(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041211
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】制御回路
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20220304BHJP
G06F 1/32 20190101ALI20220304BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
H02M3/00 H
G06F1/32
H02J1/00 307C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146283
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】辻本 嘉之
【テーマコード(参考)】
5B011
5G165
5H730
【Fターム(参考)】
5B011DB04
5B011EA10
5B011LL11
5G165AA01
5G165DA06
5G165DA07
5H730AA14
5H730AA15
5H730AS05
5H730BB86
5H730XC12
(57)【要約】
【課題】低コストで省電力モードを実現する。
【解決手段】制御回路(10)は、スイッチング電源(21)からの電力を受ける第1のDC-DCコンバータ(DDC1)と、スイッチング電源または第1のDC-DCコンバータからの電力を受ける第2のDC-DCコンバータ(DDC2)と、第2のDC-DCコンバータからの電力を受ける主制御回路(ICc)と、補助電源(22)からの電力を受けるモード制御回路(ICm)とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング電源からの電力を受けて、電力を出力する第1のDC-DCコンバータと、
前記スイッチング電源または前記第1のDC-DCコンバータからの電力を受けて、電力を出力する第2のDC-DCコンバータと、
前記第2のDC-DCコンバータからの電力を受けて動作する主制御回路と、
補助電源からの電力を受けて動作するモード制御回路と、を備え、
前記モード制御回路は、
前記第1のDC-DCコンバータおよび前記第2のDC-DCコンバータのうち、前記スイッチング電源と前記主制御回路との間に配置されるDC-DCコンバータに対して、イネーブル指令またはディスエーブル指令のいずれかを送出可能であり、
前記スイッチング電源と前記主制御回路との間に配置されるDC-DCコンバータは、
前記イネーブル指令に従って電力を出力し、前記ディスエーブル指令に従って電力の出力を停止することを特徴とする、制御回路。
【請求項2】
前記ディスエーブル指令は無電圧信号であることを特徴とする、請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記補助電源からの電力を、前記モード制御回路に給電するための第1給電線と、
前記第1のDC-DCコンバータからの電力を、前記モード制御回路に給電するための第2給電線と、を更に備え、
前記モード制御回路は、
前記スイッチング電源と前記主制御回路との間に配置される前記第2のDC-DCコンバータに対して、前記イネーブル指令または前記ディスエーブル指令のいずれかを送出可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の制御回路。
【請求項4】
前記第2給電線は、前記第1給電線に接続されていることを特徴とする、請求項3に記載の制御回路。
【請求項5】
前記第2給電線中には、カソードが前記第1給電線側に接続されるダイオードが設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の制御回路。
【請求項6】
前記第2のDC-DCコンバータは、前記第1のDC-DCコンバータからの電力を受けて、電力を出力可能であり、
前記モード制御回路は、
前記スイッチング電源と前記第2のDC-DCコンバータとの間に配置される前記第1のDC-DCコンバータに対して、前記イネーブル指令または前記ディスエーブル指令のいずれかを送出可能であり、
前記補助電源から供給される電力が十分であると判断すると、前記第1のDC-DCコンバータに対して、前記ディスエーブル指令を送出し、
前記補助電源から供給される電力が不十分であると判断すると、前記第1のDC-DCコンバータに対して、前記イネーブル指令を送出し、前記第2のDC-DCコンバータに対して、前記ディスエーブル指令を送出することを特徴とする、請求項3から5のいずれか1項に記載の制御回路。
【請求項7】
前記モード制御回路は、
前記補助電源から供給される電力が不十分であるとの判断を、
前記第1給電線を通じて前記補助電源から供給される電圧が所定値未満であることを検知することにより行うことを特徴とする、請求項6に記載の制御回路。
【請求項8】
前記モード制御回路は、
前記補助電源から供給される電力が十分であると判断すると、更に、前記第2のDC-DCコンバータに対して、前記ディスエーブル指令を送出することを特徴とする、請求項6または7に記載の制御回路。
【請求項9】
前記第2のDC-DCコンバータは、前記第1のDC-DCコンバータからの電力を受けて、電力を出力することが可能であり、
前記モード制御回路は、
前記スイッチング電源と前記第2のDC-DCコンバータとの間に配置される前記第1のDC-DCコンバータに対して、前記イネーブル指令または前記ディスエーブル指令のいずれかを送出可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチング電源を用いた電源システムの制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の電気機器においては、電気機器の使用状況をモニタし、待機可能な期間中には省電力モードに切り替えることにより電気機器の電力消費を削減できる電源システムが用いられている。特許文献1には、スイッチング電源と、電気機器の使用状況をモニタし、電力モードの判断を行うモード制御回路(モード制御ブロック)が設けられた制御回路(制御装置等)と、を備えた電源システムが開示されている。
【0003】
