(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041055
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】クーポン配布システム、クーポン配布方法、および、クーポン配布プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220304BHJP
【FI】
G06Q30/02 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146061
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】505048426
【氏名又は名称】株式会社インタースペース
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡部 翔太
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】コンバージョン率のさらなる向上を可能としたクーポン配布システム、クーポン配布方法、および、クーポン配布プログラムを提供する。
【解決手段】広告主サイト31で使用されるクーポンコード22を広告サイト21において配布するクーポン配布システムであって、広告サイト21へ最初にアクセスしたときにコンバージョンに至らないユーザ端末10における広告サイト21へ最初にアクセスしたときから2回目以降にアクセスしたときまでの期間が再アクセス期間であり、ユーザ端末10における再アクセス期間が判定期間を越えているか否かを判定する判定部と、再アクセス期間が判定期間を越えているときに、優待クーポンとしてのクーポンコード22を発行する発行部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告主サイトで使用されるクーポンを広告サイトにおいて配布するクーポン配布システムであって、
前記広告サイトへ最初にアクセスしたときにコンバージョンに至らないユーザ端末における前記広告サイトへ最初にアクセスしたときから2回目以降にアクセスしたときまでの期間が再アクセス期間であり、
前記ユーザ端末における前記再アクセス期間が判定期間を越えているか否かを判定する判定部と、
前記再アクセス期間が前記判定期間を越えているときに、前記クーポンを発行する発行部と、を備える
クーポン配布システム。
【請求項2】
前記判定期間は、過去の集計期間において、前記広告主サイトと同一カテゴリである複数の広告主サイトで前記コンバージョンに至った全ユーザのうち、少なくとも半数よりも多くのユーザが前記コンバージョンに至るまでに要する期間である
請求項1に記載のクーポン配布システム。
【請求項3】
前記クーポンは、前記クーポンが配布された前記広告サイトおよび前記クーポンが使用された前記広告主サイトを特定するための情報を有している
請求項1または2に記載のクーポン配布システム。
【請求項4】
前記クーポンは、優待クーポンであり、
前記発行部は、前記ユーザ端末が前記広告サイトへ最初にアクセスしたとき、および、前記再アクセス期間が前記判定期間を越えていないときに、通常クーポンを発行する
請求項1ないし3のうち何れか一項に記載のクーポン配布システム。
【請求項5】
広告主サイトで使用されるクーポンを広告サイトにおいて配布するクーポン配布方法であって、
判定部が、ユーザ端末における再アクセス期間が判定期間を越えているか否かを判定するステップと、
発行部が、前記再アクセス期間が前記判定期間を越えているときに、前記クーポンを発行するステップと、を備え、
前記再アクセス期間は、前記広告サイトへ最初にアクセスしたときにコンバージョンに至らない前記ユーザ端末における前記広告サイトへ最初にアクセスしたときから2回目以降にアクセスしたときまでの期間である
クーポン配布方法。
【請求項6】
広告主サイトで使用されるクーポンを広告サイトにおいて配布するクーポン配布プログラムであって、
コンピュータを、
前記広告サイトへ最初にアクセスしたときにコンバージョンに至らないユーザ端末における前記広告サイトへ最初にアクセスしたときから2回目以降にアクセスしたときまでの再アクセス期間が、判定期間を越えているか否かを判定する判定部、および、
前記再アクセス期間が前記判定期間を越えているときに、前記クーポンを発行する発行部、として機能させる
クーポン配布プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーポン配布システム、クーポン配布方法、および、クーポン配布プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
