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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040952
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20220304BHJP
   B65D 30/22 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B65D77/04 B
B65D30/22 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145928
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 忠
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴史
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AA03
3E064BA17
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA54
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064BC20
3E064FA04
3E064HS04
3E064HT08
3E067AA03
3E067BA05C
3E067BB01C
3E067BB12B
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BB15B
3E067BB16B
3E067BB25B
3E067BC06C
3E067CA04
3E067CA12
3E067CA24
3E067EA05
3E067EA06
3E067EB32
3E067EE40
3E067FA04
3E067FC01
3E067GD07
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】流体が充填された軟包材容器を収容した箱体が立てられた状態においても、箱体に皺が生じたり、箱体が大きく変形することを抑制する。
【解決手段】箱体10と、軟包材容器20とを備える。箱体10は、扁平形状を有する。軟包材容器20は、箱体10に収容され、連続した内部空間を有する。軟包材容器20は、第1面101を有する表側シート100と、第1面101と対向する第2面111を有する裏側シート110と、平面状に延在して表側シート100と裏側シート110との間に挟まれた中間シート130とを含む。中間シート130は、表側シート100と部分的に溶着され、かつ、裏側シート110と部分的に溶着されている。軟包材容器20が膨らんだ状態において、中間シート130は表側シート100と裏側シート110との最大間隔L2を規定している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平形状を有する箱体と、
前記箱体に収容され、連続した内部空間を有する軟包材容器とを備え、
前記軟包材容器は、
第1面を有する表側シートと、
前記第1面と対向する第2面を有する裏側シートと、
平面状に延在して前記表側シートと前記裏側シートとの間に挟まれた中間シートとを含み、
前記中間シートは、前記表側シートと部分的に溶着され、かつ、前記裏側シートと部分的に溶着されており、
前記軟包材容器が膨らんだ状態において、前記中間シートが前記表側シートと前記裏側シートとの最大間隔を規定している、包装体。
【請求項2】
前記軟包材容器は、前記表側シートおよび前記裏側シートの各々の端部同士の間に一部が配置され、かつ、前記表側シートおよび前記裏側シートの各々と接合されたスパウトをさらに備え、
前記軟包材容器は、前記スパウトが位置する側とは反対側において前記箱体に固定されている、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記中間シートは、前記第1面および前記第2面の各々と交互に溶着されており、
前記軟包材容器が膨らんだ状態において、前記中間シートが前記表側シートと前記裏側シートとの間でジグザグ状に位置している、請求項1または請求項2に記載の包装体。
【請求項4】
前記中間シートにおいて、前記第1面および前記第2面の各々と交互に溶着されている部分は延在方向に延在しており、
前記中間シートの前記延在方向における両端部は、前記表側シートおよび前記裏側シートの各々と溶着されており、かつ、前記第1面および前記第2面の各々と交互に溶着されている部分との間に前記延在方向において隙間が設けられている、請求項3に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
