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特開2022-40978河川管理施設又は海岸保全施設における上屋建物の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022040978
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】河川管理施設又は海岸保全施設における上屋建物の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20220304BHJP
   E02B 7/20 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
E04H1/12 305
E02B7/20 104
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020145960
(22)【出願日】2020-08-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】518155269
【氏名又は名称】EARTH CREATE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(74)【代理人】
【識別番号】100106356
【弁理士】
【氏名又は名称】松枝 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】安本 敬一
(72)【発明者】
【氏名】千葉 哲夫
【テーマコード(参考)】
2D019
【Fターム(参考)】
2D019AA42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】河川管理施設又は海岸保全施設に設けられる上屋建物の新規な施工方法を提供する。
【解決手段】河川管理施設又は海岸保全施設に設けられる上屋建物の施工方法は、各壁ユニット10に対して、1枚または複数枚により1つの壁ユニットのサイズに対応するようにサイズ決めされたアルミニウム合金製のアタッチメントフレーム40を作製する工程と、上屋建物の設置場所付近の現場で、アタッチメントフレームに所定の外壁パネル50を取り付ける工程と、外壁パネルが取り付けられたアタッチメントフレームを吊り上げ装置で吊り上げて、壁ユニットの前に移動させ、アタッチメントフレームと壁ユニットが面同士で重なるように配置する工程と、外壁パネルが取り付けられたアタッチメントフレームを、上屋建物の内側からの作業により、壁ユニットに固定して取り付ける工程とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川管理施設又は海岸保全施設に設けられる水門、樋門、樋管又は堰を含む所定設備を操作するための操作装置を収容する上屋建物であって、底面に固定されて立てられ且つ前面、後面、右側面及び左側面を含む四方を囲む壁面を形成する少なくとも4つの壁ユニットと、前記壁ユニットの上に被せされるように設置される屋根ユニットと有して構成される前記上屋建物の施工方法において、
各壁ユニットに対して、1枚または複数枚により1つの前記壁ユニットのサイズに対応するようにサイズ決めされたアルミニウム合金製のアタッチメントフレームを作製する工程と、
前記上屋建物の設置場所付近の現場で、前記アタッチメントフレームに所定の外壁パネルを取り付ける工程と、
前記外壁パネルが取り付けられた前記アタッチメントフレームを吊り上げ装置で吊り上げて、前記壁ユニットの前に移動させ、前記アタッチメントフレームと前記壁ユニットが面同士で重なるように配置する工程と、
前記外壁パネルが取り付けられた前記アタッチメントフレームを、前記上屋建物の内側からの作業により、前記壁ユニットに固定して取り付ける工程とを備えることを特徴とする上屋建物の施工方法。
【請求項2】
前記アタッチメントフレームは、アルミニウム合金製のアングル棒部材で形成されることを特徴とする請求項1に記載の上屋建物の施工方法。
【請求項3】
前記アタッチメントフレームは、前記アングル棒部材による縦材、横材、ブレース材を組み合わせて構成されることを特徴とする請求項2に記載の上屋建物の施工方法。
【請求項4】
アルミニウム合金製のアングル棒部材による縦ブラケット材が前記壁ユニットの外面に縦方向に取り付けられ、
前記アタッチメントフレームと前記縦ブラケット材それぞれの2つの前記アングル棒部材はそれぞれの片面同士が重ね合わせられて固定されることを特徴とする請求項2または3に記載の上屋建物の施工方法。
【請求項5】
一つの前記アタッチメントフレームに複数の外壁パネルが取り付けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の上屋建物の施工方法。
