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特開2022-41271カルバゾール化合物、並びに、これを含有する機能性材料及び発光素子
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  • 特開-カルバゾール化合物、並びに、これを含有する機能性材料及び発光素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041271
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】カルバゾール化合物、並びに、これを含有する機能性材料及び発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20220304BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20220304BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
C07D487/04 137
C07D487/04 CSP
C09K11/06
C09K11/06 650
H05B33/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146373
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】520332966
【氏名又は名称】平賀 靖英
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】平賀 靖英
【テーマコード(参考)】
3K107
4C050
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107CC04
3K107CC07
3K107CC12
3K107CC21
3K107DD59
3K107DD66
3K107DD68
3K107DD69
4C050AA01
4C050AA07
4C050BB04
4C050CC04
4C050EE01
4C050FF05
4C050GG01
4C050HH04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発光材料、ホスト材料、発光素子、ポリマーコンポジット材料、蓄光材料、又は偏光発光材料等に有用な化合物の提供。
【解決手段】式(1)で示されるインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物。

(式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立してH、炭素数1~12のアルキル基、フェニル基、シアノ基、多環芳香族炭化水素基、又は、ヘテロ芳香環基;X、X、Xはそれぞれ独立して窒素原子、又は水素置換炭素原子を表すが、X、X、Xのうちの少なくとも1つは窒素原子である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示されるインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物。
【化1】
(上記一般式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~12のアルキル基、フェニル基、シアノ基、多環芳香族炭化水素基、又は、ヘテロ芳香環基を表す。また上記式中、X、X、Xはそれぞれ独立して窒素原子、又は水素置換炭素原子を表すが、X、X、Xのうちの少なくとも1つは窒素原子である。)
【請求項2】
下記式(2)で示されるインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物。
【化2】
(上記式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~12のアルキル基、フェニル基、シアノ基、多環芳香族炭化水素基、又は、ヘテロ芳香環基を表す。また上記式中、X、X、Xはそれぞれ独立して窒素原子、又は水素置換炭素原子を表すが、X、X、Xのうちの少なくとも1つは窒素原子である。)
【請求項3】
請求項1記載の化合物及び請求項2記載の化合物の少なくともいずれかを含む機能性材料。
【請求項4】
発光材料である請求項3記載の機能性材料。
【請求項5】
ホスト材料である請求項3記載の機能性材料。
【請求項6】
請求項3記載の機能性材料を含む発光素子。
【請求項7】
請求項1記載の化合物及び請求項2記載の化合物の少なくともいずれかを含むポリマーコンポジット材料。
【請求項8】
請求項7記載のポリマーコンポジット材料を含有する機能性材料。
【請求項9】
蓄光材料である請求項8記載の機能性材料。
【請求項10】
偏光発光材料である請求項8記載の機能性材料。
【請求項11】
下記式(1)で示されるインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物、及び、下記式(2)で示されるインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物の少なくともいずれかを、ガラス転移温度以上に加熱したポリマーに分散させる工程、を有するポリマーコンポジット材料の製造方法。
【化3】
【化4】
(上記式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~12のアルキル基、フェニル基、シアノ基、多環芳香族炭化水素基、又は、ヘテロ芳香環基を表す。また上記式中、X、X、Xはそれぞれ独立して窒素原子、又は水素置換炭素原子を表すが、X、X、Xのうちの少なくとも1つは窒素原子である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルバゾール化合物並びにこれを含む機能性材料及び発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光特性を有する有機機能性材料は、プローブや有機ELの発光材料等、様々な用途に利用されており、その物性制御に関して精力的に研究が行われている。また近年、熱活性遅延蛍光や室温燐光、偏光発光等、特殊な機能を有する材料、及びそれを利用した素材が見出され、今後の応用展開に注目が集まっている。
【0003】
上記技術の例としては、例えば、下記非特許文献1に記載されるように、熱活性遅延蛍光(Thermally Activated Delayed Fluorescence(以下「TADF」という。))を利用した有機発光材料(以下「TADF材料」という。)は、小さい一重項、三重項間の励起エネルギー差(ΔEST)を有するように設計されており、熱エネルギーによって三重項励起子から一重項励起子への逆項間交差が生ずることで、蛍光材料でありながら燐光材料に匹敵する最大100%の内部量子効率を実現できる。また、この材料はレアメタルを要求しないため、燐光材料と比較して安価であるという利点を有する。
【0004】
また、他の技術の例としては、例えば特許文献1に記載されるように、適切に分子間相互作用を設計することにより、固体中で振動失活が抑制され、長寿命の燐光や遅延蛍光を発する有機蓄光材料が開発されており、環境負荷の大きい従来の無機蓄光材料を代替するものとして期待されている。
【0005】
更に、例えば特許文献2に記載されるように、高分子に高アスペクト比の分子骨格を有する発光材料を分散させ、延伸することにより、偏光発光特性を付与したフィルムが開発されており、透明LCD等への応用が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-149888号公報
【特許文献2】国際公開WO 2019/022211号公報
【特許文献3】国際公開WO 2014/024856号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Scientific Reports, 2013, 3, 2127.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、TADF材料を使用したデバイスの性能は、発光材料を分散させるホスト材料に強く依存する。例えば、上記特許文献3にはホスト材料が報告されているものの、性能は従来材料と同等の領域に留まっており、未だ十分に最適化されたホスト材料は見出さ
れていないのが現状である。
【0009】
また、上記先行技術文献を含め、これまでに多くの発光材料が見出されているものの、 高色域ディスプレイや高演色性光源に要求される深青色、高色純度発光材料の開発は、安定性の問題や分子設計の制約が多く、他の色と比較して著しく遅れている。
【0010】
更に、有機蓄光材料に関しても、結晶状態でのみ蓄光特性を発現するものが殆どであるため、用途が限定されるといった課題がある。また、実用的な秒単位での発光寿命を有するものも少ない。従って、既存の無機蓄光材料と比較した場合、低環境負荷以外の優位性が無いのが現状である。
【0011】
また、偏光発光材料に関しては、アスペクト比が高く、剛直な骨格が必要となるが、共役長が伸びることで必然的にバンドギャップが狭くなるため、深青色、高色純度発光特性を備えた偏光発光材料の開発は困難であるといった課題がある。
【0012】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、新規で有用なカルバゾール化合物並びにこれを含む機能性材料及び発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、インドロ[3,2,1-jk]カルバゾールとπ電子不足含窒素ヘテロ芳香環を一分子内に含む構造が、上記の課題を解決する材料となることを見出した。
【0014】
すなわち、本発明の一観点に係るインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物は、下記式(1)で示されるものである。
【化1】
【0015】
上記一般式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~12のアルキル基、フェニル基、シアノ基、多環芳香族炭化水素基、又は、ヘテロ芳香環基を表す。また上記式中、X、X、Xはそれぞれ独立して窒素原子、又は水素置換炭素原子を表すが、X、X、Xのうちの少なくとも1つは窒素原子である。
【0016】
また、本発明の他の一観点に係るインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物は、下記式(2)で示されるものである。
【化2】
【0017】
上記式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~12のアルキル基、フェニル基、シアノ基、多環芳香族炭化水素基、又は、ヘテロ芳香環基を表す。また上記式中、X、X、Xはそれぞれ独立して窒素原子、又は水素置換炭素原子を表すが、X、X、Xのうちの少なくとも1つは窒素原子である。
【0018】
また、本発明の他の一観点に係る機能性材料は、上記式(1)で示されるインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物、及び、上記式(2)示されるインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物の少なくともいずれかを含むものである。
【0019】