特許文献1の従来技術では、モード制御回路が、スイッチング電源においてスイッチング素子の制御を行う電源制御回路に対し、スイッチング動作のオン/オフを指示することで、電力モードの切り替えを実行する。省電力モードではスイッチング動作が停止し、スイッチング電源内部及びスイッチング電源から電力を供給される回路での電力消費がほぼ無くなる。省電力モードでは、メインの電源であるスイッチング電源からの電力供給が行われなくなるため、モード制御回路には、サブ電源である小容量電源回路から電力の供給が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来技術の電源システムは、電源制御IC(Integrated Circuit)等の名称で製品化されているスイッチング電源の電源制御回路が、外部からのスイッチング動作のオン/オフの指令を受け付けて動作することを前提とした回路構成であった。しかし、このような信号を受け付けてスイッチング電源のスイッチング動作のオン/オフを実現できる電源制御ICは、このような信号を受け付けない仕様の電源制御ICと比較して高コストである。
【0006】
また、スイッチング電源の1次側は、通常、他の回路とは絶縁される。そのため、制御回路側から電源制御ICへと、上記信号を伝送するのにフォトカプラが適用される。しかしフォトカプラは比較的高価な電子部品であり、電源システムの高コスト化に繋がってしまう。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みたものであり、スイッチング電源を備えた電源システムにおいて、低コストで省電力モードを実現させることができる、制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る制御回路は、スイッチング電源からの電力を受けて、電力を出力する第1のDC-DCコンバータと、前記スイッチング電源または前記第1のDC-DCコンバータからの電力を受けて、電力を出力する第2のDC-DCコンバータと、前記第2のDC-DCコンバータからの電力を受けて動作する主制御回路と、補助電源からの電力を受けて動作するモード制御回路と、を備え、前記モード制御回路は、前記第1のDC-DCコンバータおよび前記第2のDC-DCコンバータのうち、前記スイッチング電源と前記主制御回路との間に配置されるDC-DCコンバータに対して、イネーブル指令またはディスエーブル指令のいずれかを送出可能であり、
前記スイッチング電源と前記主制御回路との間に配置されるDC-DCコンバータは、
前記イネーブル指令に従って電力を出力し、前記ディスエーブル指令に従って電力の出力を停止する構成を備える。
【0009】
本発明の態様2に係る制御回路は、上記態様1において、前記ディスエーブル指令が無電圧信号である構成を備えていてもよい。
【0010】
本発明の態様3に係る制御回路は、上記態様1または2において、前記補助電源からの電力を、前記モード制御回路に給電するための第1給電線と、前記第1のDC-DCコンバータからの電力を、前記モード制御回路に給電するための第2給電線と、を更に備え、前記モード制御回路は、前記スイッチング電源と前記主制御回路との間に配置される前記第2のDC-DCコンバータに対して、前記イネーブル指令または前記ディスエーブル指令のいずれかを送出可能である構成を備えていてもよい。
【0011】
本発明の態様4に係る制御回路は、上記態様3において、前記第2給電線が、前記第1給電線に接続されていてもよい。
【0012】
本発明の態様5に係る制御回路は、上記態様4において、前記第2給電線中には、カソードが前記第1給電線側に接続されるダイオードが設けられていてもよい。
【0013】
本発明の態様6に係る制御回路は、上記態様3から5のいずれかにおいて、前記第2のDC-DCコンバータは、前記第1のDC-DCコンバータからの電力を受けて、電力を出力可能であり、前記モード制御回路は、前記スイッチング電源と前記第2のDC-DCコンバータとの間に配置される前記第1のDC-DCコンバータに対して、前記イネーブル指令または前記ディスエーブル指令のいずれかを送出可能であり、前記補助電源から供給される電力が十分であると判断すると、前記第1のDC-DCコンバータに対して、前記ディスエーブル指令を送出し、前記補助電源から供給される電力が不十分であると判断すると、前記第1のDC-DCコンバータに対して、前記イネーブル指令を送出し、前記第2のDC-DCコンバータに対して、前記ディスエーブル指令を送出する構成を備えていてもよい。
【0014】
本発明の態様7に係る制御回路は、上記態様6において、前記モード制御回路が、前記補助電源から供給される電力が不十分であるとの判断を、前記第1給電線を通じて前記補助電源から供給される電圧が所定値未満であることを検知することにより行う構成を備えていてもよい。
【0015】
本発明の態様8に係る制御回路は、上記態様6または7において、前記モード制御回路が、前記補助電源から供給される電力が十分であると判断すると、更に、前記第2のDC-DCコンバータに対して、前記ディスエーブル指令を送出する構成を備えていてもよい。
【0016】
本発明の態様9に係る制御回路は、上記態様1または2において、前記第2のDC-DCコンバータは、前記第1のDC-DCコンバータからの電力を受けて、電力を出力することが可能であり、前記モード制御回路は、前記スイッチング電源と前記第2のDC-DCコンバータとの間に配置される前記第1のDC-DCコンバータに対して、前記イネーブル指令または前記ディスエーブル指令のいずれかを送出可能である構成を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、スイッチング電源を備えた電源システムにおいて、低コストで省電力モードを実現させることができる、制御回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態1に係る制御回路、及びそれを適用した電源システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態2に係る制御回路、及びそれを適用した電源システムの構成を示す回路図である。
【
