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特開2022-41408接続部材、開渠ブロックの接続構造及び水抜き弁の取付方法
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  • 特開-接続部材、開渠ブロックの接続構造及び水抜き弁の取付方法 図1
  • 特開-接続部材、開渠ブロックの接続構造及び水抜き弁の取付方法 図2
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  • 特開-接続部材、開渠ブロックの接続構造及び水抜き弁の取付方法 図17
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041408
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】接続部材、開渠ブロックの接続構造及び水抜き弁の取付方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/02 20060101AFI20220304BHJP
   E02B 13/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
E02B5/02 J
E02B5/02 Z
E02B13/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146577
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】520335440
【氏名又は名称】株式会社ダイチテック
(71)【出願人】
【識別番号】591003541
【氏名又は名称】中部美化企業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501047173
【氏名又は名称】株式会社ライテク
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山谷 広樹
(72)【発明者】
【氏名】鍵和田 順
(72)【発明者】
【氏名】高木 勇二
(72)【発明者】
【氏名】北島 幹士
(57)【要約】
【課題】開渠ブロックを傷つけることなく、簡易な治具と作業により水路の外周部に溜まった水を水路内に流入させる開渠ブロックの接続部材、開渠ブロックの接続構造及び水抜き弁の取付方法を提供することを課題とする。
【解決手段】隣接する開渠ブロック2を接続する接続部材3であって、弾性変形可能な止水目地部材17と、水抜き弁24と、止水目地部材17に水抜き弁24を取り付ける弁取付具34と、を有し、止水目地部材17は開渠ブロック2に当接するブロック当接部19Aを有し、水抜き弁24を取り付けた弁取付具34はブロック当接部19Aに取り付けられ、水抜き弁24により開渠ブロック2の外周部に貯留した水Wを開渠ブロック2の内側に流入可能な構成を有する。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する開渠ブロックを接続する接続部材であって、
弾性変形可能な止水目地部材と、
水抜き弁と、
前記止水目地部材に前記水抜き弁を取り付ける弁取付具と、を有し、
前記止水目地部材は前記開渠ブロックに当接するブロック当接部を有し、
前記水抜き弁を取り付けた前記弁取付具は前記ブロック当接部に取り付けられ、
前記水抜き弁により前記開渠ブロックの外周部に貯留した水を前記開渠ブロックの内側に流入可能な構成を有することを特徴とする接続部材。
【請求項2】
前記弁取付具は、前記水抜き弁が取り付けられるソケットと、固定プレートと、を有し、
前記ソケットには雌螺子部を有する螺合受部が形成され、
前記固定プレートは、板状に形成されたプレート本体と、円筒状の螺合部と、を有し、
前記プレート本体には、水が流動可能な流動孔が形成され、
前記流動孔は前記螺合部の内部と連続し、
前記螺合部の外面には雄螺子部が形成され、
前記止水目地部材には前記螺合部を挿通する取付孔が形成され、
