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特開2022-41385界面活性ポリマー、これを含有する分散剤・調色性改良剤及び水系塗料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041385
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】界面活性ポリマー、これを含有する分散剤・調色性改良剤及び水系塗料
(51)【国際特許分類】
   C08F 222/06 20060101AFI20220304BHJP
   C08F 8/00 20060101ALI20220304BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20220304BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
C08F222/06
C08F8/00
C09D7/65
C09D201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146545
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】北村 匠
【テーマコード(参考)】
4J038
4J100
【Fターム(参考)】
4J038CC022
4J038CG082
4J038CG121
4J038HA166
4J038KA08
4J038KA09
4J038MA10
4J100AB02P
4J100AK32Q
4J100BA08H
4J100BA29H
4J100BA31H
4J100CA04
4J100CA31
4J100DA01
4J100DA61
4J100HA11
4J100HA35
4J100HA61
4J100HC08
4J100HC43
4J100HE05
4J100JA15
(57)【要約】
【課題】界面活性能に優れたポリマー{特に、優れた分散性を発揮し、塗料に添加しても塗膜の耐水性が低下しない分散剤}を提供することを目的とする。
【解決手段】式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位と共重合単量体(B)からなる単位とを構成単位としてなることを特徴とする界面活性ポリマーを用いる。

MOCC(R)=C(R)CO(AO)N(R)(AO) (1)

Mは対イオン、R、R及びRは水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基(RとRとがアルキレン基を形成してもよい)、Rは水素原子又はMOCC(R)=C(R)CO-で表される基、Cは炭素原子、Oは酸素原子、Nは窒素原子、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基、aは1~50の整数を表す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位と共重合単量体(B)からなる単位とを構成単位としてなることを特徴とする界面活性ポリマー。

MOCC(R)=C(R)CO(AO)N(R)(AO) (1)

Mは対イオン、R、R及びRは水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基(RとRとがアルキレン基を形成してもよい)、Rは水素原子又はMOCC(R)=C(R)CO-で表される基、Cは炭素原子、Oは酸素原子、Nは窒素原子、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基、aは1~50の整数を表す。
【請求項2】
共重合単量体(B)がエチレン性不飽和基含有カルボン酸無水物(B1)、エチレン性不飽和基含有カルボン酸(塩)(B2)、エチレン性不飽和基含有カルボン酸エステル(B3)及びエチレン性不飽和基含有芳香族化合物(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の界面活性ポリマー。
【請求項3】
式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位及び共重合単量体(B)からなる単位の合計モル数に基づいて、式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位の含有量が5~50モル%、共重合単量体(B)からなる単位の含有量が50~95モル%である請求項1又は2に記載の界面活性ポリマー。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載された界面活性ポリマーを含有してなることを特徴する顔料用分散剤。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載された界面活性ポリマーを含有してなることを特徴する調色性改良剤。
【請求項6】
水系塗料及び請求項4に記載された顔料用分散剤及び/又は請求項5に記載された調色性改良剤を含有してなることを特徴する水系塗料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性ポリマー、これを含有する分散剤・調色性改良剤及び水系塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
