(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041072
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】改善されたメタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤
(51)【国際特許分類】
C07C 235/34 20060101AFI20220304BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20220304BHJP
C07D 295/185 20060101ALI20220304BHJP
A61K 31/5375 20060101ALI20220304BHJP
A61K 31/4453 20060101ALI20220304BHJP
C07D 223/10 20060101ALI20220304BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20220304BHJP
A61K 31/45 20060101ALI20220304BHJP
C07D 211/86 20060101ALI20220304BHJP
C07D 225/02 20060101ALI20220304BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220304BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220304BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
C07C235/34
A61K31/192
C07D295/185 CSP
A61K31/5375
A61K31/4453
C07D223/10
A61K31/55
A61K31/45
C07D211/86
C07D225/02
A61P31/04
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146092
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】598041566
【氏名又は名称】学校法人北里研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大村 智
(72)【発明者】
【氏名】砂塚 敏明
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 友靖
(72)【発明者】
【氏名】池田 朱里
(72)【発明者】
【氏名】浅見 行弘
(72)【発明者】
【氏名】花木 秀明
(72)【発明者】
【氏名】松井 秀仁
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB35
4C084ZC20
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC08
4C086BC21
4C086BC31
4C086BC33
4C086BC72
4C086BC73
4C086BC75
4C086BC76
4C086MA01
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4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB35
4C086ZC20
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206GA14
4C206GA22
4C206GA23
4C206MA01
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4C206MA04
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZB35
4C206ZC20
4C206ZC75
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006BN30
4H006BS10
4H006BV34
(57)【要約】 (修正有)
【課題】IMP型のメタロ-β-ラクタマーゼに有効な阻害剤の提供。
【解決手段】下式で表される化合物。
[R
1及びR
4は、置換されていてもよい、C1~10アルキル基、C2~10アルケニル基、C2~10アルキニル基、又はフェニル基;R
2及びR
3は、H、又は、置換されていてもよい、C1~6アルキル基等を示す]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩:
【化1】
[式中、R
1及びR
4は、
C1~10アルキル基、C2~10アルケニル基、又はC2~10アルキニル基(いずれも、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基、C4~10シクロアルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C1~6アルコキシカルボニルアミノ基、C1~6アルカノイルオキシ基、C1~6アルキルスルホニルオキシ基、及びフェニル基(該フェニル基は、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、ハロスルホニルオキシ基、及びC1~6アルキルスルホニルオキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であるか、
あるいは、
フェニル基(水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、ハロスルホニルオキシ基、及びC1~6アルキルスルホニルオキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)を示し;
R
2及びR
3は、同一又は異なって、
水素原子、又は、
C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、もしくはC2~6アルキニル基(いずれも、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C1~6アルキルアミノ基、C1~6アルコキシ基、及びオキソ基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)を示すか、あるいは、
R
2とR
3とが結合して、R
2及びR
3が結合する窒素原子と共に非芳香族ヘテロ環を形成してもよく;あるいは
R
2又はR
3のいずれか一方とR
4とが結合して、置換されていてもよい非芳香族ヘテロ環(水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、オキソ基、C1~6アルキル基、及びC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)を形成していてもよい]。
【請求項2】
R1及びR4のいずれか一方が、C1~4アルキル基又はC2~4アルケニル基(いずれも、シクロアルキル基、C1~4アルコキシ基、C1~6アルコキシ基カルボニル基、及びフェニル基(該フェニル基は、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びハロスルホニルオキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)、あるいは、フェニル基(水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びハロスルホニルオキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であり;
残りの一方が、C1~10アルキル基又はC2~10アルケニル基(いずれも、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C1~6アルコキシカルボニルアミノ基、C1~6アルカノイルオキシ基、C1~6アルキルスルホニルオキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)である、請求項1に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項3】
R1及びR4のいずれか一方が、シクロアルキル基又はフェニル基(該フェニル基は、水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)で置換された、C1~4直鎖/分岐アルキル基又はC2~4直鎖/分岐アルケニル基であるか、あるいは、フェニル基(水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であり;
残りの一方が、C1~10直鎖/分岐アルキル基又はC2~10直鎖/分岐アルケニル基(いずれも、アミノ基及びC1~6アルコキシカルボニルアミノ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)である、請求項1に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項4】
R1及びR4のいずれか一方が、フェニル基(水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であり;
残りの一方が、C1~10直鎖/分岐アルキル基又はC2~10直鎖/分岐アルケニル基(いずれも、アミノ基及びC1~6アルコキシカルボニルアミノ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)である、請求項1に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項5】
R1及びR4のいずれか一方が、フェニル基(水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
残りの一方が、C1~10直鎖/分岐アルキル基又はC2~10直鎖/分岐アルケニル基(いずれも、アミノ基及びC1~6アルコキシカルボニルアミノ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)である、請求項1に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項6】
R1及びR4のいずれか一方が、フェニル基(水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基からなる群から選択される2個以上の置換基で置換されている)であり;
残りの一方が、C1~10直鎖/分岐アルキル基又はC2~10直鎖/分岐アルケニル基(いずれも、アミノ基及びC1~6アルコキシカルボニルアミノ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)である、請求項1に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項7】
R2又はR3のいずれか一方とR4とが結合して非芳香族ヘテロ環を形成しており、かつR1が環状構造を含む、請求項1に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項8】
R1が、フェニル基(水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)である、請求項1に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項9】
R1が、1個以上の置換基で置換されたフェニル基(該置換基は、水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基からなる群から選択される)である、請求項1に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項10】
R1が、2個以上の置換基で置換されたフェニル基(該置換基は、水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基からなる群から選択される)である、請求項1に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項11】
R4が、各々置換されていてもよい、C1~10アルキル基又はC2~10アルケニル基であり、該置換基は、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C1~6アルコキシカルボニルアミノ基、C1~6アルカノイルオキシ基、C1~6アルキルスルホニルオキシ基からなる群から選択され、好ましくは、該置換基は、アミノ基及びC1~6アルコキシカルボニルアミノ基からなる群から選択される、請求項8~請求項10のいずれか1項の記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項12】
R4が、R2又はR3のいずれか一方と結合して非芳香族ヘテロ環(水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、オキソ基、C1~6アルキル基、及びC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)を形成する、請求項8~請求項10のいずれか1項の記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項13】
以下の式(mは、1~10の整数であり、qは1~3の整数であり、rは1~3の整数である)で表される、請求項1に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【化2】
【請求項14】
R2及びR3の少なくとも一方又は両方が、C1~6アルキル基(水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C1~6アルキルアミノ基、C1~6アルコキシ基、及びオキソ基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であるか、あるいは、R2とR3とが結合して、R2及びR3が結合する窒素原子と共に非芳香族ヘテロ環を形成する、請求項1に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項15】
R2及びR3が、C1~6アルキル基(いずれも、アミノ基及びC1~6アルキルアミノ基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であるか、あるいは、R2とR3とが結合して、R2及びR3が結合する窒素原子と共に、酸素原子を含んでいてもよい4~8員非芳香族ヘテロ環を形成する、請求項1に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項16】
R2又はR3のいずれか一方とR4とが結合して非芳香族ヘテロ環を形成し、残りの一方が水素原子またはC1~6アルキル基である、請求項1に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項17】
下記式(II)又は(III)で表される化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩:
【化3】
[式中、n=0~5であり、
環Aは、5~7員のシクロアルキル基、シクロアルケニル基、若しくはシクロアルキニル基、又はフェニル基であり、
Lは、C1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、又はC2~6アルキニレンであるか、あるいは、Lと結合する原子同士の単結合を示し、
R
4は、C1~10アルキル基、C2~10アルケニル基、又はC2~10アルキニル基(いずれも、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基、C4~10シクロアルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C1~6アルコキシカルボニルアミノ基、C1~6アルカノイルオキシ基、C1~6アルキルスルホニルオキシ基、及びフェニル基(該フェニル基は、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、ハロスルホニルオキシ基、及びC1~6アルキルスルホニルオキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であり;
2つのR
5の少なくとも一方は水酸基であり、かつ、残りの一方は、水酸基又は-NR
2R
3基を表し、
ここで、 R
2及びR
3は、同一又は異なって、
水素原子、又は、C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、もしくはC2~6アルキニル基(いずれも、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C1~6アルキルアミノ基、C1~6アルコキシ基、及びオキソ基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)を示すか、あるいは、
R
2とR
3とが結合して、R
2及びR
3が結合する窒素原子と共に非芳香族ヘテロ環(該ヘテロ環は、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、オキソ基、C1~6アルキル基、及びC1~6アルコキシ基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)を形成してもよく;あるいは
R
2又はR
3のいずれか一方とR
4とが結合して、非芳香族ヘテロ環(水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、オキソ基、C1~6アルキル基、及びC1~6アルコキシ基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)を形成していてもよく、
各R
6は、同一又は異なって、水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、ハロスルホニルオキシ基、及びC1~6アルキルスルホニルオキシ基から選択される基である]。
【請求項18】
環Aが、5~7員のシクロアルキル基又はフェニル基である、請求項2に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項19】
環Aが、フェニル基である、請求項2に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項20】
Lが、C1~4アルキレンであるか、Lと結合する原子同士の単結合である、請求項17~請求項19のいずれか1項に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項21】
Lが、結合する原子同士の単結合である、請求項17~請求項19のいずれか1項に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項22】
R4が、各々置換されていてもよい、C1~10アルキル基又はC2~10アルケニル基であり、ここで、該置換基は、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C1~6アルコキシカルボニルアミノ基、C1~6アルカノイルオキシ基、C1~6アルキルスルホニルオキシ基からなる群から選択される、請求項17~請求項21のいずれか1項に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項23】
化合物IIにおいて、R5の一方が-NR2R3基を表し、R4は、R2又はR3のいずれか一方と結合して非芳香族ヘテロ環(水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、オキソ基、C1~6アルキル基、及びC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)を形成する、請求項17に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【請求項24】
以下の式(mは、1~10の整数であり、qは1~3の整数であり、rは1~3の整数)で表される、請求項17に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩。
【化4】
【請求項25】
請求項1~請求項24のいずれか1項に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、医薬組成物。
【請求項26】
請求項1~請求項24のいずれか1項に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、メタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤。
【請求項27】
メタロ-β-ラクタマーゼがIMPである、請求項25に記載のメタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤。
【請求項28】
β-ラクタム系抗生物質と共に用いられるための、請求項25又は請求項26に記載のメタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤。
【請求項29】
β-ラクタム系抗生物質及び請求項1~請求項24のいずれか1項に記載の化合物を含有する、感染症治療薬又は予防薬。
【請求項30】
請求項1~請求項24のいずれか1項に記載の化合物、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩を含有する、微生物のメタロ-β-ラクタマーゼ耐性測定用試薬。
【請求項31】
被検微生物のメタロ-β-ラクタマーゼへの耐性を判定する方法であって、
該被検微生物に、請求項1~請求項24のいずれか1項に記載の化合物の存在下又は非存在下でβ-ラクタム系抗生物質を接触させること、
該被検微生物の増殖を測定すること、及び
請求項1~請求項24のいずれか1項に記載の化合物の存在下での該被検微生物の増殖が、本発明の化合物の非存在下での該被検微生物の増殖よりも少ない場合、当該被検微生物をMBL(特には、IMP型)に耐性であると判定することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はIMP型メタロ-β-ラクタマーゼ阻害剤、該阻害剤を含む薬剤耐性の阻害剤、及び該阻害剤とβ-ラクタム系抗生物質を併用することによる感染症治療及び予防に関する。
【背景技術】
【0002】
β-ラクタマーゼはβ-ラクタム系抗生物質のラクタム環を構成するアミド結合を加水分解し、抗菌活性を失わせる酵素であり、細菌のβ-ラクタム系抗生物質耐性の主要因である。Penicillin G臨床応用からわずか数年で発見され、現在までに1,000種類以上が報告されている。β-ラクタマーゼはAmblerによりクラスA、B、C、Dに分類される。これらのβ-ラクタマーゼは基質特異性が異なり、クラスAは主にペニシリン系抗菌薬を分解し、クラスB、C、Dはそれぞれカルバペネムを含むβ-ラクタム薬、セファロスポリン系抗菌薬、オキサシリンを含むペニシリン系抗菌薬を分解する。また、クラスA、C、Dのβ-ラクタマーゼは活性中心にセリン残基を含むためセリン-β-ラクタマーゼ(SBL)と呼ばれる。一方、クラスBに分類されるβ-ラクタマーゼは活性中心に金属原子を含むためメタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)と呼ばれる。日本国内ではカルバペネム系抗菌薬の乱用によるものか、特にMBLが臨床上問題となっている。日本国内においては、1991年にカルバペネム耐性を示すSerratia marcescensよりサブクラスB1に属するIMP-1型MBLが単離されて以来、大腸菌や肺炎桿菌などの腸内細菌や緑膿菌などのブドウ糖非発酵菌で、次々とIMP型のMBLが発見されてきた。2010年の厚生労働省による院内感染対策サーベイランス事業で報告された我が国で分離された多剤耐性腸内細菌においても、分離件数の約半数はIMP型MBLを産生していた。2014年までにアミノ酸置換等によるIMP型MBLの亜種は49種類報告されており、年々増加している。また、ヨーロッパではVIM型が主に分離されており、さらには2008年にNDM-16という新型MBLが報告され瞬く間に世界中に拡散し、日本国内でも既に分離が報告されている。MBL遺伝子は伝達性プラスミド上に存在していることが多く、プラスミドの授受により様々なグラム陰性菌の間で菌種の壁を越えて容易に拡散することができる。そのため、他の病原性の強い細菌への伝播が危倶されている。
【0003】
