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特開2022-41297車載用センサシート、入力スイッチ及び車載入力装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041297
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】車載用センサシート、入力スイッチ及び車載入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/02 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
G06F3/02 400
G06F3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146406
(22)【出願日】2020-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】313001332
【氏名又は名称】積水ポリマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】山崎 広太
【テーマコード(参考)】
5B020
【Fターム(参考)】
5B020DD11
(57)【要約】
【課題】異なる使用態様で設置された場合のいずれの入力操作領域に対する入力操作も確実に検出可能に構成される車載用センサシート、入力スイッチ及び車載入力装置を提供する。
【解決手段】左ハンドル車で使用される第1の入力操作領域と、右ハンドル車で使用される第2の入力操作領域とが、左ハンドル車で設置される場合と右ハンドル車で設置される場合とで、互いに部分的に重なる重複領域を有するように構成される車載センターパネルに用いるセンサシート11は、ベースシート12を備えており、ベースシート12は、重複領域と重なる位置に配置される共用電極13と、共用電極13に隣接して左ハンドル車における第1の入力操作領域と重なる位置に配置される第1電極14と、共用電極13に隣接して右ハンドル車における第2の入力操作領域と重なる位置に配置される第2電極15とを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載入力装置が、第1の使用態様で使用される第1の入力操作領域と、第2の使用態様で使用される第2の入力操作領域とを有しており、
前記第1の入力操作領域と前記第2の入力操作領域とは、前記第1の使用態様で設置される場合と前記第2の使用態様で設置される場合とで、互いに部分的に重なる重複領域を有するように構成されており、
前記第1の使用態様で設置された場合の前記第1の入力操作領域に対する入力操作と、
前記第2の使用態様で設置された場合の前記第2の入力操作領域に対する入力操作とを検出可能に構成される前記車載入力装置に用いる車載用センサシートにおいて、
前記車載用センサシートは、ベースシートを備えており、
前記ベースシートは、
前記重複領域と重なる位置に配置される共用電極と、
前記共用電極に隣接して前記第1の使用態様における前記第1の入力操作領域と重なる位置に配置される第1電極と、
前記共用電極に隣接して前記第2の使用態様における前記第2の入力操作領域と重なる位置に配置される第2電極とを有することを特徴とする車載用センサシート。
【請求項2】
前記第1電極と、前記共用電極とによって、前記第1の使用態様における前記第1の入力操作領域の第1の集合センサ電極を構成し、
前記第2電極と、前記共用電極とによって、前記第2の使用態様における前記第2の入力操作領域の第2の集合センサ電極を構成する
請求項1記載の車載用センサシート。
【請求項3】
前記第1の入力操作領域と前記第2の入力操作領域とは、前記車載入力装置の左右方向の異なる位置にあり、
前記第2電極は、前記車載用センサシートが前記第1の使用態様で設置される場合に対して前記ベースシートの裏表を反転させた状態で前記第2の使用態様における前記第2の入力操作領域と重なる位置に配置される
請求項1又は請求項2記載の車載用センサシート。
【請求項4】
前記第1電極と前記共用電極との間隔及び前記共用電極と前記第2電極との間隔が、0.02mm~5.0mmである
請求項1~請求項3いずれか1項記載の車載用センサシート。
【請求項5】
前記第1電極から伸長する第1配線と、
前記第2電極から伸長する第2配線と、
前記第1配線及び前記第2配線のいずれかを切断可能な破断促進部とを更に有する
請求項1~請求項4いずれか1項記載の車載用センサシート。
【請求項6】
前記第1電極から伸長する第1配線と、
前記第2電極から伸長する第2配線とを有しており、
前記第1配線及び前記第2配線があらかじめ切断されている断線部をそれぞれ有する
請求項1~請求項4いずれか1項記載の車載用センサシート。
【請求項7】
前記第1電極から伸長する第1配線と、
前記第2電極から伸長する第2配線と、
前記共用電極から伸長する共用配線と、
前記第1配線、前記第2配線及び前記共用配線の各々と接続する処理部とを有し、
前記処理部は、
前記第1電極及び前記第2電極のいずれかの検出値と、前記共用電極の検出値とを合算することによって前記第1の入力操作領域及び前記第2の入力操作領域のいずれかに対する入力の有無を判定するように構成されている
請求項1~請求項4いずれか1項記載の車載用センサシート。
【請求項8】
前記第1電極と前記共用電極とがつながる第3配線と、
前記第2電極と前記共用電極とがつながる第4配線とを更に有し、
前記第1電極と前記共用電極と前記第2電極とが直列につながる
請求項1~請求項7いずれか1項記載の車載用センサシート。
【請求項9】
請求項1~請求項8いずれか1項記載の車載用センサシートを含む入力スイッチ。
【請求項10】
第1の使用態様で使用される第1の入力操作領域と、
第2の使用態様で使用される第2の入力操作領域とを有しており、
前記第1の入力操作領域と前記第2の入力操作領域とは、前記第1の使用態様で設置される場合と前記第2の使用態様で設置される場合とで、互いに部分的に重なる重複領域を有するように構成されており、
前記第1の使用態様で設置された場合の前記第1の入力操作領域に対する入力操作と、
前記第2の使用態様で設置された場合の前記第2の入力操作領域に対する入力操作とを検出可能に構成される車載入力装置において、
前記車載入力装置は、車載用センサシートを備えており、
前記車載用センサシートは、
前記重複領域と重なる位置に配置される共用電極と、
前記共用電極に隣接して前記第1の使用態様における前記第1の入力操作領域と重なる位置に配置される第1電極と、