広告形態の一つとして、例えば、特許文献1に記載されるようなアフィリエイトシステムが知られている。アフィリエイトシステムでは、広告サイトにアクセスしたユーザに対して、クーポン配布システムを用いてクーポンを配布することで、コンバージョンを促している。ここでのコンバージョンは、広告によって広告主が収益を獲得できる行動であって、一例として、ユーザが広告主の商品を購入する行動である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなアフィリエイトシステムの分野では、クーポン配布システムを用いてコンバージョンを促す場合であっても、コンバージョン率のさらなる向上が求められている。ここでのコンバージョン率は、一例として、広告サイトにアクセスしたユーザのうち、コンバージョンに至るユーザの割合である。
【0005】
本発明の目的は、コンバージョン率のさらなる向上を可能としたクーポン配布システム、クーポン配布方法、および、クーポン配布プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのクーポン配布システムは、広告主サイトで使用されるクーポンを広告サイトにおいて配布するクーポン配布システムであって、前記広告サイトへ最初にアクセスしたときにコンバージョンに至らないユーザ端末における前記広告サイトへ最初にアクセスしたときから2回目以降にアクセスしたときまでの期間が再アクセス期間であり、前記ユーザ端末における前記再アクセス期間が判定期間を越えているか否かを判定する判定部と、前記再アクセス期間が前記判定期間を越えているときに、前記クーポンを発行する発行部と、を備える。
【0007】
上記クーポン配布システムによれば、再アクセス期間が判定期間を越えているユーザに対してクーポンを発行することで、コンバージョンの対象への興味の度合いは高いが、そのままではコンバージョンに至る可能性が低いユーザに対してコンバージョンを促すことができる。そして、クーポンが発行されたユーザがコンバージョンに至ることにより、コンバージョン率を向上させることができる。
【0008】
上記クーポン配布システムにおいて、前記判定期間は、過去の集計期間において、前記広告主サイトと同一カテゴリである複数の広告主サイトで前記コンバージョンに至った全ユーザのうち、少なくとも半数よりも多くのユーザが前記コンバージョンに至るまでに要する期間であることが好ましい。上記クーポン配布システムによれば、判定期間として、広告主サイトと同一カテゴリである複数の広告主サイトでコンバージョンに至った全ユーザのうち、少なくとも半数よりも多くのユーザがコンバージョンに至るまでに要する期間を設定することで、コンバージョンに至る可能性が低いユーザかどうかを好適に判定できる。そして、コンバージョンに至る可能性が低いユーザに対してクーポンを配布することで、コンバージョン率をより向上させることができる。
【0009】
上記クーポン配布システムにおいて、前記クーポンは、前記クーポンが配布された前記広告サイトおよび前記クーポンが使用された前記広告主サイトを特定するための情報を有していることが好ましい。上記クーポン配布システムによれば、広告主サイトで使用されたクーポンに基づいて広告サイトの広告効果を計測できる。
【0010】
上記クーポン配布システムにおいて、前記クーポンは、優待クーポンであり、前記発行部は、前記ユーザ端末が前記広告サイトへ最初にアクセスしたとき、および、前記再アクセス期間が前記判定期間を越えていないときに、通常クーポンを発行することが好ましい。上記クーポン配布システムによれば、再アクセス期間が判定期間を越えているユーザには、優待クーポンが発行される一方で、初回アクセスのユーザおよび再アクセス期間が判定期間を越えていないユーザには、通常クーポンが発行される。これにより、コンバージョンに至る可能性が高いユーザに対しても通常クーポンを配布することで、当該ユーザに対してコンバージョンを促すことができ、コンバージョン率をさらに向上させることができる。
【0011】
上記課題を解決するためのクーポン配布方法は、広告主サイトで使用されるクーポンを広告サイトにおいて配布するクーポン配布方法であって、判定部が、ユーザ端末における再アクセス期間が判定期間を越えているか否かを判定するステップと、発行部が、前記再アクセス期間が前記判定期間を越えているときに、前記クーポンを発行するステップと、を備え、前記再アクセス期間は、前記広告サイトへ最初にアクセスしたときにコンバージョンに至らない前記ユーザ端末における前記広告サイトへ最初にアクセスしたときから2回目以降にアクセスしたときまでの期間である。
【0012】
上記課題を解決するためのクーポン配布プログラムは、広告主サイトで使用されるクーポンを広告サイトにおいて配布するクーポン配布プログラムであって、コンピュータを、前記広告サイトへ最初にアクセスしたときにコンバージョンに至らないユーザ端末における前記広告サイトへ最初にアクセスしたときから2回目以降にアクセスしたときまでの再アクセス期間が、判定期間を越えているか否かを判定する判定部、および、前記再アクセス期間が前記判定期間を越えているときに、前記クーポンを発行する発行部、として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンバージョン率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】クーポン配布システムの構成を示すブロック図。