β-ラクタマーゼに対する耐性菌治療にはβ-ラクタム系抗生物質とβ-ラクタマーゼ阻害剤の合剤が用いられている。β-ラクタマーゼ阻害剤は1974年に放線菌Streptomyces clavuligerusから単離されたClavulani acidや合成品であるTazobactam、Sulbactamが使用されてきた。これらのβ-ラクタマーゼ阻害剤はSBLを阻害し、MBLは阻害しないことが明らかとなっている。一方、MBL阻害活性を有する化合物として、Sodium mercaptoacetate(SMA)及びCaptopril等のチオール化合物(非特許文献1及び2)や、金属キレーターであるEDTAなどが知られているが、いずれも臨床応用に至っていない。Phase1にあるMBL阻害剤であるCefepime- Taniborbactam(VenatoRx、米国)はNDM型およびVIM型MBLに対して活性を示すが、IMP型MBLに対しては活性を示さないことが知られている。
【0004】
その他、MBL阻害剤の候補(特許文献1、2及び3、並びに非特許文献1及び2)や、NDM阻害剤の候補(特許文献4)が報告されているが、IMP型のMBLに有効で臨床で利用できるMBL阻害剤は報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2007/034924
【特許文献2】国際公開WO2008/016007
【特許文献3】特開2016-179964号公報
【特許文献4】国際公開WO2013/015388
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】C.Reading,M.Cole,Antimicrob.Agents Chemother.1977,11,852-857
【非特許文献2】Scott,J.Hecker,et al.,J.Med.Chem.2015,58,3682-3692
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、IMP型MBLに対しても有効な阻害活性を有する新規MBL阻害剤を探索した結果、以下の式(I)~(III)で表される化合物が優れた活性を見出した。
【0008】
よって、一態様において本発明は、下記式(I)で表される化合物(以下、「化合物I」という)、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩に関する:
【0009】
【化1】
[式中、R
1及びR
4は、
C1~10アルキル基、C2~10アルケニル基、又はC2~10アルキニル基(いずれも、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基、C4~10シクロアルキル基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C1~6アルコキシカルボニルアミノ基、C1~6アルカノイルオキシ基、C1~6アルキルスルホニルオキシ基、及びフェニル基(該フェニル基は、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、ハロスルホニルオキシ基、及びC1~6アルキルスルホニルオキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)、
あるいは、
フェニル基(水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、ハロスルホニルオキシ基、及びC1~6アルキルスルホニルオキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)を示し;
R
2及びR
3は、同一又は異なって、
水素原子、又は、
C1~6アルキル基、C2~6アルケニル基、もしくはC2~6アルキニル基(いずれも、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C1~6アルキルアミノ基、C1~6アルコキシ基、及びオキソ基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)を示すか、あるいは、
R
2とR
3とが結合して、R
2及びR
3が結合する窒素原子と共に非芳香族ヘテロ環を形成してもよく;あるいは
R
2又はR
3のいずれか一方とR
4とが結合して、置換されていてもよい非芳香族ヘテロ環(水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、オキソ基、C1~6アルキル基、及びC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)を形成していてもよい]。
【0010】
化合物Iにおいて、R2又はR3のいずれか一方とR4とが結合して非芳香族ヘテロ環を形成しない場合、R1及びR4として好ましくは、以下の基である:
(A)R1及びR4のいずれか一方が、
(a1)C1~4アルキル基又はC2~4アルケニル基(いずれも、シクロアルキル基、C1~4アルコキシ基、C1~6アルコキシ基カルボニル基、及びフェニル基(該フェニル基は、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びハロスルホニルオキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)、あるいは、フェニル基(水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びハロスルホニルオキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であり;
残りの一方が、
(a2)C1~10アルキル基又はC2~10アルケニル基(いずれも、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C1~6アルコキシカルボニルアミノ基、C1~6アルカノイルオキシ基、C1~6アルキルスルホニルオキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であるか;
(B)R1及びR4のいずれか一方が、
(b1)シクロアルキル基又はフェニル基(該フェニル基は、水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)で置換された、C1~4直鎖/分岐アルキル基又はC2~4直鎖/分岐アルケニル基であるか、あるいは、フェニル基(水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であり;
残りの一方が、
(b2)C1~10直鎖/分岐アルキル基又はC2~10直鎖/分岐アルケニル基(いずれも、アミノ基及びC1~6アルコキシカルボニルアミノ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であるか;
(C)R1及びR4のいずれか一方が、
(c1)フェニル基(水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であり;
残りの一方が、
(c2)C1~10直鎖/分岐アルキル基又はC2~10直鎖/分岐アルケニル基(いずれも、アミノ基及びC1~6アルコキシカルボニルアミノ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であるか;
(D)R1及びR4のいずれか一方が、
(d1)フェニル基(水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
残りの一方が、
(d2)C1~10直鎖/分岐アルキル基又はC2~10直鎖/分岐アルケニル基(いずれも、アミノ基及びC1~6アルコキシカルボニルアミノ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であるか;
(E)R1及びR4のいずれか一方が、
(e1)フェニル基(水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基からなる群から選択される2個以上の置換基で置換されている)であり;
残りの一方が、
(e2)C1~10直鎖/分岐アルキル基又はC2~10直鎖/分岐アルケニル基(いずれも、アミノ基及びC1~6アルコキシカルボニルアミノ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)である。
【0011】
化合物Iにおいて、R2又はR3のいずれか一方とR4とが結合して非芳香族ヘテロ環を形成しない場合、好ましくは、R1及びR4の両方が環状構造(シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、及びフェニル基、以下同様)を含むことはなく、より好ましくは、R1及びR4のうち、いずれか一方が環状構造を含む。
【0012】
化合物Iにおいて、R2又はR3のいずれか一方とR4とが結合して非芳香族ヘテロ環を形成する場合、好ましくは、R1は環状構造を含んでおり、例えば、上記(b1)、(c1)、(d1)、又は(e1)で記載された基であってよい。
【0013】
例えば、化合物Iにおいて、R1はフェニル基であってもよく、該フェニル基は、好ましくは、水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上(好ましくは2個以上)の置換基で置換されていてもよく、より好ましくは、1個以上(好ましくは2個、又は2個以上)の置換基で置換されている。
【0014】
化合物Iにおいて、R1がフェニル基である場合、R4は、各々置換されていてもよい、C1~10アルキル基又はC2~10アルケニル基であってもよい。該C1~10アルキル基又は該C2~10アルケニル基が置換されている場合、置換基は、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C1~6アルコキシカルボニルアミノ基、C1~6アルカノイルオキシ基、C1~6アルキルスルホニルオキシ基からなる群から選択され、好ましくは、該置換基は、アミノ基及びC1~6アルコキシカルボニルアミノ基からなる群から選択される。
【0015】
あるいは、化合物Iにおいて、R1がフェニル基である場合、R4は、R2又はR3のいずれか一方と結合して非芳香族ヘテロ環(水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、オキソ基、C1~6アルキル基、及びC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)を形成していてもよい。この場合、化合物Iは、例えば、以下の式(mは、1~10、1~8、又は2~6であり;qは、1~3、1~2又は1であり;rは、1~3、1~2又は1である)で表される基であって良い。
【0016】
【0017】
化合物Iにおいて、R2又はR3のいずれか一方とR4とが結合して非芳香族ヘテロ環を形成しない場合、R2及びR3は、好ましくは、両方が水素原子となることはなく、少なくとも一方又は両方が、C1~6アルキル基(いずれも、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C1~6アルキルアミノ基、C1~6アルコキシ基、及びオキソ基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であるか、あるいは、R2とR3とが結合して、R2及びR3が結合する窒素原子と共に非芳香族ヘテロ環を形成する。より好ましくは、R2及びR3は、C1~6アルキル基(いずれも、アミノ基及びC1~6アルキルアミノ基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)であるか、あるいは、R2とR3とが結合して、R2及びR3が結合する窒素原子と共に、酸素原子を含む4~8員非芳香族ヘテロ環を形成する。
【0018】
化合物Iにおいて、R2又はR3のいずれか一方とR4とが結合して非芳香族ヘテロ環を形成する場合、残りの一方は、好ましくは、水素原子またはC1~6アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0019】
化合物Iにおいて、R2又はR3のいずれか一方とR4とが結合して非芳香族ヘテロ環を形成する場合、該非芳香族ヘテロ環としては、下記式(mは、1~10、1~8、又は2~6であり;qは、1~3、1~2又は1であり;rは、1~3、1~2又は1である。いずれも整数。)で表される構造を挙げることができる。
【0020】
【0021】
また、別の態様において、本発明は、下記式(II)で表される化合物(以下、「化合物II」という)又は下記式(III)で表される化合物(以下、「化合物III」という)、その薬理学的に許容されるエステル、又はそれらの薬理学的に許容される塩に関する:
【0022】
【化4】
[式中、n=0~5であり、
環Aは、5~7員のシクロアルキル基、シクロアルケニル基、若しくはシクロアルキニル基、又はフェニル基であり、
LはC1~6アルキレン、C2~6アルケニレン、又はC2~6アルキニレンであるか、あるいは、Lと結合する原子同士の単結合を示し、
R
4は、式(I)と同様に定義され;
2つのR
5の少なくとも一方は水酸基であり、残りの一方は、水酸基又は-NR
2R
3基を表し、
ここで、R
2及びR
3は、式(I)と同様に定義され;又は
R
2又はR
3のいずれか一方とR
4とが結合して、非芳香族ヘテロ環(水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、オキソ基、C1~6アルキル基、及びC1~6アルコキシ基から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)を形成していてもよく、
各R
6は、同一又は異なって、水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、ハロスルホニルオキシ基、及びC1~6アルキルスルホニルオキシ基から選択される基である]。
【0023】
環Aは、好ましくは5~7員のシクロアルキル基又はフェニル基;シクロヘキシル基又はフェニル基;あるいは、フェニル基である。
【0024】
Lは、好ましくは、C1~4アルキレンであるか、Lと結合する原子同士の単結合を示し、より好ましくは、Lと結合する原子同士の単結合である。Lが結合する原子同士の単結合を示す場合、Lには原子は含まれない。
【0025】
好ましくは、化合物II及び化合物IIIにおいて、R4は環状構造を含まない。例えばR4は、各々置換されていてもよい、C1~10アルキル基又はC2~10アルケニル基であってもよい。該C1~10アルキル基又は該C2~10アルケニル基が置換されている場合、置換基は、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシカルボニル基、C1~6アルコキシカルボニルアミノ基、C1~6アルカノイルオキシ基、C1~6アルキルスルホニルオキシ基からなる群から選択され、好ましくは、該置換基は、アミノ基及びC1~6アルコキシカルボニルアミノ基からなる群から選択される。
【0026】
R5の一方が-NR2R3基を表す場合、化合物IIにおいて、R4は、R2又はR3のいずれか一方と結合して非芳香族ヘテロ環(水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、オキソ基、C1~6アルキル基、及びC1~6アルコキシ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい)を形成することができる。この場合、化合物Iは、例えば、以下の式(mは、1~10、1~8、又は2~6であり;qは、1~3、1~2又は1であり;rは、1~3、1~2又は1である。いずれも整数。)で表される基であって良い。
【0027】
【0028】
化合物IのR1又はR4に含まれるフェニル基の置換基、及び化合物II及び化合物IIIにおけるR6として、好ましくは、水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びハロスルホニルオキシ基であり、より好ましくは、水酸基、C1~6アルコキシ基、C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基、及びC1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基であり、具体的には、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシメトキシメトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、エトキシエトキシメトキシ基、及びエトキシエトキシエトキシ基などが挙げられる。化合物IのR1及びR4におけるフェニル基の置換基の数、及び、化合物II及び化合物IIIにおけるR6の数nは、1~4、2~4、1~3、2~3、1~2、1、2、又は3とすることができ、好ましくは、2以上である。該置換基数が2以上の場合、少なくとも環上で隣り合う2個の炭素原子が置換され、好ましくは、3位と4位の炭素原子が置換される。また、隣り合う2か所の置換基同士が同じ置換基であることが好ましく、例えば、フェニル基の3位と4位の置換基は同じ置換基(例えば、水酸基)とすることができる。
【0029】
本明細書において、「オキソ基」は=Oで示される基である。「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を意味する。「カルボキ基」は、-C(=O)-OHで表わされる基である。「アミノ基」は、-NH2で表される基である。「カルボニル」は-C(=O)-で表される2価の基である。「スルホニル基」は、-S(=O)2-で表される2価の基である。「スルホニルオキシ基」は、-S(=O)2-O-で表される2価の基である。「ハロスルホニルオキシ基」は、F-S(=O)2-O-、Cl-S(=O)2-O-、Br-S(=O)2-O-、及びI-S(=O)2-O-を示す。
【0030】
「C1~10アルキル基」とは、炭素数が1~10個の直鎖、分岐、又は環状の飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2,3-ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、及びシクロデシル基などが挙げられる。
【0031】
「C2~10アルケニル基」とは、1つ以上の炭素-炭素間の二重結合を有する炭素原子数が2~10個の直鎖、分岐、又は環状の不飽和炭化水素の任意の炭素原子から一個の水素原子を除去してなる一価の基を意味する。C2~10アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、1-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-メチル-1-ブテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、1-メチル-3-ブテニル基、1-メチリデンブチル基、2-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-3-ブテニル基、2-メチリデンブチル基、3-メチル-1-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-3-ブテニル基、1-エチル-1-プロペニル基、1-エチル-2-プロペニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-メチル-1-ペンテニル基、1-メチル-2-ペンテニル基、1-メチル-3-ペンテニル基、1-メチル-4-ペンテニル基、1-メチリデンペンチル基、2-メチル-1-ペンテニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、2-メチル-3-ペンテニル基、2-メチル-4-ペンテニル基、2-メチリデンペンチル基、3-メチル-1-ペンテニル基、3-メチル-2-ペンテニル基、3-メチル-3-ペンテニル基、3-メチル-4-ペンテニル基、3-メチリデンペンチル基、4-メチル-1-ペンテニル基、4-メチル-2-ペンテニル基、4-メチル-3-ペンテニル基、4-メチル-4-ペンテニル基、1-ヘプテニル基、2-ヘプテニル基、3-ヘプテニル基、4-ヘプテニル基、5-ヘプテニル基、6-ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、及びデセニル基が挙げられる。R4がアルケニル基である場合、好ましくは、1位(環に結合する炭素原子)と2位の炭素原子間に二重結合を有する(1-エン)。
【0032】
「C2~10アルキニル基」とは、1つ以上の炭素-炭素間の三重重結合を有する炭素原子数が2~10個の直鎖、分岐、又は環状の不飽和炭化水素の任意の炭素原子から一個の水素原子を除去してなる一価の基を意味する。C2~10アルキニル基としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、及びデシニル基等を挙げることができる。
【0033】
「C1~6アルコキシ基」とは、炭素原子数が1~6個の直鎖、分岐、又は環状のアルキル基(C1~6アルキル基)と酸素原子を介して結合する基((C1~6アルキル基)-O-基)のことであり、該アルキル基部分は直鎖状であっても分岐状であってもよい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1-プロピルオキシ基、2-プロピルオキシ基、2-メチル-1-プロピルオキシ基、2-メチル-2-プロピルオキシ基、2,2-ジメチル-1-プロピルオキシ基、1-ブトキシ基、2-ブトキシ基、2-メチル-1-ブトキシ基、3-メチル-1-ブトキシ基、2-メチル-2-ブトキシ基、3-メチル-2-ブトキシ基、1-ペンチルオキシ基、2-ペンチルオキシ基、3-ペンチルオキシ基、2-メチル-1-ペンチルオキシ基、3-メチル-1-ペンチルオキシ基、2-メチル-2-ペンチルオキシ基、3-メチル-2-ペンチルオキシ基、1-ヘキシルオキシ基、2-ヘキシルオキシ基、3-ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
【0034】
「C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基」及び「C1~6アルコキシC1~6アルコキシC1~6アルコキシ基」は、上述のC1~6アルコキシ基が、ぞれぞれ、2個及び3個結合した基であり、各々のアルコキシ基の炭素原子数は異なっていてもよい。C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基としては、例えば、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシメトキシ基、エトキシエトキシ基、プロピルオキシメトキシ基、プロピルオキシエトキシ基、プロピルオキシプロピルオキシ基、メトキシプロピルオキシ基、エトキシプロピルオキシ基、メトキシブトキシ基、エトキシブトキシ基、メトキシペンチルオキシ基、及びメトキシヘキシルオキシ基などが挙げられる。C1~6アルコキシC1~6アルコキシ基C1~6アルコキシ基としては、例えば、メトキシメトキシメトキシ基、メトキシエトキシメトキシ基、エトキシメトキシメトキシ基、メトキシメトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシメトキシエトキシ基、エトキシ、エトキシ、メトキシ基、メトキシプロピルオキシメトキシ基、メトキシプロピルオキシエトキシ基、メトキシプロピルオキシプロピルオキシ基、メトキシメトキシプロピルオキシ基、メトキシエトキシプロピルオキシ基、メトキシメトキシブトキシ基、メトキシエトキシブトキシ基、メトキシメトキシペンチルオキシ基、及びメトキシメトキシヘキシルオキシ基などが挙げられる。
【0035】
「C2~6アルカノイルオキシ基」とは、C1~5直鎖/分岐アルキル基がカルボニル基及び酸素原子を介して結合する基((C1~5アルキル基)-C(=O)-O-基)である。C2~6アルカノイルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、及びヘキサノイルオキシ基が挙げられる。
【0036】
「C1~6アルキルスルホニルオキシ基」は、C1~6直鎖/分岐アルキル基がスルホニル基及び酸素原子を介して結合する基((C1~6アルキル基)-S(=O)2-O-基)である。C1~6アルキルスルホニルオキシ基としては、例えば、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、n-プロピルスルホニルオキシ基、i-プロピスルホニルオキシル基、n-ブチルスルホニルオキシ基、sec-ブチルスルホニルオキシ基、t-ブチルスルホニルオキシ基、イソブチルスルホニルオキシ基、ペンチルスルホニルオキシ基、イソペンチルスルホニルオキシ基、2,3-ジメチルプロピルスルホニルオキシ基、シクロペンチルスルホニルオキシ基、及びヘキシルスルホニルオキシ基を挙げることができる。
