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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041360
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】海面埋立て方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 1/00 20060101AFI20220304BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20220304BHJP
   C04B 18/06 20060101ALI20220304BHJP
   C04B 18/10 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B09B1/00 F ZAB
C04B28/02
C04B18/06
C04B18/10 A
C04B18/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146509
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(74)【代理人】
【識別番号】100088719
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 博史
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕一
(72)【発明者】
【氏名】中島 健一
【テーマコード(参考)】
4D004
4G112
【Fターム(参考)】
4D004AA36
4D004AA37
4D004AA43
4D004AA50
4D004BA02
4D004BB04
4D004CA15
4D004CA45
4D004CC12
4D004CC13
4D004DA09
4D004DA10
4D004DA17
4G112PA26
4G112PA27
(57)【要約】
【課題】海面廃棄物処分場や埋め立て地の早期安定化を図れる海面埋立て方法の提供。
【解決手段】この海面埋立て方法は、護岸3の内側にアルカリ性固化材を打設し、アルカリ性固化材を固化させて一定の厚みを有する遮水層6を形成した後、遮水層6の内側を廃棄物又は埋め立て材で埋め立てるとともに、埋立て領域内の水8の外部排水を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
護岸に囲まれた埋立て領域を埋め立てる海面埋立て方法において、
前記護岸の内側にアルカリ性固化材を打設し、該アルカリ性固化材を固化させて一定の厚みを有する遮水層を形成した後、該遮水層の内側を廃棄物又は埋め立て材で埋め立てるとともに、前記埋立て領域内の水の外部排水を行うことを特徴とする海面埋立て方法。
【請求項2】
前記護岸の底面に前記アルカリ性固化材を打設して底面遮水層を形成する請求項1に記載の海面埋立て方法。
【請求項3】
前記遮水層の内側に前記廃棄物として焼却灰、石炭灰、飛灰にセメントを混合した固化体を埋め立てる請求項1又は2に記載の海面埋立て方法。
【請求項4】
前記遮水層の内側に投入した廃棄物の表面を焼却灰、石炭灰、飛灰にセメントを混合した固化体によって覆う請求項1又は2に記載の海面埋立て方法。
【請求項5】
前記遮水層の内側に前記埋め立て材としてセメント固化処理土、カルシア改質土を埋め立てる請求項1又は2に記載の海面埋立て方法。
【請求項6】
前記アルカリ性固化材は、セメント固化処理土、カルシア改質土、又は焼却灰、石炭灰、飛灰にセメントを混合した固化体を用いる請求項1~5の何れか一に記載の海面埋立て方法。
【請求項7】
前記アルカリ性固化材に対する加水量を調整することで、流動性を調整する請求項1~6の何れか一に記載の海面埋立て方法。
【請求項8】
前記外部排水は、前記遮水層の内側を埋め立てる材料に応じて埋立て開始前又は開始後に排水する量を変更する請求項1~7の何れか一に記載の海面埋め立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海面廃棄物処理場や埋め立て地を埋め立てる海面埋立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焼却灰、石炭灰等のアルカリ性廃棄物は、海面廃棄物処分場で処分されることも多い。