図3】本発明の実施形態2に係る制御回路のモード制御回路の構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態2に係る制御回路の主制御回路による省電力モード移行処理を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態2に係る制御回路のモード制御回路による通常モード時処理を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態2に係る制御回路のモード制御回路による省電力モード時処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態2に係る制御回路の主制御回路による主制御回路起動処理を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態3に係る制御回路、及びそれを適用した電源システムの構成を示す回路図である。
【
図9】従来技術の制御回路、及びそれを適用した電源システムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ以下に説明する。
【0020】
<電源システム>
図1は、実施形態1に係る制御回路10及び、制御回路10が適用される電源システム1の構成を表すブロック図である。電源システム1は、プリンタ等の電気機器に搭載される。
【0021】
電源システム1の制御回路10は、電気機器の各部の状態をモニタし、電気機器の所要の動作、例えばプリンタであれば印刷の実行が、長時間実行されないと見込まれる際には、省電力モードに移行させる。省電力モードでは、電気機器の所定の各部への電力の供給が停止される。また、省電力モードでは、制御回路10に搭載された主制御回路ICcへの電力供給も停止される。
【0022】
例えばユーザによるスイッチ操作があった場合など、電気機器の所要の動作が実行される状況になると判断されれば、電源システム1は通常モードに復帰し、電気機器の各部への電力の供給、主制御回路ICcへの電力の供給が再開される。このように電源システム1は、電気機器全体の消費電力量の削減のため、省電力モードを適用して電力消費を抑制する機能を有する。
【0023】
電源システム1は、制御回路10と、スイッチング電源21と、小容量電源22(補助電源)とを備える。スイッチング電源21及び小容量電源22のそれぞれには、電気機器外部の交流電源から交流電力が供給される。
図1に示されるように、スイッチング電源21と小容量電源22は、同一の電源基板20上に形成されていてもよい。
【0024】
<スイッチング電源>
スイッチング電源21は、電気機器外部から受電した交流電力から、電気機器の各部へ供給する直流電力を生成する主電源である。スイッチング電源21は、スイッチング電源21でのスイッチング動作を制御する電源制御回路ICsを備えている。このような機能を有する電源制御回路ICsは、電源制御IC、スイッチング電源制御IC等の名称で、集積回路(IC)として製造されている。
【0025】
<小容量電源(補助電源)>
小容量電源22は、電源システム1が通常モードあるいは省電力モードにあるのに係わらず、制御回路10中のモード制御回路ICmに第1給電線を通じて直流電力を供給するための直流電源である。
【0026】
なお、このようにモード制御回路ICmに直流電力を供給するための補助電源は、交流電源から交流電力が供給されて、小容量の直流電力を供給するような、上記の小容量電源22であることに限られない。例えば、通常モード中に充電を行い、少なくとも省電力モード中にモード制御回路ICmに直流電力を供給するような、2次電池またはコンデンサ等の蓄電装置が設けられた電源であってもよい。あるいは、少なくとも省電力モード中にモード制御回路ICmに小容量の直流電力を供給する、光電池や1次電池が設けられた電源であってもよい。
【0027】
<制御回路>
制御回路10は、第1のDC-DCコンバータDDC1、第2のDC-DCコンバータDDC2、主制御回路ICc、及び、モード制御回路ICmを備えている。第1のDC-DCコンバータDDC1は、スイッチング電源21からの電力を受けて直流電力を出力し得る。第2のDC-DCコンバータは、第1のDC-DCコンバータDDC1からの電力を受けて直流電力を出力し得る。
【0028】
主制御回路ICcは、第2のDC-DCコンバータDDC2からの電力を受けて動作する。モード制御回路ICmは、小容量電源22からの電力を受けて動作する。そのため、モード制御回路ICmは、省電力モードであるか、通常モードであるかに係わらず動作し得る。
【0029】
モード制御回路ICmは、第1のDC-DCコンバータDDC1に対して、第1イネーブル(enable)指令または第1ディスエーブル(disable)指令のいずれかを示す第1動作制御信号Se1を送出する。第1のDC-DCコンバータDDC1は、第1イネーブル指令に従って電力を出力し、第1ディスエーブル指令に従って電力の出力を停止する。
【0030】
またモード制御回路ICmは、第2のDC-DCコンバータDDC2に対して、第2イネーブル指令または第2ディスエーブル指令のいずれかを示す第2動作制御信号Se2を送出する。第2のDC-DCコンバータDDC2は、第2イネーブル指令に従って電力を出力し、第2ディスエーブル指令に従って電力の出力を停止する。
【0031】
モード制御回路ICmは、第1のDC-DCコンバータDDC1に対して第1イネーブル指令を送出し、第2のDC-DCコンバータDDC2に対して第1イネーブル指令を送出することで、電源システム1の状態を通常モードとさせることができる。またモード制御回路ICmは、第1のDC-DCコンバータDDC1に対して第1ディスエーブル指令を送出することで、電源システム1の状態を省電力モードとさせることができる。
【0032】
<従来技術の制御回路が適用される電源システム>
図9は、従来技術の制御回路10P及び、制御回路10Pが適用される電源システム1Pの構成を、実施形態1に係る制御回路10及び電源システム1と比較のために示すブロック図である。
【0033】
従来技術のスイッチング電源21Pが備える電源制御回路ICsPは、実施形態1の場合とは異なり、モード制御回路ICmPからの動作制御信号に従う。こうして電源制御回路ICsPがスイッチング電源21Pにおけるスイッチング動作の実行と停止とを切り替えることで、従来技術の電源システム1Pは、スイッチング電源21Pが出力を行う通常モードと、出力を行わない省電力モードとを実現することができる。このような機能を有する電源制御回路ICsPもまた、電源制御IC、スイッチング電源制御IC等の名称で、集積回路(IC)として製造されている。
