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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041044
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146048
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 勇多
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS05
5H730AS11
5H730BB13
5H730DD04
5H730EE13
5H730EE58
5H730EE59
5H730FD31
5H730FD51
(57)【要約】
【課題】スイッチング損失の抑制を簡単な構成で実現できる電源装置を提供する。
【解決手段】一対の入力端子の間に設けられた第1スイッチング素子と、第1スイッチング素子と接続された第2スイッチング素子と、第1及び第2スイッチング素子の接続点と出力端子との間に接続されたインダクタと、一対の出力端子の間に接続された平滑コンデンサと、第1スイッチング素子のスイッチングを制御する第1駆動回路と、第2スイッチング素子のスイッチングを制御する第2駆動回路と、第1及び第2スイッチング素子に流れる電流を検出する電流検出抵抗と、検出された電流値が基準値以上か否かを比較する比較器と、比較器の比較の結果を基に第1及び第2駆動回路の動作を制御する制御回路と、第1及び第2スイッチング素子のオフ状態からオン状態への切り替わりを遅らせる遅延回路と、を備えた電源装置が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と接続される高電位入力端子及び低電位入力端子と、
直流負荷と接続される高電位出力端子及び低電位出力端子と、
前記高電位入力端子と前記低電位入力端子との間に設けられた第1スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子と前記低電位入力端子との間に設けられた第2スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の接続点に接続された一端と、前記高電位出力端子に接続された他端と、を有するインダクタと、
前記インダクタの前記他端及び前記高電位出力端子に接続された一端と、前記低電位出力端子と接続された他端と、を有する平滑コンデンサと、
前記第1スイッチング素子のスイッチングを制御する第1駆動回路と、
前記第2スイッチング素子のスイッチングを制御する第2駆動回路と、
前記第1スイッチング素子をオン状態にした時に前記第1スイッチング素子に流れる電流を検出する第1電流検出抵抗と、
前記第2スイッチング素子をオン状態にした時に前記第2スイッチング素子に流れる電流を検出する第2電流検出抵抗と、
前記第1電流検出抵抗によって検出された電流値が第1基準値以上であるか否かを比較する第1比較器と、
前記第2電流検出抵抗によって検出された電流値が第2基準値以上であるか否かを比較する第2比較器と、
前記第1スイッチング素子をオン状態とし、前記第2スイッチング素子をオフ状態とした状態において、前記第1比較器が前記第1基準値以上と比較したことに応答して、前記第1スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替え、前記第2スイッチング素子をオフ状態からオン状態に切り替えさせるとともに、前記第1スイッチング素子をオフ状態とし、前記第2スイッチング素子をオン状態とした状態において、前記第2比較器が前記第2基準値以上と比較したことに応答して、前記第1スイッチング素子をオフ状態からオン状態に切り替え、前記第2スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えさせるように、前記第1比較器及び前記第2比較器の比較の結果を基に、前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路の動作を制御する制御回路と、
前記第1スイッチング素子のオフ状態からオン状態への切り替わりのタイミングを所定時間遅らせることにより、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子を一時的に共にオフ状態とする第1遅延回路と、
前記第2スイッチング素子のオフ状態からオン状態への切り替わりのタイミングを所定時間遅らせることにより、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子を一時的に共にオフ状態とする第2遅延回路と、
を備えた電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、SRフリップフロップである請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1スイッチング素子をオン状態にした時に前記第1電流検出抵抗に流れる電流の方向と整流の方向を逆向きにして前記第1電流検出抵抗と並列に設けられた第1整流素子と、
前記第2スイッチング素子をオン状態にした時に前記第2電流検出抵抗に流れる電流の方向と整流の方向を逆向きにして前記第2電流検出抵抗と並列に設けられた第2整流素子と、
を、さらに備えた請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第1駆動回路は、前記制御回路側と前記第1スイッチング素子側とを電気的に絶縁する請求項1~3のいずれか1つに記載の電源装置。
【請求項5】
