(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041128
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】評価システム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/18 20090101AFI20220304BHJP
H04W 24/08 20090101ALI20220304BHJP
【FI】
H04W16/18 110
H04W24/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146171
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】319010088
【氏名又は名称】楽天モバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ギューアー サンディーップ
(72)【発明者】
【氏名】スリオアストーア シャラッド
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ ミナ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA34
5K067EE02
5K067EE10
5K067FF16
5K067FF23
(57)【要約】
【課題】端末装置における通信状況を簡易に評価する技術を提供する。
【解決手段】操作装置30は、通信状況の評価項目を受けつけ、第1情報をサーバ装置40に送信する。サーバ装置40は、第1情報に含まれた評価項目に応じた通信状況の評価を第1端末装置10aに指示する。評価項目には、スループットと音声通話が少なくとも含まれる。第1端末装置10aは、指示に応じて通信状況を評価し、評価結果をサーバ装置40に送信する。第1端末装置10aは、第2端末装置10bを使用せずにスループットを評価し、第2端末装置10bとの間で音声通話を評価する。サーバ装置40は、受信した評価結果が含まれた第2情報を操作装置30に送信する。操作装置30は、サーバ装置40から受信した第2情報を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末装置と第2端末装置と、
前記第1端末装置に接続されるサーバ装置と、
前記サーバ装置に接続される操作装置とを備え、
前記操作装置は、前記第1端末装置における通信状況の評価項目を受けつけ、前記第1端末装置における通信状況の評価項目が示された第1情報を前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記操作装置から受信した第1情報に含まれた評価項目に応じた通信状況の評価を前記第1端末装置に指示し、
前記第1端末装置は、前記サーバ装置からの指示に応じて通信状況を評価し、評価結果を前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記第1端末装置から受信した評価結果が含まれた第2情報を前記操作装置に送信し、
前記操作装置は、前記サーバ装置から受信した第2情報を出力し、
前記評価項目には、スループットと音声通話が少なくとも含まれ、
前記第1端末装置は、前記第2端末装置を使用せずにスループットを評価し、前記第2端末装置との間で音声通話を評価する評価システム。
【請求項2】
前記評価項目には、接続性、pingによる到達性、Web性能のうちの少なくとも1つが含まれる請求項1に記載の評価システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、評価の間隔も前記第1端末装置に指示し、
前記第1端末装置は、前記サーバ装置から指示された評価の間隔をもとに、通信状況を自動的に評価する請求項1または2に記載の評価システム。
【請求項4】
前記第1端末装置と前記第2端末装置は車両に搭載されて移動可能である請求項1から3のいずれかに記載の評価システム。
【請求項5】
前記サーバ装置は、評価を実行すべき領域も前記第1端末装置に指示し、
前記第1端末装置は、前記サーバ装置から指示された領域に存在する場合に、通信状況を評価する請求項4に記載の評価システム。
【請求項6】
前記サーバ装置は、KPI(Key Point Indicator)を取得し、KPIが正常でない値を示す場合に、チケットを生成する請求項1から5のいずれかに記載の評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価技術に関し、特に端末装置における通信状況を評価する評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)のような通信システムでは、複数の基地局装置が設置され、いずれかの基地局装置に端末装置が接続することによって、通信が実行される(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP、「3GPP TS 36.101 V12.24.0」、FRANCE、2019-12