特殊な化学構造を有する「イオン性結合基を有する櫛形コポリマー」(特許文献1)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2015-526539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の櫛形コポリマーでは顔料に対する分散性が不十分な場合があり、さらにこれを添加した塗料の耐水性が低下するという問題がある。
本発明は、界面活性能に優れたポリマー{特に、優れた分散性を発揮し、塗料に添加しても塗膜の耐水性が低下しない分散剤}を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の界面活性ポリマーの特徴は、式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位と共重合単量体(B)からなる単位とを構成単位としてなる点を要旨とする。
【0006】

MOCC(R)=C(R)CO(AO)N(R)(AO) (1)
【0007】
Mは対イオン、R、R及びRは水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基(RとRとがアルキレン基を形成してもよい)、Rは水素原子又はMOCC(R)=C(R)CO-で表される基、Cは炭素原子、Oは酸素原子、Nは窒素原子、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基、aは1~50の整数を表す。
【0008】
本発明の顔料用分散剤の特徴は、上記の界面活性ポリマーを含有してなる点を要旨とする。
【0009】
本発明の調色性改良剤の特徴は、上記の界面活性ポリマーを含有してなる点を要旨とする。
【0010】
本発明の水系塗料組成物の特徴は、水系塗料及び上記の顔料用分散剤及び/又は上記の調色性改良剤を含有してなる点を要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の界面活性ポリマーは、優れた界面活性能を発揮する{特に、優れた分散性を発揮し、塗料に添加しても塗膜の耐水性が低下しない。また、塗料の調色性を向上させる。}
【0012】
本発明の顔料用分散剤は、上記の界面活性ポリマーを含有するので、優れた分散性を発揮し、塗料に添加しても塗膜の耐水性が低下しない。
【0013】
本発明の調色性改良剤は、上記の界面活性ポリマーを含有するので、優れた分散性を発揮し、塗料に添加しても塗膜の耐水性が低下しないことに加え、調色性を改良できる。
【0014】
本発明の水系塗料組成物は、上記の分散剤及び/又は上記の調色性改良剤を含有するので、優れた分散性を発揮し、塗膜の耐水性が低下しない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位>
対イオン(M)としては、プロトン、金属イオン{アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)イオン}及びアンモニウムイオン{無機アンモニウムイオン(NH )、炭素数1~6の第1~4級アンモニウムイオン(メチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン及びテトラメチルアンモニウムイオン等)}が含まれる。これらのうち、分散性及び塗膜の耐水性の観点から、アンモニウムイオンが好ましく、さらに好ましくは無機アンモニウムイオン(NH )である。なお、対イオン(M)として、Rが結合する窒素原子(N)にプロトン化したアンモニウムイオンも含まれ、このようなアンモニウムイオンの場合、分子内及び/又は分子間でイオン結合している(水中では解離するのでアミノ酸型両性界面活性剤のように挙動する)。
【0016】
、R及びRはすべてが同じでも、一部が同じでも、すべてが異なってもよい。また、RとRとがアルキレン基を形成してもよい。
【0017】
水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基(R、R及びR)のうち、アルキル基としては、炭素数1~22のアルキル基が含まれ、直鎖アルキル基、分岐アルキル基及び環状アルキル基等が挙げられる。
【0018】
水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基(R、R及びR)のうち、アルケニル基としては、炭素数2~22のアルケニル基が含まれ、直鎖アルケニル基、分岐アルケニル基及び環状アルケニル基等が挙げられる。
【0019】
水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基(R、R及びR)のうち、アリール基としては、炭素数6~10のアリール基が含まれ、フェニル、ベンジル及びナフチル等が挙げられる。
【0020】
とRとがアルキレン基を形成する場合、プロピレン及びブチレン(「-C(R)=C(R)-」は以下の化学構造を形成する)等が挙げられる。
【0021】
【化1】
【0022】
これらのうち、界面活性能(特に、分散性及び塗膜の耐水性)の観点から、R、Rしては水素原子及びアルキル基が好ましく、さらに好ましくは水素原子である。また、Rとしてはアルキル基、アルケニル基及びアリール基が好ましく、さらに好ましくはアルキル基及びアルケニル基である。
