IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ車体株式会社の特許一覧 ▶ 明和工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-カップホルダ 図1
  • 特開-カップホルダ 図2
  • 特開-カップホルダ 図3
  • 特開-カップホルダ 図4
  • 特開-カップホルダ 図5
  • 特開-カップホルダ 図6
  • 特開-カップホルダ 図7
  • 特開-カップホルダ 図8
  • 特開-カップホルダ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040766
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】カップホルダ
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
B60N3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145627
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】309018445
【氏名又は名称】明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】三村 拓也
(72)【発明者】
【氏名】前田 善成
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088LA01
3B088LB01
3B088LB04
3B088LB05
(57)【要約】
【課題】カップサポートから受ける荷重によるカップ支持部材の意図しない開きを防ぐことができるカップホルダを提供する。
【解決手段】カップホルダ1は、ホルダベース10と、カップ支持部材としてのボックス20と、ボックス20が全開位置から全閉位置P1に向けてスライドするときにボックス20により押圧されて使用位置Q1から格納位置まで回動するカップサポート30と、カップサポート30を使用位置Q1に向けて常時に弾性付勢する弾性部材35と、を備え、ボックス20には、ボックス20のスライド方向Xと直交する上下方向Yに対してカップサポート30の回動平面内で交差する方向に延在する荷重受け面としての第1当接面26aが設けられており、この第1当接面26aで格納位置にあるカップサポート30に当接してこのカップサポート30から使用位置Q1に向かう荷重を受ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダベースと、
上記ホルダベースにカップを支持可能な全開位置と全閉位置との間でスライド可能にガイドされるカップ支持部材と、
上記ホルダベースと上記カップ支持部材のいずれか一方に使用位置と格納位置との間で回動可能となるように設けられ、上記カップ支持部材が上記全開位置から上記全閉位置に向けてスライドするときに上記カップ支持部材又は上記ホルダベースにより押圧されて上記使用位置から上記格納位置まで回動するカップサポートと、
上記カップサポートを上記使用位置に向けて常時に弾性付勢する弾性部材と、
を備え、
上記カップ支持部材又は上記ホルダベースには、上記カップ支持部材のスライド方向と直交する上下方向に対して上記カップサポートの回動平面内で交差する方向に延在する荷重受け面が設けられており、上記荷重受け面で上記格納位置にある上記カップサポートに当接してこのカップサポートから上記使用位置に向かう荷重を受ける、カップホルダ。
【請求項2】
上記荷重受け面は、上記上下方向に対して上記カップサポートの回動平面内で直交する方向に延在する、請求項1に記載のカップホルダ。
【請求項3】
上記ホルダベースに上記カップサポートが設けられ、上記カップ支持部材に上記荷重受け面が設けられており、
上記カップサポートは、上記格納位置から上記使用位置に向かう第1回動方向についての回動前端部及び回動後端部を有し、
上記荷重受け面は、上記格納位置にある上記カップサポートの上記回動前端部に当接する第1当接面と、上記格納位置にある上記カップサポートの上記回動後端部に当接する第2当接面と、の少なくとも一方によって構成されている、請求項1または2に記載のカップホルダ。
【請求項4】
上記カップサポートが上記格納位置にあるときに、上記回動前端部が上記カップ支持部材の上記第1当接面に沿って配置され、或いは上記回動後端部が上記カップ支持部材の上記第2当接面に沿って配置される、請求項3に記載のカップホルダ。
【請求項5】