扁平な形状を保つ気密性袋体の構成を開示した先行文献として、特開2000-272670号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載された扁平な形状を保つ気密性袋体においては、対向する袋壁の間に別片を介在させ、別片の両側辺を袋壁の内面に融着させることにより両袋壁を拘束する隔壁が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-272670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
流体が充填された気密性袋体を収容した箱体が立てられた状態においては、気密性袋体の下部は、流体が集まって膨張し、箱体を内側から大きく変形させることがある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、流体が充填された軟包材容器を収容した箱体が立てられた状態においても、箱体に皺が生じたり、箱体が大きく変形することを抑制することができる、包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく包装体は、箱体と、軟包材容器とを備える。箱体は、扁平形状を有する。軟包材容器は、箱体に収容され、連続した内部空間を有する。軟包材容器は、第1面を有する表側シートと、第1面と対向する第2面を有する裏側シートと、平面状に延在して表側シートと裏側シートとの間に挟まれた中間シートとを含む。中間シートは、表側シートと部分的に溶着され、かつ、裏側シートと部分的に溶着されている。軟包材容器が膨らんだ状態において、中間シートは表側シートと裏側シートとの最大間隔を規定している。
【0007】
本発明の一形態においては、軟包材容器は、表側シートおよび裏側シートの各々の端部同士の間に一部が配置され、かつ、表側シートおよび裏側シートの各々と接合されたスパウトをさらに備える。軟包材容器は、スパウトが位置する側とは反対側において箱体に固定されている。
【0008】
本発明の一形態においては、中間シートは、第1面および第2面の各々と交互に溶着されている。軟包材容器が膨らんだ状態において、中間シートは表側シートと裏側シートとの間でジグザグ状に位置している。
【0009】
本発明の一形態においては、中間シートにおける第1面および第2面の各々と交互に溶着されている部分は延在方向に延在している。中間シートの上記延在方向における両端部は、表側シートおよび裏側シートの各々と溶着されており、かつ、第1面および第2面の各々と交互に溶着されている部分との間に上記延在方向において隙間が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、流体が充填された軟包材容器を収容した箱体が立てられた状態においても、箱体に皺が生じたり、箱体が大きく変形することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係る包装体の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る包装体が備える箱体の構成を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る包装体が備える軟包材容器の構成を示す正面図である。
図4】本発明の一実施の形態に係る包装体が備える軟包材容器の構成を示す分解斜視図である。
図5図3の軟包材容器をV-V線矢印方向から見た断面図である。
図6図3の軟包材容器をVI-VI線矢印方向から見た断面図である。
図7】本発明の一実施の形態に係る包装体が備える軟包材容器の製造方法を示すフローチャートである。
図8】本発明の一実施の形態に係る包装体が備える軟包材容器の製造方法を示す正面図である。
図9】本発明の一実施の形態に係る包装体が備える軟包材容器の製造方法を示す上面図である。
図10】本発明の一実施の形態に係る包装体が備える軟包材容器の製造方法において、板状部材に中間シートが挟まれる状態を示す斜視図である。
図11図9の軟包材容器の製造方法における第1面と中間シートが溶着される前の状態をXI-XI線矢印方向から見た断面図である。
図12図9の軟包材容器の製造方法における第2面と中間シートが溶着される前の状態をXII-XII線矢印方向から見た断面図である。
図13図11の軟包材容器の製造方法における第1面と中間シートが溶着される前の状態の変形例を示す断面図である。
図14】本発明の一実施の形態の第1変形例に係る包装体が備える軟包材容器を示す正面図である。
図15】本発明の一実施の形態の第2変形例に係る包装体が備える軟包材容器を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態に係る包装体について図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。なお、図面においては、包装体の幅方向をX軸方向、包装体の奥行き方向をY軸方向、包装体の高さ方向をZ軸方向とする。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る包装体の構成を示す斜視図である。図2は、本発明の一実施の形態に係る包装体が備える箱体の構成を示す斜視図である。図3は、本発明の一実施の形態に係る包装体が備える軟包材容器の構成を示す正面図である。図4は、本発明の一実施の形態に係る包装体が備える軟包材容器の構成を示す分解斜視図である。なお、図4については、軟包材容器20の構成部材が溶着された後の状態を分解して示している。
【0014】
図1図4に示すように、本発明の一実施の形態に係る包装体1は、箱体10と、軟包材容器20とを備える。なお、本実施の形態においては、正面から見て略矩形の形状を有する箱体10および軟包材容器20について例示して説明するが、箱体10および軟包材容器20の各々の正面から見た形状は略矩形に限られず、八角形などの多角形であってもよい。
【0015】
図1および図2に示すように、箱体10は、主面部11と、スパウト挿入部14と、固定部140とを含む。箱体10は、X軸方向の寸法がY軸方向およびZ軸方向の寸法よりも小さい扁平形状を有している。箱体10の材質は、たとえば、ボール紙である。なお、箱体10の材質は、ボール紙に限定されず、樹脂材などでもよい。
【0016】
箱体10の寸法は、たとえば、X軸方向において25mm以上30mm以下であり、Y軸方向において130mm以上220mm以下であり、Z軸方向において200mm以上300mm以下である。これらの寸法の場合、各家への配送時に家のポスト内に入れ易く、Z軸方向の自立性もよく好ましい。なお、箱体10の寸法は、これらに限られず、たとえば、X軸方向において25mm以上60mm以下であり、Y軸方向において120mm以上250mm以下であり、Z軸方向において200mm以上400mm以下であってもよい。
【0017】
主面部11は、互いに対向する第1主面部11Aと第2主面部11Bとにより構成されている。1対の主面部11は、X軸方向に内幅L1の間隔をあけつつ軟包材容器20を間に挟んで位置している。
【0018】
第1主面部11Aには、開口部12と、差込部13とが設けられている。開口部12に差込部13が差し込まれていない状態で箱体10の内部に軟包材容器20が挿入された後に、開口部12に差込部13を差し込むことにより、箱体10の内部に軟包材容器20が収容される。
【0019】
図2に示すように、スパウト挿入部14は、Z軸方向の一方側において箱体10のY軸方向の一方側に設けられている。スパウト挿入部14の周囲には、径方向に複数の挿入補助切込部14cが設けられている。
【0020】
固定部140は、Z軸方向の他方側において箱体10のY軸方向の他方側の内面に配置されている。なお、固定部140は、箱体10のY軸方向の中央より他方側に位置していればよい。軟包材容器20は、固定部140において箱体10に固定されている。箱体10と軟包材容器20との固定方法は、ホットメルト接着剤により固定されることが好ましい。なお、箱体10と軟包材容器20との固定方法は、ホットメルト接着材による固定に限られない。たとえば、軟包材容器20に貫通孔を形成し、箱体10の内部に突起を設け、貫通孔に突起を掛け合わすことにより、箱体10に軟包材容器20を固定してもよい。
【0021】
図3および図4に示すように、軟包材容器20は、表側シート100と、裏側シート110と、スパウト120と、中間シート130とを備える。軟包材容器20は、図1に示すように、スパウト120の先端側以外の部分が箱体10内に収容される。
【0022】
軟包材容器20は、箱体10と同様に、X軸方向の寸法がY軸方向およびZ軸方向の寸法よりも小さい扁平形状を有している。軟包材容器20には、図示しない流体が充填される。
【0023】
図3および図4に示すように、表側シート100は、YZ平面上に延在するシートである。表側シート100は、軟包材容器20のX軸方向の一方側に配置される。表側シート100は、略矩形形状を有し、Y軸方向の一方側かつZ軸方向の一方側の角部は切り取られている。表側シート100は、X軸方向の他方側に第1面101を有する。
【0024】
裏側シート110は、YZ平面上に延在するシートである。裏側シート110は、軟包材容器20のX軸方向の他方側に配置される。裏側シート110は、表側シート100と対応するように略矩形形状を有し、Y軸方向の一方側かつZ軸方向の一方側の角部は切り取られている。裏側シート110は、X軸方向の一方側に第1面101と対向する第2面111を有する。
【0025】
表側シート100および裏側シート110の各々は、ベースフィルム層およびシーラント層を含む複層シートで構成されていることが好ましい。本実施の形態における表側シート100および裏側シート110の各々においては、少なくとも第1面101および第2面111の各々の最表面にシーラント層が設けられている。なお、高いガスバリア性または遮光性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間に要求される特性に対応するガスバリア層または遮光層が設けられることが好ましい。
【0026】
ベースフィルム層の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ-ト(PEN)若しくはポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエチレン(PE)若しくはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、または、ナイロン-6若しくはナイロン-66などのポリアミドなどから構成される、単層または複層の延伸または未延伸フィルムが挙げられる。特に、二軸延伸PETフィルムまたは二軸延伸ポリアミドフィルムがベースフィルム層として好ましい。