【
図7】クーポン配布システムの処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明が適用されたクーポン配布システムについて
図1~
図7を参照して説明する。
[全体構成]
図1に示すように、クーポン配布システムは、アフィリエイトシステムに用いるシステムであって、ユーザ端末10と、広告サーバ20と、広告主サーバ30と、管理サーバ40とを備える。これらの装置は、通信回線を介して接続されている。
【0016】
ユーザ端末10は、ユーザが所有するスマートフォン、タブレット、ラップトップパソコン、デスクトップパソコンなどの情報処理装置である。ユーザ端末10は、CPU、ROM、RAM、SSD、HDD、表示パネル、タッチパネル、ネットワークIFなどを備える。ユーザ端末10は、ウェブページを閲覧するためのソフトウェアであるブラウザ11を備える。ブラウザ11は、所定のウェブページにアクセスした際、表示パネルに当該ウェブページを表示する。この際、ユーザ端末10は、ウェブサーバで発行されたクッキー(Cookie)を、ブラウザ11の状態を継続的に管理するための情報を保存するための領域に保存する。そして、ユーザ端末10は、当該ウェブページに2回目以降となるアクセスをした際に、保存されたクッキーをウェブサーバに送信する。
【0017】
広告サーバ20は、通常のサーバコンピュータであって、httpサーバである。すなわち、CPU、ROM、RAM、SSD、HDD、ネットワークIFなどを備える。広告サーバ20には、アフィリエイトパートナによって広告サイト21が開設されている。広告サイト21は、一つまたは複数のウェブページからなるウェブサイトであり、広告主からの依頼に基づいた広告が設けられた広告ページを備える。
【0018】
また、広告サイト21が備える広告ページには、広告とともに広告主の広告主サイト31で使用可能なクーポンコード22が表示される。クーポンコード22は、広告サイト21に表示されることで、広告サイト21にアクセスしたユーザに配布される。クーポンコード22は、広告主によってあらかじめ配布条件やクーポン特典が設定されたクーポンであり、広告サイト21において、複数の文字、数字、記号によって構成される文字列として表示される。
【0019】
クーポンコード22は、通常クーポンおよび優待クーポンの2種類が設定されており、ユーザが広告サイト21にアクセスした際の状態に応じて、通常クーポンおよび優待クーポンの何れかのクーポンと対応する文字列がクーポンコード22として広告サイト21に表示される。優待クーポンは、例えば、通常クーポンよりも高い割引率が設定されているなど、通常クーポンよりも高いユーザ満足度が得られるクーポン特典が設定されたクーポンである。また、広告サイト21には、広告主サイト31にアクセスするためのハイパーリンクが設けられており、広告を閲覧したユーザが広告主サイト31にアクセスできるようになっている。
【0020】
広告主サーバ30も、通常のサーバコンピュータであって、httpサーバである。広告主サーバ30には、広告主によって広告主サイト31が開設されている。広告主サイト31は、一つまたは複数のウェブページからなるウェブサイトであり、ユーザがコンバージョン(CV)をするためのCVページや、コンバージョンの対象となる商品やサービスの紹介ページなどが設けられている。ここでのコンバージョンとは、広告配信によって広告主が収益を獲得できる行動である。
【0021】
広告主サイト31のカテゴリは、EC(Electronic Commerce)、サービス、金融、および、エンターテインメントなどに大別される。「EC」カテゴリの例としては、衣服や食品など、ウェブ上で購入可能な商品全般がコンバージョンの対象であり、この場合のコンバージョンとは、商品を購入することである。「サービス」カテゴリの例としては、旅行会社や学習塾などが提供するサービスがコンバージョンの対象であり、この場合のコンバージョンとは、サービスに申し込むことである。「金融」カテゴリの例としては、投資用の口座などがコンバージョンの対象であり、この場合のコンバージョンとは、例えば、口座を開設することである。「エンターテインメント」カテゴリの例としては、スマートフォン用のアプリケーションなどがコンバージョンの対象であり、この場合のコンバージョンとは、例えば、アプリケーションをダウンロードすることである。
【0022】
また、ユーザは、広告主サイト31でのコンバージョンの際に、広告サイト21に表示されたクーポンコード22を入力することで、料金の割引などのクーポンコード22に設定された特典を受けることができる。また、広告主サイト31においてクーポンコード22が使用されたとき、広告主サーバ30は、使用されたクーポンコード22の文字列を管理サーバ40に通知する。管理サーバ40は、通知されたクーポンコード22の文字列に基づいて、広告サイト21に設けられた広告の広告効果を計測する。