出力制御信号の入力を受け、前記第1比較器に設定される前記第1基準値及び前記第2比較器に設定される前記第2基準値の少なくとも一方を変化させることにより、前記出力制御信号に基づいて、前記直流負荷に供給する直流電流及び直流電圧の少なくとも一方の大きさを変化させる出力制御部を、さらに備えた請求項1~4のいずれか1つに記載の電源装置。
【請求項6】
前記出力制御部は、前記直流電流及び前記直流電圧の少なくとも一方の大きさを小さくする場合に、前記出力制御信号に応じて前記第1基準値を小さくするとともに、前記出力制御信号に応じて前記第2基準値を大きくする請求項5記載の電源装置。
【請求項7】
前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子は、Si、SiC、及びGaNのいずれかの半導体材料を含む請求項1~6のいずれか1つに記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昇圧チョッパ回路や降圧チョッパ回路のスイッチング素子あるいは整流素子としてFET(Field Effect Transistor)を用いることが行われている。FETには、Si(ケイ素)製のものや次世代材料と呼ばれるSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)製のものがある。SiCやGaNを使用したFETは、高速スイッチング性能を特徴の1つとして有している。このため、SiCやGaN製のFETを用いたチョッパ回路では、チョッパ制御の動作周波数を高周波化させることができる。
【0003】
高周波化は、周辺部品を小型化し、電源の小型化を図ることができる。一方で、高周波化における課題の1つに、スイッチング素子あるいは整流素子のスイッチング損失があげられる。
【0004】
スイッチング損失を抑制する技術の1つとして、TCM(Triangular Current Mode)制御と呼ばれるソフトスイッチング技術が知られている。しかしながら、TCM制御を行う場合には、既存のアナログ部品を組み合わせて制御を行わなければならないなど、回路の複雑化や高価格化を招いてしまうことが懸念されている。このため、電源装置では、スイッチング損失の抑制を簡単な構成で実現できるようにすることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-121517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スイッチング損失の抑制を簡単な構成で実現できる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、直流電源と接続される高電位入力端子及び低電位入力端子と、直流負荷と接続される高電位出力端子及び低電位出力端子と、前記高電位入力端子と前記低電位入力端子との間に設けられた第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子と前記低電位入力端子との間に設けられた第2スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の接続点に接続された一端と、前記高電位出力端子に接続された他端と、を有するインダクタと、前記インダクタの前記他端及び前記高電位出力端子に接続された一端と、前記低電位出力端子と接続された他端と、を有する平滑コンデンサと、前記第1スイッチング素子のスイッチングを制御する第1駆動回路と、前記第2スイッチング素子のスイッチングを制御する第2駆動回路と、前記第1スイッチング素子をオン状態にした時に前記第1スイッチング素子に流れる電流を検出する第1電流検出抵抗と、前記第2スイッチング素子をオン状態にした時に前記第2スイッチング素子に流れる電流を検出する第2電流検出抵抗と、前記第1電流検出抵抗によって検出された電流値が第1基準値以上であるか否かを比較する第1比較器と、前記第2電流検出抵抗によって検出された電流値が第2基準値以上であるか否かを比較する第2比較器と、前記第1スイッチング素子をオン状態とし、前記第2スイッチング素子をオフ状態とした状態において、前記第1比較器が前記第1基準値以上と比較したことに応答して、前記第1スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替え、前記第2スイッチング素子をオフ状態からオン状態に切り替えさせるとともに、前記第1スイッチング素子をオフ状態とし、前記第2スイッチング素子をオン状態とした状態において、前記第2比較器が前記第2基準値以上と比較したことに応答して、前記第1スイッチング素子をオフ状態からオン状態に切り替え、前記第2スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えさせるように、前記第1比較器及び前記第2比較器の比較の結果を基に、前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路の動作を制御する制御回路と、前記第1スイッチング素子のオフ状態からオン状態への切り替わりのタイミングを所定時間遅らせることにより、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子を一時的に共にオフ状態とする第1遅延回路と、前記第2スイッチング素子のオフ状態からオン状態への切り替わりのタイミングを所定時間遅らせることにより、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子を一時的に共にオフ状態とする第2遅延回路と、を備えた電源装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、スイッチング損失の抑制を簡単な構成で実現できる電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る電源装置を模式的に表すブロック図である。
