(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041478
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】積層シート
(51)【国際特許分類】
B32B 5/26 20060101AFI20220304BHJP
D04H 1/4374 20120101ALI20220304BHJP
A47L 13/16 20060101ALI20220304BHJP
A47L 13/20 20060101ALI20220304BHJP
A47K 7/00 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B32B5/26
D04H1/4374
A47L13/16 A
A47L13/20 Z
A47K7/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146698
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】508047738
【氏名又は名称】新和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000615
【氏名又は名称】特許業務法人 Vesta国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安野 民雄
【テーマコード(参考)】
3B074
4F100
4L047
【Fターム(参考)】
3B074AA08
3B074AB01
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100DC13A
4F100DC13C
4F100DG15A
4F100DG15B
4F100DG15C
4F100GB71
4F100JA13
4F100JK08A
4F100JK08B
4F100JK08C
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4L047CA02
4L047CA05
4L047CA10
4L047CB01
4L047CC16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らず、使用時に嵩高くでき、更に、使用後も減容でき嵩張り難い積層シートの提供。
【解決手段】積層シートとしてのクリーニングシート1Aは、スリット11が複数形成されたスリット不織布層10S
1,10S
2と、スリット不織布層10S
1,10S
2に重ね合わせて接合固定され、スリット11の長さ方向に対する直角方向でスリット不織布層10S
1,10S
2の最大伸びを制限する、貫通孔を有しないベース不織布層20Aとを具備し、スリット不織布層10S
1,10S
2は、スリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加えられたときに、スリット11がその長さ方向に対する直角方向に拡開し、拡開したスリット11の周囲がスリット不織布層10S
1,10S
2の面方向に対して垂直方向に立ち上がるものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリットが複数形成されたスリット不織布層と、
前記スリット不織布層に重ね合わせて接合固定され、前記スリット不織布層の前記スリットの長さ方向に対する直角方向の最大伸びを制限するベース不織布層と
を具備し、
前記スリット不織布層は、前記スリットの長さ方向に対する直角方向の引っ張り力を加えることにより、前記スリットがその長さ方向に対する直角方向に拡開し、当該拡開したスリットの周囲が前記スリット不織布層の面方向に対して垂直方向に立ち上がることを特徴とする請求項1に記載の積層シート。
【請求項2】
前記スリット不織布層は、前記複数のスリットが、前記スリット不織布層のMD方向に沿って延び、互いに間隔を空けて直列状、及び、前記MD方向に対して直角なCD方向に並列状に形成され、前記スリットが直列状に配するスリット列では、前記スリットの長さをLaとし、また、前記スリットの長さ方向の前記スリット相互間の間隔長さをLbとしたとき、La>Lbであり、前記スリットが並列状に隣り合う前記スリット列相互では、一方の前記スリット列のスリットの長さの1/2位置が、その隣に並列する他方の前記スリット列の前記スリットの長さ方向の前記スリット相互間の間隔長さ位置に対応する配列であり、前記スリットの長さ方向に対する直角方向の引っ張り力により、前記複数のスリットがその長さ方向に対する直角方向に拡開して網目を形成すると共に、前記複数の拡開したスリットの網状の周囲が前記スリット不織布層の面方向に対して垂直方向に立ち上がることを特徴とする請求項1に記載の積層シート。
【請求項3】
前記スリット不織布層の直列状、及び、並列状に形成された複数のスリットは、前記MD方向の両端部に位置するものを除き、スリット長を同一とし、また、前記スリット列の前記スリットの長さ方向の前記スリット相互の間隔長さを同一とし、更に、前記並列するスリット列相互の前記スリットの長さ方向に対する直角方向の間隔も同一としたことを特徴とする請求項2に記載の積層シート。
【請求項4】
前記スリット不織布層の前記並列状に隣り合う前記スリット列相互では、一方の前記スリット列のスリットの長さの1/2位置が、その隣に並列する他方の前記スリット列の前記スリットの長さ方向のスリット相互間の長さの1/2位置に対応していることを特徴とする請求項3に記載の積層シート。
【請求項5】
前記スリット不織布層は、前記ベース不織布層の表裏の両面側に配設し、前記ベース不織布層は、貫通孔を有しないものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の積層シート。
【請求項6】
前記スリット不織布層は、前記ベース不織布層の表裏の両面側に配設し、前記ベース不織布層も、複数のスリットが形成されたものであり、前記引っ張り力により、前記ベース不織布層のスリットもその長さ方向に対する直角方向に拡開し、当該拡開したスリットの周囲が前記ベース不織布層の面方向に対して垂直方向に立ち上がることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の積層シート。
【請求項7】
前記ベース不織布層は、そこに形成された前記複数のスリットが、前記ベース不織布層のMD方向に沿って延び、互いに間隔を空けて直列状、及び、前記MD方向に対して直角なCD方向に並列状に形成され、前記スリットが直列状に配するスリット列では、前記スリットの長さをLcとし、また、前記スリットの長さ方向の前記スリット相互間の間隔長さをLdとしたとき、Lc>Ldであり、前記スリットが並列状に隣り合う前記スリット列相互では、一方の前記スリット列のスリットの長さの1/2位置が、その隣に並列する他方の前記スリット列の前記スリットの長さ方向の前記スリット相互間の間隔長さ位置に対応する配列であり、前記スリットの長さ方向に対する直角方向の引っ張り力により、前記複数のスリットがその長さ方向に対する直角方向に拡開して網目を形成すると共に、前記複数の拡開したスリットの網状の周囲が前記ベース不織布層の面方向に対して垂直方向に立ち上がることを特徴とする請求項6に記載の積層シート。
【請求項8】
前記ベース不織布層は、貫通孔を有しないものであり、前記スリット不織布層の表裏の両面側に配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の積層シート。
【請求項9】
前記スリット不織布層と前記ベース不織布層は、JIS L 1913(2010)に準拠した測定で、前記スリット不織布層のCD方向の伸び率と前記ベース不織布層のCD方向の伸び率の比率が、前記スリット不織布層の伸び率/前記ベース不織布層の伸び率=1.02~2.5の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の積層シート。
【請求項10】
前記ベース不織布層は、JIS L 1913(2010)に準拠した測定で、そのCD方向の伸び率が70%~170%の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1つに記載の積層シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、清掃部とその清掃部に連結された棒状の把手とを具備するモップ状の掃除用具の清掃部に装着して、床等を清掃するまたは床等の保護、手入れを行うクリーニングシート等の積層シートに関するものであり、特に、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らず、清掃時等の使用時に嵩高くして使用し、また、使用後の廃棄時にも嵩張らなくできる積層シートに関するものである。この積層シートは、クリーニングシートに限らず、ウエットティッシュ、お手拭き、体拭き、化粧落とし等としても使用できる。
【背景技術】
【0002】
モップ状の掃除用具に装着されて使用される清掃具として、例えば、床上の埃、塵、毛髪、固形ゴミ、しみ汚れ、付着液体等の異物の除去や、床の保護、つや出し等の床の手入れに用いられるクリーニングシート(ワイパーとも呼ばれる)が知られている。
このようなクリーニングシートでは、床上の埃、髪の毛、固形ゴミ等の異物の捕捉効果を高めるため、従来、例えば、不織布をエンボス加工して凹凸を形成することにより、或いは、水流絡合等で不織布に凹凸を形成することにより、嵩高くすることが行われている。
【0003】
しかしながら、従来のエンボス加工や水流絡合による凹凸付与等により嵩高加工した不織布は、輸送時や保管時等に嵩張り、輸送や保管等に大きな容積、場所を占めることから、不経済で、流通コストが高くなるという問題がある。圧縮梱包により容積を抑えることも可能であるが、圧縮梱包すると、嵩が潰れやすく、清掃に使用する使用時には嵩高性が損なわれているという問題が新たに生じる。更に、廃棄時においても、嵩張るとスペースをとることから輸送や処理コストが不経済となる。更に、嵩張ることはコスト的に不経済であるばかりか、輸送や保管の物流過程、また、廃棄処理過程で無駄なエネルギーを投じることになるため、環境にも負荷をかけることになる。
【0004】
ここで、毛髪や塵芥等のゴミの捕捉効率を向上する技術として、特許文献1が提案されている。この特許文献1は、矩形状の外側シート部と該外側シート部と同一形状の内側シート部とを重ねた清掃用シートであって、前記外側シート部、内側シート部において、スリット状の切込部と該切込部の端部間を接続する接続部とを交互に直線状に配置した多数列の切込列を平行に配置し、前記切込部の側方に縁片部を介して隣接する前記切込列の前記接続部を配置すると共に、前記接続部の側方に前記縁片部を介して隣接する前記切込列の前記切込部が位置するように配置し、前記外側シート部と前記内側シート部を前記外側シート部、前記内側シート部を前記切込列に対し直交方向に伸長することにより、前記外側シート部、前記内側シート部の前記切込部を拡開して開口部とすると共に、前記縁片部を立ち上げて前記開口部内に空間を形成する清掃用シートを開示している。
【0005】
この特許文献1では、伸長時にスリットの両縁の縁片部が立体的な構造の開口部となり、毛髪や塵芥等のゴミを捕捉し易くすると共に、被清掃面に対して多数の開口部を形成し、捕捉したゴミは再度、開口部から落下することが少ないという技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1には、嵩張りの問題を追及するものがなく、そこに使用前後で可逆的に体積を変化させるという技術思想は存在していない。即ち、特許文献1の清掃用シートでは、スリット状の切込部を設けた外側シート部とスリット状の切込部の内側シート部を単に貼り合わせてなるものであるから、使用によって縁辺部が伸び切り、使用後のシートは、縁片部が立ち上がり切込部が大きく拡開した開口状態で破棄されることになる。
【0008】
そこで、本発明は、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らず、使用時に嵩高くでき、更に、使用後も減容でき嵩張り難いクリーニングシート等の積層シートの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の積層シートは、スリットが複数形成されたスリット不織布層と、前記スリット不織布層の前記スリットの長さ方向に対する直角方向の最大伸びを制限するベース不織布層との2層以上が重ね合わせられて接合固定されたものであり、前記スリット不織布層は、前記スリットの長さ方向に対する直角方向の引っ張り力を加えることにより、前記複数のスリットがその長さ方向に対する直角方向に拡開し、前記複数の拡開したスリットの周囲が前記スリット不織布層の面方向に対して垂直方向に立ち上がるものである。
【0010】
ここで、上記不織布とは、化学繊維、ガラス繊維、金属繊維、天然繊維等を織らずに、化学的或いは物理的方法によって結合する布地であり、例えば、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布、SMMS不織布、ケミカルボンド不織布、エアスルー不織布、エアレイド不織布、ポイントボンド不織布、ニードルパンチ不織布等が使用でき、用途、目的、使用場所、所望とする特性等に応じて選択される。不織布を形成する繊維は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリブチレンテレフタレート(PTT)、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等のポリエステル系繊維、ポリスチレン繊維、ナイロン繊維等のポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維等のポリアクリルニトリル系繊維、ポリ塩化ビニル繊維等の合成繊維や、パルプ繊維や、レーヨン繊維等の再生セルロース繊維、アセテート繊維等の半合成セルロース繊維等のセルロース系繊維である植物性繊維が使用される。複合繊維を用いてもよく、用途、目的、使用場所、所望とする特性等に応じて選択される。
【0011】
上記スリット不織布層は、複数のスリットを有し、前記スリットの長さ方向に対する直角方向の引っ張り力を加えたときに、前記複数のスリットがその長さ方向に対する直角方向に拡開し、前記複数の拡開したスリットの周囲がシートの面方向に対して垂直方向、即ち、シートの厚み方向に立ち上がるものであり、所定方向の引っ張り力により前記複数のスリットが拡開しその周囲が起立することで立体化し嵩高くなるものである。
【0012】
上記スリットとしては、不織布のMD方向に沿って延び、所定の間隔を空けて直列状、及び、MD方向に対して直角なCD方向に平行状、千鳥状、または格子状に配列であってもよいし、不織布のMD方向に対しそれを横断する斜めに形成してもよい。また、スリットの形状は、線条が好ましいが、所定方向の引っ張り力でスリットが拡開しその周囲が起立すれば、V字形状、十字形状、T字形状、Y字形状、H字形状、C字形状、V字形状、S字形状等の所定形状であってもよい。
なお、上記MD方向とは、不織布製造の機械方向(搬送方向)を意味し、上記CD方向は、MD方向に対して直角方向の幅方向を意味する。
【0013】
上記ベース不織布層は、前記スリット不織布層と重ね合わせられ接合固定されているものであり、前記スリット不織布層よりも前記引っ張り力が加わえられる方向の伸びが小さく、前記スリット不織布層の最大伸びを制限するものである。
ここで、上記ベース不織布層による前記スリット不織布層の最大伸びを制限とは、前記スリット不織布層の弾性限界を超える伸びを制限することを意味する。
また、上記スリット不織布層とベース不織布層の接合固定は、例えば、超音波溶着、熱溶着(熱融着)、接着剤等による接着等によって互いに固定されることを意味し、それらの周囲端部または中間部で部分的に接合されるものである。
好ましくは、ベース不織布層は、そのMD方向を前記スリット不織布層のMD方向を一致させて重ね合わせることで、引っ張り力によりベース不織布層にかかる負荷を少なくでき、破れ難いものとなる。
【0014】
そして、上記積層シートは、スリット不織布層とベース不織布層との2層構造であってもよいし、スリット不織布層がベース不織布層の表裏の両面に配設する3層構造またはベース不織布層がスリット不織布層の表裏の両面に配設する3層構造であってもよい。即ち、スリット不織布層は、ベース不織布層の表裏の片面のみの配設としてもよいし、ベース不織布層の表裏の両面に配設としてもよい。
【0015】