【0027】
シーラント層の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、エチレン-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)およびエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)などから構成される、単層または複層のフィルムまたは押出し樹脂層が挙げられる。
【0028】
ガスバリア層の具体例としては、アルミニウムなどの金属薄膜、塩化ビニリデン(PVDC)若しくはエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの樹脂フィルム、または、アルミニウム、酸化アルミニウム若しくはシリカなどの無機酸化物を蒸着した合成樹脂フィルムが挙げられる。
【0029】
上述するベースフィルム層、シーラント層およびガスバリア層は、たとえば、接着剤によるドライラミネーション、または熱接着性層を各層の間に挟んで熱により接着させるヒートラミネーションにより、積層される。
【0030】
なお、表側シート100および裏側シート110の各々は、上述の層の構成に限られず、着色されたフィルムもしくは商品名およびデザインなどを表示するための印刷層を含んでいてもよい。
【0031】
表側シート100および裏側シート110は、Z軸方向の両端部に位置する第1溶着部141において互いに溶着されている。具体的には、第1溶着部141にて、第1面101と第2面111とが互いに溶着されている。
【0032】
図3および図4に示すように、スパウト120は、筒部121および蓋部122を含む。筒部121に蓋部122が着脱可能に取り付けられることにより、軟包材容器20を箱体10から取り出すことなく軟包材容器20内の流体をスパウト120から注出することができる。
【0033】
スパウト120は、Y軸方向の一方側において箱体10のZ軸方向の一方側に設けられている。図1図3に示すように、スパウト120の筒部121は、スパウト挿入部14より大きい径のフランジ部分などを有している。スパウト120が箱体10の内側から挿入される際に、複数の挿入補助切込部14cが箱体10の外側に向かって湾曲することにより、スパウト挿入部14が拡径される。これにより、スパウト120の蓋部122側がスパウト挿入部14に挿入可能となる。
【0034】
図1図4に示すように、軟包材容器20は、スパウト120が位置する側とは反対側において固定部140により箱体10に固定されている。これにより、包装体1を傾けてスパウト120から流体を注出させる際に、軟包材容器20が箱体10の中において移動することを抑制できる。
【0035】
スパウト120は、表側シート100および裏側シート110の各々の端部同士の間に一部が配置され、かつ、表側シート100および裏側シート110の各々と接合されている。具体的には、筒部121は、スパウト溶着部145において、表側シート100と裏側シート110とに溶着されている。筒部121は、たとえば、ポリエチレン系樹脂で形成され、ヒートシールによって溶着される。なお、スパウト120は、軟包材容器20の角部だけでなく、たとえば、Z軸方向の一方側の端面部中央に配置されてもよい。スパウト挿入部14の位置は、スパウト120の位置に合わせて適宜変更される。
【0036】
中間シート130は、平面状に延在する矩形のシートである。中間シート130は、表側シート100と裏側シート110との間に挟まれている。中間シート130は、Y軸方向において表側シート100および裏側シート110と略同寸法を有し、Z軸方向の一方側および他方側において表側シート100および裏側シート110よりも短い寸法を有している。図3においては、中間シート130のZ軸方向における両端を点線で示している。
【0037】
中間シート130は、中間シート130の両面が表側シート100および裏側シート110の各々に溶着することが可能なシーラント層であればよく、シーラント層の単層フィルムにより構成されていてもよい。なお、中間シート130の厚みは、外部からの衝撃を直接受けにくいため、表側シート100および裏側シート110の各々よりも薄い方が好ましい。
【0038】
中間シート130は、表側シート100と部分的に溶着され、かつ、裏側シート110と部分的に溶着されている。具体的には、中間シート130のY軸方向における両端部は、Y軸方向の両端に位置する第2溶着部142において表側シート100および裏側シート110の各々と溶着されている。第1面101と中間シート130のX軸方向の一方側の面とが互いに溶着し、第2面111と中間シート130のX軸方向の他方側の面とが互いに溶着している。これにより、第2溶着部142において、表側シート100、裏側シート110および中間シート130の3層が一体に積層される。