【0003】
しかしながら、この種のアルカリ性廃棄物には、多くのカルシウムが含有されており、このアルカリ性廃棄物が投入された廃棄物処分場の保有水は、高アルカリとなることが多く、雨水の浸透に伴って高アルカリの浸出水が発生するので、埋立て中のみならず、埋立て終了後も長期にわたり余水処理が必要となる場合がある。
【0004】
特に、埋立て作業の後半からは、ポンドの残留水面の減少、即ち、処分材料に対する水の比率が減少し、それに伴い、pHや化学的酸素要求量(COD)が急激に上昇するため、放流水の水処理の際に掛かる負荷が大きくなるという問題があった。
【0005】
従来、早期安定化の手法としては、集水管の設置や埋め立てた廃棄物の上に厚覆土すること等が提案されているが集水管や覆土によってその分の処分量が減少するという問題があった。
【0006】
一方、陸上の廃棄物処分場においては、処分場を早期に安定化させる方法として、所謂固化式処分工法が開発されている。
【0007】
この固化式処分工法は、ミキサを使用して焼却灰や飛灰を含む材料を混合した後、当該材料に振動を与えて粉体を流体化し、それを埋め立てるとともに締固めることによって、焼却灰や飛灰の固化により埋立地盤の透水性が低下して雨水浸透が抑制されること等から、浸出水の水質が処分場の廃止基準を早期に満たすことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-334225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、混合材料を水中に投下した後に加振・締固めを行うことが困難であるため、固化式処分工法を海面処分場に適用することが困難であった。
【0010】
また、焼却灰や飛灰を含む材料からなる固化体を作成した後にそのまま、或いは固化体を破砕して処分場や埋め立て地に投入した場合、固化体間の空隙が大きくなり、処分容量が減少し、固化体を粉砕した場合にはpHの上昇等が発生するという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、海面廃棄物処分場や埋め立て地の早期安定化を図れる海面埋立て方法の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、護岸に囲まれた埋立て領域を埋め立てる海面埋立て方法において、前記護岸の内側にアルカリ性固化材を打設し、該アルカリ性固化材を固化させて一定の厚みを有する遮水層を形成した後、該遮水層の内側を廃棄物又は埋め立て材で埋め立てるとともに、前記埋立て領域内の水の外部排水を行うことにある。
【0013】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記護岸の底面に前記アルカリ性固化材を打設して底面遮水層を形成することにある。
【0014】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記遮水層の内側に前記廃棄物として焼却灰、石炭灰、飛灰にセメントを混合した固化体を埋め立てることにある。
【0015】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記遮水層の内側に投入した廃棄物の表面を焼却灰、石炭灰、飛灰にセメントを混合した固化体によって覆うことにある。
【0016】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記遮水層の内側に前記埋め立て材としてセメント固化処理土、カルシア改質土を埋め立てることにある。
【0017】
請求項6に記載の発明の特徴は、請求項1~5の何れか一の構成に加え、前記アルカリ性固化材は、セメント固化処理土、カルシア改質土、又は焼却灰、石炭灰、飛灰にセメントを混合した固化体を用いることにある。
【0018】
請求項7に記載の発明の特徴は、請求項1~6の何れか一の構成に加え、前記アルカリ性固化材に対する加水量を調整することで、流動性を調整することにある。
【0019】