請求項2の発明の積層シートの前記スリット不織布層は、その不織布のMD方向に沿って延び、所定の間隔を空けて直列状、及び、MD方向に対して直角なCD方向に並列状に形成した複数のスリットを有し、前記スリットが直列状に配するスリット列では、前記スリットの長さをLaとし、前記スリットの長さ方向のスリット相互間の間隔長さをLbとしたとき、La>Lbであり、また、前記スリットが並列状に隣り合う前記スリット列相互では、一方の前記スリット列の前記スリットの長さの1/2位置が、その隣に並列する他方の前記スリット列の前記スリットの長さ方向の前記スリット相互間の間隔長さ位置に対応する関係で配列し、前記スリットの長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加えられたときに、前記複数のスリットがその長さ方向に対する直角方向に拡開して網目を形成すると共に、前記複数の拡開したスリットの網状の周囲が前記シートの面方向に対して垂直方向に立ち上がるものである。
【0016】
即ち、前記スリット不織布層のスリットは、その長さ方向がスリット不織布層のMD方向に一致し、そのスリット長方向に垂直な方向が、スリット不織布層のCD方向に一致してスリット不織布層に形成されたものであり、スリット不織布層のMD方向(スリット長方向)に沿って所定の間隔を空けて直列状に、また、スリット不織布層のCD方向(スリット長方向に対して直角方向)に所定の間隔を空けて並列状に多数形成されたものである。
【0017】
請求項3の発明の積層シートの前記スリット不織布層に直列状、及び、並列状に形成された複数のスリットは、前記MD方向の両端部に位置するものを除き、同一のスリット長とし、また、前記スリット列の前記スリットの長さ方向の前記スリット相互の間隔長さを同一とし、更に、前記並列するスリット列相互の前記スリットの長さ方向に対する直角方向の間隔も同一としたものである。
【0018】
請求項4の発明の積層シートの前記スリット不織布層の前記スリットが並列状に隣り合う前記スリット列相互では、一方の前記スリット列の前記スリットの長さの1/2位置が、その隣に並列する他方の前記スリット列の前記スリットの長さ方向の前記スリット相互間の間隔長さの1/2位置に対応しているものである。
【0019】
請求項5の発明の積層シートは、請求項1乃至請求項4の何れか1つの構成において、前記スリット不織布層が前記ベース不織布層の表裏の両面側に設けられた3層構造とし、前記ベース不織布層が、スリット等の貫通孔を持たないものである。
ここで、前記ベース不織布層の一方の面側に配設した前記スリット不織布層とそれとは反対面側に配設した前記スリット不織布層とは、同一の不織布を使用してもよいし、繊維や製造方法等が相違した別の不織布を使用してもよい。また、表裏のスリット不織布層でスリット及びスリット相互間の寸法を同一としてもよいし、異なる寸法としてもよい。
【0020】
請求項6の発明の積層シートは、請求項1乃至請求項4の何れか1つの構成において、前記スリット不織布層が前記ベース不織布層の表裏の両面側に設けられた3層構造とし、前記ベース不織布層にも、複数のスリットが形成されたものであり、前記引っ張り力により、当該スリットがその長さ方向に対する直角方向に拡開し、当該拡開したスリットの周囲が前記シートの面方向に対して垂直方向に立ち上がるものであり、所定方向の引っ張り力により前記複数のスリットが拡開しその周囲が起立することで立体化し嵩高くなるものである。
【0021】
上記ベース不織布層のスリットとしても、不織布のMD方向に沿って延び、所定の間隔を空けて直列状、及び、MD方向に対して直角なCD方向に平行状、千鳥状、または格子状に配列であってもよいし、不織布のMD方向に対しそれを横断する斜めに形成してもよい。また、スリットの形状は、線条が好ましいが、所定方向の引っ張り力でスリットが拡開しその周囲が起立すれば、V字形状、十字形状、T字形状、Y字形状、H字形状、C字形状、V字形状、S字形状等の所定形状であってもよい。
また、上記ベース不織布層のスリットは、前記スリット不織布層のスリットの配列、形状、寸法と同一としてもよいし、相違してもよい。
【0022】
請求項7の発明のクリーニングシートは、請求項6の構成において、前記ベース不織布層は、その不織布のMD方向に沿って延び、所定の間隔を空けて直列状、及び、MD方向に対して直角なCD方向に並列状に形成した複数のスリットを有し、前記スリットが直列状に配するスリット列では、前記スリットの長さをLcとし、前記スリットの長さ方向のスリット相互間の間隔長さをLdとしたとき、Lc>Ldであり、また、前記スリットが並列状に隣り合う前記スリット列相互では、一方の前記スリット列の前記スリットの長さの1/2位置が、その隣に並列する他方の前記スリット列の前記スリットの長さ方向の前記スリット相互間の間隔長さ位置に対応する関係で配列し、前記スリットの長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加えられたときに、前記複数のスリットがその長さ方向に対する直角方向に拡開して網目を形成すると共に、前記複数の拡開したスリットの網状の周囲が前記シートの面方向に対して垂直方向に立ち上がるものである。
【0023】
即ち、前記ベース不織布層のスリットは、その長さ方向がベース不織布層のMD方向に一致し、そのスリット長方向に垂直な方向が、ベース不織布層のCD方向に一致してベース不織布層に形成されたものであり、ベース不織布層のMD方向(スリット長方向)に沿って所定の間隔を空けて直列状に、また、ベース不織布層のCD方向(スリット長方向に対して直角方向)に所定の間隔を空けて並列状に多数形成されたものである。
【0024】
好ましくは、前記ベース不織布層の直列状、及び、並列状に形成された複数のスリットは、前記MD方向の両端部に位置するものを除き、スリット長を同一とし、また、前記スリット列の前記スリットの長さ方向の前記スリット相互の間隔長さを同一とし、更に、前記並列するスリット列相互の前記スリットの長さ方向に対する直角方向の間隔も同一とする。これより、引っ張り力によって網目状に拡がる拡開したスリットの開口が略均一に分布することになるから、外力が均一に分散されやすくなり、部分的に作用する荷重(集中荷重)が生じ難くなる。よって、強度がつよく、破れ難いものとなる。
【0025】
更に、好ましくは、前記ベース不織布層の前記並列状に隣り合う前記スリット列相互では、一方の前記スリット列のスリットの長さの1/2位置が、その隣に並列する他方の前記スリット列の前記スリットの長さ方向のスリット相互間の長さの1/2位置に対応しているものとする。これより、網目の歪みが生じ難いものとなるから、外力がより分散されやすくなり、より破れ難く耐久性の高いものとなる。
【0026】
請求項8の発明の積層シートは、請求項1乃至請求項4の何れか1つの構成において、前記ベース不織布層が、スリット等の貫通孔を持たないものであり、前記スリット不織布層の表裏の両面側に配設した3層構造としたものである。
【0027】
請求項9の発明の積層シートの前記スリット不織布層を形成する不織布と前記ベース不織布層を形成する不織布は、好ましくは、JIS L 1913(2010)に準拠した測定で、前記スリット不織布層を形成する不織布のCD方向の伸び率と前記ベース不織布層を形成する不織布のCD方向の伸び率の比率が、前記スリット不織布層の伸び率/前記ベース不織布層の伸び率=1.02~2.5の範囲内、より好ましくは、1.03~2.5の範囲内、更に好ましくは、1.03~2.4の範囲内である。
上記伸び率(%)は、JIS L 1913(2010)の「一般不織布試験方法」の「6.3引張強さ及び伸び率」に準拠して測定(測定条件:試料幅50mm、掴み間隔200mm、引張速度10mm/分)した引張時の伸び率、即ち、破断伸度である。なお、上記伸び率(%)は、積層状態での測定ではなく、各スリット不織布層の単一層、ベース不織布層の単一層での測定である。上記CD方向は、前記スリット不織布層に形成した前記スリットの長さ方向に対する直角方向に一致する。
【0028】
請求項10の発明の積層シートの前記ベース不織布層を形成する不織布は、そのCD方向の伸び率が、JIS L 1913(2010)に準拠した測定で、好ましくは、70%~170%の範囲内、より好ましくは、70%~1%の範囲内であるものである。
上記伸び率(%)は、JIS L 1913(2010)の「一般不織布試験方法」の「6.3引張強さ及び伸び率」に準拠して測定(測定条件:試料幅50mm、掴み間隔200mm、引張速度10mm/分)した引張時の伸び率、即ち、破断伸度である。なお、上記伸び率(%)は、積層状態での測定ではなく、ベース不織布層の単一層での測定である。上記CD方向は、前記スリット不織布層に形成した前記スリットの長さ方向に対する直角方向に一致する。
【発明の効果】
【0029】
請求項1の発明に係る積層シートは、スリットが複数形成されたスリット不織布層に、前記スリット不織布層の前記スリットの長さ方向に対する直角方向でその最大伸びを制限するベース不織布層が重ね合わせられ接合固定されてなるものであり、前記スリットの長さ方向に対する直角方向の引っ張り力を加えることにより、前記スリット不織布層において、前記スリットがその長さ方向に対する直角方向に拡開し、前記拡開したスリットの周囲が前記スリット不織布層の面方向に対して垂直方向に立ち上がるものである。
【0030】
このような請求項1の発明の積層シートによれば、前記スリットの長さ方向に対する直角方向の引っ張り力により前記スリットがその長さ方向に対する直角方向に拡開し、前記拡開したスリットの周囲が前記スリット不織布層の面方向に対して垂直方向に立ち上がるものであるから、前記スリットの長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加わらない状態では容積が抑えられ、前記スリットの長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加わることで嵩高くなる。よって、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らず、使用時には前記スリットの長さ方向に対する直角方向の引っ張り力を加えることで、嵩高くできる。
【0031】
特に、引っ張り力によりスリットの周囲が起立することで立体化するスリット不織布層は、それに接合固定したベース不織布層によってスリットの長さ方向に対する直角方向の最大伸びが制限されており、使用時に生じる張力による弾性限界を超える伸びきりが抑制される。
したがって、引っ張り力を解除した使用後は、拡開したスリットが元のスリット状態に縮小しやすく、スリット周囲の起立が低減し、減容化できる。よって、廃棄時にも嵩張り難いものとなる。
また、スリット不織布層のスリットの長さ方向に対する直角方向の最大伸びを制限するベース不織布層によって、スリット不織布層のスリットの過剰な変形が阻止されるから、スリット不織布層は破れ難いものとなる。
【0032】
こうして、請求項1の発明の積層シートによれば、可逆的に体積変化できるものであり、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らず、使用時には引っ張り力によりスリットの周囲が起立することで嵩高く立体化するスリット不織布層によって、汚れの高い除去効果が得られ、更に、使用後は再び減容できることで嵩張り難く廃棄時にも場所を取らない省スペースのものとなる。
【0033】
請求項2の発明に係る積層シートによれば、前記スリット不織布層は、前記複数のスリットが前記スリット不織布層のMD方向に沿って延び、互いに間隔を空けて直列状、及び、前記MD方向に対して直角なCD方向に並列状に形成され、前記スリットが直列状に配するスリット列では、前記スリットの長さをLaとし、前記スリットの長さ方向の前記スリット相互間の間隔長さをLbとしたとき、La>Lbであり、前記スリットが並列状に隣り合う前記スリット列相互では、一方の前記スリット列の前記スリットの長さの1/2位置が、その隣に並列する他方の前記スリット列の前記スリットの長さ方向の前記スリット相互間の間隔長さ位置に対応する配列であり、前記スリット不織布層は、前記スリットの長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加えられたときに前記複数のスリットがその長さ方向に対する直角方向に拡開して網目を形成すると共に、前記複数の拡開したスリットの網状の周囲が前記ベース不織布層の面方向に対して垂直方向に立ち上がるものである。
【0034】
このように請求項2の発明に係る積層シートによれば、スリット不織布層は、そこに形成された複数のスリットが、スリットの長さをLaとし、直列状に配するスリットの列のスリット相互間の長さをLbとしたとき、La>Lbであり、並列状に隣り合う前記スリット列相互では、一方の前記スリット列のスリットの長さの1/2位置が、その隣に並列する他方の前記スリット列の前記スリットの長さ方向のスリット相互間の位置に対応する配列であり、所定方向の引っ張り力によるスリットの拡開により網状に広がるものである。したがって、何れの方向の動いても嵩高による汚れの高い除去効果が得られる。よって、請求項1に記載の効果に加え、清掃漏れを少なくできる。
【0035】
特に、所定方向の引っ張り力により網目状に広がるスリット不織布層が清掃面側となる表層に配設する場合には、髪の毛、埃等の固形ゴミを絡み取り、掻き取りによって取り入れることができ、汚れがシートの面方向を通り抜けることがなく、髪の毛、埃等の固形ゴミの絡み取り、掻き取り性能が高い。また、スリット不織布層に形成された複数のスリットが、所定方向の引っ張り力により大きく開口して網目状に広がるものであると、前記ベース不織布層が貫通孔を有しないものであるとき、スリット不織布層の拡開したスリットの開口から表出する平面的なベース不織布層の表面積が大きいから、水分、油分のある液状汚れに対する拭き取り性を向上できる。よって、絡み取り、掻き取り効果と拭き取り効果との両立を可能とする。
【0036】
また、このような所定配列の複数のスリットにより、所定方向の引っ張り力で網目に広がるスリット不織布層は、小さい張力で嵩高くでき、かつ、外力が分散されやすいから、強度を高くでき破れ難いものとなる。
更に、スリット不織布層はMD方向に沿ってスリットを形成したものであるから、スリット加工時に不織布の抜けカス、繊維の抜け、毛羽立ちが生じ難い。このため、清掃時等に摩擦等で繊維が切れたり、繊維が解けて抜け落ちたりし難いものであり、解けた或いは切れた繊維くず(リント)の落下による払拭面の逆汚染も生じ難いものである。
【0037】
請求項3の発明に係る積層シートによれば、前記スリット不織布層に直列状、及び、並列状に形成された複数のスリットは、前記MD方向の両端に位置するものを除き、同一のスリット長及び前記スリット列の前記スリットの長さ方向の前記スリット相互の間隔長さを同一とし、かつ、前記並列するスリット列相互の前記スリットの長さ方向に対する直角方向の間隔も同一としたものであり、引っ張り力により網目状に拡がる拡開したスリットの開口が略均一に分布することになるから、請求項2に記載の効果に加えて、外力が均一に分散されやすく、部分的に作用する荷重(集中荷重)が生じ難いことで、より強度がつよくて破れ難いものとなる。
【0038】
請求項4の発明に係る積層シートによれば、前記スリット不織布層において前記スリットが並列状に隣り合う前記スリット列相互では、一方の前記スリット列の前記スリットの長さの1/2位置が、その隣に並列する他方の前記スリット列の前記スリットの長さ方向の前記スリット相互間の間隔長さの1/2位置に対応しているものであるから、網目の歪みがない。よって、請求項3に記載の効果に加えて、外力がより分散されやすくなり、より一層破れ難く耐久性の高いものとなる。故に、網目を細かくして汚れの除去能力を高めることも可能となる。
【0039】
請求項5の発明に係る積層シートによれば、前記スリット不織布層は、前記ベース不織布層の表裏の両面側に配設したものであり、前記ベース不織布層は、貫通孔を有しないものであるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、汚れがスリット不織布層の清掃面とは反対面側に通過せず、シートを清掃用具に装着しても清掃用具のシート装着面を汚染しない。
【0040】
更に、シートの両面側の表層にスリット不織布層が配設するから、その嵩高く立体化するスリット不織布層によって、髪の毛、埃等の固形ゴミの絡み取り、掻き取りの高い効果が得られる。特に、貫通孔を有しないベース不織布層の表裏の両面側にスリット不織布層が配設した3層構造の場合には、一方のスリット不織布層側で被清掃面を清掃したときでも、他方のスリット不織布層側に汚れが付着しないから、他方のスリット不織布層側でも被清掃面を逆汚染することなく清掃でき、シートの両面で高い絡み取り、掻き取り効果が得られることで汚れの高い捕捉性能が得られる。加えて、スリット不織布層の間に介在する前記ベース不織布層は貫通孔を有しないから、所定方向の引っ張り力が加えられたとき、スリット不織布層の拡開したスリットの開口からベース不織布層が表出し、清掃面の表面積を広くするから、しみ汚れ、付着液体等の液状汚れの拭き取り性を向上できる。よって、絡み取り、掻き取り効果と拭き取り効果との両立を可能とする。
【0041】