【0039】
中間シート130は、第1面101および第2面111の各々と交互に溶着されている。中間シート130において、第1面101および第2面111の各々と交互に溶着されている部分は延在方向(Y軸方向)に延在している。具体的には、第1面101と中間シート130とは、第1面側溶着部143にて溶着されている。第2面111と中間シート130とは、第2面側溶着部144にて溶着されている。第1面側溶着部143および第2面側溶着部144の各々は、Z軸方向に隙間をあけつつ交互に配置され、Y軸方向に延在している。
【0040】
図3に示すように、第1面101および第2面111の各々と交互に溶着されている部分との間に延在方向(Y軸方向)において隙間が設けられている。具体的には、Y軸方向における、第1面側溶着部143の端部143eおよび第2面側溶着部144の端部144eの各々は、第2溶着部142との間に隙間が設けられている。
【0041】
中間シート130は、複数の孔部131hを有する。本実施の形態においては、複数の孔部131hは、丸孔形状を有している。複数の孔部131hは、第1面側溶着部143および第2面側溶着部144の間に配置されている。なお、複数の孔部131hの形状は丸形状に限られず、多角形状、楕円形状であってもよい。
【0042】
なお、本実施の形態における表側シート100、裏側シート110および中間シート130の各々は、ヒートシールにより固定されているが、ヒートシールはヒートシールバーによる熱圧着に限られず、超音波シールまたはインパルスシールなどであってもよく、ヒートシール以外に接着剤による接合でもよい。
【0043】
図5は、図3の軟包材容器をV-V線矢印方向から見た断面図である。図6は、図3の軟包材容器をVI-VI線矢印方向から見た断面図である。なお、図5および図6においては、本発明の理解を容易にするため、軟包材容器20が膨らんだ状態の各断面の端面のみを図示している。
【0044】
図5および図6に示すように、軟包材容器20は、連続した内部空間を有している。具体的には、軟包材容器20の内部空間は、第1面側空間150、第2面側空間151および端部側空間152により構成される。図3および図5に示すように、第1面側空間150および第2面側空間151は、第1面側溶着部143および第2面側溶着部144の間において、孔部131hを通じてZ軸方向に連続している。
【0045】
図3および図6に示すように、表側シート100、裏側シート110および中間シート130は、端部143eおよび端部144eの各々と第2溶着部142との間において溶着されていない。これにより、端部側空間152は、Z軸方向に連続している。また、端部側空間152は、第1面側空間150および第2面側空間151の各々と連続している。
【0046】
上述するように、第1面側空間150、第2面側空間151および端部側空間152が連続していることにより、第1面側溶着部143および第2面側溶着部144が設けられている状態においても、軟包材容器20内の流体が軟包材容器20の内部を滞りなく通流することができる。
【0047】
図5に示すように、中間シート130は、軟包材容器20が膨らんだ状態において、中間シート130が表側シート100と裏側シート110との間でジグザグ状に位置している。中間シート130は、一定の間隔で表側シート100および裏側シート110に交互に溶着されている。
【0048】
具体的には、中間シート130において、互いに隣り合う第1面側溶着部143と第2面側溶着部144との距離L3、距離L4および距離L5の各々は、同じ寸法になっている。表側シート100における第1面側溶着部143同士の距離L6は、距離L3および距離L4を足した寸法と同じ寸法を有している。裏側シート110における第2面側溶着部144同士の距離L7は、距離L4および距離L5を足した寸法と同じ寸法を有している。すなわち、表側シート100において隣り合う第1面側溶着部143同士の距離L6と、裏側シート110において隣り合う第2面側溶着部144同士の距離L7とは同じ寸法になっている。この寸法関係により、軟包材容器20が膨らむ前の状態において、表側シート100、裏側シート110および中間シート130の3層とも平面状に積層配置することができる。
【0049】
距離L6および距離L7を短くすることにより、軟包材容器20が膨らんだ際のX軸方向における表側シート100および裏側シート110の膨張許容量が減少するため、X軸方向における表側シート100と裏側シート110との最大間隔L2は短くなる。反対に、距離L6および距離L7を長くすることにより、軟包材容器20が膨らんだ際のX軸方向における表側シート100および裏側シート110の膨張許容量が増加するため、X軸方向における表側シート100と裏側シート110との最大間隔L2は長くなる。
【0050】
