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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041389
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】モータ装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20220304BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20220304BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K11/215
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146549
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正範
(72)【発明者】
【氏名】塩野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】湯本 透
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605BB05
5H605BB10
5H605DD05
5H605DD16
5H605EC02
5H605EC07
5H605EC12
5H605EC14
5H605EC20
5H611AA01
5H611BB01
5H611BB07
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR02
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】配線部材にワイヤーハーネスを用いた場合でも、当該ワイヤーハーネスの挟み込みを防止して容易に組み立てることが可能なモータ装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】センサ基板62に接続されるセンサ用ワイヤーハーネス66が、底壁部61aとセンサ基板62と支持部61cとで囲まれたカバー部材61の内側のスペース(配線収容部69)に配策され、かつ側壁部61bが、底壁部61aからリア側ハウジング23に向けて支持部61cよりも大きく突出されている。カバー部材61にセンサ基板62およびセンサ用ワイヤーハーネス66を組み付けた状態で、カバー部材61を側方から見ると、側壁部61bによりセンサ用ワイヤーハーネス66(複数の配線68)が隠される。よって、複数の配線68からなるセンサ用ワイヤーハーネス66を用いつつ、ブラシレスモータ10を容易に組み立て可能となる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、
前記ステータコアに対して回転するロータと、
を有するモータ装置であって、
前記ステータコアが内側に固定されたハウジングと、
前記ハウジングの軸方向一側を閉塞するカバー部材と、
前記ロータの軸方向一側に装着されたセンサマグネットと、
前記カバー部材の内側に設けられ、前記ロータの軸方向において前記センサマグネットと対向する磁気センサが実装されたセンサ基板と、
長手方向一側が前記センサ基板に接続され、長手方向他側が前記カバー部材の外部に引き出されたワイヤーハーネスと、を備え、
前記カバー部材は、
前記ロータの軸方向と交差する方向に広がる底壁部と、
前記底壁部から前記ハウジングに向けて突出される側壁部と、
前記底壁部から前記ハウジングに向けて突出され、前記センサ基板を支持する支持部と、を有し、
前記側壁部は、前記底壁部から前記ハウジングに向けて前記支持部よりも大きく突出されており、前記ワイヤーハーネスが、前記底壁部と前記センサ基板との間に配策されていることを特徴とする、
モータ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ装置において、
前記センサ基板の前記センサマグネット側に、前記ワイヤーハーネスの長手方向一側が接続される接続部が設けられ、前記ワイヤーハーネスが、前記センサ基板の前記底壁部側に向けて屈曲されていることを特徴とする、
モータ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のモータ装置において、
前記カバー部材の一側で、かつ前記センサ基板と前記側壁部との間に、前記ワイヤーハーネスの屈曲部が収容される第1収容部が設けられ、
前記カバー部材の他側で、かつ前記センサ基板と前記側壁部との間に、前記ワイヤーハーネスが挿通されるとともに前記カバー部材の内外を密封する密封部材が収容される第2収容部が設けられていることを特徴とする、
モータ装置。
【請求項4】
ステータを備えるステータユニットと、
前記ステータに対して回転するロータを備えるロータユニットと、
前記ロータの回転位置を検出する磁気センサが実装されたセンサ基板を備えるカバーユニットと、
を連結してなるモータ装置の製造方法であって、
前記カバーユニットは、前記ロータの軸方向と交差する方向に広がる底壁部、前記底壁部から前記ステータユニットに向けて突出される側壁部、および前記底壁部から前記ステータユニットに向けて突出されて前記センサ基板を支持する支持部を備え、かつ前記側壁部が前記ステータユニットに向けて前記支持部よりも大きく突出されたカバー部材を有しており、
前記カバーユニットが、
前記センサ基板にワイヤーハーネスを接続するワイヤーハーネス接続工程と、
前記ワイヤーハーネスを屈曲させて前記底壁部と前記センサ基板との間に前記ワイヤーハーネスを配策するワイヤーハーネス配策工程と、