上記カップサポートは、上記ホルダベースに設けられている回動停止面に上記回動前端部において当接することにより上記使用位置に保持される、請求項3または4に記載のカップホルダ。
【請求項6】
上記カップ支持部材は、上記全閉位置から上記全開位置に向かう開方向の後方側の後端面に設けられた凹部と、上記カップサポートに対向するように上記凹部に収容された対向部と、を備え、上記対向部に上記荷重受け面が設けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載のカップホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、車室内に設けられる容器ホルダが開示されている。この容器ホルダは、飲物容器等のカップ状の容器(以下、単に「カップ」という。)を保持するためのものである。この種の容器ホルダは、一般的にカップホルダと称呼され、ホルダベースであるハウジングと、ハウジングにカップを支持可能な全閉位置とカップを支持不能な全開位置との間でスライド可能となるように設けられたカップ支持部材(カップ支持板)と、カップ支持部材に格納位置と使用位置との間で回動可能となるように設けられたカップサポート(カップ保持板)と、を備えている。
【0003】
カップサポートは、コイルばねによって使用位置に向けて常時に弾性付勢されている。このカップサポートは、カップ支持部材が全閉位置に向けて閉方向へスライドする途中の段階でこのカップ支持部材により押圧されてコイルばねの弾性付勢力に抗して使用位置から格納位置まで回動する。また、このカップサポートは、カップ支持部材が全開位置に向けて開方向へスライドする途中の段階でこのカップ支持部材による押圧が解除されて、コイルばねの弾性付勢力にしたがって格納位置から使用位置まで回動する。
【0004】
カップサポートが使用位置にあるときにカップ支持部材にカップが挿入されて支持されることによって、カップが水平方向に動くことができるスペースがカップサポートによって狭められ、或いはカップの側面に対してカップサポートから押し付け方向の荷重が付与される。その結果、カップを安定して保持することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-99771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成のカップホルダは、コイルばねがカップサポートを使用位置に向けて常時に弾性付勢する構造を有する。このため、カップ支持部材は、収納位置にある状態のカップサポートから使用位置に向けて常時に荷重を受けることになる。このときにカップ支持部材がカップサポートから受ける荷重は、カップ支持部材の意図しない開方向の動きの要因に成り得る。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、カップサポートから受ける荷重によるカップ支持部材の意図しない開きを防ぐことができるカップホルダを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、
ホルダベースと、
上記ホルダベースにカップを支持可能な全開位置と全閉位置との間でスライド可能にガイドされるカップ支持部材と、
上記ホルダベースと上記カップ支持部材のいずれか一方に使用位置と格納位置との間で回動可能となるように設けられ、上記カップ支持部材が上記全開位置から上記全閉位置に向けてスライドするときに上記カップ支持部材又は上記ホルダベースにより押圧されて上記使用位置から上記格納位置まで回動するカップサポートと、
上記カップサポートを上記使用位置に向けて常時に弾性付勢する弾性部材と、
を備え、
上記カップ支持部材又は上記ホルダベースには、上記カップ支持部材のスライド方向と直交する上下方向に対して上記カップサポートの回動平面内で交差する方向に延在する荷重受け面が設けられており、上記荷重受け面で上記格納位置にある上記カップサポートに当接してこのカップサポートから上記使用位置に向かう荷重を受ける、カップホルダ、
にある。
【発明の効果】
【0009】
上記のカップホルダにおいて、カップサポートは、カップ支持部材が全開位置に向けて開方向へスライドする途中の段階でこのカップ支持部材又はホルダベースによる押圧が解除されて、弾性部材の弾性付勢力にしたがって格納位置から使用位置まで回動する。カップサポートが使用位置にあるときにカップ支持部材に挿入されたカップは、カップ支持部材によって支持され且つその支持位置でカップサポートによって安定して保持される。
【0010】
