第1アーム91に並設された第2アーム(固定側アーム)92と、第1アーム91の先端部に設けられたグリップ開閉軸93と、グリップ開閉軸93を軸として開閉可能に設けられたグリップ94と、第1アーム91の先端側と第2アーム92の先端側とを連結するグリップ開閉リンク95と、第1アーム91の基端側と第2アーム92の基端側とを連結するアームリンク96と、第1アーム91に一端側が取り付けられ、第2アーム92に他端側が取り付けられたバネ部材97を有している。
【0004】
そして、この包装容器把持部開閉装置90は、開閉コロ98を外部装置(図示しない)により
図19中右方向に向かって押すと、第1アーム91が
図17中右方向に移動してグリップ94が開く状態(包装容器を開放する状態)となり、バネ部材97は圧縮される。他方、外部装置(図示しない)による開閉コロ98の押圧を解除すると、バネ部材97の反発力により、第1アーム91は
図18中左方向に移動してグリップ94が閉じる状態(包装容器を把持する状態)となるように作用する。
【0005】
しかし、包装容器把持部開閉装置90において、バネ部材97を閉状態の圧力源として用いると、バネ部材97に粉塵等がこびり付きコイルの中に溜まってしまうなど、コンタミネーションや清掃性不良が生じることがあった。また、グリップ94をゴムにて形成すると、ゴムが潰れてくると、バネ部材97は自由長に近づく(
図18中L(初期値)がL+αになる)ため、グリップ94による把持力は弱まってしまう傾向にあった。さらに、バネ部材97が弱まると折損のリスクも高まった。さらに、
図17に示すように、グリップ94の開放量(W)が大きいほど、バネ部材97は圧縮され潰れるため、グリップ94を開状態に保持する負荷が増大するが、機能として求められる圧力はグリップ94が閉じた状態(包装容器を把持した状態体)であり、開放中の機械的負荷の増大は単純に無駄であった。
【0006】
他方、バネ部材の代わりにエアーシリンダーを用いたものもあるが、エア配管が必要であり、円周上に公転する部分ではスリップリング等が必要でコスト高となった。さらに、カムにて行う方法では、周辺機器が複雑化すると共に圧力調整をシビアに行う必要があり極めて煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10-236437号公報
【特許文献2】特許第6171123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の課題は、簡素かつ低廉な構造でコンタミネーションを低減でき、包装容器の開放時における機械的負荷を低減でき、部品形状がシンプルで清掃性が良好で、包装容器を把持した状態の圧力を強化できると共に長持ちさせることができる包装容器把持部開閉装置およびそれを備えた包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するものは、第1アームと、該第1アームに並設された第2アームと、前記第1アームの先端側に設けられたグリップ開閉軸と、該グリップ開閉軸を軸として開閉可能に設けられたグリップと、前記第1アームと前記第2アームを連結するグリップ開閉リンクと、前記第1アームに設けられた第1磁石または磁性体と、前記第2アームに設けられ前記第1磁石または磁性体に吸着可能な第2磁石または磁性体を有し、前記第1アームと前記第2アームは相対的位置が変動可能に設けられ、前記第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体とが離隔した状態で、前記グリップは開放状態となり、前記第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体が吸着または吸引した状態で、前記グリップは閉状態に保持されるように構成されていることを特徴とする包装容器把持部開閉装置である(請求項1)。
【0010】
前記第1アームは可動アームに構成され、前記第2アームは固定アームに構成され、前記第1アームが前記第2アームに対して相対的に移動することにより前記グリップが開閉可能に構成されていることが好ましい(請求項2)。前記第1アームは押圧部を有し、該押圧部が押圧されることにより、前記第1アームと前記第2アームとの相対的位置が変動して、前記第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体とが離隔または吸着するように構成されていることが好ましい(請求項3)。前記包装容器把持部開閉装置は、前記第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体57との吸引状態を保持しつつ、前記第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体57との離隔距離を微調整可能に構成されていることが好ましい(請求項4)。