図2図2(a)~図2(g)は、第1の実施形態に係る電源装置の動作の一例を模式的に表す説明図である。
図3図3(a)~図3(e)は、第1の実施形態に係る電源装置の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図4】第2の実施形態に係る電源装置を模式的に表すブロック図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、第2の実施形態に係る電源装置の動作の一例を模式的に表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電源装置を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、電源装置10は、高電位入力端子11と、低電位入力端子12と、高電位出力端子13と、低電位出力端子14と、第1スイッチング素子21と、第2スイッチング素子22と、インダクタ24と、平滑コンデンサ26と、第1駆動回路31と、第2駆動回路32と、を備える。
【0012】
高電位入力端子11及び低電位入力端子12は、直流電源2と接続される。高電位出力端子13及び低電位出力端子14は、直流負荷4と接続される。低電位出力端子14は、低電位入力端子12と電気的に接続されている。電源装置10は、高電位入力端子11及び低電位入力端子12を介して直流電源2から供給された直流電力を別の直流電力に変換し、変換後の直流電力を高電位出力端子13及び低電位出力端子14を介して直流負荷4に供給する。直流負荷4は、例えば、LEDなどの光源である。但し、直流負荷4は、光源に限ることなく、直流電力の供給を必要とする任意の素子や部材などでよい。
【0013】
第1スイッチング素子21は、高電位入力端子11と低電位入力端子12との間に設けられる。第2スイッチング素子22は、第1スイッチング素子21と低電位入力端子12との間に設けられる。換言すれば、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22は、高電位入力端子11と低電位入力端子12との間に直列に接続される。
【0014】
第1スイッチング素子21は、電極21a~21cを有する。第2スイッチング素子22は、電極22a~22cを有する。第1スイッチング素子21の電極21aは、高電位入力端子11と接続されている。第1スイッチング素子21の電極21bは、第2スイッチング素子22の電極22aと接続されている。第2スイッチング素子22の電極22bは、低電位入力端子12と接続されている。
【0015】
第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22は、例えば、nチャネル形のFETである。例えば、電極21a、22aは、ドレインであり、電極21b、22bは、ソースであり、電極21c、22cは、ゲートである。但し、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22は、例えば、pチャネル形のFETでもよいし、バイポーラトランジスタなどでもよい。また、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22は、GaN-FETとSi-MOSがカスコード接続された素子などでもよい。より具体的には、GaN素子とSi素子とを直列に接続し、GaN素子は常時オンの状態で、Si素子にゲート信号を入力して制御することでオンオフを切り替える素子などでもよい。
【0016】
第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22は、例えば、Si、SiC、及びGaNのいずれかの半導体材料を含む。換言すれば、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22は、Si、SiC、及びGaNのいずれかの半導体材料を用いて形成されている。第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22の半導体材料には、特に、SiC又はGaNを用いることが好適である。これにより、半導体材料にSiを用いる場合などと比べて、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22のスイッチング周波数の高周波化を図ることができる。
【0017】
インダクタ24の一端24aは、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22の接続点に接続されている。換言すれば、インダクタ24の一端24aは、第1スイッチング素子21の電極21b及び第2スイッチング素子22の電極22aに接続されている。インダクタ24の他端24bは、高電位出力端子13に接続されている。
【0018】
平滑コンデンサ26の一端26aは、インダクタ24の他端及び高電位出力端子13に接続されている。平滑コンデンサ26の他端26bは、低電位出力端子14と接続されている。換言すれば、平滑コンデンサ26は、高電位出力端子13と低電位出力端子14との間に直流負荷4と並列に設けられる。
【0019】
電源装置10は、いわゆる降圧チョッパ回路である。第2スイッチング素子22は、降圧チョッパ回路の整流素子として機能する。電源装置10は、直流電源2から供給された直流電力を降圧し、降圧後の直流電力を直流負荷4に供給する。
【0020】
第1駆動回路31は、第1スイッチング素子21の電極21cと接続され、第1スイッチング素子21のスイッチングを制御する。第2駆動回路32は、第2スイッチング素子22の電極22cと接続され、第2スイッチング素子22のスイッチングを制御する。
【0021】