【0023】
式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位が、Rが水素原子であるカルボン酸(塩)(A)からなる単位のみからなる場合、界面活性ポリマーは直線状の重合体を構成する。一方、式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位に、RがMOCC(R)=C(R)CO-で表される基であるカルボン酸(塩)(A)からなる単位を含む場合、界面活性ポリマーは分子内及び/又は分子間の架橋構造をもつ重合体を構成する。
【0024】
炭素数2~4のオキシアルキレン基(AO)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンが挙げられる。これらのうち、界面活性能(特に、分散性)の観点から、オキシエチレンを主体的(オキシアルキレン基の全個数に対して少なくとも80個数%、さらに好ましくは少なくとも90個数%)に含むことが好ましく、さらに好ましくはオキシエチレンである。
【0025】
オキシアルキレン基(AO)に複数種類のオキシアルキレンを含む場合、結合形式に制限はなく、ブロック状、ランダム状及びこれらの組み合わせのいずれでもよいが、界面活性能(特に、分散性)の観点からブロック状を含むことが好ましい。
【0026】
aは、それぞれ、1~50の整数が好ましく、さらに好ましくは2~30の整数、特に好ましくは3~15の整数である。この範囲であると、界面活性能(特に、分散性)がさらに良好となる。
【0027】
<共重合単量体(B)からなる単位>
共重合単量体(B)からなる単位は、式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位と共に、界面活性ポリマーを形成できれば制限がない。共重合単量体(B)としては、エチレン性不飽和基含有カルボン酸無水物(B1)、エチレン性不飽和基含有カルボン酸(塩)(B2)、エチレン性不飽和基含有カルボン酸エステル(B3)及びエチレン性不飽和基含有芳香族化合物(B4)からなる群より選ばれる少なくとも1種が含まれる。
【0028】
エチレン性不飽和基含有カルボン酸無水物(B1)としては、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3-ジメチルマレイン酸無水物、フェニルマレイン酸無水物及び1-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0029】
エチレン性不飽和基含有カルボン酸(塩)(B2)としては、(メタ)アクリル酸(塩)、マレイン酸(塩)、フマル酸(塩)、シトラコン酸(塩)、2,3-ジメチルマレイン酸(塩)、フェニルマレイン酸(塩)及び1-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン(塩)等が挙げられる。
【0030】
エチレン性不飽和基含有カルボン酸エステル(B3)としては、アルキル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数1~22)、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンアルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、マレイン酸エステル等が挙げられる(オキシアルキレンは上記と同様であり、重合度は1~50程度が好ましい)。
【0031】
エチレン性不飽和基含有芳香族化合物(B4)としては、スチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン及びo-メチルスチレン等が挙げられる。
【0032】
これらの共重合単量体(B)のうち、界面活性能(特に、分散性及び塗膜の耐水性)の観点から、エチレン性不飽和基含有カルボン酸無水物(B1)、エチレン性不飽和基含有カルボン酸(塩)(B2)及びエチレン性不飽和基含有芳香族化合物(B4)が好ましく、さらに好ましくはエチレン性不飽和基含有カルボン酸(塩)(B2)及びエチレン性不飽和基含有芳香族化合物(B4)である。
【0033】
式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位の含有量(モル%)は、式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位及び共重合単量体(B)からなる単位の合計モル数に基づいて、1~50が好ましく、さらに好ましくは5~45、特に好ましくは7.5~40である。この範囲であると、界面活性能(特に、分散性及び塗膜の耐水性)がさらに良好となる。
【0034】
共重合単量体(B)からなる単位の含有量(モル%)は、式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位及び共重合単量体(B)からなる単位の合計モル数に基づいて、50~99が好ましく、さらに好ましくは55~95、特に好ましくは60~92.5である。この範囲であると、界面活性能(特に、分散性及び塗膜の耐水性)がさらに良好となる。
【0035】