【0011】
また、上記課題を解決するものは、包装容器を各包装工程が行われる包装ステーション毎に間欠移動させ前記包装容器内に被包装物を充填して施封する包装機であって、前記包装容器を把持するグリップ対と、該グリップ対を複数の工程毎に間欠移動させるための移動体と、被包装物を充填した前記包装容器を施封する施封装置とを有し、前記グリップ対は、対向配置された一対の包装容器把持部開閉装置を有し、該包装容器把持部開閉装置は、第1アームと、該第1アームに並設された第2アームと、前記第1アームの先端側に設けられたグリップ開閉軸と、該グリップ開閉軸を軸として開閉可能に設けられたグリップと、前記第1アームと前記第2アームを連結するグリップ開閉リンクと、前記第1アームに設けられた第1磁石または磁性体と、前記第2アームに設けられ前記第1磁石または磁性体に吸着可能な第2磁石または磁性体を有し、前記第1アームと前記第2アームは相対的位置が変動可能に設けられ、前記第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体とが離隔した状態で、前記グリップは開放状態となり、前記第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体が吸着または吸引した状態で、前記グリップは閉状態に保持されるように構成されていることを特徴とする包装容器把持部開閉装置を備えた包装機である(請求項5)。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の包装容器把持部開閉装置によれば、簡素かつ低廉な構造でコンタミネーションを低減でき、包装容器の開放時における機械的負荷も低減でき、部品形状がシンプルで清掃性が良好で、包装容器を把持した状態の圧力を強化できると共に長持ちさせることができる。
請求項2に記載の包装容器把持部開閉装置によれば、より簡素な構造でグリップの開閉を行うことができる。
請求項3に記載の包装容器把持部開閉装置によれば、より簡素な構造で第1アームの前記第1磁石または磁性体と前記第2アームの前記第2磁石または磁性体との離隔または吸着を行うことができる。
請求項4に記載の包装容器把持部開閉装置によれば、包装容器に対する保持力を調整することができる。
請求項5に記載の包装容器把持部開閉装置を備えた包装機によれば、簡素かつ低廉な構造でコンタミネーションを低減でき、包装容器の開放時における機械的負荷も低減でき、部品形状がシンプルで清掃性が良好で、包装容器を把持した状態の圧力を強化できると共に長持ちさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の包装容器把持部開閉装置の一実施例およびその作用を説明するための平面概略図である。
【
図2】
図1に示した包装容器把持部開閉装置の作用を説明するための平面概略図である。
【
図3】
図1に示した包装容器把持部開閉装置の作用を説明するための正面概略図である。
【
図4】本発明の包装容器把持部開閉装置を備えた包装機の一実施例の平面概略図である。
【
図5】
図4に示した包装容器把持部開閉装置を備えた包装機の正面概略図である。
【
図6】
図4に示した包装容器把持部開閉装置を備えた包装機の一包装工程を説明するための説明図である。
【
図7】
図4に示した包装容器把持部開閉装置を備えた包装機の一包装工程を説明するための説明図である。
【
図8】
図4に示した包装容器把持部開閉装置を備えた包装機の一包装工程を説明するための説明図である。
【
図9】
図4に示した包装容器把持部開閉装置を備えた包装機の一包装工程を説明するための説明図である。
【
図10】
図4に示した包装容器把持部開閉装置を備えた包装機の一包装工程を説明するための説明図である。
【
図11】
図4に示した包装容器把持部開閉装置を備えた包装機の一包装工程を説明するための説明図である。
【
図12】
図4に示した包装容器把持部開閉装置を備えた包装機の一包装工程を説明するための説明図である。
【
図13】
図4に示した包装容器把持部開閉装置を備えた包装機の一包装工程を説明するための説明図である。
【
図14】
図4に示した包装容器把持部開閉装置を備えた包装機の一包装工程を説明するための説明図である。
【
図15】
図4に示した包装容器把持部開閉装置を備えた包装機の一包装工程を説明するための説明図である。
【
図16】
図4に示した包装容器把持部開閉装置を備えた包装機の一包装工程を説明するための説明図である。
【
図17】従来の包装容器把持部開閉装置の構造および作用を説明するための平面概略図である。