このように、第1面側溶着部143同士の距離L6および第2面側溶着部144同士の距離L7を変動させることにより、X軸方向における表側シート100と裏側シート110との最大間隔L2を調整することができる。具体的には、第1面側溶着部143および第2面側溶着部144において、中間シート130のZ軸方向の一方側の端から1番目に位置する溶着部と、中間シート130のZ軸方向の他方側の端から1番目に位置する溶着部とを除いた、残りの第1面側溶着部143および第2面側溶着部144によって、最大間隔L2を調整することができる。軟包材容器20のZ軸方向の両端部は、変形抵抗の高い箱体10の周縁に位置しているため、膨らむことが抑制されている。
【0051】
中間シート130は、軟包材容器20が膨らんだ状態において、表側シート100と裏側シート110との最大間隔L2を規定している。本発明の一実施の形態においては、中間シート130は、最大間隔L2を、表側シート100と裏側シート110とが並ぶX軸方向における箱体10の内幅L1の2倍以下に規定している。なお、最大間隔L2は、内幅L1の1.5倍以下が好ましく、1.2倍以下がさらに好ましく、特に1.0倍以上1.2倍以下が好ましい。このように内幅L1に対して最大間隔L2を規定することにより、仮に、軟包材容器20の膨らみによって箱体10が少し膨らんだとしても、箱体10の外観に違和感が無く、さらに、箱体10が破損すること無く容易に膨らみを押し戻すことができるため、使用上の問題を生じない。
【0052】
軟包材容器20の膨らみにより箱体10が少し膨らんだ場合、たとえば、X軸方向の寸法が25mm以上30mm以下の箱体10においては、箱体10のYZ平面上における中央部分のX軸方向の寸法は、膨らむ前の1.4倍以下であればよく、1.3倍以下がより好ましく、1.2倍以下がさらに好ましい。この箱体10のYZ平面上における中央部分のX軸方向の寸法は、軟包材容器20の最大間隔L2により調整される。
【0053】
なお、Z軸方向における、中間シート130の寸法ならびに第1面側溶着部143および第2面側溶着部144の位置の各々は、軟包材容器20の天地が逆転した場合においても、最大間隔L2を箱体10の内幅L1の2倍以下にできるように設定されることが好ましい。
【0054】
以下、本発明の一実施の形態に係る包装体1の製造方法について説明する。図7は、本発明の一実施の形態に係る包装体が備える軟包材容器の製造方法を示すフローチャートである。図8は、本発明の一実施の形態に係る包装体が備える軟包材容器の製造方法を示す正面図である。図9は、本発明の一実施の形態に係る包装体が備える軟包材容器の製造方法を示す上面図である。なお、図8において表側シート100の上側を上部とし、裏側シート110の下側を下部とする。また、図8および図9において、工程が進行する矢印方向を進行方向とする。図9においては、板状部材以外の製造設備を図示していない。
【0055】
図7に示すように、本発明の一実施の形態に係る包装体の製造方法については、まず、中間シート130に孔部131hが設けられる(工程S1)。具体的には、図8および図9に示すように、中間シート130には、上部にパンチ50が配置され、下部にダイ51が配置されている。パンチ50が中間シート130を貫通してダイ51の孔部に挿通されることにより、中間シート130に孔部131hが形成される。孔部131hが形成された際の中間シート130の切れ端は、ダイ51の内部を通って下方に排出される。
【0056】
次に、図7に示すように、表側シート100、中間シート130および裏側シート110が重ねて搬送される(工程S2)。具体的には、図8および図9に示すように、表側シート100、中間シート130および裏側シート110をこの順で上から重ねて搬送する。中間シート130は、上方から見て、表側シート100および裏側シート110の略中央に配置されている。
【0057】
次に、図7に示すように、中間シート130が板状部材に挟まれる(工程S3)。図10は、本発明の一実施の形態に係る包装体が備える軟包材容器の製造方法において、板状部材に中間シートが挟まれる状態を示す斜視図である。図8図10に示すように、板状部材は、第1板状部材60と第2板状部材61とにより構成されている。
【0058】
第1板状部材60および第2板状部材61の各々は、進行方向に直交する水平方向において表側シート100および裏側シート110より外側に延在している第1支持部60sおよび第2支持部61sを有している。第1支持部60sおよび第2支持部61sは、図示しない基台に固定されている。
【0059】
第1板状部材60は、第1支持部60sから進行方向に延在する複数の第1先端部60tを有している。第2板状部材61は、第2支持部61sから進行方向に延在する複数の第2先端部61tを有している。第1先端部60tおよび第2先端部61tは、進行方向に直交する水平方向において交互に直線状に並んで配置されている。
【0060】
中間シート130は、第1先端部60tの上部に配置され、第2先端部61tの下部に配置されている。すなわち、中間シート130は、進行方向に直交する水平方向において第1先端部60tおよび第2先端部61tに対して上下方向にジグザグ状に配置される。表側シート100および裏側シート110は、中間シート130、第1先端部60tおよび第2先端部61tを互いの間に上下方向から挟むように配置される。
【0061】