【0034】
スイッチング電源の1次側は、通常、他の回路とは絶縁される。そのため従来技術の電源システム1Pでは、制御回路10PがフォトカプラPCを備えており、制御回路10Pからは絶縁された状態で、動作制御信号がモード制御回路ICmPに伝送される。
【0035】
<作用効果>
従来技術の電源システム1Pでは、スイッチング電源21Pの電源制御回路ICsPが、モード制御回路ICmPからのスイッチング動作のオン/オフの指令を受け付けてスイッチング動作の実行と停止とを切り替える。しかし、このような機能を有する電源制御回路は、このような機能を有しない仕様の電源制御回路と比較して高コストである。
【0036】
また、従来技術の電源システム1Pではスイッチング動作のオン/オフの指令を制御回路10Pから伝送するために、フォトカプラPCを必要とする。しかしフォトカプラは比較的高価な電子部品であり、電源システム1Pの高コスト化に繋がる。
【0037】
しかし、実施形態1に係る電源システム1では、制御回路10の内部において、上流側(スイッチング電源により近い側)の第1のDC-DCコンバータDDC1がモード制御回路ICmからの指令を受け付けて、電力の出力/出力停止を切り替える。そのため、従来技術と比較して、低コストで通常モード/省電力モードの切り替えが実現できる。
【0038】
また、制御回路10の内部において、第1のDC-DCコンバータDDC1の出力は停止させずに、下流側第2のDC-DCコンバータDDC2がモード制御回路ICmからの指令を受け付けて、電力の出力/出力停止を切り替えることもできる。そのため第1のDC-DCコンバータDDC1から、所要の箇所、例えばモード制御ICに電力を供給しつつ、省電力モードを実現することも可能となる。
【0039】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0040】
<電源システム>
実施形態2は、実施形態1に係る制御回路10及び電源システム1の構成を、より具体化した態様である。
図2は、実施形態2に係る制御回路10及び、実施形態2に係る制御回路10が適用される電源システム1を示す回路図である。
【0041】
電源システム1は、制御回路10と、スイッチング電源21と、小容量電源22(補助電源)とを備える。スイッチング電源21及び小容量電源22のそれぞれには、電気機器外部の交流電源Vsから交流電力が供給される。
図1に示されたように、スイッチング電源21と小容量電源22は、同一の電源基板20上に形成されていてもよい。スイッチング電源21は、電気機器の各部へ供給する直流電力を生成する主電源である。小容量電源22は、電源システム1が通常モードあるいは省電力モードにあるのに係わらず、制御回路10中のモード制御回路ICmに直流電力を供給するための直流電源である。
【0042】
<スイッチング電源>
図2の回路図に示されるように、スイッチング電源21は、トランスTRを備えており、トランスTRの一次側の回路として、ダイオードブリッジDB、コンデンサCs、スイッチング素子Qt、直流電圧発生回路211、及び電源制御回路ICsを備えている。また、スイッチング電源21は、トランスTRの二次側の回路として、二次側整流平滑回路212と、電圧検出回路VDとを備えている。
【0043】
交流電源Vsからの交流電力は、ダイオードブリッジDBとコンデンサCsとから構成される整流平滑回路によって整流平滑化され、スイッチング素子Qtを介してトランスTRの一次側に入力される。スイッチング素子Qtは、電源制御回路ICsによりゲート制御され、トランスTRの一次側への入力のオン/オフを実行するスイッチング動作を行う。
【0044】
スイッチング素子Qtは、ゲート電圧によりオン/オフが制御される電圧駆動型の半導体素子である。スイッチング素子Qtは、MOS-FET(Metal-Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)やその他のFETであり得る。
【0045】
電源制御回路ICsの制御によりスイッチング素子Qtによるスイッチング動作が行われて、トランスTRの二次側に交流電力が発生する。二次側に発生した交流電力は、二次側整流平滑回路212により整流平滑化され、直流電力としてスイッチング電源21から出力される。スイッチング電源21の出力段に設けられた電圧検出回路VDは、スイッチング電源21の出力電圧をモニタし、内蔵するフォトカプラPC1の出力としての電圧モニタ信号を電源制御回路ICsに対して送出する。
【0046】
直流電圧発生回路211は、電源制御回路ICsが動作するための直流電力を供給する回路である。トランスTRの一次側副巻線と、これに接続された整流平滑回路とが、直流電圧発生回路211を構成する。
【0047】
スイッチング素子Qtの制御を実行する電源制御回路ICsは、以下の機能を有する回路である。ポートVccを通じて直流電圧発生回路211から電源制御回路ICsの動作のための電力を受け入れる。ポートOUTから、スイッチング素子Qtにゲート制御信号を出力する。ポートFBにて、電圧検出回路VDからの電圧モニタ信号を受信する。電源制御回路ICsは、スイッチング電源21の出力電圧が所定値(具体例において24V)となるように、スイッチング動作のフィードバック制御を行う。
【0048】
ポートVHにて、交流電源VsからのAC入力が開始された際に、電源制御回路ICsを起動させるための電力を受け取る。このような機能を有する電源制御回路ICsは、電源制御IC、スイッチング電源制御IC等の名称で、集積回路(IC)として製造されている。
【0049】
スイッチング電源21においては、一次側の電源制御回路ICsがスイッチング電源21の出力電圧をフィードバック制御するための電圧モニタ信号は、二次側の電圧検出回路VDのフォトカプラPC1出力により生成されている。よって、トランスTRの一次側の回路と二次側の回路との間の絶縁が可能となるように構成されている。
【0050】
<小容量電源>