電源装置10は、第1電流検出抵抗41と、第2電流検出抵抗42と、第1整流素子51と、第2整流素子52と、第1比較器61と、第2比較器62と、SRフリップフロップ64(制御回路)と、第1遅延回路71と、第2遅延回路72と、をさらに備える。
【0022】
第1電流検出抵抗41は、低電位入力端子12と低電位出力端子14との間に設けられている。第1電流検出抵抗41は、第1スイッチング素子21をオン状態にした時に第1スイッチング素子21に流れる電流を検出する。換言すれば、第1電流検出抵抗41は、第1スイッチング素子21をオン状態にした時にインダクタ24及び直流負荷4に流れる電流を検出する。
【0023】
第2電流検出抵抗42は、第2スイッチング素子22の電極22bと低電位入力端子12(低電位出力端子14)との間に設けられている。第2電流検出抵抗42は、第2スイッチング素子22をオン状態にした時に第2スイッチング素子22に流れる電流を検出する。
【0024】
第1整流素子51は、第1スイッチング素子21をオン状態にした時に第1電流検出抵抗41に流れる電流の方向と整流の方向を逆向きにして第1電流検出抵抗41と並列に設けられている。第1整流素子51は、例えば、ダイオードである。第1整流素子51は、例えば、アノードを低電位入力端子12と電気的に接続し、カソードを低電位出力端子14と電気的に接続する向きで、第1電流検出抵抗41と並列に設けられている。
【0025】
第2整流素子52は、第2スイッチング素子22をオン状態にした時に第2電流検出抵抗42に流れる電流の方向と整流の方向を逆向きにして第2電流検出抵抗42と並列に設けられている。第2整流素子52は、例えば、ダイオードである。第2整流素子52は、例えば、アノードを低電位入力端子12(低電位出力端子14)と電気的に接続し、カソードを第2スイッチング素子22の電極22bと電気的に接続する向きで、第2電流検出抵抗42と並列に設けられている。
【0026】
第1比較器61は、一対の入力端子61a、61bと、出力端子61cと、を有する。一方の入力端子61aは、第1電流検出抵抗41と電気的に接続される。これにより、一方の入力端子61aには、第1電流検出抵抗41によって検出された電流値が入力される。他方の入力端子61bには、予め設定された第1基準値Vref1が入力される。出力端子61cは、SRフリップフロップ64のリセット端子64rと電気的に接続されている。入力端子61aに入力されるのは、より具体的には、第1電流検出抵抗41によって検出された電流値に対応する電圧である。第1基準値Vref1は、換言すれば、第1基準電圧である。
【0027】
第1比較器61は、第1電流検出抵抗41によって検出された電流値が第1基準値Vref1以上であるか否かを比較する。第1比較器61は、例えば、第1電流検出抵抗41によって検出された電流値が第1基準値Vref1以上である場合に、出力端子61cからHighを出力し、第1電流検出抵抗41によって検出された電流値が第1基準値Vref1未満である場合に、出力端子61cからLowを出力する。換言すれば、第1比較器61は、第1電流検出抵抗41によって検出された電流値が第1基準値Vref1以上である場合に、SRフリップフロップ64のリセット端子64rにHighを入力し、第1電流検出抵抗41によって検出された電流値が第1基準値Vref1未満である場合に、SRフリップフロップ64のリセット端子64rにLowを入力する。なお、Highとは、より具体的には、SRフリップフロップ64の真理値の「1」に相当する電位であり、Lowとは、より具体的には、SRフリップフロップ64の真理値の「0」に相当する電位である。
【0028】
第2比較器62は、一対の入力端子62a、62bと、出力端子62cと、を有する。一方の入力端子62aは、第2電流検出抵抗42と電気的に接続される。これにより、一方の入力端子62aには、第2電流検出抵抗42によって検出された電流値が入力される。他方の入力端子62bには、予め設定された第2基準値Vref2が入力される。出力端子62cは、SRフリップフロップ64のセット端子64sと電気的に接続されている。入力端子62aに入力されるのは、より具体的には、第2電流検出抵抗42によって検出された電流値に対応する電圧である。第2基準値Vref2は、換言すれば、第2基準電圧である。
【0029】
第2比較器62は、第2電流検出抵抗42によって検出された電流値が第2基準値Vref2以上であるか否かを比較する。第2比較器62は、例えば、第2電流検出抵抗42によって検出された電流値が第2基準値Vref2以上である場合に、出力端子62cからHighを出力し、第2電流検出抵抗42によって検出された電流値が第2基準値Vref2未満である場合に、出力端子62cからLowを出力する。換言すれば、第2比較器62は、第2電流検出抵抗42によって検出された電流値が第2基準値Vref2以上である場合に、SRフリップフロップ64のセット端子64sにHighを入力し、第2電流検出抵抗42によって検出された電流値が第2基準値Vref2未満である場合に、SRフリップフロップ64のセット端子64sにLowを入力する。
【0030】
SRフリップフロップ64は、セット端子64s及びリセット端子64rを有するとともに、第1出力端子64a及び第2出力端子64bを有する。SRフリップフロップ64は、セット端子64sにLowが入力され、リセット端子64rにHighが入力された場合に、第1出力端子64aからLowを出力し、第2出力端子64bからHighを出力する。SRフリップフロップ64は、セット端子64sにHighが入力され、リセット端子64rにLowが入力された場合に、第1出力端子64aからHighを出力し、第2出力端子64bからLowを出力する。また、SRフリップフロップ64は、セット端子64s及びリセット端子64rのそれぞれにLowが入力された場合には、第1出力端子64a及び第2出力端子64bの出力を保持する。
【0031】