なお、本観点において、機能性材料は、限定されるわけではないが、発光材料及びホスト材料の少なくともいずれかであることが好ましい。
【0020】
また、本観点の他の一観点に係る発光素子は、上記機能性材料を含むものである。
【0021】
また、本発明の他の一観点に係るポリマーコンポジット材料は、上記式(1)で示されるインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物、及び、上記式(2)で示されるインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物の少なくともいずれかを含むものである。
【0022】
また、本発明の他の一観点に係る機能性材料は、上記ポリマーコンポジット材料を含むものである。
【0023】
また、本観点において、限定されるわけではないが、機能性材料は、蓄光材料及び偏光発光材料の少なくともいずれかであることが好ましい。
【0024】
また、本発明の他の一観点に係るポリマーコンポジット材料の製造方法は、下記式(1)で示されるインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物、及び、下記式(2)で示されるインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物の少なくともいずれかを、ガラス転移温度以上に加熱したポリマーに分散させる工程、を有する。
【化3】
【化4】
【0025】
なお上記式中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~12のアルキル基、フェニル基、シアノ基、多環芳香族炭化水素基、又は、ヘテロ芳香環基を表す。また上記式中、X、X、Xはそれぞれ独立して窒素原子、又は水素置換炭素原子を表すが、X、X、Xのうちの少なくとも1つは窒素原子である。
【発明の効果】
【0026】
以上、本発明によって、新規で有用なカルバゾール化合物並びにこれを含む機能性材料及び発光素子を提供することが可能となる。なお、本発明のより具体的な効果は以下のとおりである。
【0027】
本発明に係るカルバゾール化合物(以下「本化合物」という。)は、有機EL素子のホスト材料として、特にTADF材料のホスト材料として用いることが可能である。本化合物を用いることで、適切なエネルギー構造、バイポーラー構造由来の良好なキャリアバランス、及び安定性の高い構造により、量子効率を維持しつつ、駆動電圧が低く、寿命の長い有機ELデバイスを得ることができる。
【0028】
また、本化合物は、有機EL素子の発光材料として使用することが可能である。本化合物を用いることで、広いバンドギャップと剛直な構造に由来する深青色、高色純度発光が実現できる。
【0029】
また、本化合物をポリマーに分散させてポリマーコンポジット材料とすることで、剛直な骨格と高分子鎖との相互作用により振動失活を抑制し、長寿命の室温燐光特性を発現させることができる。これは、透明、且つ任意に成形可能であるため、環境負荷の小さい純有機蓄光材料として種々の用途に使用することができる。
【0030】
なお本発明の化合物は剛直な構造と高いアスペクト比、及び長軸方向に並行な遷移モーメントを有するため、ポリマーに分散させた後に延伸することにより、延伸方向に分子長軸が配向し、容易に深青色、高色純度の偏光発光材料とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施例において作製した化合物をホスト材料として用いた場合のデバイス特性を示す図である。
図2】実施例において作製した化合物の蛍光スペクトルを示す図である。
図3】実施例において作製したポリマーコンポジット材料の蓄光状態を示す図である。
図4】実施例において製造したフィルムの発光における写真図である。
図5】実施例に係る偏光発光のスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態及び実施例について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例として記載された具体的な例示にのみ限定されるわけではない。
【0033】
(カルバゾール化合物)
本実施形態に係る一つ目のインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物は、下記式(1)で示されるものである。
【化5】
【0034】
なお上記式(1)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~12のアルキル基、フェニル基、シアノ基、多環芳香族炭化水素基、又は、ヘテロ芳香環基を表す。また上記式中、X、X、Xはそれぞれ独立して窒素原子、又は水素置換炭素原子を表すが、X、X、Xのうちの少なくとも1つは窒素原子である。
【0035】
また、上記において、多環芳香族炭化水素基としては、限定されるわけではないが、炭素数9~20の多環芳香族炭化水素基であることが好ましく、例えば、ペンタレニル基、インデニル基、アズレニル基、ナフチル基等の炭素縮合二環系、インダセニル基、ビフェニレニル基、アセナフチレニル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基等の炭素縮合三環系、ピレニル基、クリセニル基等の炭素縮合四環系、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基等の炭素縮合五環系等が好ましい。
【0036】
また、上記において、ヘテロ環基としては、5員環、及び、6員環の複素環置換基、並びにそれらが縮環したものを例示することができ、例えば、イミダゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジル基、ピリダジニル基、ベンズイミダゾリル基、イミダゾリルピリジル基、イミダゾリルピリミジニル基、ジベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、キノリル基、キノキサリル基等であることが好ましい。なお、これらは更に置換基を有していても良い。
【0037】
なお、更に上記の具体的な例として、例えば下記を挙げることができる。ただし、これはあくまで一例である。
【化6】
【0038】
また、本実施形態に係るもう一つのインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物は、下記式(2)で示されるものである。
【化7】
【0039】
なお上記式(2)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~12のアルキル基、フェニル基、シアノ基、多環芳香族炭化水素基、又は、ヘテロ芳香環基を表す。また上記式中、X、X、Xはそれぞれ独立して窒素原子、又は水素置換炭素原子を表すが、X、X、Xのうちの少なくとも1つは窒素原子である。なお、多環芳香族炭化水素基及びヘテロ芳香環基については、上記式(1)と同様である。
【0040】
また、更に上記の具体的な例としては、例えば下記を挙げることができる。ただし、これはあくまで一例である。
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【0041】
上記式(1)及び式(2)で示される化合物(以下これらをまとめて「本化合物」ともいう。)は、いずれも、全ての芳香族ユニットがsp2炭素-炭素結合を介して結合しているため、極めて安定性が高い。また、本化合物の平面的且つ剛直な骨格により、高いガラス転移温度を有する。従って、薄膜電子デバイス材料として適する。
【0042】
また本化合物は、インドロ[3,2,1-jk]カルバゾール由来の非常に深いHOMOと高い三重項励起エネルギーを有するため、ホスト材料としてTADF材料に適するエネルギー構造を有する。更に、分子内にホール輸送ユニットであるインドロ[3,2,1-jk]カルバゾールと電子輸送ユニットであるヘテロ環を有するバイポーラー構造であるため、良好なキャリアバランスによる高効率、低電圧駆動、及び長寿命が実現できる。
【0043】
また、上記式(1)及び(2)で示される化合物は、いずれも、広いバンドギャップを有し、剛直な構造により振動が抑制されるため、深青色高色純度発光が実現できる。すなわち、本化合物は、発光材料に用いることができる。
【0044】
上記の記載から明らかなように、上記式(1)及び(2)で示される化合物は、いずれも、機能性材料として用いることが可能であり、具体的には発光材料、ホスト材料として用いることが可能であり、この機能性材料を含むことで発光素子とすることが可能である。すなわち、上記式(1)及び(2)で示される化合物の少なくともいずれかを含むことで機能性材料として用いることが可能であり、この機能性材料を含ませることで発光素子を実現することが可能である。
【0045】
また、上記式(1)及び(2)で示される化合物は、ポリマーに分散させることにより、ポリマーコンポジット材料とすることが可能であり、更に別途の効果を得ることが可能となる。すなわち、本実施形態に係るポリマーコンポジット材料(以下「本コンポジット材料」という。)は、上記式(1)及び式(2)で示される化合物の少なくともいずれかを含むものであり、これが新規な機能性材料ともなる。
【0046】
本コンポジット材料は、剛直な骨格と高分子鎖との相互作用によって三重項励起子の無輻射失活が効果的に抑制され、長寿命の燐光を発する蓄光材料として機能する。
【0047】
また本コンポジット材料の本化合物は、上記式(1)及び(2)で明らかなように、高いアスペクト比を有するため、分散させた樹脂を延伸することにより、高分子鎖に沿って分子が配向する。本化合物の遷移モーメントは、ドナー/アクセプター構造により長軸に平行となるため、発光は延伸方向に偏光し、深青色、高色純度の偏光発光材料を容易に得ることができる。
【0048】
すなわち、本ポリマーコンポジット材料は、少なくとも蓄光材料用途や偏光発光材料用途としての機能性材料としてその効果を発揮できる。
【0049】
(発光素子)
上記の通り、本化合物は、電子デバイス用の機能性材料として、発光素子に好適に用いることができる。発光素子は、陰極及び陽極と、これら各極間に介在する発光層とを備える電子デバイスであり、発光素子としては、例えば、有機EL素子を例示することができる。有機EL素子では、陽極から正孔が、陰極から電子が発光層に注入され、それらが発光層中で再結合することにより励起子が生成し、これが失活する際に発光する。この有機EL素子は、発光光源、照明装置、表示デバイスなどに応用できる。なお、有機EL素子の陰極、陽極、及び発光層を構成するその他の材料などは、公知のものから適宜選択して用いることができる。
【0050】
また、発光素子は、陰極と発光層との間に電子輸送材料を含む電子輸送層を備えていてもよく、陽極と発光層との間に正孔輸送材料を含む正孔輸送層を備えていてもよい。これらの電子輸送材料や正孔輸送材料も公知の材料を適宜用いることができる。
【0051】
本発明の電子デバイス用材料は、発光層に含有されるホスト材料として好適に用いることができる。ホスト材料とは、2種以上の化合物で構成される発光層中において、発光材料ではない化合物であって、発光層中において混合比(質量比)の最も高い化合物をいい、例えば、発光層が化合物A、化合物Bの2種から構成され、その混合比がA:B=10:90であれば、化合物Bがホスト化合物であるといえる。さらに、発光層が化合物A、化合物B、化合物Cの3種から構成され、その混合比がA:B:C=5:10:85であれば、化合物Cがホスト化合物であるといえる。なお、2種の場合においてAとBが同量である場合、A:B=1:1の場合は発光材料でない側がホスト材料である。