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信システムにおけるネットワークにおいて、ネットワーク性能と異常の検出が必要とされる。これらの検出のために、これまではネットワーク側からの性能が監視されている。しかしながら、ユーザにおける通信状況を評価するためには、端末装置における検出が必要とされ、これにはフィールドテストが有効である。フィールドテストは、一般的に手動によりなされるので、フィールドテスト用専用車両と技術者がフィールドテスト可能な時間と場所に制限される。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、端末装置における通信状況を簡易に評価する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の評価システムは、第1端末装置と第2端末装置と、第1端末装置に接続されるサーバ装置と、サーバ装置に接続される操作装置とを備える。操作装置は、第1端末装置における通信状況の評価項目を受けつけ、第1端末装置における通信状況の評価項目が示された第1情報をサーバ装置に送信し、サーバ装置は、操作装置から受信した第1情報に含まれた評価項目に応じた通信状況の評価を第1端末装置に指示し、第1端末装置は、サーバ装置からの指示に応じて通信状況を評価し、評価結果をサーバ装置に送信し、サーバ装置は、第1端末装置から受信した評価結果が含まれた第2情報を操作装置に送信し、操作装置は、サーバ装置から受信した第2情報を出力し、評価項目には、スループットと音声通話が少なくとも含まれ、第1端末装置は、第2端末装置を使用せずにスループットを評価し、第2端末装置との間で音声通話を評価する。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、端末装置における通信状況を簡易に評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例に係る評価システムの構成を示す図である。
【
図2】
図1の操作装置に表示される評価項目の入力画面を示す図である。
【
図3】
図1の操作装置に表示される評価項目の別の入力画面を示す図である。
【
図4】
図1の操作装置に表示される評価項目のさらに別の入力画面を示す図である。
【
図5】
図1の操作装置に表示される評価結果の画面を示す図である。
【
図6】
図1の操作装置に表示される評価結果の別の画面を示す図である。
【
図7】
図7(a)-(b)は、
図1の操作装置に表示される評価結果のさらに別の画面を示す図である。
【
図8】
図1の操作装置に表示される評価結果のさらに別の画面を示す図である。
【
図9】
図1の操作装置に表示される評価結果のさらに別の画面を示す図である。
【
図10】
図1の操作装置に表示される警告のメールの画面を示す図である。
【
図11】
図1の記憶部に記憶されるテーブルのデータ構造を示す図である。
【
図12】
図12(a)-(c)は、
図1の処理部において生成されるチケットを示す図である。
【
図13】
図1の評価システムによる処理手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施例は、LTEのような通信システムに含まれる端末装置における通信状況を評価する評価システムに関する。評価システムでは、スマートフォン等の端末装置をプローブとして使用するとともに、端末装置の電源を常時オンにすることによって、通信状況の評価と評価結果の報告とを継続して実行させる。その際、端末装置に対する評価項目はネットワーク側から指示されるので評価は自動でなされる。また、端末装置は可搬性を有しており一般的な車両に搭載すれば、フィールドテスト用専用車両を使用しなくてもさまざまな位置で評価を実行可能である。
【0011】
図1は、評価システム100の構成を示す。評価システム100は、端末装置10と総称される第1端末装置10a、第2端末装置10b、ネットワーク20、操作装置30、サーバ装置40を含む。サーバ装置40は、通信部42、処理部44、記憶部46を含む。以下では、評価システム100を(1)基本構成、(2)端末装置10における通信状況の評価、(3)警告メールの送信、(4)チケットの生成、(5)端末装置10における通信状況の評価の変形例の順に説明する。