【0037】
「薬理学的に許容されるエステル」は、生体内において代謝されて、本願発明の化合物を与える基を含む化合物であって、医薬として体内に投与することが許容可能なエステルのことである。本明細書において、エステルは、エステル結合した化合物の他、アミド結合した化合物を含む。エステルは、生体内のエステラーゼにより分解されて活性型の化合物を与えてもよい。例えば、エステルとしては、置換され又は置換されていない、低級アルキルエステル、低級アルケニルエステル、低級アルキルアミノ低級アルキルエステル、アシルアミノ低級アルキルエステル、アシルオキシ低級アルキルエステル、アリールエステル、アリール低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、水酸化アミドを挙げることができる。エステルとして、好ましくは、プロピオオン酸エステル又はアシルエステルである。「低級」の語は、例えば、炭素数1~6又は1~4個を意味していてもよい。本明細書において、「本発明の化合物」、「化合物I」、「化合物II」、「化合物III」は、それが明らかに不適合である場合を除き、明示されていない場合にも、それらの化合物の薬理学的に許容されるエステルをも含んでいてもよい。
【0038】
「薬理学的に許容される塩」とは、本発明の化合物が、無機又は有機の塩基又は酸と結合して形成した塩であって、医薬として体内に投与することが許容可能な塩のことである。このような塩は、例えば、Bergeら、J.Pharm.Sci.66:1-19(1977)等に記載されている。本発明の化合物はカルボン酸基等の酸性基を有することから、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩;アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、エタノールアミン、N-メチルグルカミン、L-グルカミン等のアミンの塩;又はリジン、δ-ヒドロキシリジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸との塩を形成することができる。また、本発明の化合物が塩基性基を有する場合には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸の塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸塩、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸等の有機酸との塩;又はアスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸との塩などを挙げることができる。なお、本発明の化合物の水和物又は溶媒和物、並びに、本発明の化合物の薬理学的に許容される塩の水和物又は溶媒和物も本発明の化合物に包含される。本明細書において、「本発明の化合物」、「化合物I」、「化合物II」、「化合物III」は、それが明らかに不適合である場合を除き、明示されていない場合にも、それらの化合物の薬理学的に許容される塩、水和物及び溶媒和物、薬理学的に許容される塩の水和物又は溶媒和物をも含んでいてもよい。
【0039】
本明細書において、「直鎖/分岐」とは、直鎖状であっても分岐状であってもよいことを示す。本明細書において、「置換されていてもよい」基は、置換基を有していてもよいし、置換基を有していなくてもよく、置換基を有する場合、当該置換基の数は限定されるものではないが、例えば、1~5個、1~4個、1~3個、1~2個又は1個とすることができる。
【0040】
本発明の化合物は不斉炭素を有し得ることから、光学異性体が存在することがある。また、本発明の化合物は幾何異性体や互変異性体が存在することがある。本発明の化合物としては、単離された何れかの異性体(例えば、E体、Z体、又はR体、S体)であってもよいし、ラセミ体、ジアステレオマーなどを含む、2以上の異性体を任意の割合で含有する混合物であってもよい。
【0041】
β-ラクタマーゼは、β-ラクタム系抗生物質を加水分解する酵素であり、「メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)」とは、クラスBに分類される活性中心に金属原子(通常、1分子又は2分子の亜鉛イオン)を含むβ-ラクタマーゼである。MBLは、染色体性メタロ-β-ラクタマーゼ及びプラスミド媒介性メタロ-β-ラクタマーゼのいずれでもよい。MBLは、複数類が存在することが知られており、IMP、VIM、NDA、TMB、SMB、BcII、CcrA、BlaB、SPM、NDM、GIM、SIM、DIM、Bla2、KHM、CphA、Sfh、ImiS、L1,FEZ、BJP、AIM、THIN-B、GOB、CAU、CAR,POM、及びCRBなどが報告されている(Ann NY Acad Sci.2013;1277:91-104.)。このうち、好ましくは、IMP(IMP-1、IMP-2、IMP-3、IMP-4、IMP-5、IMP-6、IMP-7、IMP-8、IMP-9、IMP-10、IMP-11、IMP-12)である。
【0042】
本明細書において、「メタロ-β-ラクタマ-ゼ産生菌」は、MBLを産生し、哺乳動物(特にはヒト)に感染して感染症を引き起こす菌であれば特に限定される者ではないが、例えば、緑膿菌、セラチア、肺炎桿菌、大腸菌、Proteus vulgaris、シトロバクター、アシネトバクター、プロビデンシア、セラチア・マルセセンス、及びエンテロバクター(エンテロバクター・クロアカなど)を含む。
【0043】
本発明の化合物はMBL阻害活性を有することから、MBL阻害剤として使用することができる。一態様において本発明は、本発明の化合物を含有するMBL阻害剤に関する。「メタロ-β-ラクタマ-ゼ阻害剤」とは、MBLによるβ-ラクタム系抗生物質の分解を阻害するため使用される薬剤であり、通常β-ラクタム系抗生物質と共に用いられる薬剤を意味する。別の態様において、本発明は、患者における感染症を治療するための、β-ラクタム系抗生物質と組み合わせて使用するための、本発明の化合物に関する。また、本発明は、本発明の化合物を有効成分として含有する、β-ラクタム系抗生物質と組み合わせて使用するための感染症治療用医薬組成物の製造方法に関する。別の態様において、本発明は、本発明の化合物を有効成分として含有する、病原性微生物のβ-ラクタム系抗生物質への耐性を低下させるための医薬組成物に関する。また、本発明は、本発明の化合物を有効成分として含有する、病原性微生物のβ-ラクタム系抗生物質への耐性を低下させるための医薬組成物の製造方法に関する。また、本発明は、病原性微生物のβ-ラクタム系抗生物質への耐性を低下させる方法において使用するための本発明の化合物に関する。また別の態様において、本発明は、本発明の化合物を有効成分として含有する、病原性微生物の増殖を抑制するための医薬組成物に関する。また、本発明は、本発明の化合物を有効成分として含有する、病原性微生物の増殖を抑制するための医薬組成物の製造方法に関する。また、本発明は、病原性微生物の増殖を抑制する方法において使用するための本発明の化合物に関する。
【0044】
一態様において、本発明は、本発明の化合物と、β-ラクタム系抗生物質とを有効成分として含有する、MBL産生菌感染症治療薬又は予防薬に関する。本明細書において、「β-ラクタム系抗生物質」及び「β-ラクタム薬」とは、β-ラクタム構造を有する抗生物質を意味し、例えば、セファゾリン、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セファラジン、セファドロキシル、セフマンドール、セフロキシム、セフォニシド、セフォラニド、セファクロル、セフプロジル、セフポドキシム、ロラカルベフ、セフトリアキソン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフタジジム、セフォペラゾン、セフスロジン、セフチブテン、セフィキシム、セフェタメット、セフジトレン ピボキシル、セフェピム、セフピロム、セフォキシチン、セフォテタン、セフメタゾール、セフブペラゾン、セフミノクス、ラタモキセフ、及びフロモキセフなどのセフェム系抗生物質;イミペネム、ビアペネム、パニペネム、ドリペネム、メロペネムなどのカルバペネム系抗生物質を挙げることができ、好ましくは、カルバペネム系抗生物質である。本発明の化合物とβ-ラクタム系抗生物質とは、同一製剤中又は別々の製剤中に含有させることができる。
【0045】
MBL阻害剤、及びMBL産生菌感染症治療薬又は予防薬の剤型は、その種類が特に限定されるものではなく、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製することができる。また、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な溶媒に溶解又は懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本発明の化合物を水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水或いはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。経口投与用又は非経口投与用の任意の製剤形態で提供される。例えば、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤又は液剤等の形態の経口投与用医薬組成物、静脈内投与用、筋肉内投与用、若しくは皮下投与用などの注射剤、点滴剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、点鼻剤、吸入剤、坐剤などの形態の非経口投与用医薬組成物として調製することができる。注射剤や点滴剤などは、凍結乾燥形態などの粉末状の剤形として調製し、用時に生理食塩水などの適宜の水性媒体に溶解して用いることもできる。
【0046】
本明細書の医薬組成物は、必要に応じて医薬的に許容される添加物を含んでいてもよい。「医薬的に許容される添加物」は,有効成分と組み合わせた場合に,その有効成分が生物活性を維持可能であり,送達された際に被験体の免疫系と非反応性であり,被験体に対して無毒性である任意の材料を含む。例として,リン酸緩衝食塩水,水,油/水エマルジョン等のエマルジョン,および様々な種類の湿潤剤などのあらゆる標準的な医薬の担体が含まれるが,これらに限定されるものではない。噴霧投与または非経口投与のための好ましい希釈剤は,リン酸緩衝食塩水または生理食塩水(0.9%)である。そのような担体を含む組成物は,よく知られている従来法により,処方される(例えば,Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18thedition, A. Gennaro編, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990およびRemington, The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed. Mack Publishing, 2000;「医薬品添加物事典」薬事日報社、「Handbook of Pharmaceutical Excipients Fifth Edition」APhA Publications社参照)。
【0047】
好ましくは、本発明の化合物(MBL阻害剤)は、β-ラクタム系抗生物質と併用されることから、これらの薬剤を含有するキットとして提供されていても良い。
【0048】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物を有効成分として含有する、MBL耐性測定用試薬に関する。MBL耐性測定用試薬は、必要に応じて、β-ラクタム系抗生物質と共にキットとして提供されていてもよい。
【0049】
すなわち、本発明は、(i)本発明の化合物、及び(ii)β-ラクタム系抗生物質を含有する、感染症治療用キット又はMBL耐性測定用キットであってもよい。本明細書においてキットは,外箱,容器,希釈剤,濁液剤,及び/又は調製方法・投与方法に関する説明書を含むことができる。キットは,(i)本発明の化合物、及び(ii)β-ラクタム系抗生物質のうち異なる構成成分が別々の容器中に包装され,一つのキットに含まれていてもよいし,あるいは,(i)本発明の化合物、及び(ii)β-ラクタム系抗生物質のうち1種類の構成成分のみがキットに含まれ,別の構成成分がキットとは別に提供されていてもよい。
【発明の効果】
【0050】
本発明の化合物は、MBL、特に既存のMBL阻害剤の有効性が低いIMPに対して阻害活性を有することから、β-ラクタム系抗生物質に耐性を示す菌への感染症治療を可能とするものである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(1)化合物の合成
代表的には、本発明の化合物Iは、以下の式で表される方法又はこれに類似した方法により合成することができる。
【0052】
【0053】
本発明の化合物II及び化合物IIIは、前記式におけるR1がリンカーを介して環状構造を有する化合物を用いることにより合成することができる。具体的には、化合物IIIは、以下の式で表される方法又はこれに類似した方法により合成することができる。以下の式において、d3をpd/Cで処理した物質をd3の代わりに用いることにより、R4がアルキル基である化合物を合成することができる。
【0054】
【0055】
ステップ1は、a1の第一級水酸基を酸化してホルミル基とする反応である。本反応は、スワーン酸化により行うことができる。例えば、-65℃以下、N2雰囲気下、ジクロロメタン(DCM)などの有機溶媒中の(COCl)2にジメチルスルホキシド(DMSO)を滴下して撹拌した後、a1を滴下して撹拌する。N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を滴下して撹拌し、-20℃まで温めた後、-65℃以下で攪拌し、更に反応混合物を-20℃まで温めて攪拌して、飽和NH4Cl水溶液を加えてで反応を止めることによりb1を得ることができる。
【0056】
ステップ2は、b2と有機ホウ素化合物(R1B(OH)2)をパラジウム炭素触媒下で反応させることにより、c1又はc2を得る工程である。b2および機ホウ素化合物(R1B(OH)2)の攪拌溶液に、パラジウム炭素触媒(好ましくは、クロロ(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシ-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)(RuPhos Pd G2))、及びK2CO3を室温で加える。反応混合物を110~130℃に温めて撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を停止させることによりc1及びc2を得ることができる。
【0057】
ステップ3は、以下の方法で実施することができる。1-フェニル-5-[Ra-スルホニル]-1H-テトラゾールおよび1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)のテトラヒドロフラン溶液に、ヘキサメチルジシラザンカリウム(KHMDS)を、N2雰囲気下-78℃でゆっくりと加えて撹拌する。c2溶液を滴下して-78℃で撹拌後、飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を停止する。式中、Raは、本反応によってLaと結合してアルケニル基(R4)(-La-CH=CH-Ra)を形成する基を表す。
【0058】
ステップ4は、d1を還元してd2を得る工程である。d1に、パラジウム炭素触媒を室温で加え、1気圧下、H2雰囲気でパージする。室温で撹拌した後、反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、EtOAcで洗浄する。なお、スキーム図には記載していないが、ステップ3で得られたd3(R4がアルケニル基)を同様に処理することにより、d3にR4がアルキル基である相当する化合物を得ることができる。
【0059】
ステップ5は、酸素の存在下で光増感剤に光を照射することにより一重項酸素を発生させ、それとd1~d3とが反応することによりe1~e3を生じさせる反応である。具体的には、d1~d3に、光増感剤(例えば、ローズベンガル)を0℃、O2雰囲気下で加え、光照射して攪拌する。得られた混合物を加圧下で濃縮し、CHCl3で抽出することにより行うことができる。
【0060】
ステップ6は、デスマーチン酸化によりe1、e2、及びe3から、それぞれf1、f2、及び化合物IIIを得る工程である。本工程は、e1、e2、及びe3に、NaHCO3およびDess-Martin periodinane(DMP)(Dess,D.B.;Martin,J.C.J.Org.Chem.(1983)48:4155.)を室温、N2雰囲気下で加え、撹拌することにより行うことができる。
【0061】
ステップ7は、f1、f2、及び化合物IIIから、ぞれぞれ、化合物Ia、化合物Ib、及び化合物IIb(なお、化合物IIbは化合部I及び化合物IIの両方に含まれる)を得る工程である。本工程は、f1、f2、及び化合物IIIのCH2Cl2溶液にNHR2R3を加え、0℃で撹拌後、反応液を減圧下で濃縮することで行うことができる。
【0062】
ステップ8は、化合物IIIから、化合物IIaを得る工程である。化合物IIIに0.1 M NaHCO3水溶液を加え、室温で撹拌後、必要に応じて反応液を減圧下で濃縮する。得られた残渣のH2O溶解物を濾過した濾液として化合物IIaを得ることができる。
【0063】
例えば、本発明の化合物IIIのLがアルキニル基である場合、以下の方法により合成することができる。
【0064】
【0065】
ステップ1、3、5、及び6は上述の方法に準じて行うことができる。ステップ9は、室温でb1にアルキン試薬(Synthesis 44,2895,2012)、Pd(PPh3)4 、Et3N 、CuIを順次加え、室温で数日間撹拌した後、飽和NH4Cl水溶液を加え、EtOAcで抽出して行うことができる。上述においてLb及びLcは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキレンを表すか、炭素原子を表す。
【0066】
本発明の化合物I及び化合物IIにおいて、R4がR2又はR3と結合して環状構造を形成している化合物は、以下の方法により合成することができる。
【0067】
【0068】
ステップ5及び6は上述の方法に準じて行うことができる。ステップ10は、次の方法で行うことができる。Ph3P-CH2-(CH2)p-OBn(pは1~10の整数)溶液に、N2雰囲気下、-78℃でKHMDS溶液をゆっくりと加える。-78℃で撹拌した後、混合物を0℃まで温めて撹拌し、その後再び-78℃まで冷却する。得られた混合物にc4を滴下し、-78℃で撹拌する。飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を停止させて、EtOAcで抽出する。
【0069】
ステップ11は、まず、c5の撹拌溶液に、室温でパラジウム炭素触媒を加え、H2雰囲気下で1~数日間攪拌する。反応混合物をセライトパッドを通過させて濾過した濾液中にc6を得ることができる。
【0070】
ステップ12は、まず、PPh3溶液に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)を0℃、N2雰囲気下で加えて撹拌後、c6溶液を滴下し更に撹拌する。次に、DPPAを加えて0℃で撹拌した後、有機溶媒で希釈し、加圧下で濃縮してc7を得ることができる。
【0071】
ステップ13は、まず、N2雰囲気下、-78℃で、2M LAH溶液にc7溶液を加えて撹拌する。反応混合物を0℃まで温め、さらに撹拌し、Na2SO4・10H2Oを加えて反応を停止させる。混合物を濾過して固体物質を除去し、濾液を減圧下で濃縮してc8を得る。
【0072】
ステップ14は、室温で、c8およびEt3NのTHF溶液にBoc2Oを加えて撹拌した後、反応混合物に飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を停止させることによりc9を得ることができる。
【0073】
ステップ15は、90%TFAを含有するCH2Cl2中の化合物IIIb溶液を室温で撹拌し、反応混合物を加圧下で濃縮して化合物IIIcを得ることができる。
【0074】
ステップ16は、NH3水溶液中の化合物IIIc溶液を室温で撹拌し、反応混合物を加圧下で濃縮して、化合物Ic(化合物IIc)を得ることができる。
【0075】
以上の工程は、必要に応じて、更に、二層を分離・抽出し、洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮することにより、粗生成物を得ることができる。また、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィで精製することにより、より純粋な生成物又は中間生成物を得てもよい。
【0076】
本発明は、患者における感染症を治療する方法であって、有効量のβ-ラクタム系抗生物質と、本発明の化合物をそれを必要とする患者に投与することを含む方法に関する。更に、本発明は、病原性微生物のβ-ラクタム系抗生物質への耐性を低下させる方法であって、有効量のβ-ラクタム系抗生物質と、本発明の化合物を該病原性微生物に接触させることを含む方法に関する。更に、本発明は、病原性微生物の増殖を抑制する方法であって、有効量のβ-ラクタム系抗生物質と、本発明の化合物を該病原性微生物に接触させることを含む方法に関する。別の態様において、本発明は、β-ラクタム系抗生物質に耐性の病原性微生物による感染症患者における、β-ラクタム系抗生物質への応答性を改善する方法であって、当該癌患者に本発明の化合物を投与することを含む方法に関する。また、別の態様において、本発明は、β-ラクタム系抗生物質に耐性の病原性微生物に感染した患者における感染症の治療方法であって、当該癌患者に本発明の化合物を投与すること、及びβ-ラクタム系抗生物質を投与することを含む方法に関する。本発明の化合物がβ-ラクタム系抗生物質と併用される場合、本発明の化合物の投与と、β-ラクタム系抗生物質の投与の順番はこの順番である必要は無く、いずれが先でもよい。すなわち、本発明の化合物の投与後にβ-ラクタム系抗生物質が投与されてもよいし、β-ラクタム系抗生物質の投与後に本発明の化合物が投与されてもよく、あるいは両方が同時又は連続的に投与されてもよいが、好ましくは、本発明の化合物が先に投与されるか、あるいは同時に投与される。
【0077】
本明細書で使用する場合,「治療」は,有益な,または所望の臨床結果を得るためのアプローチである。本発明の目的において,有益な,または所望の臨床結果は,検出可能または検出不可能のいずれにせよ,1つ以上の症状の軽減,疾患の範囲の縮小,疾患の安定化した(すなわち,悪化していない)状態,疾患進行の遅延または緩徐化,疾患状態の回復または寛解,および緩解(部分的または全体)を含むが,これらに限定されるものではない。「治療」は,仮に治療を受けなかった場合の見込まれた余命に対して,余命を延ばすことも意味してもよい。
【0078】
「有効量」は,臨床結果を含む有益なまたは所望の臨床結果を達成するのに十分な量である。有効量は,1回または複数回の投与で投与することができる。本発明の目的において,本明細書中に記載される本発明の化合物やβ-ラクタム系抗生物質の有効量は,病原性微生物の耐性を低下させ、病原性微生物の増殖を抑制し、感染症に関連する状態の進行を遅延させ、又は感染症を治癒するのに十分な量である。薬剤の有効量は,とりわけ,患者病歴,ならびに使用される本発明の化合物や併用されるβ-ラクタム系抗生物質の種類(および/または量)などの他の要因に変動または依存してもよい。
【0079】
治療対象は,ヒト,ウシ,ウマ,イヌ,ネコ,ブタ,ヒツジなどの哺乳動物を含み,好ましくは,ヒトである。
【0080】
本発明は、被検微生物のMBL(特には、IMP型)への耐性を判定する方法であって、該被検微生物に、本発明の化合物の存在下又は非存在下でβ-ラクタム系抗生物質を接触させること、該被検微生物の増殖を測定すること、本発明の化合物の存在下での該被検微生物の増殖が、本発明の化合物の非存在下での該被検微生物の増殖よりも少ない場合、当該被検微生物をMBL(特には、IMP型)に耐性であると判定することを含む方法に関する。
【0081】
具体的には、本発明の測定方法は、例えば、以下の方法で行うことができる。セフタジジムを含む液体培地に被検微生物を植菌し、24時間37℃で前培養する。その後、前培養液、β-ラクタム系抗生物質、及び液体培地を混合し、角型シャ-レ内の寒天培地上に播種してプレ-トを作製する。本発明の化合物を0μg(未添加)、0.03μg、0.1μg、0.3μg、1μg、3μg、10μg、30μg、及び100μgしみ込ませた8mmペ-パ-ディスクを被検微生物を培養した寒天培地上に置き、37℃で一晩静置培養した後、ノギスで阻止円径の大きさを計測する。本発明の化合物を添加しなかった場合の阻止円の大きさと比較して、本発明の化合物を添加した場合の阻止円の大きさが小さい場合には、当該被検微生物はMBL(特には、IMP型)に耐性であると判定される。
