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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040846
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】注意喚起システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
B66B3/00 G
B66B3/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145760
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魚谷 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】薛 祺
【テーマコード(参考)】
3F303
【Fターム(参考)】
3F303CB24
3F303CB31
3F303DB12
3F303DC25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エレベーターの乗りかごのドアに係る注意喚起を適切に行うことができる注意喚起システムを提供する。
【解決手段】エレベーターの乗りかごのドアに係る注意喚起を行う注意喚起システム100であって、乗りかご120の運転の状態を検出する検出部と、検出部により検出された乗りかご120の運転の状態が所定の状態である場合、乗りかごのドアの引き込み部位に係る注意喚起の情報を乗りかごのドアに投影する投影部と、を設けるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの乗りかごのドアに係る注意喚起を行う注意喚起システムであって、
前記乗りかごの運転の状態を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記乗りかごの運転の状態が所定の状態である場合、前記乗りかごのドアの引き込み部位に係る注意喚起の情報を前記乗りかごのドアに投影する投影部と、
を備える注意喚起システム。
【請求項2】
前記検出部は、前記乗りかごの減速を検出し、
前記投影部は、前記乗りかごの減速が前記検出部により検出された場合、前記注意喚起の情報の投影を開始する、
請求項1に記載の注意喚起システム。
【請求項3】
前記検出部は、前記乗りかごのドアの開閉を検出し、
前記投影部は、前記乗りかごのドアが閉じられたことが前記検出部により検出された場合、前記乗りかごのドアの引き込み部位を含む所定の領域に所定の情報の投影を開始し、前記乗りかごの減速が前記検出部により検出された場合、前記乗りかごのドアの引き込み部位に前記注意喚起の情報の投影を開始し、前記乗りかごのドアが開けられることが前記検出部により検出された場合、前記所定の情報および前記注意喚起の情報の投影を終了する、
請求項2に記載の注意喚起システム。
【請求項4】
前記投影部は、前記乗りかごの減速が前記検出部により検出された場合、前記注意喚起の情報として、前記乗りかごのドアが開いていく様子を示す映像を投影する、
請求項2に記載の注意喚起システム。
【請求項5】
前記検出部は、前記乗りかごのドアの開閉を検出し、
前記投影部は、前記乗りかごのドアが開いていくことに合わせて投影する範囲を狭める、
請求項2に記載の注意喚起システム。
【請求項6】
前記乗りかご内の利用者を撮影可能なカメラを備え、
前記投影部は、前記カメラで取得された画像より、前記投影部による投影が前記利用者により妨げられない範囲を特定し、特定した範囲に前記注意喚起の情報を投影する、
請求項2に記載の注意喚起システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、エレベーターの乗りかごのドアに係る注意喚起に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの乗りかごのドアの制御装置において、ドアが開く際に利用者がドアに手で触れていた場合、利用者がドアの戸袋に引き込まれてしまう可能性がある。従来のエレベーターでは、このような事態を防止するために、ドアに注意喚起シールの張り付け、スピーカにて注意喚起の音声を流す、投影装置にて乗り場のドアに注意喚起の映像を流すといったことを行い、利用者への注意を促す方法が提案されている。
【0003】
近年、乗り場の意匠を損なうことなく、利用者が乗り場のドアに接近することを抑止するエレベーターのドア安全装置が開示されている(特許文献1参照)。かかるドア安全装置では、利用者が危険となるほど乗り場のドアに接近した際に注意喚起の映像を流し、それ以上、乗り場のドアに近づくことを阻止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-345762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のドア安全装置では、乗り場のドアから離れるように注意喚起の映像を表示するが、注意すべき箇所が分かり難い。
【0006】