SRフリップフロップ64の第1出力端子64aは、第1駆動回路31と電気的に接続される。SRフリップフロップ64の第2出力端子64bは、第2駆動回路32と電気的に接続される。SRフリップフロップ64は、第1出力端子64aの出力を第1制御信号として第1駆動回路31に入力し、第2出力端子64bの出力を第2制御信号として第2駆動回路32に入力する。これにより、SRフリップフロップ64は、第1比較器61及び第2比較器62の比較の結果を基に、第1駆動回路31及び第2駆動回路32の動作を制御する。
【0032】
第1駆動回路31は、SRフリップフロップ64から入力された第1制御信号がLowの時に第1スイッチング素子21をオフ状態とし、第1制御信号がHighの時に第1スイッチング素子21をオン状態とする。同様に、第2駆動回路32は、SRフリップフロップ64から入力された第2制御信号がLowの時に第2スイッチング素子22をオフ状態とし、第2制御信号がHighの時に第2スイッチング素子22をオン状態とする。
【0033】
なお、第1スイッチング素子21の電極21bの電位は、低電位入力端子12及び低電位出力端子14の電位よりも高くなる。従って、第1駆動回路31は、入力側(SRフリップフロップ64側)と出力側(第1スイッチング素子21側)とを電気的に絶縁する。第1駆動回路31は、絶縁型の駆動回路である。第1駆動回路31は、例えば、絶縁型ゲートドライバである。これにより、電極21aと電極21bとの間の高い電圧により、第1駆動回路31やSRフリップフロップ64などが故障してしまうことなどを抑制することができる。第1駆動回路31による絶縁は、トランスなどを用いた磁気的な絶縁でもよいし、フォトカプラなどを用いた光学的な絶縁でもよい。
【0034】
また、第2スイッチング素子22の電極22bの電位は、第2電流検出抵抗42の影響により、低電位入力端子12及び低電位出力端子14の電位よりも高くなる。従って、第2駆動回路32も、入力側と出力側とを電気的に絶縁した絶縁型の駆動回路とすることが好ましい。但し、第2電流検出抵抗42による電位の変動の影響が小さい場合などには、必ずしも第2駆動回路32を絶縁型の駆動回路としなくてもよい。
【0035】
第1遅延回路71は、第1スイッチング素子21のオフ状態からオン状態への切り替わりのタイミングを所定時間遅らせる。第1遅延回路71は、例えば、SRフリップフロップ64の第1出力端子64aと第1駆動回路31との間に設けられる。第1遅延回路71は、SRフリップフロップ64の第1出力端子64aから第1駆動回路31に入力される第1制御信号のLowからHighへの切り替わりのタイミングを第1出力端子64aの出力時のタイミングよりも所定時間遅らせる。
【0036】
第1遅延回路71は、例えば、抵抗素子71rとコンデンサ71cとを有する。第1遅延回路71は、例えばRC回路である。第1遅延回路71は、抵抗素子71rとコンデンサ71cとの時定数により、第1制御信号のLowからHighへの切り替わりのタイミングを所定時間遅らせる。これにより、第1遅延回路71は、第1スイッチング素子21のオフ状態からオン状態への切り替わりのタイミングを所定時間遅らせる。
【0037】
但し、第1遅延回路71の構成は、これに限ることなく、第1スイッチング素子21のオフ状態からオン状態への切り替わりのタイミングを所定時間遅らせることが可能な任意の構成でよい。第1遅延回路71は、例えば、第1駆動回路31と第1スイッチング素子21との間に設け、電極21cに入力される信号(ゲート信号)の立ち上がりを遅らせることにより、第1スイッチング素子21のオフ状態からオン状態への切り替わりのタイミングを所定時間遅らせるようにしてもよい。
【0038】
第2遅延回路72は、第2スイッチング素子22のオフ状態からオン状態への切り替わりのタイミングを所定時間遅らせる。第2遅延回路72は、例えば、SRフリップフロップ64の第2出力端子64bと第2駆動回路32との間に設けられる。第2遅延回路72は、SRフリップフロップ64の第2出力端子64bから第2駆動回路32に入力される第2制御信号のLowからHighへの切り替わりのタイミングを第2出力端子64bの出力時のタイミングよりも所定時間遅らせる。第2遅延回路72は、例えば、抵抗素子72rとコンデンサ72cとを有する。第2遅延回路72の構成は、第1遅延回路71の構成と同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0039】
図2(a)~図2(g)は、第1の実施形態に係る電源装置の動作の一例を模式的に表す説明図である。
図3(a)~図3(e)は、第1の実施形態に係る電源装置の動作の一例を模式的に表すグラフである。
なお、図2(a)~図2(g)では、理解を容易にするため、便宜的に電源装置10の構成を簡略化して表している。また、図2(a)~図2(g)では、第1スイッチング素子21の電極21a、21b間の寄生容量21q、及び第2スイッチング素子22の電極22a、22b間の寄生容量22qを便宜的に図示している。
【0040】
図3(a)は、インダクタ24に流れる電流ILの特性の一例を模式的に表している。 図3(b)は、第1スイッチング素子21の電極21cと電極21bとの間の電圧VGS1の特性の一例を模式的に表している。
図3(c)は、第2スイッチング素子22の電極22cと電極22bとの間の電圧VGS2の特性の一例を模式的に表している。電圧VGS1、電圧VGS2は、例えば、ゲート電圧である。
図3(d)は、第1スイッチング素子21の電極21aと電極21bとの間の電圧VDS1の特性の一例を模式的に表している。
図3(e)は、第2スイッチング素子22の電極22aと電極22bとの間の電圧VDS2の特性の一例を模式的に表している。電圧VDS1、電圧VDS2は、例えば、ドレイン-ソース間電圧である。
【0041】
