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特開2022-41322電子機器、ヘッドホン、及び、システム
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  • 特開-電子機器、ヘッドホン、及び、システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041322
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】電子機器、ヘッドホン、及び、システム
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20220304BHJP
   H04R 5/04 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
H04R1/10 104F
H04R5/04 A
H04R1/10 101B
H04R1/10 104E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146447
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】321012096
【氏名又は名称】オトモア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】越智 友昭
【テーマコード(参考)】
5D005
5D011
【Fターム(参考)】
5D005BB04
5D005BB16
5D011AD13
(57)【要約】
【課題】機構的な設計変更の必要なく、特定のヘッドホンに特定の機能を付加可能とすること。
【解決手段】DAP1は、ヘッドホン51のプラグ53が接続されるジャック5と、ジャック5内の磁気を検出する磁気センサー6と、磁気センサー6により、磁気が検出された場合、所定のヘッドホン51が、ジャック5に接続されたと判断するMCU2と、を備える。MCU2は、ジャック5にプラグ51が接続されたと判断した後、磁気センサー6による磁気検出を監視する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドホンのプラグが接続されるジャックと、
前記ジャック内の磁気を検出するセンサーと、
前記センサーにより、磁気が検出された場合、所定のヘッドホンが、前記ジャックに接続されたと判断する制御部と、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記ジャックに前記プラグが接続されたか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記ジャックに前記プラグが接続されたと判断した後、前記センサーによる磁気検出を監視することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、所定のヘッドホンが、前記ジャックに接続されたと判断した場合、付加機能を実行するための処理を行うことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
音楽信号に信号処理を行う信号処理部をさらに備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、付加機能を実行するための処理として、前記信号処理部に通知を行うことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記信号処理部は、前記制御部からの通知があった場合、音楽信号に所定の信号処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記ジャックに電圧が供給されることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
永久磁石が設けられたプラグを備えることを特徴とするヘッドホン。
【請求項10】
ソレノイドコイルが設けられたプラグを備えることを特徴とするヘッドホン。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の電子機器と、
請求項9又は10に記載のヘッドホンと、
を備えることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドホンに音楽信号を出力する電子機器、ヘッドホン、及び、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドホンに音楽信号を出力する電子機器において、例えば、特定のヘッドホンが接続された場合だけ、付加機能を追加することが考えられる。付加機能が追加されることで、他の電子機器との差別化を図ることが可能となる。なお、ここで、「ヘッドホン」は、ユーザーの耳の上に載置されるヘッドホン本体を有するヘッドホンのみならず、ユーザーの耳穴に挿入されるイヤホン本体を有する、いわゆるイヤホンを含む概念である。
【0003】
他の電子機器との差別化のため、ヘッドホンプラグを機構的に専用の形状にすると、他のヘッドホンを接続できなくなるため、汎用性が著しく悪化する。他のヘッドホンも接続可能で、且つ、特定のヘッドホンが接続された場合だけ、特定の動作(付加機能)を動作させたい場合に、筐体の形状を工夫すれば可能になる場合があるが、デザインに相当の制約がかかってしまい、実現が困難である。
【0004】