一方で、カップサポートは、カップ支持部材が全閉位置に向けて閉方向へスライドする途中の段階でこのカップ支持部材又はホルダベースにより押圧されて弾性部材の弾性付勢力に抗して使用位置から格納位置まで回動する。そして、カップサポートが格納位置に達した状態では、カップ支持部材又はホルダベースに設けられている荷重受け面がカップサポートに当接して、このカップサポートから使用位置に向かう荷重を受ける。
【0011】
ここで、カップ支持部材又はホルダベースに設けられている荷重受け面は、カップ支持部材の上下方向に対してカップサポートの回動平面内で交差する方向に延在している。このため、荷重受け面がカップ支持部材の上下方向に延在する構造に比べると、荷重受け面がカップサポートから受ける荷重のうちカップ支持部材の開方向の荷重成分の大きさを抑えることが可能になる。ここで、カップ支持部材の開方向の荷重成分は、カップ支持部材を開方向にスライドさせるのに使用されるものであり、この荷重成分の大きさを抑えることでカップ支持部材が全閉位置から開方向にスライドし難くなる。
【0012】
以上のごとく、上記の態様によれば、カップサポートから受ける荷重によるカップ支持部材の意図しない開きを防ぐことができるカップホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1のカップホルダについてボックスが全開位置にある状態での斜視図。
図2図1のカップホルダの平面図。
図3図2のIII-III線矢視断面図。
図4図2のカップホルダについてボックスが半開位置にある状態での平面図。
図5図4のV-V線矢視断面図。
図6図4のカップホルダについてボックスが全閉位置にある状態での平面図。
図7図6のVII-VII線矢視断面図。
図8図7中のA領域の部分拡大図。
図9】実施形態2のカップホルダについて図8に対応した部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0015】
上記のカップホルダにおいて、上記荷重受け面は、上記上下方向に対して上記カップサポートの回動平面内で直交する方向に延在するのが好ましい。
【0016】
このカップホルダによれば、荷重受け面を上下方向に対してカップサポートの回動平面内で直交する方向に延在させることによって、この荷重受け面がカップサポートから受ける荷重を、カップ支持部材を開方向と直交する方向に付勢するのに使用することができる。これにより、カップ支持部材が全閉位置から開方向にスライドするのを防ぐことができる。
【0017】
上記のカップホルダにおいて、上記ホルダベースに上記カップサポートが設けられ、上記カップ支持部材に上記荷重受け面が設けられており、
上記カップサポートは、上記格納位置から上記使用位置に向かう第1回動方向についての回動前端部及び回動後端部を有し、
上記荷重受け面は、上記格納位置にある上記カップサポートの上記回動前端部に当接する第1当接面と、上記格納位置にある上記カップサポートの上記回動後端部に当接する第2当接面と、の少なくとも一方によって構成されているのが好ましい。
【0018】
このカップホルダによれば、ホルダベースにカップサポートを設ける構造において、格納位置にあるカップサポートの回動前端部を第1当接面に当接させ、或いはこのカップサポートの回動後端部を第2当接面に当接させて、カップサポートから使用位置に向かう荷重を受けることができる。
【0019】
上記のカップホルダにおいて、上記カップサポートが上記格納位置にあるときに、上記回動前端部が上記カップ支持部材の上記第1当接面に沿って配置され、或いは上記回動後端部が上記カップ支持部材の上記第2当接面に沿って配置されるのが好ましい。
【0020】
このカップホルダによれば、格納位置にあるカップサポートの回動前端部がカップ支持部材の第1当接面に沿って配置されるため回動前端部と第1当接面とが当接する面積を増やすことができ、或いは格納位置にあるカップサポートの回動後端部がカップ支持部材の第2当接面に沿って配置されるため回動後端部と第2当接面とが当接する面積を増やすことができる。
【0021】
上記のカップホルダにおいて、上記カップサポートは、上記ホルダベースに設けられている回動停止面に上記回動前端部において当接することにより上記使用位置に保持されるのが好ましい。
【0022】
このカップホルダによれば、カップサポートの回動前端部に、カップサポートの格納位置においてはカップ支持部材の第1当接面に当接する機能と、カップサポートの使用位置においてはホルダベースの回動停止面に当接する機能と、の両機能を兼務させることができる。
【0023】