図2(a)及び図3のタイミングtに表したように、電源装置10の動作においては、まず、第1駆動回路31が第1スイッチング素子21をオン状態とし、第2駆動回路32が第2スイッチング素子22をオフ状態とする。第1駆動回路31は、例えば、電圧VGS1をHighにすることによって第1スイッチング素子21をオン状態とし、第2駆動回路32は、例えば、電圧VGS2をLowにすることによって第2スイッチング素子22をオフ状態とする。
【0042】
第1スイッチング素子21をオン状態とし、第2スイッチング素子22をオフ状態とすると、直流電源2から供給された正の電流がインダクタ24に流れ、正の電流でインダクタ24が充電される。従って、図3のタイミングt~tに表したように、インダクタ24の電流ILが増加する。
【0043】
ここで、正の電流とは、インダクタ24において一端24aから他端24bに向かう方向に流れる電流であり、負の電流とは、インダクタ24において他端24bから一端24aに向かう方向に流れる電流である。
【0044】
図3のタイミングtに表したように、インダクタ24に流れる正の電流ILが、上限値ULに達すると、第1比較器61において、第1電流検出抵抗41によって検出された電流値が第1基準値Vref1以上となり、第1比較器61が、SRフリップフロップ64のリセット端子64rにHighを入力する。
【0045】
SRフリップフロップ64は、セット端子64sにLowが入力され、リセット端子64rにHighが入力された場合に、第1出力端子64aから出力する第1制御信号をLowにし、第2出力端子64bから出力する第2制御信号をHighにする。このように、SRフリップフロップ64は、第1スイッチング素子21をオン状態とし、第2スイッチング素子22をオフ状態とした状態において、第1比較器61が第1基準値Vref1以上と比較したことに応答して、第1スイッチング素子21をオン状態からオフ状態に切り替え、第2スイッチング素子22をオフ状態からオン状態に切り替えさせる。この際、第2遅延回路72が、第2制御信号のLowからHighへの切り替わりのタイミングを所定時間遅らせる。
【0046】
このため、図2(b)及び図3のタイミングt~tに表したように、SRフリップフロップ64が第1制御信号及び第2制御信号を切り替えたタイミングから第2遅延回路72の所定時間の間は、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22が一時的に共にオフ状態となる。このように、第2遅延回路72は、第2スイッチング素子22のオフ状態からオン状態への切り替わりのタイミングを所定時間遅らせることにより、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22を一時的に共にオフ状態とする。
【0047】
図2(b)及び図3のタイミングt~tに表したように、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22がオフ状態になると、インダクタ24に流れる電流ILが減少し、インダクタ24に蓄えられた正の電流のエネルギーが放電される。この際、第2電流検出抵抗42と並列に第2整流素子52を設けることにより、電流ILは、第2整流素子52に流れる。これにより、第2電流検出抵抗42による電流ILの損失を抑制することができる。
【0048】
図2(c)、及び図3のタイミングtに表したように、第2遅延回路72の所定時間が経過すると、第2駆動回路32に入力される第2制御信号がLowからHighに切り替わり、第2駆動回路32が、電圧VGS2をLowからHighに切り替え、第2スイッチング素子22をオン状態にする。
【0049】
第2スイッチング素子22をオン状態にすると、インダクタ24の一端24aの電位が、低電位入力端子12の電位(例えば、グランド電位)と実質的に同じとなり、インダクタ24に蓄えられた正の電流のエネルギーがさらに放電される。
【0050】
図2(d)、及び図3のタイミングtに表したように、インダクタ24に蓄えられた正の電流のエネルギーの放電が完了すると、平滑コンデンサ26に蓄積された電荷を基に、負の電流がインダクタ24に流れ、負の電流でインダクタ24が充電される。このように、第2駆動回路32は、第2スイッチング素子22をオン状態とすることにより、平滑コンデンサ26に蓄積された電荷を基に、負の電流をインダクタ24に流す。この際、第1電流検出抵抗41と並列に第1整流素子51を設けることにより、電流ILは、第1整流素子51に流れる。これにより、第1電流検出抵抗41による電流ILの損失を抑制することができる。
【0051】
図2(e)、及び図3のタイミングtに表したように、インダクタ24に流れる負の電流ILが、下限値LLに達すると、第2比較器62において、第2電流検出抵抗42によって検出された電流値が第2基準値Vref2以上となり、第2比較器62が、SRフリップフロップ64のセット端子64sにHighを入力する。
【0052】
SRフリップフロップ64は、セット端子64sにHighが入力され、リセット端子64rにLowが入力された場合に、第1出力端子64aから出力する第1制御信号をHighにし、第2出力端子64bから出力する第2制御信号をLowにする。このように、SRフリップフロップ64は、第1スイッチング素子21をオフ状態とし、第2スイッチング素子22をオン状態とした状態において、第2比較器62が第2基準値Vref2以上と比較したことに応答して、第1スイッチング素子21をオフ状態からオン状態に切り替え、第2スイッチング素子22をオン状態からオフ状態に切り替えさせる。この際、第1遅延回路71が、第1制御信号のLowからHighへの切り替わりのタイミングを所定時間遅らせる。
【0053】