前記共用電極に隣接して前記第2の使用態様における前記第2の入力操作領域と重なる位置に配置される第2電極とを有することを特徴とする車載入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願による開示は、車載用センサシート、入力スイッチ及び車載入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器は、車載用としても広く用いられている。そして、車載用の電子機器の入力スイッチとしては、例えば複数の検出エリアが形成されているものが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-247029号公報、図2図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車には、同じ車種であっても、例えば左ハンドル車と右ハンドル車とのように使用態様が異なるものがある。このような使用態様の違いに起因して、電子機器の入力スイッチの位置を変更した方が望ましいものもある。例えば運転席に近い側に電源スイッチ等の重要なスイッチが配置される場合もある。そして、重要なスイッチは、瞬時に識別しやすいように位置、大きさ、形状等が他のスイッチ等とは異なる場合もある。これによって、入力スイッチは、左ハンドル車と右ハンドル車と、電子機器の左配置用と右配置用とで合計4種類の形状を必要とする場合もある。
【0005】
しかしながら、使用態様の違いに対応した入力スイッチを製造することは、別々の生産ラインが必要となって手間及び費用がかさんだり、数量管理が煩雑となったり、それぞれの需給の差異を起因とした無駄が生じたりして、製造の効率が高まりにくい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願で開示するいくつかの態様は、以下の特徴を有するものとして構成される。
【0007】
すなわち、本出願で開示する一つの態様は、車載入力装置が、第1の使用態様で使用される第1の入力操作領域と、第2の使用態様で使用される第2の入力操作領域とを有しており、前記第1の入力操作領域と前記第2の入力操作領域とは、前記第1の使用態様で設置される場合と前記第2の使用態様で設置される場合とで、互いに部分的に重なる重複領域を有するように構成されており、前記第1の使用態様で設置された場合の前記第1の入力操作領域に対する入力操作と、前記第2の使用態様で設置された場合の前記第2の入力操作領域に対する入力操作とを検出可能に構成される前記車載入力装置に用いる車載用センサシートにおいて、前記車載用センサシートは、ベースシートを備えており、前記ベースシートは、前記重複領域と重なる位置に配置される共用電極と、前記共用電極に隣接して前記第1の使用態様における前記第1の入力操作領域と重なる位置に配置される第1電極と、前記共用電極に隣接して前記第2の使用態様における前記第2の入力操作領域と重なる位置に配置される第2電極とを有することを特徴とする車載用センサシートである。
【0008】
本開示の一態様では、共用電極は、第1の使用態様で使用される車載入力装置の第1の入力操作領域及び第2の使用態様で使用される車載入力装置の第2の入力操作領域の双方に対する入力操作が検出可能となっている。さらに、第1電極は、第1の入力操作領域において重複領域の枠外の領域と重なっている。これによって、第1電極は、共用電極では検出しきれない領域において、第1の使用態様で使用される車載入力装置の第1の入力操作領域に対する入力操作が検出可能となっている。そして、第2電極は、第2の入力操作領域において重複領域の枠外の領域と重なっている。これによって、第2電極は、共用電極では検出しきれない領域において、第2の使用態様で使用される車載入力装置の第2の入力操作領域に対する入力操作が検出可能となっている。
【0009】
車載用センサシートは、第1の使用態様の第1の入力操作領域と第2の使用態様の第2の入力操作領域とが、第1の使用態様と第2の使用態様との双方で設置される場合に互いに部分的に重なる重複領域を有する構成の車載入力装置に適用可能である。そして、車載用センサシートは、第1の使用態様で設置された場合の第1の入力操作領域に対する入力操作と、第2の使用態様で設置された場合の第2の入力操作領域に対する入力操作との双方を検出可能に構成されている。よって、本開示の一態様によれば、車載用センサシートは、第1の使用態様で使用される場合と、第2の使用態様で使用される場合とで共通化することができる。
【0010】
本開示の一態様では、前記第1電極と、前記共用電極とによって、前記第1の使用態様における前記第1の入力操作領域の第1の集合センサ電極を構成し、前記第2電極と、前記共用電極とによって、前記第2の使用態様における前記第2の入力操作領域の第2の集合センサ電極を構成することができる。
【0011】
本開示の一態様では、車載用センサシートは、第1の入力操作領域に対応した第1の集合センサ電極を有している。したがって、本開示の一態様によれば、集合センサ電極は、第1の使用態様で使用される車載入力装置の第1の入力操作領域に対する入力操作が検出可能となる。他方で、本開示の一態様では、車載用センサシートは、第2の入力操作領域に対応した第2の集合センサ電極を有している。したがって、本開示の一態様によれば、集合センサ電極は、第2の使用態様で使用される車載入力装置の第2の入力操作領域に対する入力操作が検出可能となる。
【0012】
本開示の一態様では、前記第1の入力操作領域と前記第2の入力操作領域とは、前記車載入力装置の左右方向の異なる位置にあり、前記第2電極は、前記車載用センサシートが前記第1の使用態様で設置される場合に対して前記ベースシートの裏表を反転させた状態で前記第2の使用態様における前記第2の入力操作領域と重なる位置に配置される構成とすることができる。
【0013】
本開示の一態様では、例えば第1の使用態様の場合には、車載入力装置の左側に第1の入力操作領域を有し、車載入力装置の右側に第2の入力操作領域を有するように構成することができる。他方で、例えば第2の使用態様の場合には、車載入力装置の左側に第2の入力操作領域を有し、車載入力装置の右側に第1の入力操作領域を有するように構成することができる。したがって、本開示の一態様によれば、第1の使用態様の場合と第2の使用態様の場合とで、第1の入力操作領域と第2の入力操作領域とが左右で反転した構成とすることができる。よって、本開示の一態様によれば、車載入力装置の左右両側の車載用センサシートをそれぞれ共通化することができる。
【0014】
本開示の一態様では、前記第1電極と前記共用電極との間隔及び前記共用電極と前記第2電極との間隔が、0.02mm~5.0mmであるように構成することができる。