特に、スリット不織布層が清掃面側となる表層にあると、引っ張り力を解除した使用後は、拡開したスリットが元のスリット状態に縮小しやすくなっていることで、ベース不織布層とスリット不織布層との間にゴミを格納、閉じ込めることができる。このため、廃棄時に周囲を汚しにくく、また、不潔感を与えにくいものである。
【0042】
請求項6の発明に係る積層シートによれば、前記スリット不織布層は、前記ベース不織布層の表裏の両面側に配設し、前記ベース不織布層は、複数のスリットが形成されたものであり、前記引っ張り力により、当該スリットがその長さ方向に対する直角方向に拡開し、当該拡開したスリットの周囲が前記シートの面方向に対して垂直方向に立ち上がるものである。スリット不織布層及びベース不織布層の全層で引っ張り力によりスリットの網状の周囲が起立するから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、嵩高性が向上し、髪の毛、埃等の固形ゴミの絡み取り、掻き取り能力の向上を可能とする。そして、引っ張り力を解除した使用後は、拡開したスリットが元のスリット状態に縮小しやすくなっていることで、表裏のベース不織布層間にゴミを格納、閉じ込めることができる。このため、廃棄時に周囲を汚しにくく、また、不潔感を与えにくいものである。
【0043】
請求項7の発明に係る積層シートによれば、前記ベース不織布層は、前記複数のスリットが前記スリット不織布層のMD方向に沿って延び、互いに間隔を空けて直列状、及び、前記MD方向に対して直角なCD方向に並列状に形成され、前記スリットが直列状に配するスリット列では、前記スリットの長さをLcとし、前記スリットの長さ方向の前記スリット相互間の間隔長さをLdとしたとき、Lc>Ldであり、前記スリットが並列状に隣り合う前記スリット列相互では、一方の前記スリット列の前記スリットの長さの1/2位置が、その隣に並列する他方の前記スリット列の前記スリットの長さ方向の前記スリット相互間の間隔長さ位置に対応する配列であり、前記スリット不織布層は、前記スリットの長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加えられたときに前記複数のスリットがその長さ方向に対する直角方向に拡開して網目を形成すると共に、前記複数の拡開したスリットの網状の周囲が前記ベース不織布層の面方向に対して垂直方向に立ち上がるものである。
【0044】
このようなスリット配列のベース不織布層によれば、所定方向の引っ張り力によるスリットの拡開により網状に広がるものである。したがって、何れの方向の動いても髪の毛、埃等の固形ゴミを絡み取り、掻き取りによって取り入れることができる。よって、請求項6に記載の効果に加え、清掃漏れをより少なくでき、髪の毛、埃等の固形ゴミの効率的な絡み取り、掻き取りを可能とする。
【0045】
また、このようにベース不織布層は、所定配列の複数のスリットにより、所定方向の引っ張り力で網目に広がるものであるから、小さい張力で嵩高くでき、かつ、外力が分散されやすいから、網状に広がるベース不織布層が破れ難くて強度を高くできる。
更に、ベース不織布層はMD方向に沿ってスリットを形成したものであるから、スリット加工時に不織布の抜けカス、繊維の抜け、毛羽立ちが生じ難いから、摩擦等で繊維が切れたり、繊維が解けて抜け落ちたりし難いものであり、解けた或いは切れた繊維くず(リント)の落下による払拭面の逆汚染も生じ難いものである。
【0046】
請求項8の発明に係る積層シートによれば、前記ベース不織布層は、貫通孔を有しないものであり、前記スリット不織布層の表裏の両面側に配設したから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、汚れがスリット不織布層の清掃面とは反対面側に通過せず、シートを清掃用具に装着しても清掃用具のシート装着面を汚染しない。また、貫通孔を有しないベース不織布層が清掃面となるから、汚れの拭き取り性能をよくできる。
【0047】
請求項9の発明に係る積層シートによれば、前記スリット不織布層を形成する不織布と前記ベース不織布層を形成する不織布は、好ましくは、JIS L 1913(2010)に準拠した測定で、前記スリット不織布層を形成する不織布のCD方向の伸び率と前記ベース不織布層を形成する不織布のCD方向の伸び率の比率が、前記スリット不織布層の伸び率/前記ベース不織布層の伸び率=1.02~2.5の範囲内であるものを用いたものである。
当該範囲内であれば、スリット不織布層のスリットの開口を十分に大きくでき高い嵩高効果が得られ、引っ張り力を解除した使用後は、スリット不織布層の拡開したスリットが元の状態に戻りやすい。特に、貫通孔を有しないベース不織布層については、伸びきりやすくなり、引張り力を取り除いても伸長が維持されるため、減容効果を高くできる。また、スリット不織布層が清掃面側となる表層に配設した場合には、スリット不織布の拡開したスリットの開口から取り込んだゴミをシート内に閉じ込めることができ、それら捕獲したゴミによる嵩張りが抑えられ、捕獲したゴミを溢すことなく、シートの高い減容効果が得られる。よって、請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の効果に加えて、可逆的な厚み変化、容積変化を大きくでき、嵩高効果及び減容効果が高いものである。
【0048】
請求項10の発明に係る積層シートによれば、前記ベース不織布層を形成する不織布は、そのCD方向の伸び率が、JIS L 1913(2010)の伸び率に準拠した測定で、70%~170%の範囲内であるものである。
当該範囲内であれば、組み合わせるスリット不織布の製法、種類を限定することなく、スリット不織布層のスリットの開口を十分に大きくでき高い嵩高効果が得られる。よって、請求項1乃至請求項9の何れか1つに記載の効果に加えて、不織布の選択自由度を高めることができる。また、引っ張り力を解除した使用後は、スリット不織布層の拡開したスリットが元の状態に戻りやすく、かつ、貫通孔を有しないベース不織布層については、伸びきりやすくなり、引張り力を取り除いても伸長が維持される。このため、減容効果を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態1に係る積層シートとしてのクリーニングシートの全体を説明する説明図である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態1に係る積層シートとしてのクリーニングシートの構成を説明する概略構成図である。
【
図3】
図3は本発明の実施の形態1に係る積層シートとしてのクリーニングシートを構成するスリット不織布層の引っ張り力が加えられる使用前の状態を示した平面図である。
【
図4】
図4は本発明の実施の形態1に係る積層シートとしてのクリーニングシートを構成するスリット不織布層の引っ張り力が加えられた使用時の状態を示した平面図である。
【
図5】
図5(a)は本発明の実施の形態1に係る積層シートとしてのクリーニングシートを構成するスリット不織布層のスリットの配列を説明する説明図であり、
図5(b)は本発明の実施の形態1に係る積層シートとしてのクリーニングシートを構成するスリット不織布層の引っ張り力が加えられスリットが拡開した状態の説明図である。
【
図6】
図6は本発明の実施の形態1に係る積層シートとしてのクリーニングシートの引っ張り力が加えられた使用時の状態を説明する斜視図である。
【
図7】
図7(a)は本発明の実施の形態1に係る積層シートとしてのクリーニングシートの引っ張り力が加えられた使用時の状態を示す部分拡大断面図であり、
図7(b)は本発明の実施の形態1に係る積層シートとしてのクリーニングシートの引っ張り力が加えられた使用時の状態を示す部分拡大斜視図である。
【
図8】
図8は本発明の実施の形態1に係る積層シートとしてのクリーニングシートの引っ張り力が加えられた使用時の状態を清掃用具への装着状態で示した斜視図である。
【
図9】
図9は本発明の実施の形態2に係る積層シートとしてのクリーニングシートの全体を説明する説明図である。
【
図10】
図10は本発明の実施の形態2に係る積層シートとしてのクリーニングシートの構成を説明する概略構成図である。
【
図11】
図11(a)は本発明の実施の形態2に係る積層シートとしてのクリーニングシートを構成するベース不織布層のスリットの配列を説明する説明図であり、
図11(b)は本発明の実施の形態2に係る積層シートとしてのクリーニングシートを構成するベース不織布層の引っ張り力が加えられスリットが拡開した状態の説明図である。
【
図12】
図12は本発明の実施の形態2に係る積層シートとしてのクリーニングシートの引っ張り力が加えられた使用時の状態を説明する斜視図である。
【
図13】
図13は本発明の実施の形態3に係る積層シートとしてのクリーニングシートの全体を説明する説明図である。
【
図14】
図14は本発明の実施の形態3に係る積層シートとしてのクリーニングシートの構成を説明する概略構成図である。
【
図15】
図15は本発明の実施の形態3に係る積層シートとしてのクリーニングシートの引っ張り力が加えられた使用時の状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、各実施の形態において、図示の同一の記号及び同一の符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0051】
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1に係る積層シートとしてのクリーニングシート1Aについて、
図1乃至
図7を参照して説明する。本発明の実施の形態1は、本発明の積層シートをクリーニングシートに適用した場合を例示するものである。ここでは、クリーニングシート1Aを公知の柄付きの掃除用具(フローリングワイパー)100に装着して床の清掃、手入れ等に使用する場合を例示する。
【0052】
本実施の形態1のクリーニングシート1Aは、線条のスリット(切込み)11が複数形成されたスリット不織布層10S1,10S2と、スリット不織布層10S1及びスリット不織布層10S2の間に介在した中間層のベース不織布層20Aとからなり、ベース不織布層20Aの表裏面にスリット不織布層10S1,10S2が配設し、スリット不織布層10S1,10S2及びベース不織布層20Aの3層が重ね合わせられた3層構造の積層シート、即ち、3枚の不織布が重ね合わせられた積層シートである。なお、不織布層の「層」とは厚みが「0」でない不織布を意味する。
【0053】
スリット不織布層10S1,10S2を形成する不織布としては、例えば、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布、SMMS不織布等が使用できる。なお、SMS不織布とは、スパンボンド不織布(S)+メルトブロー不織布(M)+スパンボンド不織布(S)を重ね合わせてなる不織布のことであり、SMMS不織布とは、スパンボンド不織布(S)+メルトブロー不織布(M)+メルトブロー不織布(M)スパンボンド不織布(S)を重ね合わせてなる不織布のことである。
【0054】
例えば、スパンボンド不織布は、原料として乾式不織布のような綿状の繊維ではなく、直径3~5ミリ程度の米粒状の合成樹脂ペレットで、これを溶融し、繊維化・ウェブ化して製造したものであり、長繊維を用いているから強度が高く、スリット加工性が良い点で、好ましい。また、スパンボンド不織布であれば、コシや強度を高くできるから、耐久性に優れ、所定方向の引っ張り力で拡開するスリット11の網目を細かくして掻き取り性能、絡み取り性能を高めることも可能である。更に、スパンボンド不織布であれば、スリット加工時に繊維の抜け、毛羽立ちが生じ難いから、清掃時に摩擦等で繊維が切れたり、繊維が解けて抜け落ちたりし難いものであり、解けた或いは切れた繊維くず(リント)の落下による被清掃面への逆汚染も生じ難い。スパンボンド不織布を使用しているSMS不織布、SMMS不織布も同様である。
また、スパンレース不織布は、柔らかく、嵩高性に優れるため、軽い力での汚れの除去性能に優れるものとなる。更に、不織布製造の機械的な移送方向(MD)の伸び率が高くないから、スリット加工性にも優れる
更に、メルトブロー不織布によれば、繊維の選択自由度が高く、また、極細繊維を用い繊維表面積が大きいことで油分等の吸着性能が優れるものとなる。
加えて、サーマルボンド不織布によれば、高目付が可能であるから、強度を高くすることができる。
【0055】
なお、スリット不織布層10S1,10S2の不織布の素材は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成繊維や、パルプ、レーヨン等の植物繊維が使用され、素材、繊維径等の特性の異なる繊維の組み合わせであってもよい。本実施の形態1では、表層に配設されるスリット不織布層10S1,10S2の不織布の坪量(目付量)は、強度及び嵩高性の両立の観点から、例えば、10~40g/m2とされる。好ましくは、12~35g/m2、より好ましくは、12~30g/m2の薄いものであると、高い嵩高性、柔軟性が得られることで、汚れの効率的な捕捉を可能とする。エンボス加工を施したものを使用してもよい。
【0056】
そして、本実施の形態1のスリット不織布層10S
1,10S
2においては、スリットカッター等を使用したスリット加工によって、それが製造されるときの機械的な移送方向(以下、単に、「MD方向」とする)に沿って直列状、かつ、MD方向に対して直角なCD方向に並列状に多数のスリット11が形成されたものである。
ここで、スリット加工された本実施の形態1のスリット不織布層10S
1,10S
2について、そのスリット11の配列の詳細を
図3乃至
図5を参照して説明する。
【0057】
図3乃至
図5に示したスリット不織布層10S
1,10S
2において、線条のスリット11は、不織布のMD方向に沿って所定の間隔Lbを空けて直列状に形成され、かつ、直列状にスリット11が配列したスリット列(L
1,L
2,L
3,…Ln)がMD方向に直角なCD方向に所定の間隔W
1を空けて並列的に複数形成されている。
ここで、本実施の形態1のスリット不織布層10S
1,10S
2では、MD方向に直列状にスリット11が配列した各スリット列(L
1,L
2,L
3,…Ln)において、スリット11の長さをLaとし、スリット11の長さ方向のスリット11相互間の間隔をLbとしたとき、La>Lbである。そして、並列状に隣り合うスリット列(L
1,L
2,L
3,…Ln)相互では、一方のスリット列のスリット11の長さの1/2位置が、その隣に並列する他方のスリット列のスリット11の長さ方向のスリット11相互間の長さ位置に対応する。特に、本実施の形態1のスリット不織布層10S
1,10S
2では、並列状に隣り合うスリット列(L
1,L
2,L
3,…Ln)相互において、一方のスリット列のスリット11の長さの1/2位置が、その隣に並列する他方のスリット列のスリット11の長さ方向のスリット11相互の間隔長さLbの1/2位置に対応する。即ち、並列状に隣り合うスリット列(L
1,L
2,L
3,…Ln)相互において、一方のスリット列のスリット11の長さ方向の中間位置が、その隣りのスリット列におけるスリット11の長さ方向のスリット11相互間の間隔長さLbの中間位置に対応する。
【0058】
スリット11の長さLaは、例えば、5~15mmとされ、好ましくは、6~10mmとされ、また、スリット11の長さ方向のスリット11相互間の長さLbは、例えば、2~5mmとされ、好ましくは、2~4mmとされる。
更に、並列するスリット列(L1,L2,L3,…Ln)の相互間の幅W1は、例えば、1.5~3mm、好ましくは、1.5~2.5mmとされる。
本実施の形態1では、ベース不織布層20Aによりスリット不織布層10S1,10S2の最大伸びを制限するから、W1≦Lbとしても、スリット不織布層10S1,10S2が破れ難い。即ち、細かい多数のスリット11を形成して、スリット長方向に対し直角方向に伸ばしたときの拡開するスリット11の網目密度を高めても、スリット不織布層10S1,10S2が破れ難い。よって、スリット不織布層10S1,10S2の細かな網状により、毛髪や埃等の固形ゴミの掻き取り性能、絡み取り性能を向上させることが可能である。しかし、本発明を実施する場合には、W1>Lbであってもよい。
【0059】
更に、本実施の形態1のスリット不織布層10S1,10S2では、MD方向の端部に位置するものを除き、スリット11の長さLaを統一し、また、直列状に配設するスリット列(L1,L2,L3,…Ln)のスリット11の長さ方向のスリット11の相互間の間隔Lbを統一し、更に、並列状に配置するスリット列(L1,L2,L3,…Ln)相互のスリット11の長さ方向に対する直角方向の間隔W1も統一している。このように同一スリット長La及び同一スリット間隔Lb,W1で形成された複数のスリット11からなるスリット群では、スリット11の長さ方向に対し略直角方向(CD方向)の引っ張りにより、均一な網目を形成するから、外力が均一に分散され特定の箇所での負荷の集中による破れが生じ難く、引裂強度を高くできる。よって、細かい多数のスリット11を形成して、スリット長方向に対する直角方向に伸ばしたときの拡開するスリット11の網目密度を高めても、スリット不織布層10S1,10S2が破れ難く、スリット不織布層10S1,10S2の細かな網状により毛髪や埃等の固形ゴミの掻き取り性能、絡み取り性能等を向上させることが可能である。