【0023】
管理サーバ40は、クーポン配布システムにおける広告やクーポン、広告効果などを管理するサーバコンピュータであって、CPU、ROM、RAM、SSD、HDD、ネットワークIFなどを備える。
図2に示すように、管理サーバ40は、データベースとしての、検討期間管理部41と、判定期間管理部42と、アクセス管理部43と、クーポン管理部44とを備える。管理サーバ40は、さらに、ユーザID発行部45と、算出部46と、判定部47と、クーポン発行部48と、計測部49とを備える。
【0024】
検討期間管理部41は、過去のコンバージョン実績を管理するデータベースであって、ユーザ端末10が広告サイト21に初回アクセスをした日時である初回アクセス日時から起算して、広告主サイト31においてコンバージョンに至るまでに要した期間である検討期間を管理する。例えば、ユーザが広告サイト21に初めてアクセスした際に、商品やサービスの検討に時間を要し、広告主サイト31でのコンバージョンに至らず、検討完了後に再度広告サイト21から広告主サイト31にアクセスしコンバージョンに至る場合がある。このような場合、検討期間は、広告サイト21への初回アクセス日時から起算して、再度広告サイト21から広告主サイト31にアクセスし、最終的にコンバージョンに至るまでの期間となる。
【0025】
判定期間管理部42は、広告主サイト31ごとに設定される判定期間を管理するデータベースである。判定期間は、過去のコンバージョン実績を基に算出される期間であり、広告サイト21への初回アクセス時にコンバージョンに至らず、再度広告サイト21にアクセスしたユーザに対して、コンバージョンに至る可能性を判定するための基準となる期間である。例えば、ユーザ端末10が広告サイト21への初回アクセス時にコンバージョンに至らず、初回アクセス日時から起算して判定期間を過ぎているときに2回目以降となるアクセスをした場合、ユーザ端末10のユーザはコンバージョンに至る可能性が低いと判定される。反対に、ユーザ端末10が広告サイト21への初回アクセス時にコンバージョンに至らず、2回目以降となるアクセスをした場合であっても、2回目以降のアクセスが判定期間を過ぎていないときには、ユーザ端末10のユーザはコンバージョンに至る可能性が高いと判定される。
【0026】
アクセス管理部43は、ユーザ端末10が広告サイト21に初回アクセスをした日時である初回アクセス日時、ユーザが広告サイト21への初回アクセス時にコンバージョンに至らず、再度アクセスした日時である再アクセス日時、および、初回アクセス日時から再アクセス日時までの期間である再アクセス期間を管理するデータベースである。アクセス管理部43では、一度コンバージョンに至ったユーザに関する情報が削除される。したがって、一度コンバージョンに至ったユーザが再度広告サイト21にアクセスした場合には初回アクセスとみなされる。クーポン管理部44は、広告サイト21に表示されるクーポンコード22に設定された配布条件やクーポン特典などを管理するデータベースである。
【0027】
ユーザID発行部45は、ユーザ端末10が広告サイト21に初めてアクセスした際に、ユーザ端末10のブラウザ11に対して、ブラウザ11ごとに固有となるユーザ識別子としてのユーザIDをクッキーとして発行する。このとき、ユーザ端末10は、発行されたユーザIDを保存する。
【0028】
算出部46は、検討期間管理部41が管理する過去のコンバージョン実績に基づいて、広告主サイト31に対して設定される判定期間を算出し、算出した判定期間を判定期間管理部42に登録する。
【0029】
判定部47は、ユーザ端末10から広告サイト21に2回目以降のアクセスがあったとき、ユーザ端末10の再アクセス期間および判定期間を比較して、広告サイト21に2回目以降のアクセスをしたユーザがコンバージョンに至る可能性が低いかどうかを判定し、判定結果をクーポン発行部48に通知する。
【0030】
クーポン発行部48は、判定部47の判定結果に基づき、クーポン管理部44に登録された通常クーポンおよび優待クーポンの何れかと対応するクーポンコード22を発行し、発行したクーポンコード22を広告サイト21に表示させる。
【0031】
計測部49は、広告主サイト31で使用されたクーポンコード22の文字列に基づき、広告サイト21の広告効果を計測する。具体的に、クーポンコード22は、自身を構成する文字列によって、クーポンコード22が表示された広告サイト21と、クーポンコード22が使用された広告主サイト31とを一意に特定できるようになっている。計測部49は、広告主サーバ30から通知される広告主サイト31で使用されたクーポンコード22の文字列に基づき、クーポンコード22が表示された広告サイト21およびクーポンコード22が表示された広告主サイト31を特定し、広告サイト21の広告効果として計測する。
【0032】