請求項8に記載の発明の特徴は、請求項1~7の何れか一の構成に加え、前記外部排水は、前記遮水層の内側を埋め立てる材料に応じて埋立て開始前又は開始後に排水する量を変更することにある。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る海面埋立て方法は、請求項1の構成を具備することによって、不透水層を構築し、埋立て領域内の水の外部排水を安定して行うことができるので、海面廃棄物処分場や埋め立て地の早期安定化を図ることができる。
【0021】
また、本発明において、請求項2の構成を具備することによって、底部が遮水性の地盤でない場合や底部における高い遮水性を確保したい場合に対応することができる。
【0022】
さらに、本発明において、請求項3の構成を具備することによって、焼却灰等の廃棄物を好適に埋め立てることができるとともに、透水性が低下して雨水の浸透が抑制され、浸出水が処分場等の基準を早期に満足するので、海面廃棄物処分場や埋め立て地の早期安定化を図ることができる。
【0023】
また、本発明において、請求項4の構成を具備することによって、一般の廃棄物を埋め立てる際においても、透水性が低下して雨水の浸透が抑制され、浸出水が処分場等の基準を早期に満足するので、海面廃棄物処分場や埋め立て地の早期安定化を図ることができる。また、一般の廃棄物への覆土として廃棄物である固化体を使用することで処分量の減少を図ることができる。
【0024】
さらにまた、本発明において、請求項5の構成を具備することによって、埋立地の地盤が強化されるとともに、地盤への水の浸みこみを防止することができる。
【0025】
また、本発明において、請求項6の構成を具備することによって、固化後に透水性が低くなり、堅牢な遮水層を形成することができる。
【0026】
また、本発明において、請求項7の構成を具備することによって、投入状況に応じて流動性を調整できるので、アルカリ性固化体の投入が容易となる。
【0027】
また、本発明において、請求項8の構成を具備することによって、排水時に水質管理をする必要がある埋立て領域内の水を減らし、水処理の負荷を軽減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る海面埋め立て方法の手順を示す概略断面図であって、(a)は護岸及び裏込め層の構築工程、(b)は遮水層の構築工程、(c)及び(d)はアルカリ性固化材による埋め立て及び外部排水工程、(e)は埋立て完了の状態を示す図である。
図2】同上の図1(a)の平面図である。
図3】同上の図1(b)の平面図である。
図4】同上の図1(c)の平面図である。
図5】同上の図1(d)の平面図である。
図6】同上の図1(e)の平面図である。
図7】本発明に係る海面埋め立て方法の遮水層の他の態様を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明に係る海面埋め立て方法の実施態様を図1図6に示した実施例に基づいて説明する。
【0030】
本実施例では、海面廃棄物処分場1を埋め立てる場合を例に説明し、図中符号1は海面廃棄物処分場、符号2は不透水性地盤である。
【0031】
この海面廃棄物処分場1は、護岸3によって区画された埋立て領域4が形成され、この埋立て領域4内に廃棄物を投入し、埋め立てるようになっている。
【0032】
この海面廃棄物処分場1の埋め立ては、先ず、図1(a)、図2に示すように、海面廃棄物処分場1の外縁に護岸3を形成し、護岸3に囲まれた埋立て領域4を形成し、護岸3の内側に裏込め石を投入し、裏込め層5を築造する。
【0033】
護岸3は、下端が不透水性地盤2に至る矢板、連結部を遮水構造とした複数のケーソンやセル等の護岸構造体ケーソン、セル等の構造体間が遮水工によって遮水された遮水護岸3によって構成され、この遮水護岸3によって埋立て領域4と外海とが隔てられている。連結部を遮水構造とした複数のケーソンやセル等の護岸構造体を護岸法線方向に並べて海底地盤上に設置連結部を遮水構造とした複数のケーソンやセル等の護岸構造体を護岸法線方向に並べて海底地盤上に設置連結部を遮水構造とした複数のケーソンやセル等の護岸構造体を護岸法線方向に並べて海底地盤上に設置
【0034】
裏込め層5は、護岸3の内側に裏込め石を投入し、内側に向けて傾斜した法面5aを有する堤状に形成されている。
【0035】