前記センサ基板を前記支持部に対して締結部材で固定する基板固定工程と、
前記ワイヤーハーネスが挿通されるとともに前記カバー部材の内外を密封する密封部材を前記カバー部材に装着する密封部材装着工程と、
を経て形成されることを特徴とする、
モータ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータコアと、ステータコアに対して回転するロータと、を有するモータ装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場の生産ライン等に組み込まれるアームロボットの関節等の駆動源には、略円柱状に形成されたサーボモータ(モータ装置)が採用されている。すなわち、回転子(ロータ)の回転状態を検出する回転センサを有し、当該回転センサからの検出信号に応じてフィードバック制御されるサーボモータを採用することで、アームロボットのアームを高精度で制御することが可能となる。
【0003】
このような回転センサを備えたモータ装置の一例が、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたモータ装置は、高精度で制御する必要があるパワーステアリング装置の駆動源に用いられるもので、制御基板筒状部および蓋部(カバー部材)からなる制御基板ハウジング(ハウジング)を備えている。制御基板ハウジングの内部には、回転センサが実装された制御基板(センサ基板)が収容されており、当該制御基板は、蓋部に設けられた支持部に支持され、かつ支持部から突出された配線部材に電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-192851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、センサ基板に接続される配線部材に、複数の電線からなるワイヤーハーネスを用いる場合には、当該ワイヤーハーネスがハウジングの内部に設けられることになる。この場合、ワイヤーハーネスの長さ寸法は、モータ装置の組み立て性向上の観点から、突っ張らないように余裕を持たせた長さ寸法とされる。つまり、ハウジングの内部でワイヤーハーネスが弛むことになる。そして、モータ装置を組み立てる作業者は、ハウジングをカバー部材で閉塞する際に、ハウジングの内部のワイヤーハーネスの弛み具合を目視することができず、ひいてはワイヤーハーネスがハウジングとカバー部材との間に挟まれる可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、配線部材にワイヤーハーネスを用いた場合でも、当該ワイヤーハーネスの挟み込みを防止して容易に組み立てることが可能なモータ装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のモータ装置では、ステータコアと、前記ステータコアに対して回転するロータと、を有するモータ装置であって、前記ステータコアが内側に固定されたハウジングと、前記ハウジングの軸方向一側を閉塞するカバー部材と、前記ロータの軸方向一側に装着されたセンサマグネットと、前記カバー部材の内側に設けられ、前記ロータの軸方向において前記センサマグネットと対向する磁気センサが実装されたセンサ基板と、長手方向一側が前記センサ基板に接続され、長手方向他側が前記カバー部材の外部に引き出されたワイヤーハーネスと、を備え、前記カバー部材は、前記ロータの軸方向と交差する方向に広がる底壁部と、前記底壁部から前記ハウジングに向けて突出される側壁部と、前記底壁部から前記ハウジングに向けて突出され、前記センサ基板を支持する支持部と、を有し、前記側壁部は、前記底壁部から前記ハウジングに向けて前記支持部よりも大きく突出されており、前記ワイヤーハーネスが、前記底壁部と前記センサ基板との間に配策されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のモータ装置の製造方法では、ステータを備えるステータユニットと、前記ステータに対して回転するロータを備えるロータユニットと、前記ロータの回転位置を検出する磁気センサが実装されたセンサ基板を備えるカバーユニットと、を連結してなるモータ装置の製造方法であって、前記カバーユニットは、前記ロータの軸方向と交差する方向に広がる底壁部、前記底壁部から前記ステータユニットに向けて突出される側壁部、および前記底壁部から前記ステータユニットに向けて突出されて前記センサ基板を支持する支持部を備え、かつ前記側壁部が前記ステータユニットに向けて前記支持部よりも大きく突出されたカバー部材を有しており、前記カバーユニットが、前記センサ基板にワイヤーハーネスを接続するワイヤーハーネス接続工程と、前記ワイヤーハーネスを屈曲させて前記底壁部と前記センサ基板との間に前記ワイヤーハーネスを配策するワイヤーハーネス配策工程と、前記センサ基板を前記支持部に対して締結部材で固定する基板固定工程と、前記ワイヤーハーネスが挿通されるとともに前記カバー部材の内外を密封する密封部材を前記カバー部材に装着する密封部材装着工程と、を経て形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、センサ基板に接続されるワイヤーハーネスが、底壁部とセンサ基板と支持部とで囲まれたカバー部材の内側のスペースに配策され、かつ側壁部が、底壁部からハウジングに向けて支持部よりも大きく突出されている。
【0010】
これにより、カバー部材にセンサ基板およびワイヤーハーネスを組み付けた状態で、カバー部材を側方から見ると、側壁部によりワイヤーハーネスが隠される。つまり、ワイヤーハーネスがカバー部材の開口部分からカバー部材の外部にはみ出ることが抑えられて、モータ装置の組み立て時におけるワイヤーハーネスの挟み込みが防止される。よって、ワイヤーハーネスを用いつつも、モータ装置を容易に組み立てることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ブラシレスモータの出力軸側を示す斜視図である。