【0082】
以下,本発明をより詳細に説明するため実施例を示すが,本発明はこれに限定されるものではない。なお,本願全体を通して引用される全文献は参照によりそのまま本願に組み込まれる。
【0083】
(実施例1)化合物の合成
以下の実験においては、蛍光指示薬(Merck 60 F254)を備えたプレコートシリカゲルプレートを、分析用および分取用薄層クロマトグラフィに使用した。また、フラッシュカラムクロマトグラフィは関東化学株式会社のシリカゲル(40-50μm、60N)を用いて行った。1Hおよび13C NMRスペクトルは、それぞれ、JEOL JNM-ECA500(500MHz)およびJEOL JNM-ECA500(125MHz)で測定した。多重度の略語は以下のとおりである:“app”は明らかであることを示し、“br”はブロードであることを示し、“d”はダブレットであることを示し、“t”はトリプレットであることを示し、“q”はカルテットであることを示し、“m”はマルチプレットであることを示す。化学シフトは、CDCl3(1H;δ=7.26ppm、13C;δ=77.16ppm)、D2O(1H;δ=4.79ppm)の内部溶媒ピークからのダウンフィールドppmで表す。高解像度および低解像度の質量分析データは、JEOL JMS-T100LPおよびJEOL HMS-700 MStationで測定した。
【0084】
(1)2-(tert-ブチルジメチルシリル)-4-ヨードフラン-3-カルバルデヒド(化合物8)
【0085】
【0086】
(COCl)2(1.9mL、22.4mmol)のDCM(5.0mL)溶液に、DMSO(2.1mL、29.9mmol)のDCM(6.0mL)溶液を-78℃、N2雰囲気下で滴下した。-78℃で30分間撹拌した後、化合物12(2.53g、7.48mmol)のDCM(15.0mL)溶液を反応フラスコに滴下し、混合物を-78℃で45分間撹拌した。次に、DIPEA(7.8mL、44.9mmol)を反応フラスコに滴下して加え、60分間撹拌し、反応混合物を-20℃まで温め、さらに60分間攪拌し、飽和NH4Cl水溶液(30mL)で反応を止めた。得られた二層を分離し、水相をDCM(250mL)で抽出した。合わせた有機層を1M HCl(200mL)およびブライン(200ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=50/1から40/1)で精製して、化合物8(2.26g、89%)を黄色の油として得た。
1H NMR(500 MHz,CDCl3)δ(ppm):0.37(s,6H), 0.93(s,9H),7.66(s,1H),10.00(s,1H)
HRMS-FAB(NMA matrix)m/z:[M+H]+ calcd for C11H18O2SiI:337.0121, found 337.0121
【0087】
(2)4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-2-(tert-ブチルジメチルシリル)フラン-3-カルバルデヒド(化合物33)
【0088】
【0089】
トルエン/H2O=9/1(26.5mL)中の化合物8(514mg、1.53 mmol)および化合物d(1.09 g、4.51 mmol)の攪拌溶液に、RuPhos Pd G2(45.7mg、61.2mmol)、及びK2CO3(619mg、4.48mmol)を室温で加えた。反応混合物を120℃に温め、12時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却した。次に、反応混合物に飽和NH4Cl水溶液(100mL)を加えて反応を停止させた。得られた二層を分離し、水相をEtOAc(120mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=9/1から8/1)で精製して、化合物33(564mg、91%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.40(s,6H), 0.98(s,9H),3.53(s,6H),5.265(s,2H),5.273(s,2H),7.04(dd,J=8.3Hz,J=2.29Hz,1H),7.18(d,J=8.0Hz,1H),7.3(d,J=1.7Hz,1H),7.66(s,1H),10.1(s,1H)
13C NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):-5.4(2C),17.7,26.6(3C),56.37,56.41,95.5,95.7,116.5,117.9,123.3,125.1,126.2,135.2,145.1,147.1,171.6,186.9
【0090】
(3)(E)-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-3-(ブト-1-エン-1-イル)フラン-2-イル)(tert-ブチル)ジメチルシラン(化合物34)
【0091】
【0092】
化合物a(1.28g、5.07mmol)およびDMPU(0.85ml)のTHF(4.0mL)溶液に、KHMDS(0.5Mのトルエン溶液、11.2mL)をN2雰囲気下-78℃でゆっくりと加えた。-78℃で30分間撹拌した後、撹拌混合物に、化合物33(516mg、1.27mmol)のTHF(7.4mL)溶液を滴下し、-78℃で1時間撹拌した。反応混合物に飽和NH4Cl水溶液(10mL)を加えて反応を停止した。得られた二層を分離し、水相をEtOAc(60mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=50/1)で精製して、化合物34(523mg、95%)を黄色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.29(s,6H),0.95(s,9H),0.97(t,J=7.5Hz,3H),2.08(m,2H),3.51(s,3H),3.54(s,3H),5.22(s,2H),5.25(s,2H),5.68(dt,J=16.0Hz,J=6.3Hz,1H),6.27(d,J=16.0Hz,1H),6.98(dd,J=8.6Hz,J=2.3,1H),7.13(d,J=8.0Hz,1H),7.21(d,J=2.3,1H),7.55(s,1H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C24H36O5SiNa:455.2226,found 455.2230
【0093】
(4)(E)-4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-3-(ブト-1-エン-1-イル)-5-ヒドロキシフラン-2(5H)-オン(化合物50)
【0094】
【0095】
化合物34(145mg、0.335mmol)の攪拌アセトン(48mL)溶液に、95%ローズベンガル(4.9mg、4.8μmol)を0℃、O2雰囲気下で加え、光照射して1時間攪拌した。得られた混合物を加圧下で濃縮し、CHCl3(30 mL×2)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=5/1から1.5/1)で精製して、化合物50(102mg、87%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.08(t,J=7.5 Hz,3H),2.24(m,2H),3.526(s,3H),3.528(s,3H),3.75(d,1H),5.25(s,2H),6.28-6.31(complex multi,2H),7.12(dt,J=16.0Hz,J=6.3Hz,1H),7.20(dd,J=8.6 Hz,J=2.3Hz,1H),7.25(d,J=8.6Hz,1H),7.43(d,J=2.3Hz,1H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C18H22O7Na:373.1263,found 373.1250
【0096】
(5)(E)―3-{3,4―ビス(メトキシメトキシ)フェニル}―4―(ブトー1―エンー1―イル)フランー2,5―ジオン(IKO-18)
【0097】
【0098】
化合物50(101mg、0.287mmol)のDCM(29.0mL)溶液に、NaHCO3(326mg、3.88mmol)およびDess-Martin periodinane(731mg、1.72mmol)を室温、N2雰囲気下で加えた。室温で17時間撹拌した後、反応混合物を飽和NaHCO3水溶液(30mL)で希釈した。得られた混合物をCHCl3(60ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液:飽和Na2S2O3水溶液=1:1(30ml)で洗浄した。洗浄後の有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=5:1から2:1)により精製して、IKO-18(89.8mg、90%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.09(t,J=7.5 Hz,3H),2.30(m,2H),3.52(s,6H),5.24(s,2H),5.28(s,2H),6.49(d,J=16.0Hz,1H),7.24-7.263(m,2H,overlapped the peak of CDCl3),7.37(dt,J=16.0Hz,J=6.3Hz,1H),7.42(m, 1H)
HRMS-ESI m/z :[M+Na]+ calcd for C18H20O7Na:371.1107,found 371.1093
【0099】
(6)(E)―3―(ブトー1―エンー1-イル)―4―(3,4―ジヒドロキシフェニル)―フランー2,5―ジオン(IKO-19)
【0100】
【0101】
90%TFA含有CH2Cl2中のIKO-18(71.8mg、0.206mmol)の溶液を室温で2.5時間撹拌した。反応混合物を加圧下で濃縮して、粗混合物を得た。残留物をODSクロマトグラフィ(40%MeCN水溶液)で精製して、IKO-19(53.6mg、quant.)をオレンジ色の固体として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.12(t,J=7.5Hz,3H),2.33(m,2H),5.27(br,1H),5.56(br,1H),6.49(d,J=17.2Hz,1H),7.00(d,J=8.0Hz,1H),7.14(dd,J=8.3Hz,J=1.7Hz,1H),7.22(d,J=1.72Hz,1H),7.38(dt,J=15.5Hz,J=6.3Hz,1H)
HRMS-ESI m/z:[M-H]- calcd for C14H11O5:259.0607,found 259.0595
【0102】
(7)[4-{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル}-3-ブチルフラン-2-イル]-tert-ブチルジメチルシラン(化合物36)
【0103】
【0104】
化合物34(172mg、0.398mmol)のEtOAc(8.0mL)溶液に、10%Pd/C(20wt%、34.4mg)を室温で加えた。次に、得られた懸濁液を1気圧下、H2雰囲気でパージした。室温で4時間撹拌した後、反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、EtOAc(20ml)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、化合物36(173mg、quant.)を無色の油として得た。この生成物はさらに精製することなく次の反応に使用した。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.29(s,3H),0.82(t,J=7.5Hz,3H),0.95(s,6H),1.22-1.36(complex multi,4H),2.55(t,J=7.5Hz,2H),3.52(s,3H),3.54(s,3H),5.35 (s,2H),5.26(s,2H),6.95(dd,J=8.3Hz,J=2.3Hz,1H),7.15(d,J=8.6Hz,1H),7.21(d,J=2.3Hz,1H),7.57(s,1H)
HRMS-FAB(NMA matrix)m/z:[M+Na]+ calcd for C24H38O5SiNa:457.2386, found 457.2378
【0105】
(8)4-{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル}-3-ブチル-5-ヒドロキシフラン-2(5H)-オン(化合物37)
【0106】
【0107】
化合物36(173mg、0.398mmol)を含むアセトン(48mL)の攪拌溶液に、95%ローズベンガル(5.6mg、5.5μmol)を0℃、O2雰囲気下で加え、光照射して1時間攪拌した。得られた混合物を加圧下で濃縮し、CHCl3(30mL×2)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=5/1から1.5/1)で精製して、化合物37(58.6mg、42%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.93(t,J= 7.5 Hz,3H),1.41(m,2H),1.58(m,2H),2.51(t,J=8.0Hz,2H),3.53(s,6H),3.58(d, J=8.6Hz,1H),5.3(s,2H),5.3(s,2H),6.34(d,J=8.0Hz,1H),7.20(dd,J=8.6Hz,J=2.3Hz,1H),7.24(s,1H),7.45(d,J=2.3Hz,1H)
HRMS-FAB(NMA matrix)m/z:[M+Na]+ calcd for C18H24O7Na:375.1420, found 375.1410
【0108】
(9)3-ブチル-4-{3,4―ビス(メトキシメトキシ)フェニル}フランー2,5―ジオン(IKO-25)
【0109】
【0110】
化合物37(57.4mg、0.163mmol)を含むDCM(16.0mL)の攪拌溶液に、NaHCO3(185mg、2.20mmol)およびDess-Martin periodinane(185mg、2.20mmol)を0℃、N2雰囲気下で加えた。室温で17時間撹拌した後、反応混合物に飽和NaHCO3水溶液(30mL)を加えて反応を止めた。得られた二層を分離し、水相をCHCl3(60ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液/飽和水溶液Na2S2O3(30ml、v/v=1/1)およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、圧力下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=5:1から3:1)で精製して、IKO-25(51.5mg、90%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.95(t,J=7.5 Hz,3H),1.44(m,2H),1.65(m,2H),3.53(s,6H),5.27(s,2H),5.31(s,2H),7.28(d,J=8.6Hz,1H),7.33(dd,J=8.6Hz,J=1.7Hz,1H),7.48(d,J=1.7Hz,1H)
HRMS-FAB(NBA matrix)m/z:[M+Na]+ calcd for C18H22O7Na:373.1263, found 373.1256
【0111】
(10)(E)―3―ブチル-4-(3,4―ジヒドロキシフェニル)フランー2,5―ジオン(IKO-26)
【0112】
【0113】
90%TFAを含むCH2Cl2(1.4ml)中のIKO-25(47.7mg、136μmol)の溶液を、室温で2.5時間撹拌した。反応混合物を加圧下で濃縮し、粗混合物を得た。残留物をODSクロマトグラフィ(0.1%TFA含有H2O:0.1%TFA含有MeCN = 1:0 から6:4まで)で精製して、IKO-26(quant.)をオレンジ色の固体として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.94(t,J=7.5Hz,3H),1.43(dq,J=14.9Hz,J=7.5Hz,2H),1.64(m,2H),2.67(t,J=8.0Hz,2H),7.00(d,J=8.0Hz,1H),7.14(dt,J=8.3Hz,J=1.7Hz,1H),7.28(d,J=1.7Hz,1H)
HRMS-ESI m/z:[M-H]- calcd for C14H13O5:261.0763,found 261.0757
【0114】
(11)4-[{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル}エチニル]―2―(tert―ブチルジメチルシリル)フラン-3-カルボアルデヒド(化合物01)
【0115】
【0116】
室温で化合物8(352mg,1.05mmol)のTHF溶液(21mL)にアルキン試薬(Synthesis 44,2895,2012)(697mg,3.14mmol)、Pd(PPh3)4 (121mg,0.105mmol)、Et3N (0.435mL,3.14mmol)、CuI(19.9mg,0.105mmol)を順次加え、室温で3日間撹拌した。その反応液に飽和NH4Cl水溶液(20mL)を加え、EtOAc(25mL)で3回抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(Hexane/EtOAc=10/1)で分離精製し、化合物01(239mg,53%)を得た。
1H NMR (500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.39(s,6H),0.95(s,9H),3.52(s,3H),3.53(s,3H),5.25(s,2H),5.26(s,2H),7.12(d,J=8.6Hz,1H),7.17(dd,J=8.6,1.7Hz,1H),7.34(d,J=1.7Hz,1H),7.86(s,1H),10.14(s,1H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C23H30O6SiNa:453.1709, found 453.1696
【0117】
(12)(E)-4-[{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル}エチニル]-3-{ブト-1―エンー1-イル)フラン―2―イル}(tert―ブチル)ジメチルシラン(化合物02)
【0118】
【0119】
-78℃に冷却したスルフォン試薬a(550mg,2.18mmol)のTHF溶液(3.0mL)に、0.5M KHMDSのトルエン溶液(4.80mL,2.40mmol)をゆっくり滴下後、-78℃で15分間撹拌した。その反応液に化合物01(220mg,0.512mmol)のTHF溶液(2.1mL)をゆっくり滴下し、-78℃で40分間撹拌後、0℃に昇温して15分間撹拌し、さらに室温に昇温後20分間撹拌した。その後、反応液に飽和NH4Cl水溶液(12mL)を加え、EtOAc(20mL)で3回抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(Hexane/EtOAc=20/1~10/1)で分離精製し、化合物02(230mg,98%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.30(s,6H),0.91(s,9H),1.09(t,J=7.4Hz,3H),2.21(m,2H),3.52(s,3H),3.52(s,3H),5.24(s,2H),5.26(s,2H),6.37(d,J=15.5Hz,1H),6.80(dt,J=15.5,6.3Hz,1H),7.10(dd,J=8.6,1.7Hz,1H),7.13(d,J=8.6Hz,1H),7.31(d,J=1.7Hz,1H),7.80(s,1H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C26H36O5SiNa:479.2230, found 479.2221
【0120】
(13)(E)-4-[{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル}エチニル]-3-{ブト-1―エンー1-イル)-5―ヒドロキシフラン―2(5H)―オン(化合物03)
【0121】
【0122】
0℃で化合物02(216mg,0.472mmol)のアセトン溶液(67mL)に95%ローズベンガル(6.9mg,0.00675mmol)を加え、酸素ガス雰囲気下、光照射し1時間撹拌した。その後、反応液を濃縮し、濃縮物をCHCl3(15mL)に溶解し、水(10mL×1)で洗浄後、Na2SO4で乾燥、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(Hexane/EtOAc=5/1~1.5/1)で分離精製し、化合物03(153mg,86%)を得た。
1H NMR (500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.11(t,J=7.4Hz,3H),2.30(m,2H),3.34(bs,1H),3.52(s,3H),3.54(s,3H),5.26(s,2H),5.29(s,2H),6.03(d,J=9.2Hz,1H),6.33(d,J=16.0Hz,1H),7.16-7.24(complex m,3H),7.35(s,1H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C20H22O7Na:397.1263, found 397.1244
【0123】
(14)(E)-3-[{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル}エチニル]-4-{ブト-1―エンー1-イル)フラン-2,5―ジオン(IKO-27)
【0124】
【0125】
化合物03(142mg,0.379mmol)のDCM溶液(38mL)にNaHCO3(326mg,3.88 mmol)とDess-Martin periodinane(697mg,3.14mmol)を順次加えた後、室温で3時間撹拌した。その原料の消失を確認後、反応液に飽和NaHCO3水溶液(20mL)を加えて撹拌後、有機層と水層を分離した。水層をCHCl3(20mL)で2回抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(Hexane/EtOAc=5/1~2/1)で分離精製し、IKO-27(122mg,86%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.17(t,J=7.4 Hz,3H),2.41(m,2H),3.53(s,3H),3.54(s,3H),5.27(s,2H),5.30(s,2H),6.50(dt,J=16.0,1.7Hz,1H),7.18(d,J=8.6Hz,1H),7.25(dd,J=8.6,2.3Hz,1H),7.39(d,J=2.3Hz,1H),7.47(dt,J=16.7,6.9Hz,1H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C20H20O7Na:395.1107, found 395.1100
【0126】
(15)2―(tert―ブチルジメチルシリル)-4-(4-メトキシメトキシフェニル)フラン-3-カルボアルデヒド(化合物05)
【0127】
【0128】
DMF(6.0mL)中の化合物8(202mg、0.600mmol)の攪拌溶液に化合物f(317mg、1.20mmol)を加え、次いでPd(dppf)Cl2・DCM錯体(49.0mg、0.0600mol)を加え、更にK2CO3(249mg、1.80mmol)を加え、80℃で、1日攪拌した。反応混合物に1N HCl(30mL)を加えて反応を停止させた。得られた混合物をEtOAc(30mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=3/1)で精製して粗精製物04を得た。これをさらに精製せずに次の反応に使用した。
【0129】
【0130】
化合物a(373mg、1.48mmol)およびDMPU(0.5ml)のTHF(2.5mL)溶液に、N2雰囲気下、-78℃でKHMDS(0.5Mのトルエン溶液、3.05mL、1.53mmol)をゆっくりと加えた。-78℃で10分間撹拌した後、攪拌している混合物中に粗精製物04のTHF溶液(2.5mL)を滴下し、-78℃で30分間撹拌した。次に、反応混合物に飽和NH4Cl水溶液(50 mL)を加え、反応を停止させた。得られた2つの層を、EtOAc(60mL×1)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=50/1)で精製して、黄色の油として化合物05(94.3mg、2工程で42%)を得た。