【0052】
(化合物の製造方法)
ところで一般式(1)及び(2)で示される化合物は公知の方法の組み合わせにより製造することができる。具体的には下記のとおりである。
【0053】
まずインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール誘導体は、下記の反応式(I)のように、2-アミノフェニルカルバゾール誘導体をジアゾ化して熱分解する方法、下記の反応式(II)のように、減圧下で2-ニトロフェニルカルバゾール誘導体の上記を赤熱した銅管に通して熱分解を行う方法(Flash Vacuum Pyrolysis,FVP)、下記の反応式(III)のようにパラジウム触媒を用いた分子内C-C結合形成等を用いる方法、主として3つにより製造することができる。
【化12】
【化13】
【化14】
【0054】
また、上記インドロ[3,2,1-jk]カルバゾール誘導体にNBSのようなハロゲン化剤を反応させることで、2,5,11-位をハロゲン化することができる(下記式(IV)参照)。なお、上記(III)以外の場合、インドロ[3,2,1-jk]カルバゾール環形成の前にハロゲンを導入しておくことができる(下記(V)参照)。
【化15】
【化16】
【0055】
さらに、上記得られた化合物に対して、宮浦ホウ素化反応、もしくはリチオ化後にホウ
酸エステルを反応させることにより、ボロン酸、もしくはそのエステル類に誘導できる(下記式(VI)及び(VII)参照)。
【化17】
【化18】
【0056】
そして、更にこれらと公知の手法により製造されたハロゲンを有する含窒素ヘテロ芳香環ユニットを鈴木-宮浦クロスカップリング反応により結合させ、上記式(1)又は(2)で示される化合物を得ることができる(下記式(VIII)、(IX)参照)。なお、含窒素ヘテロ芳香環ユニット側がボロン酸、又はそのエステル類であった場合、インドロ[3,2,1-jk]カルバゾール誘導体のハライドを用いても同等の化合物を得ることができる。
【化19】
【化20】
【0057】
(ポリマーコンポジット材料の製造方法)
また、上記の通り、ポリマーコンポジット材料は、下記式(1)及び(2)で示されるインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール化合物の少なくともいずれかを、ガラス転移温度以上に加熱したポリマーに分散させる工程により製造することができる。
【化21】
【化22】
【0058】
上記式(1)及び(2)で示される化合物をポリマーに分散させる工程において、使用するポリマーは、透明性が高く、芳香環を含むものが適する。すなわち、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等を例示することができ、これらの少なくともいずれかを含むものであることが好ましい。
【0059】
また本工程において、ポリマーへの分散法としては、有機溶剤に溶解させて混合後、溶媒を除去する方法、及びポリマーを加熱溶融させて混合する方法を用いることができるが、より好ましくは後者である。
【0060】
上記の通り、本ポリマーコンポジット材料は、蓄光材料、偏光発光材料として使用することができ、蓄光材料の場合は非常標識や文字盤等に応用できる。なお、本ポリマーコンポジット材料を偏光発光材料として用いる場合、一軸延伸を行うことで深青色、高色純度の偏光発光を行わせることができる。
【0061】
以上、本実施形態によって、新規で有用なカルバゾール化合物並びにこれを含む機能性材料及び発光素子を提供することが可能となる。
【実施例0062】
ここで、上記実施形態に係る化合物について実際に作製し、その効果を確認した。以下実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの具体的な例にのみ限定されるわけではないことは言うまでもない。
【0063】
また、実施例で得られた化合物は、融点(mp)、赤外分光法(IR)、核磁気共鳴法(H NMR、13C NMR)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)と飛行時間型(TOF)質量分析計(MS)を用いて同定している。
【0064】
[参考例1]
9-(2-ニトロフェニル)カルバゾールの合成
カルバゾール(20.00g,119.61mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(150mL)溶液に炭酸カリウム(33.06g,239.22mmol)及び2-ニトロフルオロベンゼンを加え、70℃で12時間撹拌した。反応混合物を水(300mL)に注ぎ、析出した沈殿物を濾取した。沈殿物を水(200mL)及びメタノール(200mL)で洗浄し、下記式で示す9-(2-ニトロフェニル)カルバゾールを収率94%(32.41g,112.43mmol)で黄色針状晶として得た。またこの化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化23】
【0065】
m.p.154-155℃
【0066】
IR(ATR,cm-1) ν 3051,1604,1573,1523,1497,1477,1453,1443,1369,1350,1334,1316,1300,1228,1184,1150,1122,1108,1086, 1039,1019,1002,994,957,942,917,872,849,782,748,725,704,667.
【0067】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.09(d,J=8.0Hz,2H,18-H), 7.28(t,J=7.2Hz,2H,3,6-H), 7.36(dd,J=7.2,7.7 Hz,2H,2,7-H), 7.59-7.63(m,2H,4,6-Hin2-ph), 7.77(dd,J=7.6,7.8Hz,1H,5-H in ph), 8.09-8.14(m,3H,4,5-H and 3-H in ph).
【0068】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 109.03, 120.53, 120.63, 123.81, 125.88, 126.28, 129.10, 131.21, 131.35, 134.19, 140.74, 147.35.
【0069】
MALDI-TOF-MS(positive,dithranol) m/z calcd for C1812:288;found:288[M].
【0070】
[参考例2]
9-(2-アミノフェニル)カルバゾールの合成
上記作製した9-(2-ニトロフェニル)カルバゾール(10.00g,34.69mmol)、鉄粉(9.68g,173.43mmol)、及び塩化アンモニウム(9.28g,173.43mmol)をエタノール:水混合物(9:1)に分散させ、窒素雰囲気下で4時間加熱還流した。反応混合物を熱時濾過し、濾液を室温に1時間静置した。析出した結晶を濾取してエタノールで洗浄し、下記式で示す9-(2-アミノフェニル)カルバゾールを収率86%(7.71g,29.83mmol)で無色針状晶として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化24】
【0071】
m.p.118-120℃
【0072】
IR (ATR,cm-1) ν 3474, 3381, 3054, 1609, 1594, 1501, 1488, 1478, 1460, 1447, 1359, 1337, 1311, 1255, 1229, 1177, 1156, 1140, 1119, 1049, 1021, 998, 940, 911, 850, 824, 774, 744, 724.
【0073】
H NMR (400MHz,CDCl) δ 3.00(br-s,2H,NH), 6.91(t,J=7.7Hz,1H,5-H in 9-aminophenyl), 6.96(d,J=8.0Hz,1H,3-H in 9-aminophenyl), 7.18(d,J=8.1Hz,2H,1,8-H in carbazole), 7.27-7.34(m,4H,ArH), 7.41(t,J=7.7Hz,2H,2,7-H in carbazole), 8.15(d,J=7.7Hz,2H,4,5-H incarbazole).
【0074】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 110.12, 116.52, 118.83, 119.86, 120.30, 122.27, 123.33, 126.00, 129.58, 129.61, 160.62, 144.00.
【0075】
MALDI-TOF-MS(positive, dithranol) m/z calcd for C18H14N2:258;found:258[M].
【0076】
[参考例3]
インドロ[3,2,1-jk]カルバゾールの合成
9-(2-アミノフェニル)カルバゾール(5.00g,19.36mmol)を酢酸(50mL)に溶解させ、濃硫酸(5mL)を加えた。混合物を15℃に冷却し、亜硝酸ナトリウム水溶液(2.00g,29.04mmol/10mL)を10分かけて滴下した後、15℃で10分間撹拌した。混合物を130℃で30分加熱還流後、室温まで放冷し、水(200mL)に加えた。固体を濾取して水(100mL)及びメタノール(100mL)で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(BW300、トルエン)で精製後、ジクロロメタン/エタノールから再結晶し、インドロ[3,2,1-jk]カルバゾールを収率60%(2.80g,11.62mmol)で無色粉末として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化25】
【0077】
m.p.155-156℃
【0078】
IR(ATR,cm-1) ν 3049, 1655, 1624, 1602, 1584, 1525, 1493, 1482, 1466, 1447, 1431, 1370, 1340, 1311, 1256, 1232, 1163, 1154, 1122, 1096, 1073, 1039, 1012, 994, 964, 953, 928, 893, 854, 841, 815, 794, 748, 727, 684.
【0079】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.36(td,J=7.6,0.9Hz,2H,6,10-H), 7.55(td,J=7.6,0.9Hz,2H,5,11-H), 7.58(t,J=7.5Hz,1H,2-H), 7.91(d,J=7.6Hz,2H,7,9-H), 8.04(d,J=7.4Hz,2H,4,12-H), 8.14(d,J=7.7Hz,2H,1,3-H).
【0080】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 122.22, 118.55, 119.45, 121.74, 122.89, 123.20, 126.74, 130.13, 138.79, 143.84.
【0081】
MALDI-TOF-MS(positive,dithranol) m/z calcd for C18H11N:241;found:241[M].