図2】ブラシレスモータのカバー部材側を示す斜視図である。
図3】ブラシレスモータの出力軸の軸方向に沿う断面図である。
図4図3の破線円A部の拡大図である。
図5】カバーユニットの内側を示す斜視図である。
図6】カバーユニットの組み立て手順を説明する分解斜視図である。
図7】ブラシレスモータの第1組み立て工程を説明する断面図である。
図8】ブラシレスモータの第2組み立て工程を説明する断面図である。
図9】ブラシレスモータの第3組み立て工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図1はブラシレスモータの出力軸側を示す斜視図を、図2はブラシレスモータのカバー部材側を示す斜視図を、図3はブラシレスモータの出力軸の軸方向に沿う断面図を、図4図3の破線円A部の拡大図を、図5はカバーユニットの内側を示す斜視図を、図6はカバーユニットの組み立て手順を説明する分解斜視図を、図7はブラシレスモータの第1組み立て工程を説明する断面図を、図8はブラシレスモータの第2組み立て工程を説明する断面図を、図9はブラシレスモータの第3組み立て工程を説明する断面図をそれぞれ示している。
【0014】
図1ないし図3に示されるブラシレスモータ(モータ装置)10は、工場の生産ライン等に設置されるアームロボットの関節等の駆動源に用いられるもので、所謂サーボモータとなっている。すなわち、ブラシレスモータ10は、コントローラ(図示せず)からの指令信号に基づいてきめ細かく制御可能となっている。ブラシレスモータ10は、ステータユニット20、ロータユニット40およびカバーユニット60を、それぞれ互いに連結して略円柱状に形成されている。
【0015】
図3および図7に示されるように、ステータユニット20は、丸鋼管を所定の長さに切断してなる筒状ハウジング21を備えている。筒状ハウジング21の径方向内側には、複数の鋼板を積層してなるステータコア22が固定されている。ここで、ステータコア22には、合計6つのティース(図示せず)が設けられ、これらのティースには、インシュレータ(絶縁部材)を介してU相,V相およびW相に対応したコイルCLが、それぞれ所定の巻き方および巻き数で巻装されている。
【0016】
また、ステータコア22の径方向外側には、合計3つのボルト挿通孔22aが設けられている(図示では1つのみを示す)。これらのボルト挿通孔22aは、ステータコア22の周方向に等間隔(120度間隔)で配置されている。そして、それぞれのボルト挿通孔22aには、リア側ハウジング23と、ステータコア22と、フロント側ハウジング42とを連結して一体化するための長尺の固定ボルトBT(雄ねじ)が挿通されている。
【0017】
筒状ハウジング21の軸方向一側(図中右側)には、リア側ハウジング23が設けられている。リア側ハウジング23は、アルミ材料等を射出成形することで有底筒状に形成され、筒状ハウジング21の軸方向一側を閉塞している。リア側ハウジング23は、環状底部23aと、当該環状底部23aの径方向外側から筒状ハウジング21に向けて突出された外側筒部23bと、環状底部23aの径方向内側から筒状ハウジング21に向けて突出された内側筒部23cと、を備えている。
【0018】
外側筒部23bには、合計3つのボルト穴23dが設けられている(図示では1つのみを示す)。これらのボルト穴23dには、固定ボルトBTがねじ結合されるようになっている。つまり、ボルト穴23dは、雌ねじとなっている。なお、合計3つのボルト穴23dは、外側筒部23bの周方向に等間隔(120度間隔)で配置されている。
【0019】
また、外側筒部23bには、1つの配線引き出し穴23eが設けられている。配線引き出し穴23eは、隣り合うボルト穴23dの丁度真ん中に配置され、配線引き出し穴23eからは、ゴムシール24を介してU相,V相,W相のコイルCLに対応した合計3本の電源線25(図示では2本のみを示す)が引き出されている。そして、これらの電源線25はそれぞれ束ねられて電源用ワイヤーハーネス26を形成しており、電源用ワイヤーハーネス26には、外部電源(図示せず)からの駆動電流が供給されるようになっている。これにより、それぞれのコイルCLに対して所定のタイミングで駆動電流が供給され、ひいてはロータユニット40を形成するロータ41が、所定の回転方向および所定の回転速度で回転される。
【0020】
内側筒部23cの径方向内側には、出力軸41aの基端側が回転自在に配置されている。内側筒部23cの軸方向他側(図中左側)には、内側筒部23cの内壁から径方向外側に窪んだ軸受固定部23fが設けられている。そして、軸受固定部23fには、第1ボールベアリングBB1の外輪が圧入により強固に固定され、かつ内側筒部23cの軸方向から第1ボールベアリングBB1の外輪が突き当てられている。つまり、軸受固定部23fは、第1ボールベアリングBB1をリア側ハウジング23の軸方向に対して位置決めする機能を有している。ここで、第1ボールベアリングBB1の内輪は、出力軸41aの基端側に対して、当該出力軸41aの軸方向に移動自在に装着されている。
【0021】
また、内側筒部23cの径方向内側で、かつ内側筒部23cの軸方向一側(図中右側)には、出力軸41aの基端部に装着されたマグネットホルダMHが、内側筒部23cに対して非接触の状態で回転自在に配置されている。ここで、マグネットホルダMHは、プラスチック等の樹脂材料により略円筒形状に形成されており、出力軸41aの基端部が圧入により強固に固定されている。そして、マグネットホルダMHのセンサ基板62側には、略円板形状に形成されたセンサマグネットSMが、接着剤等(図示せず)により固定されている。すなわち、センサマグネットSMは、ロータ41の軸方向一側に装着されている。