界面活性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、2千~5万が好ましく、さらに好ましくは4千~4万、特に好ましくは3千~3万である。この範囲であると、界面活性能(特に分散性及び塗膜の耐水性)がさらに良好となる。
【0036】
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエッションクロマトグラフィ(GPC)により測定できる。
なお、界面活性ポリマーの単量体組成及び単量体組成比率等により溶解性が異なるため、測定試料が水溶性の場合、溶媒としてメタノール:イオン交換水:酢酸ナトリウムを用いた条件、測定試料が非水溶性の場合溶媒としてテトラハイドロフランを用いた条件で測定できる(たとえば、以下の条件で測定できる。)。
【0037】
<測定試料が水溶性の場合>
測定装置 ;HLC-8420GPC(東ソー株式会社)
カラム ;TSKgelガードカラム α、TSKgel α6000、TSKgel α4000(東ソー株式会社)を直列に繋いだもの
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;ECOSEC Elite-WS(東ソー株式会社)
カラム温度 40℃
溶 媒 ;メタノール:イオン交換水:酢酸ナトリウム=800:1200:15(重量比)
流 速 :0.8ml/分
標準物質 ;TSKgel標準ポリエチレンオキシド(東ソー株式会社)
試料濃度 :0.4重量%溶離液溶液
【0038】
<測定試料が非水溶性の場合>
測定装置 ;HLC-8220(東ソー株式会社)
カラム ;ガードカラムHXL-H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ3000、TSKgel SuperHZ2000及びTSKgel SuperHZ2000(東ソー株式会社)を直列に繋いだもの
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;SC-8010(東ソー株式会社)
カラム温度 40℃
溶 媒 ;テトラヒドロフラン
流 速 :1.0ml/分
標準物質 ;TSKgel標準ポリスチレン(東ソー株式会社)
サンプル :1重量%テトラヒドロフラン溶液
【0039】
本発明の界面活性ポリマーは、式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位と共重合単量体(B)からなる単位とを構成単位としていれば製造方法に制限はなく、式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)と共重合単量体(B)とを共重合させて製造してもよいが、製造しやすさの観点から、エチレン性不飽和基含有カルボン酸無水物(B1){式(2)で表される酸無水物が好ましい}と(B1)以外の共重合単量体{エチレン性不飽和基含有カルボン酸(塩)(B2)、エチレン性不飽和基含有カルボン酸エステル(B3)及びエチレン性不飽和基含有芳香族化合物(B4)が好ましい}とを共重合させてベースポリマー(BP)を得てから、このベースポリマー(BP)と炭素数1~22の第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)とを反応させ、必要に応じて、塩基でカルボキシル基(式1においてMがプロトン)をカルボキシレート基(式1においてMが金属イオン及び/又はアンモニウムイオン)に変換させて製造する方法が好ましい。
【0040】
なお、このベースポリマー(BP)を経由して製造する場合、エチレン性不飽和基含有カルボン酸無水物(B1)からなる単位が、炭素数1~22の第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)との反応によって、式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位に変換される。そして、このベースポリマー(BP)を経由して得られる界面活性ポリマーには、式(1)で表されるカルボン酸(塩)(A)からなる単位を構成できなかったエチレン性不飽和基含有カルボン酸無水物(B1)からなる単位{すなわち、未反応単量体からなる単位;たとえば、式(2)で表される酸無水物からなる単位}やエチレン性不飽和基含有カルボン酸(塩)(B2)からなる単位{すなわち、加水分解生成体からなる単位;たとえば、式(3)で表されるカルボン酸(塩)からなる単位}が含まれてもよい。
【0041】
【化2】
【0042】
【化3】
【0043】
式(2)及び(3)において、M、R及びRは式(1)と同じであり、Cは炭素原子、Oは酸素原子を表す。
【0044】
ベースポリマー(BP)において、エチレン性不飽和基含有カルボン酸無水物(B1)の使用量(モル%)は、ベースポリマー(BP)を構成する全単量体の合計モル数に基づいて、5~60が好ましく、さらに好ましくは10~55、特に好ましくは13~50である。この範囲であると、界面活性能(特に、分散性及び塗膜の耐水性)がさらに良好となる。
【0045】
ベースポリマー(BP)において、エチレン性不飽和基含有カルボン酸無水物(B1)以外の共重合単量体(たとえば、上記のB2~B4)の使用量(モル%)は、ベースポリマー(BP)を構成する全単量体の合計モル数に基づいて、40~95が好ましく、さらに好ましくは45~90、特に好ましくは50~87である。この範囲であると、界面活性能(特に、分散性及び塗膜の耐水性)がさらに良好となる。