【0015】
本開示の一態様では、第1電極と共用電極との間隔及び共用電極と第2電極との間隔が、0.5mm以上であるので、第1電極と共用電極及び共用電極と第2電極が導通してしまうことを抑制することができる。このため、本開示の一態様によれば、検出に使われないセンサ電極が導通することに起因する誤検出を抑制することができる。他方で、本開示の一態様では、第1電極と共用電極との間隔及び共用電極と第2電極との間隔が、5.0mm以下であるので、第1電極と共用電極との間及び共用電極と第2電極との間において検出の感度が低下してしまうことを抑制することができる。このため、本開示の一態様では、検出の感度が低下することに起因する誤検出を抑制することができる。
【0016】
本開示の一態様では、前記第1電極から伸長する第1配線と、前記第2電極から伸長する第2配線と、前記第1配線及び前記第2配線のいずれかを切断可能な破断促進部とを更に有するように構成することができる。
【0017】
本開示の一態様では、第1電極から伸長する第1配線及び第2電極から伸長する第2配線のいずれかを切断可能な破断促進部が設けられているので、破断促進部によって第1配線及び第2配線のいずれかを断線させることができる。したがって、使われない側のセンサ電極からの検出信号を遮断することができる。よって、本開示の一態様によれば、検出に使われないセンサ電極からの検出信号が加算されることに起因する誤検出を抑制することができる。
【0018】
本開示の一態様では、前記第1電極から伸長する第1配線と、前記第2電極から伸長する第2配線とを有しており、前記第1配線及び前記第2配線があらかじめ切断されている断線部をそれぞれ有するように構成することができる。
【0019】
本開示の一態様では、第1電極から伸長する第1配線及び第2電極から伸長する第2配線があらかじめ切断されている断線部がそれぞれ設けられているので、断線部を導通させない限り第1配線及び第2配線が断線している。したがって、使われない側のセンサ電極からの検出信号を断線部においてより確実に遮断することができる。よって、本開示の一態様によれば、検出に使われないセンサ電極からの検出信号が加算されることに起因する誤検出を確実に阻止することができる。他方で、用いる配線の断線部を導通させることにより、用いるセンサ電極からの検出信号を得ることができる。
【0020】
本開示の一態様では、前記第1電極から伸長する第1配線と、前記第2電極から伸長する第2配線と、前記共用電極から伸長する共用配線と、前記第1配線、前記第2配線及び前記共用配線の各々と接続する処理部とを有し、前記処理部は、前記第1電極及び前記第2電極のいずれかの検出値と、前記共用電極の検出値とを合算することによって前記第1の入力操作領域及び前記第2の入力操作領域のいずれかに対する入力の有無を判定するように構成することができる。
【0021】
本開示の一態様では、物理的な構成を変更することなく使われない側のセンサ電極からの検出信号を遮断するように処理することができる。よって、本開示の一態様によれば、高い汎用性を有しながら、検出に使われないセンサ電極からの検出信号が加算されることに起因する誤検出を抑制することができる。
【0022】
本開示の一態様では、前記第1電極と前記共用電極とがつながる第3配線と、前記第2電極と前記共用電極とがつながる第4配線とを更に有し、前記第1電極と前記共用電極と前記第2電極とが直列につながるように構成することができる。
【0023】
本開示の一態様では、車載用センサシートは、第1電極と共用電極と第2電極とが直列につながるように構成されるので、共用電極から伸長する共用配線を不要とすることができる。このため、センサ電極からコネクタとの接点まで伸長するテール部をより細幅とすることができる。さらに、コネクタの端子の数を削減することができる。したがって、車載用センサシートを小型化、軽量化することができる。
【0024】
さらに、本出願で開示する一つの態様は、上述のいずれかの車載用センサシートを含む入力スイッチである。
【0025】
本開示の一態様によれば、第1の使用態様で使用される場合と、第2の使用態様で使用される場合とで共通化することが可能な車載用センサシートを、入力スイッチの構成部品として用いることができる。
【0026】
そして、本出願で開示する一つの態様は、第1の使用態様で使用される第1の入力操作領域と、第2の使用態様で使用される第2の入力操作領域とを有しており、前記第1の入力操作領域と前記第2の入力操作領域とは、前記第1の使用態様で設置される場合と前記第2の使用態様で設置される場合とで、互いに部分的に重なる重複領域を有するように構成されており、前記第1の使用態様で設置された場合の前記第1の入力操作領域に対する入力操作と、前記第2の使用態様で設置された場合の前記第2の入力操作領域に対する入力操作とを検出可能に構成される車載入力装置において、前記車載入力装置は、車載用センサシートを備えており、前記車載用センサシートは、前記重複領域と重なる位置に配置される共用電極と、前記共用電極に隣接して前記第1の使用態様における前記第1の入力操作領域と重なる位置に配置される第1電極と、前記共用電極に隣接して前記第2の使用態様における前記第2の入力操作領域と重なる位置に配置される第2電極とを有することを特徴とする車載入力装置である。
【0027】
本開示の一態様によれば、第1の使用態様で使用される場合と、第2の使用態様で使用される場合とで共通化することが可能な車載用センサシートを、車載入力装置の構成部品として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態による車載センターパネルの適用例を示す自動車の平面図。
図2】第1実施形態による車載センターパネルの外観を示す正面図であって、図2Aは、左ハンドル車で使用される場合を示し、図2Bは、右ハンドル車で使用される場合を示す。
図3図2Aの第1入力スイッチと図2Bの第2入力スイッチとを重ねた図。
図4】第1実施形態の車載センターパネルに用いられるセンサシートの背面図。
図5】第1の入力操作領域及び第2の入力操作領域のいずれかに対応して設けられる入力スイッチ部とセンサ電極との関係を説明するセンサシートの背面図。
図6】車載センターパネルの破断促進部の一例を示す背面図であって、図6Aは、第1変形例による破断促進部を示し、図6Bは、第2変形例による破断促進部を示す。
図7】第3変形例による車載センターパネルの破断促進部を示す図であって、図7Aは、その側面図。図7Bは、第1変形例と組み合わせた場合の背面図であり、図7Cは、第2変形例と組み合わせた場合の背面図である。
図8】第4変形例による断線部を有する車載センターパネルの一例を示すブロック図。