【0022】
外側筒部23bと内側筒部23cとの間には、環状収容部23gが形成されている。環状収容部23gには、プリント基板(PCB)からなるバスバーユニットBUが収容されている。バスバーユニットBUには、電源用ワイヤーハーネス26を形成する3本の電源線25がそれぞれ電気的に接続されている。また、バスバーユニットBUには、U相,V相およびW相に対応したコイルCL(合計6つ)がそれぞれ電気的に接続されている。これにより、それぞれの電源線25からそれぞれのコイルCLに対して、所定のタイミングで駆動電流が供給される。つまり、バスバーユニットBUは、電源用ワイヤーハーネス26から供給される駆動電流を、それぞれU相,V相およびW相に対応したコイルCLに分配する機能を有している。
【0023】
ここで、図7に示されるように、ステータユニット20は、筒状ハウジング21と、ステータコア22と、コイルCLと、リア側ハウジング23と、第1ボールベアリングBB1と、ゴムシール24と、電源用ワイヤーハーネス26と、バスバーユニットBUと、から構成されている。
【0024】
図3および図7に示されるように、ロータユニット40は、ステータコア22に対して回転するロータ41を備えている。ロータ41は、丸鋼棒を切削加工等することで段付き形状に形成されている。ロータ41は、小径の出力軸41aと、出力軸41aよりも大径のロータ本体41bとを備えている。そして、出力軸41aの基端側(図中右側)には、第1ボールベアリングBB1の内輪が、出力軸41aの軸方向に移動自在に装着されている。一方、出力軸41aの先端側(図中左側)には、第2ボールベアリングBB2の内輪が、出力軸41aの軸方向に移動自在に装着されている。なお、第2ボールベアリングBB2の方が、第1ボールベアリングBB1よりも大型となっている。これは、出力軸41aの駆動対象物に近い方、つまり出力軸41aの軸方向他側に、比較的大きな応力が作用するためである。
【0025】
また、出力軸41aの軸方向における第1ボールベアリングBB1と第2ボールベアリングBB2との間に、略筒状に形成されたロータ本体41bが配置されている。ここで、出力軸41aおよびロータ本体41bは互いに一体となっているが、図示においては両者の境界部分に一点鎖線を施している。そして、ロータ本体41bの外周部分(表面)には、円筒マグネット(永久磁石)41cが接着剤等(図示せず)により固定されている。なお、円筒マグネット41cの周方向には、複数の磁極(例えば4極)が交互に並んで着磁されている。
【0026】
ここで、本実施の形態のブラシレスモータ10では、ロータ本体41bの表面に円筒マグネット41cを装着したSPM(Surface Permanent Magnet)構造を採用している。しかしながら、SPM構造のブラシレスモータに限らず、ロータ本体41bの内部に複数のマグネット(図示せず)を埋め込んだIPM(Interior Permanent Magnet)構造を採用することもできる。
【0027】
さらに、出力軸41aの先端部分には、図1に示されるようにキー溝41dが形成されている。これにより、アームロボットのアーム連結部等の駆動対象物に対して、出力軸41aを空転しないように、かつ容易に取り付け可能となっている。
【0028】
また、出力軸41aの先端側に装着された第2ボールベアリングBB2の外輪は、一対のゴム製のOリングORを介して、フロント側ハウジング42の固定穴42aに装着されている。これにより、第2ボールベアリングBB2がフロント側ハウジング42に対して弾性支持され、第2ボールベアリングBB2のクリープ現象(かじり等の損傷が生じる現象)を防止している。また、第2ボールベアリングBB2の外輪は、出力軸41aの軸方向からウェーブワッシャWWで弾性支持されている。これにより、第2ボールベアリングBB2は出力軸41aの軸方向から押圧されて、出力軸41aが図3中左側の引き抜き方向にずれてしまうことが防止される。
【0029】
このように、第1ボールベアリングBB1の外輪を軸受固定部23fに固定し、かつ第2ボールベアリングBB2の外輪をOリングORを介して固定穴42aに固定している。すなわち、第1,第2ボールベアリングBB1,BB2のいずれも、内輪および外輪の双方を圧入等で固定することをしていない。このようにすることで、第1,第2ボールベアリングBB1,BB2の双方をスムーズに動作可能としている。
【0030】
フロント側ハウジング42は、筒状ハウジング21の軸方向他側を閉塞しており、アルミ材料等を射出成形することで肉厚の略円板状に形成されている。そして、フロント側ハウジング42の固定穴42aには、第2ボールベアリングBB2を介して出力軸41aの先端側が回転自在に配置されている。
【0031】
また、フロント側ハウジング42の径方向外側には、合計3つのボルト穴42bが設けられている(図示では1つのみを示す)。これらのボルト穴42bは、フロント側ハウジング42の周方向に等間隔(120度間隔)で配置されている。そして、それぞれのボルト穴42bには、固定ボルトBTが挿通されている。
【0032】
さらに、フロント側ハウジング42の径方向外側で、かつ隣り合うボルト穴42bの間には、合計3つのねじ穴(雌ねじ)42cが設けられている(図示では1つのみを示す)。これらのねじ穴42cは、フロント側ハウジング42の周方向に等間隔(120度間隔)で配置されている。そして、それぞれのねじ穴42cには、蓋部材LDを固定するための固定ねじ(雄ねじ)S1がねじ結合されるようになっている。
【0033】