前記取付孔に前記螺合部を挿通し、前記雌螺子部と前記雄螺子部が螺合することにより、前記止水目地部材に前記弁取付具が取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の接続部材。
【請求項3】
前記ブロック当接部は、前記ソケットと前記プレート本体により挟持され、
前記プレート本体は前記開渠ブロックと前記ブロック当接部との間に配設され、
前記プレート本体が前記ブロック当接部に当接し、前記流動孔が前記開渠ブロックにより閉塞されており、前記止水目地部材が前記開渠ブロックの外周部に貯留した水の水圧を受けて前記開渠ブロックの内側方向に弾性変形することで前記プレート本体が前記ブロック当接部から離れ、前記流動孔が開口する構成を有することを特徴とする請求項2に記載の接続部材。
【請求項4】
並列した複数の開渠ブロックと、
隣接する前記開渠ブロックを接続する弾性変形可能な止水目地部材と、
水抜き弁と、
前記止水目地部材に前記水抜き弁を取り付ける弁取付具と、を有し、
隣接する前記開渠ブロックの間には隙間が形成され、
前記止水目地部材を隣接する前記開渠ブロックに架設することにより前記隙間が前記止水目地部材により被覆され、
前記止水目地部材は前記開渠ブロックに当接するブロック当接部を有し、
前記水抜き弁を取り付けた前記弁取付具は前記ブロック当接部に取り付けられ、
前記水抜き弁により前記開渠ブロックの外周部に貯留した水を前記開渠ブロックの内側に流入可能な構成を有することを特徴とする開渠ブロックの接続構造。
【請求項5】
並列した複数の開渠ブロックを接続するため隣接する前記開渠ブロックに架設された弾性変形可能な止水目地部材に、弁取付具により水抜き弁を取り付ける取付方法であって、
前記弁取付具は、雌螺子部が形成されたソケットと、雄螺子部が形成され円筒状の螺合受部と板状に形成されたプレート本体を有する固定プレートと、を有し、
前記水抜き弁を前記ソケットに取り付ける工程と、
前記止水目地部材の一部を前記開渠ブロックから取り外す工程と、
取り外した前記止水目地部材に取付孔を形成する工程と、
前記取付孔に前記螺合部を挿通し、前記螺合部に前記螺合受部を螺合することで、前記止水目地部材に前記弁取付具を取り付ける工程と、
取り外した前記止水目地部材を前記開渠ブロックに再度取り付ける工程と、を有することを特徴とする水抜き弁の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水路を形成する複数の開渠ブロックを接続する接続部材と、当該接続部材を使用した開渠ブロックの接続構造と、当該接続部材の備える水抜き弁の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水路を形成する複数の開渠ブロックを並設し、隣接する開渠ブロックを止水ゴムで連結すると共に、隣接する開渠ブロック間の隙間を止水ゴムでシーリングする開渠ブロックの連結構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載された開渠ブロックの連結構造では、隣接する開渠ブロック間の止水性を止水ゴムにより確保し、水路内の水が隣接する開渠ブロック間の隙間から水路外に漏出することを防止している。そのため、水路を地中に埋設した場合、地中の水が隣接する開渠ブロック間の隙間から水路内に流入することも防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-193547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された開渠ブロックの連結構造を用いて、水路を地中に埋設した場合に、雪解け水や雨水が水路の外周部に溜まると、水圧により水路が浮き上がってしまうという問題があった。
【0006】
このような場合に、止水ゴムを上側から一部取り外して、隣接する開渠ブロック間の隙間から水路の外周部に溜まった水を水路内に流入させ、水路の外周部の水による水圧を低下させて水路の浮き上がりを防止することは可能であるが、水路の外周部に水が溜まる度に止水ゴムの着脱作業を行うことは、非常に煩雑である。
【0007】