小容量電源22(補助電源)は、モード制御回路ICmに対して、直流電力を供給するための電源である。小容量電源22は、入力コンデンサC1、入力コンデンサC2、AC-DCコンバータADC、及び、充電用コンデンサCcを備えている。小容量電源22の出力側のグラウンドVgdは、制御回路10と共通である。
【0051】
交流電源Vsからのスイッチング電源21へのAC入力が分岐され、AC-DCコンバータADCの各入力端子に接続された入力コンデンサC1、入力コンデンサC2を通じて、AC-DCコンバータADCに入力される。従って、小容量電源22は、電源システム1が通常モードあるいは省電力モードにあるのに係わらず、モード制御回路ICmに対して直流電力を供給し得る。小容量電源22の出力でもあるAC-DCコンバータADCの出力端子間には充電用コンデンサCcが接続される。なお、
図2に表示されるように、実施形態1の具体例において、小容量電源22の出力電圧はDC3.3Vである。
【0052】
<制御回路>
制御回路10は、第1のDC-DCコンバータDDC1と、第2のDC-DCコンバータDDC2と、主制御回路ICcと、モード制御回路ICmとを備えている。第1のDC-DCコンバータDDC1は、スイッチング電源21からの電力を受けて、電圧を変換した電力を出力する。第2のDC-DCコンバータDDC2は、第1のDC-DCコンバータDDC1からの電力を受けて、電圧を変換した電力を出力する。
【0053】
第1のDC-DCコンバータDDC1は、電気機器の各部に対して所要の電圧(具体例として5V)の直流電力を供給する。第2のDC-DCコンバータDDC1もまた、電気機器の各部に対して所要の電圧(具体例として3.3V)の直流電力を供給する。
図2に示されるように、制御回路10は更に、所要の電圧の直流電力を供給する第3のDC-DCコンバータDDC3、第4のDC-DCコンバータDDC4等を備えていてもよい。
【0054】
主制御回路ICcは、通常モード時に第2のDC-DCコンバータDDC2からの電力を受けて動作し、プリンタ等の電気機器の各部を制御する回路である。そのため、主制御回路ICcは動作時に、比較的大きな電力を消費する。モード制御回路ICmは、省電力モード時であっても、第1給電線Ln1を通じて小容量電源22からの電力の供給を受けて動作できる回路である。
【0055】
更にモード制御回路ICmは、小容量電源22からの電力供給が十分で無くなった場合であっても、第2給電線Ln2を通じて第1のDC-DCコンバータDDC1からの電力を受けて動作し得る。そのため、
図2に示されるように、第2給電線Ln2は、第1給電線Ln1の途中に接続されている。また、第2給電線Ln2中には、第1給電線Ln1側がカソード、第1のDC-DCコンバータDDC1側がアノードとなるように、ダイオードDが配置されている。ダイオードDが配置されることにより、第1のDC-DCコンバータDDC1側、すなわち第1のDC-DCコンバータDDC1が電力を供給する電気機器の各部の側には、小容量電源22からの直流電力は供給されない。
【0056】
モード制御回路ICmは、第1のDC-DCコンバータDDC1に対して、第1動作制御信号Se1を送出する。第1動作制御信号Se1は、第1イネーブル指令または第1ディスエーブル指令のいずれかを表す信号である。第1動作制御信号Se1の初期状態は第1イネーブル指令である。
【0057】
第1のDC-DCコンバータDDC1に十分な電力が供給されていれば、第1動作制御信号Se1が第1イネーブル指令である時、第1のDC-DCコンバータDDC1は、電圧変換動作を実行し、電力を出力する。一方、第1動作制御信号Se1が第1ディスエーブル指令である時、第1のDC-DCコンバータDDC1は、電圧変換動作を停止し、電力の出力を行わない。
【0058】
また、モード制御回路ICmは、第2のDC-DCコンバータDDC2に対して、第2動作制御信号Se2を送出する。第2動作制御信号Se2は、第2イネーブル指令または第2ディスエーブル指令のいずれかを表す信号である。第2動作制御信号Se2の初期状態は第2イネーブル指令である。
【0059】
第2のDC-DCコンバータDDC2に十分な電力が供給されていれば、第2動作制御信号Se2が第2イネーブル指令である時、第2のDC-DCコンバータDDC2は、電圧変換動作を実行し、電力を出力する。一方、第2動作制御信号Se2が第2ディスエーブル指令である時、第2のDC-DCコンバータDDC2は、電圧変換動作を停止し、電力の出力を行わない。
【0060】
第1ディスエーブル指令が無電圧信号であるように、第1動作制御信号Se1が設定されていることが好ましい。第1のDC-DCコンバータDDC1の動作停止時に、制御回路10全体の電力消費を更に抑えるためである。また第2ディスエーブル指令が無電圧信号であるように、第2動作制御信号Se2が設定されていることが好ましい。第2のDC-DCコンバータDDC2の動作停止時に、制御回路10全体の電力消費を更に抑えるためである。
【0061】
モード制御回路ICmが送出する第1動作制御信号Se1は、初期状態では第1イネーブル指令を示す。また、モード制御回路ICmが送出する第2動作制御信号Se2は、初期状態では第2イネーブル指令を示す。主制御回路ICcは、通常モード時には、スイッチング電源21、第1のDC-DCコンバータDDC1、第2のDC-DCコンバータDDC2をこの順に介して電力を受け取り、動作する。
【0062】
なお制御回路10に、スイッチング電源21からの出力電圧をそのまま出力するライン(
図2の出力端子OUT1)が設けられている場合には、そのライン上に、第2のDC-DCコンバータの動作に同期してオン/オフするリレーが設けられていてもよい。これにより、スイッチング電源21からの出力電圧をそのまま出力するラインの出力/非出力を、第2のDC-DCコンバータからの出力/非出力に同期させることができるようになる。つまり、省エネルギーモード時に出力端子OUT1からの出力を停止させることができるようになる。
【0063】
主制御回路ICcは、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)、1つ以上のASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のIC(Integrated Circuit)、のいずれか含んで構成されていてもよい。また主制御回路ICcは、1つ以上のCPUと1つ以上のASIC等のICとを含んで構成されていてもよい。