【請求項6】
前記外壁パネルは、サイディングボードであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の上屋建物の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川管理施設又は海岸保全施設における水門、樋門、樋管又は堰の操作台等を収容する上屋建物の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
河川管理施設は、河川法に基づき設置されるダム、堰、頭首工、水門、樋門、樋管などのゲート施設や排水機場、揚水機場、浄化機場などのポンプ施設を備えており、また、海岸保全施設は、海岸法に基づき設置される堤防、護岸、水門・陸閘などの施設を有する。このうち、水門や樋門などのゲート施設は、上下動により水路を開閉するゲート(扉)を備え、一般的に、そのゲートの開閉を操作する操作装置などを収容する上屋建物がゲート上方に設置される(特許文献1乃至4)。
【0003】
上屋建物は、例えばコンクリート製の底床上に建てられる建築構造物であって、上述したように、ゲートを開閉する操作装置や、各種制御装置、さらに、施設を管理するための機材を収容するために用いられる。
【0004】
図13は、上屋建物の組立施工手順を示す図である。上屋建物は、あらかじめ工場で生産したアルミニウム合金製の壁ユニット(アルミユニット)を設置場所に搬入し(図13の施工手順4)、壁ユニットをクレーンで吊り上げ、上屋建物の側壁として組立て据え付け設置する(図13の施工手順5、6、7)。そして、壁ユニットの据え付け後に屋根ユニットを据え付ける(図13の施工手順8、9、10)。屋根についても、あらかじめ工場で生産された木製の屋根ユニットが設置場所に搬入され、組立作業者は、クレーンで吊り上げられた屋根ユニットを所定位置に据え付けて組立作業を進め、屋根の取り付け後に、フレーム状の壁ユニットに窓やパネルなどを取り付ける作業等を行い(図13の施工手順11)、組立てを完成させる。屋根ユニットは、図示される一例では、トラス構造を有する木製のフレーム体で構成される木製ユニットであり、屋根ユニットの上面(屋根面)は、鋼板又はアルミニウム板などの薄い金属製屋根板で覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-096541号公報
【特許文献2】登録実用新案第3123159号公報
【特許文献3】登録実用新案第3083704号公報
【特許文献4】登録実用新案第3024122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この上屋建物の壁ユニットは、一般的に構造体としてアルミニウム合金製のフレームを用いているため、鋼部材よりも軽量であり、組立て施工全体を通して足場を組むことなく比較的短期間で省力化した組立て作業が可能であるが、アルミニウム合金製の無機質なフレームパネルであり、外壁としての外観の見栄えに難がある。昨今においては、周囲の景観との調和も求められているが、現在の上屋建物の側壁には、デザイン性があり意匠性の高い外装材(サイディング)は施工されておらず、上屋建物の壁ユニットの外周に、外観を考慮した外装材(サイディング)を取り付けることが検討されている。
【0007】
しかしながら、上屋建物の壁ユニットに外装材(サイディング)を取り付ける施工は、上屋建物の外周に対する作業となるため、通常、上屋建物の周囲に足場を組むことが想定されるが、河川管理施設又は海岸保全施設に設けられる上屋建物の設置環境では、足場を組むスペースを確保しづらいなど足場を組んでの作業が困難な場合がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、河川管理施設又は海岸保全施設に設けられる上屋建物の新規な施工方法を提供することであり、特に、当該上屋建物の壁ユニットに、足場を用いずに外装材(サイディング)を取り付けることができる上屋建物の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の上屋建物の施工方法は、河川管理施設又は海岸保全施設に設けられる水門、樋門、樋管又は堰を含む所定設備を操作するための操作装置を収容する上屋建物であって、底面に固定されて立てられ且つ前面、後面、右側面及び左側面を含む四方を囲む壁面を形成する少なくとも4つの壁ユニットと、前記壁ユニットの上に被せされるように設置される屋根ユニットと有して構成される前記上屋建物の施工方法において、各壁ユニットに対して、1枚または複数枚により1つの前記壁ユニットのサイズに対応するようにサイズ決めされたアルミニウム合金製のアタッチメントフレームを作製する工程と、前記上屋建物の設置場所付近の現場で、前記アタッチメントフレームに所定の外壁パネルを取り付ける工程と、前記外壁パネルが取り付けられた前記アタッチメントフレームを吊り上げ装置で吊り上げて、前記壁ユニットの前に移動させ、前記アタッチメントフレームと前記壁ユニットが面同士で重なるように配置する工程と、前記外壁パネルが取り付けられた前記アタッチメントフレームを、前記上屋建物の内側からの作業により、前記壁ユニットに固定して取り付ける工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記アタッチメントフレームは、アルミニウム合金製のアングル棒部材で形成され、さらに、前記アタッチメントフレームは、前記アングル棒部材による縦材、横材、ブレース材を組み合わせて構成される。
【0011】
また、上記施工方法において、アルミニウム合金製のアングル棒部材による縦ブラケット材が前記壁ユニットの外面に縦方向に取り付けられ、前記アタッチメントフレームと前記縦ブラケット材それぞれの2つの前記アングル棒部材はそれぞれの片面同士が重ね合わせられて固定される。
【0012】
一つの前記アタッチメントフレームに複数の外壁パネルが取り付けられ、前記外壁パネルは、サイディングボードである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、河川管理施設又は海岸保全施設に設けられる上屋建物において、足場を組まずに、外装パネル(サイディング)を取り付けることができ、上屋建物の組立て施工の短期化、コスト削減を図ることができる。新設の上屋建物及び外装パネルが施工されていない既設の上屋建物の両ケースについて、足場を組まずに外装パネルを取り付ける事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態における上屋建物の全体構成を示すモデル図である。
図2】実際に組立施工された上屋建物の外観写真を示す図である。
図3】本発明の実施の形態における上屋建物に外装材(サイディング)を取り付けるための施工方法を説明する図である。
図4】アタッチメントフレーム40のみを示す図である。
図5】壁ユニット10にアタッチメントフレーム40が取り付けられている状態を示す図である。
図6】壁ユニット10にアタッチメントフレーム40を介して外壁パネル50が取り付けられている状態を示す図である。
図7】本発明の実施の形態における上屋建物の施工手順を示す図である。
図8】本発明の実施の形態における上屋建物の施工手順を示す図である。
図9】本発明の実施の形態における上屋建物の施工手順を示す図である。
図10】本発明の実施の形態における上屋建物の施工手順を示す図である。
図11】縦ブラケット材20とアタッチメントフレーム40の取り付けを説明するための模式的な平面図である。
図12】外壁パネル50とアタッチメントフレーム40の取り付けを説明するための模式的な側面図である。
図13】上屋建物の組立施工手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の実施の形態について、具体的な図に基づいて説明する。
【0016】
本発明の上屋建物は、河川管理施設として設置される堰、頭首工、水門、樋門、樋管などのゲート施設や排水機場、揚水機場、浄化機場などのポンプ施設、さらには、海岸保全施設として設置される堤防、護岸、水門、陸閘などの施設を管理するため、それらの施設に付随して建設される建築構造物であり、特に、水門や樋門などのゲート施設における上屋建物は、上下動により水路を開閉するゲート(扉)の開閉を操作する操作装置などを収容するように、ゲートに付随して設置される。上屋建物は、施設内のコンクリート床上に固定されて建てられ、ゲートを開閉する操作装置や、各種制御装置、さらに、施設を管理するためのさまざまな機材を収容する。また、施設を管理する作業者の待機所としても利用される。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態における上屋建物の全体構成を示すモデル図である。上屋建物1は、底面2に固定されて立てられ且つ前面、後面、右側面及び左側面を含む四方を囲む壁面を形成するアルミニウム合金製の壁ユニット10を備える。壁ユニット10は、基準サイズのアルミニウム合金製フレーム体を複数接続固定した壁パネルであり、各フレーム体は、補強用斜材、窓パネル、アルミニウム合金製の平板パネルなどを取り付けて、パネル状の壁面が構成される。なお、図1に示す上屋建物1では、壁ユニット10に外装パネル(サイディング)が取り付けられていない状態の構成が示される。
【0018】