次に、図1(b)、図3に示すように、裏込め層5に沿って、遮水層6用のアルカリ性固化材を打設し、このアルカリ性固化材を固化させて一定の厚みを有する遮水層6を形成する。
【0036】
遮水層6は、厚さ50cm以上であって、固化後の透水係数kが10-5cm/s(10-7m/s)以下と同等の遮水性能を発揮する厚さになるようにアルカリ性固化材を打設する。尚、ここで同等の遮水性能とは、浸透時間が同等であることをいう。
【0037】
アルカリ性固化材は、アルカリ性の固化する特性を有する材料であって、固化前においては一定の流動性を有し、固化後の透水性が低い材料によって構成されている。
【0038】
このアルカリ性固化材には、セメント固化処理土、カルシア改質土、又は焼却灰、石炭灰、飛灰にセメントを混合した固化体を用いる。
【0039】
固化体は、焼却灰を70~80wt%、飛灰又は石炭灰を20~30wt%、セメントを5~10wt%の割合で適宜配合し、これに加水して混合し、水中において投入する際に隙間が生じないように流動性を確保している。尚、加水量は、材料の性状に応じて流動性が確保されるように調整されている。
【0040】
さらに、この固化体には、必要に応じて、上記の材料に加えて減水剤等の混和剤を混合してもよい。
【0041】
アルカリ性固化材を構成する材料を混合する方法は、特に限定されないが、例えば、ミキサによる混合、ベルトコンベア・振動ベルトコンベアによる混合、落下混合等によって混合することができる。
【0042】
さらに、このアルカリ性固化材は、加水量を増やすことによって流動性を高め、水中での打設を容易にし、且つ、締固めをせずとも所望の透水係数を有する状態で固化するようになっている。
【0043】
このアルカリ性固化材の打設は、固化する前に、片押し式、法面流下方式又はダンプトラックからの直接投入等の一般的な廃棄物の投入方法によって打設してもよく、トレミー管による打設、グラブバケットによる投入、ポンプ等を使用して打設してもよい。
【0044】
アルカリ性固化材の打設が完了し、アルカリ性固化材を一定の期間養生し、固化させることによって埋め立て領域の内側を囲む壁状の一定の厚みを有する遮水層6(遮水壁)が形成される。
【0045】
遮水層6が形成されたら、図1(c)~(e)、図4図6に示すように、埋立て領域4内の水8を排水し(以下、外部排水という)、遮水層6の内側に、固化体を打設してアルカリ性固化材埋め立て層7,7…を形成する。
【0046】
外部排水は、遮水層6形成後に投入する廃棄物に応じて必要最小限の内水8を残して排水することが望ましい。例えば、廃棄物として固化体を埋め立てるのであれば飛散や臭気の発生がないことから内水を残す必要はない。一方、通常の廃棄物を埋め立てるのであれば、臭気及び飛散対策の為、廃棄した通常の廃棄物の表面を覆う程度の内水を残すことが望ましい。
【0047】
また、外部排水は、一定量の固化体を投入した後に排水してもよく、固化体の投入量に合わせて同時進行で外部排水してもよく、固化体投入前に埋立て領域4内全体の排水を行ってもよい。尚、図中符号9は外部排水用のポンプ、符号8は排水管である。
【0048】
尚、アルカリ性固化材による遮水層6は、遮水護岸3にバックアップ機能、即ち、二次遮水機能を付加するとともに、外部排水によって埋立て領域4内の水位が低下しても、外部との水圧差によって護岸3が変位することがないよう埋め立て処分場の外側の水圧に耐えられるだけの厚みと強度を有している。
【0049】
また、この外部排水は、埋立ての初期段階ではアルカリ化の要因となりうるものが遮水層6しかなく、それによる内部水の高アルカリ化が進行していないので、余水処理を経ずに又は軽微な余水処理で外部へ排水することができる。
【0050】
一方、外部排水後、気中に固化体を廃棄若しくは投入する際には、内水8が殆ど無いため、固化する前に片押し式、法面流下方式又はダンプトラックからの直接投入等の一般的な陸上廃棄処分場における廃棄物の投入方法と同様の方法によって遮水層6の内側に順次投入することができる。
【0051】
尚、海面廃棄物処分場の設置場所の水深が深い際には、外部排水時の水圧が大きくなるため、内水8の全量を排水するためには遮水層6の厚みと強度を大きくする必要がある。
【0052】
このため埋立初期に外部排水において内水8を全量排水せず、遮水層6が水圧に耐えられる範囲内で排水するようにし、固化体投入等により内水の水深が浅くなり、遮水層6への水圧が小さくなった埋立中期や後期に残っている内水8の全量を排水してから固化体を気中投入するようにしてもよい。