【0082】
[参考例4]
2-ブロモインドロ[3,2,1-jk]カルバゾールの合成
インドロ[3,2,1-jk]カルバゾール(2.00g,8.29mmol)をクロロ
ホルム(50mL)に溶解させ、N-ブロモスクシンイミド(1.48g,8.29mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)溶液を10分かけて滴下した。混合物を室温で8時間撹拌後、水洗(50mLx2)し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣をジクロロメタン/アセトニトリルより再結晶し、2-ブロモインドロ[3,2,1-jk]カルバゾールを収率41%(1.09g,3.40mmol)で無色粉末として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化26】
【0083】
m.p.204-206℃
【0084】
IR (ATR,cm-1) ν 3053, 1652, 1603, 1569, 1496, 1468, 1445, 1415, 1368, 1339, 1301, 1268, 1229, 1163, 1151, 1135, 1084, 1049, 1030, 966, 927, 879, 859, 844, 801, 776, 756, 736, 726, 660.
【0085】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.36(td,J=7.7,0.9Hz,2H,6,10-H), 7.57(td,J=7.7,1.1Hz,2H,5,11-H), 7.88(d,J=8.1Hz,2H,7,9-H), 8.07(d,J=7.7Hz,2H,4,12-H), 8.15(s,2H,1,3-H).
【0086】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 122.22, 118.55, 119.45, 121.74, 122.89, 123.20, 126.74, 130.13, 138.79, 143.84.
【0087】
MALDI-TOF-MS(positive,dithranol) m/z calcd for C1810BrN:319;found:319[M].
【0088】
[参考例5]
2-(4,4,5,5-テトラメチルー1,3,2-ジオキサボロランー2-イル)インドロ[3,2,1-jk]カルバゾールの合成
窒素雰囲気下、2-ブロモインドロ[3,2,1-jk]カルバゾール(1.00g,3.12mmol)、ビス(ピナコレート)ジボロン(0.95g,3.74mmol)、及び酢酸カリウム(1.22g,12.48mmol)に脱気したジメチルスルホキシド(15mL)を加え、100℃に加熱した。[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン付加物(127mg,0.16mmol)を加え、100℃で4時間加熱撹拌した。反応混合物を水(100mL)に加え、クロロホルム(50mL)で抽出した。有機層を水洗(50mLx2)して無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(BW300、ジクロロメタン:ヘキサン=3:2)で精製後、ジクロロメタン/ヘキサンより再結晶し、2-(4,4,5,5-テトラメチルー1,3,2-ジオキサボロランー2-イル)インドロ[3,2,1-jk]カルバゾールを収率70%(802mg,2.18mmol)で無色立方晶として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化27】
【0089】
IR (ATR,cm-1) ν 3054, 2976, 2924, 1648, 1603, 1585, 1504, 1469, 1449, 1420, 1402, 1368, 1377, 1329, 1308, 1297, 1264, 1246, 1220, 1209, 1164, 1135, 1086, 1071, 1037, 962, 926, 885, 868, 846, 835, 781, 753, 741, 736, 702, 683, 659.
【0090】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.44(s,12H,CH), 7.36(td,J=7.7,0.9Hz,2H,6,10-H), 7.55(td,J=7.7,1.1Hz,2H,5,11-H), 7.91(d,J=8.1Hz,2H,7,9-H), 8.13(dt,J=7.7,0.9Hz,2H,4,12-H), 8.56(s,2H,1,3-H).
【0091】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 24.99, 83.81, 112.12, 118.22, 121.89, 123.15, 126.30, 126.64, 129.96, 138.79, 145.86.
【0092】
MALDI-TOF-MS (positive, dithranol) m/z calcd for C2422BNO:367;found:367[M].
【0093】
[参考例6]
(E)-3-(3-ブロモフェニル)-1-フェニルプロプ-2-エン-1-オンの合成
3-ブロモベンズアルデヒド(10.00g,54.05mmol)とアセトフェノン(6.49g,54.05mmol)をエタノール(100mL)に溶解させ、水酸化ナトリウム(2.16g,54.05mmol)を加えて4時間撹拌した。沈殿を濾取してメタノール(100mL)で洗浄し、E)-3-(3-ブロモフェニル)-1-フェニルプロプ-2-エン-1-オンを収率89%(13.81g,48.10mmol)で無色粉末として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化28】
【0094】
m.p.78-79℃
【0095】
IR (ATR,cm-1) ν 3062,1656,1604,1593,1578,1553,1478,1448,1415,1345,1334,1305,1284,1215,1199,1181,1091,1073,1032,1014,989,972,931,917,897,860,820,796,771,702,681,658.
【0096】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.30(t,J=7.8Hz,1H,5-H in 3-bromophenyl),7.51(d,J=6.2Hz,1H,6-H in 3-bromophenyl),7.52-7.56(m,3H,2-H and 3,5-H in 1-phenyl),7.61(tt,J=7.3,1.3Hz,1H,4-H in 1-ph),7.73(d,J=15.8Hz,1H,3-H),7.80(t,J=1.7Hz,1H,2-H in 3-bromophenyl),8.01(d,J=Hz,2H,2,6-H in 1-phenyl).
【0097】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 123.09, 123.26, 127.23, 128.54, 128.70, 130.46, 130.83, 133.01, 133.23, 137.03, 137.90, 142.89, 189.98.
【0098】
MALDI-TOF-MS (positive, dithranol) m/z calcd for C1511BrO:286;found:287[M+H]
【0099】
[参考例7]
4-(3-ブロモフェニル)-2,6-ジフェニルピリミジンの合成
(E)-3-(3-ブロモフェニル)-1-フェニル4-(3-ブロモフェニル)-2,
6-ジフェニルピリミジンプロプ-2-エン-1-オン(10.00g,34.83mmol)のアセトニトリル(100mL)溶液にトリエチルアミン(14.10g,139.32mmol)及びベンズアミジン塩酸塩(5.45g,34.83mmol)を加え、50℃で24時間激しく撹拌した。反応混合物をメタノール(150mL)に加え、室温で6時間静置した。析出した沈殿を濾取してメタノール(50mL)で洗浄し、4-(3-ブロモフェニル)-2,6-ジフェニルピリミジンを収率75%(10.12g,26.12mmol)で無色粉末として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化29】
【0100】
IR (ATR,cm-1) ν 3057, 1588, 1566, 1528, 1495, 1476, 1446, 1422, 1378, 1362, 1351, 1307, 1272,1234, 1174, 1158, 1106, 1070, 1050, 1023, 997, 924, 911, 863, 834, 807, 793, 774, 747, 698, 684, 660.
【0101】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.44(t,J=7.6Hz,1H, 4-H in 4-bromophenyl), 7.53-7.59(m,6H,3,4,5-H in 2,6-phenyl), 7.67(ddd,J=8.2,1.8,0.9 Hz,1H,4-H in 4-bromophenyl), 7.98(s,1H,5-H), 8.21(ddd,J=8.2,1.8,0.9Hz,1H,6-H in 4-bromophenyl), 8.30(m,2H,2,6-H in 6-phenyl), 8.44(t,J=1.8Hz,1H,2-H in 4-bromophenyl), 8.72(m,2 H, 2,6-H in 2-phenyl).
【0102】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 120.28, 123.21, 125.80, 127.30, 128.49, 128.94, 130.31, 130.39, 130.80, 130.94, 133.61, 137.23, 137.87, 139.59, 163.16, 164.59, 164.99.
【0103】
MALDI-TOF-MS(positive,dithranol) m/z calcd for C2215BrN:386;found:387[M+H]
【0104】
[実施例1]
2-[3-(2,6-ジフェニルピリミジン-4-イル)フェニル]インドロ[3,2,1-jk]カルバゾールの合成
4-(3-ブロモフェニル)-2,6-ジフェニルピリミジン(844mg,2.18mmol)と2-(4,4,5,5-テトラメチルー1,3,2-ジオキサボロランー2-イル)インドロ[3,2,1-jk]カルバゾール(800mg,2.18mmol)にトルエン(10mL)、エタノール(5mL)、及び2M炭酸ナトリウム水溶液(10mL)を加え、窒素雰囲気下で5分間加熱還流した。混合物にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(254mg,0.22mmol)を加え、更に8時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷後、水(100mL)に加えてクロロホルム(50mLx2)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(BW300、クロロホルム)で精製後、トルエンから再結晶し、収率65%(778mg,1.42mmol)で2-[3-(2,6-ジフェニルピリミジン-4-イル)フェニル]インドロ[3,2,1-jk]カルバゾール (ICzPyr)を無色粉末として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化30】
【0105】
m.p.254-255℃
【0106】
IR(ATR,cm-1) ν 3055, 1656, 1589, 1568, 1530, 1497, 1452, 1430, 1398, 1380, 1356, 1298, 1260,1245, 1230, 1175, 1157, 1133, 1087, 1073, 1047, 1028, 1012, 1000, 970, 922, 903, 883, 862, 838, 805,790, 777, 747, 727, 710, 691, 668.