【0060】
例えば、スリット不織布層10S1,10S2は、15~22cm×21~32cmの全体寸法とし、スリット11の長さLaが8mm程度、MD方向のスリット11相互の間隔Lbが3mm程度、CD方向のスリット11相互の間隔W1Wが2mm程度のスリット群として細かくスリット11を形成していても、同一スリット長La及び同一スリット間隔Lb,W1でスリット11を形成していることで、破れ難く、毛髪や埃等の固形ゴミの掻き取り性能、絡み取り性能も高いものとなる。
また、このようなスリット配列の本実施の形態1のスリット不織布層10S1,10S2の不織布では、そのCD方向の伸び率が、JIS L 1913(2010)に準拠した測定で、120%~190%の範囲内となる。当該範囲内のものでは、高い嵩高性が得られ、また、細かい網目により、毛髪や埃等の固形ゴミの高い掻き取り性能、絡み取り性能が得られる。好ましくは、130%~190%の範囲内、より好ましくは、140%~185%の範囲内のものである。
なお、スリット不織布層10S1,10S2は、スリットカッター等を使用し、スリット加工でスリット11を形成し、後述するように、所定方向に引き伸ばされることで、スリット11が拡開して開口となるものであり、ニードルパンチの打ち抜き等のように開口を形成するときに抜きカスを生じさせることもないから、抜きカスによる汚染を生じることのないものである。
【0061】
そして、本実施の形態1のクリーニングシート1Aでは、このような複数のスリット11が形成された長方形状のスリット不織布層10S1,10S2に対し、スリット等の貫通孔を有しない長方形状のベース不織布層20A重ね合わせられ、互いに分離しないよう接合固定されている。
【0062】
本実施の形態1のベース不織布層20Aは、スリット等の貫通孔を有しないものであり、スリット不織布層10S1,10S2に重ね合わせられて接合固定され、スリット11の長さ方向に対する直角方向でクリーニングシート1Aに引っ張り力が加えられた際、スリット不織布層10S1,10S2の弾性限界を超える伸びきり、即ち、最大伸びを制限するものである。つまり、ベース不織布層20Aの不織布の所定方向(ここでは、ベース不織布層20A及びスリット不織布層10S1,10S2のMD方向を一致させて接合しているから、MD方向に対して直角なCD方向)の伸び率は、スリット不織布層10S1,10S2のそれよりも小さいものである。
【0063】
好ましくは、スリット不織布層10S1,10S2を形成する不織布とベース不織布層20Aを形成する不織布とは、JIS L 1913(2010)に準拠した測定で、スリット不織布層10S1,10S2を形成する不織布のCD方向の伸び率(%)とベース不織布層20Aを形成する不織布のCD方向の伸び率(%)の比率が、スリット不織布層10S1,10S2の伸び率/ベース不織布層20Aの伸び率=1.02~2.5の範囲内であるものである。当該範囲内であれば、所定方向の引っ張り力によりスリット不織布層10S1,10S2のスリット11の開口を十分に大きくでき高い嵩高効果が得られる。特に、スリット11の大きな拡開に小さい張力負荷で済むと共に、過剰な開きが抑制されるから、破れ難く耐久性の高いものとなる。また、引っ張り力を解除した使用後は、スリット不織布層10S1,10S2の開口したスリット11が元の状態に戻りやすく、かつ、ベース不織布層20Aについては、伸びきりやすくなり、引張り力を取り除いても伸長が維持される。このため、減容効果を高くできる。特に、スリット不織布層10S1,10S2の拡開したスリット11の開口から取り込まれスリット不織布層10S1,10S2及びベース不織布層20Aの間に閉じ込められたゴミによる嵩張りが抑えられ、捕獲したゴミを溢すことなく、シート1Aの高い減容効果が得られる。よって、可逆的な厚み変化、容積変化を大きくでき、嵩高効果及び減容効果が高くなる。
加えて、当該範囲内であれば、接合箇所に係る負荷が少ないから、破れ難く耐久性の高いものとなる。更に、引っ張り力による位置ずれ、歪みが生じ難いから、被清掃面に対する良好な滑り性が維持され、軽い力で拭ける操作性、作業性がよく、使い勝手が良いものとなる。より好ましくは、スリット不織布層10S1,10S2の伸び率/ベース不織布層20Aの伸び率=1.03~2.5の範囲内、更に好ましくは、1.03~2.4の範囲内であるものである。
【0064】
また、好ましくは、ベース不織布層20Aの不織布は、そのCD方向の伸び率が、JIS L 1913(2010)に準拠した測定で、70%~170%の範囲内のものが用いられる。当該範囲内であれば、組み合わせるスリット不織布の製法、種類を限定することなく、所定方向の引っ張り力によりスリット不織布層10S1,10S2のスリット11の開口を十分に大きくでき高い嵩高効果が得られる。よって、不織布の選択自由度を高めることができる。また、引っ張り力を解除した使用後は、スリット不織布層10S1,10S2の開口したスリット11が元の状態に戻りやすく、かつ、貫通孔を有しないベース不織布層20Aについては、伸びきりやすくなり、引張り力を取り除いても伸長が維持される。このため、減容効果を高くできる。より好ましくは、70%~165%の範囲内である。
【0065】
このようなベース不織布層20Aについても、例えば、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、SMS不織布、SMMS不織布等が使用できる。このベース不織布層20Aは、スリット不織布層10S1,10S2と同じ製法の不織布を使用してもよいし、異なる製法の不織布を使用してもよい。
特に、スパンレース不織布であれば、CD方向の伸び、横伸びを高くできるから、それに重ね合わせたスリット不織布層10S1,10S2のスリット11の拡開を大きくできる。よって、嵩高効果を高くできる。
【0066】
なお、ベース不織布層20Aの不織布の素材も、特に限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成繊維や、パルプ、レーヨン等の植物繊維が使用され、素材、繊維径等の特性の異なる繊維の組み合わせであってもよい。スリット不織布層10S1,10S2と同じ素材を使用しても良いし、異なる素材の使用であっても良く、スリット不織布層10S1,10S2の不織布と同一の素材を使用しても、繊維径や配合等の相違により特性を相違するようにしてもよい。本実施の形態1において、貫通孔を有しないベース不織布層20Aの不織布の坪量(目付量)は、伸張性、強度等の観点から、例えば、20~50g/m2とされ、好ましくは、25~40g/m2、より好ましくは、30~40g/m2とされる。
特に、本実施の形態1のベース不織布層20Aは、スリット等の貫通孔を有しないものである。よって、スリット不織布層10S1,10S2と同一の不織布で形成しても、スリット不織布層10S1,10S2の弾性限界を超える変形を阻止し、スリット不織布層10S1,10S2の最大伸びを制限できる。
【0067】
そして、本実施の形態1の長方形状のクリーニングシート1Aでは、このようなスリット等の貫通孔を有しないベース不織布層20Aが、スリット11を有するスリット不織布層10S
1,10S
2の間に挟まれて重ね合わせられ、部分的な超音波溶着により接合固定されている。例えば、長方形状のクリーニングシート1Aの対向する長辺の端部、スリット11の方向からすれば、MD方向に伸びるスリット11の長さ方向に対して直角方向(CD方向)の対向辺の端部に沿って、例えば、0.5cm~3cm幅で超音波溶着される。また、中間部でも、超音波点溶着で複数個所を接合固定してもよい。なお、参考までに、
図1において、スリット不織布層10S
1,10S
2及びベース不織布層20Aの所定端部での接合個所を接合部31とし、中間部での接合個所を接合部32としている。
【0068】
超音波溶着によれば、広範囲の素材で溶着性が良く、かつ、溶着後に硬くなりにくく、また、経済的で環境にも優しいものとなる。しかし、本発明を実施する場合には、エンボス加工、インパルスシーラ等のヒートシール、熱可塑性樹脂系接着剤、二液硬化型接着剤、ホットメルト型接着剤等の接着剤等による溶着、圧着、接着、或いは、縫着としてもよい。
なお、スリット不織布層10S1,10S2及びベース不織布層20Aとの溶着、圧着、接着等の接合固定は、スリット不織布層10S1,10S2に引っ張り力が加えられていない状態、即ち、スリット不織布層10S1,10S2のスリット11が拡開されていない状態で行われる。
【0069】
スリット不織布層10S1,10S2及びベース不織布層20Aの接合固定する位置は、MD方向に伸びるスリット11の長さ方向に対して直角方向の端部側が、後述する清掃用具100のシート保持部140で保持されることから、その保持部140で巻き込み、引っ掛かり等が生じないように、スリット11の長さ方向に対して直角方向の端部31で接合固定するのが好ましいが、本発明を実施する場合には、スリット不織布層10S1,10S2及びベース不織布層20Aが接合固定できれば、その位置は特に問われず、中間部の複数個所で接合固定するのみであってもよいし、長方形状のクリーニングシート1Aの対向する短辺の端部、スリット11の方向からすれば、MD方向に伸びるスリット11の長さ方向の端部を接合固定してもよい。シートの端部のみの接合固定であってもよいが、中間部の複数個所でもスポット的に溶着等によって接合固定することで、スリット不織布層10S1,10S2とベース不織布層20Aの位置ずれ、ヨレ、型崩れが更に生じ難くなる。このため、被清掃面に対する良好な滑り性が維持され、軽い力で拭ける操作性、作業性の向上、使い勝手の向上を可能とする。
【0070】
そして、本実施の形態1においては、ベース不織布層20A及びスリット不織布層10S1,10S2は、互いにそのMD方向同士、CD方向同士を一致させて重ね合わせている。これより、CD方向に引っ張り力が加えられたときにベース不織布層20Aが伸びやすいから、スリット不織布層10S1,10S2のスリット11の拡開を大きくでき、また、網状に拡がるスリット不織布層10S1,10S2及びその拡開したスリット11の開口から表出するベース不織布層層20Aの表面積を広くできることで、絡み取り、掻き取り性能及び拭き取り性能を高くできる。
【0071】
こうして、本実施の形態1のクリーニングシート1Aは、スリット11が複数形成された不織布からなるスリット不織布層10S1,10S2に対し、スリット等の貫通孔を有しない不織布からなるベース不織布層20Aを重ね合わせ、それらを所定の端部等で接合固定したものであり、スリット不織布層10S1,10S2では、MD方向に沿って延びるスリット11が、互いに所定の間隔を空けて直列状、及び、並列状に配置し、スリット11の長さをLaとし、また、直列状に配するスリット列(L1,L2,L3,…Ln)のスリット長方向のスリット11相互間の長さをLbとしたとき、La>Lbであり、並列状に隣り合うスリット列(L1,L2,L3,…Ln)相互では、一方のスリット列のスリット11の長さの1/2位置が、その隣に並列する他方のスリット列のスリット長方向のスリット11相互間の長さ間隔Lbの1/2位置に対応する配列である。
【0072】
したがって、このようなスリット11が形成されたスリット不織布層10S
1,10S
2を有するクリーニングシート1AをMD方向に沿って延びるスリット11の長さ方向に対し略直角方向(CD方向)に引っ張ると、即ち、張力を加えると、
図4、
図5(b)、
図6及び
図7に示すように、スリット不織布層10S
1,10S
2のスリット11がその長さ方向に対する略直角方向に拡開して、シート全体がスリット11の長さ方向に対し略直角方向(CD方向)に伸びると共に、拡開したスリット11の周囲がスリット不織布層10S
1,10S
2の面方向に対して垂直方向に立ち上がる。特に、本実施の形態1では、スリット11が、互いに所定の間隔を空けて直列状、及び、並列状に配置し、スリット11の長さをLaとし、また、スリット長方向のスリット11相互間の長さをLbとしたとき、La>Lbであり、並列状に隣り合うスリット列(L
1,L
2,L
3,…Ln)相互では、一方のスリット11の長さの1/2位置が、その隣に並列する他方のスリット列のスリット長方向のスリット11相互間の長さの1/2位置に対応する配列であるから、スリット11の長さ方向に対し略直角方向(CD方向)の引張力により、複数のスリット11が平面視で略楕円形に近い形状の開口に変形して網目を形成することでスリット不織布層10S
1,10S
2が網状に拡がり、拡開したスリット11の網状の周囲がスリット不織布層10S
1,10S
2の面方向に対して垂直方向に立ち上がる。即ち、スリット11の長さ方向に対する略直角方向(CD方向)の引張力により、スリット不織布層10S
1,10S
2のスリット11の周囲が起立変形し、立体化することで、嵩高くなる。
【0073】
このような本実施の形態1のクリーニングシート1Aは、引張力が加えられる前は、その表層にあるスリット不織布層10S1,10S2が平面的で低容積であるから、輸送や保管時の未使用時には嵩張らず場所をとらないのものとなる。
一方、所定方向に引張力が加えられると、スリット不織布層10S1,10S2では、複数のスリット11が、そのスリット長方向に対する略直角方向に拡開、変形して網目を形成し、スリット11の周囲が、起立変形して網状を形成し、嵩高で高容積のものとなる。
したがって、本実施の形態1のクリーニングシート1Aは、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らず省スペースで済むことで、流通コストを抑えることができて経済的であり、使用時(清掃時)には、所定方向に引張力を加えることで、嵩高くなり、その嵩高効果、柔軟性により、床上等の被清掃面上の塵、埃、毛髪等の固形ゴミ、しみ、付着液体等の異物や汚れの高い除去性能が得られるものである。
【0074】
特に、本実施の形態1のクリーニングシート1Aは、スリット不織布層10S1,10S2に貫通孔を有しない所定の伸長率のベース不織布層20Aを重ね合わせて接合固定し、そのベース不織布層20Aによって所定方向の引っ張り力が加えられたときのスリット不織布層10S1,10S2の弾性限界を超える伸びきり、即ち、最大伸びを制限しているから、引っ張り力を解除した使用後は、スリット不織布層10S1,10S2の拡開したスリット11が元のスリット状態に縮小しやすく、スリット11周囲の起立が低減し、減容化できる。特に、スリット11の長さ方向に引っ張ることで、スリット11周囲の起立が低減しやすく、スリット11が閉じる方向に縮小し元の状態に戻りやすくなる。よって、廃棄時にも嵩張り難いものとなる。更に、引っ張り力を解除した使用後は、網状に拡がっていた表層のスリット不織布層10S1,10S2が元の状態に縮小し、拡開したスリット11の開口が元のスリット状態に戻りやすくなっていることから、スリット不織布層10S1,10S2の拡開したスリット11の開口から取り込まれたゴミをベース不織布層20Aとスリット不織布層10S1,10S2との間で格納、閉じ込めることができる。このため、廃棄時に周囲を汚しにくく、また、不潔感を与えにくいものである。
【0075】
ここで、本実施の形態1のクリーニングシート1Aを使用する際には、公知のフローロングワイパーとしての清掃用具100に装着して使用される。
本実施の形態1のクリーニングシート1Aが装着される清掃用具100は、公知のものが使用でき、例えば、従来からの清掃用具100は、
図8に示すように、床面等の被清掃面に並行させる長方形平板状の清掃部110と、その清掃部110の上面側に回動自在に連結された2軸接続部120と、その2軸接続部120に接続されて起倒自在であり、かつ、延長自在な棒状の把手130と、清掃部110の上面側にクリーニングシート1Aの端部の4隅または6隅を係止させて保持する複数の弾性係止片を設けた4個または6個のシート保持部140とを有するものである。
【0076】
この清掃用具100においては、清掃部110の2軸接続部120が接続された上面とは反対側の下面が清掃面150とされ、クリーニングシート1Aは、清掃部110の下面の清掃面150を覆って、かつ、清掃部110の清掃面150と反対側の上面側で左右両側の4隅をシート保持部140に挿入することで、シート保持部140の弾性係止片の間に保持され、清掃部110に装着されて使用される。
【0077】
詳細には、クリーニングシート1Aにおいて、スリット不織布層10S1,10S2に形成されたスリット11の長さ方向(MD方向)を、長方形状の清掃部110の長手方向に一致させ、スリット不織布層10S1,10S2に形成されたスリット11の長さ方向に対する直角方向の両側端部(接合部31)側を清掃部110の清掃面150とは反対側の上面側の4個のシート保持部140に係合させることにより取付けられる。