【0053】
また、外部排水されて気中での投入となるので、加水量を減らし、打設後に重機に保持させたバイブレータ等によって固化前の固化体に高周波振動を付与し、加振・締固めを行うことによって減容化することができる。
【0054】
そして、遮水層6の内側に順次固化体の投入を繰り返すことによって、複数の固化体埋め立て層7,7…が順次積層される。
【0055】
その際、固化体のその日の投入が終了した場合であっても、焼却灰等が飛散しないので、即日の覆土が不要となっている。また、それに伴い覆土が不要な分、廃棄物の容量が増加する。
【0056】
また、各固化体埋め立て層7,7…は、一体化することによって埋め立て地盤の強化がされる。
【0057】
そして、固化体埋め立て層7,7…によって一定量が埋め立てられたら、残りの部分を固化体によって埋め立ててもよく、その他の廃棄物を埋め立ててもよい。
【0058】
尚、一定量の内水を保有していた場合には、埋立て作業が進むにつれ、ポンド12の残留水面の減少、即ち、処分材料に対する水の比率が減少するが、固化体が固化されることによって透水性が低くなるので、固化体埋め立て層7,7…に対する雨水等の浸透を抑制でき、ポンド内水8のpHや化学的酸素要求量(COD)の急激な上昇を抑制でき、外部排水の水処理に掛かる負荷が少なくなっている。
【0059】
このように構成された海面埋立て方法では、遮水層6の内側部に透水性の低い固化体埋め立て層7,7…が形成されるので、雨水等が埋め立て地に浸透し難く、浸出水が処分場の廃止基準を満足でき、それによって早期安定化を図ることができる。
【0060】
尚、上述の実施例では、海面処分場を例に廃棄物として焼却灰、焼却灰、石炭灰、飛灰にセメントを混合した固化体を用いた例について説明したが、遮水層6の内側を通常の廃棄物で埋め立ててもよい。
【0061】
その際、内水8の外部排水時には、遮水層6の内側に投入された通常の廃棄物の表面を所定の深さで覆うことができる程度の内水8を保持し、廃棄物から生じる臭気及び廃棄物の飛散を防止する。
【0062】
また、遮水層6の内側に通常の廃棄物が投入される場合には、その表面を覆う覆土に替えて通常の廃棄物の上面を焼却灰、焼却灰、石炭灰、飛灰にセメントを混合した固化体によって覆うようにしてもよい。その場合、覆土に替えて廃棄物である固化体を使用することで、廃棄物の処分量が増加する。
【0063】
さらに、上述の実施例では、護岸3を遮水性護岸3とした場合について説明したが、非遮水性の護岸3を形成した後、アルカリ性固化材によって遮水層6を形成することによって、埋立てに対応できるようにしてもよい。
【0064】
さらに、上述の実施例の他、埋め立て地の築造においては、遮水層6の内側に埋立て材としてセメント固化処理土、カルシア改質土を埋め立てるようにしてもよい。
【0065】
その場合、固化体による埋め立て層7,7…と同様にセメント固化処理土、カルシア改質土を順次埋め立てることによって、セメント固化処理土、カルシア改質土が一体化することによって埋め立て地盤の強化がされる。また透水性に関しても固化体による埋め立て層と同様に透水性が低いため、雨水等が埋め立て地に浸透し難い。
【0066】
セメント固化処理土、カルシア改質土は、一定量のセメント固化処理土、カルシア改質土を投入した後に排水する場合、及びセメント固化処理土、カルシア改質土の投入量に合わせて同時進行で外部排水を行う場合、遮水層6を形成した際と同様に、加水量を増やすことによって流動性を高め、水中での打設を容易にし、且つ、締固めをせずとも所望の透水係数を有する状態で固化するようになっている。
【0067】
また、底部が遮水性の地盤でない場合や底部における高い遮水性を確保したい場合には、図7に示すように、埋立て領域4の底部に遮水層6と連続した底部遮水層20を形成してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 海面廃棄物処分場
2 不透水性地盤
3 護岸
4 埋立て領域
5 裏込め層
6 遮水層
7 固化体埋め立て層
8 水(内部水)
9 ポンプ
10 排水管
12 ポンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7