【0064】
また、モード制御回路ICmは、1つ以上のCPU、1つ以上のASIC等のIC、のいずれか含んで構成されていてもよい。また主制御回路ICcは、1つ以上のCPUと1つ以上のASIC等のICとを含んで構成されていてもよい。更に、主制御回路ICcの少なくとも一部とモード制御回路ICmの少なくとも一部とが、共通のICとして構成されていてもよい。
【0065】
主制御回路ICcまたは主制御回路ICcがCPUを含む場合、CPUは各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行する。この場合、主制御回路ICcまたは主制御回路ICcは、上記プログラムを記憶した読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記CPUが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。
【0066】
<モード制御回路>
次に、制御回路10のモード制御回路ICmの構成について説明する。
図3は、モード制御回路ICmの概略構成を示すブロック図である。モード制御回路ICmは、電力受入部111、スイッチ操作検出部112、電圧検知部113、第1動作指示部114、及び、第2動作指示部115の、各機能ブロックを有する。またモード制御回路ICmは、通信部116、制御部117、及び、記録部118の各機能ブロックを有する。
【0067】
電力受入部111は、第1給電線Ln1に接続するポートP1を通じて小容量電源22または第1のDC-DCコンバータDDC1から直流電力を受け取り、モード制御回路ICmの各部に電力を供給する。
【0068】
スイッチ操作検出部112は、スイッチSWが接続されたポートP2の電圧を監視し、ユーザによるスイッチSWの操作の状態をモニタする。スイッチ操作検出部112は、省電力モード中に、ユーザによる省電力モードから通常モードへの移行の指示を示す所定のスイッチ操作がなされると、制御部117に通知する。また、スイッチ操作検出部112は、通常モード中に、ユーザによる通常モードから省電力モードへの移行の指示を示す所定のスイッチ操作がなされると、制御部117に通知してもよい。
【0069】
電圧検知部113は、ポートP3を通じて電圧を検知する機能ブロックである。ポートP3は、第1給電線Ln1に接続されている。制御部117は、電圧検知部113が検知した電圧から、電圧状態を判断する。すなわち、検知した電圧が所定値以上であれば、小容量電源22からのモード制御回路ICmに対する電力供給が十分であって電圧状態が正常と判断し、所定値未満であれば不十分であって電圧状態が異常と判断する。
【0070】
第1動作指示部114は、ポートP4を通じて第1動作制御信号Se1を出力する機能ブロックである。第1動作制御信号Se1は、第1のDC-DCコンバータDDC1に対して送出される。第2動作指示部115は、ポートP5を通じて第2動作制御信号Se2を出力する機能ブロックである。
【0071】
第2動作制御信号Se2は、第2のDC-DCコンバータDDC2、第3のDC-DCコンバータDDC3、及び第4のDC-DCコンバータDDC4に対して送出される。従って、第3のDC-DCコンバータDDC3及び第4のDC-DCコンバータDDC4は、第2のDC-DCコンバータDDC2に同期して出力/出力停止が切り替わるが、以下では必ずしも第3のDC-DCコンバータDDC3等の動作については明示されない。
【0072】
通信部116は、ポートP6を通じて、主制御回路ICcとの間で通信を行う機能ブロックである。制御部117は、モード制御回路ICmの各部を制御し、また種々の演算や判断を行う機能ブロックである。記録部118は、情報を記録する機能ブロックである。
【0073】
<主制御回路による省電力モード移行処理>
電源システム1が起動、すなわち電気機器が起動すると、スイッチング電源21及び小容量電源22からの電力の出力が開始される。モード制御回路ICmが起動し、第1動作制御信号Se1として初期状態である第1エネーブル指令が第1のDC-DCコンバータDDC1に送出され、第1のDC-DCコンバータDDCが出力を開始する。また、第2動作制御信号Se2として初期状態である第2エネーブル指令が第2のDC-DCコンバータDDC2に送出され、第2のDC-DCコンバータDDCが出力を開始する。
【0074】
こうして主制御回路ICcに電力が供給され、主制御回路ICcが起動する。すると電源システム1の状態は通常モードの状態となる。主制御回路ICcは、
図4のフローチャートに示される省電力モード移行処理を実行する。以下に、省電力モード移行処理について、
図4を参照して説明する。
【0075】
ステップS11:主制御回路ICcは、省電力モードに移行するか否かを判断する。主制御回路ICcが、省電力モードに移行すると判断した場合(S11でYES)、フローはステップS12に進む。それ以外の場合(S11でYES)、フローはステップS11を繰り返す。
【0076】
主制御回路ICcによる判断条件は、電気機器に応じて適宜に設定すればよい。例示として、電気機器において所定の動作、例えばプリンタであれば印刷が、一定期間行われていなければ、主制御回路ICcが省電力モードに移行するとの判断を行うようにしてもよい。あるいは、モード制御回路ICmにおいてスイッチ操作検出部112が、ユーザによるスイッチSWの操作を検出し、主制御回路ICcがその旨の通知をモード制御回路ICmから受信した場合に省電力モードに移行するとの判断を行うようにしてもよい。
【0077】
ステップS12:主制御回路ICcは、モード制御回路ICmから電圧状態を取得する。
【0078】
ステップS13:続いて主制御回路ICcは、モード制御回路ICmから取得した電圧状態が正常か否かを判断する。正常と判断される場合(S13でYES)、フローはステップS14に進む。それ以外の場合(S13でNO)、フローはステップS15に進む。
【0079】
ステップS14:主制御回路ICcは、モード制御回路ICmに、第1動作制御信号Se1として、第1ディスエーブル指令を送出するように指示する。次に省電力モード移行処理のフローは終了する。この場合には、第1のDC-DCコンバータDDC1が電力を出力しない状態となり、第2のDC-DCコンバータDDC2に電力が供給されなくなり、主制御回路ICcが停止する。第3のDC-DCコンバータDDC3、第4のDC-DCコンバータDDC4にも同様に電力が供給されなくなる。電源システム1は省電力モードに移行することとなる。