【0107】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.40(t,J=Hz,2H,610-H), 7.51-7.61(m,8H), 7.71(t,J=Hz,1H,3-H in 2-phenyl), 7.92-7.96(m,3H), 8.14(s,1 H,5-H in pyrimidine), 8.21(d,J=Hz,2H,4,12-H), 8.30-8.35(m,5H), 8.63(s,1H), 8.76(d, J=Hz,2H)
【0108】
MALDI-TOF-MS (positive, dithranol) m/z calcd for C4025:547;found:547[M].
【0109】
[参考例8]
(E)-3-(4-bromophenyl)-1-phenylprop-2-en-1-one の合成
アセトフェノン(3.25g,27.02mmol)及び4-ブロモアベンズアルデヒド (5.00g,27.02mmol)のメタノール溶液に水酸化ナトリウム水溶液(216mg,5.40mmol)の水溶液(5mL)を加えた。室温で6時間攪拌後、析出した沈殿を濾取し、メタノールで洗浄することで目的物を収率94%(7.29g,25.40mmol)で薄黄色針状晶として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化31】
【0110】
m.p.97-98℃
【0111】
IR(ATR,cm-1) 3057, 3028, 1656, 1600, 1583, 1575, 1560, 1496, 1481, 1449, 1396, 1364, 1334, 1289,1276, 1216, 1179, 1159, 1106, 1069, 1035, 1006, 995, 982, 955, 892, 874, 826, 791, 760, 727, 691, 665.
【0112】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.39-7.42(m,3H,3,4,5-H in 3-ph), 7.46(d,J=15.6Hz,1H,2-H), 7.61-7.64(m,4H,3,5-H in 1-ph and 2,6-H in 3-ph), 7.80(d,J=15.6Hz,1H,3-H), 7.87(d,J=7.9Hz,2H,2,6-H in 1-ph).
【0113】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 121.43, 127.84, 128.47, 128.95, 129.97, 130.70, 131.88, 134.64, 136.88, 145.33, 189.25.
【0114】
MS(FAB) m/z 287(79Br),289(81Br)([M+1]).
【0115】
[参考例9]
4-(4-bromophenyl)-2,6-diphenylpyrimidine の合成
上記参考例1の化合物(E)-3-(4-bromophenyl)-1-phenylprop-2-en-1-one(5.00gm,17.41mmol)のDMF(30mL)溶液に炭酸カリウム(9.62g,69.64mmol)とベンズアミジン塩酸塩(2.73g,17.41mmol)を加えた。混合物を70℃で24時間攪拌後、水(100mL)に注ぎ、ジクロロメタン(50mL)で抽出した。有機層を水洗(50mLx2)して無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、ジクロロメタン:ヘキサン=2:1(v/v)により溶出、生成後、ジクロロメタン/エタノールより再結晶し、目的物を収率68%(4.58g,11.84mmol)で無色粉末として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化32】
【0116】
m.p.164-165℃
【0117】
IR (ATR,cm-1) 3032, 1588, 1567, 1523, 1487, 1456, 1445, 1408, 1389, 1379, 1359, 1312, 1296, 1237,1199, 1172, 1109, 1072, 1023, 1007, 932, 868, 832, 825, 807, 776, 749, 715, 686, 654.
【0118】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.51-7.55(m,6H,3,4,5-H in 2-ph and 3,4,5-H in 6-ph), 7.66(d,J=8.4Hz,2H,3,5-H in 4-ph), 7.93(s,1H,5-H), 8.13(d,J=8.4Hz,2H,2,6-H in 4-ph), 8.25(d,J=7.5Hz,2H,2,6-H in 6-ph), 8.68(d,J=7.4Hz,2H,2,6-H in 2-ph).
【0119】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 109.87, 125.37, 127.25, 128.43, 128.74, 128.89, 130.72, 130.86,132.06, 136.37, 137.30, 137.91,163.51, 164.54, 164.93.
【0120】
MS(EI) m/z 386(79Br),388(81Br)([M]).
【0121】
[比較例1]
N,N-di([1,1’-biphenyl]-4-yl)-4’-(2,6-diphenylpyrimidin-4-yl)-[1,1’-biphenyl]-4-amineの合成参考例2の化合物4-(4-bromophenyl)-2,6-diphenylpyrimidine(176mg,0.45mmol)と[(4-(di([1,1’-biphenyl]-4-yl)amino)phenyl)boronic acid](200mg,0.45mmol)にトルエン(5mL)、エタノール(2mL)、及び2M炭酸ナトリウム水溶液(5mL)をそれぞれ加えた。容器を窒素置換し、混合物を窒素雰囲気下で5分加熱還流後、tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0)(149mg,0.13mmol)を加えて更に4時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却後、水洗(20mL)し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。本溶液をメタノールに注ぎ、析出した沈殿を濾取してシリカゲルクロマトグラフィーに付した。ジクロロメタン:ヘキサン=2:1(v/v)により溶出、精製し、目的物を収率63%(200mg,0.28mmol)で薄黄色粉末として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化33】
【0122】
m.p.246-247℃
【0123】
IR (ATR,cm-1) 3030, 1598, 1588, 1567, 1516, 1482, 1447, 1395, 1362, 1320, 1292, 1278, 1263, 1177, 1111, 1074, 1026, 1005,966, 922, 873, 820, 757, 744, 721, 689, 655.
【0124】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.25-7.28(m,6H,ArH), 7.32(t,J=7.3Hz,2H,4’-H at biphenyl), 7.43(t,J=7.5Hz,4H,3’,5’-H in biphenyl), 7.52-7.53 (m,16H,ArH), 7.79(d,J=8.4Hz,2H,3,5-H in 4-ph at pyrimidine), 8.05(s,1H,4-H in pyrimidine), 8.30(dd,J=1.7,7.6Hz,2H,2,6-H in 6-ph at pyrimidine), 8.37(d,J=8.4Hz,2H,2,6-H in 4-ph at pyrimidine), 8.74(dd,J=1.7,7.8Hz,2H,2,6-H in 2-ph at pyrimidine).
【0125】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 110.00, 124.11, 124.64, 126.70, 126.95, 127.28, 127.72, 127.91,127.96, 128.42, 128.49, 128.77, 128.88, 130.59, 130.71, 134.33, 135.88, 135.91, 137.61, 138.23,140.53, 142.90, 146.68, 147.43, 164.27, 164.50, 164.68.
【0126】
HRMS(FAB,PEG1000 as external standard) m/z calcd for C5237[M]: 703.2987; found: 703.2986.
【0127】
[参考例10]
9-(4’-(2,6-diphenylpyrimidin-4-yl)-[1,1’-biphenyl]-4-yl)-9H-carbazole の合成
参考例2の化合物4-(4-bromophenyl)-2,6-diphenylpyrimidine(1.00g,2.58mmol)及び[9-(4-(5,5-dimethyl-1,3,2-dioxaborinan-2-yl)phenyl)-9H-carbazole](917mg,2.58mmol)をトルエン(10mL)に溶解させ、エタノール(5mL)及び2M炭酸ナトリウム水溶液(10mL)を加えて窒素雰囲気で5分間加熱還流した。ここにTetrakis(triphenylphosphine)palladium(0)(149mg,0.13mmol)を加えて更に4時間加熱還流後、反応混合物を室温まで冷却して水洗(30mL)した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、ジクロロメタン:ヘキサン=2:1(v/v)より溶出後、ジクロロメタン/エタノールより再結晶し、目的物を収率82%(1.16g,2.12mmol)で無色粉末として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化34】
【0128】
m.p.187-188℃
【0129】
IR (ATR, cm-1) 3039, 1588, 1568, 1522, 1496, 1478, 1450, 1424, 1395, 1381, 1361, 1335, 1319, 1301,1226, 1171, 1118, 1074, 1027, 1004, 969, 932, 914, 871, 844, 823, 775, 741, 722, 689, 666.
【0130】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.31(t,J=7.4Hz,2H,3,6-H in carbazole), 7.44(t,J=7.4Hz,2H,2,7-H in carbazole), 7.49-7.58(m,8H,ArH), 7.68(d,J=8.4Hz,2H,3,5-H in 4-ph at pyrimidine), 7.87(d,J=8.2Hz,2H,3,5-H in biphenyl), 7.89(d,J=8.4Hz,2H,2’,6’-H in biphenyl), 8.07(s,1H,5-H in pyrimidine), 8.16(d,J=7.4Hz,2H,4,5-H in carbazole), 8.32(dd,J=1.8,7.5Hz,2H,2,6-H in 6-ph at pyrimidine), 8.42(d,J=8.2Hz,2H,2,6-H in biphenyl), 8.76(dd,J=1.8,7.8Hz,2H,2,6-H in 2-ph at pyrimidine).