また、フロント側ハウジング42の軸方向他側(図中左側)には、略円弧形状に形成された合計3つの円弧状凸部42dが設けられている。これらの円弧状凸部42dは、フロント側ハウジング42の軸方向他側に所定の高さで突出され、かつフロント側ハウジング42の周方向に等間隔(120度間隔)で配置されている。そして、これらの隣り合う円弧状凸部42dの間には、それぞれ切り欠き42eが設けられている。これらの円弧状凸部42dおよび切り欠き42eは、例えば、ブラシレスモータ10を組み立てる際に利用される。
【0034】
さらに、フロント側ハウジング42の円弧状凸部42dおよび切り欠き42eの近傍には、合計4つのフランジ部42f(図1および図2参照)が設けられている。これらのフランジ部42fには、ブラシレスモータ10を駆動対象物に固定するための固定ボルト(図示せず)が挿通されるようになっている。これにより、出力軸41aの軸心と駆動対象物の軸心とを、互いに精度良く一致させることが可能となっている。
【0035】
ここで、図7に示されるように、ロータユニット40は、ロータ41と、円筒マグネット41cと、第2ボールベアリングBB2と、フロント側ハウジング42と、から構成されている。なお、筒状ハウジング21と、リア側ハウジング23と、フロント側ハウジング42とは、本発明におけるハウジングを構成している。
【0036】
また、フロント側ハウジング42の軸方向他側に装着される蓋部材LDは、鋼板をプレス加工等して略円板状に形成されており、合計3つの固定ねじS1(図示では1つのみを示す)によりフロント側ハウジング42に固定される。そして、蓋部材LDは、第2ボールベアリングBB2との間において、ウェーブワッシャWWを初期荷重が与えられた状態で弾性支持している。また、蓋部材LDは、ブラシレスモータ10の内部への埃等の進入を抑制する機能を有している。
【0037】
図3ないし図6に示されるように、カバーユニット60は、アルミ材料等を射出成形することで略お椀状に形成されたカバー部材61を備えている。カバー部材61は、リア側ハウジング23の軸方向一側を閉塞するものであって、ロータ41の軸方向と交差する方向に広がる底壁部61aを有している。底壁部61aは略円板状に形成されており、その径方向外側の部分には、底壁部61aの周囲を囲うようにして側壁部61bが一体に設けられている。具体的には、側壁部61bは、底壁部61aからリア側ハウジング23に向けて、すなわちロータ41の軸方向他側(図5および図6中手前側)に向けて、高さ寸法Hで突出されている。
【0038】
また、底壁部61aの側壁部61b寄りの部分には、合計3つの支持部61cが設けられている。これらの支持部61cは、底壁部61aに分散して配置され、かつ底壁部61aからリア側ハウジング23に向けて、すなわちロータ41の軸方向他側に向けて突出されている。そして、それぞれの支持部61cは、センサ基板62を支持するようになっている(図3および図4参照)。つまり、センサ基板62は、それぞれの支持部61cによって安定的に三点支持されており、これによりセンサ基板62は、がたつくこと無くカバー部材61に固定される。
【0039】
ここで、支持部61cの底壁部61aからの高さ寸法hは、側壁部61bの高さ寸法Hよりも小さい高さ寸法となっている(h<H)。具体的には、支持部61cの高さ寸法hは、側壁部61bの高さ寸法Hの略1/3となっている。すなわち、側壁部61bは、リア側ハウジング23に向けて、すなわちロータ41の軸方向に向けて、支持部61cよりも大きく突出されており、これによりカバー部材61を側方から見たときに、センサ基板62は側壁部61bによって隠される。
【0040】
そして、それぞれの支持部61cには雌ねじ部61dが形成されており、それぞれの雌ねじ部61dには、センサ基板62をカバー部材61に固定するための雄ねじ(締結部材)S2がねじ結合するようになっている。
【0041】
カバー部材61の内部、つまり底壁部61aおよび側壁部61bの内側には、プリント基板(PCB)からなるセンサ基板62が収容されている。センサ基板62は合計3つの雄ねじS2によりそれぞれの支持部61cに固定されている。これにより、図4に示されるように、センサ基板62は、カバー部材61の内側に底壁部61aと平行になるように設けられている。
【0042】
センサ基板62のセンサマグネットSM側(図5および図6中手前側)には、第1面(表面)SF1が設けられており、当該第1面SF1の略中央部には、磁気センサ63が実装されている。具体的には、本実施の形態では、磁気センサ63はホールセンサとなっている。そして、図4に示されるように、磁気センサ63は、ロータ41の軸方向においてセンサマグネットSMと微小隙間を介して対向しており、センサマグネットSMの回転に伴う磁束の変化を検出するようになっている。つまり、磁気センサ63は、ロータ41の回転位置を検出するようになっている。
【0043】
また、図5および図6に示されるように、センサ基板62の第1面SF1には、第1コネクタ接続部64および第2コネクタ接続部65が実装されている。そして、第1コネクタ接続部64には、センサ用ワイヤーハーネス66の一端部に設けられたコネクタ67が接続されている。つまり、センサ用ワイヤーハーネス66の長手方向一側は、センサ基板62に電気的に接続されている。ここで、第1コネクタ接続部64は、本発明における接続部を構成しており、センサ用ワイヤーハーネス66は、本発明におけるワイヤーハーネスを構成している。
【0044】
センサ用ワイヤーハーネス66は、複数の配線68を束ねて形成され、センサ用ワイヤーハーネス66の長手方向他側(他端側)は、カバー部材61の外部に引き出されて、アームロボットを統括的に制御するコントローラ(図示せず)に電気的に接続されている。これにより、磁気センサ63が検出した検出信号がコントローラに送られて、コントローラは、ロータ41(図3参照)の回転位置を把握しつつ、ロータ41の回転状態をフィードバック制御可能となっている。よって、ロータ41をきめ細かく制御して、高精度でアームロボットのアームを制御することができる。なお、第2コネクタ接続部65には、センサ基板62を駆動するための電流(微小電流)を供給するための基板駆動用ワイヤーハーネスのコネクタ(図示せず)が電気的に接続されるようになっている。