なお、特許文献1には、家庭用コンセントに接続された機器を識別するための発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平03-149776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特定のヘッドホンについて、機能を付加しようとするために、機構的な設計の変更が必要であるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、機構的な設計変更の必要なく、特定のヘッドホンに特定の機能を付加可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明の電子機器は、ヘッドホンのプラグが接続されるジャックと、前記ジャック内の磁気を検出するセンサーと、前記センサーにより、磁気が検出された場合、所定のヘッドホンが、前記ジャックに接続されたと判断する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明では、制御部は、センサーにより、磁気が検出された場合、所定のヘッドホンが、ジャックに接続されたと判断する。従って、所定のヘッドホンであると判断されたヘッドホン(特定のヘッドホン)に特定の機能を付加することができるため、機構的な設計変更の必要なく、特定のヘッドホンに特定の機能を付加することができる。
【0010】
第2の発明の電子機器は、第1の発明の電子機器において、前記制御部は、前記ジャックに前記プラグが接続されたか否かを判断することを特徴とする。
【0011】
第3の発明の電子機器は、第2の発明の電子機器において、前記制御部は、前記ジャックに前記プラグが接続されたと判断した後、前記センサーによる磁気検出を監視することを特徴とする。
【0012】
第4の発明の電子機器は、第1~第3のいずれかの発明の電子機器において、前記制御部は、所定のヘッドホンが、前記ジャックに接続されたと判断した場合、付加機能を実行するための処理を行うことを特徴とする。
【0013】
第5の発明の電子機器は、第1~第4のいずれかの発明の電子機器において、音楽信号に信号処理を行う信号処理部をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
第6の発明の電子機器は、第5の発明の電子機器において、前記制御部は、付加機能を実行するための処理として、前記信号処理部に通知を行うことを特徴とする。
【0015】
第7の発明の電子機器は、第6の発明の電子機器において、前記信号処理部は、前記制御部からの通知があった場合、音楽信号に所定の信号処理を行うことを特徴とする。
【0016】
第8の発明の電子機器は、第1~第7のいずれかの発明の電子機器において、前記ジャックに電圧が供給されることを特徴とする。
【0017】
例えば、ジャックに接続されるヘッドホンのプラグに永久磁石が設けられている場合、磁化されたプラグにより、他機器に影響を与える場合がある。本発明では、ジャックに電圧が供給されるため、プラグにソレノイドコイルを設けることにより、必要な時だけ磁化させることができ、通常時、他機器への影響がない。また、センサーを基板内部に配置可能なため、認証のセキュリティが高まる。
【0018】
第9の発明のヘッドホンは、永久磁石が設けられたプラグを備えることを特徴とする。
【0019】
第10の発明のヘッドホンは、ソレノイドコイルが設けられたプラグを備えることを特徴とする。
【0020】
第11の発明のシステムは、第1~第8のいずれかの発明の電子機器と、第9又は第10の発明のヘッドホンと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、機構的な設計変更の必要なく、特定のヘッドホンに特定の機能を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係るデジタルオーディオプレーヤーの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第2実施形態に係るデジタルオーディオプレーヤーの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るデジタルオーディオプレーヤー1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、デジタルオーディオプレーヤー(以下、「DAP」という。)1は、MCU2と、DSP3と、DA/AMP4と、ジャック5と、磁気センサー6と、を備える。なお、第1及び第2実施形態では、ヘッドホンに音楽信号を出力する電子機器として、DAPを例示するが、これに限らず、ヘッドホン出力を有していれば、スマートフォン、AVレシーバー、ミニコンポ、タブレットPC等であってもよい。DAP1と、ヘッドホン51と、により、本発明の実施形態に係るシステムが構成される。
【0025】
MCU(Micro Control Unit)2(制御部)は、DAP1を構成する各部を制御する。DSP(Digital Signal Processor)3(信号処理部)は、デジタル音楽信号に、信号処理を行う。DA/AMP4は、DSP3が信号処理を行ったデジタル音楽信号を、アナログ音楽信号にD/A変換する。また、DA/AMP4は、D/A変換したアナログ音楽信号を、増幅する。増幅されたアナログ音楽信号は、ジャック5に出力される。ジャック5は、3.5mmのステレオジャックである。ジャック5には、ヘッドホン51のプラグ53が接続される。
【0026】
磁気センサー6は、磁気を検出するセンサーである。磁気センサー6は、ジャック5内の磁気を検出する。例えば、磁気センサー6は、ジャック5内に、磁石が存在する場合に、磁気を検出する。磁気センサー6は、磁気の有無をハイ(Hi)/ロー(Low)で検出する。磁気センサー6は、ジャック5の近傍に設けられている。
【0027】
ヘッドホン51は、ヘッドホン本体52と、プラグ53と、を備える。プラグ53は、3.5mmのステレオプラグである。プラグ53には、永久磁石54が設けられている。従って、プラグ53が、DAP1のジャック5に接続されると、磁気センサー6は、永久磁石54による磁気を検出する。
【0028】
DAP1は、ヘッドホン51が、特定のヘッドホンである場合、そのヘッドホンのユーザーに付加機能を提供する。以下、説明する。ヘッドホン51のプラグ53が、ジャック5に接続されると、MCU2は、プラグ53の接続を検出する(1)。すなわち、MCU2は、ジャック5にプラグ53が接続されたか否かを判断し、ジャック5にプラグ53が接続されたと判断した場合、プラグ53の接続を検出する。ここで、ジャック5に挿入されたプラグ53の永久磁石54のみに反応するよう、MCU2は、プラグ53の接続を検出した後、磁気センサー6による磁気の検出を待機する。すなわち、MCU2は、ジャック5にプラグ53が接続されたと判断した後、磁気センサー6による磁気検出を監視する。