図9】第5変形例による入力操作の有無の判定が可能な車載センターパネルの一例を示すブロック図。
図10】センサ電極からの検出信号の検出値の経時変化の一例を示す散布図。
図11】入力操作の有無の判定における処理の工程を示す流れ図。
図12】第6変形例によるセンサ電極の回路パターンを示す背面図。
図13】第2実施形態による車載センターパネルを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0030】
以下、本出願にて開示する実施形態の例について図面を参照しつつ説明する。以下の各実施形態で共通する構成については、同一の符号を付して明細書での重複説明を省略する。さらに、各実施形態で共通する使用方法及び作用効果についても重複説明を省略する。ここで、本明細書及び特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、「第3」及び「第4」と記載する場合、それらは、異なる構成要素を区別するために用いるものであり、特定の順序や優劣等を示すために用いるものではない。
【0031】
本出願にて開示する「車載入力装置」は、所望の機能を作動させるために使用者によって操作される入力装置である。「車載入力装置」は、車両に備えられ、具体的には自動車、鉄道等を含む乗り物に搭載される。本実施形態の「車載入力装置」は、一例として自動車の車内用内装パネルに配置するものである。「車載入力装置」は、所望の機能を作動させるための入力手段としてタッチパネル、押し釦スイッチ、シーソースイッチ等の各種の入力スイッチを備えている。
【0032】
図1に例示の自動車1は、進行方向の右側に運転席2、進行方向の左側に助手席3が位置し、ステアリング4を進行方向の右側に有する右ハンドル車である。自動車1の運転席2及び助手席3の周りには各種の車載用内装パネルが装備されている。車載用内装パネルとしては、図1で示すように、例えばインストルメント・パネル中央部のセンタークラスタ5、センターコンソールのアームレスト部6、ドアのアームレスト部7を挙げることができる。車載用内装パネルは、車載入力装置における操作板となる。ここではセンタークラスタ5に配置される「車載入力装置」としての車載センターパネル10(センタークラスタディスプレイ)の実施形態の例について図面を参照しつつ説明する。
【0033】
本明細書及び特許請求の範囲では、便宜上、図2等に示されるように、「車載入力装置」としての車載センターパネル10の左右方向をX方向、奥行き(前後)方向をY方向、高さ方向(上下方向)をZ方向として記載する。しかしながら、それらは、車載センターパネル10の配置の向き等を限定するものではない。
【0034】
第1実施形態〔図1図12
【0035】
車載センターパネル10は、表示部8と、エスカッションパネル9と、「車載用センサシート」としてのセンサシート11とを有している。本実施形態のセンサシート11は、静電容量センサである。表示部8は、車載センターパネル10の中央に位置しており、例えば液晶ディスプレイによって構成される。表示部8は、図1で示すように、横長の矩形状とされているものの、縦長の形状であっても良い。さらに、表示部8には、タッチパッド等の位置入力装置が組み合わされた接触画面が用いられても良い。
【0036】
エスカッションパネル9は、車載センターパネル10の操作板として構成されている。エスカッションパネル9は、表示部8の左右にそれぞれ形成されている。エスカッションパネル9は、表示部8の左右に限らず、表示部8の上下の領域が含まれていても良い。エスカッションパネル9は、双方ともに上底が下底と比べてより長い台形状とされている。
【0037】
センサシート11は、ベースシート12を備えている(図4図7A図13も参照)。ベースシート12には、例えば樹脂フィルムが用いられる。そして、センサシート11は、エスカッションパネル9の背面側、すなわち、Y方向における奥側に設けられている(図13も参照)。センサシート11がエスカッションパネル9の背面側に設けられる領域は、ベースシート12がエスカッションパネル9に対応した形状とされており、当該領域のベースシート12にはセンサ電極が形成されている。
【0038】
センサ電極等の回路パターンは、導電性膜である。導電性膜の材料としては、例えばカーボンペースト、銀ペースト等の導電性ペースト、銅箔等の金属箔、スズドープ酸化インジウム(ITO)やPEDOT/PSS等の透明導電膜等が用いられる。ベースシート12に、印刷や金属エッチング等の方法を用いてセンサ電極等の回路を形成することによって、静電容量センサを有するセンサシート11が得られる。配線部には金属箔が用いられても良い。センサ電極や回路パターンは、ベースシート12の表面や裏面あるいは両面に形成することができる。ベースシート12の表面には、印刷や塗装等を利用して、文字や記号、模様、装飾が設けられても良い。さらに、センサシート11は、バックライト照光によって文字等が浮き上がるようにされても良い。
【0039】
センサシート11のベースシート12は、エスカッションパネル9に例えば両面テープによって固定されている。センサ電極が形成されているセンサシート11がエスカッションパネル9に固定されて、車載センターパネル10の「入力スイッチ」としての第1入力スイッチ20と、「入力スイッチ」としての第2入力スイッチ30とが構成される。第1入力スイッチ20と、第2入力スイッチ30とは、それぞれ表示部8の左右に位置している。そして、車載センターパネル10は、等脚台形状とされており、第1入力スイッチ20と、第2入力スイッチ30との外形は、左右対称とされている。
【0040】
車載センターパネル10は、「第1の使用態様」としての左ハンドル車で使用される場合と、「第2の使用態様」としての右ハンドル車で使用される場合とで異なる構成とされる。図2Aで示すように、左ハンドル車で使用される車載センターパネル10Lでは、第1入力スイッチ20は、表示部8の左側に位置しており、第2入力スイッチ30は、表示部8の右側に位置している。他方で、図2Bで示すように、右ハンドル車で使用される車載センターパネル10Rでは、第1入力スイッチ20は、表示部8の右側に位置しており、第2入力スイッチ30は、表示部8の左側に位置している。
【0041】
ここでは、いずれも表示部8の左側に位置している車載センターパネル10Lにおける第1入力スイッチ20と、車載センターパネル10Rにおける第2入力スイッチ30とについて特に詳細に説明する。
【0042】