これより、クリーニングシート1Aは、そのスリット不織布層10S2側またはスリット不織布層10S1側が清掃部110の下面の清掃面150に対向し、清掃面150との対向側とは反対側のスリット不織布10S1側またはスリット不織布層10S2側が床面等の被清掃面を清掃する清掃側となる。なお、以下、便宜上、床面等の被清掃面の清掃側となるスリット不織布10S1またはスリット不織布層10S2の方向を区別することなく、スリット不織布層10S1,10S2として表す。
【0078】
特に、本実施の形態1のクリーニングシート1Aを清掃用具100に装着する際には、スリット11の長さ方向に対し略直角方向(CD方向)の引張力を加えることにより、スリット不織布層10S1,10S2においてスリット11が拡開すると共にスリット11の周囲が起立変形し網状に拡げられた状態で清掃用具100のシート保持部140に保持、固定させる。即ち、スリット11の長さ方向に対し略直角方向(CD方向)の引張力により、ベース不織布層20Aの面方向に対してスリット不織布層10S1,10S2の拡開したスリット11の網状の周囲が垂直方向に立ち上がりスリット不織布層10S1,10S2が嵩高くされた状態のクリーニングシート1Aを、スリット11の長さ方向に対する直角方向の両側端部(接合部31)側で、清掃用具100のシート保持部140に係合させる。こうした清掃用具100のシート保持部140への係合により、クリーニングシート1Aでは、スリット不織布層10S1,10S2の嵩高状態が維持されることになる。
【0079】
このようにしてクリーニングシート1Aが装着された掃除用具100を、その把手130を持って床面等の被清掃面上に滑らせると(摺動させると)、掃除用具100の清掃部110に装着されたクリーニングシート1Aのスリット不織布層10S1,10S2では、拡開したスリット11の網状の周囲がベース不織布層20Aの面方向に対して垂直方向に立ち上がり、即ち、立体化し嵩高くなっていることで、柔軟性、クッション性が良く、また、凹凸が生じているから、被清掃面に接触しやすくなり、しかも、均等に力が加えられやすくなる。よって、床上等の被清掃面上の汚れを効率的に捕捉することができる。
【0080】
特に、本実施の形態1のスリット不織布層10S1,10S2に形成された複数のスリット11は、スリット11の長さをLaとし、スリット11の長さ方向のスリット11相互間の間隔をLbとしたとき、La>Lbであり、並列状に隣り合うスリット列(L1,L2,L3,…Ln)相互では、一方のスリット列のスリット11の長さの1/2位置が、その隣に並列する他方のスリット列のスリット11の長さ方向のスリット11相互長さの1/2位置に対応する配列であり、スリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力によるスリット11の拡開により、拡開したスリット11の周囲がベース不織布層20Aの面方向に対して垂直方向に立ち上がり立体化していることで毛髪や埃等の固形ゴミを絡み取り、掻き取りやすいうえ、スリット11の周囲が網状に広がるものであるから、何れの方向に動いても毛髪や埃等の固形ゴミを絡み取り、掻き取りにより取り入れることができる。
【0081】
更に、本実施の形態1のクリーニングシート1Aでは、スリット不織布層10S1,10S2に対し、貫通孔を有しないベース不織布20Aを重ね合わせているから、清掃面となるスリット不織布層10S1,10S2の拡開したスリット11の開口から入り込んだ毛髪や埃等の固形ゴミはベース不織布層20Aに衝突し、スリット不織布層10S1,10S2とベース不織布層20Aと間に潜り込ませ保持、格納することができる。殊に、本実施の形態1のスリット不織布層10S1,10S2は、所定方向の引っ張り力でスリット長に対して直角方向にスリット11が拡開して、拡開したスリット11の周囲が網状に拡がるものであるから、スリット長に対して直角方向に隣接する拡開したスリット11相互間が起立しやすいことで、その起立部分にゴミを潜り込ませ、保持、格納しすいものとなる。
よって、スリット不織布層10S1,10S2の面方向に毛髪や埃等の固形ゴミが通り抜ける清掃漏れがなくなる。
【0082】
更にまた、貫通孔を有しないベース不織布層20Aによってスリット不織布層10S1,10S2の最大伸びを制限していることで、弾性限界を超えた変形を阻止できるから、ゴミの引っ掛かり等で摺動時の摩擦抵抗が高くなったときでも、スリット不織布層10S1,10S2の拡開したスリット11の開口の過大変形を阻止でき、スリット11周囲の網状組織の切れ、引き裂きを防止できるから、捕捉したゴミが落ち難く、高い保持性能を有する。よって、捕捉した固形ゴミの落下による逆汚染もない。そして、このように貫通孔を有しないベース不織布層20Aによってスリット不織布層10S1,10S2の最大伸びを制限していることで、網状に拡がったスリット不織布層10S1,10S2は破れ難くなるから、毛髪や埃等の固形ゴミを多く捕獲できる。
したがって、毛髪や埃等の固形ゴミの絡み取り、掻き取り能力が高いうえ、ゴミの保持能力も高いから、ゴミの除去効率に優れるものである。
【0083】
加えて、本実施の形態1のクリーニングシート1Aでは、所定方向の引っ張り力によるスリット11の拡開で網状に拡がるスリット不織布層10S1,10S2に対し、貫通孔を有しないベース不織布層20Aが重ね合わせられており、拡開したスリット11の網状の周囲が起立したスリット不織布層10S1,10S2とその拡開したスリット11の開口から表出するベース不織布層20Aとで表面積が大きいことによって、しみ汚れ、付着液体等の水分、油分のある液状汚れに対しても拭き取り性能が高いものである。特に、網状に拡がるスリット不織布層10S1,10S2及びその拡開したスリット11の開口から表出するベース不織布層20Aとの段差で液状汚れに対する擦り取り、掻き取り性が高い。また、スリット不織布層10S1,10S2に貫通孔を有しない平面的なベース不織布層20Aを重ねることによりスリット不織布層10S1,10S2の最大伸びを制限していることで、大きな力を加えても、網状に広がるスリット不織布層10S1,10S2が破れ難く、拭き取りに好適である。
こうして、本実施の形態のクリーニングシート1Aによれば、絡み取り、掻き取り性能と拭き取り性能との両立を可能とする。
【0084】
また、本実施の形態1のクリーニングシート1Aでは、スリット不織布層10S1及びスリット不織布層10S2の間にベース不織布層20Aを重ね合わせているものであり、スリット不織布層10S1,10S2とベース不織布層20Aとで、繊維素材、繊維配合、目付量、製造方法等の相違により、親水性や疎水性、或いは、帯電性といった特性の相違を付与できるから、幅広い汚れに対する除去効果を高めることが可能である。例えば、スリット不織布層10S1,10S2とベース不織布層20Aとで、親水性繊維や疎水性繊維の配合を相違させることで、高い絡み取り、掻き取り性能と高い拭き取り性能との両立を可能とする。即ち、スリット不織布層10S1,10S2では、ベース不織布層20Aよりも疎水性の合成繊維を多くすることで、強度を確保して、立体化するスリット不織布層10S1,10S2の細かい網状により、毛髪や埃等の固形ゴミの絡み取り、掻き取り性能や疎水性汚れの除去性能を高めることができる一方で、ベース不織布層20Aでは、スリット不織布層10S1,10S2よりも親水性の植物繊維を多くすることで、親水性、保水性を確保し、親水性の汚れに対する拭き取り性能を高めることができ、毛髪や埃等の固形ゴミの絡み取り、掻き取り効果や疎水性の汚れの除去と、しみ汚れ、付着液体等の液状汚れの高い拭き取り効果との両立を可能とする。また、スリット不織布層10S1,10S2とベース不織布層20Aとで帯電性能を相違させることで、毛髪や埃等の固形ゴミの絡み取り等の捕獲性能を高めることも可能となる。
【0085】
更に、湿潤状態(ウェットな状態)で使用する場合でも、スリット不織布層10S1,10S2とベース不織布層20Aとで親水性繊維や疎水性繊維の配合を相違させることで、スリット不織布層10S1,10S2とベース不織布層20Aが張り付き難くなるから、軽い力で拭ける滑り性、操作性、作業性が維持され、スリット不織布層10S1,10S2も破れ難いものとなる。特に、ベース不織布層20Aでスリット不織布層10S1,10S2よりも親水性の植物繊維を多くすることで、薬液が多く保持され、拭き取る際に、汚れを湿潤化して汚れを除去しやすくすることも可能となる。
【0086】
加えて、ベース不織布層20Aによりスリット不織布層10S1,10S2の最大伸びを制限していることで、使用時にスリット不織布層10S1,10S2がヨレ難くなり、型崩れし難く形状が維持されやすいから、床面との間で引っ掛かりが生じ難く、清掃用具100の把手130に加えた力を損失させることなく良好な軽い力での滑り性が維持され、良好な操作性、作業性を維持できる。
【0087】
特に、本実施の形態1のクリーニングシート1Aでは、ベース不織布層20Aの表裏にスリット不織布層10S1,10S2を配設した3層構造であり、所定方向の引っ張り力で網状に拡がるスリット不織布層10S1,10S2がシート1Aの表裏の両面に配設するから、掃除用具100に装着した清掃中に、清掃用具100の清掃面150との位置ずれが生じ難くて、シート1Aがヨレ難くなり、スムースな作業性、操作性が維持される。
【0088】
更に、本実施の形態1のクリーニングシート1Aは、スリット不織布層10S1,10S2に貫通孔を有しないベース不織布層20Aが重ね合わせられていることで、床面等の被清掃面の汚れがクリーニングシート1Aの厚み方向に貫通して、即ち、ストレートに通過して掃除用具100の清掃面150に付着することはなく、清掃用具100の清掃面150を汚染しない。手で清掃する場合にも同様であり、シート1Aを持つ手に汚れが付着しない。
【0089】
加えて、本実施の形態1のクリーニングシート1Aでは、ベース不織布層20Aの表裏にスリット不織布層10S1,10S2を配設した3層構造であり、所定方向の引っ張り力で網状に拡がるスリット不織布層10S1,10S2がシートの両面に存在し、一方のスリット不織布層10S1または10S2側で被清掃面を清掃したときでも、他方のスリット不織布層10S2または10S1側に汚れが付着しないから、被清掃面を逆汚染することなく他方のスリット不織布層10S2または10S1側を清掃に使用でき、シートの両面で、即ち、スリット不織布層10S1及びスリット不織布層10S2の両側で、固形ゴミの絡み取り、掻き取り及び液状汚れの拭き取りの高い効果を得ることが可能であり、汚れの捕捉能力に優れる。更に、表裏を反転して使用する際にも、清掃用具100の清掃面150を汚しにくいものとなる。
【0090】
そして、本実施の形態1のクリーニングシート1Aは、ベース不織布層20Aによってスリット不織布層10S1,10S2の最大伸びを制限することにより、網状に拡がるスリット不織布層10S1,10S2の弾性限界を超えた変形を阻止できるから、使用後に、清掃用具100のシート保持部140からシート1Aを外し、引張力が解除された状態では、スリット不織布層10S1,10S2の拡開していたスリット11の開口が縮小し、スリット11周囲の起立が低減して、減容化する。特に、スリット11の長さ方向に引っ張ることで、スリット11周囲の起立が低減しやすく、スリット11が閉じる方向に縮小し元の状態に戻りやすくなる。よって、廃棄時にも嵩張り難いものである。更に、引張力を解除した使用後は、スリット不織布層10S1,10S2の拡開していたスリット11の開口が縮小することで、スリット11の開口から取り込まれたゴミをベース不織布層20Aと減容化したスリット不織布層10S1,10S2との間に格納、閉じ込めることができるから、廃棄時に周囲を汚しにくく、また、不潔感を与えにくいものとなる。
【0091】
特に、貫通孔を有しないベース不織布層20Aに用いる不織布のCD方向の伸び率が、JIS L 1913(2010)に準拠した測定で、70%~170%の範囲内であると、また、スリット不織布層10S1,10S2に用いる不織布のCD方向の伸び率/ベース不織布層20Aに用いる不織布のCD方向の伸び率=1.02~2.5の範囲内であるものであると、清掃用具100のシート保持部140で保持したときの引っ張り力で伸びきりやすいから、ベース不織布層20Aとスリット不織布10S1,10S2と間で捕獲したゴミの嵩張りが抑えられ、捕獲したゴミを溢すことなく、ベース不織布層層20Aとスリット不織布層10S1,10S2と間に閉じ込めることができ、周囲を汚さないで破棄することが可能である。
【0092】
よって、廃棄時の嵩を抑えて、廃棄物の運搬コストの削減化、しいては、運搬過程に投じられるエネルギーの削減による環境負荷の軽減を図ることができる。
【0093】
こうして、本実施の形態1のクリーニングシート1Aによれば、ベース不織布層20Aによってスリット不織布層10S1,10S2の最大伸びを制限することにより可逆的に体積変化できるものであり、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らず、使用時には引っ張りによりスリット11の周囲が起立することで嵩高く立体化するスリット不織布層10S1,10S2によって、汚れの高い除去効果が得られ、更に、使用後は再び減容できることでゴミ袋、ゴミ箱内、更には、廃棄処理過程で場所を取らない省スペースのものとなる。よって、輸送や保管の物流過程、また、廃棄処理過程でのコストの削減化が可能であり、また、それらの過程で投じられるエネルギー消費の削減化による環境負荷の軽減を可能とする。
【0094】
以上、説明してきたように、本実施の形態1の積層シートとしてのクリーニングシート1Aは、スリット11が複数形成されたスリット不織布層10S1,10S2と、スリット不織布層10S1,10S2に重ね合わせて接合固定され、スリット11の長さ方向に対する直角方向でスリット不織布層10S1,10S2の最大伸びを制限する、貫通孔を有しないベース不織布層20Aとを具備し、スリット不織布層10S1,10S2は、スリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加えられたときに、スリット11がその長さ方向に対する直角方向に拡開し、拡開したスリット11の周囲がスリット不織布層10S1,10S2の面方向に対して垂直方向に立ち上がるものである。
【0095】
このような本実施の形態1のクリーニングシート1Aによれば、スリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力によって、スリット不織布層10S1,10S2の複数のスリット11がその長さ方向に対する直角方向に拡開して網目を形成すると共に、複数の拡開したスリット11の周囲がスリット不織布層10S1,10S2の面方向に対して垂直方向に立ち上がることで嵩高くなるものであるから、スリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加わらない状態では、容積、即ち、嵩が抑えられ、使用時には、スリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力を加えることにより嵩高くなる。よって、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らずに場所をとらない。そして、使用時にはスリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力を加えることで、嵩高くできるから、汚れの高い除去性能が得られる。
【0096】
更に、本実施の形態1のクリーニングシート1Aによれば、引っ張り力によりスリット11の周囲が起立することで立体化するスリット不織布層10S1,10S2は、それに接合固定したベース不織布層20Aによってスリット11の長さ方向に対する直角方向の最大伸びが制限され、使用時の張力による弾性限界を超える伸びきりが抑制される。したがって、引っ張り力を解除した使用後は、拡開したスリット11が元のスリット状態に縮小しやすく、スリット11周囲の起立が低減し、減容化できる。特に、スリット11の長さ方向に引っ張ることで、スリット11周囲の起立が低減しやすく、スリット11が閉じる方向に縮小し元の状態に戻りやすくなる。よって、廃棄時にも嵩張り難いものとなる。
【0097】
また、本実施の形態1のクリーニングシート1Aによれば、スリット不織布層10S1,10S2のスリット11の長さ方向に対する直角方向の最大伸びを制限するベース不織布層20Aによって、スリット不織布層10S1,10S2のスリット11の過剰な変形が阻止されることになるから、スリット不織布層10S1,10S2は破れ難いものとなる。よって、乾燥状態(ドライ状態)のみならず、水やワックス等を含侵させた湿潤状態でも破れ難くできる。
【0098】