Rf=0.69(Hexane/EtOAc=5/1)
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.29(s,6H),0.94(s,9H),0.97(t,J=7.4Hz,3H),2.07(m,2H),3.51(s,3H),5.20(s,2H),5.64(dt,J=16.0,6.3Hz,1H),6.27(d,J=16.0Hz,1H),7.02(d,J=8.6Hz,2H),7.30(d,J=8.6Hz,2H),7.53(s,1H)
【0131】
(16)(E)―3-(ブト-1-エン-1-イル)-5-ヒドロキシ-4-(4―メトキシメトキシ)フェニルフラン-2(5H)―オン(化合物06)
【0132】
【0133】
0℃で化合物05(84.1mg,0.226mmol)のアセトン溶液(32mL)に95%ローズベンガル(3.6mg,0.00339mmol)を加え、酸素ガス雰囲気下、光照射し1時間撹拌した。その後、反応液を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(Hexane/EtOAc=5/1~3/1)で分離精製し、化合物06(52.0mg,79%)を得た。
Rf=0.44(Hexane/EtOAc=2/1)
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.08(t,J=6.9Hz,3H),2.25(m,2H),3.26(d,J=8.6Hz,1H),3.50(s,3H),5.23(s,2H),6.29(d,J=16.0Hz,1H),6.32(d,J=8.6Hz,1H),7.14(dt,J=16.0,6.9Hz,1H),7.14(d,J=8.6Hz,2H),7.53(d,J=8.6Hz,2H)
【0134】
(17)(E)-3-(ブトー1―エンー1―イル)-4-(4―メトキシメトキシフェニル)フランー2,5―ジオン(化合物07)
【0135】
【0136】
化合物06(43.1mg,0.149mmol)のDCM溶液(14.9mL)にNaHCO3(187mg,2.23mmol)とDess-Martin periodinane(315mg,0.743mmol)を順次加えた後、室温で3時間撹拌した。その原料の消失を確認後、反応液に飽和NaHCO3水溶液(20mL)を加えて撹拌後、有機層と水層を分離した。水層をCHCl3(50mL)で1回抽出し、有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/EtOAc=3/1)で分離精製し、化合物07(34.7mg,80%)を得た。
Rf=0.66(Hexane/EtOAc=1/1)
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.11(t,J=7.4Hz,3H),2.32(m,2H),3.50(s,3H),5.24(s,2H),6.47(dt,J=16.0,1.7Hz,1H),7.16(d,J=8.6Hz,2H),7.38(dt,J=16.0,6.9Hz,1H),7.58(d,J=8.6Hz,2H)
【0137】
(18)(E)―3-(ブトー1―エンー1―イル)-4-(4―メトキシメトキシフェニル)フランー2,5―ジオン(IKO-29)
【0138】
【0139】
90%TFAを含むCH2Cl2(9.0ml)中の化合物07(26.0mg、0.0902mol)の溶液を室温で2時間攪拌した。反応混合物を加圧下で濃縮して、粗混合物を得た。残留物をODSクロマトグラフィ(40%MeCN水溶液)で精製して、IKO-29(22.0 mg、quant.)をオレンジ色の固体として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.11(t,J=7.4Hz,3H),2.32(m,2H),6.47(dt,J=16.0,1.2Hz,1H),6.97(d,J=8.6Hz,2H),7.37(dt,J=16.0,6.9Hz,1H),7.55(d,J=8.6Hz,2H)
HRMS-FAB(NBA matrix)m/z:[M+H]+ calcd for C14H13O4:245.0814, found 245.0813
【0140】
(19)2-(tert-ブチルジメチルシリル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)フラン-3-カルバルデヒド(化合物48)
【0141】
【0142】
DMF(32.3mL)中の化合物8(543mg、1.62mmol)の攪拌溶液に化合物e(334mg、2.42mmol)を加え、次いでPd(dppf)Cl2・DCM複合体(264mg、0.334mol)を加え、更にBa(OH)2・8H2O(1.47g、4.67mmol)を加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物に1N HCl(160mL)を加えて反応を停止させた。得られた混合物をEtOAc(120mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(120mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=3/1)で精製して、化合物48(382mg、78%)を褐色固体として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.40(s,6H),0.97(s,9H),4.97(s,1H),6.86(m,2H),7.43(m,2H),7.65(s,1H),10.10(s,1H)
HRMS-ESI m/z:[M+H]+ calcd for C17H22NaO3Si:325.1236, found 325.1226
【0143】
(20)(E)-4-{4-(ブト-1-エン-1-イル)-5-(tert-ブチルジメチルシリル)フラン-3-イル}フェノール(化合物45)
【0144】
【0145】
化合物a(417mg、1.65mmol)およびDMPU(1.35ml)のTHF(4.0mL)溶液に、KHMDS(0.5Mのトルエン溶液、17.2mL)をN2雰囲気下-78℃でゆっくり加えた。-78℃で10分間撹拌した後、化合物48(100mg、0.331mmol)のTHF(16.1mL)溶液を撹拌混合物に滴下し、-78℃で30分間撹拌した。反応混合物に飽和NH4Cl水溶液(100mL)を加えて反応を停止させた。得られた2つの層をEtOAc(120mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100ml)で洗浄した。得られた混合物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=5/1)で精製して、化合物45(52.0mg、48%)を黄色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.29(s,6H),0.94(s,9H),0.97(t,J=7.5Hz,3H),2.06(dt,J=13.8Hz,J=7.2Hz,2H),4.69(s,1H),5.62(dt,J=16.0Hz,J=6.3Hz),6.27(d,J=16.0Hz,1H),6.82(m,2H),7.26(m,2H),7.53(s,1H)
HRMS-FAB (NMA matrix) m/z:[M+H]+ calcd for C20H28O2Si:328.1859, found 328.1866
【0146】
(21)(E)-4-(4-(ブト-1-エン-1-イル)-5-(tert-ブチルジメチルシリル)フラン-3-イル)フェニルスルフロフルオリデート(化合物46)
【0147】
【0148】
化合物45(30.8mg、0.0938mmol)のMeCN(4.7mL)溶液に、N2雰囲気下、0℃でNEt3(78.6μl)を加え、20分間撹拌した。撹拌混合物に、イミダゾリルスルフロフルオリデート(153.9mg、0.469mmol)のMeCN(4.7mL)溶液をゆっくりと滴下し、室温で1時間撹拌した。反応混合物に飽和NH4Cl水溶液(30mL)を加えて反応を停止させた。得られた混合物をEtOAc(20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30ml)で洗浄した。得られた混合物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をPTLC(ヘキサン/EtOAc=4/1)で精製して、化合物46(24.2mg、63%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.30(s,6H),0.95(s,9H),0.97(t,J=7.5Hz,3H),2.08(dt,J =14.3Hz,J=7.5Hz,2H),5.56(dt,J=16.0Hz,6.30,1H),6.26(d,J=16.0Hz,1H),7.32(m,2H),4.84(m,2H),7.61(s,1H)
HRMS-FAB(NMA matrix)m/z:[M+H]+ calcd for C20H27O4FSiS:410.1383, found 410.1384
【0149】
(22)(E)-4-(4-(ブト-1-エン-1-イル)-2-ヒドロキシ-5-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)フェニルスルフロフルオリデート(化合物51)
【0150】
【0151】
アセトン(1.57mL)中の化合物46(4.5mg、0.0110mmol)の攪拌溶液に、95%ローズベンガル(0.167mg、1.64μmol)を0℃、O2雰囲気下で添加し、光照射して1時間攪拌した。得られた混合物を加圧下で濃縮した。残留物をPTLC(ヘキサン/EtOAc=1/1)で精製して、化合物51(3.4mg、94%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.07(t,J=7.5Hz,3H),2.25(dt,J=14.3Hz,J=7.5Hz,2H),3.54(d,J=7.5Hz,1H),6.22(d,J=15.5Hz,1H),6.33(d,J=6.3Hz,1H),7.23(dt,J=16.0Hz,J=6.9Hz),7.47(m,2H),7.69(m,2H)
HRMS-FAB(NMA matrix)m/z:[M+H]+ calcd for C14H14O6FS:329.0495, found 329.0495
【0152】
(23)(E)-4-{4-(ブトー1―エンー1―イル)-2,5-ジオキソー2,5-ジヒドロフラン-3-イル}フェニル スルフロリデート(IKO-30)
【0153】
【0154】
化合物51(8.0mg、0.0244mmol)のDCM(2.4mL)溶液に、NaHCO3(326mg、3.88mmol)およびDess-Martin periodinane(20.5mg、0.244mmol)を室温、N2雰囲気下で加えた。室温で1時間攪拌した後、反応混合物を飽和NaHCO3水溶液(5mL)で希釈した。得られた混合物をCH2Cl2(30ml)で抽出した。合わせた有機層を、飽和NaHCO3水溶液:飽和Na2S2O3水溶液=1:1(20ml)で洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=3:1)で精製して、IKO-30(9.5mg、quant.)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.13(t,J=7. 5Hz,3H),2.36(dt,J=14.3Hz,7.45Hz,2H),6.45(d,J=16.0Hz,1H),7.51(complex multi, 3H),7.73(m,2H)
HRMS-FAB(NMA matrix)m/z:[M+H]+ calcd for C14H12O6FS:327.0339, found 327.0342
【0155】
(24)4-{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニルエチル}―2―(tert―ブチルジメチルシリル)フラン-3-カルボアルデヒド(化合物20)
【0156】
【0157】
化合物18(379mg、1.69mmol)の1,4-ジオキサン(17mL)溶液に、ビス(ピナコラート)ジボラン(662mg、2.61mmol)、Cs2CO3(1.46g、4.49mmol)、およびMeOH(0.340mL、8.44mmol)を室温で加え、混合物を100℃に温め、撹拌した。9時間後、混合物を室温まで冷却し、次いで飽和NH4Cl水溶液(25mL)を加えて反応を停止させた。得られた混合物をEtOAc(30mL×3回)で抽出し、合わせた有機層をブライン(50mL×1回)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物(461mg、ほぼ純粋な物質として約78%)を得た。これをさらに精製せずに次の反応に使用した。
【0158】
アセトン/H2O=1/1(v/v)(1.0mL)中のアルキルボロン酸ピナコールエステル(241mg、約0.685mmol)の攪拌溶液に、NaIO4(534 mg、2.49mmol)およびNH4OAc(192mg、2.49mmol)を室温で添加し、混合物を16時間攪拌した。次に、反応物を濾過して不溶性塩を除去し、濾液を濃縮した。残留物をH2O(20mL)に溶解し、EtOAc(30mL×2回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、化合物19(639mg、ほぼ純粋な物質として93%)を得た。これをさらに精製せずに次の反応に使用した。
【0159】
トルエン/H2O=9/1(0.82mL)中の化合物8(41.5mg、0.123mmol)および化合物19(170mg、約0.629mmol)の攪拌溶液に、RuPhos-Pd-G2(4.6mg、0.00590mmol)、K2CO3(52.1mg、0.377mmol)を室温で加え、混合物を120℃まで温めた。 16時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、飽和NH4Cl水溶液(10mL)を加えて反応を停止させた。得られた混合物をEtOAc(15mL×2回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=8/1)で精製して、化合物20(42.9mg、80%)を無色の油として得た。
Rf=0.18(ヘキサン/EtOAc=8/1)
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.38(s,6H),0.93(s,9H),2.81(t,J=7.4Hz,2H),2.95(t,J=7.4Hz,2H),3.52(s,6H),5.20(s,2H),5.21(s,2H),6.80(d,J=8.0Hz,1H),7.00(s,1H),7.05(d,J=8.0Hz,1H),7.34(s,1H),10.13(s,1H)
【0160】
(25)(E)-4-{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニルエチル}-3-{ブト-1―エンー1-イル)フラン―2―イル}(tert―ブチル)ジメチルシラン(化合物21)
【0161】
【0162】
化合物a(92.6mg、0.367mmol)のTHF(0.2mL)溶液に、0.5M KHMDSのトルエン(0.783mL、0.391mmol)溶液をN2雰囲気下、-78℃でゆっくりと加えた。-78℃で15分間撹拌した後、化合物20(41.1mg、0.0946mmol)のTHF(0.8mL)溶液を混合物に滴下し、-78℃で10分間撹拌した。反応混合物を50分間かけて徐々に室温まで温め、次に飽和NH4Cl水溶液(10mL)を加えて反応を停止させた。得られた混合物をEtOAc(10mL×3回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=3/1)で精製して、化合物21(38.3mg、88%)を黄色の油として得た。
Rf=0.33(Hexane/EtOAc=8/1)
1H NMR(500 MHz,CDCl3)δ(ppm):0.27(s,6H),0.91(s,9H),1.06(t,J=7.4Hz,3H),2.18(m,2H),2.75(m,2H),2.81(m,2H),3.52(s,3H),3.52(s,3H),5.21(s,2H),5.21(s,2H),5.92(dt,J=16.0,6.3Hz,1H),6.32(d,J=16.0Hz,1H),6.80(dd,J=8.0,2.3Hz,1H),7.00(d,J=2.3Hz,1H),7.07(d,J=8.0Hz,1H),7.33(s,1H)
【0163】
(26)(E)-4-{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニルエチル}-3-{ブト-1―エンー1-イル)-5―ヒドロキシフラン―2(5H)―オン(化合物22)
【0164】
【0165】
0℃で化合物21(36.8 mg,0.0799 mmol)のアセトン溶液(11.4mL)に95% ローズベンガル(1.2mg,0.00114mmol)を加え、酸素ガス雰囲気下、光照射し45分間撹拌した。その後、反応液を濃縮し、得られた濃縮物をCHCl3(15mL)に溶解し、水(10mL×1回)で洗浄後、Na2SO4で乾燥、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(Hexane/EtOAc=1/1)で分離精製し、化合物22(29.0 mg, 96%)を得た。
Rf=0.31(Hexane/EtOAc=1/1)
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.05(t,J=7.4Hz,3H),2.19(m,2H),2.74-2.91(complex m,4H),3.47(d,J=8.6Hz,1H),3.51(s,3H),3.52(s,3H),5.19(d,J=6.9Hz,1H),5.21(s,2H),5.24(d,J=6.9 Hz,1H),5.64(d,J=8.6Hz,1H),5.93(dt,J=16.0,1.7Hz,1H),6.76(dd,J=8.6,2.3Hz,1H),6.91(dd,J=16.0,6.9Hz,1H),6.97(d,J=2.3Hz,1H),7.08(d,J=8.0Hz,1H)
【0166】
(27)(E)-3-{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニルエチル}-4-{ブト-1―エンー1-イル)フラン-2,5―ジオン(IKO-31)
【0167】
【0168】
化合物22(27.2mg,0.0719mmol)のDCM溶液(7.2mL)にNaHCO3(81.2mg,1.03mmol)とDess-Martin periodinane(184mg,0.433mmol)を順次加えた後、室温で21時間撹拌した。原料の消失を確認後、反応液に飽和NaHCO3水溶液(5mL)と飽和Na2S2O3水溶液(5mL)を順次加え、よく撹拌後、有機層と水層を分離した。水層をCHCl3(15mL×2回)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(Hexane/EtOAc=5/1~2/1)で分離精製し、IKO-31(20.2mg, 75%)を得た。
Rf=0.52(Hexane/EtOAc=1/1)
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.04(t,J=6.9Hz,3H),2.21(m,2H),2.77(m,2H),2.83(m,2H),3.49(s,3H),3.50(s,3H),5.19(s,4H),5.88(dt,J=16.0,1.7Hz,1H),6.75(dd,J=8.0,1.7Hz,1H),6.91(d,J=1.7Hz,1H),7.07(d,J=8.0Hz,1H),7.11(dd,J=16.0,6.9Hz,1H)
【0169】
(28)(Z)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3-(ジメチルカーバモイル)ヘプト-2-エノイック アシッド ジメチルアンモニウム ソルト(IKO-32)
【0170】
【0171】
IKO-26(9.0mg,34.0μmol)のCH2Cl2溶液(1.7mL)に10%Me2NHのTHF溶液(30.0μL,44.3μmol)を加え、0℃で5分間撹拌後、反応液を減圧下で濃縮することで、IKO-32(12.4mg, quant.)を得た。
1H NMR(500MHz,D2O)δ(ppm):0.81(t,J=7.4Hz, 3H),1.28(m,2H),1.39(m,2H),2.27(m,2H),2.69(s,6H),2.87(s,3H),3.00(s,3H),6.75(dd,J=8.0,1.7Hz,1H),6.82(d,J=1.7Hz,1H),6.90(d,J=8.0Hz,1H)
MS-ESI m/z:[M-H]-:261.1(IKO-26として観察)
【0172】
(29)2-ブチル-3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)マレイック アシッド ソジウム ソルト(IKO-33)
【0173】
【0174】
IKO-26(1.5mg,5.70μmol)のMeCN溶液(0.114mL)に0.1 M NaHCO3水溶液(0.114mL,0.0114mmol)を加えた。室温で24時間撹拌後、反応液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をH2Oに溶解した。不溶物である未反応のIKO-26を濾過により取り除き、濾液を濃縮することで、IKO-33(1.9mg,quant.)を得た。
1H NMR(500MHz,D2O)δ(ppm):0.77(t,J=7.4Hz,3H),1.22(m,2H),1.33(m,2H),2.07(m,2H),6.68(dd,J=8.0,1.7Hz,1H),6.76(d,J=1.7Hz,1H),6.86(d,J=8.0Hz,1H)
HRMS-ESI m/z:[M-H]- calcd for C14H13O5:261.0763, found 261.0873(IKO-26として観察)
【0175】
(30)(E)-4-{3,4-ビス(メトキシメトキシ)スチリル}―2―(tert―ブチルジメチルシリル)フラン-3-カルボアルデヒド(化合物15)
【0176】
【0177】
アセトン/H2O=1/1(v/v)(8.3mL)中のビニルボロン酸ピナコールエステル(Synthesis;44:2895(2012))(1.83g、5.23mmol)の攪拌溶液に、NaIO4(4.03g、18.8mmol)及びNH 4OAc(1.45g、18.8mmol)を室温で加え、混合物を23時間撹拌した。次に、反応物を濾過して不溶性塩を除去し、濾液を濃縮した。残留物をH2O(15mL)に溶解し、EtOAc(15mL×2回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、化合物14(1.43g、quant.)を得た。これをさらに精製することなく次の反応に使用した。
【0178】
トルエン/H2O=9/1(7.0mL)中の化合物8(359mg、1.07mmol)および化合物14(1.43g、5.23mmol)の攪拌溶液に、RuPhos-Pd-G2(33.2mg、42.8mmol)、K2CO3(443mg、3.21mmol)を室温で添加し、混合物を120℃まで温めた。16時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、飽和NH4Cl水溶液(15mL)を加えて反応を停止させた。得られた二層を分離し、水相をEtOAc(25mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=10/1~6/1)で精製して、化合物15(343mg、74%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.40(s,6H),0.95(s,9H),3.52(s,3H),3.54(s,3H),5.24(s,2H),5.27(s,2H),6.93(d,J=16.6Hz,1H),7.13(s,2H),7.25-7.28(complex m,3H),10.17(s,1H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C23H32O6SiNa:455.1866, found 455.1867
【0179】
(31)[4-{(E)-3,4-ビス(メトキシメトキシ)スチリル}-3-{(E)-ブト-1-エン-1-イル}フラン-2-イル](tert―ブチル)ジメチルシラン(化合物16)
【0180】
【0181】