第1入力スイッチ20は、上から順番に入力スイッチ部21及び22を有している。入力スイッチ部21及び22は、左ハンドル車で使用される車載センターパネル10Lが有している第1の入力操作領域A1に設けられる。車載センターパネル10Lは、左ハンドル車で設置された場合の第1の入力操作領域A1に対する入力操作を検出可能に構成されている(図3も参照)。
【0043】
他方で、第2入力スイッチ30は、上から順番に入力スイッチ部31、32及び33を有している。入力スイッチ部31、32及び33は、右ハンドル車で使用される車載センターパネル10Rが有している第2の入力操作領域A2に設けられる。車載センターパネル10Rは、右ハンドル車で設置された場合の第2の入力操作領域A2に対する入力操作を検出可能に構成されている(図3も参照)。
【0044】
ここで、図3で示すように、同一の形状を有している第1入力スイッチ20と第2入力スイッチ30とを重ねると、入力スイッチ部21と入力スイッチ部31とが部分的に重なり、入力スイッチ部22と入力スイッチ部32とが部分的に重なる。これは、第1の入力操作領域A1と第2の入力操作領域A2とが、左ハンドル車で設置される場合と右ハンドル車で設置される場合とで、互いに部分的に重なる重複領域AOを有するように構成されていることを意味している。
【0045】
なお、入力スイッチ部33は、第1の入力操作領域A1と重なる領域を有していない。しかしながら、車載センターパネル10は、入力スイッチ部21と入力スイッチ部31とのような重複領域AOを一つでも有していれば、第1の入力操作領域A1と重なる領域を有していない入力スイッチ部33を更に有していてもかまわない。
【0046】
本実施形態のセンサシート11は、左ハンドル車で使用される場合と、右ハンドル車で使用される場合とで共通化されている。ここでは、図4を参照して、入力スイッチ部21と入力スイッチ部31とが部分的に重なる部分のセンサ電極の構成について説明する。図4では入力スイッチ部22、32及び33の部分についてはセンサ電極以外の図示が省略されているものの、実際には回路パターンが形成されている。
【0047】
ベースシート12は、共用電極13と、第1電極14と、第2電極15とを有している。共用電極13は、重複領域AOと重なる位置に配置されている。これによって、共用電極13は、左ハンドル車で使用される車載センターパネル10Lの入力スイッチ部21及び右ハンドル車で使用される車載センターパネル10Rの入力スイッチ部31の双方に対する入力操作が検出可能となっている。
【0048】
第1電極14は、共用電極13に隣接して左ハンドル車における第1の入力操作領域A1と重なる位置に配置されている。第1電極14は、第1の入力操作領域A1において重複領域AOの枠外の領域と重なっている。これによって、第1電極14は、共用電極13では検出しきれない領域において、左ハンドル車で使用される車載センターパネル10Lの入力スイッチ部21に対する入力操作が検出可能となっている。
【0049】
このようにセンサシート11では、第1電極14と、共用電極13とによって、左ハンドル車における第1の入力操作領域A1の第1の集合センサ電極16が構成される。すなわち、センサシート11は、入力スイッチ部21の形成されている第1の入力操作領域A1に対応した第1の集合センサ電極16を有している。したがって、第1の集合センサ電極16は、左ハンドル車で使用される車載センターパネル10Lの入力スイッチ部21に対する入力操作が検出可能となっている。
【0050】
他方で、第2電極15は、共用電極13に隣接して右ハンドル車における第2の入力操作領域A2と重なる位置に配置されている。第2電極15は、第2の入力操作領域A2において重複領域AOの枠外の領域と重なっている。これによって、第2電極15は、共用電極13では検出しきれない領域において、右ハンドル車で使用される車載センターパネル10Rの入力スイッチ部31に対する入力操作が検出可能となっている。
【0051】
このようにセンサシート11では、第2電極15と、共用電極13とによって、右ハンドル車における第2の入力操作領域A2の第2の集合センサ電極17が構成される。すなわち、センサシート11は、入力スイッチ部31の形成されている第2の入力操作領域A2に対応した第2の集合センサ電極17を有している。したがって、第2の集合センサ電極17は、右ハンドル車で使用される車載センターパネル10Rの入力スイッチ部31に対する入力操作が検出可能となっている。
【0052】
センサシート11は、左ハンドル車の第1の入力操作領域A1と右ハンドル車の第2の入力操作領域A2とが、左ハンドル車と右ハンドル車との双方で設置される場合に互いに部分的に重なる重複領域AOを有する構成の車載センターパネル10に適用可能である。そして、センサシート11は、左ハンドル車で設置された場合の第1の入力操作領域A1に対する入力操作と、右ハンドル車で設置された場合の第2の入力操作領域A2に対する入力操作との双方を検出可能に構成されている。よって、センサシート11は、左ハンドル車で使用される場合と、右ハンドル車で使用される場合とで共通化することができる。
【0053】
なお、このような入力スイッチ部21と入力スイッチ部31とにおける構成及び作用効果は、入力スイッチ部22と入力スイッチ部32とが部分的に重なる部分のセンサ電極についても同様である。
【0054】
ここで、センサシート11は、図5で示すように、第1の入力操作領域A1及び第2の入力操作領域A2の少なくとも一方と重なる部分にセンサ電極を有するように構成することも考えられる。このような構成を例えば入力スイッチ部21及び入力スイッチ部31の領域に当てはめると、共用電極13、第1電極14及び第2電極15が単一のセンサ電極で構成されることとなる。しかしながら、このような構成では、例えば右ハンドル車において入力スイッチ部31の範囲から左方の枠外に離れた位置に指が触れても、入力操作が行われたとして検出されてしまう。図5は、背面図であるので、左右の方向が反転している。
【0055】
これに対し、センサシート11では、センサ電極が細分化されており、センサシート11を組み込んだ例えば入力スイッチ部31における検出に必要なセンサ電極である共用電極13及び第2電極15のみが用いられている。このため、センサシート11によれば、確実に入力スイッチ部31の枠内では検出が行われ、入力スイッチ部31の枠外では検出が行われないこととなって、入力スイッチ部31における誤検出を抑制することができる。
【0056】
さらに、センサシート11は、左ハンドル車と右ハンドル車とのような使用態様には変化がなく、例えば入力スイッチ部21の位置と入力スイッチ部31の位置とに切り替わるようなスイッチにも適用することができる。
【0057】
本実施形態のセンサシート11では、センサ電極が3つに細分化されている。しかしながら、センサ電極が4つ以上に細分化されても良い。これによって、3つ以上の使用態様においてセンサシート11を用いることができる。