【0029】
MCU2は、磁気監視のスタート後に、磁気センサー6からの磁気の有無を、ハイ/ロー信号で読み取る(2)。MCU2は、磁気センサー6により磁気が検出されると、ヘッドホン51が特定のヘッドホンであると認識(判断)して、DSP3等に処理を変更するように、通知を出す(3)。すなわち、MCU2は、磁気センサー6により、磁気が検出された場合、所定のヘッドホン51が、ジャック5に接続されたと判断する。MCU2は、所定のヘッドホン51が、ジャック5に接続されたと判断した場合、付加機能を実行するための処理を行う。MCU2は、付加機能を実行するための処理として、DSP3に通知を行う。
【0030】
DSP3は、付加機能として、特定の信号処理を行い、音楽信号を、ジャック5を介して、ヘッドホン51に出力する(4)。すなわち、DSP3は、MCU2からの通知があった場合、音楽信号に所定の信号処理を行う。MCU2は、磁気センサー6による磁気の検出が終了すると、付加機能処理を停止する(5)。
【0031】
付加機能(差別化)としては、以下が例示される。
・バーチャルサラウンドをかける。
・ノイズキャンセルをかける。
・その他の高音質化処理をする。
・特定のヘッドホン以外のヘッドホンには、出力しない。
・出力レベルを制限して保護する。
【0032】
(第2実施形態)
第1実施形態では、ヘッドホン51のプラグ53に、永久磁石54が設けられている。これに替え、第2実施形態では、図2に示すように、ヘッドホン151のプラグ153に、ソレノイドコイル154が設けられている。
【0033】
図2は、本発明の第2実施形態に係るDAP101の構成を示すブロック図である。図2に示すように、DAP101は、MCU102と、DSP103と、DA/AMP104と、ジャック105と、磁気センサー106と、を備える。
【0034】
MCU102(制御部)は、DAP101を構成する各部を制御する。DSP103は、デジタル音楽信号に、信号処理を行う。また、DSP103は、ジャック105に、マイクバイアスと、ソレノイドコイル154の電源と、を兼ねた電圧を供給する。DA/AMP104は、DSP103が信号処理を行ったデジタル音楽信号を、アナログ音楽信号にD/A変換する。また、DA/AMP104は、D/A変換したアナログ音楽信号を、増幅する。増幅されたアナログ音楽信号は、ジャック105に出力される。ジャック105は、4極、3.5mmのステレオジャックである。ジャック105には、ヘッドホン151のプラグ153が接続される。
【0035】
磁気センサー106は、磁気を検出するセンサーである。磁気センサー106は、ジャック105内の磁気を検出する。例えば、磁気センサー106は、ジャック105内に、磁石が存在する場合に、磁気を検出する。磁気センサー106は、磁気の有無をハイ(Hi)/ロー(Low)で検出する。磁気センサー106は、基板内部に設けられている。
【0036】
ヘッドホン151は、ヘッドホン本体152と、プラグ153と、マイク155と、を備える。プラグ153は、3.5mmのステレオプラグである。プラグ153には、ソレノイドコイル54が設けられている。プラグ153が、DAP101のジャック105に接続されると、DSP103からジャック105に供給される電圧により、ソレノイドコイル154は、電磁石化する。従って、プラグ153が、DAP101のジャック105に接続されると、磁気センサー106は、ソレノイドコイル154(電磁石)による磁気を検出する。
【0037】
DAP101は、ヘッドホン151が、特定のヘッドホンである場合、そのヘッドホンのユーザーに付加機能を提供する。以下、説明する。ヘッドホン151のプラグ153が、ジャック105に接続されると、MCU102は、プラグ153の接続を検出する(1)。MCU102は、プラグ153の接続を検出した後、ジャック105にバイクバイアスを与え、磁気監視をスタートする(2)。
【0038】
MCU102は、磁気監視のスタート後に、磁気センサー106からの磁気の有無を、ハイ/ロー信号で読み取る(3)。MCU102は、磁気センサー106により磁気が検出されると、ヘッドホン151が特定のヘッドホンであると認識(判断)して、DSP103等に処理を変更するように、通知を出す(4)。DSP103は、付加機能として、特定の信号処理を行い、音楽信号を、ジャック105を介して、ヘッドホン151に出力する(5)。MCU102は、磁気センサー106による磁気の検出が終了すると、付加機能処理を停止する(5)。
【0039】
以上説明したように、本実施形態では、MCU2、102は、磁気センサー6、106により、磁気が検出された場合、所定のヘッドホン51、151が、ジャック5、105に接続されたと判断する。従って、所定のヘッドホンであると判断されたヘッドホン(特定のヘッドホン)に特定の機能を付加することができるため、機構的な設計変更の必要なく、特定のヘッドホンに特定の機能を付加することができる。
【0040】
例えば、第1実施形態のように、ジャック5に接続されるヘッドホン51のプラグ53に永久磁石54が設けられている場合、磁化されたプラグ53により、他機器に影響を与える場合がある。第2実施形態では、ジャック105に電圧が供給されるため、プラグ153にソレノイドコイル154を設けることにより、必要な時だけ磁化させることができ、通常時、他機器への影響がない。また、磁気センサー106を基板内部に配置可能なため、認証のセキュリティが高まる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、ヘッドホンに音楽信号を出力する電子機器、ヘッドホン、及び、システムに好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0043】
1、101 DAP(電子機器)
2、102 MCU(制御部)
3、103 DSP(信号処理部)
5、105 ジャック
6、106 磁気センサー
51、151 ヘッドホン
53、153 プラグ
54 永久磁石
154 ソレノイドコイル
図1
図2