さらに、上屋建物1は、壁ユニット10の上に設置される屋根ユニット30とを備え、屋根ユニット30は、例えば、図13で示されるようなトラス構造を有する木製ユニットである。上屋建物1の壁ユニット10は、構造体としてアルミニウム合金製のフレームを用いているため、鋼部材よりも軽量であり、施工全体を通して足場を組むことなく比較的短期間で省力化した組立て作業が可能であるが、鋼部材と比較して構造体としての強度が低いことから、その強度の範囲内の重量で屋根を形成するため、屋根部は軽量の木製部材を用いて、それを壁ユニット10の上に載せて組立てられる。
【0019】
屋根ユニット30は、上述の木製ユニット構造に限らず、例えば、図示されない金属製(好ましくはアルミニウム製)の梁部材と垂木が対向する壁ユニット10間にわたされて、その上に鋼板やアルミニウム板などの金属製屋根板を載せて設置する構造であってもよい。なお、図1に示す上屋建物1は、この図示されない梁部材の上に金属製屋根板が設置された構造例を示す。
【0020】
図2は、実際に組立施工された上屋建物の外観写真を示す図である。図2に示す上屋建物においても、壁ユニットに外装パネルが取り付けられていない状態の構成が示される。
【0021】
図3は、本発明の実施の形態における上屋建物に外装パネル(サイディング)を取り付けるための施工方法を説明する図である。図3において、上屋建物1の壁ユニット10の一部分が示され、さらに、壁ユニット10の外側に取り付けられるアルミニウム製のアタッチメントフレーム40と、そのアタッチメントフレーム40の外側面に取り付けられる外壁パネル50とが示される。
【0022】
アタッチメントフレーム40は、アルミニウム合金製の断面アングル形状(山形形状)の棒部材を組み合わせて構成され、例えば断面50mm×50mm×3mmサイズのものが用いられる。アルミニウム合金製の断面山形形状の棒部材(以下、アングル棒部材と称する場合がある)を縦材42と横材44として用いてフレームを構成し、必要な強度を確保するために必要に応じてブレース材(斜材)46が取り付けられる。ブレース材は例えば30mm×3mmのアルミニウム合金製の平板を用いることができる。部材の固定は接合ボルトなどで行われる。また、アタッチメントフレーム40の壁ユニット10への取り付けにおいては、不陸調整ボルトによりその取り付けにおける水平調整が行われる。
【0023】
アタッチメントフレーム40は、上屋建物の設置場所から離れた工場であらかじめ組み立てられて、上屋建物1の設置場所に運搬・搬入されてもよいし、アタッチメントフレーム40の部材を上屋建物1の設置場所に運搬・搬入し、その設置現場で作業員により組み立てられてもよい。
【0024】
アタッチメントフレーム40の外枠サイズは、1枚または複数枚により1つの壁ユニット10のサイズに対応するようにサイズ決めされ、そのサイズは例えば幅3050mm×高さ3640mmであり、後述の外壁パネル(サイディングボード)の規格サイズに合わせて寸法となっている。
【0025】
外壁パネル50はサイディングボードである。サイディングボードは、軽量コンクリートなどの窯業系サイディング、ガリバリウム鋼板・アルミニウム板・ステンレス板などの金属系サイディング、さらには、木質系サイディングや樹脂系サイディングなど多種多様に提供されており、耐久性、外観、景観との調和やコストなどさまざまな観点から選択される。
【0026】
サイディングボードは、最も典型的には、幅3030mm×高さ455mmサイズであり、アタッチメントフレーム40のサイズが幅3050mm×高さ3640mmである場合、アタッチメントフレーム40に8枚のサイディングボードを高さ方向に並べて取り付けることができる。
【0027】
外壁パネル(サイディングボード)50は、金物によりアタッチメントフレーム40に固定される。必要な枚数の複数の外壁パネル50は、上屋建物の設置場所に運搬・搬入され、上屋建物の設置現場で、1枚ずつアタッチメントフレーム40に取り付けられていく。好ましくは、上屋建物の設置現場の平らな場所にアタッチメントフレーム40は寝かせて置かれ、その上に外壁パネル50を重ねるようにして取り付ける。例えば、軽量コンクリート製のサイディングボードの場合、幅3030mm×高さ455mmサイズの重量は約25kgほどとなり、平らな場所でアタッチメントフレーム40を横にした状態でのサイディングボードの取り付けは、効率性と安全性の高い作業となる。
【0028】
また、図3には、壁ユニット10に取り付けられる縦ブラケット材20が示される。縦ブラケット材20は、アタッチメントフレーム40の部材と同様のアルミニウム合金製の山形形状棒部材(アングル棒部材)であって、そのサイズは例えば50mm×50mm×3mmサイズである。縦ブラケット材20は、壁ユニット10の外側に縦方向に取り付けられる棒材であり、アタッチメントフレーム40を壁ユニット10に固定するための補助部材であって、壁ユニット10に対してボルトなどの固定手段で取り付けられる。縦ブラケット材20の取付作業は、作業者により上屋建物1の内側から行うことができる。縦ブラケット材20は、壁ユニット10の構造に合わせて、必要に応じて設けられる。