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、エレベーターの乗りかごのドアに係る注意喚起を適切に行うことができる注意喚起システムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、エレベーターの乗りかごのドアに係る注意喚起を行う注意喚起システムであって、前記乗りかごの運転の状態を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記乗りかごの運転の状態が所定の状態である場合、前記乗りかごのドアの引き込み部位に係る注意喚起の情報を前記乗りかごのドアに投影する投影部と、を設けるようにした。
【0008】
上記構成では、乗りかごのドアの引き込み部位に係る注意喚起の情報が乗りかごのドアに投影されるので、例えば、エレベーターの利用者は、乗りかごのドアの引き込み部位を適切に把握することができ、乗りかごのドアに引き込まれてしまう事態を回避することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、視認性の高い注意喚起システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態による注意喚起システムに係る構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施の形態による注意喚起に係る装置の一例を示す図である。
図3】第1の実施の形態による注意喚起に係る乗りかごの構成の一例を示す図である。
図4】第1の実施の形態による投影の態様の一例を示す図である。
図5】第1の実施の形態による投影の態様の一例を示す図である。
図6】第1の実施の形態による投影の態様の一例を示す図である。
図7】第1の実施の形態による注意喚起システムにおける処理の一例を示す図である。
図8】第2の実施の形態による投影範囲の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)第1の実施の形態
以下、本発明の一実施の形態を詳述する。本実施の形態は、乗りかごのドアの開閉動作時に、開く乗りかごのドアに利用者が引き込まれる事態を未然に防止するための乗りかごのドアに係る注意喚起に関する。
【0012】
本実施の形態の注意喚起システムでは、例えば、乗りかごが停止すると判断した場合、乗りかごのドアが開くまでの間、広告映像の投影範囲を縮小し、戸袋側の乗りかごのドアの端部を赤色等で示す画像および注意文言を示す画像(引き込み部位映像)を投影する。かかる構成によれば、危険部位をアピールし、広告映像の再生を中断することなく安全に注意喚起を行うことができる。また、本注意喚起システムでは、例えば、乗りかごのドアが開くまでの間に投影する映像を広告映像から、戸袋付近が危険部位となることを示す映像であって、乗りかごのドアが開いていく様子を示す映像(ドア開映像)に切り替える。上記構成において乗りかごのドアは、乗り場のドアであってもよい。かかる構成によれば、戸袋付近が危険部位であることをより詳細にアピールすることができる。なお、広告映像は、例えば、エレベーターが設置されているビルの催物、売場の案内、各階床のテナントの案内を示す映像である。
【0013】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。例えば、本実施の形態では、乗りかごのドアに係る注意喚起について主に説明するが、本発明の注意喚起は、乗りかごのドアに係る注意喚起に限るものではなく、エレベーターの乗り場のドアに係る注意喚起であってもよい。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は、単数でも複数でも構わない。
【0014】
なお、以下の説明では、図面において同一要素については、同じ番号を付し、説明を適宜省略する。また、同種の要素を区別しないで説明する場合には、枝番を含む参照符号のうちの共通部分(枝番を除く部分)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、枝番を含む参照符号を使用することがある。例えば、引き込み部位映像を特に区別しないで説明する場合には、「引き込み部位映像501」と記載し、個々の投影内容を区別して説明する場合には、「引き込み部位映像501-1」、「引き込み部位映像501-2」のように記載することがある。
【0015】
図1は、注意喚起システム100に係る構成の一例を示す図である。
【0016】
注意喚起システム100が注意喚起を行う対象のエレベーターは、昇降路110と、エレベーターの利用者が乗車する乗りかご120と、釣合い錘130と、任意の位置に設置されるモーター140と、モーター140に巻きかけられ、乗りかご120と釣合い錘130を懸架する主ロープ150と、エレベーターの運転を制御するエレベーター制御装置160と、エレベーター制御装置160を収納する制御盤170とを含んで構成されている。
【0017】