【
図18】
図17に示した包装容器把持部開閉装置の作用を説明するための平面概略図である。
【
図19】
図17に示した包装容器把持部開閉装置の作用を説明するための正面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明では、包装容器把持部開閉装置50が、第1アーム51と、第1アーム51に並設された第2アーム52と、第1アーム51の先端側に設けられたグリップ開閉軸53と、グリップ開閉軸53を軸として開閉可能に設けられたグリップ54と、第1アーム51と第2アーム52を連結するグリップ開閉リンク55と、第1アーム51に設けられた第1磁石または磁性体56と、第2アーム52に設けられ第1磁石または磁性体56に吸着可能な第2磁石または磁性体57を有し、第1アーム51と第2アーム52は相対的位置が変動可能に設けられ、第1アーム51の第1磁石または磁性体56と第2アーム52の第2磁石または磁性体57とが離隔した状態で、グリップ54は開放状態となり、第1アーム51の第1磁石または磁性体56と第2アームの第2磁石または磁性体57が吸着または吸引した状態で、グリップ54は閉状態に保持されるように構成されていることで、簡素かつ低廉な構造でコンタミネーションを低減でき、包装容器の開放時における機械的負荷も低減でき、部品形状がシンプルで清掃性が良好で、包装容器を把持した状態の圧力を強化できると共に長持ちさせることができる包装容器把持部開閉装置およびそれを備えた包装機Pを実現した。
【実施例0015】
本発明の包装容器把持部開閉装置を
図1ないし
図3に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の包装容器把持部開閉装置50は、第1アーム51と、第1アーム51に並設された第2アーム52と、第1アーム51の先端側に設けられたグリップ開閉軸53と、グリップ開閉軸53を軸として開閉可能に設けられたグリップ54と、第1アーム51と第2アーム52を連結するグリップ開閉リンク55と、第1アーム51に設けられた第1磁石または磁性体56と、第2アーム52に設けられ第1磁石または磁性体56に吸着可能な第2磁石または磁性体57を有し、第1アーム51と第2アーム52は相対的位置が変動可能に設けられ、第1アーム51の第1磁石または磁性体56と第2アーム52の第2磁石または磁性体57とが離隔した状態で、グリップ54は開放状態となり、第1アーム51の第1磁石または磁性体56と第2アームの第2磁石または磁性体57が吸着または吸引した状態で、グリップ54は閉状態に保持されるように構成されている。以下、各構成について順次詳述する。
【0016】
第1アーム51は、並設された第2アーム52との関係において、包装容器aが位置する側を内側とすると外側に配される部位であり、この実施例では可動アームとして構成されている。
【0017】
他方、第2アーム52は、第1アーム51との関係において、包装容器aが位置する側を内側とすると内側に配される部位であり、この実施例では固定アームとして構成されている。
【0018】
なお、この実施例では、第1アーム51が可動アームに構成され、第2アーム52が固定アームとして構成されているが、逆に、第1アーム51が固定アームに構成され、第2アーム52が可動アームとして構成されているものも本発明の範疇に包含される。
【0019】
第1アーム51の先端側には、
図1または
図2に示すように、グリップ開閉軸53が設けられており、このグリップ開閉軸53を軸としてグリップ54が開閉可能に設けられている。
【0020】
グリップ開閉リンク55は、第1アーム51と第2アーム52を連結するリンク部材であり、グリップ開閉リンク55は、第1アーム51側では、グリップ開閉軸53にて回動可能に連結され、第2アーム52側では、回動用ピン58にて回動可能に連結されている。
【0021】
そして、グリップ開閉リンク55の先端にはグリップ54が設けられており、グリップ開閉リンク55の回動により、グリップ54が第2アーム52の先端面65との間で開閉可能に構成され、包装容器aを把持または開放可能に構成されている。より具体的には、
図1または
図2に示すように、第1アーム51が第2アーム52に対して相対的に移動することにより、グリップ開閉リンク55が正逆回動してグリップ54が開閉するように構成されている。
【0022】
なお、この実施例では、第1アーム51の先端側と第2アーム52の先端側は、一つのリンク部材(グリップ開閉リンク55)にてリンクされているが、これに限定されるものではなく、第1アーム51の先端側と第2アーム52の先端側とが複数のリンク部材にてリンクされているものも本発明の範疇に包含される。また、この実施例では、第1アーム51の基端側と第2アーム52の基端側は、一つのリンク部材(アームリンク59)にてリンクされているが、これに限定されるものではなく、第1アーム51の基端側と第2アーム52の基端側が複数のリンク部材にてリンクされているものも本発明の範疇に包含される。