次に、図7に示すように、第1面101と中間シート130とが接合される(工程S4)。図11は、図9の軟包材容器の製造方法における第1面と中間シートが溶着される前の状態をXI-XI線矢印方向から見た断面図である。図8および図11に示すように、表側シート100の上部に第1シール機70が配置され、裏側シート110の下部に第1受け台71が配置されている。第1シール機70は、表側シート100と接触する接触部70cを有している。
【0062】
図9および図11に示すように、工程S4において、加熱された接触部70cが下方に移動して、接触部70cと第1受け台71とにより、表側シート100、裏側シート110、中間シート130、第1板状部材60および第2板状部材61が挟まれ、第1面101と中間シート130とが加熱溶着されて第1面側溶着部143が形成される。このとき、裏側シート110と中間シート130との間に第1先端部60tが介在しているため、裏側シート110は中間シート130とは溶着しない。
【0063】
次に、図7に示すように、第2面111と中間シート130とが接合される(工程S5)。図12は、図9の軟包材容器の製造方法における第2面と中間シートが溶着される前の状態をXII-XII線矢印方向から見た断面図である。図8および図12に示すように、裏側シート110の下部に第2シール機72が配置され、表側シート100の上部に第2受け台73が配置されている。第2シール機72は、裏側シート110と接触する接触部72cを有している。
【0064】
図9および図12に示すように、工程S5において、加熱された接触部72cが上方に移動して、接触部72cと第2受け台73とにより、表側シート100、裏側シート110、中間シート130、第1板状部材60および第2板状部材61が挟まれ、第2面111と中間シート130とが加熱溶着されて第2面側溶着部144が形成される。このとき、表側シート100と中間シート130との間に第2先端部61tが介在しているため、表側シート100は中間シート130とは溶着しない。中間シート130は、第2面側溶着部144が形成された後、進行方向に進むことにより、第1板状部材60および第2板状部材61に挟まれていない状態となる。
【0065】
図13は、図11の軟包材容器の製造方法における第1面と中間シートが溶着される前の状態の変形例を示す断面図である。図13に示すように、第1先端部60tおよび第2先端部61tは、中間シート130に対して進行方向に直交する水平方向にジグザグ状に配置されている。このように第1先端部60tおよび第2先端部61tを配置することにより、中間シート130を平面状に保持したまま第1板状部材60および第2板状部材61の間に挿通させることができる。
【0066】
次に、図7に示すように、表側シート100と裏側シート110とが接合される(工程S6)。具体的には、図8に示すように、表側シート100の上部および裏側シート110の下部に1対の第3シール機80および1対の第4シール機81が配置されている。1対の第3シール機80は、表側シート100および裏側シート110と接触する接触部80cを有している。1対の第4シール機81は、表側シート100および裏側シート110と接触する接触部81cを有している。
【0067】
図9に示すように、1対の第3シール機80が表側シート100、裏側シート110および中間シート130を加熱された接触部80cで挟むことにより、加熱押圧されて進行方向と直交する方向に延在する第1溶着部141および第2溶着部142が形成される。表側シート100、裏側シート110および中間シート130が進行方向に搬送された後、1対の第4シール機81が表側シート100および裏側シート110を加熱された接触部81cで挟むことにより、加熱押圧されて進行方向と平行に延在する第1溶着部141が形成される。
【0068】
次に、図7に示すように、表側シート100、中間シート130および裏側シート110を切断する(工程S7)。具体的には、図8に示すように、表側シート100の上部に切断機90が配置され、裏側シート110の下部に第3受け台91が配置されている。切断機90は、刃部90bを有している。
【0069】
図8および図9に示すように、刃部90bが下方に移動して、表側シート100、中間シート130および裏側シート110を刃部90bによって切断する。
【0070】
なお、図7図9においては、スパウトの溶着工程および流体の封入工程を示していないが、これらの工程を含めて製造する場合は、たとえば、切断工程(工程S7)の後にこれらの工程が設けられる。なお、流体の封入を軟包材容器20の一端から行う場合は、第1溶着部141の上方側の一部を未溶着状態にして、流体を充填した後に未溶着部分を溶着して封入する。
【0071】
本発明の一実施の形態に係る包装体においては、表側シート100と裏側シート110とに部分的に溶着された中間シート130を設け、軟包材容器20が膨らんだ状態において表側シート100と裏側シート110との最大間隔L2を規定することにより、流体が充填された軟包材容器20を収容した箱体10が立てられた状態においても、軟包材容器20の膨張によって箱体が大きく変形することを抑制することができる。なお、最大間隔L2は内幅L1の2倍以下が好ましく、1.5倍以下がより好ましく、1.2倍以下がさらに好ましく、特に1.0倍以上1.2倍以下が好ましい。また、中間シート130は、最大間隔L2を箱体10の内幅L1以下に規定していてもよい。