また、開渠ブロックの側面等にコア抜きにより入水用孔を穿設し、水路の外周部に溜まった水を水路内に流入させる構造とすることも可能であるが、入水用孔を穿設することで開渠ブロックの強度や品質の低下を招き、使用できる期間(寿命)が短くなる虞があった。また、コア抜き作業の前段階として、開渠ブロック内の鉄筋探査作業が必要であり、鉄筋探査をしたとしてもコア抜き作業時に鉄筋を切断する虞があった。さらに、実際のコア抜き作業にはコア抜き機械が必要であるという問題もあった。また、入水用孔の水路内側部分に逆止弁を取り付けると共に、入水用孔の水路外側部分に土砂流入防止フィルターを取り付ける必要があるが、この土砂流入防止フィルターを取り付けるためには、水路の外側の地面を入水用孔の深さまで掘削する必要があり、取り付け作業が非常に煩雑であった。また、土砂流入防止フィルターは数年で目詰まりを起こし、水路の外周部に溜まった水を水路内に流入させることができなくなってしまうという問題もあった。
【0008】
そこで、本発明は開渠ブロックを傷つけることなく、簡易な治具と作業により水路の外周部に溜まった水を水路内に流入させる開渠ブロックの接続部材、開渠ブロックの接続構造及び水抜き弁の取付方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る接続部材は、隣接する開渠ブロックを接続する接続部材であって、弾性変形可能な止水目地部材と、水抜き弁と、前記止水目地部材に前記水抜き弁を取り付ける弁取付具と、を有し、前記止水目地部材は前記開渠ブロックに当接するブロック当接部を有し、前記水抜き弁を取り付けた前記弁取付具は前記ブロック当接部に取り付けられ、前記水抜き弁により前記開渠ブロックの外周部に貯留した水を前記開渠ブロックの内側に流入可能な構成を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る接続部材は、前記弁取付具は、前記水抜き弁が取り付けられるソケットと、固定プレートと、を有し、前記ソケットには雌螺子部を有する螺合受部が形成され、前記固定プレートは、板状に形成されたプレート本体と、円筒状の螺合部と、を有し、前記プレート本体には、水が流動可能な流動孔が形成され、前記流動孔は前記螺合部の内部と連続し、前記螺合部の外面には雄螺子部が形成され、前記止水目地部材には前記螺合部を挿通する取付孔が形成され、前記取付孔に前記螺合部を挿通し、前記雌螺子部と前記雄螺子部が螺合することにより、前記止水目地部材に前記弁取付具が取り付けられる場合がある。
【0011】
本発明に係る接続部材は、前記ブロック当接部は、前記ソケットと前記プレート本体により挟持され、前記プレート本体は前記開渠ブロックと前記ブロック当接部との間に配設され、前記プレート本体が前記ブロック当接部に当接し、前記流動孔が前記開渠ブロックにより閉塞されており、前記止水目地部材が前記開渠ブロックの外周部に貯留した水の水圧を受けて前記開渠ブロックの内側方向に弾性変形することで前記プレート本体が前記ブロック当接部から離れ、前記流動孔が開口する構成を有する場合がある。
【0012】
本発明に係る開渠ブロックの接続構造は、並列した複数の開渠ブロックと、隣接する前記開渠ブロックを接続する弾性変形可能な止水目地部材と、水抜き弁と、前記止水目地部材に前記水抜き弁を取り付ける弁取付具と、を有し、隣接する前記開渠ブロックの間には隙間が形成され、前記止水目地部材を隣接する前記開渠ブロックに架設することにより前記隙間が前記止水目地部材により被覆され、前記止水目地部材は前記開渠ブロックに当接するブロック当接部を有し、前記水抜き弁を取り付けた前記弁取付具は前記ブロック当接部に取り付けられ、前記水抜き弁により前記開渠ブロックの外周部に貯留した水を前記開渠ブロックも内側に流入可能な構成を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る水抜き弁の取付方法は、並列した複数の開渠ブロックを接続するため隣接する前記開渠ブロックに架設された弾性変形可能な止水目地部材に、弁取付具により水抜き弁を取り付ける取付方法であって、前記弁取付具は、雌螺子部が形成されたソケットと、雄螺子部が形成され円筒状の螺合受部と板状に形成されたプレート本体を有する固定プレートと、