【0046】
ベースポリマー(BP)の重量平均分子量(Mw)は、1千~4万が好ましく、さらに好ましくは1千5百~3万5千、特に好ましくは2千~1万である。この範囲であると、界面活性能(特に分散性及び塗膜の耐水性)がさらに良好となる。
【0047】
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエッションクロマトグラフィ(GPC)により測定できる(たとえば、上記の測定試料が非水溶性の場合と同様の条件で測定できる)。
【0048】
ベースポリマー(BP)は、公知の重合方法により製造できる他に、市場からも入手でき、商品名として、たとえば、XIRANE 1000(スチレン-無水マレイン酸樹脂、重量平均分子量5000、スチレン50モル%、無水マレイン酸50モル%、POLYSCOPE社)、XIRANE 2000(スチレン-無水マレイン酸樹脂、重量平均分子量6500、スチレン67モル%、無水マレイン酸33モル%、POLYSCOPE社)、XIRANE 3000(スチレン-無水マレイン酸樹脂、重量平均分子量10000、スチレン75モル%、無水マレイン酸25モル%、POLYSCOPE社)、XIRANE 4000(スチレン-無水マレイン酸樹脂、重量平均分子量10000、スチレン80モル%、無水マレイン酸20モル%、POLYSCOPE社)等が挙げられる。
【0049】
炭素数1~22{8~20が好ましく、さらに好ましくは12~18:式(1)のRの炭素数に対応する}の第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)としては、第一級アミン{アルキルアミン、アルケニルアミン及びアリールアミン等}のアルキレンオキシド付加体が含まれる。
【0050】
第一級アミンのうち、アルキルアミンとしては、炭素数1~22のアルキルアミンが含まれ、直鎖アルキルアミン、分岐アルキルアミン及び環状アルキルアミン等が挙げられる。
【0051】
第一級アミンのうち、アルケニルアミンとしては、炭素数2~22のアルケニルアミンが含まれ、直鎖アルケニルアミン、分岐アルケニルアミン及び環状アルケニルアミン等が挙げられる。
【0052】
第一級アミンのうち、アリールアミンとしては、炭素数6~10のアリールアミンが含まれ、アニリン、ベンジルアミン及びナフチルアミン等が挙げられる。
【0053】
第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)を構成するアルキレンオキシドとしては、炭素数2~4のアルキレンオキシドが含まれ、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドが挙げられる。これらのうち、界面活性能(特に、分散性)の観点から、エチレンオキシドを主体的(アルキレンオキシドの全個数に対して少なくとも80個数%、さらに好ましくは少なくとも90個数%)に含むことが好ましく、さらに好ましくはエチレンオキシドである。
【0054】
第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)に複数種類のオキシアルキレン基を含む場合、結合形式に制限はなく、ブロック状、ランダム状及びこれらの組み合わせのいずれでもよいが、界面活性能(特に、分散性及び塗膜の耐水性)の観点からブロック状を含むことが好ましい。
【0055】
第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)において、アルキレンオキシドの付加モル数{式(1)の2つのaの合計に対応する}は、第一級アミン1モルに対し、2~100モルの整数が好ましく、さらに好ましくは4~60、特に好ましくは6~30である。この範囲であると、界面活性能(特に、分散性)がさらに良好となる。
【0056】
炭素数1~22の第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)は、公知のアルキレンオキシド付加反応により得られる他に、市場からも入手でき、商品名として、ピュアミールシリーズ(第一級アミンのアルキレンオキシド付加体;三洋化成工業株式会社、「ピュアミール」は同社の登録商標である。)、ブラウノンシリーズ(第一級アミンのエチレンオキシド(2~40モル)付加体;青木油脂工業株式会社、「ブラウノン」は同社の登録商標である。)、ナイミーンシリーズ(第一級アミンのエチレンオキシド付加体;日油株式会社、「ナイミーン」は同社の登録商標である。)及びリポノールシリーズ(第一級アミンのエチレンオキシド(2モル等)付加体;ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社、「リポノール」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0057】