【0080】
ステップS15:主制御回路ICcは、モード制御回路ICmに、第2動作制御信号Se2として、第2ディスエーブル指令を送出するように指示する。次に省電力モード移行処理のフローは終了する。この場合には、第2のDC-DCコンバータDDC2が電力を出力しない状態となり、主制御回路ICcが停止する。第3のDC-DCコンバータDDC3、第4のDC-DCコンバータDDC4も同様に電力を出力しない状態となる。
【0081】
電源システム1はステップS14に至った場合とは異なる省電力モードに移行することとなる。また、小容量電源22からのモード制御回路ICmに対する電力供給が不十分であるので、第1のDC-DCコンバータDDC1の動作を止めないことで、モード制御回路ICmにはDC-DCコンバータDDC1からの電力が供給されることとなる。
【0082】
<モード制御回路による通常モード時処理>
モード制御回路ICmは、電源システム1が起動すると、あるいは、通常モードに移行した場合(モードのフラグを通常モードに設定した場合)に、
図5のフローチャートに示される、通常モード時処理を実行する。以下に、通常モード時処理について、
図5を参照して説明する。
【0083】
ステップS21:制御部117は、通信部116を通じて主制御回路ICcから、第1動作制御信号Se1として、第1ディスエーブル指令を送出すべき旨の指示を、受信しているか否かを判断する。受信していると判断される場合(S21でYES)、フローはステップS23に進む。それ以外の場合(S21でNO)、フローはステップS22に進む。
【0084】
ステップS22:制御部117は、通信部116を通じて主制御回路ICcから、第2動作制御信号Se2として、第2ディスエーブル指令を送出すべき旨の指示を受信しているか否かを判断する。受信していると判断される場合(S22でYES)、フローはステップS24に進む。それ以外の場合(S21でNO)、フローはステップS21に戻る。
【0085】
ステップS23:制御部117は、第1動作指示部114に、第1動作制御信号Se1として第1ディスエーブル指令を送出させる。次にフローはステップS25に進む。
【0086】
ステップS24:制御部117は、第2動作指示部115に、第2動作制御信号Se2として第2ディスエーブル指令を送出させる。次にフローはステップS25に進む。
【0087】
ステップS25:制御部117は、モードのフラグを省電力モードに設定する。次に通常モード時処理のフローは終了する。
【0088】
<モード制御回路による省電力モード時処理>
モード制御回路ICmは、省電力モードに移行した場合(モードのフラグを省電力モードに設定した場合)に、
図6のフローチャートに示される、省電力モード時処理を実行する。以下に、省電力モード時処理について、
図6を参照して説明する。
【0089】
ステップS31:制御部117は、電圧状態が異常な状態に変化したか否かを判断する。すなわち、電圧検知部113が検知した電圧が、所定値以上の状態から所定値未満の状態に変化したか否かを判断する。異常な状態に変化したと判断される場合(S31でYES)、フローはステップS33に進む。それ以外の場合(S31でNO)、フローはステップS32に進む。
【0090】
ステップS32:電圧状態が異常な状態に変化していない場合、制御部117は更に、その他の通常モードに移行する要因が発生しているか否かを判断する。発生していると判断される場合(S32でYES)、フローはステップS33に進む。それ以外の場合(S32でNO)、フローはステップS31に戻る。ここで、その他の通常モードに移行する要因とは、例えば、スイッチ操作検出部112がスイッチSWの操作を検出したことであってよい。
【0091】
ステップS33:制御部117は、第1動作制御信号Se1及び第2動作制御信号Se2を初期化する。すなわち、第1動作指示部114から、第1動作制御信号Se1としてイネーブル指令が送出している状態とし、第2動作指示部115から、第2動作制御信号Se2としてイネーブル指令が送出している状態とする。すると、第1のDC-DCコンバータDDC1及び第2のDC-DCコンバータDDC2が出力を開始する。主制御回路ICcへの電力が供給され、主制御回路ICcが起動する。また電気機器の各部への電力供給が開始され、通常モードに移行する。
【0092】
ステップS34:制御部117は、モードのフラグを通常モードに設定する。次に省電力モード時処理のフローは終了する。
【0093】
<主制御回路による主制御回路起動処理>
主制御回路ICcは、省電力モードから通常モードに移行し、電力供給が開始して起動した際、
図7のフローチャートに示される主制御回路起動処理を実行し、起動状態が継続していれば、続いて
図4のフローチャートに示された省電力モード移行処理を実行する。以下に、主制御回路起動処理について、
図7を参照して説明する。
【0094】
ステップS41:主制御回路ICcは、モード制御回路ICmから起動情報を取得する。ここで、起動情報とは、電圧状態に変化があって第1動作制御信号Se1及び第2動作制御信号Se2の初期化が行われたのか、その他通常モード移行要因の発生があって第1動作制御信号Se1及び第2動作制御信号Se2の初期化が行われたのかの情報である。
【0095】
すなわち、省電力モード時処理における第1動作制御信号Se1及び第2動作制御信号Se2の初期化のステップS33に至る経路が、ステップS31でYESであったのか、ステップS32でYESであったのかの情報である。
【0096】
ステップS42:主制御回路ICcは、モード制御回路ICmから取得した起動情報が、電圧状態に変化があった旨の情報であるか否かを判断する。電圧状態に変化があった旨の情報であると判断される場合(S42でYES)、フローはステップS43に進む。それ以外の場合(S42でNO)、フローは終了する。この場合は、スイッチSWの操作等の要因により、通常モードに移行しているため、主制御回路ICcは起動状態を継続し、電源システム1は通常モードを継続することとなる。
【0097】