を有し、前記水抜き弁を前記ソケットに取り付ける工程と、前記止水目地部材の一部を前記開渠ブロックから取り外す工程と、取り外した前記止水目地部材に取付孔を形成する工程と、前記取付孔に前記螺合部を挿通し、前記螺合部に前記螺合受部を螺合することで、前記止水目地部材に前記弁取付具を取り付ける工程と、取り外した前記止水目地部材を前記開渠ブロックに再度取り付ける工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、開渠ブロックを傷つけることなく、簡易な治具と作業により取り付け可能な水抜き弁を備える開渠ブロックの接続部材を提供することができる。また、水路の外周部に溜まった水を水路内に流入させることが可能な当該接続部材による開渠ブロックの接続構造を提供することができる。さらに、新設、既設を問わずに水抜き弁を取り付け可能な水抜き弁の取付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1を示す水路の斜視図である。
図2】同、開渠ブロックの斜視図である。
図3】同、止水目地部材の斜視図である。
図4】同、弁体の平面図である。
図5】同、弁体の底面図である。
図6】同、弁体の側面図である。
図7】同、ソケットの平面図である。
図8】同、ソケットの底面図である。
図9】同、ソケットの側面図である。
図10】同、固定プレートの平面図である。
図11】同、固定プレートの底面図である。
図12】同、固定プレートの側面図である。
図13】同、止水シートの斜視図である。
図14】同、弁体とソケットの平面図である。
図15】同、接続部材の要部縦断面図である。
図16】同、接続部材の要部底面図である。
図17】同、水路を設置した状態の縦断面図である。
図18】同、水路内に水が流入している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について、添付の図1図18を参照して説明する。以下に説明する実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例0017】
図1に示す本実施例の開渠ブロックの接続構造1は、複数の開渠ブロック2を並設し、隣接する開渠ブロック2間の隙間S1を接続部材3により水密に止水することで、隣接する開渠ブロック2を接続して水路4を形成するものである。この水路4は、例えば、ほ場整備における幹線用水路等として使用するものである。
【0018】
図2及び図17に示すように、開渠ブロック2は、鉄筋コンクリート製であって、底部5と、底部5の両辺部から立設した側壁部6A,6Bを有し、略凹状に形成されている。開渠ブロック2の内面は、略水平となるように配置される底面部7と、底面部7の短手方向両側に傾斜して配置されるハンチ面部8A,8Bと、ハンチ面部8A,8Bから略垂直となるように配置される側面部9A,9Bと、を有する。開渠ブロック2の外面は、底部5の外面である下面部10と、側壁部6A,6Bの外面であり、下面部10から略垂直に配置される縦面部11A,11Bと、側壁部6A,6Bの上面である上面部12A,12Bと、開渠ブロック2の長手方向の端面である端面部13A,13Bと、を有する。開渠ブロック2の長手方向の両端側内面には、接続部材3を配設する浅溝部14A,14Bと、後述する接続部材3の係止部21A,21Bを圧入する細溝状の細溝部15A,15Bが形成されている。細溝部15A,15Bには、拡幅した係止受部16A,16Bが形成されている。浅溝部14A,14Bと、細溝部15A,15Bと、係止受部16A,16Bは、底面部7とハンチ面部8A,8Bと側面部9A,9Bに連続して形成されている。
【0019】
接続部材3は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等の弾性部材により形成された止水目地部材17を有している。図3に示すように、止水目地部材17は、左右対称形状を有し、U溝部18と、U溝部18から短手方向両側に延設されたブロック当接部19A,19Bと、ブロック当接部19A,19Bの下面20A,20Bから突設された一対の係止部21A,21Bと、を有する。係止部21A,21Bには、一部幅広となった抜止部22A,22Bが形成されている。U溝部18と、ブロック当接部19A,19Bと、係止部21A,21Bと、抜止部22A,22Bは、止水目地部材17の長手方向の全長に亘って連続して形成されている。