ベースポリマー(BP)と炭素数1~22の第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)とを反応において、炭素数1~22の第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)の使用量(重量%)は、ベースポリマー(BP)の重量に基づいて、5~200重量%が好ましく、さらに好ましくは7~150重量%、特に好ましくは15~120重量%である。この範囲であると、界面活性能(特に分散性及び塗膜の耐水性)がさらに良好となる。
【0058】
ベースポリマー(BP)と炭素数1~22の第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)とを反応において、炭素数1~22の第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)の使用量を過剰に用いるか、又は反応を途中で止めて、第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)を界面活性ポリマー中に残存させていてもよい。
【0059】
ベースポリマー(BP)と炭素数1~22の第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)とを反応において、酸価の測定(ASTM D3644-2006等)によりエステル化反応をモニターしてもよい。
【0060】
ベースポリマー(BP)と炭素数1~22の第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)とを反応において、反応温度は、60~180℃が好ましく、さらに好ましくは80~150℃である。
【0061】
ベースポリマー(BP)と炭素数1~22の第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(C)とを反応において、活性水素原子を含有しない反応溶媒{芳香族溶剤(トルエン及びキシレン等)、炭化水素系溶剤(ヘプテン、シクロヘキサン、及びデカリン等)、エステル溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル及び酢酸ペンチル等)、ケトン溶剤(メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等)}等が使用できる。
【0062】
本発明の界面活性ポリマーは、アミノ酸型両性界面活性剤のように挙動し、酸性水中ではカチオン界面活性剤のように作用し、塩基性水中ではアニオン界面活性剤のようにも作用し、種々の用途において優れた界面活性能を発揮する。そして、種々の用途のうち、顔料用分散剤及び調色性改良剤等として特に優れた能力を発揮する。
【0063】
本発明の顔料用分散剤及び調色性改良剤には、界面活性ポリマー以外に、添加剤(消泡剤、粘弾性調整剤、湿潤剤、造膜調整剤等)及び/又は溶剤を含有させることができる。
【0064】
消泡剤としてはSNデフォーマー399、同1311及び同1315(サンノプコ株式会社)等、粘弾性調整剤としてはSNシックナー612、同621N、同617及び同618(サンノプコ株式会社)等、湿潤剤としてはSNウエット125、同126、同366、同S、同FST2、同L、同996,同980及び同984(サンノプコ株式会社)等、造膜調整剤としてはテキサノール(イーストマンケミカル社、「テキサノール」は吉村油化学株式会社の登録商標である。)等が挙げられる。溶剤としては水、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及びポリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0065】
本発明の顔料用分散剤及び調色性改良剤は水系塗料組成物に好適であり、顔料分散剤又は調色性改良剤の含有量(重量%)は、水系塗料の重量に基づいて、0.01~10が好ましく、さらに好ましくは0.05~5である。この範囲であると、さらに優れた界面活性能(特に、分散性及び塗膜の耐水性)を発揮する。
【0066】
水系塗料としては、水系樹脂(エマルション又はディスパージョン)、顔料、水及び添加剤等を含有することが好ましい。
【0067】
水系樹脂としては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリルスチレン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びフッ素樹脂等が挙げられる。これらのうち、アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
【0068】
顔料としては、無機顔料(炭酸カルシウム、酸化チタン、サチンホワイト、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、石膏、シリカ及びフェライト等)及び有機顔料(カーボンブラック、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、イソインドリンエロー等)が挙げられる。添加剤としては、消泡剤、分散剤、レベリング剤、湿潤剤及び粘弾性調整剤等が挙げられる。
【0069】
本発明の水系塗料組成物は、水系塗料と上記の顔料用分散剤又は調色性改良剤とを混合してもよく、溶剤(上記と同じでもの等)で上記の分散剤を希釈してからこの希釈液と水系塗料とを混合してもよい。
【0070】