【0045】
さらに、センサ基板62の底壁部61a側には、図4に示されるように、第2面(裏面)SF2が設けられている。そして、第1面SF1の磁気センサ63が実装された部分を除く他の部分、および第2面SF2には、磁気センサ63の検出信号を増幅したりする他の電子部品EPが実装されている。
【0046】
そして、センサ基板62の第2面SF2とカバー部材61の底壁部61aとの間には、支持部61cの高さ寸法hと等しい深さ寸法(幅寸法)の配線収容部69が形成されている。配線収容部69は、底壁部61aとセンサ基板62と支持部61cとで囲まれたスペースであり、当該配線収容部69には、カバーユニット60を組み立てた状態において、センサ用ワイヤーハーネス66を形成する複数の配線68が収容されている(図5の破線部分も参照)。つまり、複数の配線68は、センサ基板62の第1面SF1側から、センサ基板62の第2面SF2側に向けて屈曲されている。
【0047】
また、図6に示されるように、側壁部61bの先端側の部分には、合計3つのねじ挿通孔61eが設けられている。これらのねじ挿通孔61eは、側壁部61bの周方向に等間隔(120度間隔)で配置されており、それぞれのねじ挿通孔61eには、カバーユニット60をステータユニット20に固定するための締結ねじS3(図3および図9参照)が挿通されるようになっている。なお、締結ねじS3は、リア側ハウジング23の軸方向一側に設けられたねじ孔(雌ねじ)23h(図3および図9参照)にねじ結合される。ここで、リア側ハウジング23に設けられるねじ孔23hにおいても、リア側ハウジング23の周方向に等間隔(120度間隔)で合計3つ設けられている。
【0048】
さらに、図6に示されるように、側壁部61bの周方向に沿う一部分には、切り欠き部61fが設けられている。切り欠き部61fは、側壁部61bの先端側から底壁部61aに向けて窪んでおり、略U字形状に形成されている。そして、切り欠き部61fには、センサ用ワイヤーハーネス66が挿通されるグロメット(密封部材)GMが嵌るようにして装着される。より具体的には、グロメットGMは、カバーユニット60をステータユニット20に固定した状態において、カバー部材61とリア側ハウジング23との間に挟持される。これにより、密閉性が向上して、カバー部材61の内部に埃等が進入することが効果的に抑えられる。
【0049】
また、図5に示されるように、カバーユニット60を組み立てた状態において、カバー部材61の一側(図5中左側)で、かつセンサ基板62と側壁部61bとの間には、センサ用ワイヤーハーネス66を形成する複数の配線68の屈曲部68aが収容される第1収容部70が形成されている。これにより、コネクタ67を介して第1コネクタ接続部64に接続された複数の配線68を、鋭角で無理に屈曲させること無く緩やかに屈曲させることができ、かつセンサ基板62の底壁部61a側、つまり配線収容部69(図4参照)に配策可能となっている。
【0050】
さらに、図5に示されるように、カバーユニット60を組み立てた状態において、カバー部材61の他側(図5中右側)で、かつセンサ基板62と側壁部61bとの間には、センサ用ワイヤーハーネス66が挿通されるとともにカバー部材61の内外を密封するグロメットGMの一部が収容される第2収容部71が形成されている。これにより、カバー部材61の内部への埃等の進入を抑えつつ、複数の配線68を突っ張らないように余裕を持たせて配策可能となっている。
【0051】
より具体的には、複数の配線68は、第1収容部70の部分,配線収容部69(図4参照)の部分および第2収容部71の部分を介して、カバー部材61の外部に引き出されている。また、カバー部材61(カバーユニット60)を側方から見たときに、複数の配線68は側壁部61bによって隠されている。したがって、カバーユニット60をステータユニット20に固定する際に、複数の配線68を目視しなくても、これらの配線68をカバー部材61とリア側ハウジング23との間に挟むようなことが確実に防止される。
【0052】
次に、以上のように形成されたブラシレスモータ10の組み立て手順(製造方法)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0053】
ブラシレスモータ10は、ステータユニット20、ロータユニット40およびカバーユニット60を、それぞれ同軸上で互いに連結して形成されるが、ステータユニット20、ロータユニット40およびカバーユニット60は、それぞれ別の製造工程を経て組み立てられる。
【0054】
以下、ステータユニット20およびロータユニット40の組み立て手順については、その説明を省略し、本発明の主要部分であるカバーユニット60の組み立て手順について詳細に説明する。
【0055】
[ワイヤーハーネス接続工程]
図6に示されるように、まず、カバーユニット60を形成する部品としての、カバー部材61、センサ基板62およびセンサ用ワイヤーハーネス66と、合計3つの雄ねじS2とを準備する。
【0056】
次いで、図6の太線矢印M1に示されるように、センサ用ワイヤーハーネス66のコネクタ67を、センサ基板62に実装された第1コネクタ接続部64に差し込んで接続する。これにより、第1面SF1側において、センサ用ワイヤーハーネス66がセンサ基板62に電気的に接続されて、[ワイヤーハーネス接続工程]が終了する。
【0057】
[ワイヤーハーネス配策工程]