THF(1.75mL)中の化合物a(752mg、2.98mmol)とDMPU(0.75ml)の溶液に、0.5M KHMDSのトルエン(6.55mL、3.28mmol)溶液をN2雰囲気下、-78℃でゆっくりと加えた。-78℃で25分間撹拌した後、化合物15(322mg、0.745mmol)のTHF(5.0mL)溶液を混合物に滴下し、-78℃で40分間撹拌した。反応混合物を30分かけて徐々に室温まで温め、次いで飽和NH4Cl水溶液(10mL)を加えて反応を停止させた。得られた混合物をEtOAc(20mL×3回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=20/1~10/1)で精製して、化合物16(298mg、87%)を黄色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.27(s,6H),0.92(s,9H),1.08(t,J=7.4Hz,3H),2.21(m,2H),3.52(s,3H),3.54(s,3H),5.24(s,2H),5.26(s,2H),5.91(dt,J=16.0,6.3Hz,1H),6.36(dt,J=16.0,1.7Hz,1H),6.76(d,J=16.0Hz,1H),6.80(d,J=16.0Hz,1H),7.04(dd,J=8.6,2.3Hz,1H),7.13(d,J=8.6Hz,1H),7.26(d,J=2.3Hz,1H),7.71(s,1H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C26H38O5SiNa:481.2386, found 481.2371
【0182】
(32)4-{(E)-3,4-ビス(メトキシメトキシ)スチリル}-3-{(E)-ブト-1-エン-1-イル}-5-ヒドロキシフラン-2(5H)-オン(17)
【0183】
【0184】
化合物16(216mg,0.472mmol)のi-PrOH/H2O(1/1v/v)溶液(17mL)に2-methyl-2-propene(0.93mL,8.74mmol)、NaClO2(791mg,8.74mmol)及びNaH2PO4・2H2O(1.36g,8.74mmol)を加え、室温で2時間50分間撹拌した。その後、生成物を反応混合物からEtOAc(15mL×3回)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(Hexane/EtOAc=5/1~3/2)で分離精製し、化合物17(32.0mg,19%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.13(t,J=7.4Hz,3H),2.29(m,2H),3.23(d,J=9.2Hz,1H),3.53(s,3H),3.55(s,3H),5.28(s,2H),5.29(s,2H),6.23(d,J=9.2Hz,1H),6.31(dt,J=16.0,1.7Hz,1H),6.98(d,J=16.0Hz,1H),7.08(dt,J=16.0,6.9Hz,1H),7.13(d,J=16.0Hz,1H),7.18(s,2H),7.34(s,1H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C20H24O7Na:399.1420, found 399.1419
【0185】
(33)3-{(E)-3,4-ビス(メトキシメトキシ)スチリル}-4-{(E)-ブトー1-エン-1-イル}フラン-2,5-ジオン(IKO-34)
【0186】
【0187】
化合物17(30.0mg,0.0797mmol)のDCM溶液(8.0mL)にNaHCO3(90.7mg,1.08mmol)とDess-Martin periodinane(203mg,0.478mmol)を順次加えた後、室温で16時間撹拌した。原料の消失を確認後、反応液に飽和NaHCO3水溶液(10mL)と飽和Na2S2O3水溶液(5mL)を順次加え、よく撹拌後、有機層と水層を分離した。水層をCHCl3(10mL×2回)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(Hexane/EtOAc=5/1~3/1)で分離精製し、IKO-34(19.5mg,65%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.15(t,J=7.4Hz,3H),2.37(m,2H),3.52(s,3H),3.55(s,3H),5.28(s,2H),5.29(s,2H),6.46(dt,J=15.5,1.7Hz,1H),6.88(d,J=16.0Hz,1H),7.17-7.30(complexm,3H),7.37(d,J=1.7Hz,1H),7.93(d,J=16.0Hz,1H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C20H22O7Na:397.1263,found 397.1263
【0188】
(34)3-{(E)-ブトー1-エン-1-イル}-4-{(E)-3,4-ジヒドロキシスチリル}フラン-2,5-ジオン(IKO-35)
【0189】
【0190】
プラスチック製丸底フラスコを用いてIKO-34(17.5mg,0.0467mmol)のMeCN溶液(4.7mL)に70%HF・Py溶液(0.167mL,6.43mmol)を加え、さらにガラスウール(約50mg)加え、室温で20時間撹拌した。その原料の消失を確認後、反応液にH2O(0.06mL)を加えて濃縮後、粗生成物をODSカラムクロマトグラフィ(40%MeCN水溶液)で分離精製し、IKO-35(11.2mg,84%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.15(t,J=7.4Hz,3H),2.36(m,2H),5.49(bs,1H),5.67(bs,1H),6.44(d,J=15.5Hz,1H),6.84(d,J=16.0Hz,1H),6.90(d,J=8.0Hz,1H),7.07(dd,J=8.0,1.7Hz,1H),7.14(d,J=1.7Hz,1H),7.26(dt,J=15.5,6.9Hz,1H),7.89(d,J=16.0Hz,1H)
HRMS-ESI m/z:[M-H]- calcd for C16H13O5:285.0763,found 285.0751
【0191】
(35)(E)-3-(ブト-1―エンー1-イル)-4-{(3,4-ジヒドロキシフェニル)エチニル}フラン-2,5―ジオン(IKO-36)
【0192】
【0193】
プラスチック製丸底フラスコを用いてIKO-27(25.8mg,0.0693mmol)のMeCN溶液(7.0mL)に70%HF・Py溶液(0.10mL,3.85mmol)を加え、さらにガラスウール(約44mg)加え、室温で26時間撹拌した。その原料の消失を確認後、反応液にH2O(0.06mL)を加えて濃縮後、粗生成物をODSカラムクロマトグラフィー(40%MeCN水溶液)で分離精製し、IKO-36(8.3mg,42%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):1.16(t,J=7.4Hz,3H),2.40(m,2H),5.48(bs,1H),5.75(bs,1H),6.48(dt,J=16.0,1.7Hz,1H),6.91(d,J=8.0Hz,1H),7.12(s,1H),7.13(dd,J=8.0,1.7Hz,1H),7.45(dt,J=16.0,6.9Hz,1H)
HRMS-ESI m/z:[M-H]- calcd for C16H11O5:283.0607,found 283.0594
【0194】
(36)(Z)-[4-{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル}-3-{ヘプト-1―エンー1-イル)フラン―2―イル}](tert―ブチル)ジメチルシラン(化合物11)
【0195】
【0196】
-78oCでヘキシルフォスフォニウムブロミド(215mg,0.504mmol)のTHF溶液(0.9mL)に1.57Mn-BuLiヘキサン溶液(0.321mL,2.40mmol)をゆっくり滴下後、-78oCで5分間撹拌し、0℃に昇温後、さらに10分間撹拌した。その溶液を再度-78oCに冷却後、化合物33(68.3mg,0.168mmol)のTHF(2.5mL)溶液を滴下後、0℃に昇温し15分間撹拌し、さらに室温に昇温後20分間撹拌した。その後、反応液に飽和NH4Cl水溶液(10mL)を加え、EtOAc(15mL)で3回抽出し、合わせた有機層をH2O(20mL)で洗浄後、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(Hexane/EtOAc=20/1~10/1)で分離精製し、約2:1の幾何異性体混合物として化合物11(65.7mg,82%)を得た。
Rf=0.43(Hexane/EtOAc=4/1)
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.25(s,4H),0.29(s,2H),0.75(t,J=7.4Hz,2H),0.87(t,J=7.4Hz,1H),0.92(s,6H),0.95(s,3H),0.96-1.37(complexm,total4H),1.64,2.05(m,total2H),3.51,3.51,3.52,3.54(s,total6H),5.22,5.23,5.25(s,total4H),5.61(m,1H),6.28(m,1H),6.98(m,1H),7.12(m,1H),7.20(m,1H),7.54,7.67(s,total1H)
【0197】
(37)4-{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル}-3-ヘプチルフラン―2―イル(tert―ブチル)ジメチルシラン(化合物12)
【0198】
【0199】
化合物11(25.4mg、0.0535mmol)のEtOAc(1.1mL)溶液に、10% Pd/C(20wt%、5.1mg)を室温で加えた。次に、得られた懸濁液を1気圧のH2雰囲気でパージした。室温で16時間撹拌した後、反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、EtOAc(10ml)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、化合物12(25.5mg、quant.)を無色の油として得た。この生成物はさらに精製することなく次の反応に使用した。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.29(s,6H),0.84(t,J=6.9Hz,3H),0.95(s,9H),1.34-1.36(complexm,10H),2.53(m,2H),3.52(s,3H),3.54(s,3H),5.25(s,2H),5.26(s,2H),6.95(dd,J=8.6,1.7Hz,1H),7.16(d,J=8.6Hz,1H),7.20(d,J=1.7Hz,1H),7.57(s,1H)
13C NMR(125MHz,CDCl3)δ(ppm):-5.3(2C),14.2,17.7,22.7,24.8,26.7(3C),29.0,30.0,31.6,31.9,56.3,56.4,95.6,95.6,116.7,116.8,122.4,126.7,128.2,135.8,143.9,146.2,147.2,154.3
【0200】
(38)4-{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル}-3-ヘプチル-5-ヒドロキシフラン-2(5H)-オン(化合物13)
【0201】
【0202】
0℃で化合物09(23.9mg,0.0501mmol)のアセトン溶液(7.2mL)に95%ローズベンガル(0.73mg,0.00072mmol)を加え、酸素ガス雰囲気下、光照射し40分間撹拌した。その後、反応液を濃縮し、濃縮物をCHCl3(15mL)に溶解し、水で(10mL×1回)洗浄後、Na2SO4で乾燥、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(Hexane/EtOAc=5/1~3/2)で分離精製し、化合物13(9.2mg,46%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.87(t,J=7.4Hz,3H),1.23-1.41(complexm,9H),1.60(m,1H),2.51(m,2H),3.29(d,J=8.6Hz,1H),3.53(s,6H),5.27(s,2H),5.30(s,2H),6.35(d,J=8.6Hz,1H),7.19(dd,J=8.6,2.3Hz,1H),7.25(s,1H),7.45(d,J=2.3Hz,1H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C21H30O7Na:417.1889,found 417.1879
【0203】
(39)3-{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル}-4-ヘプチルフラン-2,5-ジオン(IKO-37)
【0204】
【0205】
化合物13(34.7mg,0.0880mmol)のDCM溶液(8.8mL)にNaHCO3(100mg,1.19mmol)とDess-Martin periodinane(224mg,0.528mmol)を順次加えた後、室温で30分間撹拌した。原料の消失を確認後、反応液に飽和NaHCO3水溶液(5mL)と飽和Na2S2O3水溶液(5mL)を順次加え、よく撹拌後、有機層と水層を分離した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(Hexane/EtOAc=5/1~3/1)で分離精製し、IKO-37(74.7mg,85%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.88(t,J=6.9Hz,3H),1.36-1.47(complexm,6H),152(m,2H),1.78(m,2H),2.66(m,2H),3.53(s,6H),5.27(s,2H),5.31(s,2H),7.28(d,J=8.6Hz,1H),7.33(dd,J=8.6,2.3Hz,1H),7.48(d,J=2.3Hz,1H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C21H28O7Na:415.1733,found 415.1729
【0206】
(40)3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-4-ヘプチルフラン-2,5-ジオン(IKO-38)
【0207】
【0208】
90%TFAを含むCH2Cl2(0.7ml)中の化合物07(26.3mg、0.0670mol)の溶液を室温で2時間撹拌した。反応混合物を加圧下で濃縮して、粗混合物を得た。残留物をODSクロマトグラフィ(40%MeCN水溶液)で精製して、IKO-38(14.9mg、73%)をオレンジ色の固体として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.88(t,J=6.9Hz,3H),1.23-1.34(complexm,6H),1.38(m,2H),1.65(m,2H),2.66(m,2H),5.43(bs,1H),5.58(bs,1H),6.99(d,J=8.6Hz,1H),7.13(dd,J=8.6,1.7Hz,1H),7.25(d,J=1.7Hz,1H)
HRMS-ESI m/z:[M-H]- calcd for C17H19O5:303.1233,found 303.1219
【0209】
(41)(Z)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3-(モルホリルカーバモイル)ヘプト-2-エノイック アシッド モルホリニウム ソルト(IKO-40)
【0210】
【0211】
IKO-26(2.9mg,11.0μmol)のCH2Cl2溶液(0.55mL)に0.1M morpholineのCH2Cl2(22.0μL,22.0μmol)溶液を加え、0℃で5分間撹拌後、反応液を減圧下で濃縮することで、IKO-40(5.4mg,quant.)を得た。
1H NMR(500MHz,D2O)δ(ppm):0.82(t,J=7.4Hz,3H),1.29(m,2H),1.40(m.2H),2.29(m,2H),3.21(m,6H),3.55(t,J=5.2Hz,2H),3.68(t,J=5.2Hz,2H),3.91(m.6H),6.76(dd,J=8.0,2.3Hz,1H),6.84(d,J=2.3Hz,1H),6.93(d,J=8.0Hz,1H)
MS-ESI m/z:[M-H]-:261.1(IKO-26として観察)
【0212】
(42)(Z)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3-{メチル(2-メチルアミノ)エチルカーバモイル}ヘプト-2-エノイック アシッド (IKO-41)
【0213】
【0214】
IKO-26(1.7mg,6.50μmol)のCH2Cl2溶液(0.065mL)に0.1M N,N’-dimethylethylenediamineのCH2Cl2溶液(6.50μL,6.50μmol)加え、0℃で5分間撹拌後、15分かけて徐々に室温まで昇温した。その後、反応液を減圧下で濃縮することで、IKO-41(2.4mg,quant.)を得た。
1H NMR(500MHz,D2O)δ(ppm):0.82(t,J=7.4Hz,3H),1.28(m,2H),1.39(m.2H),2.31(m,2H),2.66,2.77(s,total3H),2.91,3.04(s,total3H),3.31(m,2H),3.50,3.71(broadm,total2H),6.78(dd,J=8.0,2.3Hz,1H),6.85(d,J=2.3Hz,1H),6.93(d,J=8.0Hz,1H)
MS-ESI m/z:[M-H]-:261.1(IKO-26として観察)
【0215】
(43)(Z)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3-(イソプロピルメチルカーバモイル)ヘプト-2-エノイック アシッド イソプロピルメチルアンモニウム ソルト(IKO-42)
【0216】
【0217】
IKO-26(2.6mg,9.90μmol)のCH2Cl2溶液(1.0mL)にN-isopropylmethylamine(10.0μL,95.7μmol)加え、0℃で5分間撹拌後、反応液を減圧下で濃縮することで、IKO-42(4.2mg,quant.)を得た。
1H NMR(500MHz,D2O)δ(ppm):0.82,0.84(t,J=7.4Hz,total3H),0.93,1.40(m,total4H),1.07,1.30(d,J=6.9Hz,total12H),2.29(m,2H),2.66(s,3H),2.71,2.84(s,total3H),3.33(m,1H),4.21,4.54(m,total1H),6.76-6.79(complexm,1H),6.84-6.86(complexm,1H),6.91-6.93(complexm,1H)
MS-ESI m/z:[M-H]-:261.1(IKO-26として観察)
【0218】
(44)4-シクロヘキシルメチル-2-(tert―ブチルジメチルシリル)フラン-3-カーボアルデヒド(化合物08)
【0219】
【0220】
トルエン/H2O=9/1(2.1mL)中の化合物8(106mg、0.316mmol)および化合物g(135mg、0.947mmol)の攪拌溶液に、RuPhos-Pd-G2(9.8mg、0.0126mmol)、K2CO3(131mg、0.947mmol)をを室温で添加し、混合物を120℃に温めた。20時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷却し、飽和NH4Cl水溶液(10mL)を添加して反応を停止させた。得られた二層を分離し、水相をEtOAc(20mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=60/1)で精製して、化合物08(81.3mg、84%)を無色の油として得た。
Rf=0.47(Hexane/EtOAc=12/1)
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.37(s,6H),0.87-0.95(complexm,2H),0.92(s,9H),1.10-1.27(complexm,3H),1.48(m,1H),1.60-1.74(complexm,5H),2.54(d,J=6.3Hz,2H),7.37(s,1H),10.10(s,1H)
【0221】
(45)(E)-3-(ブト-1-エン-1-イル)-4-シクロヘキシルメチルフラン-2-イル(tert―ブチル)ジメチルシラン(化合物09)
【0222】
【0223】
化合物a(267mg、1.06mmol)とDMPU(0.27ml)のTHF(0.9mL)溶液に、KHMDS(0.5Mのトルエン溶液、2.33mL、1.17mmol)をN2雰囲気下、-78℃でゆっくり加えた。-78℃で10分間攪拌した後、化合物33(81.3mg、0.265mmol)のTHF(1.6mL)溶液を攪拌した混合物に滴下し、-78℃で10分間攪拌した。反応混合物を50分かけて徐々に室温まで温め、次いで、飽和NH4Cl水溶液(10mL)を加えて反応を停止させた。得られた混合物をEtOAc(10mL×3回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(100%ヘキサン)で精製して、化合物09(68.1mg、77%)を黄色の油として得た。
Rf=0.77(Hexane/EtOAc=12/1)
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.26(s,6H),0.88-0.94(complexm,2H),0.90(s,9H),1.06(t,J=7.4Hz,3H),1.13-1.26(complexm,3H),1.47(m,1H),1.61-1.76(complexm,5H),2.17(m,2H),2.31(d,J=6.3Hz,2H),5.84(dt,J=16.0,6.3Hz,1H),6.28(dt,J=16.0,1.7Hz,1H),7.29(s,1H)
【0224】
(46)3-(ブト-1-エン-1-イル)-4-シクロヘキシルメチル-5-ヒドロキシフラン-2(5H)-オン(化合物10)
【0225】
【0226】
0℃で化合物09(68.1mg,0.205mmol)のアセトン溶液(29mL)に95%ローズベンガル(3.0mg,0.00293mmol)を加え、酸素ガス雰囲気下、光照射し55分間撹拌した。その後、反応液を濃縮し、濃縮物をCHCl3(15mL)に溶解して、水で(10mL×1回)洗浄後、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(Hexane/EtOAc=8/1~4/1)で分離精製し、化合物10(43.7mg,85%)を得た。
Rf=0.29(Hexane/EtOAc=3/1)
1HNMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.88-0.98(complexm,2H),1.07(t,J=7.4Hz,3H),1.14-1.30(complexm,3H),1.57-1.77(complexm,6H),2.21(m,2H),2.36(m,2H),3.12(d,J=7.4Hz,1H),5.91(d,J=7.4Hz,1H),6.03(dt,J=16.0,1.7Hz,1H),6.99(dt,J=16.0,6.9Hz,1H)
【0227】
(47)3-(ブトー1-エン-1-イル)-4-シクロヘキシルメチルフラン-2,5-ジオン(IKO-43)
【0228】
【0229】
化合物10(41.8mg,0.167mmol)のDCM溶液(17.0mL)にNaHCO3(150mg,1.79mmol)とDess-Martin periodinane(307mg,0.724mmol)を順次加えた後、室温で1時間撹拌した。原料の消失を確認後、反応液に飽和NaHCO3水溶液(10mL)を加え、有機層と水層を分離した。有機層を飽和Na2S2O3水溶液(10mL)で洗浄後、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(Hexane/EtOAc=20/1)で分離精製し、IKO-43(38.6mg,93%)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.95-1.03(complexm,2H),1.12(t,J=7.4Hz,3H),1.12-1.27(complexm,3H),1.61-1.74(complexm,6H),2.31(m,2H),2.39(d,J=7.4Hz,2H),6.21(dt,J=16.0,1.7Hz,1H),7.24(dt,J=16.0,6.9Hz,1H)