水系塗料と上記の顔料用分散剤を混合する場合、グラインディングステージ(混練工程)で添加してもよく、レットダウンステージ(調整工程)で添加してもよい。一方、水系塗料と上記の調色性改良剤を混合する場合、レットダウンステージ(調整工程)で添加してもよい。
【0071】
本発明の顔料用分散剤及び調色性改良剤は、水系塗料以外にも適用でき、水系顔料ペーストや水系インク等にも好適である。
【実施例0072】
以下、特記しない限り、「部」は重量部を意味する。
【0073】
<実施例1>
スチレン104部(1モル部)と無水マレイン酸98部(1モル部)とをメチルエチルケトン200部で溶解してモノマー溶液を調製し、油溶性アゾ重合開始剤(V-601、和光純薬富士フィルム株式会社)20部(8.7×10-2モル部)をメチルエチルケトン100部に溶解させ、開始剤溶液を調製した。
80℃のメチルエチルケトン478部を攪拌しながら、これにモノマー溶液及び開始剤溶液を3時間かけ滴下し、滴下終了後さらに3時間反応を継続させた。その後にメチルエチルケトンを留去して、ベースポリマー(bp1;黄褐色固体、重量平均分子量2000、酸価480mgKOH/g)を得た。
【0074】
110℃のメチルイソブチルケトン(MIBK)1000部を撹拌しながら、これにベースポリマー(bp1)100部(5×10-2モル部)を加えて溶解させた後、この溶液に第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(c1;ブラウノンL-207、ラウリルアミンエチレンオキシド7モル付加体、青木油脂工業株式会社)15部(3.2×10-2モル部)を加えて、110℃で48時間反応させた。ついで、メチルイソブチルケトンを留去して、本発明の界面活性ポリマー(1;褐色粘ちょう液体、共重合単量体からなる単位:スチレン単位50モル%、無水マレイン酸単位42.5モル%、重量平均分子量3,000、酸価444mgKOH/g)を得た。
【0075】
重量平均分子量は上記の<測定試料が非水溶性の場合>と同様に測定し、酸価はASTM D3644-2006に準拠して測定した(以下同じである。)。また、共重合体単量体からなる単位の含有量はベースポリマーの単量体組成(50:50)とベースポリマー及び界面活性ポリマーの酸価から算出した(50-2×50×(480-444)/480)=42.5)から算出した;以下同じである。)。
【0076】
<実施例2>
110℃のメチルイソブチルケトン(MIBK)1000部を攪拌しながら、これにベースポリマー(bp2;XIRANE 1000、スチレン-無水マレイン酸樹脂、重量平均分子量5000、スチレン50モル%、無水マレイン酸50モル%、酸価480mgKOH/g、POLYSCOPE社)100部(0.02モル部)を溶解させ、この溶液に第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(c2;ブラウノンS-230、ステアリルアミンエチレンオキシド30モル付加体、青木油脂工業株式会社)51部(3.2×10-2モル部)を加えて、110℃で48時間反応させた。ついで、メチルエチルケトンを留去して、本発明の界面活性ポリマー(2;褐色粘ちょう液体、共重合単量体からなる単位:スチレン単位50モル%、無水マレイン酸単位42.5モル%、重量平均分子量11,000、酸価444mgKOH/g)を得た。
【0077】
<実施例3>
「第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(c2;ブラウノンS-230、ステアリルアミンEO30モル付加物、青木油脂工業株式会社)51部(3.2×10-2モル部)」を「第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(c3;ブラウノンL-230、ラウリルアミンエチレンオキシド30モル付加体、青木油脂工業株式会社)48部(3×10-2モル部)」に変更したこと以外、実施例2と同様にして、本発明の界面活性ポリマー(3;褐色粘ちょう液体、共重合単量体からなる単位:スチレン単位50モル%、無水マレイン酸単位42.5モル%、重量平均分子量10,500、酸価444mgKOH/g)を得た。
【0078】
<実施例4>
「ベースポリマー(bp2;XIRANE 1000、スチレン-無水マレイン酸樹脂、重量平均分子量5000、スチレン50モル%、無水マレイン酸50モル%、酸価480mgKOH/g、POLYSCOPE社)100部(2×10-2モル部)」を「ベースポリマー(bp3;XIRANE 4000、スチレン-無水マレイン酸樹脂、重量平均分子量10000、スチレン80モル%、無水マレイン酸20モル%、酸価215mgKOH/g、POLYSCOPE社)100部(1×10-2モル部)」に変更したこと及び、「第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(c2;ブラウノンS-230、ステアリルアミンエチレンオキシド30モル付加体、青木油脂工業株式会社)」を「51部(3.2×10-2モル部)」から「120部(7.7×10-2モル部)」に変更したこと以外、実施例2と同様にして、本発明の界面活性ポリマー(4;褐色粘ちょう液体、共重合単量体からなる単位:スチレン単位80モル%、無水マレイン酸単位4モル%、重量平均分子量3万、酸価129mgKOH/g)を得たを得た。
【0079】