【0023】
第1アーム51には、第1磁石または磁性体56が取り付けられており、第2アーム52には、第1磁石または磁性体56に吸着可能な第2磁石または磁性体57が取り付けられている。具体的には、第1磁石または磁性体56は、第1取付部61の第1固定部61aがビス63によって第1アーム51の上面に固定され、第1アーム51の内側に延在する第1配置部61b内に配置されて取り付けられており、第2磁石または磁性体57は、第2取付部62の第2固定部62aがビス64によって第2アーム52の内側側面に固定され、第2アーム52の外側に延在する第2配置部62b内に配置されて取り付けられている。
【0024】
第1磁石または磁性体56としては、永久磁石、通電時のみ磁石となる電磁石または強磁性体が好適に使用され、第2磁石または磁性体57としても、永久磁石、通電時のみ磁石となる電磁石または強磁性体が好適に使用される。なお、第2アーム52に設けられた第2磁石または磁性体57は、第1磁石または磁性体56に吸着または吸引可能であることが必要であるため、第1磁石または磁性体56が磁石であれば、第2磁石または磁性体57は磁石でも磁性体でもよいが、第1磁石または磁性体56が磁性体である場合は、第2磁石または磁性体57は磁石であることが必要である。好ましくは、第1磁石または磁性体56および第2磁石または磁性体57は共に永久磁石などの磁石であることが好ましい。
【0025】
また、第1磁石または磁性体56と第2磁石または磁性体57から発生する磁界が両者以外に影響を与えたり、電磁波が発生することを抑制するために、第1磁石または磁性体56と第2磁石または磁性体57自体やその周辺、あるいは包装容器把持部開閉装置50全体に遮蔽板を配したものも本発明の範疇に包含される。
【0026】
そして、第1アーム51と第2アーム52は相対的位置が変動可能に設けられている。具体的には、この実施例では、第1アーム51は、押圧部60を有し、押圧部60が押圧されることにより、第1アーム51と第2アーム52との相対的位置が変動して、第1アーム51の第1磁石または磁性体56と第2アームの第2磁石または磁性体57とが離隔または吸着するように構成されている。これにより、簡素な構造で、第1アームの第1磁石または磁性体56と第2アームの第2磁石または磁性体57との離隔または吸着を行うことができる。
【0027】
より具体的には、この実施例では、第1アーム51の押圧部60(開閉コロ)が、
図1中右方向(第1アーム51の基端側)に向かって押圧されることにより、第1アーム51が
図1中右方向(第1アーム51の基端側)に向かって移動し、第1アーム51の第1磁石または磁性体56と第2アームの第2磁石または磁性体57が離隔し、この第1アーム51の第1磁石または磁性体56と第2アーム52の第2磁石または磁性体57とが離隔した状態で、グリップ54が開放状態(包装容器aを開放した状態)となるように構成されている。
【0028】
他方、第1アーム51の押圧部60(開閉コロ)が、
図2中左方向(第1アームの先端側)に向かって押圧されることにより、第1アーム51が
図2中左方向(第1アーム51の先端側)に向かって移動し、第1アーム51の第1磁石または磁性体56と第2アームの第2磁石または磁性体57が吸着または吸引し、この第1アーム51の第1磁石または磁性体56と第2アーム52の第2磁石または磁性体57とが吸着または吸引した状態で、グリップ54が閉状態(包装容器aを把持した状態)に保持されるよう構成されている。
【0029】
なお、上述したように、本発明の包装容器把持部開閉装置50では、第1アームの第1磁石または磁性体56と第2アームの第2磁石または磁性体57が吸着(吸引)することにより、グリップ54が閉状態となるように構成されているが、この吸着(吸引)の程度を調整することにより、包装容器aの把持力を調整することも可能である。すなわち、第1アームの第1磁石または磁性体56と第2アームの第2磁石または磁性体57が最接近して密着した状態で包装容器aの把持力が最大となり、吸着または吸引状態を保持しつつ両者の離隔距離を徐々に大きくすることにより包装容器aの把持力を徐々に小さくすることができる。具体的には、上記包装容器aの把持力の微調整は、例えば、第1アーム51と第2アーム52の相対的位置の変動を制御(例えば押圧部の移動距離制御)すること、或いは、第1磁石または磁性体56の第1取付部61による第1アーム51への取り付け位置を微調整すること、または第2磁石または磁性体57の第2取付部62による第2アーム52への取り付け位置を微調整することなどで実現できる。