そして、本実施の形態1のクリーニングシート1Aによれば、ベース不織布層20Aの表裏の両面側にスリット不織布層10S1,10S2が配設した3層構造であり、スリット不織布10S1,10S2が清掃面側となる表層にあるから、所定方向の引っ張り力によりスリット11が拡開し開口したスリット不織布10S1,10S2により髪の毛、埃等の固形ゴミの絡み取り、掻き取り性能が高いものとなる。そして、引っ張り力を解除した使用後は、拡開したスリット11が元のスリット状態に縮小しやすくなっていることで、スリット不織布10S1,10S2の拡開したスリット11の開口から取り入れられたゴミは、ベース不織布層20Aとスリット不織布層10S1,10S2との間に格納、閉じ込めることができる。このため、廃棄時に周囲を汚しにくく、また、不潔感を与えにくいもとなる。
【0099】
特に、スリット不織布層10S1,10S2を形成する不織布とベース不織布層20Aを形成する不織布とは、JIS L 1913(2010)に準拠した測定で、スリット11の長さ方向に対する直角方向、即ち、CD方向の伸び率について、スリット不織布層10S1,10S2の伸び率/ベース不織布層20Aの伸び率=1.02~2.5の範囲内であると、スリット不織布層10S1,10S2のスリット11の開口を十分に大きくでき、高い嵩高効果が得られる。また、引っ張り力を解除した使用後は、スリット不織布層10S1,10S2の拡開したスリット11が元の状態に戻りやすく、かつ、貫通孔を有しない平面状のベース不織布層20Aについては、伸びきりやすくなり、引張り力を取り除いても伸長が維持される。このため、減容効果を高くできる。特に、清掃用具100のシート保持部140で保持したときの引っ張り力で伸びきりやすく、引っ張り力を取り除いても縮小し難いものとなる。このため、清掃面側となる表層にあるスリット不織布10S1,10S2とベース不織布層20Aとの間で捕獲したゴミの嵩張りが抑えられ、捕獲したゴミを溢すことなく、ベース不織布層20Aとスリット不織布層10S1,10S2と間に閉じ込めることができ、周囲を汚さないで破棄することが可能である。よって、廃棄時の嵩をより低減化できる。更に、伸び率が当該範囲内であれば、接合箇所に係る負荷を少なくでき、また、引っ張り力による歪みが生じ難く、外力が分散されやすいものとなる。
【0100】
また、ベース不織布層20Aに使用する不織布は、スリット11の長さ方向に対する直角方向、即ち、CD方向の伸び率が、JIS L 1913(2010)に準拠した測定で、70%~170%の範囲内であるものを用いると、組み合わせるスリット不織布の製法、種類を限定することなく、スリット不織布層10S1,10S2のスリット11の開口を十分に大きくでき、高い嵩高効果が得られる。よって不織布の選択自由度を高めることができる。また、引っ張り力を解除した使用後は、スリット不織布層10S1,10S2の拡開したスリット11が元の状態に戻りやすく、かつ、貫通孔を有しないベース不織布層20Aについては、伸びきりやすくなり、引張り力を取り除いても伸長が維持される。このため、減容効果を高くできる。
【0101】
こうして、本実施の形態1のクリーニングシート1Aによれば、ベース不織布層20Aによってスリット不織布層10S1,10S2のスリット11の長さ方向に対する直角方向の最大伸びを制限することで、スリット不織布層10S1,10S2の可逆的な体積変化を可能とし、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らず、使用時には引っ張り力によりスリット11の周囲が起立することで嵩高く立体化するスリット不織布層10S1,10S2によって、汚れの高い除去効果が得られ、更に、使用後は再び減容できることで廃棄時にも場所を取らない省スペースのものとなる。よって、輸送や保管の物流過程、また、廃棄処理過程でのコストの削減化が可能であり、更に、それらの過程で投じられるエネルギー消費の削減化による環境負荷の軽減を可能とする。
【0102】
特に、本実施の形態1のクリーニングシート1Aのスリット不織布層10S1,10S2は、複数のスリット11が、スリット不織布層10S1,10S2のMD方向に沿って延び、互いに間隔を空けて直列状、及び、MD方向に対して直角なCD方向に並列状に形成され、スリット11が直列状に配するスリット列(L1,L2,L3,…Ln)では、スリット11の長さをLaとし、スリット11の長さ方向のスリット11相互間の間隔長さをLbとしたとき、La>Lbであり、また、スリット11が並列状に隣り合うスリット列(L1,L2,L3,…Ln)相互では、一方のスリット列のスリット11の長さの1/2位置が、その隣に並列する他方のスリット列(L1,L2,L3,…Ln)のスリット11の長さ方向のスリット11相互間の間隔長さ位置に対応し、スリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加えられたときに、複数のスリット11がその長さ方向に対する直角方向に拡開して網目を形成すると共に、複数の拡開したスリット11の網状の周囲がスリット不織布層10S1,10S2の面方向に対して垂直方向に立ち上がるものである。
【0103】
このような本実施の形態1のクリーニングシート1Aによれば、所定方向の引っ張り力により、スリット不織布層10S1,10S2の所定の配列のスリット11が拡開して網目状を形成し、スリット不織布層10S1,10S2が網状に広がるから、何れの方向の動いても嵩高による汚れの高い除去効果が得られる。よって、清掃漏れを少なくできる。
【0104】
そして、このような所定配列の複数のスリット11により、所定方向の引っ張り力で網目に広がるスリット不織布層10S1,10S2は、小さい張力で嵩高くでき、かつ、外力が分散されやすいから、強度を高くでき破れ難いものとなる。
更に、スリット不織布層10S1,10S2はMD方向に沿ってスリット11を形成したものであるから、スリット加工時に不織布の抜けカス、繊維の抜け、毛羽立ちが生じ難い。このため、清掃時等に摩擦等で繊維が切れたり、繊維が解けて抜け落ちたりし難いものであり、解けた或いは切れた繊維くず(リント)の落下による払拭面の逆汚染も生じ難いものである。
【0105】
更に、本実施の形態1のクリーニングシート1Aのスリット不織布層10S1,10S2の直列状、及び、並列状に形成された複数のスリット11は、MD方向の両端部に位置するものを除き、スリット長Laを同一とし、また、各スリット列(L1,L2,L3,…Ln)のスリット11の長さ方向のスリット11相互の間隔長さLbも同一とし、更に、並列するスリット列(L1,L2,L3,…Ln)相互のスリット11の長さ方向に対する直角方向の間隔W1も同一としたものである。
【0106】
したがって、本実施の形態1のクリーニングシート1Aによれば、引っ張り力により網目状に拡がる拡開したスリット11の開口が略均一に分布することになるから、外力が均一に分散されやすく、部分的に作用する荷重(集中荷重)が生じ難いことで、より強度がつよくて破れ難いものとなる。よって、網目を細かくして汚れの除去能力を高めることも可能となる。
【0107】
加えて、本実施の形態1のクリーニングシート1Aによれば、スリット不織布層10S1,10S2の並列状に隣り合うスリット列(L1,L2,L3,…Ln)相互では、一方のスリット列のスリットの長さの1/2位置が、その隣に並列する他方のスリット列のスリット11の長さ方向のスリット11相互間の長さの1/2位置に対応しているものである。このため、網目の歪みがなく、外力がより分散されやすい。よって、より破れ難く耐久性の高いものとなる。故に、網目を細かくして汚れの除去能力を高めることが可能である。
【0108】
そして、本実施の形態1のクリーニングシート1Aは、ベース不織布層20Aが、貫通孔を有しないものであり、そのベース不織布層20Aの表裏の両面側にスリット不織布層10S1,10S2が配設した3層構造であるものである。
【0109】
よって、本実施の形態1のクリーニングシート1Aによれば、それを清掃用具100に装着して清掃しても床面等の被清掃面上の汚れがスリット不織布層10S1,10S2の清掃面とは反対面側に通過せず、清掃用具のシート装着面(清掃面150)を汚染しない。勿論、手で清掃する場合にも同様であり、シート1Aを持つ手に汚れが付着しない。
【0110】
更に、シート1Aの両面側の表層にスリット不織布層10S1,10S2が配設するから、その嵩高く立体化するスリット不織布層10S1,10S2によって、髪の毛、埃等の固形ゴミの絡み取り、掻き取りの高い効果が得られる。特に、貫通孔を有しないベース不織布層20Aの表裏の両面側にスリット不織布層10S1,10S2が配設した3層構造では、一方のスリット不織布層10S1またはスリット不織布層10S2で被清掃面を清掃したときでも、他方のスリット不織布層10S2またはスリット不織布層10S1に汚れが付着しないから、表裏を反転して他方のスリット不織布層10S2またはスリット不織布層10S1側でも被清掃面を逆汚染することなく清掃でき、シート1Aの両面でゴミ、汚れの高い除去効果を得て、1枚のシートで汚れを多く除去することが可能となる。
【0111】
加えて、スリット不織布層10S1,10S2の間に介在するベース不織布層20Aは貫通孔を有しないから、所定方向の引っ張り力が加えられたとき、スリット不織布層10S1,10S2の拡開したスリット11の開口から平面的なベース不織布層20Aが表出し、清掃面の表面積を広くするから、しみ汚れ、付着液体等の液状汚れの拭き取り性を向上できる。よって、絡み取り、掻き取り効果と拭き取り効果との両立を可能とする。
【0112】
更に、ベース不織布層20Aがスパンレース不織布であると、CD方向の伸び、横伸びを高くできるから、小さい張力でスリット不織布層10S1,10S2のスリット11を拡開できる、よって、張力による負荷を少なくして破れ難くできる。
また、スリット不織布層10S1,10S2が、スパンレース不織布であれば、柔らかく、嵩高性に優れる。よって、軽い力での汚れの除去に好適である。スリット不織布層10S1,10S2が、スパンボンド不織布、SMS不織布またはSMMS不織布であれば、コシや強度を高くできるから、耐久性を向上できる。更に、スリット加工時に繊維の抜け、毛羽立ちが生じ難いから、清掃時に摩擦等で繊維が切れたり、繊維が解けて抜け落ちたりし難いものであり、解けた或いは切れた繊維くず(リント)の落下による被清掃面への逆汚染も生じ難いものとなる。スリット不織布層10S1,10S2がメルトブロー不織布であれば、油分等の拭き取りにも優れるものとなる。
【0113】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る積層シートとしてのクリーニングシート1Bについて、
図9乃至
図12を参照して説明する。本発明の実施の形態2も、本発明の積層シートをクリーニングシートに適用した場合を例示するものである。
本実施の形態2に係るクリーニングシート1Bは、スリット不織布層10S
1,10S
2の間に介在させたベース不織布層20Bが、スリット不織布層10S
1,10S
2と同様、複数のスリット21が形成されている点で上記実施の形態1と相違する。その他の基本的構成は、実施の形態1と同一であるため、ここでは、詳細な説明を省略し、上記実施の形態1と相違する点のみについて説明する。
【0114】
即ち、本実施の形態2のクリーニングシート1Bは、その表裏に配設しスリット11が複数形成されたスリット不織布層10S1,10S2の間に、スリット21が複数形成されスリット不織布層10S1,10S2のスリット11の長さ方向に対する直角方向の最大伸びを制限するベース不織布層20Bが配設した3層構造の積層シートである。
【0115】
本実施の形態2のベース不織布層20Bも、上記実施の形態1で説明したベース不織布層20Aのときと同様、スリット不織布層10S1,10S2のスリット11の長さ方向に対する直角方向の最大伸びを制限するものであればよいが、上記実施の形態1のベース不織布層20Aがスリット等の貫通孔を有しないのに対し、本実施の形態2のベース不織布層20Bにおいては、複数のスリット21を有するものである。
【0116】
ここで、本実施の形態2のベース不織布層20Bにおいては、スリット不織布層10S1,10S2と同様、スリットカッター等を使用したスリット加工によって、それが製造されるときの機械的な移送方向(以下、単に、「MD方向」とする)に沿って直列状、かつ、MD方向に対して直角なCD方向に並列状に多数のスリット21が形成されたものである。即ち、本実施の形態2のベース不織布層20Bにおいても、スリット不織布層10S1,10S2と同様、線状のスリット21は、不織布のMD方向に沿って所定の間隔Ldを空けて直列状に形成され、かつ、直列状にスリット21が配列したスリット列がMD方向に直角なCD方向に所定の間隔W2を空けて並列的に複数形成されている。
【0117】
本実施の形態2のベース不織布層20Bにおいても、スリット不織布層10S1,10S2と同様、MD方向に直列状にスリット21が配列した各スリット列において、スリット21の長さをLcとし、スリット21の長さ方向のスリット21相互間の間隔をLdとしたとき、Lc>Ldである。そして、並列状に隣り合うスリット列相互では、一方のスリット列のスリット21の長さの1/2位置が、その隣に並列する他方のスリット列のスリット21の長さ方向のスリット21相互間の長さ位置に対応する。特に、本実施の形態2のベース不織布層20Bでも、並列状に隣り合うスリット列相互において、一方のスリット列のスリット11の長さの1/2位置が、その隣に並列する他方のスリット列のスリット21の長さ方向のスリット21相互の間隔長さLdの1/2位置に対応する。即ち、並列状に隣り合うスリット列相互において、一方のスリット列のスリット21の長さ方向の中間位置が、その隣りのスリット列におけるスリット21の長さ方向のスリット21相互間の間隔長さLdの中間位置に対応する。
【0118】
スリット21の長さLcは、例えば、5~15mmとされ、好ましくは、6~10mmとされ、また、スリット21の長さ方向のスリット21相互間の長さLdは、例えば、2~5mmとされ、好ましくは、2~4mmとされる。並列するスリット列の相互間の幅W2は、例えば、1.5~3mm、好ましくは、1.5~2.5mmとされる。
【0119】
更に、本実施の形態2のベース不織布層20Bにおいても、スリット不織布層10S1,10S2と同様、MD方向の端部に位置するものを除き、スリット21の長さLcを統一し、また、直列状に配設するスリット列のスリット21の長さ方向のスリット21の相互間の間隔Ldを統一し、更に、並列状に配置するスリット列相互のスリット21の長さ方向に対する直角方向の間隔W2も統一している。このように同一スリット長Lc及び同一スリット間隔Ld,W2で形成された複数のスリット21からなるスリット群では、スリット21の長さ方向に対し略直角方向(CD方向)の引っ張りにより、均一な網目を形成するから、外力が均一に分散され特定の箇所での負荷の集中による破れが生じ難く、引裂強度を高くできる。よって、細かい多数のスリット21を形成して、スリット長方向に対する直角方向に伸ばしたときの拡開するスリット21の網目密度を高めても、ベース不織布層20Bが破れ難く、ベース不織布層20Bの細かな網状により毛髪や埃等の固形ゴミの掻き取り性能、絡み取り性能を向上させることが可能である。
【0120】
そして、本実施の形態2のベース不織布層20Bは、スリット11の長さ方向に対する直角方向でクリーニングシート1Bに引っ張り力が加えられた際、スリット不織布層10S1,10S2の弾性限界を超える伸びきり、即ち、最大伸びを制限できるものであれば、つまりは、ベース不織布層20Bのスリット21の長さ方向に対する直角方向の伸び率が、スリット不織布層10S1,10S2のスリット11の長さ方向に対する直角方向の伸び率よりも小さくあれば、ベース不織布層20Bのスリット21は、スリット不織布層10S1,10S2のスリット11と同一のスリット配列(スリット長さ及びスリット相互の間隔)としてもよいし、相違させてもよい。
【0121】
なお、本実施の形態2では、表層に配設されるスリット不織布層10S1,10S2の不織布の坪量(目付量)は、強度及び嵩高性の両立の観点から、例えば、20~50g/m2とされる。好ましくは、25~45g/m2、より好ましくは、30~40g/m2であると、高い嵩高性、柔軟性が得られることで、汚れの効率的な捕捉を可能とする。エンボス加工を施したものを使用してもよい。
また、スリット21を有するベース不織布層20Bの不織布の坪量(目付量)は、伸張性、強度等の観点から、例えば、30~80g/m2とされ、好ましくは、40~75g/m2、より好ましくは、60~70g/m2とされる。更に、スリット21を有するベース不織布層20Bでは、JIS L 1913(2010)に準拠した測定で、スリット21の長さ方向に対する直角方向、即ち、CD方向の伸び率について、150~170%の範囲内のものが好ましい。当該範囲内であれば、清掃用具100に装着した使用時の弾性限界を超える伸びきりが生じ難くなるから、破れ難いものとなりまた、使用後の嵩の減容化を可能とする。
【0122】
本実施の形態2のクリーニングシート1Bでは、ベース不織布層20B及びスリット不織布層10S1,10S2は、互いにそのスリット11,21の長さ方向同士、即ち、MD方向同士を一致させて重ね合わせられ、上記実施の形態1のときと同様、互いに分離しないようそれらの端部等で超音波溶着等によって接合固定されている。