昇降路110は、4階床用であって、1階から4階の各階の乗り場180には、乗り場ドア181が設置されている。エレベーター制御装置160は、モーター140を正逆転させることで、乗りかご120が昇降駆動されて行き先階に応じて各階の停止位置で停止し、乗りかごドア121と着床した階の乗り場ドア181とが開く。
【0018】
乗りかご120には、通信装置190を介して後述の配信装置220から配信されたコンテンツ映像と、注意喚起の映像とを乗りかごドア121に投影可能な投影装置122が設置されている。また、乗り場180には、通信装置190を介して後述の配信装置220から配信されたコンテンツ映像と、注意喚起の映像とを乗り場ドア181に投影可能な投影装置182が設置されている。
【0019】
また、乗りかごドア121の乗り場180側には、乗りかごドア121の開閉状態(乗り場ドア181の開閉状態)および乗りかご120の走行状態を検出可能な検出装置123が設置されている。なお、乗り場ドア181の乗りかご120側には、乗り場ドア181の開閉状態および乗りかごドア121の開閉状態を検出可能な検出装置が設置されていてもよい。
【0020】
図1では、投影装置182は、1階の乗り場180に設けられる例を示したが、これに限るものではなく、1階の乗り場180に代えてまたは加えて、他の階に設けられていてもよい。また、投影装置182は、乗り場180に1つ設けられる例を示したが、これに限るものではなく、複数(例えば、乗り場ドア181ドアが左右に開く場合は、右側用と左側用との合計2つ)設けられてもよい。また、投影装置122は、乗りかご120に1つ設けられる例を示したが、これに限るものではなく、複数(例えば、乗りかごドア121が左右に開く場合は、右側用と左側用との合計2つ)設けられてもよい。
【0021】
図2は、注意喚起システム100における注意喚起に係る装置の一例を示す図である。
【0022】
注意喚起システム100では、投影装置122,182は、有線(通信媒体)または無線により検出装置123と通信可能に接続されている。また、投影装置122,182は、有線または無線により通信装置190と通信可能に接続されている。また、通信装置190は、有線または無線により配信装置220と通信可能に接続されている。なお、通信媒体の構成は、必ずしも限定されない。通信媒体は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、RS-232C等の各種の通信規格に準拠した通信媒体、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、専用線等である。
【0023】
付言するならば、通信装置190は、制御盤170に設けられていてもよいし、投影装置122,182に設けられていてもよい。また、通信装置190が設けられられずに、投影装置122と配信装置220とが通信可能に接続されていてもよい。
【0024】
投影装置122,182は、例えば、プロジェクタであり、映像データ(画像データ)に応じた映像(画像)を投影する。投影装置122,182は、図示は省略している、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)、グラフィックコントローラ、ネットワークインターフェース、プロジェクタインターフェース、プロジェクタ表示装置等のハードウェアを備える。各ハードウェアは、バスによって接続され、相互にデータの入出力が可能になっている。
【0025】
CPUは、装置全体を制御する。ROMは、投影装置122,182の起動時に使用されるIPL(Initial Program Loader)等のプログラムを記憶する。EEPROMは、グラフィックコントローラを制御するための制御プログラムおよび制御データを記憶する。RAMは、配信装置220から配信された映像コンテンツ(画像データ等)を記憶する。VRAMは、グラフィックコントローラにより処理された画像データを一時的に蓄える。グラフィックコントローラは、RAMの画像データを処理し、処理した画像データをVRAMに記憶する。ネットワークインターフェースは、投影装置122,182を無線LANにて通信装置190に接続する。プロジェクタインターフェースは、VRAMの画像データをプロジェクタ表示装置に転送する。プロジェクタ表示装置は、プロジェクタインターフェースから転送された画像データに応じた画像を投影(表示)する。
【0026】
投影装置122,182の機能(映像コンテンツ受信部201、投影部202、設定部203)は、例えば、CPUがROMに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。また、投影装置122,182の機能の一部は、投影装置122,182と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
【0027】
映像コンテンツ受信部201は、配信装置220から送信される映像コンテンツを受信する。投影部202は、検出装置123により検出された乗りかご120の運転の状態が所定の状態である場合、映像コンテンツに代えてまたは加えて、乗りかごドア121の引き込み部位に係る注意喚起の映像を乗りかごドア121に投影する、または、乗り場ドア181の引き込み部位に係る注意喚起の映像を乗り場ドア181に投影する。設定部203は、注意喚起の映像として、引き込み部位映像とドア開映像との何れの映像を用いるかの指示をユーザより受け付け、引き込み部位映像を用いることが指定されたときは第1の設定を行い、ドア開映像を用いることが指定されたときは第2の設定を行う。