図3に示すように、検討期間管理部41は、過去のコンバージョン実績として、ユーザ端末10がアクセスした広告サイト21および広告主サイト31と、当該広告主サイト31のカテゴリとを、ユーザ端末10のユーザIDとともに管理している。さらに、検討期間管理部41は、過去のコンバージョン実績として、初回アクセス日時と、広告主サイト31においてコンバージョンに至った日時であるCV日時と、初回アクセス日時およびCV日時から算出される検討期間とを管理している。検討期間管理部41が管理する検討期間は、算出部46による判定期間の算出に使用される。
【0033】
図4に示すように、判定期間管理部42は、広告主サイト31ごとに設定される判定期間と、当該広告主サイト31のカテゴリと、判定期間を算出する際におけるデータの抽出範囲である集計期間とを管理している。例えば、集計期間が5年として設定されている場合、算出部46は、検討期間管理部41における過去5年のコンバージョン実績に基づいて判定期間を算出する。さらに、判定期間管理部42は、判定期間を算出するために広告主サイト31ごとに設定される閾値を備える。
【0034】
ここで、判定期間の算出方法について説明する。判定期間は、算出部46によって、検討期間管理部41が管理する過去のコンバージョン実績に基づいて算出される。具体的に、算出部46は、検討期間管理部41が管理する検討期間のうち、初回アクセス日時が集計期間内であり、かつ、判定期間を算出する広告主サイト31と同一カテゴリである複数の広告主サイト31における検討期間を抽出する。そして、算出部46は、集計期間内での特定のカテゴリにおける検討期間をもとに、予め設定された閾値以上のユーザが初回アクセスからコンバージョンに至るまでに要する期間を算出し、当該期間を判定期間として判定期間管理部42に設定する。一例として、
図4では、「EC」カテゴリに属する広告主サイト31であるサイトaについて、集計期間が5年、判定期間の算出における閾値が90%の条件で、判定期間が20日として算出されている。この場合では、過去5年間において、「EC」カテゴリの広告主サイト31でコンバージョンに至った全ユーザのうち90%のユーザが、初回アクセス日時から起算して20日以内にコンバージョンに至っているということになる。
【0035】
判定期間の算出における閾値は、広告主サイト31と同一カテゴリである複数の広告主サイト31でコンバージョンに至った全ユーザのうち、少なくとも半数よりも多くのユーザがコンバージョンに至る値、すなわち、50%よりも大きな値である。判定期間の算出における閾値をこのような値とすることで、過去のコンバージョン実績において、判定期間の経過前にコンバージョンに至るユーザよりも、判定期間の経過後にコンバージョンに至るユーザの方が少数となる。したがって、広告サイト21への初回アクセス時にコンバージョンに至らなかったユーザが再度広告サイト21にアクセスをした際に再アクセス期間が判定期間を越えているとき、当該ユーザがコンバージョンに至る可能性が低いと判定できる。このようなユーザは、広告サイト21に複数回アクセスしているユーザであるから、コンバージョンの対象への興味の度合いは高いが、価格などの条件面が合わないことで、コンバージョンを躊躇しているユーザであると考えられる。反対に、広告サイト21へのアクセスが初回のユーザ、および、広告サイト21へのアクセスが2回目以降であって、再アクセス期間が判定期間を越えていないユーザは、コンバージョンに至る可能性が高いと判定でき、仮にコンバージョンに至らなかったとしても、再度広告サイト21にアクセスし、コンバージョンに至ることが期待できる。
【0036】
判定期間の算出における閾値は、70%以上が好ましく、より好ましくは、80%以上、さらに好ましくは、90%以上である。判定期間の算出における閾値をこのような値とすることで、広告サイト21への初回アクセス時にはコンバージョンに至らず、再度広告サイト21にアクセスしたユーザが、コンバージョンに至る可能性が低いかどうかを好適に判定できる。なお、判定期間の算出における閾値は、広告主サイト31のカテゴリや商品ごとに異なる値を用いてもよく、広告主サイト31ごとに異なる値を用いてもよい。
【0037】
判定期間は、広告主サイト31のカテゴリに依存する。例えば、一般的に、広告主サイト31のカテゴリが「エンターテインメント」の場合は、検討期間が短く、広告主サイト31のカテゴリが「金融」の場合は、検討期間が長い。そのため、判定期間の算出において、同じ値の閾値を用いた場合、「エンターテインメント」のカテゴリに属する広告主サイト31よりも、「金融」のカテゴリに属する広告主サイト31の方が、判定期間が長くなる。したがって、広告主サイト31のカテゴリごとに判定期間を算出することで、広告サイト21に2回目以降となるアクセスをしたユーザが、コンバージョンに至る可能性が低いかどうかを好適に判定できる。
【0038】
また、広告主サイト31と同一カテゴリである複数の広告主サイト31における検討期間に基づいて判定期間を算出することで、1つの広告主サイト31における検討期間に基づいて判定期間を算出する場合よりも、広告サイト21に2回目以降となるアクセスをしたユーザが、コンバージョンに至る可能性が低いかどうかを好適に判定できる。