【0123】
このような本実施の形態2のクリーニングシート1Bにおいて、MD方向に沿って延びるスリット11,21の長さ方向に対し略直角方向(CD方向)に引っ張ると、即ち、張力を加えると、スリット不織布層10S1,10S2のスリット11がその長さ方向に対する略直角方向に拡開して網目を形成し、拡開したスリット11の周囲が網状に拡がり、スリット不織布層10S1,10S2の面方向に対して垂直方向に立ち上がると共に、ベース不織布層20Bのスリット21もその長さ方向に対する略直角方向に拡開して、ベース不織布層20Bもスリット21の長さ方向に対し略直角方向(CD方向)に伸び、拡開したスリット21の周囲がベース不織布層20Bの面方向に対して垂直方向に立ち上がる。
【0124】
したがって、本実施の形態2のクリーニングシート1Bにおいては、スリット不織布層10S1,10S2のスリット11の周囲の起立変形に加え、ベース不織布層20Bのスリット21の周囲も起立変形し、立体化するから、嵩高性を向上させることができ、床上等の被清掃面上の汚れの除去に優れるものとなる。
特に、本実施の形態2のクリーニングシート1Bでは、このように、スリット不織布層10S1,10S2及びベース不織布層20Bの3層ともスリットが形成されて所定方向の引っ張り力で網状に拡げられ、シート1Bの厚み方向で、拡開したスリット11、21の貫通した開口を有する網状になり、凹凸差や凹凸が増し、髪の毛、埃等の固形ゴミの絡み取り、掻き取り性能に優れ、清掃漏れも少なくできるものである。
【0125】
こうして、本実施の形態2のクリーニングシート1Bも、引っ張り力が加えられていないときには、スリット不織布層10S1,10S2及びベース不織布層20Bは平面的で低容積であり、輸送や保管時の未使用時には嵩張らず場所をとらないのものとなる。
一方で、所定方向に引っ張り力が加えられると、スリット不織布層10S1,10S2及びベース不織布層20Bは、複数のスリット11,21が、そのスリット長方向に対する略直角方向に拡開、変形して網目を形成し、スリット11,21の周囲が、起立変形して網状を形成し、嵩高で高容積のものとなる。
【0126】
したがって、本実施の形態2のクリーニングシート1Bも、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らず省スペースで済むことで、流通コストを抑えることができて経済的であり、使用時(清掃時)には、所定方向に引張力を加えることで、嵩高くなり、その嵩高効果、柔軟性により、床上等の被清掃面上の塵、埃、毛髪等の固形ゴミ、しみ、付着液体等の異物や汚れの高い除去性能が得られるものである。
【0127】
そして、本実施の形態2のクリーニングシート1Bも、ベース不織布層20Bによってスリット11,21の長さ方向に対し直角な方向の引っ張り力が加えられたときのスリット不織布層10S1,10S2の弾性限界を超える伸びきり、即ち、最大伸びを制限しているから、引っ張り力を解除した使用後は、スリット不織布層10S1,10S2の拡開したスリット11が元のスリット状態に縮小しやすく、スリット11周囲の起立が低減し、減容化できる。特に、スリット11の長さ方向に引っ張ることで、スリット11周囲の起立が低減しやすく、スリット11が閉じる方向に縮小し元の状態に戻りやすくなる。よって、廃棄時にも嵩張り難いものとなる。更に、引っ張り力を解除した使用後は、網状に拡がっていた表層のスリット不織布層10S1,10S2が元の状態に縮小し、拡開したスリット11の開口が元のスリット状態に戻りやすくなっていることから、スリット不織布層10S1,10S2の拡開したスリット11の開口から取り込まれたゴミをスリット不織布層10S1及びスリット不織布層10S2間で格納、閉じ込めることができる。このため、廃棄時に周囲を汚しにくく、また、不潔感を与えにくい。
【0128】
以上、説明してきたように、本実施の形態2のクリーニングシート1Bは、スリット11が複数形成されたスリット不織布層10S1,10S2と、スリット不織布層10S1,10S2に重ね合わせて接合固定され、スリット11の長さ方向に対する直角方向でスリット不織布層10S1,10S2の最大伸びを制限する、スリット21が複数形成されたベース不織布層20Bとを具備し、スリット不織布層10S1,10S2は、スリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加えられたときに、スリット11がその長さ方向に対する直角方向に拡開し、拡開したスリット11の周囲がスリット不織布層10S1,10S2の面方向に対して垂直方向に立ち上がるものである。
【0129】
このような本実施の形態2のクリーニングシート1Bによれば、スリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力によって、スリット不織布層10S1,10S2の複数のスリット11がその長さ方向に対する直角方向に拡開し、複数の拡開したスリット11の周囲がスリット不織布層10S1,10S2の面方向に対して垂直方向に立ち上がることで嵩高くなるものであるから、スリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加わらない状態では、容積、即ち、嵩が抑えられ、使用時にスリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力を加えることにより嵩高くなる。よって、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らずに場所をとらない。そして、使用時にはスリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力を加えることで、嵩高くできるから、汚れの高い除去性能が得られる。
【0130】
特に、本実施の形態2のクリーニングシート1Bによれば、スリット不織布層10S1,10S2とベース不織布層20Bは、それらのスリット11,21の長さ方向を一致させて重ね合わせられており、スリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力によって、ベース不織布層20Bの複数のスリット21もその長さ方向に対する直角方向に拡開すると共に、複数の拡開したスリット21の周囲がベース不織布層20Bの面方向に対して垂直方向に立ち上がることで嵩高くなり、スリット不織布層10S1,10S2及びベース不織布層20Bの全層で引っ張り力によりスリット11,21の網状の周囲が起立するから、嵩高性が向上する。よって、髪の毛、埃等の固形ゴミの絡み取り、掻き取り性能の向上を可能とする。
【0131】
また、本実施の形態2のクリーニングシート1Bのベース不織布層20Bは、複数のスリット21が、ベース不織布層20BのMD方向に沿って延び、互いに間隔を空けて直列状、及び、MD方向に対して直角なCD方向に並列状に形成され、スリット21が直列状に配するスリット列では、スリット21の長さをLcとし、スリット21の長さ方向のスリット21相互間の間隔長さをLdとしたとき、Lc>Ldであり、また、スリット21が並列状に隣り合うスリット列相互では、一方のスリット列のスリット21の長さの1/2位置が、その隣に並列する他方のスリット列のスリット21の長さ方向のスリット21相互間の間隔長さ位置に対応し、スリット21の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加えられたときに、複数のスリット21がその長さ方向に対する直角方向に拡開して網目を形成すると共に、複数の拡開したスリット21の網状の周囲がベース不織布層20Bの面方向に対して垂直方向に立ち上がるものである。このため、ベース不織布層20Bにおいても、所定方向の引っ張り力によりスリット21が拡開して網目状を形成し、ベース不織布層20Bが網状に広がるから、何れの方向の動いても嵩高による汚れの高い除去効果が得られる。よって、清掃漏れを少なくできる。
【0132】
加えて、所定方向の引っ張り力で網目に広がるスリットベース不織布層20Bは、小さい張力で嵩高くでき、かつ、外力が分散されやすいから、強度を高くでき破れ難いものとなる。また、ベース不織布層20BはMD方向に沿ってスリット21を形成したものであるから、スリット加工時に不織布の抜けカス、繊維の抜け、毛羽立ちが生じ難い。このため、清掃時等に摩擦等で繊維が切れたり、繊維が解けて抜け落ちたりし難いものであり、解けた或いは切れた繊維くず(リント)の落下による払拭面の逆汚染も生じ難い。
【0133】
更に、本実施の形態2のクリーニングシート1Bによれば、ベース不織布層20Bの直列状、及び、並列状に形成された複数のスリット21は、MD方向の両端部に位置するものを除き、スリット長Lcを同一とし、また、各スリット列のスリット11の長さ方向のスリット11相互の間隔長さLdも同一とし、更に、並列するスリット列相互のスリット21の長さ方向に対する直角方向の間隔W2も同一としたものであるから、引っ張り力により網目状に拡がる拡開したスリット21の開口が略均一に分布し、外力が均一に分散されやすく、部分的に作用する荷重(集中荷重)が生じ難いことで、より強度がつよくて破れ難いものとなる。よって、網目を細かくして汚れの除去能力を高めることも可能となる。
【0134】
加えて、本実施の形態2のクリーニングシート1Bによれば、ベース不織布層20Bの並列状に隣り合うスリット列相互では、一方のスリット列のスリットの長さの1/2位置が、その隣に並列する他方のスリット列のスリット21の長さ方向のスリット21相互間の長さの1/2位置に対応しているものであるから、網目の歪みがなく、外力がより分散されやすい。よって、より破れ難く耐久性の高いものとなる。故に、網目を細かくして汚れの除去能力を高めることが可能である。
【0135】
そして、本実施の形態2のクリーニングシート1Bにおいても、引っ張り力によりスリット11の周囲が起立することで立体化するスリット不織布層10S1,10S2は、それに接合固定したベース不織布層20Bによってスリット11の長さ方向に対する直角方向の最大伸びが制限され、使用時の引っ張り力による弾性限界を超える伸びきりが抑制されるから、引っ張り力を解除した使用後は、拡開したスリット11が元のスリット状態に縮小しやすく、スリット11周囲の起立が低減し、減容化できる。特に、スリット11,21の長さ方向に引っ張ることで、スリット11周囲の起立が低減しやすく、スリット11が閉じる方向に縮小し元の状態に戻りやすくなる。よって、廃棄時にも嵩張り難いものとなる。
【0136】
また、本実施の形態2のクリーニングシート1Bにおいても、引っ張り力を解除した使用後は、拡開したスリット11が元のスリット状態に縮小しやすくなっていることで、スリット不織布10S1,10S2の拡開したスリット11の開口から取り入れられたゴミは、スリット不織布層10S1,10S2間に格納、閉じ込めることができる。このため、廃棄時に周囲を汚しにくく、また、不潔感を与えにくいものである。
【0137】
好ましくは、スリット不織布層10S1,10S2を形成する不織布とベース不織布層20Bを形成する不織布とは、JIS L 1913(2010)に準拠した測定で、スリット11の長さ方向に対する直角方向、即ち、CD方向の伸び率について、スリット不織布層10S1,10S2の伸び率/ベース不織布層20Bの伸び率=1.02~1.5の範囲内であるものを用いると、スリット11の開口を十分に大きくでき高い嵩高効果が得られる。また、引っ張り力を解除した使用後は、スリット不織布層10S1,10S2の拡開したスリット11が元の状態に戻りやすく、かつ、ベース不織布層20Bの拡開したスリット21も元の状態に戻りやすく、減容効果を高くできる。よって、清掃面側となる表層にあるスリット不織布10S1,10S2間で捕獲したゴミの嵩張りが抑えられ、捕獲したゴミを溢すことなく、スリット不織布層10S1,10S2間に閉じ込めることができ、周囲を汚さないで破棄することが可能である。よって、廃棄時の嵩をより低減化できる。更に、伸び率が当該範囲内であれば、接合箇所に係る負荷を少なくでき、また、引っ張り力による歪みが生じ難く、外力が分散されやすいものとなる。
【0138】
また、本実施の形態2のクリーニングシート1Bにおいても、スリット不織布層10S1,10S2のスリット21の長さ方向に対する直角方向の最大伸びを制限するベース不織布層20Bによって、スリット不織布層10S1,10S2のスリット11の過剰な変形が阻止されることになるから、表層側のスリット不織布層10S1,10S2は破れ難いものとなる。
【0139】
こうして、本実施の形態2のクリーニングシート1Bにおいても、ベース不織布層20Bによってスリット不織布層10S1,10S2のスリット11の長さ方向に対する直角方向の最大伸びを制限することで、スリット不織布層10S1,10S2の可逆的な体積変化を可能とし、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らず、使用時には引っ張り力によりスリット11の周囲が起立することで嵩高く立体化するスリット不織布層10S1,10S2によって、汚れの高い除去効果が得られ、更に、使用後は再び減容できることで廃棄時にも場所を取らない省スペースのものとなる。よって、輸送や保管の物流過程、また、廃棄処理過程でのコストの削減化が可能であり、また、それらの過程で投じられるエネルギー消費の削減化による環境負荷の軽減を可能とする。
【0140】
そして、本実施の形態2のクリーニングシート1Bは、ベース不織布層20Bの表裏の両面側にスリット不織布層10S1,10S2が配設した3層構造であり、スリット不織布層10S1,10S2及びベース不織布層20Bの何れも所定方向の引っ張り力でスリット11、21の周囲が起立し、また、網状に広げられるから、それを清掃用具100に装着して清掃しても床面等の被清掃面上のゴミがスリット不織布層10S1,10S2及びベース不織布層20Bに絡み取り、掻き取り等で捕獲されやすい。このため、床面等の被清掃面上のゴミがスリット不織布層10S1,10S2の清掃面とは反対面側に通過し難く、清掃用具のシート装着面を汚染し難い。よって、一方のスリット不織布層10S1または10S2で被清掃面を清掃したのち、表裏を反転して他方のスリット不織布層10S2または10S1側で清掃するときでも、ゴミがスリット不織布層10S1,10S2及びベース不織布層20B内で絡められ捕獲されていることで、被清掃面を逆汚染し難く、シート1Bの両面側で高い絡み取り、掻き取り効果を得て、1枚のシートで汚れを多く除去することも可能である。
【0141】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3に係る積層シートとしてのクリーニングシート1Cについて、
図13乃至
図15を参照して説明する。本発明の実施の形態3も、本発明の積層シートをクリーニングシートに適用した場合を例示するものである。
上記実施の形態1,2は、スリット不織布層10S
1,10S
2を表層に配設し、それらスリット不織布層10S
1,10S
2間にスリット不織布層10S
1,10S
2の最大伸びを制限するベース不織布層20Aまたはベース不織布層20Bを中間層として配設した3層構造である。
これに対し、本実施の形態3のクリーニングシート1Cは、スリット不織布層10Sの表裏にスリット不織布層10Sの最大伸びを制限する貫通孔を有しないベース不織布層20A
1,20A
2を重ね合わせて接合固定したもの、即ち、ベース不織布層20A
1,20A
2を表層に配設し、それらベース不織布層20A
1,20B
1間にスリット不織布層10Sを中間層として配設した3層構造である。
【0142】
ここで、本実施の形態3のクリーニングシート1Cを構成するスリット不織布層10Sの基本的構成は、上記実施の形態1,2で説明したスリット不織布層10S1,10S2と同様であり、また、スリット不織布層10Sの表裏に配設するベース不織布層20A1,20B2の基本的構成は、上記実施の形態1で説明したスリット不織布層20Aと同様で貫通孔を有しないものであり、それらスリット不織布層10S及びベース不織布層20A1,20B2の接合固定についても、上記実施の形態1,2で説明したものと同様であるため、ここでは、詳細な説明を省略し、上記実施の形態1,2と相違する点のみについて説明する。
【0143】
本実施の形態3のクリーニングシート1Cは、スリット11が複数形成されたスリット不織布層10Sの表裏に、スリット不織布層10Sのスリット11の長さ方向に対する直角方向の最大伸びを制限しスリット等の貫通孔を有しないベース不織布層20A1,20A2が配設した3層構造の積層シートである。
そして、本実施の形態3のクリーニングシート1Cにおいても、ベース不織布層20A1,20A2及びスリット不織布層10Sは、上記実施の形態1,2のときと同様、互いにMD方向を一致させて重ね合わせられ、互いに分離しないようそれらの端部等で超音波溶着等によって接合固定されているものである。
【0144】