【0028】
なお、投影装置122,182の1つの機能は、複数の機能に分けられていてもよいし、複数の機能は、1つの機能にまとめられていてもよい。また、投影装置122,182の機能の一部は、別の機能として設けられてもよいし、他の機能に含められていてもよい。また、投影装置122,182の機能の一部は、投影装置122,182と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
【0029】
検出装置123は、例えば、複数の1軸加速度センサ、2軸加速度センサ、3軸加速度センサ等であり、乗りかご180の走行方向の加速度と、乗りかごドア121の開閉方向の加速度とを検出する。例えば、検出装置123は、直交2軸の加速度(垂直方向の加速度および水平方向の加速度)を検出し、検出した加速度を投影部202に通知する検出部210を備える。
【0030】
検出部210は、走行状態検出部211とドア開閉検出部212とを含んで構成される。走行状態検出部211は、乗りかご120の走行状態として、乗りかご120の走行方向(例えば、垂直方向)の加速度を検出し、検出した加速度を投影部202に通知する。ドア開閉検出部212は、乗りかごドア121の開閉状態として、乗りかごドア121の開閉方向(例えば、水平方向)の加速度を検出し、検出した加速度を投影部202に通知する。
【0031】
検出装置123の機能(例えば、検出部210、走行状態検出部211、ドア開閉検出部212等)は、例えば、CPUがROMに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。
【0032】
なお、検出装置123は、乗りかご120の天井に設けられ、乗りかご120内を撮影可能なカメラであってもよい。この場合、検出装置123は、例えば、乗りかご120の走行状態として、乗りかご120に設置されている図4等に示すインジケーター403が撮影された画像(「まもなく3階に到着します」等)を取得して投影部202に通知する。また、検出装置123は、乗りかごドア121の開閉状態として、乗りかごドア121が撮影された画像を取得して投影部202に通知する。
【0033】
配信装置220は、エレベーターの外部に設けられたサーバ装置等であり、図示は省略している、CPU、ROM、RAM、HDD(Hard Disk Drive)、ネットワークインターフェース等を備える。配信装置220は、ニュース情報、天気情報、広告映像といった映像コンテンツをHDDに記憶している。
【0034】
配信装置220は、映像コンテンツ送信部221を備える。映像コンテンツ送信部221は、映像コンテンツを一日に数回、エレベーター内に設置された通信装置190を介して映像コンテンツ受信部201に定期的に配信する。
【0035】
配信装置220の機能(例えば、映像コンテンツ送信部221)は、例えば、CPUがROMに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。
【0036】
図3は、乗りかご120における注意喚起に係る乗りかご120の構成の一例を示す図である。
【0037】
投影装置122は、乗りかご120の天井の背面側に設けられている。投影装置122は、検出装置123から通知された加速度をもとに、乗りかごドア121が閉じている状態(ドア閉状態)であると判断した場合、例えば、配信装置220から受信した映像コンテンツおよび注意喚起の映像を図3に示すように乗りかごドア121に投影し続ける。
【0038】
また、投影装置122は、検出装置123から通知された加速度をもとに、ドア閉状態から乗りかごドア121が開いている状態(ドア開状態)に切り替わること、即ち、乗りかごドア121が開き始めたことを検出した場合、例えば、映像コンテンツおよび注意喚起の映像の投影を停止する。これは、乗りかごドア121が開いた際にもコンテンツ映像および注意喚起の映像を投影し続けることで、乗り場180に待機している利用者に向けて映像を投影してしまう事態を防止するためである。
【0039】
なお、投影装置122が設けられる場所は、乗りかご120の天井の背面側に限るものではなく、乗りかご120の天井の中央であってもよいし、乗りかご120の天井の正面側であってもよい。投影装置122を乗りかご120の天井の中央または正面側に設けることで、乗りかご120内の利用者が投影の邪魔になってしまう事態を回避できるようになる。
【0040】
また、検出装置123がカメラである場合は、投影装置122とカメラとが一体(例えば、1つの筐体)として設けられていてもよいし、別体として設けられていてもよい。この場合、投影装置122は、カメラで取得された画像より、投影装置122による投影が乗りかご120内の利用者により妨げられない範囲を特定し、特定した範囲(例えば、乗りかごドア121の上側の半分)に注意喚起の映像を投影するようにしてもよい。
【0041】