【0030】
このように、本発明の包装容器把持部開閉装置50では、バネ部材、エアーシリンダーまたはカム機構などに代えて磁力(磁石または磁性材料)を使用することで、
図1に示すように、グリップ54が開放した状態では、第1アーム51の第1磁石または磁性体56と第2アームの第2磁石または磁性体57は離隔しているため、グリップ54が開放している状態の機械的負荷を著しく低減できる。他方、
図2に示すように、グリップ54が閉じている状態では、第1アーム51の第1磁石または磁性体56と第2アームの第2磁石または磁性体57が吸着または吸引しているため、むしろ包装容器aの把持力が強くなる(グリップ54のゴムが潰れても、第1アーム51の第1磁石または磁性体56と第2アームの第2磁石または磁性体57との距離が近づくため、むしろ吸着力(グリップ54による包装容器aの把持力)は強くなる)。また、簡素かつ低廉な構造でコンタミネーションを低減でき、部品形状がシンプルであるため清掃性も良好となる。
【0031】
つぎに、本発明の包装容器把持部開閉装置を備えた包装機Pを、
図1ないし
図16に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の包装容器把持部開閉装置50を備えた包装機Pは、包装容器aを各包装工程が行われる包装ステーション毎に間欠移動させ包装容器a内に被包装物を充填して施封する包装機であって、包装容器aを把持するグリップ対gと、グリップ対gを複数の工程毎に間欠移動させるための移動体20と、被包装物を充填した包装容器gの袋口付近を施封する施封装置(シール装置またはシールバー)21とを有し、グリップ対gは、対向配置された一対の包装容器把持部開閉装置50を有し、包装容器把持部開閉装置50は、第1アーム51と、第1アーム51に並設された第2アーム52と、第1アーム51の先端側に設けられたグリップ開閉軸53と、グリップ開閉軸53を軸として開閉可能に設けられたグリップ54と、第1アーム51と第2アーム52を連結するグリップ開閉リンク55と、第1アーム51に設けられた第1磁石または磁性体56と、第2アーム52に設けられ第1磁石または磁性体56に吸着可能な第2磁石または磁性体57を有し、第1アーム51と第2アーム52は相対的位置が変動可能に設けられ、第1アーム51の第1磁石または磁性体56と第2アーム52の第2磁石または磁性体57とが離隔した状態で、グリップ54は開放状態となり、第1アーム51の第1磁石または磁性体56と第2アームの第2磁石または磁性体57が吸着または吸引した状態で、グリップ54は閉状態に保持されるように構成されている。以下、各構成について順次詳述するが、包装容器把持部開閉装置50については前述した通りであり説明を省略する。
【0032】
この実施例の包装機Pは、
図4または
図5に示すように、複数のグリップ対gを備えた移動体(回転テーブル)20を複数の工程毎に間欠停止するようにして移動させ、グリップ対gにより吊り下げ状に支持された包装容器(包装袋)aに被包装物を充填して袋口を施封する包装機である。
【0033】
包装容器(包装袋)aとしては、例えば両側縁に折込み部分を有するガゼット袋、底部に折込み部分を有する自立袋、それらの袋にチャックを備えたチャック付袋または平袋などである。包装容器(包装袋)a内に充填される被包装物としては、例えば、ペットフード、肥料、米、砂糖などである。
【0034】
なお、この実施例の包装容器は、包装袋であるが、本発明における包装容器は、包装袋に限定されるものではなく、例えば樹脂容器等の容器類、瓶など被包装物を包装する容器を広く包含する概念である。
【0035】
なお、この実施例の包装機Pは、ロータリー式包装機であるが、これに限定されるものではなく、例えば、公知の直線移動式包装機や二つの直線部とその両端の半円形部からなる環状路を水平移動するトラック移動式包装機などであってもよい。
【0036】
この包装機Pでは、平面視円形の移動体(回転テーブル)20の周りに、包装容器(包装袋)aを把持又は開放するための10個のグリップ対gが等角度間隔で放射方向に突出するように設けられている。グリップ対gは、
図4または
図9に示すように包装容器aの上部付近の両側をそれぞれ把持または開放するためのグリップ54を先端部に有した一対の包装容器把持部開閉装置50を、一対のグリップ54がそれぞれ内側に配される包装容器aを把持できるように対照的に対向配置して構成されている。
【0037】
この実施例の包装機Pは、
図6ないし