上記のカップホルダにおいて、上記カップ支持部材は、上記全閉位置から上記全開位置に向かう開方向の後方側の後端面に設けられた凹部と、上記カップサポートに対向するように上記凹部に収容された対向部と、を備え、上記対向部に上記荷重受け面が設けられているのが好ましい。
【0024】
このカップホルダによれば、カップ支持部材の凹部に対向部を収容して、カップサポートからの荷重を受けるための構造を、カップ支持部材の開方向の後方側の後端面から突出させないようにすることで、この構造がカップ支持部材におけるカップの挿入の邪魔になるのを防ぐことができる。
【0025】
以下、車両に組付けられるカップホルダの具体的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
なお、このカップホルダの説明のための図面において、特にことわらない限り、カップホルダが組付けられる車両の前方を矢印FRで示し、この車両の右方を矢印RHで示し、この車両の上方を矢印UPで示すものとする。
【0027】
カップホルダを構成するボックスのスライド方向を矢印Xで示し、このカップホルダの上下方向を矢印Yで示し、このカップホルダの左右方向を矢印Zで示すものとする。これらの方向は、車両におけるカップホルダの設置形態(設置位置や向きなど)に応じて変化し得る。また、スライド方向Xのうちの一方向である開方向を矢印X1で示し、スライド方向Xのうち開方向X1とは逆方向である閉方向を矢印X2で示すものとする。
【0028】
(実施形態1)
図1図3に示される、実施形態1のカップホルダ1は、カップWを保持するためのものである。このカップホルダ1は、典型的には、車両前後のインストルメントパネル、右側シートと左側シートとの間のコンソール、車両ドアの室内側などの部位に設けられる。
【0029】
ここでいう「カップW」には、飲み物などの液体を溜めることができる筒状部を有するカップ、コップ、グラスなどのカップ状の容器は勿論、ペットボトル、飲料缶などのカップ状の容器と類似の形状を有する物品が挙げられる。このため、このカップWを「カップ状容器W」ということもできる。
【0030】
カップホルダ1は、ホルダベース10と、ボックス20と、カップサポート30と、による複数の構成要素を備えている。これら複数の構成要素はいずれも、樹脂材料を主材料とした樹脂成形体として構成されている。
【0031】
ホルダベース10は、車両に対して固定される本体部分である。このホルダベース10は、ボックス20を収容可能な収容空間11を有する。ホルダベース10の収容空間11には、カップサポート30を回動可能に支持するブラケット部12(図2及び図3を参照)が配置されている。
【0032】
ボックス20は、上部開口を有する有底箱状に構成されている。このボックス20は、ホルダベース10に全開位置P1と全閉位置P2(図1中の二点鎖線を参照)との間でスライド方向Xにスライド可能にガイドされる。このときのガイド構造は、特に図示しないものの、いずれもスライド方向に延び且つ互いに係合する係合溝とガイドレールとによって構成されている。
【0033】
全開位置P1は、ボックス20の上部開口が最大限に開放される開放位置である。全閉位置P2は、ボックス20がホルダベース10の収容空間11に収容されて上部開口が閉鎖される閉鎖位置である。
【0034】
ボックス20は、蓋部21と、蓋部21の後端面21aの左右方向Yの両側から延出し前後方向Xに互いに平行に延びる2つの側壁部22と、2つの側壁部22の下方を塞ぐように設けられた底部23と、対向部24と、を備えている。蓋部21の後端面21aは、ボックス20の開方向X1の後方側の面である。ボックス20内に上部開口を通じて挿入されたカップWは底部23によって下方から支持される。
【0035】
ボックス20は、ユーザが手動でスライド方向Xにスライドさせるように構成されてもよいし、或いは、ばね部材やアクチュエータ等の付勢手段による付勢力を利用してスライド方向Xにスライドさせるように構成されてもよい。付勢手段を利用する場合には、ボックス20の全開位置P1と全閉位置P2との間の動きをアシストすることによって、ボックス20の開閉操作に要するユーザの負担を抑えることができる。
【0036】
ボックス20には、蓋部21の後端面21aに凹部21bが設けられている。この凹部21bは、カップサポート30とは逆方向に凹んでおり、この凹部21bに対向部24が収容されている。
【0037】
対向部24は、カップサポート30に対向し且つ凹部21bから突出しないように寸法設定されている。この対向部24は、カップサポート30とは逆方向に凹んだ凹部25と、凹部25の上方を区画する上壁26と、を有する。
【0038】