図4図6は、投影装置122による投影の態様の一例を示す図である。なお、投影装置182による投影の態様についても同様であるので、図示およびその説明を省略する。
【0042】
投影装置122は、乗りかごドア121が閉じられたと判定した場合、図4に示すように、乗りかごドア121の全面を投影範囲401として投影内容402の投影を開始する。投影内容402は、例えば、映像コンテンツである。
【0043】
投影装置122は、乗りかご120の減速を検出し、乗りかご120が停止すると判断したとき、注意喚起の設定が第1の設定である場合、乗りかごドア121が開くまでの間、図5に示すように、投影範囲401の戸袋付近(引き込み部位)に引き込み部位映像501を投影する。引き込み部位映像501が投影されることで、戸袋付近が危険部位であることがアピールされ、乗りかご120内の利用者への注意喚起が行われる。引き込み部位映像501の投影では、例えば、戸袋側の乗りかごドア121の端部を赤色等で示す画像および「手を触れないでください」といった注意文言を示す画像が投影される。
【0044】
また、投影装置122は、乗りかご120の減速を検出し、乗りかご120が停止すると判断したとき、注意喚起の設定が第2の設定である場合、乗りかごドア121が開くまでの間、図6に示すように、ドア開映像601を投影する。ドア開映像601が投影されることで、戸袋付近が危険部位であることがより詳細にアピールされる。
【0045】
図7は、注意喚起システム100における処理の一例を示す図である。以下では、投影装置122における注意喚起に係る処理について説明する。なお、投影装置182における注意喚起に係る処理についても同様であるので、図示およびその説明を省略する。
【0046】
S701において、投影装置122は、ドア開閉検出部212で検出された加速度をもとに、乗りかごドア121の状態がドア開状態からドア閉状態に切り替わったか否か(乗りかごドア121が完全に閉まったか否か)を判定する。投影装置122は、ドア開状態からドア閉状態に切り替わったと判定した場合、S702に処理を移し、ドア開状態からドア閉状態に切り替わっていないと判定した場合、即ち乗りかごドア121が開いている状態の場合は、S701に処理を戻す。
【0047】
S702において、投影装置122は、走行状態検出部211で検出された加速度をもとに、乗りかご120が走行を開始したか否かを判定する。投影装置122は、乗りかご120が走行を開始したと判定した場合、S703に処理を移し、乗りかご120が走行を開始していないと判定した場合、S702に処理を戻す。
【0048】
S703において、投影装置122は、配信装置220から配信された映像コンテンツを乗りかごドア121に投影する。
【0049】
S704において、投影装置122は、走行状態検出部211で検出された加速度をもとに、乗りかご120が着床するために減速を開始したか否かを判定する。投影装置122は、減速を開始したと判定した場合、S705に処理を移し、減速を開始していないと判定した場合、S703に処理を戻し、映像コンテンツを投影し続ける。
【0050】
S705において、投影装置122は、第1の設定が行われているか否かを判定する。投影装置122は、第1の設定が行われていると判定した場合、S706に処理を移し、第1の設定が行われていないと判定した場合、S707に処理を移す。
【0051】
S706において、投影装置122は、映像コンテンツと共に、引き込み部位映像を投影し、S708に処理を移す。なお、投影装置122は、映像コンテンツの一部(引き込み部位)に引き込み部位映像を投影してもよいし、映像コンテンツの投影範囲を縮小して引き込み部位映像を投影してもよい。
【0052】
S707において、投影装置122は、映像コンテンツの投影を停止し、乗りかごドア121に投影する映像をドア開映像に切り替え、S708に処理を移す。
【0053】
S708において、投影装置122は、ドア開閉検出部212で検出された加速度をもとに、乗りかごドア121の状態がドア閉状態からドア開状態に切り替わったか否か(乗りかごドア121が開き始めたか否か)を判定する。投影装置122は、乗りかごドア121の状態がドア閉状態からドア開状態に切り替わったと判定した場合、S709に処理を移し、乗りかごドア121の状態がドア閉状態からドア開状態に切り替わっていないと判定した場合、S705に処理を戻す。
【0054】
S708において、投影装置122は、投影を停止し、S701に処理を戻す。
【0055】
上述したように、注意喚起システム100は、乗りかご120が停止すると判断した場合、乗りかごドア121が開くまでの間、注意喚起の映像を投影することで危険部位をアピールし、コンテンツ映像の再生を中断することなく安全に注意喚起を行うことができる。また、注意喚起システム100は、乗りかごドア121が開くまでの間に投影する映像を映像コンテンツからドア開映像に切り替えることで危険部位をより詳細にアピールすることができる。
【0056】
(2)第2の実施の形態