【0012】
(1)基本構成
第1端末装置10aと第2端末装置10bは、通信装置であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末装置である。端末装置10とネットワーク20は、例えばLTEのような通信システムに含まれる。各端末装置10にはIMEI(International Mobile Equipment Identified)が付与されており、IMEIにより端末装置10が識別される。各端末装置10には、通信状況を評価するためのアプリケーションプログラム(以下、「端末アプリケーション」という)がインストールされている。
【0013】
第1端末装置10aと第2端末装置10bはプローブとして1つのプラスチック製の箱に収納される。第1端末装置10aと第2端末装置10bのような2つの端末装置10を収納した箱(以下、「プローブボックス」という)は、例えば車両50に搭載される。プローブボックスには電源ケーブルが取り付けられており、電源ケーブルは、第1端末装置10aと第2端末装置10bに接続されるとともに、車両50にも接続される。このような接続により、第1端末装置10aと第2端末装置10bは電源ケーブルを介して車両50から電源を供給される。そのため、第1端末装置10aと第2端末装置10bは、電源オンにされ続け、端末アプリケーションによる評価を実行し続ける。
【0014】
端末装置10はネットワーク20を介してサーバ装置40に接続され、サーバ装置40はネットワーク20を介して操作装置30に接続される。操作装置30は、評価者により使用される装置であり、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末装置、スマートフォンである。操作装置30には、端末装置10における評価項目を設定するとともに、端末装置10の評価結果を表示するためのアプリケーションプログラム(以下、「プローブダッシュボード」という)がインストールされる。評価者は、プローブダッシュボードを操作することによって、評価項目を設定するとともに評価結果を表示することによって、各端末装置10における通信状況を確認する。
【0015】
サーバ装置40は、操作装置30からの指示に応じて端末装置10を制御するためのアプリケーションプログラム(以下、「制御アプリケーション」という)を実行する。制御アプリケーションは、操作装置30による評価項目の設定に応じて端末装置10に通信状況を評価させ、評価結果を操作装置30に表示させる。前述のごとく、端末装置10において端末アプリケーションによる評価が実行され続けるので、サーバ装置40の制御アプリケーションは、評価結果を受け続ける。その結果、最新の評価結果が操作装置30に逐次表示されるので、評価者は最新のネットワーク性能を把握可能であるともに、問題が発生した場合に当該問題を把握可能である。このように、端末装置10における端末アプリケーションの操作はサーバ装置40の制御アプリケーションからなされるので、評価者による端末装置10への直接の操作が不要になる。
【0016】
プローブボックスを搭載した車両50は移動可能であるので、端末装置10はさまざまな位置において通信状況を評価する。車両50は、例えば、配送車両、乗用車であり、フィールドテスト用専用車両でなくてもよい。
図1において1台の車両50が示されるが、評価システム100には複数の車両50が含まれ、各車両50にプローブボックスが搭載されてもよい。前述のごとく、1つのプローブボックスには2つの端末装置10が入れられる。さらにプローブボックスは、例えば、電車に搭載されたり、オフィス・店舗等に設置されたりしてもよい。そのため、端末装置10は、動的な環境における通信状況を評価したり、静的な環境における通信状況を評価したりする。
【0017】
(2)端末装置10における通信状況の評価
操作装置30は、プローブダッシュボードを表示した状態において評価者に操作されると、サーバ装置40と通信する。操作装置30は、サーバ装置40から取得した情報をプローブダッシュボードに表示する。
図2は、操作装置30に表示される評価項目の入力画面を示す。評価項目の入力画面が表示された状態において評価者が操作装置30を操作すると、操作装置30は、端末装置10における通信状況の評価項目を受けつける。通信状況の評価項目は、例えば、接続性、pingによる到達性、Webページの読み込み時間、ダウンリンクスループット、アップリンクスループット、ビデオ性能、音声通話性能を含む。
【0018】
図3は、操作装置30に表示される評価項目の別の入力画面を示す。評価項目の別の入力画面が表示された状態において評価者が操作装置30を操作すると、操作装置30は、通信状況の評価を実行すべき端末装置10の選択を受けつける。「Device ID」は、前述のIMEIに相当する。