【0039】
図5に示すように、アクセス管理部43は、広告サイト21にアクセスしたユーザのユーザIDと、ユーザ端末10がアクセスした広告サイト21と、広告サイト21への初回アクセス日時と、広告サイト21に表示される広告と対応する広告主サイト31およびそのカテゴリとを管理している。さらに、アクセス管理部43は、広告サイト21への再アクセス日時と、初回アクセス日時から再アクセス日時までの期間である再アクセス期間とを管理している。再アクセス日時および再アクセス期間は、ユーザ端末10がコンバージョンに至るまでの間、広告サイト21にアクセスするたび更新される。
【0040】
図6に示すように、クーポン管理部44は、クーポンコード22を構成する文字列と、クーポンコード22が表示される広告サイト21と、クーポンコード22が使用可能な広告主サイト31と、通常クーポンまたは優待クーポンのうちの何れであるかのクーポンの種類と、クーポン特典と、クーポンの配布条件とを管理している。
【0041】
クーポン管理部44は、クーポンコード22を構成する文字列ごとに、クーポンコード22が表示される広告サイト21と、クーポンコード22が使用可能な広告主サイト31とを関連付けて管理している。例えば、同じ広告主サイト31で使用でき、かつ、同じクーポン特典が設定されたクーポンであっても、クーポンコード22が表示される広告サイト21が異なる場合、クーポンコード22は、異なる文字列で構成される。これにより、クーポンコード22の文字列によって、クーポンコード22が表示された広告サイト21と、クーポンコード22が使用された広告主サイト31とを一意に特定できる。すなわち、クーポンコード22は、クーポンコード22が表示された広告サイト21およびクーポンコード22が使用された広告主サイト31を特定するための情報を有している。
【0042】
また、クーポンコード22には、クーポンの種類ごとに配布条件が設定されている。具体的に、ユーザ端末10の広告サイト21へのアクセスが初回の場合、および、ユーザ端末10の広告サイト21へのアクセスが2回目以降であって、再アクセス期間が判定期間を越えていない場合、広告サイト21には通常クーポンとしてのクーポンコード22が表示される。また、ユーザ端末10の広告サイト21へのアクセスが2回目以降であって、再アクセス期間が判定期間を越えている場合、広告サイト21には優待クーポンとしてのクーポンコード22が表示される。
【0043】
このように、ユーザが広告サイト21にアクセスした際の状態に応じて、通常クーポンおよび優待クーポンの何れかがクーポンコード22として表示される。したがって、判定部47によって、コンバージョンに至る可能性が低いと判定されたユーザに対して、通常クーポンよりも高いユーザ満足度が得られるクーポン特典が設定された優待クーポンを配布される。これにより、コンバージョンの対象への興味の度合いは高いが、そのままではコンバージョンに至る可能性が低いユーザに優待クーポンが配布されるため、当該ユーザがコンバージョンに至ることでコンバージョン率が向上する。また、コンバージョンに至る可能性が高いと判定されたユーザに対して通常クーポンを配布することで、当該ユーザに対してコンバージョンを促すことができ、コンバージョン率をさらに高めることができる。
【0044】
次に、
図7を参照して、クーポン配布システムの作用について説明する。
ステップS1において、ユーザ端末10は、広告サイト21にアクセスする。ステップS2において、広告サーバ20は、ユーザ端末10から広告サイト21にアクセスがあったことを管理サーバ40に通知する。これにより、自動的にユーザ端末10が管理サーバ40にアクセスした状態となり、ユーザ端末10と管理サーバ40とのクッキーの送受信が可能となる。このとき、ユーザ端末10は、広告サイト21へのアクセスが2回目以降の場合、初回アクセス時に付与されたユーザIDを含むクッキーを管理サーバ40に送信する。
【0045】
ステップS3において、管理サーバ40は、ユーザ端末10の広告サイト21へのアクセスが初回であるか、2回目以降となるアクセスであるかを判定する。具体的に、管理サーバ40は、ユーザ端末10から管理サーバ40にユーザIDを含むクッキーが送信されない場合、ユーザ端末10の広告サイト21へのアクセスが初回であると判定する。この場合、ステップS4に進む。また、管理サーバ40は、ユーザ端末10から管理サーバ40にユーザIDを含むクッキーが送信された場合、ユーザ端末10の広告サイト21へのアクセスが2回目以降であると判定する。この場合、ステップS7に進む。
【0046】
ステップS3でユーザ端末10の広告サイト21へのアクセスが初回であると判定された場合、ステップS4において、管理サーバ40のユーザID発行部45は、ブラウザ11に固有となるユーザIDを発行し、クッキーとしてユーザ端末10に付与する。ステップS5において、ユーザ端末10は、ユーザID発行部45が発行したユーザIDを含むクッキーを保存する。また、ステップS6において、管理サーバ40は、発行されたユーザIDと、広告サイト21への初回アクセス日時と、広告サイト21に表示される広告と対応する広告主サイト31およびそのカテゴリとをアクセス管理部43に保存する。ステップS6の完了後、ステップS9に進む。