【0020】
ブロック当接部19A,19Bには、後述する水抜き弁24を取り付けるための取付孔23が形成されている。取付孔23は、ブロック当接部19Aを貫通する円形状の孔である。なお、本実施例では、取付孔23は一方のブロック当接部19Aにのみ形成され、他方のブロック当接部19Bには形成されておらず、止水目地部材17全体で一箇所であるが、ロック当接部19Bにのみ形成してもよく、また、複数形成してもよい。また、取付孔23は止水目地部材17の成型時に形成してもよく、開渠ブロックの接続構造1の施工現場で穿設してもよい。取付孔23を穿設する場合には、穴あけポンチ等の治具(図示せず)を使用すればよい。
【0021】
図4図6に示すように、水抜き弁24は、円筒形状を有する弁座25と、弁体26と、弁体26を弁座25に固定する固定ビス27と、座金28と、を有する。弁座25は、外径及び内径が上側から下側に向かって僅かに縮径している。また、弁座25の内部には、弁体26を取り付ける弁取付部29が設けられている。弁取付部29には、3つの水抜き孔30A,30B,30Cが形成されている。弁体26は、止水目地部材17と同様にエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等の弾性部材により略円板状に形成されており、弁取付部29に固定される固定部31と、水抜き孔30A,30B,30Cを開閉する開閉部32と、を有している。固定部31と開閉部32との境界部分には、V字状の折曲溝33が形成されており、この折曲溝33で弁体26が折り曲がり易くなっている。弁体26は、折曲溝33が形成された面が上側となるように弁座25内に配設され、固定ビス27により固定部31と座金28が弁取付部29に固定されている。座金28は、略矩形板状に形成されており、折曲溝33で弁体26が折れ曲がるのを阻害しないように、長辺28Aが折曲溝33に沿うように配置されている。弁体26は、折れ曲がっていない状態のときに水抜き孔30A,30B,30Cを閉塞し、折曲溝33で折れ曲がっているときに水抜き孔30A,30B,30Cを開口する。図15に示すように、弁取付部29は傾斜して形成されており、弁体26を取り付けた状態で開閉部32側が固定部31側よりも僅かに高くなっている。
【0022】
水抜き弁24は、弁取付具34により止水目地部材17に着脱自在に取り付けられる。図7図12に示すように、弁取付具34は、ソケット35と、固定プレート36と、を有する。図7図9に示すように、ソケット35は円筒形状を有する本体部37と、本体部37の内側に形成された円筒形状の螺合受部38と、本体部37と螺合受部38とを接続する接続板部39と、を有する。本体部37は、内径が上側から下側に向かって僅かに縮径している。螺合受部38の内面には雌螺子部40が形成されている。接続板部39には、3つの貫通孔41A,41B,41Cが形成されている。図14及び図15に示すように、水抜き弁24は、ソケット35の内側に圧入することにより弁取付具34に取り付ける。
【0023】
図10図12に示すように、固定プレート36は、角丸長方形状のプレート本体42と、プレート本体42の上面43から立設された円筒形状の螺合部44と、を有する。プレート本体42には水Wが流動する流動孔45が形成されており、この流動孔45を囲むように螺合部44が形成されている。螺合部44の最下部には、第1段部46が形成されており、第1段部46の上側には、第1段部46よりも小径の第2段部47が形成されている。第2段部47の上側であって螺合部44の外面には、雄螺子部48が形成されている。第1段部46の高さH1は、後述する止水シート49の厚さD1(図13参照)と略同一に形成されている。また、第2段部47の高さH2は、止水目地部材17のブロック当接部19A,19Bの厚さD2(図3参照)と略同一に形成されている。プレート本体42の短手方向の幅M1は、U溝部18と係止部21Aの間の長さL1(図16参照)よりも短く形成されている。円筒状に形成された螺合部44の内部は、水Wが流動する流路Rとして機能する。プレート本体42に形成された流動孔45は、流路Rに連続しているため、流動孔45から水Wが流入し、流路R内を流動する。