【0019】
図4は、操作装置30に表示される評価項目のさらに別の入力画面を示す。評価項目のさらに別の入力画面が表示された状態において評価者が操作装置30を操作すると、操作装置30は、評価の間隔に関する情報も受けつける。評価の間隔とは、端末装置10に評価を実行させるべき間隔を示す。また、操作装置30は、評価結果に対するしきい値、例えば、ダウンリンクスループットに対するしきい値、アップリンクスループットに対するしきい値、pingの到達時間に対するしきい値を受けつける。
図1に戻る。操作装置30は、通信状況の評価項目、端末装置10の選択の情報、評価の間隔の情報、しきい値が示された情報(以下、「第1情報」という)をネットワーク20経由でサーバ装置40に送信する。これは、端末装置10とは離れた位置に存在する操作装置30から、端末装置10に対する指示を送信することに相当する。
【0020】
サーバ装置40の通信部42は、ネットワーク20に接続されており、操作装置30からの第1情報を受信する。処理部44は、記憶部46に記憶された制御アプリケーションを起動し、制御アプリケーションは、第1情報に含まれた評価項目に応じた通信状況の評価を、第1情報において選択された端末装置10に指示する。その際、第1情報に含まれた評価の間隔も端末装置10に指示する。第1情報において選択された端末装置10には、
図1の第1端末装置10aが含まれる。指示は、通信部42を介してなされる。
【0021】
第1端末装置10aの端末アプリケーションは、サーバ装置40からの指示を受信し、当該指示に応じて通信状況を評価する。特に、第1端末装置10aは、サーバ装置40から指示された間隔をもとに、通信状況を自動的に評価する。前述のごとく、端末アプリケーションは、接続性、pingによる到達性、Webページの読み込み時間、ダウンリンクスループット、アップリンクスループット、ビデオ性能、音声通話性能を評価するが、これらには公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。その際、第1端末装置10aは、第2端末装置10bを使用せずにダウンリンクスループットおよびアップリンクスループットを評価し、第2端末装置10bとの間で音声通話を実行することによって音声通話を評価する。第1端末装置10aの端末アプリケーションは、第1端末装置10aの位置情報とともに、評価結果をサーバ装置40に送信する。第1端末装置10aの位置情報は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)により取得される。評価結果の送信は、例えば、評価の間隔毎になされる。第1端末装置10a以外の端末装置10においても同様の処理がなされる。
【0022】
サーバ装置40の通信部42は、指示を送信した端末装置10から位置情報と評価結果を受信する。処理部44が動作させる制御アプリケーションは、位置情報と評価結果が含まれた第2情報を生成する。指示を送信した端末装置10が複数である場合、第2情報には、複数の端末装置10のそれぞれにおける位置情報と評価結果がまとめられる。サーバ装置40の通信部42は、第2情報をネットワーク20経由で操作装置30に送信する。
【0023】
操作装置30は、サーバ装置40から受信した第2情報を出力する。操作装置30のプローブダッシュボードは、第2情報に含まれた評価結果を表示する。
図5は、操作装置30に表示される評価結果の画面を示す。ここでは、評価結果の一例として、各プローブボックスに対する接続性が「Active」あるいは「Not Active」として示される。その際、各プローブボックスに含まれる端末装置10はIMEIにより識別される。
【0024】
図6は、操作装置30に表示される評価結果の別の画面を示す。プローブダッシュボードは、各プローブボックスにおける評価結果を地図上に表示する。表示される評価結果は、ドロップダウンボックスにより、Connectivity、DL、UL、Latency、WPT、Drop、Block、Buffer、Volte Call Attempt、Volte CSSR、Volte Call Setup Time、Attach Attempt、Attach Success Rate、Attach duration、Detach Attempt、Detach Success Rate、RSSP、RSRQ、SINRから選択される。また、評価結果の表示単位として、LIVE、Hourly、Dailyのいずれかが選択可能である。これにより、カバレッジが他のエリアよりも狭くなっているエリアが検出されるとともに、スループットが他のエリアよりも低下しているエリアが検出される。
【0025】