【0131】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 109.79, 110.11, 120.05, 120.33, 123.47, 125.97, 127.27, 127.35,127.47, 127.84, 128.44, 128.48, 128.89, 130.65, 130.77, 136.66, 137.38, 137.49, 138.12, 139.22,140.74, 142.45, 164.09, 164.52, 164.75.
【0132】
HRMS(FAB) m/z calcd for C4027 [M]:549.2205;found:549.2206
【0133】
[参考例11]
3,6-dibromo-9-(4’-(2,6-diphenylpyrimidin-4-yl)-[1,1’-biphenyl]-4-yl)-9H-carbazole の合成
参考例3の化合物 9-(4’-(2,6-diphenylpyrimidin-4-yl)-[1,1’-biphenyl]-4-yl)-9H-carbazole(1.00g,1.82mmol)のDMF(20mL)溶液にN-bromosuccinimide(648mg,3.64mmol)のDMF(10mL)溶液を室温で5分かけて滴下した。室温で2時間攪拌後、反応混合物をメタノール(50mL)に注ぎ、そのまま8時間静置した。析出した沈殿を濾取してメタノール(100mL)で洗浄し、目的物を収率91%(1.17g,1.66mmol)で無色粉末として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化35】
【0134】
m.p.253-255℃
【0135】
IR(ATR,cm-1) 3038, 1676, 1604, 1588, 1566, 1520, 1495, 1467, 1435, 1397, 1361, 1316, 1277, 1226,1172, 1120, 1057, 1021, 1004, 939, 854, 822, 795, 775, 755, 740, 710, 685, 669.
【0136】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.31(d,J=8.7Hz,1,8-H in carbazole), 7.51(dd,J=1.9,8.8Hz,2H,2,7-H in carbazole), 7.51-7.58(m,8H,ArH), 7.83(d,J=8.3Hz,2H,3,5-H in biphenyl), 7.87(d,J=8.4Hz,2H,2’,6’-H in biphenyl), 8.05(s,1H,5-H in pyrimidine), 8.18(d,J=1.9Hz,2H, 4,5-H in carbazole), 8.30(dd,J=1.9,7.5Hz,2H,3,5-H in 6-ph at pyrimidine), 8.41(d,J=8.3Hz,2H,2,6-H in biphenyl), 8.75(dd,J=1.9,7.8Hz,2H,2,6-H in 2-ph at pyrimidine).
【0137】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 110.08, 111.50, 113.23, 123.27, 124.06, 127.21, 127.29, 127.50, 127.91, 128.46, 128.50, 128.72, 128.92, 129.45, 130.69, 130.83, 136.39, 136.92, 137.47, 138.11, 139.73, 139.97, 142.13, 163.99, 164.55, 164.80.
【0138】
HRMS(FAB) m/z calcd for C4025Br [M]:705.0415;found:705.0415.
【0139】
[比較例2]
9-(4’-(2,6-diphenylpyrimidin-4-yl)-[1,1’-biphenyl]-4-yl)-3,6-diphenyl-9H-carbazoleの合成
参考例4の化合物3,6-dibromo-9-(4’-(2,6-diphenylpyrimidin-4-yl)-[1,1’-biphenyl]-4-yl)-9Hcarbazole(1.00g,1.41mmol)とphenylboronic acid(366mg,3.00mmol)をトルエン(10mL)に溶解させた。ここにエタノール(5mL)と2M炭酸ナトリウム水溶液(10mL)を加えて窒素雰囲気下で5分間加熱還流した。Tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0)(162mg,0.14mmol)を加えて更に6時間加熱還流後、反応混合物を室温まで放冷して水(100mL)に注ぎ、クロロホルム(50mL)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、クロロホルム:ヘキサン=2:1(v/v)より溶出、精製して目的物を収率76%(752mg,1.07mmol)で薄黄色粉末として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化36】
【0140】
m.p.310-311℃
【0141】
IR(ATR, cm-1) 3035, 1600, 1588, 1568, 1521, 1495, 1474, 1458, 1423, 1363, 1312, 1296, 1280, 1267,1232, 1172, 1135, 1121, 1074, 1027, 1004, 970, 944, 930, 916, 879, 852, 843, 817, 805, 763, 745, 734,688.
【0142】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.36(t,J=7.5Hz,2H,4-H in 3,6-ph at carbazole), 7.49(t,J=7.5 Hz,4H,3,5-H in 3,6-ph at carbazole), 7.53-7.58(m,8H,ArH), 7.69-7.75(m,8H,ArH), 7.90(d,J=8.2Hz,2H,3,5-H in biphenyl), 7.94(d,J=8.2Hz,2H,2’,6’-H in biphenyl), 8.09(s,1H,4-H inpyrimidine), 8.33(d,J=7.8Hz,2H,2,6-H in 6-ph at pyrimidine), 8.42(s,H,4,5-H in carbazole), 8.45(d,J=8.2Hz,2H,2,6-H in biphenyl), 8.77(d,J=7.82,6-H in 2-ph at pyrimidine).
【0143】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 110.13, 110.21, 118.90, 124.18, 125.73, 126.63, 127.21, 127.30, 127.51, 127.89, 128.45, 128.50, 128.60, 128.79, 128.91, 130.67, 130.80, 133.81, 136.77, 137.31, 137.53, 138.15, 139.38, 140.66, 141.83, 142.41, 164.12, 164.57, 164.81.
【0144】
HRMS(FAB)m/z calcd for C5235N3[M]: 701.2831;found:701.2829.
【0145】
[参考例12]
3,6-dibromo-9-(2-nitrophenyl)-9H-carbazoleの合成。参考例5の化合物9-(2-nitrophenyl)-9H-carbazole(25.00g, 86.72mmol)のDMF(150mL)溶液にNBS(33.96g, 190.78mmol)のDMF(150mL)溶液を室温で20分かけて滴下した。混合物を4時間室温で攪拌後、反応混合物を水500mL)に注いだ。析出した沈殿を濾取してメタノール(200mL)で洗浄し、目的物を収率76%(29.40g,65.91mmol)で黄色針状晶として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化37】
【0146】
m.p.202-203℃
【0147】
IR(ATR,cm-1) 3083, 1599, 1523, 1495, 1466, 1429, 1362, 1318, 1297, 1285, 1230, 1179, 1157, 1142,1123, 1089, 1057, 1020, 992, 961, 942, 932, 891, 876, 849, 817, 795, 777, 748, 727, 712, 676, 665.
【0148】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 6.96(d,J=8.6Hz,2H,1,8-H in carbazole), 7.49(dd,J=1.9,8.6Hz,2H,2,7-H in carbazole), 7.62(d,J=7.7Hz,1H, 6-H in ph), 7.73(t,J=7.7Hz,1H,4-H in ph), 7.86(t,J=7.7Hz,1H,5-H in ph), 8.17-8.19(m,3H,4,5-H in carbazole and 3-H in ph).
【0149】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 110.76, 113.87, 123.54, 124.38, 126.13, 129.80, 129.89, 130.21,131.26, 134.50, 139.82, 147.17.
【0150】
HRMS(EI) m/z calcd for C1810Br [M]: 443.9109;found:443.9108.
【0151】
[参考例13]
9-(2-nitrophenyl)-3,6-diphenyl-9H-carbazoleの合成
参考例6の化合物3,6-dibromo-9-(2-nitrophenyl)-9H-carbazole(25.00g,56.04mmol)とphenylboronic acid(15.03g,123.29mmol)をトルエン:エタノール=5:1(v/v)混合溶媒に分散させ、2M炭酸ナトリウム水溶液(100mL)を加えた。容器を窒素置換して5分間加熱還流後、tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0)(324mg,0.28mmol)を加えて更に2時間加熱還流した。反応混合物を水(200mL)に注ぎ、トルエン(50mL)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、トルエンで溶出、精製後、アセトン/メタノールより再結晶し、目的物を収率93%(22.96g,52.12mmol)でオレンジ色粉末として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化38】
【0152】
m.p.150-151℃
【0153】
IR (ATR,cm-1) 3026, 1598, 1571, 1533, 1492, 1475, 1457, 1437, 1369, 1357, 1337, 1297, 1283, 1269,1223, 1185, 1162, 1143, 1130, 1088, 1076, 1040, 1019, 1010, 996, 967, 937, 915, 886, 859, 846, 810,778, 755, 138, 729, 695.