【0058】
第1電極14と共用電極13との間隔及び共用電極13と第2電極15との間隔は、0.02mm~5.0mmであることが好ましい。センサシート11では、第1電極14と共用電極13との間隔及び共用電極13と第2電極15との間隔が0.02mm以上であるので、第1電極14と共用電極13及び共用電極13と第2電極15が導通してしまうことを抑制することができる。このため、本実施形態のセンサシート11によれば、検出に使われない不使用のセンサ電極が導通することに起因する誤検出を抑制することができる。他方で、センサシート11では、上述の間隔が5.0mm以下であるので、第1電極14と共用電極13との間及び共用電極13と第2電極15との間において検出の感度が低下してしまうことを抑制することができる。このため、本実施形態のセンサシート11では、検出の感度が低下することに起因する誤検出を抑制することができる。
【0059】
ここまでは、いずれも表示部8の左側に位置している車載センターパネル10Lにおける第1入力スイッチ20と、車載センターパネル10Rにおける第2入力スイッチ30とについての説明を行ってきた(図3及び図4)。しかしながら、本実施形態では、第1の入力操作領域A1と第2の入力操作領域A2とは、車載センターパネル10の左右にそれぞれ位置しており、かつ、それぞれの位置が非対称であるように構成することもできる。
【0060】
本実施形態では、例えば左ハンドル車の場合には、車載センターパネル10Lの左側に第1の入力操作領域A1を有し、車載センターパネル10Lの右側に第2の入力操作領域A2を有するように構成することができる(図2A参照)。他方で、例えば右ハンドル車の場合には、車載センターパネル10Rの左側に第2の入力操作領域A2を有し、車載センターパネル10Rの右側に第1の入力操作領域A1を有するように構成することができる(図2B参照)。したがって、本実施形態の車載センターパネル10によれば、左ハンドル車の場合と右ハンドル車の場合とで、第1の入力操作領域A1と第2の入力操作領域A2とが左右で反転した構成とすることができる。よって、本実施形態によれば、車載センターパネル10の左右両側のセンサシート11をそれぞれ共通化することができる。
【0061】
第1変形例〔図6A
【0062】
ここで、使用されないセンサ電極からの検出信号が検出の判定に使われない構成とすることによって、入力操作に対する誤検出をより抑制することができる。
【0063】
図6Aで示すように、センサシート11は、共用配線40と、第1配線41と、第2配線42とを更に有している。共用配線40は、共用電極13から伸長しており、第1配線41は、第1電極14から伸長しており、第2配線42は、第2電極15から伸長している。
【0064】
第1変形例における第1配線41及び第2配線42の各々は、「破断促進部」としてのトリガ孔部43aと、「破断促進部」としての止め孔部44aとを有している。トリガ孔部43aと、止め孔部44aとは、第1配線41又は第2配線42を挟んで配置されている。トリガ孔部43aは、三角形状の断面を有してベースシート12を貫通している。そして、トリガ孔部43aは、三角形状の一つの頂点が止め孔部44aと対向して配置されている。止め孔部44aは、第1配線41又は第2配線42に沿って伸長する一組の長辺と、第1配線41又は第2配線42に対して直交する方向に伸長する短辺とを有する矩形状の断面を有してベースシート12を貫通している。そして、止め孔部44aは、長辺がトリガ孔部43aと対向して配置されている。
【0065】
ベースシート12をトリガ孔部43aの側から裂くことによって、止め孔部44aと対向するトリガ孔部43aの頂点付近からベースシート12の裂け目(破断)が進行し、第1配線41又は第2配線42を横切って断線させる。その後にベースシート12の破断は、止め孔部44aの長辺に達することによって停止する。止め孔部44aは、進行する破断を止めることができれば良く、細隙状の孔でもかまわない。
【0066】
なお、第1配線41と第2配線42と共用配線40とは、独立した複数の配線として説明したが、テール部64(図13参照)先端に達するまでに一配線に集約させてもよい。コネクタ63(図13参照)に接続する配線数を省略することができる。
【0067】
第2変形例〔図6B
【0068】
第2変形例における「破断促進部」は、図6Bで示すように、つまみ部45を有する形状とされている。つまみ部45を有する場合におけるトリガ孔部43b及び止め孔部44bには、門形状の断面を有するスリット(切り込み)がベースシート12を貫通して形成されている。そして、トリガ孔部43bのスリットの端と止め孔部44bのスリットの端とが対向するように配置されている。
【0069】
トリガ孔部43bは、3方向にスリットが形成された門形状であるため、門形状の内側の領域におけるベースシート12を面方向に持ち上げることによって、つまみ部45が形成される。そして、つまみ部45を引っ張ることによって、トリガ孔部43bのスリットの端からベースシート12の裂け目(破断)が進行して引き裂かれ、第1配線41又は第2配線42を横切って断線させることができる。その後にベースシート12の破断は、止め孔部44bのスリットに達することによって停止することができる。止め孔部44bは、進行する破断を止めることができれば良く、止め孔部44bと同様に、矩形状の孔であっても、細隙状の孔であってもかまわない。
【0070】
トリガ孔部43bは、平行に伸長する2本のスリットの端どうしが互いに近づく方向に伸長する絞り部46を有していることがより好ましい(図7C参照)。これによって、2箇所で進行するベースシート12の裂け目(破断)が互いに遠ざかってしまうことが抑制され、止め孔部44bが形成されている領域内に破断を到達させることができる。
【0071】
第3変形例〔図7
【0072】
車載センターパネル10は、センサシート11に重ねられるエスカッションパネル9が第1配線41及び第2配線42のいずれかを断線させるように構成することもできる。第3変形例におけるエスカッションパネル9は、センサシート11との対向面に「破断促進部」としての切断刃47を有している。切断刃47は、エスカッションパネル9とセンサシート11とを合わせた際に、第1配線41及び第2配線42のいずれかを横切る方向に伸長して形成されている。このため、エスカッションパネル9にセンサシート11が取り付けられると、切断刃47がセンサシート11を突き破ることで、第1配線41及び第2配線42のいずれかが断線することができる。
【0073】