【0047】
ステップS3でユーザ端末10の広告サイト21へのアクセスが2回目以降であると判定された場合、ステップS7において、管理サーバ40は、アクセス管理部43の再アクセス日時および再アクセス期間を更新する。ステップS8において、管理サーバ40の判定部47は、再アクセス期間が判定期間を越えているかどうかを判定する。再アクセス期間が判定期間を越えていない場合、ステップS9に進み、再アクセス期間が判定期間を越えている場合、ステップS10に進む。
【0048】
ステップS9において、管理サーバ40のクーポン発行部48は、クーポン管理部44に登録された通常クーポンとしてのクーポンコード22を広告サイト21に表示する処理を広告サーバ20に実行させる。広告サーバ20は、ユーザ端末10のブラウザ11に、通常クーポンとしてのクーポンコード22とともに広告サイト21を表示する処理を実行する。これにより、広告サイト21へのアクセスが初回のユーザ、および、広告サイト21へのアクセスが2回目以降であって、再アクセス期間が判定期間を越えていないユーザに、通常クーポンとしてのクーポンコード22が配布される。ステップS9の完了後、ステップS11に進む。
【0049】
ステップS10において、管理サーバ40のクーポン発行部48は、クーポン管理部44に登録された優待クーポンとしてのクーポンコード22を広告サイト21に表示する処理を広告サーバ20に実行させる。広告サーバ20は、ユーザ端末10のブラウザ11に、優待クーポンとしてのクーポンコード22とともに広告サイト21を表示する処理を実行する。これにより、広告サイト21へのアクセスが2回目以降であって、再アクセス期間が判定期間を越えているユーザに、優待クーポンとしてのクーポンコード22が配布される。ステップS9の完了後、ステップS11に進む。
【0050】
ステップS11において、ユーザ端末10は、広告サイト21に設けられた広告主サイト31へのハイパーリンクをクリックし、広告主サイト31にアクセスする。このとき、広告主サイト31は、管理サーバ40にリダイレクトされずに表示される。なお、ユーザ端末10は、広告サイト21に設けられた広告主サイト31へのハイパーリンクによってアクセスしなくてもよく、例えば、検索エンジンが設けられた他のウェブページから広告主サイト31にアクセスしてもよい。ステップS12において、広告主サーバ30は、ユーザ端末10のブラウザ11に広告主サイト31を表示する処理を実行する。
【0051】
ステップS13において、ユーザ端末10は、広告サイト21でクーポンコード22として表示された文字列を広告主サイト31で入力する。これにより、広告主サーバ30は、クーポンコード22が使用されたことを認識する。ステップS14において、ユーザ端末10は、広告主サイト31で商品の購入などのコンバージョンを行う。広告主サーバ30は、クーポンコード22が入力された後にコンバージョンが実行されたとき、ユーザに対してクーポンコード22に設定された割引等の特典を適用する。ステップS15において、広告主サーバ30は、コンバージョンに伴う決済処理を行う。なお、この決済処理は、コンバージョンにおいて金銭の授受が発生しない場合、省略される。
【0052】
ステップS16において、広告主サーバ30は、クーポンコード22が使用されたことを、クーポンコード22を使用したユーザ端末10のユーザID、および、使用されたクーポンコード22の文字列とともに、管理サーバ40に通知する。ステップS17において、管理サーバ40の計測部49は、広告主サイト31で使用されたクーポンコード22の文字列に基づいて、広告サイト21の広告効果として計測する。
【0053】
ステップS18において、管理サーバ40は、クーポンコード22を使用したユーザ端末10のユーザIDに基づき、アクセス管理部43に登録された当該ユーザIDに関する情報を削除する。これにより、アクセス管理部43において、一度コンバージョンに至ったユーザに関する情報がリセットされる。したがって、一度コンバージョンに至ったユーザが再度広告サイト21にアクセスした場合には初回アクセスとみなされ、当該アクセスをした日時が初回アクセス日時としてアクセス管理部43に保存される。
【0054】
以上のように構成されたクーポン配布システムは、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)広告サイト21への初回アクセス時にはコンバージョンに至らず、広告サイト21に2回目以降となるアクセスをしたユーザのうち、再アクセス期間が判定期間を越えているユーザに対して優待クーポンを配布している。これにより、コンバージョンの対象への興味の度合いが高いが、そのままではコンバージョンに至る可能性が低いユーザに対してコンバージョンを促すことができる。したがって、コンバージョン率を向上させることができる。