【0154】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.17(d,J=8.5Hz,2H,1,8-H in carbazole), 7.34(t,J=7.4Hz,2H,4-H in 3,6-ph), 7.47(t,J=7.7Hz,4H,3,5-H in 3,6-ph), 7.63(dd,J=1.8,8.4Hz,2H,2,7-H incarbazole), 7.66-7.71(m,6H,ArH), 7.84(dt,J=1.5,7.7Hz,1H, 6-H in 9-ph), 8.19(dd,J=1.6,8.1Hz,1H,3-H in 9-ph), 8.37(d,J=1.7Hz,2H,4,5-H in carbazole).
【0155】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 109.56, 119.34, 124.61, 126.21, 126.86, 127.49, 128.92, 129.39,131.41, 134.50, 134.55, 140.76, 141.81.
【0156】
HRMS(EI) m/z calcd for C3020 [M]:440.1525;found:440.1526.
【0157】
[参考例14]
9-(2-aminophenyl)-3,6-diphenyl-9H-carbazoleの合成
参考例7の化合物9-(2-nitrophenyl)-3,6-diphenyl-9H-carbazole(20.00 g,45.40mmol)をエタノール(150mL)に分散させ、5%パラジウム炭素(500mg)を加えた。ここにヒドラジン一水和物(12.52g,0.25mol)を加え、窒素雰囲気下で28時間加熱還流した。反応混合物を熱時濾過してパラジウム炭素を除去し、濾液を2時間室温で放冷した。析出した沈殿を濾取してメタノール(100mL)で洗浄し、目的物を収率80%(14.91g,36.32mmol)で無色板状晶として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化39】
【0158】
m.p.123-124℃
【0159】
IR (ATR,cm-1) 3475, 3380, 3061, 1728, 1628, 1614, 1597, 1508, 1498, 1474, 1458, 1436, 1365, 1310,1296, 1267, 1233, 1189, 1172, 1159, 1137, 1095, 1077, 1042, 1028, 1009, 984, 945, 912, 880, 844,825, 759, 744, 736, 696, 671.
【0160】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 3.61(s,2H,NH), 6.94(t,J=7.5Hz,1H,5-H in 9-ph), 6.98(d,J=8.5Hz,1H,3-H in 9-ph), 7.24-7.36(m,6H,1,8-H in carbazole,4-and 6-H in 9-ph, and 4-H in 3,6-ph), 7.47(t,J=7.7Hz,4H,3,5-H in 3,6-ph), 7.66(dd,J=1.7,8.5Hz,2H,2,7-H in carbazole), 7.72(d,J=7.7Hz,4H,2,6-H in 3,6-ph), 8.40(s,2H,4,5-H in carbazole).
【0161】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 110.52, 116.64, 118.94, 122.16, 123.98, 125.78, 126.59, 127.34,128.78, 129.52, 129.74, 133.63, 140.56, 141.93, 143.95.
【0162】
HRMS(EI) m/z calcd for C3022 [M]:410.1783;found:410.1782.
【0163】
[参考例15]
2,11-diphenylindolo[3,2,1-jk]carbazoleの合成
参考例8の化合物9-(2-aminophenyl)-3,6-diphenyl-9H-carbazole(10.00g,24.36mmol)を酢酸(100mL)に溶解させた。この溶液に濃硫酸(10mL)をゆっくり加えた後、10℃まで冷却した。ここに、亜硝酸ナトリウム(1.73g,25.07mmol)の水溶液(10mL)を同温度下で15分かけて滴下し、更に5分間攪拌した。得られた濃赤色溶液を直ちに還流温度まで加熱し、2時間加熱還流した。反応混合物を室温まで放冷後、水(200mL)に注いだ。沈殿を濾取してメタノール(100mL)で洗浄後、シリカゲルクロマトグラフィーに付した。クロロホルムで溶出して精製後、ジクロロメタン/エタノールより再結晶し、目的物を収率60%(5.75g,14.62mmol)で薄黄色粉末として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化40】
【0164】
m.p.193-194℃
【0165】
IR(ATR,cm-1) 3028, 1656, 1593, 1565, 1513, 1489, 1459, 1489, 1429, 1367, 1339, 1321, 1296, 1257,1234, 1120, 1185, 1165, 1156, 1134, 1104, 1090, 1077, 1035, 1014, 967, 928, 885, 866, 813, 776, 760,741, 731, 698, 675, 660.
【0166】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.30(t,J=7.5 Hz,1H,11-H), 7.34-7.39(m,2H,4-H in 2,5-ph), 7.45-7.51(m,5H,ArH), 7.67-7.77(m,7H,ArH), 8.06(d,J=7.7Hz,1H,12-H), 8.13(s,1H,1-or 3-H), 8.16(s,1H,1-or 3-H), 8.25(d,J=1.8Hz,1H,4-H).
【0167】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 112.35, 118.68, 119.30, 119.43, 121.85, 121.89, 123.28, 126.12,126.71, 126.95, 127.05, 127.38, 128.37, 128.91, 128.98, 130.15, 130.68, 135.19, 137.69, 138.37,139.04, 141.52, 143.47, 143.99.
【0168】
HRMS(EI) m/z calcd for C3019N [M]:393.1517;found:393.1518.
【0169】
[参考例16]
5-bromo-2,11-diphenylindolo[3,2,1-jk]carbazoleの合成
参考例9の化合物2,11-diphenylindolo[3,2,1-jk]carbazole(5.00g,12.71mmol)をクロロホルム(50mL)に溶解させた。この溶液にN-bromosuccinimide(2.26g,12.71mmol)のDMF(20mL)溶液を室温で10分かけて滴下した。混合物を8時間攪拌後、クロロホルムを減圧留去し、残渣にメタノールを加えた。析出した沈殿を濾取してメタノール(100mL)で洗浄し、目的物12[5-bromo-2,11-diphenylindolo[3,2,1-jk]carbazole]を収率97%(5.82g,12.33mmol)で無色粉末として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化41】
【0170】
m.p.233-235℃
【0171】
IR(ATR,cm-1) 3058, 3031, 1659, 1594, 1557, 1482, 1461, 1440, 1420, 1371, 1332, 1318, 1293, 1263,1229, 1200, 1164, 1139, 1105, 1077, 1051, 1039, 1016, 1007, 961, 946, 932, 911, 885, 867, 832, 815,790, 754, 743, 688, 664.
【0172】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.36-7.41(m,2H,4-H in ph), 7.47-7.53(m,6H,ArH), 7.65-7.70(m,6H,ArH), 8.04(d,J=0.9Hz,1H,1-or 3-H), 8.11(s,1H,12-H), 8.13(d,J=0.9Hz,1H,1-or 3-H), 8.22(s,1H,4-H).
【0173】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 112.13, 113.07, 114.60, 117.31, 118.65, 119.33, 119.77, 121.75,125.95, 126.11, 126.71, 127.01, 127.21, 128.14, 128.82, 128.85, 129.28, 130.41, 131.46, 135.37,137.26, 137.82, 137.91, 141.15, 142.94, 143.91.
【0174】
HRMS(EI) m/z calcd for C3018BrN [M]:471.0623;found: 471.0623.
【0175】
[参考例17]
2,11-diphenyl-5-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)indolo[3,2,1-jk]carbazoleの合成
参考例10の化合物5-bromo-2,11-diphenylindolo[3,2,1-jk]carbazole(5.00g,10.58mmol)、bis(pinacolato)diboron(2.79g,11.00mmol)、及び酢酸カリウム(4.00g,40.75mmol)に窒素雰囲気下で脱気したDMSO(50mL)を加え、混合物を100℃まで昇温した。ここに、[1,1’-bis(diphenylphosphino)ferrocene]dichloropalladium(II)ジクロロメタン付加物(433mg,0.53mmol)を加え、同温で4時間攪拌した。反応混合物を水(100mL)に注ぎ、クロロホルム(50mL)で抽出した。有機層を水洗(50mLx2)して無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、クロロホルムにより溶出、精製後、ジクロロメタン/ヘキサンより再結晶し、目的物を収率75%(4.12g,7.94mmol)で無色粉末として得た。なお、この化合物の融点等のデータについては下記の通りであった。
【化42】
【0176】
m.p.162-164℃
【0177】
IR(ATR,cm-1) 3054, 3032, 2976, 2926, 1658, 1599, 1571, 1484, 1455, 1438, 1425, 1378, 1350, 1331,1315, 1304, 1294, 1262, 1216, 1202, 1167, 1147, 1107, 1067, 1016, 966, 951, 917, 913, 882, 862, 847,799, 758, 750, 699, 680, 664.
【0178】
H NMR (400MHz,CDCl) δ 1.44(s,12H,CH), 7.36-7.41(m,2H,4-H in ph),7.47-7.59(m,4H,3,5-H in ph), 7.71-7.77(m,5H,2,6-H in ph and 6-H), 7.87-7.93(m,2H,7-and 9-H), 8.03(d, J=8.0Hz,1H,10-H), 8.23(s,1H,3-H), 8.23(s,1H,4-H), 8.33(s,1H,1-H), 8.64(s,1H,12-H).