切断刃47は、上述のトリガ孔部43a及び止め孔部44aや、トリガ孔部43b及び止め孔部44bと組み合わせることがより好ましい。これらが組み合わされることによって、切断刃47による押圧力がトリガ孔部43a等に集中し、破断が容易になるとともに、トリガ孔部43a等以外の箇所における不要な破断の発生を抑制することができる。
【0074】
「破断促進部」は、センサシート11の第1配線41及び第2配線42の近傍に設ける構成には限らない。「破断促進部」は、例えばセンサシート11と基板62とを導通接続するコネクタ63(図13参照)において、第1配線41及び第2配線42とつながる端子が取り外し可能である「断線可能部」として構成することもできる。
【0075】
本実施形態においては、第1電極14から伸長する第1配線41及び第2電極15から伸長する第2配線42のいずれかを切断可能なトリガ孔部43a及び止め孔部44a、トリガ孔部43b及び止め孔部44b並びに切断刃47が設けられている。このため、これらの「破断促進部」において第1配線41及び第2配線42のいずれかを断線させることができる。したがって、使われない側のセンサ電極からの検出信号を「断線可能部」において遮断することができる。よって、本実施形態によれば、検出に使われないセンサ電極からの検出信号が加算されることに起因する誤検出を抑制することができる。
【0076】
第4変形例〔図8
【0077】
使用されないセンサ電極からの検出信号が検出の判定に使われないようにする構成は、「破断促進部」には限らない。
【0078】
図8で示すように、センサシート11は、共用配線40と、第1配線41と、第2配線42と、合流配線48とを有している。共用配線40は、共用電極13から伸長しており、第1配線41は、第1電極14から伸長しており、第2配線42は、第2電極15から伸長している。合流配線48は、「処理部」としての制御IC49(Integrated Circuit)から伸長している。共用配線40と、第1配線41と、第2配線42とは、1本に合流して合流配線48につながっている。
【0079】
第4変形例における第1配線41及び第2配線42は、あらかじめ切断されている「断線部」としての第1断線部50及び第2断線部51をそれぞれ有している。この場合の初期状態のセンサシート11は、第1断線部50及び第2断線部51をそれぞれ有しているので、制御IC49は、第1電極14及び第2電極15の双方にはつながっておらず、共用電極13のみにつながっている。第1断線部50及び第2断線部51には、「電気伝導体」としての0Ω抵抗器52が設置可能に構成されている。そして、第1断線部50及び第2断線部51のいずれかに0Ω抵抗器52を取り付けると、第1電極14及び第2電極15のいずれかと制御IC49とが接続される。
【0080】
なお、「断線部」としての第1断線部50及び第2断線部51は、第1電極14及び第2電極15のいずれかと制御IC49との間に有していれば良い。このため、第1断線部50及び第2断線部51は、センサシート11が有する第1配線41及び第2配線42に設けられても良く、センサシート11が接続される制御IC49が実装されている基板62(図13参照)に設けられても良い。第1断線部50及び第2断線部51が基板62に設けられる場合には、第1配線41及び第2配線42も基板62に設けられる必要がある。
【0081】
本実施形態では、第1電極14から伸長する第1配線41及び第2電極15から伸長する第2配線42があらかじめ切断されている「断線部」としての第1断線部50及び第2断線部51がそれぞれ設けられている。そして、第1断線部50を導通させない限り第1配線41が断線しており、第2断線部51を導通させない限り第2配線42が断線している。したがって、使われない側のセンサ電極からの検出信号を断線部においてより確実に遮断することができる。よって、本実施形態によれば、検出に使われないセンサ電極からの検出信号が加算されることに起因する誤検出を確実に阻止することができる。
【0082】
第5変形例〔図9図11
【0083】
使用されないセンサ電極からの検出信号が検出の判定に使われないようにする構成は、物理的な構成には限らない。
【0084】
図9で示すように、センサシート11は、共用配線40と、第1配線41と、第2配線42とを有している。共用配線40は、共用電極13から伸長しており、第1配線41は、第1電極14から伸長しており、第2配線42は、第2電極15から伸長している。共用配線40と、第1配線41と、第2配線42との各々が「処理部」としての制御IC49につながっている。第5変形例における制御IC49は、センサ電極からの検出信号の検出値Vの演算及び閾値Tとの大小判定を行う機能を有している(図10も参照)。
【0085】
図10は、検出値Vの経時変化を示しており、横軸が時間、縦軸が検出値Vを示している。図10に表示されている検出値Vは、下から順番に第2電極15の検出値V2(二点鎖線で表示)、第1電極14の検出値V1(一点鎖線)、共用電極13の検出値VC(実線)、第1電極14と共用電極13とを合算した合算値VA(短い破線)が表示されている。共用電極13の検出値VCの上方に閾値Tが表示されている(太く長い破線)。したがって、第1電極14と共用電極13とを合算した検出値Vである合算値VAのみが閾値Tを超えている。
【0086】
次に、図11を参照して、制御IC49による入力操作の有無の判定方法について説明する。
【0087】
まず、各センサ電極の検出値Vが読み込まれる(ステップS1)。読み込まれた検出値Vは、図10で示すとおりである。
【0088】
次に、センサ電極の検出値Vが合算される(ステップS2)。ここでは、まず、第1電極14の検出値V1と、共用電極13の検出値VCとが合算される。
【0089】
次に、第1電極14の検出値V1と、共用電極13の検出値VCとの合算値VAが閾値Tを超えているか否かを判定する(ステップS3)。
【0090】
合算値VAが閾値Tを超えている場合(ステップS3:YES)には、ON判定とされ、センサ電極に対する入力があったものとして処理される(ステップS4)。
【0091】
他方で、合算値VAが閾値Tを超えていない場合(ステップS3:NO)には、OFF判定とされ、センサ電極に対する入力がなかったものとして処理される(ステップS5)。
【0092】
ここでは、合算値VAが閾値Tを超えている(ステップS3:YES)ので、第1電極14及び共用電極13に対する入力があったものと判定される。
【0093】
ここで、第1電極14及び共用電極13に対する入力があったものと判定されたので、第2電極15の検出値V2についての計算は行わない。そして、制御IC49による入力操作の有無の判定は、終了する。ただし、検出値Vの読み込みは継続する。
【0094】