ボックス20側の対向部24の上壁26には、荷重受け面としての第1当接面26a(図3を参照)が設けられている。この第1当接面26aは、ボックス20のスライド方向Xと直交する上下方向Yに対してカップサポート30の回動平面内で直交する方向に延在している。詳細については後述するが、この第1当接面26aは、格納位置Q2にあるカップサポート30から使用位置Q1に向かう荷重を受けるように構成されている。
【0039】
なお、対向部24は、蓋部21の一部を利用したものであってもよいし、或いは蓋部21に接合される別部材によって構成されてもよい。このとき、第1当接面26aを少なくとも有していれば、その形状は問わない。また、ボックス20は、カップWを支持するためのカップ支持部材としての機能を有していれば、その形状は問わない。
【0040】
カップサポート30は、カップWを保持するためのものであり、その回動軸30aがホルダベース10のブラケット部12に取付けられている。これにより、カップサポート30は、ホルダベース10に使用位置Q1と格納位置(後述の格納位置Q2)との間で回動軸30aを中心に第1回動方向D1及び第2回動方向D2(図3を参照)に回動可能となるように設けられている。
【0041】
カップサポート30は、使用位置Q1にあるときの状態を上下方向Yについて見たとき、カップWの側面形状に倣う円弧面31を有する。また、このカップサポート30は、使用位置Q1にあるときの状態を左右方向Zについて見たとき、後方に向けて凸となる凸面32を有する。
【0042】
カップホルダ1は、カップサポート30を使用位置Q1に向けて常時に弾性付勢する弾性部材35を備えている。この弾性部材35は、典型的には、コイルばね、板ばねなどのばね部材を用いて構成される。
【0043】
使用位置Q1は、格納位置Q2にあるカップサポート30が回動軸30aを中心としてカップWに近づくように第1回動方向D1に回動した位置である。カップサポート30は、ボックス20が全閉位置P2から全開位置P1に向けてスライドするときに、ボックス20による押圧が解除されることによって、弾性部材35の弾性付勢力にしたがって使用位置Q1に設定される。カップサポート30が使用位置Q1に設定されることでボックス20におけるカップWの挿入可能空間が狭まる。
【0044】
カップサポート30は、格納位置Q2から使用位置Q1に向かう第1回動方向D1についての回動前端部33及び回動後端部34を有する。このカップサポート30は、ホルダベース10に設けられている回動停止面13に回動前端部33において当接することにより使用位置Q1に保持されるように構成されている。
【0045】
カップサポート30が使用位置Q1にあるとき、カップWが水平方向に動くことができるスペースがカップサポート30によって狭められ、或いはカップWの側面に対してカップサポート30から弾性部材35の弾性付勢力による押し付け方向の荷重が付与される。これにより、カップWを安定して保持することが可能になる。
【0046】
これに対して、格納位置Q2は、使用位置Q1にあるカップサポート30が回動軸30aを中心として折り畳まれるように第2回動方向D2に回動した位置である。カップサポート30は、ボックス20が全開位置P1から全閉位置P2に向けてスライドするときに、弾性部材35の弾性付勢力に抗してボックス20により押圧されて使用位置Q1から格納位置Q2まで回動する。
【0047】
カップサポート30が使用位置Q1から格納位置Q2に向けて回動するにつれて、カップサポート30が弾性部材35の弾性付勢力を受けてボックス20に付与する荷重が強まる。そして、カップサポート30が格納位置Q2にあるときにこの荷重が最大となる。
【0048】
図4及び図5に示されるように、ボックス20は、ユーザにより閉方向X2に押し込まれることによって全開位置P1から全閉位置P2に向かう途中の半開位置P3に達する。ボックス20が半開位置P3に達すると、使用位置Q1にあるカップサポート30はボックス20側の後端面21aに当接する。そして、それ以降、このカップサポート30は、ボックス20が半開位置P3から全閉位置P2に到達するまで、弾性部材35の弾性付勢力に抗してボックス20から押圧荷重を受けて回動軸30aを中心に第2回動方向D2に回動する(図5を参照)。
【0049】
図6及び図7に示されるように、ボックス20が全閉位置P2に達することに連動してカップサポート30は、回動軸30aを中心に格納位置Q2まで第2回動方向D2に回動する。このとき、図7に示されるように、カップサポート30の上部がボックス20の対向部24に設けられている凹部25に進入する。
【0050】