このため、図2(e)及び図3のタイミングt~tに表したように、SRフリップフロップ64が第1制御信号及び第2制御信号を切り替えたタイミングから第1遅延回路71の所定時間の間は、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22が一時的に共にオフ状態となる。このように、第1遅延回路71は、第1スイッチング素子21のオフ状態からオン状態への切り替わりのタイミングを所定時間遅らせることにより、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22を一時的に共にオフ状態とする。
【0054】
図2(e)及び図3のタイミングt~tに表したように、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22がオフ状態になると、インダクタ24に蓄えられた負の電流のエネルギーが放電され、第2スイッチング素子22の寄生容量22qが充電される。このため、インダクタ24の一端24a側の電位が直流電源2の電位と実質的に同電位となるように増加し、第2スイッチング素子22の電極22aと電極22bとの間の電圧VDS2は増加し、第1スイッチング素子21の電極21aと電極21bとの間の電圧VDS1は減少する。
【0055】
図2(f)、及び図3のタイミングtに表したように、第2スイッチング素子22の寄生容量22qの充電が完了すると、負の電流は、直流電源2に還流する。これにより、インダクタ24に蓄えられた負の電流のエネルギーがさらに放電される。
【0056】
図2(g)、及び図3のタイミングtに表したように、第1遅延回路71の所定時間が経過すると、第1駆動回路31に入力される第1制御信号がLowからHighに切り替わり、第1駆動回路31が、電圧VGS1をLowからHighに切り替え、第1スイッチング素子21をオン状態にする。これにより、インダクタ24に蓄えられた負の電流のエネルギーの放電が完了し、図2(a)の状態に戻る。
【0057】
電源装置10は、上記の動作を繰り返す。これにより、直流電源2の電圧が降圧され、降圧後の直流電力が直流負荷4に供給される。電源装置10では、例えば、第1基準値Vref1及び第2基準値Vref2(上限値UL及び下限値LL)の値を調整することで、変換後の電圧値を調整することができる。
【0058】
電源装置10では、第1スイッチング素子21をオフ状態からオン状態に切り替える前に、インダクタ24に負の電流を流し、インダクタ24に蓄えられた負の電流のエネルギーを基に、第2スイッチング素子22の寄生容量22qを充電している。これにより、第1スイッチング素子21をオフ状態からオン状態に切り替えた際に、第2スイッチング素子22の寄生容量22qを介して低電位入力端子12に流れる貫通電流が流れてしまうことを抑制することができる。これにより、電源装置10では、貫通電流に起因するスイッチング損失を抑制することができる。電源装置10では、第1スイッチング素子21のターンオン損失を低減させることができる。
【0059】
すなわち、電源装置10では、TCM制御を行うことができる。電源装置10では、複数のアナログ部品を組み合わせた複雑な制御を行う必要が無く、2つの比較器61、62と1つのSRフリップフロップ64と2つの遅延回路71、72のみでTCM制御を実現することができる。このように、電源装置10では、簡単な構成でTCM制御を実現することができる。従って、電源装置10では、スイッチング損失の抑制を簡単な構成で実現することができる。電源装置10では、例えば、TCM制御を安価に実現することができる。すなわち、電源装置10では、スイッチング損失の抑制と低コスト化とを両立することができる。
【0060】
なお、この例では、第1駆動回路31及び第2駆動回路32の動作を制御する制御回路の一例として、SRフリップフロップ64を用いた例を示している。制御回路は、SRフリップフロップ64に限定されるものではない。制御回路の構成は、第1スイッチング素子21をオン状態とし、第2スイッチング素子22をオフ状態とした状態において、第1比較器61が第1基準値Vref1以上と比較したことに応答して、第1スイッチング素子21をオン状態からオフ状態に切り替え、第2スイッチング素子22をオフ状態からオン状態に切り替えさせるとともに、第1スイッチング素子21をオフ状態とし、第2スイッチング素子22をオン状態とした状態において、第2比較器62が第2基準値Vref2以上と比較したことに応答して、第1スイッチング素子21をオフ状態からオン状態に切り替え、第2スイッチング素子22をオン状態からオフ状態に切り替えさせるように、第1比較器61及び第2比較器62の比較の結果を基に、第1駆動回路31及び第2駆動回路32の動作を制御することが可能な任意の構成でよい。但し、上記のように、制御回路にSRフリップフロップ64を用いることにより、簡単な構成で制御回路を実現することができる。電源装置10において、より簡単な構成でTCM制御を実現することができる。
【0061】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る電源装置を模式的に表すブロック図である。
図4に表したように、電源装置10aは、出力制御部74をさらに有する。また、この例では、直流負荷4は、光源4aである。光源4aは、より詳しくは、LEDなどの発光素子である。なお、上記第1の実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0062】
出力制御部74は、調光器6と接続されている。出力制御部74は、直流負荷4に供給する直流電流及び直流電圧の少なくとも一方の大きさを制御するための出力制御信号の入力を調光器6から受ける。出力制御信号は、換言すれば、光源4aの明るさを調整するための調光信号である。なお、出力制御信号は、調光器6からに限ることなく、リモコンなどから無線通信を介して入力してもよいし、別の制御装置などからネットワークなどを介して入力してもよい。あるいは、電源装置10aに操作部などを設け、操作部の操作に応じて出力制御信号を出力制御部74に入力してもよい。出力制御信号を出力制御部74に入力する構成は、上記に限ることなく、出力制御信号を出力制御部74に適切に入力することができる任意の構成でよい。