HRMS-FAB(NMA matrix)m/z:[M+H]+ calcd for C15H21O3:249.1491,found 249.1501
【0230】
(48)(Z)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3-(ジエチルカーバモイル)ヘプト-2-エノイック アシッド ジエチルアンモニウム ソルト(IKO-44)
【0231】
【0232】
IKO-26(3.0mg,11.0μmol)のCH2Cl2溶液(1.1mL)にdiethylamine(10.0μL,96.0μmol)加え、0℃で5分間撹拌後、反応液を減圧下で濃縮することで、IKO-44(5.0mg,quant.)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.74(t,J=6.9Hz,3H),0.85(t,J=6.9Hz,3H),1.06(t,J=6.9Hz,3H),1.25(t,J=6.9Hz,6H),1.32(m,2H),1.42(m,2H),2.31(m,2H),3.05(q,J=6.9Hz,4H),3.29(q,J=6.9Hz,2H),3.37(q,J=6.9Hz,2H),6.68(dd,J=8.0,2.3Hz,1H),6.77(d,J=2.3Hz,1H),6.83(d,J=8.0Hz,1H)
MS-ESI m/z:[M-H]-:261.1(IKO-26として観察)
【0233】
(49)(Z)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3-(ピペリジルカーバモイル)ヘプト-2-エノイック アシッド ピペリジニウム ソルト(IKO-45)
【0234】
【0235】
IKO-26(2.6mg,9.91μmol)のCH2Cl2溶液(0.99mL)にpiperidine(10.0μL,101μmol)加え、0℃で5分間撹拌後、10分かけて徐々に室温まで昇温した。その後、反応液を減圧下で濃縮することで、IKO-45(4.3mg,quant.)を得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):0.84(t,J=7.4Hz,3H),1.26-1.77(complexm,16H),2.30(m,2H),3.12(m,4H),3.45(m,4H),6.56(dd,J=8.0,2.3Hz,1H),6.69(d,J=2.3Hz,1H),6.74(d,J=8.0Hz,1H)
MS-ESI m/z:[M-H]-:261.1(IKO-26として観察)
【0236】
(50)(3-(4-(ベンジルオキシ)ブト-1-エン-1-イル)-4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)フラン-2-イル)(tert-ブチル)ジメチルシラン(化合物18)
【0237】
【0238】
化合物17(10.9g、22.2mmol)のTHF(82.5mL)溶液に、0.5M KHMDSのトルエン(22.2mL、22.2mmol)溶液をN2雰囲気下、-78℃でゆっくりと加えた。-78℃で1時間撹拌した後、混合物を0℃まで温め、10分間撹拌し、その後再び-78℃まで冷却した。得られた混合物に、化合物11(1.50g、3.69mmol)のTHF(10mL)溶液を滴下した。-78℃で1時間撹拌した後、反応混合物に飽和NH4Cl水溶液(150mL)を加えて反応を停止させ、EtOAc(100mL×3回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=10/1)により精製して、化合物18(1.40g、70%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm) for Z-isomer:7.68(s,1H),7.32-7.23(complexm,5H),7.21(d,J=2.3Hz,1H),7.09(d,J=8.0Hz,1H),6.99(dd,J=8.0,2.3Hz,1H),6.42(d,J=10.9Hz,1H),5.71(m,1H),5.21(s,2H),5.20(s,2H),4.30(s,2H),3.51(s,3H),3.49(s,3H),3.10(t,J=6.9Hz,2H),2.02(m,2H),0.91(s,9H),0.24(s,6H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C31H42O6SiNa:561.2648,found 561.2640
【0239】
(51)4-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-2-(tert-ブチルジメチルシリル)フラン-3-イル)ブタン-1-オール(化合物19)
【0240】
【0241】
1% AcOH/MeOH(40.0mL)中の化合物18(1.20g、2.23mmol)の撹拌溶液に、室温で10% Pd/C(500mg)を加えた。室温、H2雰囲気下で1日間攪拌した後、反応混合物をセライトパッドを通過させて濾過し、Pd/Cを除去した。MeOH(20mL)で洗浄し、合わせた濾液を濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=1/1)で精製して、化合物19(0.97g、96%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.57(s,1H),7.19(d,J=1.7Hz,1H),7.16(d,J=8.0Hz,1H),6.95(dd,J=8.0,1.7Hz,1H),5.25(s,2H),5.25(s,2H),3.54(s,3H),3.53(s,3H),3.53(t,J=6.6Hz,2H),2.58(m,2H),1.50(m,2H),1.42(m,2H),0.95(s,9H),0.29(s,6H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C24H38O6SiNa:473.2335,found 473.2326
【0242】
(52)(3-(4-アジドブチル)-4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)フラン-2-イル)(tert-ブチル)ジメチルシラン(化合物20)
【0243】
【0244】
PPh3(0.67g、2.55mmol)のTHF(4.0mL)溶液に、DIAD(0.52mL、2.55mmol)を0℃、N2雰囲気下で加えた。0℃で30分間撹拌した後、反応液に化合物19(0.88g、1.96mmol)のTHF(2.0mL)溶液を滴下し、0℃で2時間撹拌した。次に、DPPA(1.3当量)を混合物に加え、反応物を0℃でさらに1時間撹拌し、次にTHF(6.0mL)で希釈し、加圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=5:1)で精製して、化合物20(0.92g、98%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.58(s,1H),7.18(d,J=2.3Hz,1H),7.16(d,J=7.5Hz,1H),6.93(dd,J=7.5,2.3Hz,1H),5.24(s,2H),5.24(s,2H),3.53(s,3H),3.51(s,3H),3.13(t,J=6.9Hz,2H),2.59(m,2H),1.51(m,2H),1.40(m,2H),0.95(s,9H),0.29(s,6H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C24H37N3O5SiNa:498.2400,found 498.3485
【0245】
(53)4-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-2-(tert-ブチルジメチルシリル)フラン-3-イル)ブタン-1-アミン(化合物21)
【0246】
【0247】
2.0M LAHのEt2O(0.166mL、0.331mmol)溶液に、化合物20(0.105g、0.221mmol)のEt2O(1.11mL)溶液をN2雰囲気下、-78℃で加え、3時間撹拌した。反応混合物を0℃まで温め、さらに1時間撹拌し、Na2SO4・10H2O(1.0g)を加えて反応を停止させた。混合物を濾過して固体物質を除去し、濾液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=4:1からCHCl3/MeOH=10:1)により精製して、化合物21(42.7mg、43%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.55(s,1H),7.15(bs,1H),7.14(d.J=8.6Hz,1H),6.91(dd,J=8.6,1.7Hz,1H),5.24(s,2H),5.23(s,2H),3.52(s,3H),3.51(s,3H),2.66(bs,2H),2.55(m,2H),1.50(m,2H),1.35(m,2H),0.93(s,9H),0.27(s,6H)
HRMS-ESI m/z:[M+H]+ calcd for C24H40NO5Si:450.2676,found 450.2692
【0248】
(54)tert-ブチル(4-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-2-(tert-ブチルジメチルシリル)フラン-3-イル)ブチル)カルバメート(化合物22)
【0249】
【0250】
化合物21(222mg、0.493mmol)およびEt3N(150μL、1.09mmol)のTHF(5.0 mL)溶液に、Boc2O(118mg、0.542mmol)を室温で加えた。3時間撹拌した後、反応混合物に飽和NH4Cl水溶液を加えて反応を停止させた。(10mL)。得られた混合物をEtOAc(15mL ×3回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=8:1~4:1)で精製して、化合物22(258mg、95%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.56(s,1H),7.18(d,J=2.3Hz,1H),7.15(d,J=8.0Hz,1H),6.93(dd,J=8.0,2.3Hz,1H),5.25(s,2H),5.25(s,2H),4.50(bs,1H),3.54(s,3H),3.52(s,3H),3.00(m,2H),2.55(m,2H),1.43-1.35(complexm,4H),1.41(s,9H),0.94(s,9H),0.28(s,6H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C29H47NO7SiNa:572.3020,found 572.3006
【0251】
(55)tert-ブチル(4-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-5-ヒドロキシ-2-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ブチル)カルバメート(化合物24)
【0252】
【0253】
アセトン(4.5mL)中の化合物22(24.7mg、0.0449mmol)の攪拌溶液に、ローズベンガル(1.0mg、0.983μmol)を、-10℃、O2雰囲気下で加え、攪拌しながら2時間光照射した。得られた混合物を加圧下で濃縮し、H2O(10mL)で希釈した。水溶液をCHCl3(10mL×2回)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をPTLC(ヘキサン/EtOAc=1/1)で精製して、化合物24(16.5mg、79%)を黄色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.43(bs,1H),7.21(bs,2H),6.35(s,1H),5.26(s,2H),5.25(s,2H),4.76(bs,1H),3.51(s,3H),3.50(s,3H),3.32(bs,1H),3.08(m,2H),2.49(m,2H),1.63(m,2H),1.55(m,2H),1.39(s,9H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C23H33NO9Na:490.2053,found 490.2041
【0254】
(56)tert-ブチル(4-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ブチル)カルバメート(TAO-06)
【0255】
【0256】
化合物24(21.1mg、0.045mmol)のDCM(4.5mL)溶液に、NaHCO3(7.6mg、0.0900mmol)およびDess-Martin periodinane(86.0mg、0.203mmol)を室温、N2雰囲気下で加えた。室温で1時間撹拌した後、反応物にH2O(10mL)を加えて反応を停止させた。得られた二層を分離し、水相をCHCl3(5ml×3回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=2:1)で精製して、TAO-06(18.6mg、89%)を黄色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):8.27(dd,J=7.5,1.7Hz,1H),8.01(d,J=7.5,1.7Hz,1H),7.55(d,J=1.7Hz,1H),5.32(s,2H),5.29(s,2H),3.54(s,3H),3.53(s,3H),3.16(m,2H),2.68(m,2H),1.71(m,2H),1.61(m,3H),1.25(s,9H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C23H31NO9Na:488.1897,found 488.1892
【0257】
(57)3-(ブチルアミン-4-イル)-4-(3,4-ジヒドロキシフェニル)フラン-2,5-ジオン と (Z)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(2-オキオアゼパン-3-イリデン)アセティック アシッド の混合物(TAO-03)
【0258】
【0259】
90%TFAを含有するCH2Cl2(0.01M)中のTAO-06(4.3mg、0.0092mmol)の溶液を室温で3時間撹拌した。反応混合物を加圧下で濃縮してTAO-03を得、これを精製せずに次の反応に使用した。
【0260】
(58)(Z)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(2-オキオアゼパン-3-イリデン)アセティック アシッド(TAO-01)
【0261】
【0262】
H2O(0.81ml)中のNH3水溶液を含むTAO-03の溶液を、室温で5分間撹拌した。反応混合物を加圧下で濃縮して、粗混合物を得た。残留物をODSクロマトグラフィ(80% MeCN/H2O~100%MeCN)で精製して、TAO-01(2.0mg、78%)を褐色油として得た。
1H NMR(500MHz,D2O)δ(ppm):6.92(m,1H),6.83-6.71(complexm,2H),6.73(m,1H),2.88(t,J=7.2Hz,2H),2.19(m,2H),1.59(m,2H),1.46(m,2H)
HRMS-ESI m/z:[M-H]- calcd for C14H14NO5:276.0872,found 276.0880
【0263】
(59)(3-(3-(ベンジルオキシ)プロプ-1-エン-1-イル)-4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)フラン-2-イル)(tert-ブチル)ジメチルシラン(化合物28)
【0264】
【0265】
化合物27(7.40g、15.5mmol)のTHF(109mL)溶液に、0.5M KHMDSのトルエン(31.0mL、15.5mmol)溶液を-78℃、N2雰囲気下でゆっくり加えた。-78℃で1時間撹拌した後、0℃まで加温した。10分間撹拌した後、混合物を再び-78℃まで冷却した。得られた混合物に、化合物11(2.10g、5.17mmol)のTHF(20mL)溶液を滴下した。反応混合物を-78℃で1時間撹拌し、次に飽和NH4Cl水溶液(130mL)を加えて反応を停止させた。得られた二層を分離し、水相をEtOAc(100mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=10/1)で精製して、化合物28(1.97g、72%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm)forZ-isomer:7.67(s,1H),7.28-7.10(complexm,7H),6.96(dd,J=8.6,2.3Hz,1H),6.53(dt,J=11.5,1.7Hz,1H),5.83(m,1H),5.20(s,2H),5.20(s,2H),4.14(s,2H),3.64(dd,J=6.31.7Hz,2H),3.50(s,3H),3.48(s,3H),0.93(s,9H),0.26(s.6H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C30H40O6SiNa:547.2492 found 547.2482
【0266】
(60)3-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-2-(tert-ブチルジメチルシリル)フラン-3-イル)プロパン-1-オール(化合物29)
【0267】
【0268】
MeOH(0.05M)中の化合物28(1.07g、2.03mmol)の撹拌溶液に、H2雰囲気下、室温で10% Pd/C(0.33g)およびAcOH(0.366mL、6.10mmol)を加えた。室温で1日撹拌した後、反応混合物を濾過してPd/Cを除去し、濾液を濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=1/1)で精製して、化合物29(0.633g、71%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.59(s,1H),7.21(d,J=1.7Hz,1H),7.15(d,J=8.6Hz,1H),6.96(dd,J=8.6,1.7Hz,1H),5.24(s,2H),5.24(s,2H),3.53(t,J=6.3Hz,2H),3.53(s,3H),3.52(s,3H),2.68(m,2H),1.60(m,2H),0.94(s,9H),0.29(s.6H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C23H36NaO6Si:459.2179,found 459.2179
【0269】
(61)(3-(3-アジドプロピル)-4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)フラン-2-イル)(tert-ブチル)ジメチルシラン(化合物30)
【0270】
【0271】
PPh3(0.65g、2.46mmol)のTHF(4.0mL)溶液にDIAD(0.42mL、2.46mmol)を0℃、N2雰囲気下で加えた。0℃で30分間撹拌した後、化合物29(0.827g、1.90mmol)のTHF(1.4mL)溶液を滴下し、0℃で1時間撹拌した。次に、DPPA(0.53mL、2.46mmol)を加え、混合物を0℃で1時間撹拌した。反応混合物をTHFで希釈し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=5:1)で精製して、化合物30(0.874g、quant.)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.58(s,1H),7.18(d,J=2.3Hz,1H),7.17(d,J=8.6Hz,1H),6.94(dd,J=8.6,2.3Hz,1H),5.25(s,4H),3.54(s,3H),3.53(s,3H),3.16(t,J=6.9Hz,2H),2.66(m,2H),1.59(m,2H),0.95(s,9H),0.31(s.6H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C23H35N3O5SiNa:484.2244,found 484.2230
【0272】
(62)3-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-2-(tert-ブチルジメチルシリル)フラン-3-イル)プロパン-1-アミン(化合物31)
【0273】
【0274】
2.0M LAHのEt2O(1.43mL、2.85mmol)溶液に、化合物30のEt2O(9.5mL)溶液を-78℃、N2雰囲気下で加えた。1時間撹拌した後、反応混合物を0℃まで加温し、さらに3時間撹拌し、Na2SO4・10H2O(3.0g)を加えて反応を停止させた。次に、反応混合物を濾過して固体物質を除去し、濾液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=1/3)で精製して、化合物31(0.600g、72%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.58(s,1H),7.19(d,J=1.7Hz,1H),7.16(d,J=8.6Hz,1H),6.95(dd,J=8.6,1.7Hz,1H),5.25(s,2H),5.25(s,2H),3.54(s,3H),3.52(s,3H),2.62-2.58(complexm,4H),1.49(m,2H),0.95(s,9H),0.29(s.6H)
HRMS-ESI m/z:[M+H]+ calcd for C23H38NO5Si:436.2519,found 436.2512
【0275】
(63)tert-ブチル(3-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-2-(tert-ブチルジメチルシリル)フラン-3-イル)プロピル)カルバメート(化合物32)
【0276】
【0277】
化合物31(0.600g、1.37mmol)およびEt3N(0.420mL、3.02mmol)のTHF(13.7mL)溶液に、Boc2O(330mg、1.51mmol)を0℃で加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応液に飽和NH4Cl水溶液(10mL)を加えて反応を停止させた。得られた2つの層を分離し、水層をEtOAc(10mL×3回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=2:1)で精製して、化合物32(629mg、85%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.57(s,1H),7.18(d,J=1.7Hz,1H),7.16(d,J=8.6Hz,1H),6.95(dd,J=8.6,1.7Hz,1H),5.25(s,4H),4.44(bs,1H),3.54(s,3H),3.53(s,3H),3.04(m,2H),2.60(m,2H),1.50(m,2H),1.41(s,9H),0.94(s.9H),0.29(s,6H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C28H45NO7SiNa:558.2863,found 558.2855
【0278】
(64)tert-ブチル(3-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-5-ヒドロキシ-2-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)プロピル)カルバメート(化合物34)
【0279】
【0280】
アセトン(9.5mL)中の化合物32(30.0mg、0.0575mmol)の攪拌溶液に、O2雰囲気下、-10℃でローズベンガル(0.83mg、0.815μmol)を加え、攪拌しながら2時間光照射した。得られた混合物を加圧下で濃縮し、H2O(10mL)で希釈した。水溶液をCHCl3(10mL×2回)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をPTLC(ヘキサン/EtOAc=1/1)により精製して、化合物24(12.5mg、48%)を黄色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.42(bs,1H),7.20(bs,2H),6.29(d,J=7.4Hz,1H),6.15(bs,1H),5.25(s,2H),5.24(s,2H),5.00(bs,1H),3.50(s,3H),3.49(s,3H),3.14(m,2H),2.53(m,2H),1.77(m,2H),1.37(s,9H).