図7(a)-(b)は、操作装置30に表示される評価結果のさらに別の画面を示す。
図7(a)-(b)は、
図5、
図6に表示されてもよい。
図7(a)では、各評価項目に対する評価結果が数値として示される。
図7(b)では、各評価項目に対する評価結果がグラフとして示される。
【0026】
図8は、操作装置30に表示される評価結果のさらに別の画面を示す。図示のごとく、音声通話が失敗した位置が地図上に示される。
図9は、操作装置30に表示される評価結果のさらに別の画面を示す。図示のごとく、Webページの読み取りに対する評価結果が示される。特に、各URLは、1時間単位、1日単位、ライブで表示される。これは、特定のサイトにおいてネットワークの変化あるいはトラヒックの増加が生じた場合に、増加の「%」を示す。
図1に戻る。
【0027】
(3)警告メールの送信
サーバ装置40の処理部44が動作させる制御アプリケーションは、端末装置10からの評価結果と、操作装置30からの第1情報に含まれたしきい値とを比較する。例えば、制御アプリケーションは、評価結果に含まれたダウンリンクスループットの値と、第1情報に含まれたダウンリンクスループットに対するしきい値とを比較する。制御アプリケーションは、ダウンリンクスループットの値がダウンリンクスループットに対するしきい値よりも低ければ、警告のメールを生成する。また、制御アプリケーションは、評価結果に含まれたアップリンクスループットの値が、第1情報に含まれたアップリンクスループットに対するしきい値よりも低い場合に警告のメールを生成してもよい。さらに、制御アプリケーションは、評価結果に含まれたpingの到達時間の値が、第1情報に含まれたpingの到達時間に対するしきい値よりも長い場合に警告のメールを生成してもよい。通信部42は、警告のメールを操作装置30に送信する。
【0028】
図10は、操作装置30に表示される警告のメールの画面を示す。これは、一例として、評価結果に含まれたアップリンクスループットの値が、第1情報に含まれたアップリンクスループットに対するしきい値よりも低い場合に生成された警告のメールに相当する。図示のごとく、アップリンクスループットの値がしきい値よりも低いことが示されるとともに、RSRP(Reference Signal Received Power)等の情報も示される。
図1に戻る。
【0029】
(4)チケットの生成
サーバ装置40の記憶部46は、OSS(Operation Support System)の機能を実行可能なアプリケーションプログラム(以下、「OSS」という)を記憶しており、処理部44は、記憶部46に記憶されたOSSを起動する。OSSは、通信システムにおける各種項目を測定する。測定結果はKPI(Key Performance Indicator)とも呼ばれる。OSSには公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
【0030】
処理部44は、警告のメールを生成した場合、OSSにおけるKPIと、記憶部46に記憶された各KPIに対応したしきい値とを比較する。警告のメールを生成した場合は、前述のごとく、ダウンリンクスループットの値がしきい値よりも低い場合、あるいはアップリンクスループットの値がしきい値よりも低い場合、あるいはpingの到達時間の値がしきい値よりも長い場合に相当する。
図11は、記憶部46に記憶されるテーブルのデータ構造を示す。図示のごとく、さまざまなKPIと、各KPIに対応する条件とが示される。テーブルにおける「K1」から「K38」は任意の値である。それらの値は、計算機シミュレーションあるいは実験により決定されればよい。
図1に戻る。処理部44は、いずれかの条件が満たされる場合に、チケットを生成する。これは、端末装置10に対して取得したKPIが正常でない値を示す場合に、チケットを生成する。
【0031】
図12(a)-(c)は、処理部44において生成されるチケットを示す。
図12(a)-(c)のようないずれかのチケットは、満たされた条件に応じて生成される。満たされた条件と、生成されるべきチケットの種類は、予め対応づけられる。また、生成されるチケットの種類に応じたチケットの宛先も予め定められる。
図1に戻る。通信部42は、生成したチケットを、予め定められた装置に送信する。
【0032】
(5)端末装置10における通信状況の評価の変形例
これまで、端末装置10は、サーバ装置40から指示された間隔をもとに、通信状況を自動的に評価する。つまり、端末装置10は、通信状況の評価を継続して実行する。一方、変形例における端末装置10は、予め定められた領域に含まれる場合に通信状況を評価し、予め定められた領域に含まれない場合に通信状況を評価しない。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0033】