【0055】
(2)判定期間は、過去の集計期間において、広告主サイト31と同一カテゴリである複数の広告主サイト31でコンバージョンに至った全ユーザのうち、少なくとも半数よりも多くのユーザが初回アクセスからコンバージョンに至るまでに要する期間が設定されている。これにより、過去のコンバージョン実績において、判定期間の経過前にコンバージョンに至るユーザよりも、判定期間の経過後にコンバージョンに至るユーザの方が少数となる。したがって、広告サイト21へのアクセスが2回目以降となるユーザが、判定期間が経過した後に再度アクセスした場合は、判定期間が経過する前に再度アクセスした場合よりもコンバージョンに至る可能性が低いと判定できる。
【0056】
(3)判定期間は、広告主サイト31と同一カテゴリである複数の広告主サイト31における過去のコンバージョン実績としての検討期間に基づいて算出されている。これにより、1つの広告主サイト31における過去のコンバージョン実績としての検討期間に基づいて判定期間を算出する場合よりも、コンバージョンに至る可能性が高いユーザと、コンバージョンに至る可能性が低いユーザとを高い精度で判定できる。
【0057】
(4)クーポンコード22を構成する文字列によって、クーポンコード22が表示された広告サイト21と、クーポンコード22が使用された広告主サイト31とを一意に特定できることによって、計測部49が広告主サイト31で使用されたクーポンコード22の文字列に基づいて、広告サイト21の広告効果を計測できる。また、計測部49が広告主サイト31で使用されたクーポンコード22の文字列に基づいて、広告サイト21の広告効果を計測することで、従来のアフィリエイトシステムにおいて行われていた、広告効果を確認するために広告主サーバ30から管理サーバ40にリダイレクトする処理を省略することが可能となる。
【0058】
(5)広告サイト21へのアクセスが初回のユーザ、および、広告サイト21へのアクセスが2回目以降であって、再アクセス期間が判定期間を越えていないユーザに対しても通常クーポンを配布することで、当該ユーザに対してコンバージョンを促すことができる。これにより、コンバージョン率をさらに向上させることができる。
【0059】
なお、上記実施形態は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・クーポンコード22として通常クーポンおよび優待クーポンの2種類がされている構成を例示したが、これに限定されず、例えば、クーポンの種類が3種類以上であってもよい。具体的に、通常クーポンに代えて、広告サイト21へのアクセスが初回の場合に発行される初回アクセスクーポンと、広告サイト21へのアクセスが2回目以降であり、かつ、再アクセス期間が判定期間を越えていない場合に発行する再アクセスクーポンとを用いてもよい。この場合、初回アクセスクーポン、再アクセスクーポン、および、優待クーポンには、それぞれ異なるクーポン特典が設定される。このような構成によれば、広告サイト21にアクセスしたユーザに対して、より好適にコンバージョンを促すことができる。また、例えば、通常クーポンが設定されず、優待クーポンのみが設定される構成であってもよい。
【0060】
・計測部49が広告主サイト31で使用されたクーポンコード22の文字列に基づいて、広告サイト21の広告効果を計測する構成を例示したが、これに限定されず、例えば、広告効果を確認するために広告主サーバ30から管理サーバ40にリダイレクトする構成であってもよい。
【0061】
・判定期間の算出において、同一カテゴリである複数の広告主サイト31における検討期間に基づいて当該判定期間を算出する構成を例示した。しかし、これに限定されず、例えば、1つの広告主サイト31において、十分な量となる過去のコンバージョン実績を確保できるのであれば、当該1つの広告主サイト31における検討期間に基づいて判定期間を算出する構成でもよい。この場合であっても、コンバージョンに至る可能性が低いユーザかどうかを好適に判定できる。
【0062】
・判定期間の算出において、集計期間が5年である構成を例示したが、判定期間を算出するために十分な量の過去のコンバージョン実績を確保できるのであれば、その期間は限定されず、5年よりも短い期間であってもよいし、5年よりも長い期間であってもよい。
【0063】
・広告主サイト31をEC、サービス、金融、および、エンターテインメントのカテゴリに分類して管理する構成を例示したが、これに限定されず、例えば、各カテゴリをさらに細分化して管理してもよい。
【符号の説明】
【0064】
10…ユーザ端末
11…ブラウザ
20…広告サーバ
21…広告サイト
22…クーポンコード
30…広告主サーバ
31…広告主サイト
40…管理サーバ
41…検討期間管理部
42…判定期間管理部
43…アクセス管理部
44…クーポン管理部
45…ユーザID発行部
46…算出部
47…判定部
48…クーポン発行部
49…計測部