【0024】
水抜き弁24を弁取付具34により止水目地部材17に取り付ける際は、ブロック当接部19Aとプレート本体42と間に水漏れ防止用の止水シート49を配設する。図13に示すように、止水シート49は、止水目地部材17と同様にエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等の弾性部材により形成されている。また、止水シート49は、平面視において角丸矩形状に形成されており、固定プレート36のプレート本体42と平面視略同形状となっている。止水シート49の中心部には、固定プレート36の螺合部44を挿通する円形の挿通孔50が形成されている。本実施例の止水シート49の短手方向の幅M2は、U溝部18と係止部21Aの間の長さL1(図16参照)よりも短く形成されている。そのため、プレート本体42と止水シート49をU溝部18と係止部21Aの間に配置し易くなっているが、止水シート49は、螺合部44を挿通した状態で止水目地部材17の取付孔23から水Wが漏れることを防止することができれば、他の形状としてもよい。
【0025】
本実施例では、止水目地部材17、水抜き弁24、弁取付具34、止水シート49により接続部材3が構成される。
【0026】
ここで、開渠ブロックの接続構造1の施工方法について説明する。先ず、止水シート49の挿通孔50に固定プレート36の螺合部44を挿通する。次に、螺合部44を止水目地部材17の取付孔23に挿通し、固定プレート36をブロック当接部19Aの下面20A側に取り付ける。このとき、図16に示すように、U溝部18及び係止部21Aの長手方向と、固定プレート36と止水シート49の長手方向の向きを合わせ、プレート本体42と止水シート49がU溝部18と係止部21Aの間に配置されるようにする。次に、固定プレート36の雄螺子部48と、予め水抜き弁24を本体部37に嵌合したソケット35の雌螺子部40を螺合する。このとき、ソケット35の本体部37の下端部51を止水目地部材17のブロック当接部19Aの上面52Aに当接させる。これにより接続部材3が完成する。
【0027】
次に、所定の隙間S1を設けて並列させた2つの開渠ブロック2に止水目地部材17を架設することにより接続部材3を取り付ける。このとき、接続部材3の一方の係止部21Aを一方の開渠ブロック2の細溝部15Aに圧入して係止し、他方の係止部21Bを隣接する他方の開渠ブロック2の細溝部15Bに圧入して係止する。そして、抜止部22Aが係止受部16Aに圧入されて係止し、抜止部22Bが係止受部16Bに圧入されて係止することで、接続部材3を開渠ブロック2に強固に取り付けることができる。なお、係止部21A,21Bを細溝部15A,15Bに圧入する際は、ブロック当接部19A,19Bの上面52A,52Bをハンマー(図示せず)等により叩くことで、係止部21A,21Bを細溝部15A,15Bに確実に圧入することができる。また、一方のブロック当接部19Aの下面20Aを一方の開渠ブロック2の浅溝部14Aに当接させ、他方のブロック当接部19Bの下面20Bを他方の開渠ブロック2の浅溝部14Bに当接させる。さらに、U溝部18を隣接する開渠ブロック2間の隙間S1に配置する。このとき、固定プレート36のプレート本体42の下面53が浅溝部14Aに当接し、流動孔45が閉塞される。これにより、隣接する開渠ブロック2を接続部材3により接続することができる。
【0028】
図17に示すように、開渠ブロック2の接続構造1を施工した水路4は、地面を掘削して形成した溝54内に配設され、側壁部6A,6Bの上面部12A,12Bが地表面Gと略面一となるように地中に埋設される。また、開渠ブロック2の下方には、基礎部としてのベースコンクリート55が埋設されている。開渠ブロック2は、ベースコンクリート55に載置された支持部材56A,56Bの上に載置される。なお、水路4は、開渠ブロック2の底部5と、側壁部6A,6Bの一部が地中に埋設された状態、すなわち、側壁部6A,6Bの上面部12A,12Bが地表面Gよりも高くなるように埋設してもよく、また、側壁部6A,6Bの上面部12A,12Bが地表面Gよりも低くなるように埋設してもよい。