サーバ装置40の処理部44が動作させる制御アプリケーションは、評価を実行すべき領域も端末装置10に指示する。例えば、領域が多角形を有する場合、領域は、多角形の各頂点の緯度と経度により示される。また、領域が円形を有する場合、領域は、円形の中心の緯度と経度と、円形の半径の長さにより示される。前述のごとく、指示は、通信部42を介してなされる。
【0034】
第1端末装置10aの端末アプリケーションは、サーバ装置40からの指示を受信し、当該指示に応じて通信状況を評価する。特に、第1端末装置10aは、サーバ装置40から指示された領域に、第1端末装置10aの位置情報が含まれる場合に、通信状況を評価する。一方、第1端末装置10aは、サーバ装置40から指示された領域に、第1端末装置10aの位置情報が含まれない場合に、通信状況を評価しない。端末装置10の端末アプリケーションは、通信状況を評価した場合に、端末装置10の位置情報とともに、評価結果をサーバ装置40に送信する。評価結果の送信は、例えば、評価の間隔毎になされる。
【0035】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他のLSI(Large Scale Integration)で実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0036】
以上の構成による評価システム100の動作を説明する。
図13は、評価システム100による処理手順を示すシーケンス図である。操作装置30は評価項目を設定する(S10)。操作装置30は、第1情報をサーバ装置40に送信する(S12)。サーバ装置40は、指示を第1端末装置10aに送信する(S14)。第1端末装置10aは通信状況の評価を実行する(S16)。第1端末装置10aは、評価結果をサーバ装置40に送信する(S18)。サーバ装置40は、評価結果をまとめる(S20)。サーバ装置40は、第2情報を操作装置30に送信する(S22)。操作装置30は、評価結果を表示する(S24)。サーバ装置40は、評価結果が条件を満たす場合に警告のメールを生成する(S26)。サーバ装置40は、警告のメールを操作装置30に送信する(S28)。操作装置30は、警告のメールを表示する(S30)。サーバ装置40は、KPIを取得する(S32)。サーバ装置40は、KPIをもとにチケットを生成する(S34)。
【0037】
本実施例によれば、操作装置が第1情報をサーバ装置に送信すると、サーバ装置は、通信状況の評価を第1端末装置に指示してから、第1端末装置での評価結果を操作装置に送信するので、第1端末装置から離れた位置から第1端末装置における通信状況を評価できる。また、第1端末装置から離れた位置から第1端末装置における通信状況が評価されるので、第1端末装置における通信状況を簡易に評価できる。また、第1端末装置から離れた位置から第1端末装置における通信状況が評価されるので、第1端末装置に触れなくても、第1端末装置における通信状況を評価できる。また、第1端末装置は、第2端末装置を使用せずにスループットを評価し、第2端末装置との間で音声通話を評価するので、正確な評価結果を取得できる。
【0038】
また、評価項目には、接続性、pingによる到達性、Web性能のうちの少なくとも1つが含まれるので、通信状況を評価できる。また、サーバ装置は、評価の間隔も第1端末装置に指示し、第1端末装置は、サーバ装置から指示された評価の間隔をもとに、通信状況を自動的に評価するので、評価結果を定期的に取得できる。また、第1端末装置と第2端末装置は車両に搭載されて移動可能であるので、さまざまな位置における通信状況の評価結果を取得できる。
【0039】
また、サーバ装置は、評価を実行すべき領域も第1端末装置に指示し、第1端末装置は、サーバ装置から指示された領域に存在する場合に、通信状況を評価するので、評価を実行すべき領域内における通信状況の評価結果を取得できる。また、評価を実行すべき領域内における通信状況の評価結果が取得されるので、無駄な評価結果の取得を回避できる。また、第1端末装置に対して取得したKPIが正常でない値を示す場合に、チケットを生成するので、異常の発生を知らせることができる。
【0040】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。実施例は例示であり、それらの各構成要素または各処理プロセスの組合せに、いろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0041】
10 端末装置、 20 ネットワーク、 30 操作装置、 40 サーバ装置、 42 通信部、 44 処理部、 46 記憶部、 50 車両、 100 評価システム。