第1の実施の形態では、乗りかごドア121が開き始めたときに投影が終了するが、本実施の形態では、乗りかごドア121が開き始めたときに投影が終了することなく乗りかごドア121の開きに合わせて投影範囲が狭められる構成が第1の実施の形態と異なる。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0057】
投影装置122は、乗りかごドア121の状態がドア閉状態からドア開状態に切り替わったと判定(乗りかごドア121が開き始めたと判定)した場合、乗りかごドア121の開きに合わせて投影範囲を狭める処理(ドア開時処理)を行う。かかるドア開時処理は、乗りかご120の状態が変わってからの時間と乗りかごドア121の位置(投影範囲)とが対応付けられた設定情報に従って行われてもよいし、乗りかご120内を撮影可能なカメラで取得された画像をもとに行われてもよい。
【0058】
設定情報に従ってドア開時処理が行われる場合、予め指定された時間をかけて徐々に投影範囲が狭められる。なお、乗りかご120の状態が変わってからの時間とは、乗りかご120が停止してからの時間、乗りかごドア121が開き始めてからの時間等である。他方、カメラで取得された画像をもとにドア開時処理が行われる場合、カメラにより開く乗りかごドア121が検出され、乗りかごドア121の開きに応じて投影範囲が狭められる。なお、カメラは、投影装置122と一体として設けられていてもよいし、投影装置122と別体として設けられていてもよい。
【0059】
図8は、投影装置122が乗りかごドア121に投影する投影範囲801の一例を示す図である。
【0060】
図8では、第1の乗りかごドア121-1の開きが大きくなるほど、第1の投影範囲801-1が狭められ、第2の乗りかごドア121-2の開きが大きくなるほど、第2の投影範囲801-2が狭められることが示されている。なお、投影範囲801における投影内容は、図5に示す投影内容であってもよいし、図6に示す投影内容であってもよい。
【0061】
本実施の形態によれば、乗りかごドア121が開き始めたときに乗り場180で待っている利用者が眩しくなく、乗りかご120内の利用者には乗りかごドア121が完全に開くまで注意喚起を行うことができる。
【0062】
また、本実施の形態は、乗りかごドア121に投影を行う構成に限るものではない。例えば、かかる構成に代えてまたは加えて、乗り場ドア181に投影を行う構成を採用してもよい。乗り場ドア181に投影を行う構成によれば、例えば、乗り場ドア181が開き始めたときに乗りかご120内の利用者が眩しくなく、乗り場180で待っている利用者には乗り場ドア181が完全に開くまで注意喚起を行うことができる。
【0063】
(3)付記
上述の実施の形態には、例えば、以下のような内容が含まれる。
【0064】
上述の実施の形態においては、本発明を注意喚起システムに適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のシステム、装置、方法、プログラムに広く適用することができる。
【0065】
また、上述の実施の形態においては、乗りかご120の減速を乗りかごドア121に設けられる検出装置123により検出する場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、乗りかご120の減速については、乗りかご120に設けられている加速度センサ、投影装置122に設けられている加速度センサ、乗りかご120に設置されるカメラに設けられる加速度センサにより検出するようにしてもよい。
【0066】
また、上述の実施の形態においては、投影装置122は、乗りかご120内の利用者の有無にかかわらず注意喚起を行う場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、投影装置122は、乗りかご120に設けられているカメラ、加重センサ等で取得された情報を用いて乗りかご120内の利用者の有無を判定し、利用者がいる場合に注意喚起を行うようにしてもよい。
【0067】
また、上述の実施の形態においては、投影装置122は、乗りかご120の込み具合にかかわらず注意喚起を行う場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、投影装置122は、乗りかご120に設けられているカメラ、加重センサ等で取得された情報を用いて乗りかご120の込み具合を判定し、乗りかご120が混んでいる場合(予め設定している閾値を超えた場合)、投影範囲を乗りかご120の上半分に縮小して注意喚起を行うようにしてもよい。
【0068】
また、上述の実施の形態において、図示および説明した投影内容は、一例であり、注意喚起が適切に行われるならば、どのようなデザインであってもよい。
【0069】
また、上記の説明において、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0070】
上述した実施の形態は、例えば、以下の特徴的な構成を有する。
【0071】