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C22H31NNaO9:476.1897,found 476.1902
【0281】
(65)tert-ブチル(3-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)プロピル)カルバメート(TAO-05)
【0282】
【0283】
化合物34(92.8mg、0.204mmol)のDCM(20.4mL)溶液に、NaHCO3(34.0mg、0.408mmol)およびDess-Martin periodinane(400mg、0.918mmol)をN2雰囲気下、室温で加えた。1時間撹拌した後、反応液にH2O(10mL)を加えて反応を停止させた。得られた2層を分離し、水相をCHCl3(10ml×3回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=2:1)で精製して、TAO-05(92.7mg、quant.)を黄色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.42(d,J=2.6Hz,1H),7.33(dd,J=8.4,2.6Hz,1H),7.25(d,J=8.4Hz,1H),5.27(s,2H),5.26(s,2H),4.80(bs,1H),3.51(s,3H),3.49(s,3H),3.21(m,2H),2.69(m,2H),1.83(m,2H),1.39(s,9H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C22H29NO9Na:474.1740,found 474.1751
【0284】
(66)3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)―4-(プロピルアミン-3-イル)フラン-2,5-ジオン と (Z)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(2-オキソピペリジン-3-イリデン)アセティック アシッド の混合物(TAO-04)
【0285】
【0286】
90%TFAを含有するCH2Cl2(1.5ml)中のTAO-05(6.7mg、14.8μmol)の溶液を室温で2.5時間撹拌した。反応混合物を加圧下で濃縮してTAO-04を得、これを精製することなく次の反応に使用した。
【0287】
(67)(Z)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(2-オキソピペリジン-3-イリデン)アセティック アシッド(TAO-02)
【0288】
【0289】
H2O(0.1ml)中のNH3水溶液を含む粗製TAO-04(約14.8μmol)の溶液を室温で5分間撹拌した。反応混合物を加圧下で濃縮して、粗混合物を得た。残留物をODSクロマトグラフィ(80% MeCN/H2O~100%MeCN)で精製して、TAO-02(3.9mg、14.8μmol)を褐色油として得た。
1H NMR(500MHz,D2O)δ(ppm):6.92(d,J=8.0Hz,1H),6.88(d,J=2.3Hz,1H),6.80(dd,J=8.0,2.3Hz,1H),3.31(t,J=5.7Hz,2H),2.46(m,2H),1.76(m,2H)
HRMS-ESI m/z:[M-H]- calcd for C13H12NO5:262.0716,found 262.0710
【0290】
(68)[3-(7-ベンジルオキシペント-1-エン-1-イル)-4-{3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル}フラン-2-イル](tert―ブチル)ジメチルシラン(化合物38)
【0291】
【0292】
化合物37(6.20g、12.0mmol)のTHF(80mL)溶液に、0.5M KHMDSのトルエン溶液(24.0mL、12.0mmol)を-78℃、N2雰囲気下でゆっくり加えた。-78℃で1時間撹拌した後、混合物を0℃まで加温し、0℃で10分間撹拌し、再び-78℃まで冷却した。化合物33(1.62g、3.99mmol)のTHF(20mL)溶液を混合物に滴下し、得られた溶液を-78℃で1時間撹拌した。次に、反応液に飽和NH4Cl水溶液(30mL)を加えて反応を停止させた。得られた二層を分離し、水相をEtOAc(50mL×2回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=5/1)で精製して、化合物38(1.24g、55%)を黄色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm)forZ-isomer:7.68(s,1H),7.33(d,J=1.7Hz,1H),7.35-7.26(complexm,5H),7.21(dd,J=8.6,1.7Hz,1H),7.10(d,J=8.6Hz,1H),6.32(d,J=11.5Hz,1H),5.62(m,1H),5.22(s,2H),5.21(m,2H),4.45(s,2H),3.52(s,3H),3.50(s,3H),3.35(t,J=6.9Hz,2H),1.68(m,2H),1.43(m,2H),1.12(m,2H),1.03(m,2H),0.93(s,9H),0.25(s,6H).
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C34H48NaO6Si:603.3118,found 603.3103
【0293】
(69)7-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-2-(tert-ブチルジメチルシリル)フラン-3-イル)ヘプタン-1-オール(化合物39)
【0294】
【0295】
MeOH(40.0mL)中の化合物38(1.24g、2.21mmol)の攪拌溶液に、10% Pd/C(500mg)およびAcOH(0.40mL、6.69mmol)を室温、H2雰囲気下で加えた。室温で3時間撹拌した後、反応混合物を濾過してPd/Cを除去し、濾液を濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=1/1)で精製して、化合物39(1.02g、94%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.57(s,1H),7.19(d,J=2.3Hz,1H),7.15(d,J=8.6Hz,1H),6.95(dd,J=8.6,2.3Hz,1H),5.25(s,2H),5.24(s,2H),3.58(t,J=6.9Hz,2H),3.55(s,3H),3.52(s,3H),2.54(m,2H),1.47(m,2H),1.33(m,2H),1.27-1.22(complexm,6H),0.95(s,9H),0.29(s,6H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C27H44O6SiNa:515.2805,found 515.2795
【0296】
(70)(3-(7-アジドヘプチル)-4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)フラン-2-イル)(tert-ブチル)ジメチルシラン(化合物40)
【0297】
【0298】
PPh3(682mg、2.60mmol)のTHF(4.0mL)溶液に、DIAD(0.520mL、2.60mmol)を0℃、N2雰囲気下で加えた。0℃で30分間撹拌した後、化合物39(873mg、2.00mmol)のTHF(1.7mL)溶液を0℃で1時間滴下した。次に、DPPA(0.560mL、2.60mmol)を加え、混合物を0℃で4時間撹拌した。反応混合物をTHFで希釈し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=5:1)で精製して、化合物40(1.03g、1.99mmol)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.57(s,1H),7.19(d,J=1.7Hz,1H),7.16(d,J=8.6Hz,1H),6.95(dd,J=8.6,1.7Hz,1H),5.25(s,2H),5.25(s,2H),3.54(s,3H),3.52(s,3H),3.21(t,J=6.9Hz,2H),2.54(m,2H),1.53(m,2H),1.33(m,2H),1.28-1.23(complexm,6H),0.95(s,9H),0.29(s,6H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C27H43N3O5SiNa:540.2870,found 540.2854
【0299】
(71)tert-ブチル(7-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-2-(tert-ブチルジメチルシリル)フラン-3-イル)ヘプチル)カルバメート(化合物41)
【0300】
【0301】
Et2O(1.50mL、3.00mmol)に加えた、2.0M LAHのEt2O(1.5当量)溶液に、化合物40(1.03g、2.00mmol)のEt2O(8.50mL)溶液を、N2雰囲気下、-78℃で添加した。1時間撹拌した後、反応混合物を0℃まで温め、2.5時間撹拌し、Na2SO4・10H2O(5g)を加えて反応を停止させた。次に、反応混合物を濾過して固体物質を除去し、濾液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物のTHF(14.3mL)溶液に、Et3N(0.44mL、3.15mmol)及びBoc2O(0.400g、1.57mmol)を加えた。室温で2時間撹拌した後、反応混合物に飽和NH4Cl水溶液(20mL)を加えて反応を停止させた。得られた2つの層を分離し、水層をEtOAc(20mL×3回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=2/1)で精製して、化合物41(532mg、2工程で63%)を無色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.56(s,1H),7.19(d,J=1.7Hz,1H),7.15(d,J=8.6Hz,1H),6.94(dd,J=8.6,1.7Hz,1H),5.25(s,2H),5.24(s,2H),4.54(bs,1H),3.54(s,3H),3.52(s,3H),3.04(m,2H),2.53(m,2H),1.43(s,9H),1.38(m,2H),1.31(m,2H),1.19(m,6H),0.94(s,9H),0.28(s,6H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C32H53NO7SiNa:614.3489,found 614.3474
【0302】
(72)tert-ブチル(7-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘプチル)カルバメート(化合物42)
【0303】
【0304】
アセトン(150mL)中の化合物41(532mg、0.899mmol)の攪拌溶液に、ローズベンガル(13.2mg)を-10℃、O2雰囲気下で添加し、光照射して30分間攪拌した。得られた混合物を加圧下で濃縮し、H2O(20mL)で希釈した。水溶液をCHCl3(30mL×2回)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc=5/1)で精製して、化合物42(492mg、88%)を黄色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.34(d,J=2.2Hz,1H),7.21(d,J=8.1Hz,1H),7.10(dd,J=8.1,2.2Hz,1H),6.23(s,1H),5.28(s,2H),5.25(d,J=6.9Hz,1H),5.23(d,J=6.9Hz,1H),4.52(bs,1H),3.53(s,3H),3.52(s,3H),3.08(m,2H),2.44(m,2H),1.56(m,2H),1.48-1.41(complexm,10H),1.34(m,2H),1.32-1.27(complexm,4H),1.25(s,9H),0.18(s,3H),0.15(s.3H)
HRMS-ESI m/z:[M+H]+ calcd for C32H53NO9SiNa:646.3387,found 646.3393
【0305】
(73)tert-ブチル(7-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-5-ヒドロキシ-2-オキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘプチル)カルバメート(化合物43)
【0306】
【0307】
THF(6.4mL)中の化合物42(0.400g、0.641mmol)の撹拌溶液に、1.0M TBAFのTHF(0.641mL、0.641mmol)溶液を-50℃、N2雰囲気下で加えた。10分間撹拌した後、反応混合物に飽和1.0M HCl水溶液(2mL)を加えて反応を停止させた。得られた混合物をEtOAc(10ml×3回)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液(20mL×1回)およびブライン(20mL×1回)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、加圧下で濃縮して、生成物(321mg、98%)を黄色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.44(d,J=2.3Hz,1H),7.25(J=8.6Hz,1H),7.12(dd,J=8.6,2.3Hz,1H),6.35(bs,1H),5.29(s,2H),5.26(s,2H),4.53(m,1H),3.53(s,6H),3.07(m,2H),2.50(m,2H),2.17(d,J=2.3Hz,1H),1.47-1.43(complexm,4H),1.43(s,9H),1.39-1.28(complexm,6H)
HRMS-ESI m/z:[M+Na]+ calcd for C26H39NO9Na:532.2523,found 532.2517
【0308】
(74)tert-ブチル(7-(4-(3,4-ビス(メトキシメトキシ)フェニル)-2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロフラン-3-イル)ヘプチル)カルバメート(TAO-07)
【0309】
【0310】
DCM(62.9mL)中の43(320.5mg、0.629mmol)の溶液に、NaHCO3(106mg、1.26mmol)およびDess-Martinペルヨージナン(1.20g、2.83mmol)を室温でN2雰囲気下で加えた。1時間撹拌した後、反応をH2O(50mL)でクエンチした。得られた二層を分離し、水相をCHCl3(50ml×3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、加圧下で濃縮して、粗生成物を得た。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc=3:1)により精製して、TAO-07(287mg、90%)を黄色の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl3)δ(ppm):7.47(d,J=1.7Hz,1H),7.32(dd,J=8.6,1.7Hz,1H),7.28(d,J=8.6Hz,1H),5.31(s,2H),5.27(s,2H),4.51(m,1H),3.53(s,6H),3.09(m,2H),2.65(m,2H),1.65(m,2H),1.48-1.37(complexm,13H),1.36-1.24(complexm,4H)
HRMS-ESI m/z: [M+Na]+ calcd for C26H37NO9Na: 530.2366, found 530.2352
【0311】
(75)3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(ヘプチルアミン-7-イル)フラン-2,5-ジオン と (Z)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(2-オキオアゼカン-3-イリデン)アセティック アシッド の混合物(TAO-08)
【0312】
【0313】
90%TFAを含有するCH2Cl2(9.0ml)中のTAO-07(42.0mg、0.0827mmol)の溶液を室温で2.5時間撹拌した。反応混合物を加圧下で濃縮してTAO-08を得、これを精製せずに次の反応に使用した。
【0314】
(76)(Z)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(2-オキオアゼカン-3-イリデン)アセティック アシッド(TAO-09)
【0315】
【0316】
TAO-08粗生成物(約0.0827mmol)に、Et3N(5mL)とH2O(5mL)を室温で加えた。室温で5分間撹拌した後、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これをODSクロマトグラフィ(80% MeCN/H2O~100%MeCN)で精製して、TAO-09(26.3mg、quant.)を茶色の油として得た。
1H NMR(500MHz,D2O)δ(ppm):6.89(d,J=8.0Hz,1H),6.78(d,J=1.1Hz,1H),6.69(dd,J=8.0,1.1Hz,1H),2.93(t,J=7.4Hz,2H),2.09(m,2H),1.57(m,2H),1.37(m,2H),1.29-1.12(complexm,8H)
HRMS-ESI m/z:[M-H]- calcd for C17H20NO5:318.1342,found 318.1331
【0317】
(77)(Z)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(2-オキオアゼカン-3-イリデン)アセティック アシッド ナトリウム ソルト(TAO-010)
【0318】
【0319】
TAO-09(2.2mg、0.00690mmol)を0.01M NaHCO3のH2O(0.690mL、0.00690mmol)溶液に溶解し、混合物を室温で24時間撹拌した。次に、混合物を減圧下で濃縮して、褐色の油としてTAO-010(2.3mg、quant.)を得た。
1H NMR(500MHz,D2O)δ(ppm):6.88(d,J=8.0Hz,1H),6.78(d,J=1.
7Hz,1H),6.69(dd,J=8.0,1.7Hz,1H),2.92(t,J=7.4Hz,2H),2.09(m,2H),1.56(m,2H),1.37(m,2H),1.26-1.16(complexm,8H)
HRMS-ESI m/z:[M-H]- calcd for C17H20NO5:318.1342,found 318.1328 (TAO-09として観察)
【0320】
(実施例2)MBL阻害活性
酵素は大腸菌で発現させた組換えIMP-1型MBLを用いた。β-ラクタマ-ゼ反応の基質はニトロセフィン(メルク・ミリポア社)を用いた。ニトロセフィンはβ-ラクタマ-ゼにより開環することで極大吸収波長が391nmから491nmに変化する。これを基質として阻害剤を添加したときの阻害活性を測定した。96穴プレ-トに終濃度1.5nMになるように調製した酵素液20μL、終濃度0.1、0.3、1、3、10μMになるように調製したODTAAおよびその誘導体溶液各2μL、50mM HEPES(pH7.5)バッファ-158μLを混ぜ、27度で30分プレインキュベ-トした。500μMニトロセフィン溶液20μLを添加し、30℃にて30秒おきに485nmの吸光度を測定した。吸光度から濃度への換算は、モル吸光係数ε485=17,420M-1cm-1を使用し、ODTAAおよびその誘導体のKi値をディクソンプロットにより算出した。
【0321】
結果を表1に示す。本発明の化合物は、いずれもIMP-1型MBLに対して、ODTAAを超える阻害活性を示した。
【0322】
【0323】
(実施例3)MBL産生菌に対するメロペネムの抗菌活性に与える影響(阻止円形成)
Pseudomonas aeruginosa KB367、E.coli KB366を、5μg/mLのセフタジジムを含むミュラ--ヒントン液体培地にそれぞれ一白金耳植菌し、24時間37℃で前培養した。ミュラ--ヒントン寒天培地、メロペネム水溶液(終濃度:E.coli,0.5μg/mL、K.pneumoniae,32μg/mL、P.aeruginosa,256μg/mL、いずれの濃度においてもメロペネムはこれらのMBL産生菌に抗菌活性を示さない)、前培養液(2%分)を混合し、角型シャ-レに30mL播いてプレ-トを作製した。各サンプルを0.03μg、0.1μg、0.3μg、1μg、3μg、10μg、30μg、及び100μg、しみ込ませた6mmペ-パ-ディスク(アドバンテック社)を置き、37℃で一晩静置培養した後、ノギスで阻止円径の大きさを計測した。
【0324】
結果を表2及び表3に示す。いずれの化合物もIMP-1産生緑膿菌に対し非常に高いイムペネム耐性克服活性を示し、その活性はODTAAおよびMe-ODTAA(IMP-1産生緑膿菌に対してイムペネム耐性克服活性を示さない)と比較して大きく向上した。
【0325】
【0326】