ここで、弾性部材35がカップサポート30を使用位置Q1に向けて常時に弾性付勢する構造を有する。このため、ボックス20は、収納位置Q2にある状態のカップサポート30から使用位置Q1に向かう第1回動方向D1の荷重を常時に受けることになる。このときにボックス20がカップサポート30から受ける荷重は、ボックス20の意図しない開方向X1の動きの要因に成り得る。
【0051】
そこで、本実施形態では、図7及び図8に示されるように、ボックス20の対向部24には、ボックス20が全閉位置P2にあり且つカップサポート30が格納位置Q2にあるときにカップサポート30から使用位置Q1に向かう荷重を受けるための上壁26が設けられている。
【0052】
図8に示されるように、上壁26の第1当接面26aは、ボックス20の上下方向Yに対してカップサポート30の回動平面内で直交する方向に延在している。また、カップサポート30が格納位置Q2にあるときに、回動前端部33が第1当接面26aに沿って配置される。このため、上壁26の第1当接面26aは、格納位置Q2にあるカップサポート30の回動前端部33の上面33aに当接して、このカップサポート30から使用位置Q1に向かう荷重Fを受ける荷重受け面となる。
【0053】
このとき、カップサポート30は、格納位置Q2にあるときボックス20の対向部24に対しては第1当接面26aのみで当接し、対向部24の別の面に対しては隙間Gを隔てて当接しないように構成されている。本構成によれば、ボックス20の対向部24の各領域のうち第1当接面26a以外の領域がカップサポート30から荷重を受けるのを防ぐことが可能になる。
【0054】
図8において、ボックス20がユーザにより開方向X1に引き出されるとき、カップサポート30は、回動前端部33の上面33aにおいて上壁26の第1当接面26aとの間で摺動することによって、ボックス20の対向部24に設けられている凹部25から抜け出す。その後、カップサポート30は、ボックス20が半開位置P3(図5を参照)に達するまで、回動軸30aを中心に使用位置Q1に向けて第1回動方向D1に回動する。
【0055】
次に、実施形態1の作用効果について説明する。
【0056】
実施形態1のカップホルダ1において、カップサポート30が使用位置Q1から格納位置Q2に達した状態では、ボックス20側の第1当接面26aがカップサポート30に当接して、このカップサポート30から使用位置Q1に向かう荷重Fを受ける。
【0057】
ここで、ボックス20側の第1当接面26aは、ボックス20の上下方向Yに対してカップサポート30の回動平面内で直交する方向に延在している。このため、第1当接面26aがカップサポート30から受ける荷重を、ボックス20を開方向X1と直交する方向に付勢するのに使用することができる。これにより、ボックス20が全閉位置P2から開方向X1にスライドするのを防ぐことができる。
【0058】
従って、上述の実施形態1によれば、カップサポート30から受ける荷重によるボックス20の意図しない開きを防ぐことができるカップホルダ1を提供することができる。
【0059】
また、このカップホルダ1は、荷重受け面である第1当接面26aの向きを工夫するのみの簡単な構造であるため、製品コストを安価に抑えることができる。
【0060】
上記のカップホルダ1によれば、ホルダベース10にカップサポート30を設ける構造において、格納位置Q2にあるカップサポート30の回動前端部33をボックス20側の第1当接面26aに当接させてカップサポート30から使用位置Q1に向かう荷重Fを受けることができる。
【0061】
上記のカップホルダ1によれば、格納位置Q2にあるカップサポート30の回動前端部33がボックス20側の第1当接面26aに沿って配置されるため回動前端部33と第1当接面26aとが当接する面積を増やすことができる。
【0062】
上記のカップホルダ1によれば、カップサポート30の回動前端部33に、カップサポート30の格納位置Q2においてはボックス20側の第1当接面26aに当接する機能と、カップサポート30の使用位置Q1においてはホルダベース10の回動停止面13に当接する機能と、の両機能を兼務させることができる。
【0063】
上記のカップホルダ1によれば、ボックス20側の凹部25に対向部24を収容して、カップサポート30からの荷重を受けるための構造を、ボックス20の後端面21aから突出させないようにすることで、この構造がボックス20におけるカップWの挿入の邪魔になるのを防ぐことができる。
【0064】
以下、上記の実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
【0065】
(実施形態2)