次に、センサ用ワイヤーハーネス66の長手方向に沿うコネクタ67側の複数の配線68を、鋭角とならないように緩やかに屈曲させて、屈曲部68a(図5参照)を形成する。そして、屈曲部68aを形成した状態において、複数の配線68をセンサ基板62の第2面SF2に沿わせるようにする。
【0058】
その後、複数の配線68が底壁部61aとセンサ基板62との間に配策されるように、図6の太線矢印M2に示されるように、センサ基板62を合計3つの支持部61cに向けて移動させる。これにより、底壁部61aとセンサ基板62との間の配線収容部69に、センサ用ワイヤーハーネス66を形成する複数の配線68が配策される。また、側壁部61bとセンサ基板62との間の第1収容部70に、緩やかに屈曲された屈曲部68aが配置される。
【0059】
なお、このとき作業者は、複数の配線68を目視することが可能となっている。したがって、複数の配線68がセンサ基板62と支持部61cとの間に挟まれるようなことを未然に防ぐことができる。これにより、[ワイヤーハーネス配策工程]が終了する。
【0060】
[基板固定工程]
次いで、図6の太線矢印M3に示されるように、合計3つの雄ねじS2を、センサ基板62の穴HLにそれぞれ通して、支持部61cの雌ねじ部61dにそれぞれねじ結合させる。これにより、センサ基板62が雄ねじS2によりカバー部材61の支持部61cに固定されて、[基板固定工程]が終了する。
【0061】
[密封部材装着工程]
その後、図6の太線矢印M4に示されるように、センサ用ワイヤーハーネス66に装着されたグロメットGMを、側壁部61bの切り欠き部61fに装着する。このとき、グロメットGMは、若干弾性変形された状態で切り欠き部61fに装着される。したがって、グロメットGMが切り欠き部61fから容易に脱落することは無い。これにより、グロメットGMがカバー部材61に装着されて、[密封部材装着工程]が終了する。
【0062】
このように、カバーユニット60は、[ワイヤーハーネス接続工程],[ワイヤーハーネス配策工程],[基板固定工程]および[密封部材装着工程]の4工程を経て、最終的に完成する。
【0063】
次に、それぞれ別の製造工程を経て組み立てられたステータユニット20、ロータユニット40およびカバーユニット60の組み付け作業、つまりブラシレスモータ10の組み立て作業について、図面を用いて詳細に説明する。
【0064】
[第1組み立て工程]
まず、図7に示されるように、互いの軸心を合わせた状態において、ステータユニット20に対してロータユニット40を臨ませる。具体的には、ロータユニット40の軸方向におけるキー溝41d側とは反対側を、ステータユニット20の軸方向他側(図中左側)の開口部分に臨ませる。
【0065】
そして、図7の太線矢印M5に示されるように、ロータ41を形成する出力軸41aの基端側を、軸受固定部23fに固定された第1ボールベアリングBB1の内輪に差し込むようにする。このとき、ロータ本体41bに固定された円筒マグネット41cと、ステータコア22の内周部分とを、ぶつけないようにする。そして、フロント側ハウジング42を筒状ハウジング21の軸方向他側に装着する。
【0066】
これにより、ステータユニット20に対するロータユニット40の組み付けが完了し、[第1組み立て工程]が終了する。
【0067】
[第2組み立て工程]
次に、図8に示されるように、ロータユニット40をステータユニット20に固定する固定作業を行う。具体的には、合計3つの固定ボルトBTを準備するとともに、それぞれの固定ボルトBTを、図8の太線矢印M6に示されるように、フロント側ハウジング42のボルト穴42bおよびステータコア22のボルト挿通孔22aに差し込む。そして、それぞれの固定ボルトBTを所定の締め付けトルクで締め付けて、リア側ハウジング23のボルト穴23dにねじ結合させる。
【0068】
次いで、センサマグネットSMが固定されたマグネットホルダMHを準備する。そして、図8の太線矢印M7に示されるように、マグネットホルダMHを出力軸41aの基端部に臨ませて、マグネットホルダMHを出力軸41aの基端部に圧入により固定する。このとき、マグネットホルダMHの先端部分を、第1ボールベアリングBB1の内輪に突き当てるようにする。これにより、マグネットホルダMHが、内側筒部23cの径方向内側に回転自在に配置され、かつセンサマグネットSMが、出力軸41aの軸方向に高精度で位置決めされる。
【0069】
これにより、ステータユニット20に対するロータユニット40の固定、およびマグネットホルダMHの出力軸41aへの固定が完了し、[第2組み立て工程]が終了する。
【0070】
[第3組み立て工程]
次いで、図9に示されるように、蓋部材LDおよび鋼製のウェーブワッシャWWを準備するとともに、合計3つの固定ねじS1を準備する。そして、図9の太線矢印M8に示されるように、出力軸41aの軸方向他側からウェーブワッシャWWおよび蓋部材LDをこの順番で臨ませて、ウェーブワッシャWWを第2ボールベアリングBB2の外輪に突き当てつつ、蓋部材LDをフロント側ハウジング42に突き当てる。その後、図9の太線矢印M9に示されるように、それぞれの固定ねじS1を、蓋部材LDの孔HEにそれぞれ通して、フロント側ハウジング42のねじ穴42cにそれぞれねじ結合させる。
【0071】
また、カバーユニット60をリア側ハウジング23に固定するための合計3つの締結ねじS3を準備する。そして、図9の太線矢印M10に示されるように、出力軸41aの軸方向一側(図中右側)から、カバーユニット60を臨ませて、当該カバーユニット60をリア側ハウジング23に被せるようにして突き当てる。このとき、リア側ハウジング23のねじ孔23hと、カバー部材61のねじ挿通孔61eとを、出力軸41aの軸方向から互いに突き合わせるようにする。
【0072】