なお、本実施の形態3では、表層に配設されるベース不織布層20A1,20A2の不織布の坪量(目付量)は、伸張性、強度等の観点から、例えば、10~50g/m2とされ、好ましくは、20~45g/m2、より好ましくは、20~40g/m2とされる。エンボス加工を施したものを使用してもよい。また、中間層のスリット不織布層10Sの不織布の坪量(目付量)は、強度及び嵩高性の両立の観点から、例えば、20~80g/m2とされる。好ましくは、30~75g/m2、より好ましくは、50~70g/m2とされる。
【0145】
このような本実施の形態3のクリーニングシート1Cにおいても、MD方向に沿って延びるスリット不織布層10Sのスリット11の長さ方向に対し略直角方向(CD方向)に引っ張ると、即ち、張力を加えると、ベース不織布層20A1,20A2間に介在するスリット不織布層10Sのスリット11がその長さ方向に対する略直角方向に拡開して網目を形成し、拡開したスリット11の周囲が網状に拡がり、スリット不織布層10Sの面方向に対して垂直方向に立ち上がる。
【0146】
したがって、本実施の形態3のクリーニングシート1Cにおいても、所定方向の引っ張り力により、ベース不織布層20A1,20A2間のスリット不織布層10Sのスリット11の周囲が起立変形し立体化するから、それによって、ベース不織布層20A1,20A2に凹凸が生じ、嵩高くなる。よって、床上等の被清掃面上の汚れの高い除去性能が得られる。
特に、本実施の形態3のクリーニングシート1Cでは、その表裏の表層に貫通孔を有しないベース不織布層20A1,20A2が配設するから、汚れの拭き取り性能が高いものである。
【0147】
更に、本実施の形態3のクリーニングシート1Cは、その表裏の表層が貫通孔を有しないベース不織布層20A1,20A2であるから、床面等の被清掃面の汚れがクリーニングシート1Cの厚み方向に貫通して、即ち、ストレートに通過して掃除用具100の清掃面150に付着することはなく、清掃用具100の清掃面150を汚染しない。手で清掃した場合も同様である。
そして、一方のベース不織布層20A1またはベース不織布層20A2で被清掃面を清掃したときでも、他方のベース不織布層20A2またはベース不織布層20A1に汚れが付着しないから、表裏を裏返して他方のベース不織布層20A2またはベース不織布層20A1側でも被清掃面を逆汚染することなく清掃でき、シートの両面で汚れの高い除去効果を得て、1枚のシートで汚れを多く除去することが可能となる。
【0148】
こうして、本実施の形態3のクリーニングシート1Cも、引っ張り力が加えられていないときには、ベース不織布層20A1,20A2及びスリット不織布層10Sが平面的で低容積であり、輸送や保管時の未使用時には嵩張らず場所をとらないのものとなる。
一方で、所定方向に引っ張り力が加えられると、ベース不織布層20A1,20A2の間に介在するスリット不織布層10Sは、複数のスリット11が、そのスリット長方向に対する略直角方向に拡開、変形することで網目を形成し、スリット11の周囲が、起立変形して網状を形成し、嵩高で高容積のものとなる。
【0149】
したがって、本実施の形態3のクリーニングシート1Cも、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らず省スペースで済むことで、流通コストを抑えることができて経済的であり、使用時(清掃時)には、所定方向に引っ張り力を加えることで、嵩高くなり、その嵩高効果、柔軟性により、床上等の被清掃面上の塵、埃、毛髪等の固形ゴミ、しみ、付着液体等の異物や汚れの高い除去性能が得られるものである。
【0150】
そして、本実施の形態3のクリーニングシート1Cも、スリット不織布層10Sの両面側に重ね合わせられたベース不織布層20A1,20A2によって、スリット11の長さ方向に対し直角な方向の引っ張り力が加えられたときのスリット不織布層10Sの弾性限界を超える伸びきり、即ち、最大伸びを制限しているから、引っ張り力を解除した使用後は、スリット不織布層10Sの拡開したスリット11が元のスリット状態に縮小しやすく、スリット11周囲の起立が低減し、減容化できる。特に、スリット11の長さ方向に引っ張ることで、スリット11周囲の起立が低減しやすく、スリット11が閉じる方向に縮小し元の状態に戻りやすくなる。よって、廃棄時にも嵩張り難いものとなる。
【0151】
以上、説明してきたように、本実施の形態3のクリーニングシート1Cは、スリット11が複数形成されたスリット不織布層10Sと、スリット不織布層10Sに重ね合わせて接合固定され、スリット11の長さ方向に対する直角方向でスリット不織布層10Sの最大伸びを制限する、スリット等の貫通孔を有しないベース不織布層20A1,20A2とを具備し、スリット不織布層10Sは、スリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加えられたときに、スリット11がその長さ方向に対する直角方向に拡開し、拡開したスリット11の周囲がスリット不織布層10Sの面方向に対して垂直方向に立ち上がるものである。
【0152】
このような本実施の形態3のクリーニングシート1Cによれば、スリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力によって、スリット不織布層10Sの複数のスリット11がその長さ方向に対する直角方向に拡開し、複数の拡開したスリット11の周囲がスリット不織布層10Sの面方向に対して垂直方向に立ち上がることで嵩高くなるものであるから、スリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力が加わらない状態では、容積、即ち、嵩が抑えられ、使用時にスリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力を加えることにより嵩高くなる。よって、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らずに場所をとらない。そして、使用時にはスリット11の長さ方向に対する直角方向の引っ張り力を加えることで、シート1Cを嵩高くできるから、汚れの高い除去性能が得られる。
特に、本実施の形態3のクリーニングシート1Cでは、貫通孔を有しないベース不織布層20A1,20A2が清掃面となるから、強度が高く耐久性に優れ、汚れの拭き取りに好適である。
【0153】
そして、本実施の形態3のクリーニングシート1Cにおいても、引っ張り力によりスリット11の周囲が起立することで立体化するスリット不織布層10Sは、それに接合固定したベース不織布層20A1,20A2によってスリット11の長さ方向に対する直角方向の最大伸びが制限され、使用時の引っ張り力による弾性限界を超える伸びきりが抑制されるから、引っ張り力を解除した使用後は、拡開したスリット11が元のスリット状態に縮小しやすく、スリット11周囲の起立が低減し、減容化できる。特に、スリット11の長さ方向に引っ張ることで、スリット11周囲の起立が低減しやすく、スリット11が閉じる方向に縮小し元の状態に戻りやすくなる。よって、廃棄時にも嵩張り難いものとなる。
【0154】
こうして、本実施の形態3のクリーニングシート1Cにおいても、ベース不織布層20A1,20A2によってスリット不織布層10Sのスリット11の長さ方向に対する直角方向の最大伸びを制限することで、スリット不織布層10Sの可逆的な体積変化を可能とし、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らず、使用時には引っ張り力によりスリット11の周囲が起立することで立体化するスリット不織布層10Sによって、ベース不織布層20A1,20A2に凹凸が生じ嵩高くなることで、汚れの高い除去効果が得られ、更に、使用後は再び減容できることで廃棄時にも場所を取らない省スペースのものとなる。よって、輸送や保管の物流過程、また、廃棄処理過程でのコストの削減化が可能であり、更に、それらの過程で投じられるエネルギー消費の削減化による環境負荷の軽減を可能とする。
【0155】
また、本実施の形態3のクリーニングシート1Cは、スリット不織布層10Sの表裏の両面側に貫通孔を有しないベース不織布層20A1,20A2が配設した3層構造であり、汚れがベース不織布層20A1またはベース不織布層20A2の清掃面とは反対面側に通過せず、シート1Cを清掃用具100に装着しても清掃用具100のシート装着面(清掃面150)を汚染しない。そして、一方のベース不織布層20A1またはベース不織布層20A2で被清掃面を清掃したときでも、他方のベース不織布層20A1またはベース不織布層20A2側に汚れが付着しないから、一方のベース不織布層20A1またはベース不織布層20A2で被清掃面を清掃したのち、表裏を裏返して他方のベース不織布層20A1またはベース不織布層20A2側で清掃するときでも、被清掃面を逆汚染することはなく、シート1Cの両面で高い汚れの除去効果を得て、1枚のシートで汚れを多く除去することも可能である。
【0156】
ここで、上記実施の形態1乃至実施の形態3のクリーニングシート1A,1B,1Cの体積の可逆性について、厚み変化を測定した結果を説明する。具体的には、以下の表1に示した内容で、実施例1乃至実施例6に係るクリーニングシート1A,1B,1Cを作製し、所定方向の引っ張り力を加える前、即ち、清掃に使用する前の状態のシート1A,1B,1Cの全体厚み(総厚)と、使用時を想定し、スリット11の長さ方向に対して直角方向の引っ張り力を加えスリット11の周囲を起立変形させ立体化させた状態のシート1A,1B,1Cの全体厚み(総厚)と、使用後の破棄時を想定し、スリット11の長さ方向で引っ張り力を加えスリット11,21を閉じる方向に戻した状態のシート1A,1B,1Cの全体厚み(総厚)を測定し、それらの厚みを比較した。
【0157】
【0158】
まず、作製したシート1A,1B,1Cについて、所定方向の引っ張り力を加える前の全体の厚みを測定した。なお、このときの厚みは、使用前の製品の厚みに相当し、この状態で生産側から販売、消費側へ流通されることになる。所定方向の引っ張り力を加える前(使用前)のシート1A,1B,1Cの全体厚みは、(株)ミツトヨ社製の精密測定器(547-401)を用いて測定した。また、念のため、シート1A,1B,1Cに使用した各層の不織布の厚みについても、(株)ミツトヨ社製の精密測定器(547-401)を用いて、測定している。
【0159】
次に、使用時を想定し、矩形状としたシート1A,1B,1Cの両端を両手で持ってスリット11の長さ方向に対して直角方向に引き伸ばすことにより、スリット11,21を拡開して、スリット11が形成されたスリット不織布層10S,10S1、10S2や、スリット21が形成されたベース不織布層20Bにおいて、スリット11,21の周囲をシート1A,1B,1Cの面方向に対して垂直方向に十分に起立、立体化させ、シート1A,1B,1Cを嵩高くした。そして、嵩高くなったシート1A,1B,1Cの全体の厚みを測定した。なお、各実施例1乃至実施例6に係るシート1A,1B,1Cは、引き伸ばしによって拡開したスリット11の開口の大きさは同程度としている。即ち、スリット11の開口の大きさが同程度となるまで引き伸ばしている。
【0160】
詳細には、水平で滑らかな表面を持つ計測台を用意し、そこに、垂直高さを測定するための2本の定規をシート1A,1B,1Cが収まるよう所定の間隔を空けて取付け固定した。そして、かかる計測台に嵩高くしたシート1A,1B,1Cを置き(このとき、殊押さえつけたり、引伸ばしたりしないように注意した)、シート1A,1B,1Cに対し、計測台に固定されている2本の定規を利用して左右の高さが同じになるように上方よりナイロン水引糸を徐々に下げていき、かかる水引糸が、シート1A,1B,1Cに触れた高さを、シート1A,1B,1Cの全体厚みとして計測した。
【0161】
続いて、使用後の破棄時を想定し、立体化し嵩高くなっていたシート1A,1B,1Cに対しその両端を両手で持って、スリット11の長さ方向で引き伸ばすことでスリット11を閉じる方向に戻し、そのときのシート1A,1B,1Cの全体の厚みを測定した。このときのシート1A,1B,1Cの全体厚みも、上述した測定台、水引糸を用いた測定により行った。
シート1A,1B,1Cの全体厚みの測定結果は、表1に示した通りである。
なお、実施例1乃至実施例6においては、何れも、端部31のみが接合固定されたものであり、中間部での接合は行っていないものである。
【0162】
表1に示したように、実施の形態1に係る実施例1乃至実施例3のシート1Aについては、スリット11の長さ方向に対する直角方向で引き伸ばしスリット11を拡開させて立体化させたとき(使用時)のシート1Aの全体厚みは、引っ張り力を加える前(使用前)の状態のシート1Aの全体厚みの約40~70倍あり、かつ、立体化したシート1Aをそのスリット11が閉じる方向に戻した状態(使用後、破棄時)のシート1Aの全体厚みは、引っ張り力を加える前(使用前)の状態のシート1Aの全体厚みの約1~2倍である。
【0163】
また、実施の形態2に係る実施例4のシート1Bについても、スリット11,21の長さ方向に対する直角方向で引き伸ばしスリット11,21を拡開させて立体化させたとき(使用時)のシート1Bの全体厚みは、引っ張り力を加える前(使用前)の状態のシート1Bの全体厚みの約33倍あり、かつ、立体化したシート1Bをそのスリット11が閉じる方向に戻した状態(使用後、破棄時)のシート1Bの全体厚みは、引っ張り力を加える前(使用前)の状態のシート1Bの全体厚みの約1.1倍である。
【0164】
更に、実施の形態3に係る実施例5及び実施例6のシート1Cについても、スリット11の長さ方向に対する直角方向で引き伸ばしスリット11を拡開させて立体化させたとき(使用時)のシート1Cの全体厚みは、引っ張り力を加える前(使用前)の状態のシート1Cの全体厚みの17~25倍あり、かつ、立体化したシート1Cをそのスリット11が閉じる方向に戻した状態(使用後、破棄時)のシート1Cの全体厚みは、引っ張り力を加える前(使用前)の状態のシート1Cの全体厚みの約1~1.1倍である。
【0165】
このように、実施例1乃至実施例6に係るシート1A,1B,1Cでは、スリット11の長さ方向に対する直角方向で引き伸ばしスリット11を拡開させて立体化させたとき(使用時)のシート1A,1B,1Cの全体厚みは、引っ張り力を加える前(使用前)の状態のシート1A,1B,1Cの全体厚みの10倍以上であり、かつ、立体化したシート1A,1B,1Cをそのスリット11が閉じる方向に戻した状態(使用後、破棄時)のシート1A,1B,1Cの全体厚みは、引っ張り力を加える前(使用前)の状態のシート1A,1B,1Cの全体厚みの3倍未満であり、引っ張り力によりスリット11の周囲が起立することで立体化するスリット不織布層10S,10S1、10S2が、それに接合固定したベース不織布層20A1,20A2,20Bによってスリット11の長さ方向に対する直角方向の最大伸びが制限され、使用時の弾性限界を超える伸びきりが抑制されていることで、可逆的な厚みの変化を可能とする。即ち、可逆的に体積変化できるものである。よって、輸送時、保管時等の未使用時には嵩張らず、使用時には引っ張り力によりスリット11の周囲が起立することで嵩高く立体化するスリット不織布層10S,10S1、10S2によって、汚れの高い除去効果が得られ、更に、使用後は再び減容できることで廃棄時にも嵩張ることなく、場所を取らない省スペースのものとなる。
【0166】
上記実施の形態1,2,3の説明では、クリーニングシート1をモップ式の清掃用具100に装着して使用する場合について説明したが、本発明を実施する場合には、シートの使用形態はこれに限定されず、清掃用具を使用せずに、手で拭くように使用してもよい。
また、上記実施の形態1,2,3では、床上のほこり、髪の毛、固形ゴミ、しみ汚れ、付着液体等の異物の除去、床の保護、つや出し等の床管理に用いられるクリーニングシートに使用できる積層シートの事例で説明したが、人体や器物を拭うことで汚れを取り除くものとして用いることもできる。例えば、窓ガラス、台所周り、家電製品、雑貨、便器や便座等の衛生日用品等の清掃や手入れ、除菌、殺菌、拭き掃除に用いるクリーニングシートとして使用することもできるし、ウエットティッシュ、お手拭き、顔、身体の汚れや汗のべたつき等の除去に用いられるボディシート(体拭き)としても使用できる。更に、クレンジングシートやフェイスマスク等の人の使用する化粧面としても使用可能である。
【0167】
なお、本発明を実施するに際しては、積層シートのその他の部分の構成、成分、配合、製造方法等については、上記実施の形態及び実施例に限定されるものではない。
また、本発明の実施の形態で挙げている数値は、その全てが臨界値を示すものではなく、ある数値は製造コスト、製造が容易な形態等から決定した値であり、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を許容値内で若干変更してもその実施を否定するものではない。
【符号の説明】
【0168】
1A,1B,1C クリーニングシート(積層シート)
10S,10S1、10S2 スリット不織布層
11,21 スリット
20A1,20A2,20B ベース不織布層