【0029】
上記の施工方法は、開渠ブロックの接続構造1を新設するものであるが、以下、水抜き弁24が設けられておらず、止水目地部材17のみが設けられた既設の水路4に水抜き弁24を取り付ける方法について説明する。なお、既設の止水目地部材17には取付孔23が形成されていない。
【0030】
先ず、開渠ブロック2の細溝部15A,15Bと止水目地部材17の係止部21A,21Bとの係止を一部解除し、水抜き弁24を取り付ける位置まで止水目地部材17を開渠ブロック2から剥がす。次に、止水目地部材17の水抜き弁24を取り付ける位置のブロック当接部19Aに取付孔23を形成する。その後は、上記の新設の場合と同様に、弁取付具34により水抜き弁24を止水目地部材17に取り付ける。最後に、剥がした止水目地部材17の一部を再度開渠ブロック2に係止させる。
【0031】
本実施例のように、水抜き弁24は、開渠ブロック2の外周部に溜まった水Wを効率良く排水するため、ブロック当接部19Aのうち、開渠ブロック2の下側部分であるハンチ面部8Aの浅溝部14Aを被覆する部分に取り付けるのが好ましいが、それ以外の所望の位置に取り付けてもよい。水抜き弁24を上側に取り付ければ、水路4内を流動する水Wの水位が高い場合であっても水路4内に水Wを流入させることができ、水抜き弁24を下側に取り付ければ、水路4の外周部に貯留した水Wをより多く水路4内に流入させることができる。なお、ブロック当接部19Aのうち、側壁部6A,6Bやハンチ面部8A,8Bに対向する位置に取り付ける場合には、弁体26の固定部31が上側、開閉部32が下側となるようにするのが好ましい。
【0032】
次に、開渠ブロック2の周囲に貯留した水Wが水抜き弁24により水路4内に導入される作用について説明する。水路4を地中に埋設した場合に、雪解け水や雨水等、多量の水Wが水路4の外周部の地中に浸み込むと、水路4の外周部や隣接する開渠ブロック2間の隙間S1や、開渠ブロック2とベースコンクリート55との間の隙間S2に水が溜まる(図17参照)。図18に示すように、開渠ブロック2の間の隙間S1に貯留した水Wの水圧により止水目地部材17が押圧され、水路4の内側方向に弾性変形することで、プレート本体42が浅溝部14Aから離れ、流動孔45が開口することで、隙間S1に貯留していた水Wが固定プレート36の流動孔45と流路R内を流動する(図15の白抜き矢印Yの示す流れ)。水Wが弁体26に到達すると、弁体26は水Wに押圧され、折曲溝33で折れ曲がり、水抜き孔30A、30B、30Cが開口し、水Wが水抜き孔30A、30B、30Cから水路4内に流入する。
【0033】
以上のように、本実施例の接続部材3は、隣接する開渠ブロック2を接続する接続部材3であって、弾性変形可能な止水目地部材17と、水抜き弁24と、止水目地部材17に水抜き弁24を取り付ける弁取付具34と、を有し、止水目地部材17は開渠ブロック2に当接するブロック当接部19Aを有し、水抜き弁24を取り付けた弁取付具34はブロック当接部19Aに取り付けられ、水抜き弁24により開渠ブロック2の外周部に貯留した水Wを開渠ブロック2内に流入可能な構成を有することにより、地面に浸み込んだ雪解け水や雨水などの水Wが水路4の外周部に溜まり、水Wの水圧が高くなった場合に止水目地部材17が弾性変形し、水抜き弁24から水Wを水路4内に流入させることで、地面に埋設した開渠ブロック2が、水Wの水圧により浮き上がることを防止できる。
【0034】
また、本実施例の接続部材3は、弁取付具34が、水抜き弁24が取り付けられるソケット35と、固定プレート36と、を有し、ソケット35には雌螺子部40を有する螺合受部38が形成され、固定プレート36は、板状に形成されたプレート本体42と、円筒状の螺合部44と、を有し、プレート本体42には、水がW流動可能な流動孔45が形成され、流動孔45は螺合部44の内部と連続し、螺合部44の外面には雄螺子部48が形成され、止水目地部材17には螺合部44を挿通する取付孔23が形成され、取付孔23に螺合部44を挿通し、雌螺子部40と雄螺子部48が螺合することにより、止水目地部材17に弁取付具34が取り付けられることにより、止水目地部材17に対し弁取付具34が着脱自在であり、止水目地部材17に水抜き弁24を容易に取り付けることができる。そして、固定プレート36に形成された流動孔45と流路Rの内部に水Wを流動させることで、水抜き弁24から水Wを水路4内に流入させることができる。