ここで、カバーユニット60をリア側ハウジング23に固定する際に、複数の配線68は、カバー部材61を側方から見たときに側壁部61bによって隠されている。そのため、作業者は、これらの配線68の具合を目視したり気を遣ったりすることをせずに、容易に組み立て可能となっている。
【0073】
その後、図9の太線矢印M11に示されるように、それぞれの締結ねじS3を、カバー部材61のねじ挿通孔61eにそれぞれ通して、リア側ハウジング23のねじ孔23hにそれぞれねじ結合させる。
【0074】
これにより、フロント側ハウジング42に対する蓋部材LDの固定、およびリア側ハウジング23に対するカバーユニット60の固定が完了し、[第3組み立て工程]が終了する。よって、最終的にブラシレスモータ10が完成する。
【0075】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、センサ基板62に接続されるセンサ用ワイヤーハーネス66が、底壁部61aとセンサ基板62と支持部61cとで囲まれたカバー部材61の内側のスペース(配線収容部69)に配策され、かつ側壁部61bが、底壁部61aからリア側ハウジング23に向けて支持部61cよりも大きく突出されている。
【0076】
これにより、カバー部材61にセンサ基板62およびセンサ用ワイヤーハーネス66を組み付けた状態で、カバー部材61を側方から見ると、側壁部61bによりセンサ用ワイヤーハーネス66(複数の配線68)が隠される。つまり、センサ用ワイヤーハーネス66がカバー部材61の開口部分からカバー部材61の外部にはみ出ることが抑えられて、ブラシレスモータ10の組み立て時におけるセンサ用ワイヤーハーネス66の挟み込みが防止される。よって、複数の配線68からなるセンサ用ワイヤーハーネス66を用いつつも、ブラシレスモータ10を容易に組み立てることが可能となる。
【0077】
また、本実施の形態によれば、センサ基板62のセンサマグネットSM側に、センサ用ワイヤーハーネス66の長手方向一側が接続される第1コネクタ接続部64が設けられ、センサ用ワイヤーハーネス66を形成する複数の配線68が、センサ基板62の底壁部61a側に向けて屈曲されている。
【0078】
これにより、第1コネクタ接続部64に接続された複数の配線68を、鋭角で無理に屈曲させること無く緩やかに屈曲させることができ、ひいてはセンサ用ワイヤーハーネス66を損傷等から確実に保護することができる。
【0079】
さらに、本実施の形態によれば、カバー部材61の一側(図5中左側)で、かつセンサ基板62と側壁部61bとの間に、センサ用ワイヤーハーネス66(複数の配線68)の屈曲部68aが収容される第1収容部70が設けられ、カバー部材61の他側(図5中右側)で、かつセンサ基板62と側壁部61bとの間に、センサ用ワイヤーハーネス66が挿通されるとともにカバー部材61の内外を密封するグロメットGMの一部が収容される第2収容部71が設けられている。
【0080】
これによっても、第1コネクタ接続部64に接続された複数の配線68を、鋭角で無理に屈曲させること無く緩やかに屈曲させつつ、センサ基板62の底壁部61a側、つまり配線収容部69(図4参照)に配策することができる。また、カバー部材61の内部への埃等の進入を抑えつつ、カバー部材61の内部で複数の配線68を突っ張らないように余裕を持たせて配策することができる。
【0081】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、ブラシレスモータ10を、アームロボットの関節等の駆動源に用いた場合を示したが、本発明はこれに限らず、小型の自動二輪車等の駆動源やパワーステアリング装置の駆動源等、他の車載機器等の駆動源にも適用することができる。
【0082】
その他、上記実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0083】
10:ブラシレスモータ(モータ装置),20:ステータユニット,21:筒状ハウジング(ハウジング),22:ステータコア,22a:ボルト挿通孔,23:リア側ハウジング(ハウジング),23a:環状底部,23b:外側筒部,23c:内側筒部,23d:ボルト穴,23e:配線引き出し穴,23f:軸受固定部,23g:環状収容部,23h:ねじ孔,24:ゴムシール,25:電源線,26:電源用ワイヤーハーネス,40:ロータユニット,41:ロータ,41a:出力軸,41b:ロータ本体,41c:円筒マグネット,41d:キー溝,42:フロント側ハウジング(ハウジング),42a:固定穴,42b:ボルト穴,42c:ねじ穴,42d:円弧状凸部,42e:切り欠き,42f:フランジ部,60:カバーユニット,61:カバー部材,61a:底壁部,61b:側壁部,61c:支持部,61d:雌ねじ部,61e:ねじ挿通孔,61f:切り欠き部,62:センサ基板,63:磁気センサ,64:第1コネクタ接続部(接続部),65:第2コネクタ接続部,66:センサ用ワイヤーハーネス(ワイヤーハーネス),67:コネクタ,68:配線,68a:屈曲部,69:配線収容部,70:第1収容部,71:第2収容部,BB1:第1ボールベアリング,BB2:第2ボールベアリング,BT:固定ボルト,BU:バスバーユニット,CL:コイル,EP:電子部品,GM:グロメット(密封部材),HE:孔,HL:穴,LD:蓋部材,MH:マグネットホルダ,OR:Oリング,S1:固定ねじ,S2:雄ねじ(締結部材),S3:締結ねじ,SF1:第1面,SF2:第2面,SM:センサマグネット,WW:ウェーブワッシャ
図1
図2
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図7
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