エレベーターの乗りかごのドア(例えば、乗りかごドア121)に係る注意喚起を行う注意喚起システム(例えば、注意喚起システム100)は、上記乗りかごの運転の状態(例えば、乗りかご120の減速、乗りかごドア121の開閉)を検出する検出部(例えば、検出装置123、検出部210、走行状態検出部211およびドア開閉検出部212、回路等)と、上記検出部により検出された上記乗りかごの運転の状態が所定の状態(例えば、乗りかご120が減速してから乗りかごドア121が開き始めるまたは開き終わるまでの間、乗りかごドア121が閉められてから乗りかごドア121が開き始めるまたは開き終わるまでの間等)である場合、上記乗りかごのドアの引き込み部位に係る注意喚起の情報(例えば、引き込み部位映像501、ドア開映像601等)を上記乗りかごのドアに投影する投影部(例えば、投影装置122、投影部202、回路等)と、を備える。
【0072】
上記構成では、乗りかごのドアの引き込み部位に係る注意喚起の情報が乗りかごのドアに投影されるので、例えば、エレベーターの利用者は、乗りかごのドアの引き込み部位を適切に把握することができ、乗りかごのドアに引き込まれてしまう事態を回避することができる。
【0073】
上記検出部は、上記乗りかごの減速を検出し、上記投影部は、上記乗りかごの減速が上記検出部により検出された場合(例えば、検出部210により取得された加速度が乗りかご120の減速のための加速度である場合、検出部210により取得された画像が乗りかご120の減速を示す画像である場合)、上記注意喚起の情報の投影を開始する(例えば、図7参照)。
【0074】
上記構成では、乗りかごのドアが開き始める直前の適切なタイミングに、注意喚起の情報が効果的に投影されるので、例えば、エレベーターの利用者は、注意喚起をより適切に把握することができる。
【0075】
上記検出部は、上記乗りかごのドアの開閉を検出し、上記投影部は、上記乗りかごのドアが閉じられたことが上記検出部により検出された場合(例えば、検出部210により取得された乗りかごドア121を閉じるための加速度が「0」である場合、検出部210により取得された画像が乗りかごドア121が閉じられたことを示す画像である場合)、上記乗りかごのドアの引き込み部位を含む所定の領域(例えば、投影範囲401)に所定の情報(例えば、ニュース情報、天気情報、広告映像といった映像コンテンツ)の投影を開始し、上記乗りかごの減速が上記検出部により検出された場合、上記乗りかごのドアの引き込み部位に上記注意喚起の情報(例えば、引き込み部位映像501)の投影を開始し、上記乗りかごのドアが開けられることが上記検出部により検出された場合(例えば、検出部210により取得された加速度が乗りかごドア121を開くための加速度である場合、検出部210により取得された画像が乗りかごドア121が開けられることを示す画像である場合)、上記所定の情報および上記注意喚起の情報の投影を終了する。
【0076】
上記構成では、例えば、エレベーターの利用者は、乗りかごのドアに引き込まれてしまう事態を回避しつつ、乗りかごのドアが開き始めるまで、所定の情報を享受することができる。また、上記構成によれば、乗りかごのドアに投影されている情報の光が乗りかごのドアの間から漏れてしまう事態を回避できるようになる。
【0077】
上記投影部は、上記乗りかごの減速が上記検出部により検出された場合、上記注意喚起の情報として、上記乗りかごのドアが開いていく様子を示す映像(例えば、ドア開映像601)を投影する。
【0078】
上記乗りかごのドアが開いていく様子を示す映像は、上記乗りかごのドアまたは上記乗りかごのドアとは異なる乗りかごのドアが開いていく様子が実際に撮影された内容の映像であってもよいし、上記乗りかごのドアが開いていく様子がコンピュータを用いて作成された仮想的な内容の映像であってもよい。
【0079】
上記構成では、乗りかごのドアが開いていく様子を示す映像が投影されるので、例えば、エレベーターの利用者は、注意喚起の情報をより詳細に把握することができる。
【0080】
上記検出部は、上記乗りかごのドアの開閉を検出し、上記投影部は、上記乗りかごのドアが開いていくことに合わせて投影する範囲を狭める(例えば、図8参照)。
【0081】
上記構成によれば、例えば、乗りかごのドアが開き始めたときに乗り場で待っている利用者が眩しくなく、乗りかご内の利用者には情報を提供し続けることができる。また、上記検出部は、上記乗り場のドアの開閉を検出し、上記投影部は、上記乗り場のドアが開いていくことに合わせて投影する範囲を狭めてもよい。かかる構成によれば、例えば、乗り場のドアが開き始めたときに乗りかご内の利用者が眩しくなく、乗り場で待っている利用者には情報を提供し続けることができる。
【0082】
上記注意喚起システムは、上記乗りかご内の利用者を撮影可能なカメラを備え、上記投影部は、上記カメラで取得された画像より、上記投影部による投影が上記利用者により妨げられない範囲を特定し、特定した範囲に上記注意喚起の情報を投影する。
【0083】
上記構成によれば、例えば、乗りかご内の利用者により注意喚起の情報の投影が妨げられてしまう事態を回避することができる。
【0084】
また上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
100……注意喚起システム、202……投影部、210……検出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8