【0029】
図4は、アタッチメントフレーム40のみを示す図(壁ユニット10及び外壁パネル50の図示を省略)であり、図5は、壁ユニット10にアタッチメントフレーム40が取り付けられている状態を示す図(外壁パネル50の図示を省略)であり、図6は、壁ユニット10にアタッチメントフレーム40を介して外壁パネル50が取り付けられている状態を示す図(アタッチメントフレーム40は外壁パネル50に隠れて見えない)である。
【0030】
図7図8図9及び図10は、本発明の実施の形態における上屋建物の施工手順を示す図であり、アタッチメントフレーム40及びそれに固定された外壁パネル50を上屋建物1の壁ユニット10に取り付ける工程を示す。
【0031】
図7(a)において、棒状部材である縦ブラケット材20が、上屋建物1の壁ユニット10に対して縦方向に取り付けられる。縦ブラケット材20の取付は、所定長さに加工されたアルミニウム合金製のアングル棒部材を用意し、上屋建物1の内側から作業者が外側に出して、ボルトなどで内側から固定する。図7(b)は縦ブラケット材20が壁ユニット10に取り付けられた状態を示す。
【0032】
図8(a)において、上屋建物の設置現場付近の平面にて、アタッチメントフレーム40を組み立てて作製し(若しくは工場で組み立てられたアタッチメントフレームを搬入し)、アタッチメントフレーム40に外壁パネル50を1枚ずつ取り付けていく。
【0033】
図8(b)に示されるように、外壁パネル50が取り付けられたアタッチメントフレーム40(以下、一体ユニット40、50と称する場合がある)をクレーン車などの吊り上げ装置で吊り上げて、壁ユニット10の前に移動させる。
【0034】
より具体的には、図9(a)に示されるように、一体ユニット40、50を壁ユニット10の上から下ろすように落とし込んでいき、図9(b)に示されるように、一体ユニット40、50の下端部を壁ユニット10の下端部に揃えるように合わせ、一体ユニット4、50と壁ユニット10が面同士で重なるように配置する。クレーン車の操縦との共同作業により、上屋建物1の内部の作業者が、下りてくる一体ユニット40、50を所定位置に導き位置決めする。このとき、後述の図11で示されるように、壁ユニット10に取り付けられた縦ブラケット材20とアタッチメントフレーム40の縦材が重なり合うようにして取り付けられる。一体ユニット40、50の下端部を調整ボルトにより位置決めした後、さらに、図10に示されるように、上屋建物の内側から作業により、一体ユニット40、50全体を壁ユニット10にボルトで固定して取り付ける。
【0035】
クレーン車による吊り上げと上屋建物内部からの作業により、足場を設置することなく、上屋建物の外側に外壁パネルを取り付ける施工が可能となる。
【0036】
図11は、縦ブラケット材20とアタッチメントフレーム40の取り付けを説明するための模式的な平面図である。外壁パネル50が取り付けられたアタッチメントフレーム40と壁ユニット10に取り付けられた縦ブラケット材20は、それぞれのアングル棒部材の片面同士が重ね合わせられて固定される。図11及び以下の図12における両方向矢印の表示は、ボルト締めなどの固定手段による固定取り付けを表す。
【0037】
図12は、外壁パネル50とアタッチメントフレーム40の取り付けを説明するための模式的な側面図である。外壁パネルの端面に沿った形状の外壁パネル固定用金物52が、隣接する外壁パネル50の連結部分に挟まれて固定されるとともに、その連結部分から突出した部分がアタッチメントフレーム40とボルトにより固定される。
【0038】
上述した上屋建物の施工方法は、既設の上屋建物(外壁パネルが取り付けられていないもの)に外壁パネルを取り付ける施工に対して適用可能であり、また、新設の上屋建物について、外壁パネルを取り付ける工程にも適用可能である。本発明の施工方法が適用される上屋建物は、河川管理施設・海岸保全施設などに設けられる建築構造物に最適であるが、例えば、倉庫、車庫、艇庫などのいわゆるシステム建築構造物を含む他の建築構造物にも適用可能である。
【0039】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
1:上屋建物、10:壁ユニット、20:縦ブラケット材、30:屋根ユニット、40:アタッチメントフレーム、42:縦材、44:横材、46:ブレース材、50:外壁パネル、52:外壁パネル固定用金物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13