【0072】
本発明の一実施の形態に係る包装体においては、軟包材容器20に設けられるスパウト120が位置する側とは反対側において固定部140により軟包材容器20が箱体10と固定されていることによって、箱体10の中で軟包材容器20が移動することが抑制されるため、軟包材容器20を収容した箱体10を傾けて流体を安定して注出することができる。また、スパウト120と反対側の固定部140とによって軟包材容器20の両端側が固定されることで、軟包材容器20の中央部分の膨張を抑制することもできる。
【0073】
本発明の一実施の形態に係る包装体においては、中間シート130が第1面101および第2面111の各々と交互に溶着されて、軟包材容器20が膨らんだ状態において中間シート130が表側シート100と裏側シート110との間でジグザグ状に位置することにより、軟包材容器20の最大間隔L2を箱体10が変形しないように維持しつつ、軟包材容器20の収容量を確保することができる。
【0074】
本発明の一実施の形態に係る包装体においては、中間シート130が一定の間隔で表側シート100および裏側シート110に交互に溶着されていることにより、軟包材容器20の膨張を均一にすることができるため、軟包材容器20の局所的な膨張を抑制して箱体10の変形を抑制することができる。
【0075】
以下、本発明の一実施の形態の変形例に係る包装体が備える軟包材容器について説明する。本発明の一実施の形態の変形例に係る包装体が備える軟包材容器20aは、中間シート130、第1面側溶着部143および第2面側溶着部144の構成のみ本発明の一実施の形態に係る包装体1と異なるため、本発明の一実施の形態に係る包装体1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0076】
図14は、本発明の一実施の形態の第1変形例に係る包装体が備える軟包材容器を示す正面図である。図14に示すように、本発明の一実施の形態の第1変形例に係る包装体が備える軟包材容器20aの中間シート130は、複数の切込部131cを有している。具体的には、切込部131cは略U字形状を有し、中間シート130から部分的に切断されている。軟包材容器20aに充填された流体は、切込部131cを通流して軟包材容器20の内部を移動可能である。
【0077】
本発明の一実施の形態の第1変形例に係る包装体においては、中間シート130に切込部131cを設けることにより、切込部131cを形成する際の切れ端が発生しないため、軟包材容器20a内に上記切れ端が混入することを抑制することができる。
【0078】
図15は、本発明の一実施の形態の第2変形例に係る包装体が備える軟包材容器を示す正面図である。図15に示すように、本発明の一実施の形態の第2変形例に係る包装体が備える軟包材容器20bの第1面側溶着部143および第2面側溶着部144の各々は、軟包材容器20bのY軸方向の中央部に隙間を有して形成されている。軟包材容器20bに充填された流体は、第1面側溶着部143および第2面側溶着部144の各々のY軸方向の中央部の隙間を通流することができる。
【0079】
本発明の一実施の形態の第2変形例に係る包装体においては、第1面側溶着部143および第2面側溶着部144の各々のY軸方向の中央部に隙間を設けることにより、当該隙間が無い場合と比較して、軟包材容器20bの内部の流体をZ軸方向に通流しやすくすることができる。
【0080】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではない。また、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 包装体、10 箱体、11 主面部、11A 第1主面部、11B 第2主面部、12 開口部、13 差込部、14 スパウト挿入部、14c 挿入補助切込部、20,20a,20b 軟包材容器、50 パンチ、51 ダイ、60 第1板状部材、60s 第1支持部、60t 第1先端部、61 第2板状部材、61s 第2支持部、61t 第2先端部、70 第1シール機、70c,72c,80c,81c 接触部、71 第1受け台、72 第2シール機、73 第2受け台、80 第3シール機、81 第4シール機、90 切断機、90b 刃部、91 第3受け台、100 表側シート、101 第1面、110 裏側シート、111 第2面、120 スパウト、121 筒部、122 蓋部、130 中間シート、131c 切込部、131h 孔部、140 固定部、141 第1溶着部、142 第2溶着部、143 第1面側溶着部、143e,144e 端部、144 第2面側溶着部、145 スパウト溶着部、150 第1面側空間、151 第2面側空間、152 端部側空間、L1 内幅、L2 最大間隔、L3,L4,L5,L6,L7 距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15