以上のように、制御IC49は、第1電極14及び第2電極15のいずれかの検出値Vと、共用電極13の検出値VCとを合算することによって第1の入力操作領域A1及び第2の入力操作領域A2のいずれかに対する入力の有無を判定するように構成されている。したがって、物理的な構成を変更することなく使われない側のセンサ電極からの検出信号を遮断するように処理することができる。よって、本実施形態によれば、高い汎用性を有しながら、検出に使われないセンサ電極からの検出信号が加算されることに起因する誤検出を抑制することができる。
【0095】
第6変形例〔図12
【0096】
第1電極14及び第2電極15は、共用電極13と直接つながるように構成されていても良い。図12で示すように、本実施形態のセンサシート11は、第1電極14と共用電極13とがつながる第3配線53と、第2電極15と共用電極13とがつながる第4配線54とを更に有している。すなわち、センサシート11は、第1電極14と共用電極13と第2電極15とが直列につながるように構成することができる。このとき、第3配線53及び第4配線54においても、「破断促進部」及び「断線部」が設けられても良い。このような構成であることによって、第1電極14及び第2電極15のいずれかの検出値Vと、共用電極13の検出値VCとが合算された合算値VAが第1配線41及び第2配線42のいずれかを伝達させることができる。
【0097】
本実施形態のセンサシート11は、第1電極14と共用電極13と第2電極15とが直列につながるように構成されるので、共用電極13から伸長する共用配線40を不要とすることができる。このため、センサ電極からコネクタ63との接点65まで伸長するテール部64(図13参照)をより細幅とすることができる。さらに、コネクタ63との接点65の数を削減することができる。したがって、センサシート11を小型化、軽量化することができる。
【0098】
本実施形態では、センサシート11が車載センターパネル10のエスカッションパネル9に用いられる例を示した。しかしながら、センサシート11は、例えばセンターコンソール、ステアリング4、パワーウィンドウ、インストルメント・パネルにも適用可能である。
【0099】
第2実施形態〔図13
【0100】
以下、第2実施形態としての車載センターパネル60について図面を参照しつつ、主に、上述の車載センターパネル10とは構成の異なる部分を説明する。車載センターパネル60は、特に記載のない限り、上述の車載センターパネル10と同様の効果を奏することができる。
【0101】
本実施形態の車載センターパネル60は、図13で示すように、エスカッションパネル9と、「車載用センサシート」としてのセンサシート61Aと、「車載用センサシート」としてのセンサシート61Bと、基板62とを有している。基板62は、上下両接点タイプのコネクタ63を有している。エスカッションパネル9及び基板62は、双方ともに左右に1つずつ同じ構成が反転した状態で配置されている。表示部8は、図示を省略している。
【0102】
センサシート61Aは、第1電極14、第1配線41等がベースシート12の裏面に形成されている。センサシート61Aは、第1配線41等をベースシート12の裏面に有して伸長するテール部64を有しており、その先端には第1配線41等とつながる接点65が形成されている。センサシート61Aは、センサ電極が裏面となるようにエスカッションパネル9と対向して、接点65が上側に位置するようにテール部64が湾曲して配置された状態で、テール部64の先端がコネクタ63に挿入されている。
【0103】
他方で、センサシート61Bは、第1電極14、第1配線41、接点65等がベースシート12の表面に形成されている。センサシート61Bは、センサ電極が表面となるようにエスカッションパネル9と対向して、接点65が下側に位置するようにテール部64が湾曲して配置された状態で、テール部64の先端がコネクタ63に挿入されている。
【0104】
本実施形態では、センサシート61A及びセンサシート61Bのようにセンサ電極等の回路パターンがベースシート12の表面及び裏面のいずれにも形成可能な構成とされている。このため、例えば左側のセンサシート61Bを反転させて右ハンドル車の右側のセンサシート61Aとして用いることができる。したがって、本実施形態によれば、センサシート61B(61A)を共通化することができる。
【0105】
本出願にて開示する「車載用センサシート、入力スイッチ及び車載入力装置」では、各実施形態及び変形例で示した構成を矛盾の生じない範囲で自由に組み合わせることができる。例えば第1実施形態における「破断促進部」や「断線部」は、第2実施形態の構成と組み合わされても良い。
【0106】
なお、上記のように本発明の各実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0107】
1 自動車
2 運転席
3 助手席
4 ステアリング
5 センタークラスタ
6 センターコンソールのアームレスト部
7 ドアのアームレスト部
8 表示部
9 エスカッションパネル
10 車載センターパネル(車載入力装置)
10L 車載センターパネル(第1の使用態様で使用される車載入力装置)
10R 車載センターパネル(第2の使用態様で使用される車載入力装置)
11 センサシート(車載用センサシート)
12 ベースシート
13 共用電極
14 第1電極
15 第2電極
16 第1の集合センサ電極
17 第2の集合センサ電極
20 第1入力スイッチ(入力スイッチ)
21 入力スイッチ部
22 入力スイッチ部
30 第2入力スイッチ(入力スイッチ)
31 入力スイッチ部
32 入力スイッチ部
33 入力スイッチ部
40 共用配線
41 第1配線
42 第2配線
43a トリガ孔部(破断促進部)
43b トリガ孔部(破断促進部)
44a 止め孔部(破断促進部)
44b 止め孔部(破断促進部)
45 つまみ部
46 絞り部
47 切断刃(破断促進部)
48 合流配線
49 制御IC(処理部)
50 第1断線部(断線部)
51 第2断線部(断線部)
52 0Ω抵抗器(電気伝導体)
53 第3配線
54 第4配線
60 車載センターパネル(車載入力装置)
61A センサシート(車載用センサシート)
61B センサシート(車載用センサシート)
62 基板
63 コネクタ
64 テール部
65 接点
A1 第1の入力操作領域
A2 第2の入力操作領域
AO 重複領域
T 閾値
V 検出値
V1 第1電極の検出値
V2 第2電極の検出値
VA 合算値
VC 共用電極の検出値
X 左右方向
Y 前後方向
Z 高さ方向、上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13