【0063】
出力制御部74は、第1比較器61の入力端子61b及び第2比較器62の入力端子62bと接続されている。出力制御部74は、入力された出力制御信号に応じて第1比較器61の入力端子61bに設定する第1基準値Vref1、及び第2比較器62の入力端子62bに設定する第2基準値Vref2の値を変化させる。これにより、出力制御部74は、出力制御信号に基づいて、直流負荷4に供給する直流電流及び直流電圧の少なくとも一方の大きさを変化させる。換言すれば、出力制御部74は、出力制御信号に基づいて、光源4aの明るさを変化させる。これにより、電源装置10aでは、出力制御信号に応じた大きさの直流電流又は直流電流を出力することができる。電源装置10aでは、出力制御信号に応じた明るさで光源4aを点灯させることができる。
【0064】
図5(a)及び図5(b)は、第2の実施形態に係る電源装置の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図5(a)は、出力制御信号で直流電流又は直流電圧の大きさを100%に設定した場合に、インダクタ24に流れる電流ILの特性の一例を模式的に表している。図5(a)は、換言すれば、全光時の電流ILの特性の一例を模式的に表している。
図5(b)は、出力制御信号で直流電流又は直流電圧の大きさを100%よりも低く設定した場合に、インダクタ24に流れる電流ILの特性の一例を模式的に表している。図5(b)は、換言すれば、調光時の電流ILの特性の一例を模式的に表している。
【0065】
図5(a)及び図5(b)に表したように、出力制御部74は、直流電流及び直流電圧の少なくとも一方の大きさを小さくする場合には、インダクタ24に流れる電流ILの上限値UL及び下限値LLを共に低下させることにより、電流ILの平均電流Iaveを低下させる。
【0066】
例えば、出力制御部74は、直流電流及び直流電圧の少なくとも一方の大きさを小さくする場合に、電流ILの上限値ULのみを低下させることにより、電流ILの平均電流Iaveを低下させてもよい。しかしながら、この場合には、上限値ULの低下にともなって、下限値LLから上限値ULに到達するまでの時間が短くなり、電流ILの周波数が高くなってしまう。そして、電流ILの周波数が高くなると、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22のスイッチングの周波数も高くなり、第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22でのスイッチング損失が大きくなってしまう可能性が生じてしまう。
【0067】
これに対して、上記のように、インダクタ24に流れる電流ILの上限値UL及び下限値LLを共に低下させることによって直流電流及び直流電圧の少なくとも一方の大きさを小さくする場合には、電流ILの平均電流Iaveを低下させて直流電流及び直流電圧の少なくとも一方の大きさを小さくすることができるとともに、電流ILの周波数の変化を抑制することができる。例えば、上限値ULの低下の量と下限値LLの低下の量を同じにする。これにより、電流ILの周波数を実質的に変化させることなく、電流ILの平均電流Iaveを低下させることができる。
【0068】
出力制御部74は、直流電流及び直流電圧の少なくとも一方の大きさを小さくする場合には、例えば、出力制御信号に応じて第1基準値Vref1を小さくするとともに、出力制御信号に応じて第2基準値Vref2を大きくする。これにより、出力制御信号に応じて直流電流及び直流電圧の少なくとも一方の大きさを小さくすることができる。この際、第2基準値Vref2の増加量の絶対値を第1基準値Vref1の減少量の絶対値と実質的に同じにする。これにより、電流ILの周波数を実質的に変化させることなく、電流ILの平均電流Iaveを低下させることができる。
【0069】
但し、出力制御部74は、出力制御信号に基づいて、第1基準値Vref1のみを変化させることにより、直流電流及び直流電圧の少なくとも一方の大きさを変化させてもよいし、第2基準値Vref2のみを変化させることにより、直流電流及び直流電圧の少なくとも一方の大きさを変化させてもよい。出力制御部74の構成は、第1基準値Vref1及び第2基準値Vref2の少なくとも一方を変化させることにより、出力制御信号に基づいて、直流負荷4に供給する直流電流及び直流電圧の少なくとも一方の大きさを変化させる構成でよい。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態および実施例を説明したが、これらの実施形態または実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態または実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態または実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
2 直流電源、 4 直流負荷、 4a 光源、 6 調光器、 10、10a 電源装置、 11 高電位入力端子、 12 低電位入力端子、 13 高電位出力端子、 14 低電位出力端子、 21 第1スイッチング素子、 22 第2スイッチング素子、 24 インダクタ、 26 平滑コンデンサ、 31 第1駆動回路、 32 第2駆動回路、 41 第1電流検出抵抗、 42 第2電流検出抵抗、 51 第1整流素子、 52 第2整流素子、 61 第1比較器、 62 第2比較器、 64 SRフリップフロップ(制御回路)、 71 第1遅延回路、 72 第2遅延回路、 74 出力制御部
図1
図2
図3
図4
図5