ステップS43:主制御回路ICcは、モード制御回路ICmから取得した電圧状態が正常か否かを判断する。正常と判断される場合(S43でYES)、フローはステップS44に進む。それ以外の場合(S43でNO)、フローはステップS45に進む。
【0098】
ステップS44:主制御回路ICcは、モード制御回路ICmに、第1動作制御信号Se1として、第1ディスエーブル指令を送出するように指示する。次に主制御回路起動処理のフローは終了する。この場合には、起動情報では、電圧状態に変化があったとされたものの、電圧状態が正常に復帰したため、第1のDC-DCコンバータDDC1によるモード制御回路ICmへの電力供給は行わずに、省電力モードに再度移行することとなる。主制御回路ICcへの電力の供給が停止し、主制御回路ICcが動作を停止することとなる。
【0099】
ステップS15:主制御回路ICcは、モード制御回路ICmに、第2動作制御信号Se2として、第2ディスエーブル指令を送出するように指示する。次に主制御回路起動処理のフローは終了する。この場合には、電圧状態が異常であるため、第1のDC-DCコンバータDDC1によるモード制御回路ICmへの電力供給を行わせて、省電力モードに再度移行することとなる。主制御回路ICcへの電力の供給が停止し、主制御回路ICcが動作を停止することとなる。
【0100】
<作用・効果>
実施形態2に係る制御回路10が適用された電源システム1においても、実施形態1と同様に、従来技術と比較して、通常モード/省電力モードの切り替えが可能な電源システム1が低コストで実現できる。
【0101】
また実施形態2によれば、制御回路10は、第1動作制御信号Se1に従って動作する第1のDC-DCコンバータDDC1と、第2動作制御信号Se2に従って動作する第2のDC-DCコンバータDDC2とを備えている。小容量電源22からのモード制御回路ICmへの電力供給が十分な場合には、制御回路10は、第1のDC-DCコンバータDDC1の動作を停止する。これにより制御回路10は、第2のDC-DCコンバータDDC2を介した主制御回路ICcへの電力供給を停止し、省電力モードを実行する。
【0102】
一方、小容量電源22からのモード制御回路ICmへの電力供給が不十分な場合には、制御回路10は、第1のDC-DCコンバータDDC1の動作は停止せずに、第2のDC-DCコンバータDDC2の動作を停止する。これにより制御回路10は、第2のDC-DCコンバータDDC2からの主制御回路ICcへの電力供給を停止し、省電力モードを実行する。そうして、第1のDC-DCコンバータDDC1から、第1給電線Ln1を通じて、モード制御回路ICmへの電力供給が行われる。
【0103】
従って実施形態2によれば、補助電源による電力供給が不十分となった場合であっても、モード制御回路ICmへの電力供給が維持できるようになり、電気機器が通常モードに復帰できずに通常の動作を行うことが出来なくなる事態が招来されることが無い。
【0104】
〔実施形態3〕
実施形態3は実施形態2の変形例である。実施形態2に係る制御回路10では、小容量電源22に電力を供給し得る第1のDC-DCコンバータDDC1と、主制御回路ICcに電力を供給する第2のDC-DCコンバータDDC2とが、直列に接続されていた。実施形態3に係る制御回路10Aでは、小容量電源22に電力を供給し得る第1のDC-DCコンバータDDC1と、主制御回路ICcに電力を供給する第2のDC-DCコンバータDDC2とが、並列に接続される。
【0105】
図8は、実施形態3に係る制御回路10A及び、制御回路10Aが適用される電源システム1Aを示す回路図である。実施形態3においては、第2のDC-DCコンバータDDC2は、スイッチング電源21の出力に接続される。第2のDC-DCコンバータと同様に第3~第5のDC-DCコンバータDDC3~DDC5もまた、スイッチング電源21の出力に接続され、第2動作制御信号Se2に従って動作または停止する。実施形態3の具体例において、第1のDC-DCコンバータDDC1が出力する直流電圧は5Vである。
【0106】
制御回路10Aでは、以下の点が変更される他は、
図4~
図7のフローチャートに示されたフローと同様に動作する。省電力モード移行処理のステップS14及び主制御回路起動処理のステップS44において、主制御回路ICが、モード制御回路ICmに、第2動作制御信号Se2として、第2ディスエーブル指令を送出するように指示することが追加される。また、通常モード時処理のステップS23において、モード制御回路ICmが、第2動作制御信号Se2として、第2ディスエーブル指令を送出することが追加される。
【0107】
実施形態2においては、第1のDC-DCコンバータDDC1による電力の出力が停止することで、第2のDC-DCコンバータDDC2の電力の出力も停止していた。実施形態3においては、その動作が、第2のDC-DCコンバータDDC2が第2ディスエーブル指令を受け取ることで電力の出力を停止するように変更されている。実施形態3によっても、実施形態2と同様の効果が得られる。
【0108】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。更に、実施形態で開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【0109】
上述した各実施形態では、本発明の制御回路が適用される電気機器として、プリンタが例示された。しかし、プリンタに限られず、複写機、プリンタまたは複写機の機能を備えた複合機、通信機器、テレビ等の映像機器やその他の電気機器に、本発明の制御回路が適用され得る。
【符号の説明】
【0110】
1、1A 電源システム
10、10A 制御回路
ICc 主制御回路
ICm モード制御回路
P1~P6 ポート
DDC1 第1のDC-DCコンバータ
DDC2 第2のDC-DCコンバータ
DDC3~DDC5 第3のDC-DCコンバータ~第5のDC-DCコンバータ
Ln1 第1給電線
Ln2 第2給電線
D ダイオード
Se1 第1動作制御信号(イネーブル指令またはディスエーブル指令)
Se2 第2動作制御信号(イネーブル指令またはディスエーブル指令)
20 電源基板
21、21A スイッチング電源
DB ダイオードブリッジ
ICs 電源制御回路
TR トランス
VD 電圧検出回路
211 直流電圧発生回路
212 二次側整流平滑回路
22 小容量電源(補助電源)
ADC AC-DCコンバータ