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  • 特開-プログラム作成装置 図1
  • 特開-プログラム作成装置 図2A
  • 特開-プログラム作成装置 図2B
  • 特開-プログラム作成装置 図2C
  • 特開-プログラム作成装置 図3
  • 特開-プログラム作成装置 図4
  • 特開-プログラム作成装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041079
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】プログラム作成装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4097 20060101AFI20220304BHJP
   G05B 19/4093 20060101ALI20220304BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
G05B19/4097 Z
G05B19/4093 A
B23Q15/00 305C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146101
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】藤本 浩之
(72)【発明者】
【氏名】相澤 誠彰
【テーマコード(参考)】
3C269
【Fターム(参考)】
3C269AB01
3C269BB08
3C269EF02
3C269EF69
3C269KK04
3C269MN42
3C269QB02
(57)【要約】
【課題】生爪を加工する際のオペレータの負担を低減することができるプログラム作成装置を提供すること。
【解決手段】プログラム作成装置は、ワークを加工するためのワーク形状データに基づいて前記ワークの把持径及び把持長さを決定する寸法決定部と、決定された前記ワークの前記把持径及び前記把持長さに基づいて、生爪を加工する生爪加工形状を決定する形状決定部と、決定された前記生爪加工形状に基づいて、前記生爪を加工する生爪加工プログラムを作成するプログラム作成部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工するためのワーク形状データに基づいて前記ワークの把持径及び把持長さを決定する寸法決定部と、
決定された前記ワークの前記把持径及び前記把持長さに基づいて、生爪を加工する生爪加工形状を決定する形状決定部と、
決定された前記生爪加工形状に基づいて、前記生爪を加工する生爪加工プログラムを作成するプログラム作成部と、
を備えるプログラム作成装置。
【請求項2】
前記ワーク形状データは、ワーク形状モデルを有し、
前記寸法決定部は、前記ワーク形状モデルの寸法に基づいて前記ワークの把持径及び把持長さを決定する、請求項1に記載のプログラム作成装置。
【請求項3】
前記寸法決定部は、前記ワークを加工するためのワーク加工プログラム及び前記ワーク形状データに基づいて、前記ワークの把持径及び把持長さを決定する、請求項1又は2に記載のプログラム作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、NC旋盤等の工作機械によって加工を行う場合、加工するワークを把持するために、ワークの形状に合わせて生爪を加工する必要がある。そのため、生爪を加工するための装置に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、生爪を加工するための加工プログラムを作成する時間を短縮するために、生爪の加工形状及び工具データを対話形式で入力し、入力されたデータに基づいて生爪を加工するための加工プログラムを作成する方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-210839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、生爪を加工するための加工プログラムを作成する際に、どのような形状に生爪を加工するのかをオペレータが考える必要があり、オペレータの負担となっていた。そのため、生爪を加工する際のオペレータの負担を低減することができる装置が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るプログラム作成装置は、ワークを加工するためのワーク形状データに基づいて前記ワークの把持径及び把持長さを決定する寸法決定部と、決定された前記ワークの前記把持径及び前記把持長さに基づいて、生爪を加工する生爪加工形状を決定する形状決定部と、決定された前記生爪加工形状に基づいて、前記生爪を加工する生爪加工プログラムを作成するプログラム作成部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、生爪を加工する際のオペレータの負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】プログラム作成装置及び工作機械の構成を示す図である。