【0179】
13C NMR(100.5MHz,CDCl) δ 24.98, 26.91, 83.90, 111.66, 112.58, 118.66, 118.75, 119.22, 119.51, 121.82, 126.11, 126.60, 126.97, 127.27, 128.19, 128.80, 128.84, 129.65, 130.11, 130.84, 133.59, 135.49, 137.94, 138.22, 140.90, 141.34, 143.28, 144.10.
【0180】
HRMS(EI) m/z calcd for C3630BNO:519.2370; found:519.2370.
【0181】
[実施例2]
5-(4-(2,6-diphenylpyrimidin-4-yl)phenyl)-2,11-diphenylindolo[3,2,1-jk]carbazoleの合成
参考例11の化合物2,11-diphenyl-5-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)indolo[3,2,1-jk]carbazole(1.34g,2.58mmol)及び2(1.00 g,2.58mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた。この溶液にエタノール(10mL)及び2M炭酸ナトリウム水溶液(10mL)を加え、容器を窒素置換して窒素雰囲気下で5分加熱還流した。ここにtetrakis(triphenylphosphine)palladium(0)(149mg,0.13mmol)を加えて更に8時間加熱還流を行った。生成物が極めて難溶性であったことより、精製は以下に記す方法により行った。先ず、水層をピペットで除去し、有機層を濾過して沈殿を濾取した。得られた固体を水(50mL)、メタノール(50mL)、アセトン(50mL)及びクロロホルム(50mL)の順で洗浄後、5x10-4Pa、410℃で昇華精製することにより、目的物を収率70%(1.26g,1.81mmol)で薄黄色針状晶として得た。
【化43】
【0182】
m.p.360-361℃
【0183】
IR (ATR,cm-1) 3035, 1656, 1599, 1587, 1565, 1525, 1515, 1496, 1483, 1464, 1443, 1426, 1399, 1363,1332, 1292, 1259, 1236, 1202, 1167, 1142, 1104, 1075, 1036, 1024, 948, 930, 888, 866, 841, 814, 805, 777, 753, 735, 686, 667, 655.
【0184】
H NMR(400MHz,CDCl) δ 7.38-7.40(m,2H,4-H in 2,6-ph at ICz), 7.50-7.61(m,10H,ArH), 7.77(d,J=7.2Hz,2H,2,6-H in 2- or 5-ph at ICz), 7.81(d,J=7.8Hz,2H,2,6-H in 2- or 5-ph at ICz), 7.85(dd,J=1.8,8.4Hz,1H,6-H in ICz), 7.94(dd,J=1.8,8.2Hz,1H,10-H in ICz), 8.03(d,J=8.6Hz,1H,7-H in ICz), 8.06(d,J=8.3Hz,8-H in ICz), 8.11(s,1H,5-H in pyrimidine), 8.33-8.36(m,4H,ArH), 8.42(d,J=1.8Hz,1H,4-H in ICz), 8.46(d,J=8.2Hz,2H,2,6-H in 4-ph at pyrimidine), 8.51(d,J=1.8Hz,1H, 12-H in ICz), 8.77(dd,J=1.5,7.9Hz,2H,2,6-H in 2-ph at pyrimidine).
【0185】
13C NMR couldn’t be measured due to poor solubility of this compound
【0186】
MS(FAB) m/z 699[M], 700([M+1]
【0187】
Anal. Calcd for C5233:C,89.24;H,4.75;N,6.00.Found:C,89.47;H,4.55;N,5.79.
【0188】
表1に実施例1の化合物の基礎物性を示す。UV/Vis吸収スペクトルの吸収端波長から求めたオプティカルバンドギャップ(ΔE(S-S))は3.04eVと大きく、三重項励起エネルギー(ΔE(T-S))も2.83eVと、緑色燐光材料やTADF材料に対するホスト材料として十分な値である。DPV測定により求めた第一酸化電位(Eox)は0.96eV、第一還元電位(Eredは-2.33eVであり、ホール及び電子双方に対する適度な親和力、即ちバイポーラー性を有することが分かった。光電子分光測定により求めたイオン化ポテンシャル(Ip)は5.90eVとホスト材料として適度である。融点(T)は255℃、ガラス転移温度(T)は110℃と、一般的なホスト材料であるCBP(84℃)等と比較して十分に大きな値を示した。熱分解温度(T)も398℃と、真空蒸着プロセスに使用できる十分な耐熱性を示した。
【表1】
【0189】
[実施例3]
実施例1の化合物をホスト材料として用いたTADF有機ELデバイスを真空蒸着により作製した。デバイス構造は、ITO(110)/HAT-CN(10)/Tris-PCz(30)/mCBP or [実施例1]+10%4CzIPN(30)/T2T(10)/BPy-TP2(40)/LiF(0.8)/Al(100)である。デバイス特性を図1に示す。
【0190】
[比較例3]
mCBPをホスト材料として用いたTADF有機ELデバイスを作製した。ホスト材料以外はデバイス構造、作製法共に実施例3と全く同一とした。デバイス特性を図1に示す。
【0191】
実施例3のデバイスの駆動電圧は、比較例3と比較して顕著に低く(図1a)、電流効率及び電力効率でも大きく上回った(図1b,c)。更に、LT50は5倍に達し(図1d)、耐久性面でも大きな優位性有することを確認した。以上の結果より、実施例1の化合物はTADF有機ELデバイスのホスト材料として、効率、耐久性双方の面で既存材料よりも 高い性能を有することが分かった。
【0192】
また実施例2の化合物、類似構造を有する比較例1、比較例2の化合物、及び一般的発光材料TBPeのトルエン溶液の蛍光スペクトルを図2に示す。実施例2の化合物は他の何れの化合物よりも発光波長が短く、スペクトル半値幅が顕著に狭いことから、高色純度の深青色発光特性を有していることが確認できた。
【0193】
[実施例4]
実施例2の化合物を285℃で加熱溶融したポリエチレンテレフタレート1gに0.5重量%加え、均一になるまで攪拌した。これを水で急冷することで透明なコンポジットを作製した。これにUV光(365nm)を照射し照射を停止した後の様子を図3に示しておく。
【0194】
[比較例4]
また、比較例1の化合物を285℃で加熱溶融したポリエチレンテレフタレート1gに0.5重量%加え、均一になるまで攪拌した。これを水で急冷することで透明なコンポジットを作製した。これにUV光(365nm)を照射し照射を停止した後の様子を図3に示しておく。
【0195】
[比較例5]
また、比較例2の化合物を285℃で加熱溶融したポリエチレンテレフタレート1gに0.5重量%加え、均一になるまで攪拌した。これを水で急冷することで透明なコンポジットを作製した。これにUV光(365nm)を照射し、照射を停止した後の様子を図3に示しておく。
【0196】
また、実施例4のコンポジット材料にUV光(365nm)を照射すると、照射停止後も緑色の残光が目視で10秒以上観測された。比較例4、及び比較例5のコンポジットにおいても残光が観測されたが、実施例4と比較すると発光時間は顕著に短く、実施例4のコンポジット が有機蓄光材料として有望であることが確認された。
【0197】
[実施例5]
実施例4のポリマーコンポジットをヒートガンで加熱しながら一軸延伸し、フィルムを作製した。
【0198】
[比較例6]
比較例4のポリマーコンポジットをヒートガンで加熱しながら一軸延伸し、フィルムを作製した。
【0199】
[比較例7]
比較例5のポリマーコンポジットをヒートガンで加熱しながら一軸延伸し、フィルムを作製した。
【0200】
実施例5、比較例6、及び比較例7のフィルムにUV光(365nm)を照射し、偏光板を通して観測した写真を図4に示しておく。図中、延伸方向はフィルム長軸方向であり、白い矢印は偏光板の偏光軸を示している。
【0201】
比較例6のフィルムの発光は殆ど偏光しておらず、比較例6ではある程度偏光しているが、実施例5のフィルムの発光はこれらと比較して顕著に偏光していることが確認できた。
【0202】
コニカミノルタ CS-2000を用いて測定したスペクトルを図5に示す。図中、「//」は偏光板の偏光軸が延伸方向と並行であることを意味し、「⊥」は偏光板の偏光軸が延伸方向と垂直であることを示している。実施例5のフィルムの発光は実施例7、及び実施例8と比較して顕著に偏光しており、且つ深青色でスペクトル半値幅の狭い発光を実現していることが分かる。従って、実施例9のフィルムは深青色、高色純度の偏光発光材料として有望である。


図1
図2
図3
図4
図5