図16に示すように、給袋工程(第1工程)、チャック開口・賞味期限等の印字工程(第2工程)、印字検査工程(第3工程)、袋上開口・袋底開口工程(第4工程)、被包装物充填・底部振動工程(第5工程)、底部振動工程(第6工程)、底部振動・エアー吹き飛ばし工程(第7工程)噛み込み検出工程(第8工程)、ヒートシール・エアー抜き工程(第9工程)、冷却シール・製品排出工程(第10工程)を経て被包装物が包装容器(包装袋)a内に充填され施封され製品が量産されるものである。
【0038】
給袋工程(第1工程)では、給袋ステーション1に配された給袋装置が、
図6に示すように、給袋コンベア22上に積み重ねられて順次搬送される包装容器aを袋位置決め台23にて位置決めした後、垂直姿勢にして、順次間欠移動して待機するグリップgに受け渡す。具体的には、サーボモーター(図示しない)により上下移動自在とされる吸盤24によって一枚ずつ吸着して回動アーム25によって所定高さまで持ち上げてグリップ対gに順次受け渡すように構成されている。この時、グリップ対gは、一対の包装容器把持部開閉装置50のグリップ54が閉状態(
図2の状態)となり、包装容器aの上部付近の両側をそれぞれ把持することで包装容器aを垂直姿勢で保持する。
【0039】
給袋工程(第1工程)とチャック開口・賞味期限等の印字工程(第2工程)の間の移動中には、
図7に示すように、検知器26にて、順次送られてくる包装容器gの高さ検知が行われる。
【0040】
チャック開口・賞味期限等の印字工程(第2工程)では、
図8に示すように、包装容器aの袋口付近の内面に設けられたチャックを開くチャック開口と、賞味期限等を包装容器aに印刷する印字工程が行われる。具体的には、チャック開口・印字ステーション2において、チャック開口として、グリップ対gによって両端上部が把持されて吊り下げ状に支持された包装容器aの袋口付近が表裏外面より吸盤(図示しない)にてそれぞれ吸引され開口されると共に、挟持部材27が表裏面をそれぞれ挟持した状態で外側に移動することで包装容器aの袋口内面に設けられたチャックを開くように構成されている。また、賞味期限等の印字として、印字及び捺印28によって賞味期限等を包装容器aに印刷するように構成されている。
【0041】
印字検査工程(第3工程)では、賞味期限等の印字工程(第2工程)にて印刷された印字が適切になされているかの検査が行われる。具体的には、この工程は、
図9に示すように、印字検査ステーション3に配されたカメラ29にて行われる。
【0042】
袋上開口・袋底開口工程(第4工程)では、袋開口ステーション4において、包装容器aの袋口が吸盤30にて外方に向かって両側から吸引されることにより開口されると共に、袋底部が吸盤31にて外方に向かって両側から吸引されることにより開口される。
【0043】
被包装物充填・底部振動工程(第5工程)では、
図11に示すように、被包装物充填ステーション5において、袋口より挿入された被包装物充填用漏斗32の放出口から設定量の被包装物が包装容器a内に充填される。また、包装容器aの底部が底受け装置の底部受け体33により上下に振動される。
【0044】
底部振動工程(第6工程)では、
図12に示すように、底部振動ステーション6において、包装容器aの底部が底受け装置の底部受け体33により上下に振動される。
【0045】
底部振動・エアー吹き飛ばし工程(第7工程)では、
図13に示すように、エアー吹き飛ばしステーション7において、エアー吹き飛ばし装置34により、包装容器aの袋口付近に付着した被包装物が吹き飛ばされる。また、ここでも包装容器aの底部が底受け装置の底部受け体33により上下に振動される。
【0046】
噛み込み検出工程(第8工程)では、
図14に示すように、噛み込み検出ステーションにおいて、噛み込み検出器35により、包装容器aの袋口付近の噛み込みが検出される。
【0047】
ヒートシール・エアー抜き工程(第9工程)では、
図15に示すように、シーリングステーション9において、シール装置(シールバー)21により包装容器aの袋口付近が水平方向に表裏からシールされ施封される。また、施封に先立って、エアー抜き36にて包装容器a内のエアーが抜き取られる。
【0048】
冷却シール・製品排出工程(第10工程)では、
図16に示すように、製品排出ステーション10において、良品と判定された包装容器aは、冷却バー37により包装容器aの袋口付近が両面側から冷却される。また、グリップ対gのグリップ54が開いて包装容器aの把持が解除(開放)され、振分シュート38を介して良品と不良品が振り分けられ、不良品は系外排出され、良品は製品排出コンベア39により機外排出されるように構成されている。
【0049】
以上のように、この実施例の包装機1は、間欠移動する包装容器(包装袋)aに対して、各包装ステーション1~10における上記各包装工程を行うことにより順次製品を量産するように構成されている。