図2A】加工前の生爪を示す図である。
図2B】生爪の加工例を示す図である。
図2C】生爪によりワークを把持する例を示す図である。
図3】ワーク形状モデルの一例を示す図である。
図4】生爪並びにワークの把持径及び把持長さを示す図である。
図5】プログラム作成装置及び工作機械の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。
図1は、プログラム作成装置1及び工作機械2の構成を示す図である。プログラム作成装置1及び工作機械2は、バス(図示せず)等によって接続されており、工作機械2は、プログラム作成装置1によって作成された加工プログラムに従ってワークを加工する。プログラム作成装置1は、例えば、数値制御装置に含まれてもよい。
【0010】
本実施形態に係るプログラム作成装置1は、工作機械2によって生爪を加工するための加工プログラムを作成することを目的とする。なお、本明細書では、工作機械2の他の構成は、説明の簡素化のため省略するが、工作機械2は、一般的な工作機械の構成を有する。
【0011】
図1に示すように、プログラム作成装置1は、制御部11と、記憶部12と、を備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、各種機能を実現する。また、制御部11は、寸法決定部111と、形状決定部112と、プログラム作成部113と、を備える。
【0012】
記憶部12は、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブ等で構成され、各種のデータを記憶する。例えば、記憶部12は、後述する工具データ121、ワーク形状データ122、ワーク加工プログラム123等を記憶する。
【0013】
寸法決定部111は、ワークを加工するためのワーク形状データ122を記憶部12から読み出し、ワーク形状データ122に基づいてワークの把持径及び把持長さを決定する。
【0014】
形状決定部112は、決定されたワークの把持径及び把持長さに基づいて、生爪を加工する生爪加工形状を決定する。
【0015】
プログラム作成部113は、形状決定部112により決定された生爪加工形状に基づいて、生爪を加工する生爪加工プログラムを作成する。
【0016】
図2Aから図2Cは、工作機械2による生爪21の加工及び生爪21によるワークWの把持を示す図である。生爪21は、旋盤等でワークWを加工する場合、ワークWを把持するために、ワークWの形状に合わせた形状に工作機械2によって加工される。
【0017】
図2Aは、加工前の生爪21を示す図である。図2Aに示すように、生爪21は、加工装置(例えば、NC旋盤)のチャック22に固定される。生爪21は、工作機械2の工具23によって、Z軸方向に加工される。なお、図2Aから図2Cの例は、3つの生爪21及び円筒形状のワークWを示すが、生爪の数及び配置は、ワークWの形状に応じて変更され、図2Aから図2Cの例に限定されるものではない。
【0018】
図2Bは、生爪21の加工例を示す図である。図2Cは、生爪21によりワークWを把持する例を示す図である。図2Bに示すように、生爪21の加工部分24は、工作機械2の工具23によって加工され、ワークWの把持に適した形状となる。そして、図2Cに示すように、加工後の生爪21は、ワークWを把持し、把持されたワークWは、加工装置(例えば、旋盤)によって加工される。
【0019】
図3は、ワーク形状モデルW1の一例を示す図である。図3に示すように、ワーク形状データ122(図1参照)は、ワークの形状及び寸法を規定するワーク形状モデルW1を有している。
【0020】
そして、寸法決定部111は、ワーク形状モデルW1の寸法に基づいてワークWの把持径D及び把持長さLを決定する。例えば、寸法決定部111は、ワーク形状モデルW1のX軸方向の最大長さをワークWの把持径Dとして決定する。
【0021】
また、寸法決定部111は、ワーク形状モデルW1のZ方向の最外周であり、かつワーク形状モデルW1のZ方向における最大長さをワークWの把持長さLとして決定する。なお、寸法決定部111により決定されるワークWの把持径D及び把持長さLは、上記の条件に限定されず、ワーク形状モデルW1の形状及び寸法、生爪の形状及び寸法に応じて、適宜変更されてもよい。
【0022】
図4は、生爪21並びにワークWの把持径D及び把持長さLを示す図である。図4に示すように、形状決定部112は、寸法決定部111によって決定されたワークWの把持径D及び把持長さLに基づいて、生爪21を加工する生爪加工形状を決定する。
【0023】
プログラム作成部113は、形状決定部112により決定された生爪加工形状に基づいて、生爪21を加工する生爪加工プログラムを作成する。そして、工作機械2は、生爪加工プログラムを用いて生爪21を加工する。