<実施例5>
「第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(c2;ブラウノンS-230、ステアリルアミンEO30モル付加物、青木油脂工業株式会社)51部(3.2×10-2モル部)」を「第一級アミンのアルキレンオキシド付加体(c4;ブラウノンL-210、ラウリルアミンエチレンオキシド10モル付加体、青木油脂工業株式会社)110部(17.6×10-2モル部)」に変更したこと以外、実施例2と同様にして、本発明の界面活性ポリマー(5;褐色粘ちょう液体、共重合単量体からなる単位:スチレン単位50モル%、無水マレイン酸単位10モル%、重量平均分子量18,000、酸価288mgKOH/g)を得た。
【0080】
<比較例>
特許文献1(特表2015-526539号公報)の0048段落の記載に基づいて、比較用のポリマー1を得た。
【0081】
本発明の界面活性ポリマー1~5及び比較用のポリマー1のそれぞれ20部と28重量%アンモニア水80部と混合して、それぞれ、評価試料を調製した。
【0082】
<評価1>耐水性
アクリルスチレンエマルション(アクロナール295DN、BASF社、濃度50重量%、「ACRONAL」はビ-エ-エスエフ アクチエンゲゼルシヤフトの登録商標である。)100部、消泡剤(SNデフォーマー399、サンノプコ株式会社)0.1部及び評価試料5部を均一混合し、ガラス板の上に6ミルアプリケータを用いて塗工した。塗工後のガラス板を40℃で3時間乾燥させた後に25℃の水中に30分間浸漬(静置)させて白化の有無を確認し、下表に示した。また、評価試料を水に変更したこと以外上記と同様にしてブランクについて評価し下表に示した。耐水性が低下すると白化する。
【0083】
【表1】
【0084】
<評価2>分散性(酸化チタン)
水30部、評価試料1部及び消泡剤(SNデフォーマー399、サンノプコ株式会社)0.1部を撹拌しながら、酸化チタン(タイペークR-820、石原産業株式会社、「タイペーク」は同社の登録商標である。)70部を徐々に添加し、添加終了からさらに5分間撹拌して、分散スラリーを調製した。ついで分散スラリーを25℃の水槽に15分間静置した後、TVB15粘度計(東機産業株式会社、25℃、60rpm)で粘度を測定した。その後、評価試料0.1部を追加し、5分間混合してから、25℃の水槽に分散スラリーを15分間静置した後、同様に粘度測定するという作業をスラリー粘度が100mPa・s以下になるまで繰り返し、消費した評価試料の合計量から添加量(評価試料の消費量×100/水及び酸化チタンの合計量;重量%)を算出し、下表に示した。この添加量が小さいほど、分散性が良好であることを意味する。
【0085】
【表2】
【0086】
<評価3>分散性(カーボンブラック)
カーボンブラック30部(MA-100、三菱ケミカル株式会社)、評価試料35部、水35部及びガラスビーズ(直径2mm)をガラス瓶に入れ、ペイントシェーカーで60分間振とうさせ、カラーペーストを作成した後、カラーペースト20部とアクリルスチレンエマルション80部(アクロナール295DN、BASF社、濃度50重量%、ビ-エ-エスエフ アクチエンゲゼルシヤフト)とを均一混合し、ガラス板の上に6ミルアプリケータを用いて塗工し、40℃で3時間乾燥させて、塗工試料を調製した。塗工試料それぞれについて、グロスメータにてグロス値(60°)を測定し、下表に示した。この値が大さいほど、分散性が良好であることを意味する。
【0087】
【表3】
【0088】
<評価4>調色性
1.エマルションベース塗料の調製
表4に記載した原料組成にて、インペラー型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザーを用いて、グラインディング及びレットダウンして、エマルションベース塗料を調製した。
【0089】
【表4】
【0090】
※1 分散剤、サンノプコ株式会社、「ノプコール」は同社の登録商標である。
※2 増粘剤、サンノプコ株式会社
※3 酸化チタン、石原産業株式会社、「タイペーク」は同社の登録商標である。
※4 アクリルエマルション、DIC株式会社、「ボンコート」は同社の登録商標である。
※5 防腐剤、サンノプコ株式会社
※6 造膜調整剤、イーストマンケミカル社、「テキサノール」は吉村油化学株式会社の登録商標である。
【0091】
2.エマルション塗料の調製
評価3と同様にしてカラーペーストを作製した後、カラーペースト5部とエマルションベース塗料95部とを均一に混合して、評価用エマルション塗料を得た。
【0092】
3.調色性評価
評価用エマルション塗料を6ミルアプリケータを用いてコート紙に塗工し、すぐに濡れた塗膜の上をポリエチレン手袋をした指にて30秒間で30回円を描くようにラビングした後、40℃で3時間乾燥させ、色差計(日本電色工業株式会社、SPECTRO COLOR METERMODEL PF-10)でラビング部と非ラビング部との色差を測定し、下表に示した。色差が小さいほど、調色性が良好であることを意味する。
【0093】
【表5】
【0094】
本発明の界面活性ポリマー(これを含有する分散剤・調色性改良剤及び水系塗料)は、比較用のポリマー(これを含有する分散剤・調色性改良剤及び水系塗料)に比べ、界面活性能(分散性、耐水性、調色性)に優れ、塗料を塗布して得られた塗膜の外観を損なうことがなかった。