図9に示される、実施形態2のカップホルダ101は、ボックス20がカップサポート30からの荷重を受けるための構造について、実施形態1のカップホルダ1のものと相違している。
【0066】
カップホルダ101において、ボックス20の対向部124には、ボックス20が全閉位置P2にあり且つカップサポート30が格納位置Q2にあるときにカップサポート30から使用位置Q1に向かう荷重を受けるための下壁27が設けられている。一方で、この対向部124では、実施形態1の上壁26に相当する部位が省略されている。
【0067】
下壁27の第2当接面27aは、ボックス20の上下方向Yに対してカップサポート30の回動平面内で直交する方向に延在している。また、カップサポート30が格納位置Q2にあるときに、回動後端部34が第2当接面27aに沿って配置される。このため、下壁27の第2当接面27aは、格納位置Q2にあるカップサポート30の回動後端部34の下面34aに当接して、このカップサポート30から使用位置Q1に向かう荷重Fを受ける荷重受け面となる。
【0068】
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0069】
実施形態2によれば、実施形態1の場合と同様に、カップサポート30から受ける荷重によるボックス20の意図しない開きを防ぐことができるカップホルダ101を提供することができる。
【0070】
上記のカップホルダ101によれば、ホルダベース10にカップサポート30を設ける構造において、格納位置Q2にあるカップサポート30の回動後端部34をボックス20側の第2当接面27aに当接させてカップサポート30から使用位置Q1に向かう荷重Fを受けることができる。
【0071】
上記のカップホルダ101によれば、格納位置Q2にあるカップサポート30の回動後端部34がボックス20側の第2当接面27aに沿って配置されるため回動後端部34と第2当接面27aとが当接する面積を増やすことができる。
【0072】
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0073】
本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変更が考えられる。例えば、上述の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0074】
上述の実施形態1では、カップサポート30からの荷重Fをボックス20側の第1当接面26aで受ける構造(以下、「第1の荷重受け構造」という。)について例示し、上述の実施形態2では、カップサポート30からの荷重Fをボックス20側の第2当接面27aで受ける構造(以下、「第2の荷重受け構造」という。)について例示したが、必要に応じて、第1の荷重受け構造と第2の荷重受け構造を組み合わせるようにしてもよい。
【0075】
上述の実施形態1,2では、荷重受け面である第1当接面26a及び第2当接面27aが、上下方向Yに対してカップサポート30の回動平面内で直交する方向に延在する場合について例示したが、上下方向Yに対して直交しないまでも、上下方向Yに対して交差する方向に延在する構造を採用することもできる。
【0076】
本構造の場合、荷重受け面がボックス20の上下方向Yに延在する構造に比べると、荷重受け面がカップサポート30から受ける荷重のうちボックス20の開方向X1の荷重成分の大きさを抑えることが可能になる。ここで、ボックス20の開方向X1の荷重成分は、ボックス20を開方向X1にスライドさせるのに使用されるものであり、この荷重成分の大きさを抑えることでボックス20が全閉位置P2から開方向X1にスライドし難くなる。
【0077】
上述の実施形態1,2では、車両に組付けられるカップホルダ1,101について例示したが、組付け対象は車両に限定されるものではない。これらのカップホルダ1,101の構造を、例えば、会議場、劇場、映画館などの屋内施設に配置されるシート等に装着されるカップホルダの構造に適用することもできる。
【符号の説明】
【0078】
1,101 カップホルダ
10 ホルダベース
13 回動停止面
20 ボックス(カップ支持部材)
21a 後端面
21b 凹部
24,124 対向部
26a 第1当接面(荷重受け面)
27a 第2当接面(荷重受け面)
30 カップサポート
33 回動前端部
34 回動後端部
35 弾性部材
D1 第1回動方向
F 荷重
P1 全開位置
P2 全閉位置
Q1 使用位置
Q2 格納位置
X スライド方向
X1 開方向
Y 上下方向
W カップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9