【0035】
また、本実施例の接続部材3は、ブロック当接部19Aは、ソケット35とプレート本体42により挟持され、プレート本体42は開渠ブロック2とブロック当接部19Aとの間に配設され、プレート本体42がブロック当接部19Aに当接し、流動孔45が開渠ブロック2により閉塞されており、止水目地部材17が開渠ブロック2の外周部に貯留した水Wの水圧を受けて開渠ブロック2の内側方向に弾性変形することでプレート本体42がブロック当接部19Aから離れ、流動孔45が開口する構成を有することにより、止水目地部材17が開渠ブロック2の外周部に貯留した水Wの水圧を受けて開渠ブロック2の内側方向に弾性変形することで水Wを流動孔45と流路Rの内部に流入させることができる。
【0036】
また、本実施例の開渠ブロックの接続構造1は、並列した複数の開渠ブロック2と、隣接する開渠ブロック2を接続する弾性変形可能な止水目地部材17と、水抜き弁24と、止水目地部材17に水抜き弁24を取り付ける弁取付具34と、を有し、隣接する開渠ブロック2の間には隙間S1が形成され、止水目地部材17を隣接する開渠ブロック2に架設することにより隙間S1が止水目地部材17により被覆され、止水目地部材17は開渠ブロック2に当接するブロック当接部19Aを有し、水抜き弁24を取り付けた弁取付具34はブロック当接部19Aに取り付けられ、水抜き弁24により開渠ブロック2の外周部に貯留した水Wを開渠ブロック2内に流入可能な構成を有することにより、並列した複数の開渠ブロック2を止水目地部材17により連結し水路4を形成することができる。また、地面に浸み込んだ雪解け水や雨水などの水Wが水路4の外周部に溜まり、水Wの水圧が高くなった場合に止水目地部材17が弾性変形し、水抜き弁24から水Wを水路4内に流入させることで、地面に埋設した開渠ブロック2が、水Wの水圧により浮き上がることを防止できる。
【0037】
また、本実施例の水抜き弁24の取付方法は、並列した複数の開渠ブロック2を接続するため隣接する開渠ブロック2に架設された弾性変形可能な止水目地部材17に、弁取付具34により水抜き弁24を取り付ける取付方法であって、弁取付具34は、雌螺子部40が形成されたソケット35と、雄螺子部48が形成され円筒状の螺合受部38と板状に形成されたプレート本体42を有する固定プレート36と、を有し、水抜き弁24をソケット35に取り付ける工程と、止水目地部材17の一部を開渠ブロック2から取り外す工程と、取り外した止水目地部材17に取付孔23を形成する工程と、取付孔23に螺合部44を挿通し、螺合部44に螺合受部38を螺合することで、止水目地部材17に弁取付具24を取り付ける工程と、取り外した止水目地部材17を開渠ブロック2に再度取り付ける工程と、を有することにより、簡易な治具と作業により水抜き弁24を止水目地部材17に容易に取り付けることができる。
【0038】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば、開渠ブロック2の細溝部15A,15Bと、止水目地部材17の係止部21A,21Bの形状は、止水目地部材17を開渠ブロック2に確実に係止することができる形状であれば、他の形状としてもよい。また、開渠ブロック2は、止水目地部材17で接続することができるものであれば、他の形状としてもよい。
【符号の説明】
【0039】
2 開渠ブロック
3 接続部材
17 止水目地部材
19A ブロック当接部
23 取付孔
24 水抜き弁
34 弁取付具
35 ソケット
36 固定プレート
38 螺合受部
40 雌螺子部
42 プレート本体
44 螺合部
45 流動孔
48 雄螺子部
19A ブロック当接部
S1 隙間
W 水
図1
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