【0024】
また、工作機械2によりワークWを加工する際に、ワーク加工プログラム123及び工作機械2の工具23の状態に起因して、生爪21と工具23とが干渉してしまう場合がある。このような生爪21と工具23との干渉の発生を防ぐために、寸法決定部111は、ワークを加工するためのワーク形状データ122及びワークを加工するためのワーク加工プログラム123に基づいて、ワークの把持径及び把持長さを決定してもよい。
【0025】
具体的には、寸法決定部111は、ワーク形状データ122に基づいてワークの把持径及び把持長さを決定した後、ワーク加工プログラム123に基づいて、決定したワークの把持径及び把持長さにおいて生爪21と工具23との干渉が発生するか否かを判定する。
【0026】
そして、寸法決定部111は、決定したワークの把持径及び把持長さにおいて生爪21と工具23との干渉が発生すると判定した場合、ワークの把持径及び/又は把持長さにオフセット値を加える。これにより、プログラム作成装置1は、生爪21と工具23との干渉が発生することを防ぐことができる。
【0027】
図5は、プログラム作成装置1及び工作機械2の処理を示すフローチャートである。
ステップS1において、寸法決定部111は、ワークWを加工するためのワーク形状データ122を記憶部12から読み出す。また、ワーク加工プログラム123を用いる場合、寸法決定部111は、ワーク加工プログラム123を記憶部12から読み出す。
【0028】
ステップS2において、寸法決定部111は、読み出したワーク形状データ122に基づいてワークWの把持径D及び把持長さLを決定する。また、ワーク加工プログラム123を用いる場合、寸法決定部111は、ワーク形状データ122及びワーク加工プログラム123に基づいて、ワークWの把持径D及び把持長さLを決定する。
【0029】
ステップS3において、形状決定部112は、決定されたワークWの把持径D及び把持長さLに基づいて、生爪21を加工する生爪加工形状を決定する。
【0030】
ステップS4において、プログラム作成部113は、形状決定部112により決定された生爪加工形状に基づいて、生爪21を加工する生爪加工プログラムを作成する。
ステップS5において、工作機械2は、作成された生爪加工プログラムを用いて生爪21を加工する。
【0031】
以上説明したように、本実施形態によれば、プログラム作成装置1は、ワークWを加工するためのワーク形状データ122に基づいてワークWの把持径D及び把持長さLを決定する寸法決定部111と、決定されたワークWの把持径D及び把持長さLに基づいて、生爪を加工する生爪加工形状を決定する形状決定部112と、決定された生爪加工形状に基づいて、生爪21を加工する生爪加工プログラムを作成するプログラム作成部と、を備える。これにより、プログラム作成装置1は、生爪を加工する生爪加工プログラムを自動的に作成することができるため、生爪21を加工する際のオペレータの負担を低減することができる。
【0032】
また、ワーク形状データ122は、ワーク形状モデルを有する。寸法決定部111は、ワーク形状モデルW1の寸法に基づいてワークWの把持径D及び把持長さLを決定する。これにより、プログラム作成装置1は、生爪21を加工するためのワークWの把持径D及び把持長さLを適切な値に決定することができる。
【0033】
また、寸法決定部111は、ワークWを加工するためのワーク加工プログラム123及びワーク形状データ122に基づいて、ワークWの把持径D及び把持長さLを決定する。これにより、プログラム作成装置1は、ワーク形状データ122だけでなく、ワーク加工プログラム123に基づいてワークWの把持径D及び把持長さLを決定するため、ワークWを加工する際に、生爪21と工具23との干渉が発生することを防ぐことができる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記のプログラム作成装置1は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記のプログラム作成装置1により行なわれる制御方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0035】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0036】
また、上述した各実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記各実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 プログラム作成装置
2 工作機械
11 制御部
12 記憶部
21 生爪
22 チャック
23 工具
24 加工部分
111 寸法決定部
112 形状決定部
113 プログラム作成部
W ワーク
W1 ワーク形状モデル
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5